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高専電子制御工学科における工学実験指導

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(1)

長野工業高等専門学校紀要第

33

(1999) 93

高専電子制御工学科における工学実験指導

―シーケンサを用いた搬送制御実験システムの開発と授業評価―

堀内富雄 小野伸幸 加藤正幸 和崎克己 岸佐年 坂口正雄

Teaching of Engineering Experiment for the Department of Electronics and Control Engineering of the College of Technology

Tomio HORIUCHI Nobuyuki ONO Masayuki KATO Katsumi WASAKI Satoshi KISHI Masao SAKAGUCHI

キーワード: 工学実験指導, シーケンサ,搬 送制御, システム技術者 ,高専

1.

はじめに

近年のメカ トロニクス技術の急速な発達に伴い,機 械 ・電気技術者は今まで以上に,より高度な専門的知識 と情報処理技術に関する実践的能力が要求されている.

このような事情か ら教育機 関において も学科 に開通す る専門的知識のみに偏ることなく,自主性や創造性に富 んだ総合的技術者教育を目標 とし,講義に加えて実験実 習についても様々な取組みがなされている

l)・2)

本校電子制御工学科は 「 ものづ くり」を通 して機械工 学 と電子工学およびコンピュー タに強いシステム技術 者の育成を目標 として平成 4年に設置 された.また平成

7

年度か らは

,4

年生を対象 として夏季期休業中に企業 実務訓練 ( インターンシッフつを実施 している.実務訓練 報告書において,訓練先企業 と学生の双方か ら生産工程 におけるシーケンサ利用の高いことが指摘 され,これに 関する基礎的知識習得の機会の設置が強 く提案された.

そこで平成 9年度の電子制御工学実験での利用 を目 標 として「 シーケンサを用いた搬送制御実験 システム」

を開発 し

,5

年生を粁象にシーケンサによる搬送制御実 験を実施 したので報告する.

*1 1997

8

月日本工学教育協会年次大会予稿に加筆

*2

電子制御工学科助手

*3

電子制御工学科助教授

*4

技術室第一技術班技術職員

*5

倍M大学工学部情報工学科助手

* 6 電子制御工学科教授

本研究の一部は平成

10

年度文部省大学改革推進等経費の助 成 を受けて行われた.

原稿受付

1999

10

29

2.

電子制御工学実験

本学科における工学実験実習は

,

1

.2

年次では電子 制御工学実験 1,同

2

において基礎的な電気実験を行い,

3

年次では機械工作実習 と機械実験,制御実験および電 子実験を行 う.また 4年次では無人搬送車の設計製作を 目標 とした総合実験実習

3)・4)

を設計製図 と連携 して行 う.さらに

5

年次での電子制御工学実験

3

において,前 期は全テーマ必修の工学基礎実験を行い,後期は選択制 でより高度な応用実験を実施 している.実験の進め方は 自主性を重視 し,実験の原理や方法を自ら調べ,実験 ・ 考察 し,総括する方法を取入れている.これは卒業研究 な どで身に付けっつある問題解決 ・ 調査能力をさらに伸 ばすことを目的 としている.表

1

は平成

1

1年度前期に 行われた実験テーマの一覧である.

3.

搬送制御実験システムの開発

本学科では

3

年次にシーケンス制御学習 として 「 空気 圧 シーケンス制御実験」を実施 しているが,これは電磁 リレーを用いた空気圧機器 を対象 としたシーケンス制 御である.マイクロコンピュータ技術の発達により,現

1

電子制御工学実験

3

実験テーマ

(丑A/D.D/A

変換

②セラミックス焼結体の作製とその評価

③シーケンサによる搬送制御

(2)

94

堀内富雄 ・小野伸幸 ・加藤正幸 ・和崎克己 ・岸 佐年 ・坂口正雄

在主流であるシーケンサによる制御学習の重要性が増 している.シーケンサは工業裂き 品の生産現場だけでなく, ビルのエ レベー タ運転管理や上下水道でのポンプ運転 等などに幅広 く利用 されている.そこでシーケンサを利 用 し,3年次での空気圧シーケンス制御実験の内容をさ ら高度化 した搬送制御実験システムを開発 し

,5

年次の 実験鋭頓の一つに組み入れた.

3‑1

システムの構成

今回開発 した搬送制御実験 システムは図 1に示すよ うに.機能の異なる

3

台のサブシステム ( 以下セル 1, セル

2.

セル

3

と略す)から構成 されている.ここで用 いたシーケンサはセンサ入力 1 6 点,出力 リレー1 6 点を 持つ

FX23

2 MR( 三菱電機)であ り,各セルに

1

台づつ組付 けた.また誤配線によるシーケンサの損傷を防止するた め,シーケンサと各人出力機器 との間にインターフェイ ス回路を設けた,これ らの装置は各セル前面の制御盤 ( 図 2)に取 り付けられている.この実験で使用する製品 を図

3

に示す.これ らの製品は一辺 6 0 m の立方体で, 木調樹脂製である,なお,製品Aは穴な し,判品

B,C

,

Dには直径10

n l nの横f r 通穴がそれぞれ下から L

5

r r r nに

1

個,30m mに 1個,同 じく3 0 m に 2個あけられている.

3‑2

各セルの機器構成と動作

3‑2‑1

ル1

セル

1

はベル トコンベア ( 以下 コンベアと略す)と搬 送モジュールから構成 されている.この うち,搬送モ ジ ュー ル は水平シ リンダユニ ッ トの上に上下動シ リンダ ニ J . ニ ッ トと製品を保持す るためのハン ドが組込まれた l ! ̲ ・ 他ミ シリンダユニ ッ ト ( 90 度回転)が組付け られている.

Bか =こ ホ ・ J よ うに.コンベアの一端に魁品が置かれると t t ・ン

IIJ.=

1

.

ニ ッ ト1が働きコンベアを起動する.製品が他 U)頚謎に甘くと,リミッ トスイ ッチが働きハン ドが降下 i.帆 h ' . / a・

t

柑 tして と界する( 図 5) ,その後 90 度左回

紅さセ ( L 要目り.さらし水、 平移動 させてセ

ル2

のコンベア

2

制御盤

3

実験で使用する製品

図4 ‑ t r ル 1:恥品を位く

(3)

高専碍子制御工学科における工学実験指導

5

ル 1

:敷品を保持する

6

セル

1:

穀晶を回転させる

図7 ヒル lこ吸. 弘をセル 2‑旺く

上に置 く( 図 7).恥品を迎び終えたハン ドが初期I a ̲ 他に 戻るとコンベアは再起糾 し.‑ ' I i i ' 叫 l W榔 ・ された

. 件

止する.この動作によ り.コンベ ア

.i:

に柚 され た馳 i l , 紘 すべて 自動的にセル

2

へ搬送され る.

3‑2‑2

セル

2

セル

2

は,コンベア とセ

ル 1

とは形

FL

. y t . なる搬送 モ ジュールか ら構成 されている.この うち搬送や ジュ ル は上下動 シ リンダと回転シ リンダ

(90

度同帖)が机合

さった形式であ り,シ リンダロッ ド先端に‑ ン ドが組込 まれている,セル 1か ら搬送された製品がコンベアの 一 端に置かれ るとセ ンサユニ ッ ト

2

が働 きコンベ アが起

95

8

セル

2

:製品の穴数を計数する

9

ル 2 :

製品

C.D

を振り分ける

図 11 セル 2 : 製品をセ ル 3 へ置 く

(4)

96

堀内富雄 ・小野伸幸 ・加藤正幸 ・和崎克己 ・岸 佐年 ・坂 口正雄

勤 し,製品が移動する.途中に設けられたセンサユニ ッ ト

3

と2 個の直動シ リンダで,製品Cと

D

は穴数により 振 り分けられ ( 図

8

,図

9)

,製品AとB はセル 3 に運ば れる.製品がコンベアの端に着 くと,リミッ トスイ ッチ が働 きハン ドが降下 し,これを保持 して ( 図 1 0 ) 上昇 した 後 , 90 度右回転 してセル 3 の円テーブルに置 く( 図 11 ).

3‑2‑3

セル3

セル 3 は,円テーブル とセル

1

およびセル

2とは形式

が異なる搬送モジュールから構成 されている.セル

2

か ら円テーブルに製品が置かれると,真横に組付けられた センサユニッ ト

5

が働 き,円テーブルは右回転する( 図 12). 円テーブルの下面には 90 度 ごとにカムが取 り付け られてお り,これ とマイクロスイ ッチで位置検出を行い,

3/4

回転 したところで停止する.次にハン ドを持つ上下 動シ リンダが降下 し製品を保持 して上昇 し( 図

13)

,つづ いて水平移動 して検査テーブルに降ろす.ここで製品の 穴の有無が検査 され ( 図 1 4 ) ,直ちに持ち上げられ 1 80 度左回転 して,それぞれの場所に振 り分けられ る( 図

15).

4

授業評価

4‑1

授業の実施状況

平成9 年度後期に行われたシーケンサによる搬送制御 実験は

8‑9

名を

1

グループとし

,1

回当た り

3

時限の 授業を3 回繰 り返 した.また学生の自主性を重視 し,指 導者か らの説明は搬送制御 システムの取 り扱 いとシー ケンサのプログラ ミングに関す る基礎的事項のみに止 めた.実験では図 1 6 ‑図 1 8 に示す制御仕様 と入出力機 器接続表を与え.これに基づき,搬送制御システムの機 器説明書 とプ ログラ ミングマニュアルを参考に して

2

‑ 3 人で一つのセルの制御プログラムを作成 した.完成 した制御プログラムは搬送制御 システムを動作 させて, 良否を検証 した.実験の進捗状況は学生の自主性を重視 したため,は じめややゆっくりした速度であったものの, グループ内で議論 し,試行錯誤を繰 り返す うちにプログ ラミングに対す る理解が急激に高ま り

,3

グループとも に予定時間内に仕様 を満足す る制御プログラムを完成 させ,その動作を検証 した.完成 した制御プログラムは, 同一セルでも作成 したグループにより内容が異なり,ま

いくつかのグループでは与えられた仕様 を越える内 容の制御プログラムを作成するな ど,学生の思考の柔軟

tか感 じられた.

42

考察

7

/ ・ h 父9 年度の実験終了後, この実験を選択 した学生 ( 2 . ' 1. 1, )を称儀としたアンケ‑ トの実施結果を図

19

に T J ‑ ( す. 蚊r L ! ) ( I ) , ( 2) において,本実験の内容が応用実験

と し

て適切であ り,また多くの学生が興味を感 じたと回

符 し た

.こ1日江本父駿が空気圧機鰐やコンベアなどの動

図 1 2 セ ル 3 ・回転テーブルで搬送する

図 1 3 セル 3 : 現品を保持する

図 1 4 セル3:穴の有無を検査する

図 1 5 セ ル 3 : 製品を振り分ける

(5)

高専電子制御工学科における工学実験指導

制御仕様 ( セル1)

・ すべての製品をセル2 へ運ぶ 入出力棲審捷麓表

入力端子 出力端子

XOO:

センサユニット

1 YOO:

コンベア

XO1:

リミットスイッチ

YO:

ハンド

XO2:

セル2 からのレディ信号

Yo2回転シリンダ XO3:NC YO :

上下動シリンダ

XO4:NC Yo4:

水平シリンダ

XO5:NC YO5NC XO6:NC YO6NC XO7:NC Yo NC X10:

水平シリンダR

Y10NC Xl

l

:

水平シリンダL

Y11NC X12:

上下動シリンダ H

Y12NC X13:

上下動シリンダL

Y13NC X14:

回転シリンダcw

Y14NC x15:

回転シリンダccw

Y15:NC X16:NC Yt6:NCNC

16

セ ル 1 の制御仕様 と入出力機器接続表 きを伴い,またこれまでの経験 した多くの実証形実験 と は異な り

,

「 ものづ くり」の要素が含まれていたため完 成の喜びを味わえた ことが挙げられ る.設問(

3)

,( 4 ) ,

(5)

においてほとんどの学生が実験内容をよく理解でき, 分量も適当であ り楽 しく実験できた と回答 した.しか し 一部の学生は充分理解できず,このために分量 も多 く, 苦 しく感 じた.これは本実験が選択制のため,興味を持 って意欲的に実験に取 り組んだ学生が多かった反面,自 主性を重視 したため進捗を遅 くし,結果的にゆとりのな い実験になったためと考えられる.また実験についての 主な感想は 「 セルにより難易度が異な りアンバランスで ある」

,

「 ハー ドウェアの組付 けか ら行いたい」

,2

人 一組が良

」な どが挙げられた.

平成 1 1年度,本実験はそれまで応用実験 ( 後期 ・ 選択) であったものを基礎実験 ( 前期 ・必修)に変更 した.実験 終了後行ったアンケー トの結果

(32

名)を図

20

に示す.

設問( 1 )

,(2)

では,ほとんどの学生はこの実験内容が基 礎実験 として適切であ り,興味を感 じた と回答 した。ま た設問(

3),(4)

より,大部分の学生は実験内容を理解で き,分量も適当であるとしたが,一部の学生は理解困難 であ り,結果 として分量も多 く感 じている.さらに設問 ( 5 ) より約 7割弱の学生は楽 しく実験に取 り組めたもの の

,3

割強は苦 しく感 じていることがわかる.これらの 事から,基礎実験では興味を持って実験に取 り組む学生 が多い応用実験に比べ,実験方法や進め方において,さ らに細かな配慮 ・工夫が必要であることがわかった.

5.

まとめ

電子制御工学実験での利用を目的 として開発 した 「 シ ーケンサを用いた搬送制御実験システム」の概略 と授業 の実施状況について報告 した.今後はアンケー ト結果を

制御仕様( セル2)

・ 製品 A. Bをセル 3 ヘ運ぶ

・ 共晶C.D を振り分ける 入出力故蕃接挽表

入力端子 出力端子

XOOニNC YOO

コンベア

XO

l

:

リミットスイッチ

YO1直動シリンダC

XO2:NC YO

直動シリンダD

×03:

回転シリンダcw

Yo3ハンド XO4回転シリンダccw Yo4回転シリンダ

×05:

上下動シリンダ H

YO5上下動シリンダ XO6:

上下動シリンダ L

YO6NC

XO7NC YO7NC

X1

0センサユニット

3 Y

0セル1

へのレディ信号

Xl

l直動シリンダC.

FRONT YllNC

X12直動シリンダC.REAR Yt NC X13直動シリンダD.FRONT Y13NC X14直動シリンダD.REAR Y14NC X15セル3

からのレディ信号

Y15NC X16センサユニット2 Y16NC

17

セル

2

の制御仕様 と入出力機器接続表

制御仕様 ( セル

3)

・ 製品A. βを振り分ける 入出力棲蕃捷摸表

入力端子 出力端子

XOO:

センサユニット

S YOO回転テーブル xo1:

回転テーブルカウンタ

YO

:

ハンド

XO2:

センサユニット

4 YO2回転シリンダ XO3:NC YO3:

上下動シリンダ

XO4:NC YO4水平シリンダ XO5:NC YO5NC XO6:NC YO6NC XO7:NC YO7NC

x1

0: 水平シリンダR

Y10セル2

へのレディ信号

×1

1

:

水平シリンダ L

Y11NC X12:

上下動シリンダ H

Y12NC Xー3:

上下動シリンダL

Y13NC X14:

回転シリンダcw

Y14NC x15:

回転シリンダccw

Y15:NC X16:NC Y16:NCNC

図 1 8 セル 3の制御仕様 と入出力機器接続表 ( 1)この実顔は応用実験テーマとして

(2

)この実験に興味を

( 3 )実験内容を理解

ややできたく

30

%)

(4)

実験の分量は

(5)

自主的に進める 形式の実検は

しい

(22% )

楽しい( 5 2 1 ) 図

19

アンケー ト結果( 平成9 年嵐 回収率

100%)

97

(6)

98

堀内富雄 ・小野伸幸 ・加藤正幸 ・和崎克己 ・岸 佐年 ・坂口正雄

(1

)この実験は基礎実損テーマとして

(2)この実験に興味を

やや感じた( 1 9

%

)

(3)実験内容を理解

ない( 3㌔)ややで や

できない( 3 % )

(4

)実験の分量 は

(5)

自主的に進める形式の実験は

とても苦しい( 6 %) 1 9 % ) とて

20

アンケー ト結果( 平成 1 1年度,回収率

100%)

踏 まえつつ,各セル間の連係動作 とシステム全体の理解

を より深める工夫を行 うな ど,本実験システムをさらに 改善す る予定である.

謝 辞 本研究の一部は平成

10

年度文部省大学改革 推進等経費 ( カ リキュラム改革調査研 究経費)の援助の 下で行われた ものであ り.関係各位与 淵 寸 の意を表する.

参考文献

1 )中滞達夫他

2

名,高専電子情報工学科学生に対する実 験実習指導,工学教育

,44

,1

,(1996)5559. 2)

那賀修二他

1

名, 機械工学科におけるシーケンス制御 実習の試行,工学教育

,44

,2

,(1996)4448.

3) 小野伸幸 他 5 名,高専電子制御工学科における実験実 習指導,工学教育

,45

,1

号 ,

(1997)2卜25.

4)和崎克己他 5名,高専電子制御工学科におけるSE 指 導 , 平 成

9

年 度 (日 工 教 )研 究 講 演 論 文 集 ,

(1997)105‑107.

参照

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