日本企業の外国為替リスク管理(中)
久 保 田 政 純*
はじめに
前 回 報 告 書 に 記 載 し た 研 究 ノ ー ト 『 日 本 企 業 の 外 国 為 替 リ ス ク 管 理 ( 上 ) 』[1]で は 、 外 国 為 替 リ ス ク 管 理 に つ い て 次 の 先 行 研 究 の 概 要 を 記 述 し た 。
1 外 国 為 替 リ ス ク と 外 国 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー の 違 い 2 外 国 為 替 リ ス ク の 企 業 価 値 に 与 え る 影 響
3 リ ス ク ヘ ッ ジ の 為 替 リ ス ク 管 理 に 対 す る 有 効 性 4 日 本 企 業 に 関 す る 外 国 為 替 リ ス ク 管 理 の 研 究
今 回 の 研 究 ノ ー ト で は 、 円 高 や 円 安 な ど 外 国 為 替 の 変 動 に 晒 さ れ る 外 国 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー を 日 本 企 業 が い か に 管 理 し て い る か 、 ま た ど う す れ ば 円 の 変 動 が 企 業 経 営 に 及 ぼ す 影 響 を 軽 減 で き る か に つ い て 主 と し て 新 聞 な ど で 公 表 さ れ た 事 実 に 基 づ い て 、 会 計 的 リ ス ク を 中 心 に そ の 実 態 を 概 観 す る 。
外 国 為 替 リ ス ク を 研 究 す る 場 合 、 為 替 の 変 動 が 企 業 の 国 際 競 争 力 に 影 響 し 、 そ の 後 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 変 化 さ せ 、 最 終 的 に 市 場 価 値 の 変 化 を も た ら す 経 済 的 リ ス ク が 本 来 の 対 象 で あ る 。 し か し 、 一 方 で は 為 替 の 変 動 が 日 本 企 業 の 会 計 上 の 業 績 に 及 ぼ す 影 響 、 即 ち 会 計 的 リ ス ク も ま た 重 要 で あ る 。 具 体 的 に は 為 替 の 変 動 が そ の 直 後 の 第 1 四 半 期 、 更 に は 当 該 期 の 一 年 決 算 な ど に 影 響 を 及 ぼ す 。 我 々 は こ の リ ス ク を 会 計 的 リ ス ク と 呼 び 、 今 回 の 研 究 ノ ー ト で は こ の 会 計 的 リ ス ク に 焦 点 を あ て る 。
な お 、 外 国 通 貨 で 報 告 さ れ て い る 海 外 子 会 社 な ど の 連 結 に 際 し て 親 会 社 の 通 貨 に 表 示 替 え す る 必 要 が あ る が 、 外 貨 換 算 の 選 択 な ど の 会 計 ル ー ル に よ っ て 会 計 上 の 利 益 や 株 主 資 本 も リ ス ク に 晒 さ れ る 。 こ れ ら は 換 算 リ ス ク (translation exposure) あ る い は 会 計 リ ス ク
(accounting exposure)と 呼 ば れ て い る 。今 後 、会 計 的 リ ス ク と 会 計 リ ス ク の 混 同 を 防 ぐ た め 、 外 貨 換 算 の リ ス ク は 会 計 リ ス ク と 言 わ ず 換 算 リ ス ク に 一 本 化 す る 。
な お 、外 国 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー (foreign exchange exposure)と は 、外 国 為 替 レ ー ト の 変 化 が 企 業 価 値 に 変 化 を 及 ぼ す 可 能 性 の あ る 金 額 、 即 ち 外 国 為 替 リ ス ク(foreign exchange risk)に 晒 さ れ る 金 額 を 指 す の で 、 外 国 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー と 為 替 リ ス ク は 異 な る も の で あ る が(Adler et al. [2])、こ こ で は 理 論 的 厳 密 性 に 欠 け る も の の 日 本 で の 慣 行 に 従 っ て 原
*常 磐 大 学 国 際 学 部 教 授 、明 治 大 学 大 学 院 グ ロ ー バ ル ビ ジ ネ ス 学 科 非 常 勤 講 師 、麗 澤 大 学 経 済 学 部 特 任 教 授 な ど を 経 て 現 在 カ ク タ ス イ ン ベ ス ト 株 式 会 社 。
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則 と し て 外 国 為 替 リ ス ク と 称 す る 。
1 円高が企業に与える影響
日 本 で は 円 高 が 企 業 、 特 に 輸 出 企 業 の 業 績 に 大 き な 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ て お り 、 現 実 に 株 価 と の 連 動 性 も 高 い と 一 般 に 言 わ れ て い る 。 し か し 必 ず し も 実 証 的 、 理 論 的 に は 論 証 さ れ て い な い 。 そ こ で ま ず 円 高 の 輸 出 に 与 え る 影 響 に か か わ る 祝 迫 、 中 田 の 論 文 を ま ず 要 約 す る 。
1.1.円 高 が 輸 出 に 与 え る 影 響
祝 迫 、中 田[3]に よ れ ば 、日 本 で は 為 替 レ ー ト の 変 動 が 輸 出 な ら び に 国 内 の 景 気 に き わ め て 大 き な 影 響 を 及 ぼ す と 考 え ら れ て き た た め 、構 造 VAR を 利 用 し て 海 外 需 要 シ ョ ッ ク と 為 替 レ ー ト 変 動 の 二 つ の 外 生 的 シ ョ ッ ク が 日 本 の 輸 出 に 与 え る 影 響 に つ い て 数 量 的 な 評 価 を 行 っ た 。
そ の 結 果 、 過 去 三 回 の 歴 史 的 な 円 高 局 面 に お い て 為 替 レ ー ト が 輸 出 変 動 に 与 え る 影 響 の 相 対 的 な 大 き さ は 、1990年 代 中 盤 の 円 高 局 面 に お い て 一 番 高 く 、次 い で 1980 年 代 半 ば の プ ラ ザ 合 意 後 の 円 高 が 続 く 。 し か し 、 リ ー マ ン ・ シ ョ ッ ク 後 の 2008 年 末 か ら 2009 年 に 生 じ た 輸 出 の 大 幅 落 ち 込 み に つ い て は 、過 去 2回 の 円 高 に 比 べ 、こ の 時 期 の 円 高 は あ ま り 影 響 せ ず 世 界 景 気 の 落 ち 込 み に よ る 総 需 要 シ ョ ッ ク の ほ う が 重 大 で あ っ た 。
さ ら に , 原 油 生 産 と 原 油 価 格 の 変 動 が 円 レ ー ト に 与 え る 影 響 も 考 慮 す る 拡 張 VAR シ ス テ ム を 枠 組 み に し て 、1975年 か ら 2011年 ま で の 期 間 (前 半 期 間 は 1975年 ~ 1999年 ま で 、後 半 期 間 2000年 ~ 2011年 )に つ い て 、 よ り 精 緻 化 し た 分 析 も 行 っ た 。
VARモ デ ル に お い て 構 造 シ ョ ッ ク を 原 油 生 産 の 供 給 シ ョ ッ ク 、世 界 的 な 実 物 経 済 活 動( 総 需 要 シ ョ ッ ク ) 、 原 油 市 場 に 固 有 な 一 時 的 な 価 格 シ ョ ッ ク 、 経 済 的 要 因 で は 説 明 さ れ な い 為 替 レ ー ト に 固 有 な 変 動 、及 び こ れ ら 4つ の 要 因 で は 説 明 さ れ な い 輸 出 の 変 動 の 5つ と す る 。
こ の 結 果 、 日 本 の 輸 出 変 動 ( 前 年 同 月 比 ) の 分 散 の 要 因 を 分 解 し て 分 析 し た と こ ろ 、 後 半 の 期 間 に か け て は 為 替 レ ー ト の 輸 出 変 動 に 与 え る 影 響 は 分 散 100% の 中 で 僅 か 3.4% で あ り 、 原 油 の 価 格 シ ョ ッ ク (同 46.8%)、 総 需 要 シ ョ ッ ク ( 同 29.7% ) に 比 べ き わ め て 低 い 。
1.2. 円 高 が 日 本 経 済 及 び 産 業 別 ・ 規 模 別 産 出 量 に 与 え た 影 響
祝 迫 、 中 田[4]に よ れ ば[3]と 同 様 に4つ の 外 生 的 な シ ョ ッ ク ( 原 油 供 給 、 世 界 景 気 ( 需 要 シ ョ ッ ク ) 、 需 給 に 関 係 の な い 原 油 価 格 の 変 動 、 他 の 要 因 で は 説 明 さ れ な い 為 替 レ ー ト に 固 有 な シ ョ ッ ク ) を 想 定 し 、 こ れ ら の シ ョ ッ ク が 日 本 経 済 全 体 お よ び 産 業 別 ・ 規 模 別 の 産 出 量 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。
分 析 の 結 果 , 為 替 レ ー ト ( 実 質 実 効 為 替 レ ー ト ) で 計 測 し た 円 高 は 、 全 体 的 に 日 本 経 済 に マ イ ナ ス の 影 響 を 与 え る も の の 個 別 の 産 業・企 業 規 模 に よ っ て そ の 影 響 度 合 い は 異 な り 、 例 え ば 非 製 造 業 の 中 小 企 業 に つ い て は プ ラ ス の 効 果 を 与 え て い る 。
為 替 シ ョ ッ ク に つ き 、 総 需 要 シ ョ ッ ク と 同 じ く 影 響 が 強 い の は 製 造 業 で あ り 、 そ の 中 で も 自 動 車 に 関 し て は 、 電 気 機 械 器 具 ・ 化 学 と く ら べ て 為 替 シ ョ ッ ク の 影 響 が よ り 強 く 、 し た が っ て 総 需 要 シ ョ ッ ク よ り 為 替 シ ョ ッ ク の 方 が 重 要 で あ る 。 ま た 卸 売 業 で は 、 為 替 シ ョ ッ ク が 売 上 に 明 確 な 影 響 を 与 え て い な い の に 対 し て , 小 売 り に つ い て は 総 需 要 シ ョ ッ ク 同 様 、 短 期 的 に は 売 上 を 引 き 下 げ る 効 果 が 働 い て い る と い う 。
1.3. 結 論
結 論 と し て 我 が 国 に お い て 外 生 的 な 為 替 レ ー ト の 変 動 が 輸 出 に 与 え る 影 響 は , 世 界 的 な 需 要 や 原 油 価 格 の 変 動 等 の 他 の 外 生 的 要 因 の 有 無 に 大 き く 左 右 さ れ て お り 、 特 に リ ー マ ン・シ ョ ッ ク 後 の 2008 年 末 か ら 2009年 に か け て の 日 本 の 輸 出 の 急 激 な 落 ち 込 み に 関 し て は , 海 外 需 要 減 の 影 響 の 方 が は る か に 重 要 で あ っ た 。
2 円高が
2016年第
1四半期(
4月~
6月)の企業業績に与えた影響
次 に 今 回 の 円 高 が 企 業 に 与 え た 影 響 を2016年 第 1 四 半 期 の 決 算 発 表 の 報 道 か ら 見 て み よ う( 末 尾 付 表 1 ,2 ,3 )。円 高 は 付 表 4 に 見 る よ う に2016年 2 月 頃 よ り 進 み 同 年8月 に は 月 平 均 で1ド ル101.34円 ま で に 至 っ た1。2016年 第 1 四 半 期 の 平 均 レ ー ト108.27円 に 対 し 前 年 同 期 は121.37円 で あ り 、 前 年 同 期 比 約13円 の 円 高 で あ る 。
ここ で2016年 第 1 四 半 期 決 算 発 表 結 果 に つ い て 、2016年7月 か ら9月 ま で に 新 聞 報 道 さ れ た も の を い わ ゆ る 輸 出 企 業 ( 製 造 業 ) 、 内 需 企 業 ( 製 造 業 ) 、 内 需 企 業 ( 小 売 り 、 サ ー ビ ス ) に 三 分 類 し て 分 析 す る 。
2.1. 円 高 が 会 計 の 利 益 に 与 え る 影 響
こ れ ら の 分 析 に 移 る 前 に 円 高 が 会 計 の 利 益 に ど の よ う に 影 響 す る か ま と め て み た い 。
① 輸 出 売 上 高 の 減 少 ( 外 貨 建 て 売 上 高 の 減 少 ) 及 び 海 外 子 会 社 売 上 高 の 減 少
輸 出 売 上 高 が 減 少 す る 。売 掛 金 と し て 確 定 し て い る も の の 中 で も 、為 替 ヘ ッ ジ は 売 掛 金 全 額 を カ バ ー し な い の で 円 高 以 前 に 想 定 さ れ た 金 額 よ り 減 少 す る 。こ れ は 売 上 高 と 営 業 利 益 に 影 響 を 与 え る 。 い ず れ も キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 う も の で あ る 。
ま た 海 外 子 会 社 に つ い て も お お む ね 連 結 売 上 高 と 連 結 営 業 利 益 に 影 響 す る 。配 当 と し て 送 金 を 受 け る 段 階 で キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 影 響 す る 。
② 営 業 経 費 の 与 え る 影 響
現 在 で はSCM( サ プ ラ イ チ ェ ー ン マ ネ ジ メ ン ト ) が 世 界 的 規 模 で 構 築 さ れ て い る 関 係 上 円 高 に よ る 輸 入 関 連 商 品・資 材 の 価 格 低 下 効 果 が あ る も の と 推 測 さ れ る が 、国 内 加 工 物 も 購 入 す る の で 、こ の 効 果 を 正 し く 捉 え る の は 極 め て 難 し い 。こ れ に つ い て も
1 最 近 の 円 の 最 安 値 は2015 年 8月 12日 1ド ル125.12 円 、 最 高 値 は 2016年 8月 18日 99.78 円
キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 う 。
③ 営 業 外 費 用 ( 為 替 差 損 ) ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 う も の )
す で に 計 上 し て あ る ド ル 建 て 売 掛 金 な ど が 決 済 当 日 に 円 高 の た め 目 減 り す る も の 。 例 え ば1ド ル110円 の 換 算 レ ー ト で 計 上 す る が 決 済 日 に105円 に な っ て い れ ば5円 の 実 現 損 が 発 生 す る 。
④ 営 業 外 費 用 ( 為 替 差 損 ) ( 対 象 会 計 期 間 中 に は キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 わ な い も の ) 売 掛 金 、有 価 証 券 な ど 外 貨 債 権 の 決 算 日 に お け る 評 価 損 は 対 象 会 計 期 間 中 に は キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 わ な い 。但 し 課 税 所 得 に 影 響 を 与 え れ ば 税 金 支 払 額 を 変 動 さ せ る の で 、 こ の 点 も 考 慮 す れ ば キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 影 響 を 与 え る 。
⑤ 営 業 外 収 益
営 業 外 費 用 同 様 に 外 貨 建 て 債 務 に つ い て は 為 替 差 益 が 生 ず る 。
⑥ 外 貨 換 算 調 整 勘 定 ( 包 括 利 益 ) ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 伴 わ な い も の ) 円 高 に よ り 純 資 産 の 外 貨 換 算 調 整 勘 定 が 減 少 し 包 括 利 益 に 影 響 を 与 え る 。
こ の よ う に 円 高 が 会 計 上 の 企 業 利 益 に 与 え る 影 響 は 複 雑 で あ る が 、 営 業 利 益 段 階 で 見 る 限 り キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 与 え る 影 響 と ほ ぼ 同 様 に 見 て い い と 思 わ れ る 。 営 業 利 益 は 償 却 前 営 業 利 益 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー ) か ら 減 価 償 却 費 を 控 除 し た も の で あ る か ら 、 会 計 的 リ ス ク と 経 済 的 リ ス ク は ほ ぼ 一 致 す る も の と 見 て よ い 。 し た が っ て 以 下 の 分 析 も 原 則 と し て 営 業 利 益 段 階 で 行 う 。
2.2. 企 業 に 与 え る 影 響 1 輸 出 企 業(製 造 業)
① 自 動 車 及 び 自 動 車 関 連 に つ い て は 、円 高 は 収 益 に 明 ら か に 悪 い 影 響 を 与 え る 。例 え ば 海 外 売 上 高 比 率78%(2015年 度)の ト ヨ タ で は 営 業 利 益 の 対 為 替 弾 性 率 ( 営 業 利 益 の 変 化 率/円 の 対 ド ル 上 昇 率 )は -2.48と い う 数 字 を 示 し て い る 。そ の 他 の 各 社 も -2前 後 を 示 し て い る 。
② 重 工・建 機 の 各 社 に つ い て も 円 高 の 与 え る 影 響 は 大 き い 。し か し 、コ マ ツ の 同 弾 性 率 は 低 く ( -1.20) 、 川 重 は 高 い ( -8.83) 。 コ マ ツ は 海 外 へ の 分 散 化 が 進 ん で い る こ と( 海 外 売 上 高 比 率78%)、製 品 の 価 格 競 争 力 が 強 く 付 加 価 値 の 高 い 製 品 に 特 化 し て い る た め と 思 わ れ る 。
③ 電 機 に つ い て は 、 ソ ニ ー を 除 き 海 外 売 上 高 比 率 が5割 を 超 え て い な い た め と 思 わ れ る が 、円 高 が 自 動 車 ほ ど 業 績 へ 悪 い イ ン パ ク ト を 与 え て い な い 。日 立 の 弾 性 率 が -1.10 と 比 較 的 低 い の は 国 内 依 存 度 が 高 い た め か も 知 れ な い 。
④ 電 子 部 品 は 、海 外 売 上 高 比 率 が 自 動 車 並 み に か な り 高 く 、自 動 車 と 同 様 の 影 響 が あ る 。
⑤ 精 密 機 械 も 円 高 の 影 響 を 同 様 に 受 け て い る が 、注 目 す べ き は 電 子 ピ ア ノ や ギ タ ー な ど 高 付 加 価 値 製 品 を 持 つ ヤ マ ハ や 空 調 の ダ イ キ ン の よ う に 価 格 競 争 力 の あ る 企 業 は 値 上 げ で 円 高 に 対 処 し て い る 。
2 内 需 ( 製 造 業 )
① 化 学 企 業 に つ い て は 国 際 化 の 進 ん だ 住 友 化 学 は 円 高 に よ る 減 益 の 影 響 が 大 き い( 同 弾 性 率 ―1.8) 。 一 方 、 高 い 世 界 シ ェ ア を 誇 る 製 品 の 多 い 信 越 化 学 は 増 益 。 一 般 的 に は 円 高 に よ る 売 上 減 、 為 替 差 損 な ど の 影 響 を 受 け て い る 。
② 繊 維 に つ い て も ほ ぼ 化 学 同 様 。 し か し 、 国 際 競 争 力 の 強 い ク ラ レ は 増 益 。
③ 鉄 鋼 に つ い て は 円 高 に よ る 輸 出 採 算 の 悪 化 の 影 響 が あ る 。
④ 非 鉄 に つ い て は 製 錬 加 工 費 が ド ル 建 て の た め 円 高 の 影 響 力 あ り 。
⑤ エ ネ ル ギ ー に つ い て は 輸 入 原 料 の 調 達 コ ス ト 減 な ど に よ る 円 高 プ ラ ス 要 因 も あ る が 円 高 に よ る 売 上 減 も あ る 。
⑥ 紙 パ ル プ に つ い て は 原 燃 料 費 の 減 少 に よ る 営 業 利 益 増 。大 王 製 紙 は 営 業 利 益 の 対 為 替 弾 性 率 が2.6と 円 高 の メ リ ッ ト は 大 き い 。
⑦ 製 薬 会 社 に つ い て は 、円 高 の 影 響 は ほ ぼ 中 立 。武 田 薬 品 は 米 国 に お け る ド ル 建 て の 研 究 開 発 費 や 販 売 管 理 費 が 円 ベ ー ス で は 減 少 。
⑧ 食 品 に つ い て は 国 際 化 の 進 ん だ 企 業 に つ い て は ド ル の み な ら ず 新 興 国 通 貨 安 に よ り 影 響 を 受 け て い る 。し か し 、一 般 的 に 国 内 依 存 度 の 高 い 企 業 に つ い て は 特 段 の 影 響 は な い 。む し ろ 、円 高 に よ る コ ス ト 減 や 高 付 加 価 値 の 製 品 を 持 つ 企 業 に つ い て は 増 益 基 調 。な お 、JTに つ い て は 海 外 事 業 の 地 域 分 散 が 進 ん だ た め 、通 貨 変 動 の 影 響 を 均 一 化 で き る よ う に な っ た と の 会 社 コ メ ン ト あ り 。
3 内 需 ( 小 売 、 サ ー ビ ス )
① 商 社 に つ い て は 円 高 に よ る 軽 微 な マ イ ナ ス の 影 響 。
② 小 売 で は ほ と ん ど 影 響 は な く む し ろ 海 外 製 品 の 仕 入 れ の 依 存 度 が 高 い 企 業 に つ い て は 利 益 増 。 全 般 に プ ラ ス の 影 響 。
③ 運 輸 に つ い て は 海 外 売 上 高 比 率 の 高 い 企 業 に つ い て は 影 響 を 若 干 受 け て い る 。
④ 海 運 に つ い て は 市 況 悪 化 の 影 響 が 大 き い 。
⑤ 建 設 に つ い て は 内 需 型 が 多 い た め 円 高 の 影 響 は 中 立 、し か し 海 外 依 存 度 の 高 い 日 揮 に つ い て は マ イ ナ ス の 影 響 が あ る 。
⑥ 不 動 産 に つ い て は 影 響 な し 。た だ し 輸 入 木 材 を 使 う 大 東 建 託 は 円 高 に よ り 輸 入 コ ス ト 減 。
⑦ そ の 他 サ ー ビ ス に つ い て は 全 般 に 影 響 な し 。
2 . 3 . ま と め
① 自 動 車 な ど 海 外 へ の 事 業 分 散 が 高 度 に 進 展 し た 企 業 で も い ま だ 円 高 の 影 響 が 存 在 す る 。産 業 全 般 に 円 高 に よ る マ イ ナ ス の 影 響 が プ ラ ス よ り も や や 大 き い と い う 印 象 を 受 け る 。し か し 、円 高 の 影 響 の み な ら ず 、新 興 国 の 需 要 減 な ど 、そ の 他 の 要 因 も 相 当 大 き い も の と 推 測 さ れ る 。( 祝 迫 ほ か[3] [4])
② 円 高 対 応 策 と し て 企 業 は 短 期 的 に は 合 理 化 な ど コ ス ト 減 を あ げ て い る 企 業 が 多 い 。し
か し 、 地 域 の 分 散 化 を 一 層 図 る と い う 意 見 も 多 い 。
③ 輸 出 企 業 の 中 で 市 場 寡 占 度 の 高 い 、あ る い は 高 付 加 価 値 製 品 を も つ 企 業 に つ い て は む し ろ 価 格 改 定 で 対 応 し て お り 円 高 の 影 響 を 克 服 し て い る 。
2 . 4 . 三 菱 UFJモ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー 証 券 の 調 査( 出 所 : 日 経 2016年 3月 18日 ) 三 菱 U F J モ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー 証 券 の 調 査 に よ る と 、 主 要 27 業 種 の う ち 円 高 が 業 績 に プ ラ ス に な る の は 、原 材 料 な ど の 輸 入 が 多 い 3業 種 の み で あ る 。自 動 車 や 電 機 の ほ か 食 品 、 小 売 り 、 不 動 産 な ど も 足 元 で は 円 高 が 業 績 の マ イ ナ ス 要 因 に な っ て い る 。
小 売 り に と っ て は イ ン バ ウ ン ド ( 訪 日 外 国 人 ) 消 費 の 影 響 、 食 品 の 場 合 海 外 展 開 の 加 速 な ど に よ る マ イ ナ ス の 影 響 あ り 。 算 定 根 拠 な ど 詳 細 不 明 な が ら 円 高 の 企 業 業 績 へ 与 え る 影 響 を 大 き く 把 握 で き る 。
対 ド ル で 1円 の 円 高 が 進 ん だ 場 合 の 営 業 利 益 へ の 影 響 度 全 産 業 -0.52%
製 造 業 -0.85 非 製 造 業 -0.07 円 高 が マ イ ナ ス の 主 な 業 種 輸 送 用 機 器 -1.39% 卸 売 業 -0.80 精 密 機 器 -0.79 電 機 機 器 -0.48 食 料 品 -0.18 小 売 り -0.01 不 動 産 -0.01 円 高 が プ ラ ス の 業 種
パ ル プ ・ 紙 1.40% 空 運 業 0.52 電 気 ・ ガ ス 0.09
3 日本企業の為替対策
日 本 企 業 が ど の よ う な 形 で 為 替 変 動 に 対 応 し て い る か 概 観 す る 。 や や 調 査 は 古 い が2000 年 代 の 日 本 企 業 の 対 応 をIto et al.[5]に よ る ケ ー ス ス タ デ ィ か ら 見 て み る 。次 に 、黒 田 日 銀 体 制 が 発 足 し た2013年 春 先 よ り 徐 々 に 進 展 し 、2014年11月 か ら2016年 春 先 ま で 長 期 に わ た っ て 続 い た 今 回 の 円 安 局 面 に お け る 企 業 の 対 応 状 況 を 見 た い ( 末 尾 付 表4) 。
3 . 1 . 日 本 企 業 の 円 安 対 応 ( イ ン ボ イ ス 通 貨 選 択 とPTM行 動 )
Ito et al.[5]は 日 本 を 代 表 す る 主 要 輸 出 企 業 12 社 の ヒ ア リ ン グ 調 査 を 行 い 、2000 年 代 の 日 系 企 業 の イ ン ボ イ ス 通 貨 選 択 、 為 替 リ ス ク 管 理 、 価 格 設 定 の 実 態 を 解 明 し た 。 ま ず 、 日 系 自 動 車・電 機 メ ー カ ー は 、2000 年 代 に 入 り 同 一 グ ル ー プ 内 貿 易 が 大 半 を 占 め る よ う に な っ た た め 、 そ の イ ン ボ イ ス 通 貨 選 択 を 為 替 戦 略 の 重 要 な 手 段 と し た 。
即 ち 、 海 外 現 地 法 人 に 為 替 リ ス ク を 負 わ せ な い た め 、 先 進 国 向 け 輸 出 に お い て 現 地 通 貨 建 て 取 引 を 、 東 ア ジ ア 向 け 輸 出 に お い て 米 ド ル 建 て 取 引 を 選 択 す る こ と に よ っ て 販 売 価 格 を 安 定 さ せ る 行 動 を 採 用 し て い る 。特 に 近 年 の 東 ア ジ ア に お け る 米 ド ル 建 て 決 済 の 増 加 は 、 域 内 生 産 拠 点 構 築 に 伴 う 東 ア ジ ア 域 内 貿 易 が 一 層 拡 大 す る 中 、 最 終 輸 出 先 と し て の 米 国 の 重 要 性 に よ る と こ ろ が 大 き い 。
こ の よ う に ド ル 建 て 輸 出 価 格 が 中 心 と な っ て い る た め 、 為 替 レ ー ト が 大 き く 変 化 し て も 取 引 先 と の 長 期 の 安 定 的 取 引 を 重 視 し て 輸 出 企 業 は 外 貨 建 て 価 格 を す ぐ に 改 定 せ ず 一 定 に 保 つ 。 こ れ は PTM( Pricing-to-Market) 行 動 と 呼 ば れ て い る 。 当 該 報 告 書 で は 「 輸 出 先 別 価 格 差 別 化 」 と 称 し て い る が 、 む し ろ 「 市 場 対 応 型 価 格 安 定 戦 略 」 と も い う べ き も の で あ り 、 競 合 他 社 の 価 格 設 定 行 動 や 市 場 の 競 争 環 境 に 対 応 し な が ら も 基 本 は 現 地 消 費 者 の 安 定 価 格 志 向 を 重 視 す る 考 え 方 で あ ろ う 。
3 . 2 . パ ス ス ル ー ( 価 格 転 嫁 )
次 い で 最 近 の 円 安 局 面 で の 企 業 行 動 に つ い て 清 水 に よ る 論 文 を 見 て み よ う[6]。 今 回 の 円 安 局 面 で 輸 出 産 業 が ど の よ う な 輸 出 価 格 戦 略 を と っ た の か 輸 出 価 格 へ の パ ス ス ル ー ( 価 格 転 嫁 )と い う 観 点 か ら 検 討 す る と 、日 本 企 業 の 輸 出 の 多 く は ド ル 建 て と な っ て い る の で 、 円 安 が ド ル 建 て の 輸 出 価 格 に パ ス ス ル ー さ れ れ ば 、 輸 出 価 格 が 下 が る 。 そ の 結 果 、 輸 出 数 量 が 伸 び る 筈 だ が 、 今 回 の 円 安 に よ っ て も 貿 易 収 支 は 改 善 さ れ な か っ た 。 日 本 企 業 は 輸 出 相 手 国 で の 販 売 価 格 を 安 定 化 す る 前 述 の PTM 行 動 を と っ て お り 、 為 替 変 動 は ド ル 建 て の 輸 出 価 格 に パ ス ス ル ー さ れ な か っ た 。
今 回 の 円 安 局 面 で は 円 建 て ベ ー ス の 輸 出 価 格 は 上 昇 し て い る が 、 契 約 通 貨 ベ ー ス で の 輸 出 価 格 は さ ほ ど 下 が ら ず 安 定 的 に 推 移 し て い る 。 日 本 の 輸 出 企 業 は ド ル 建 て 輸 出 価 格 を 据 え 置 く こ と で 輸 出 数 量 を 拡 大 せ ず に 、 円 安 分 の 利 益 幅 を 拡 大 す る こ と を 選 択 し た 。
次 に 、 輸 入 サ イ ド の パ ス ス ル ー 、 す な わ ち 為 替 レ ー ト が 円 安 方 向 に 振 れ た 時 に 日 本 の 輸 入 物 価 や 国 内 物 価 が ど れ だ け 上 昇 す る の か と い う 点 で あ る が 、 輸 入 価 格 に 対 す る パ ス ス ル ー 率 が 1980 年 代 か ら 2000 年 代 初 頭 に か け て い っ た ん 低 下 し た も の の 、 塩 路[7]の 分 析 に よ れ ば 、2000年 代 か ら 日 本 の パ ス ス ル ー 率 が 再 び 上 昇 し て い る 。円 安 に つ れ て 円 ベ ー ス の 輸 入 物 価 指 数 も 上 昇 し て い る 。 こ れ は 、 日 本 の 消 費 財 生 産 コ ス ト に 占 め る 輸 入 消 費 財 と 輸 入 原 材 料・中 間 財 の 合 計 シ ェ ア が 2000 年 代 を 通 じ て 増 え 続 け 、07 年 に は 20% 近 く ま で 上 昇 し て い た こ と が 要 因 だ と 考 え ら れ る 。 こ れ は グ ロ ー バ ル な SCM の 資 材 調 達 上 日 本 で も 輸 人 品 の 重 要 性 が 高 ま っ て い る 表 れ だ と 推 測 さ れ る 。
3 . 3 . 日 本 企 業 の 円 安 対 応 策 の 実 態
日 本 企 業 に お け る 実 態 に つ い て 新 聞 報 道 を 中 心 に 見 て い く 。
① 国 内 生 産 回 帰
電 機 や 自 動 車 な ど の 製 造 業 は 円 高 の 進 行 に 対 応 し 海 外 に 生 産 拠 点 を 移 し て き た が 、 円 安 の 長 期 化 で 一 部 に 国 内 生 産 へ の 回 帰 が 見 ら れ た 。 J V C ケ ン ウ ッ ド は マ レ ー シ ア で の 高 級 ホ ー ム オ ー デ ィ オ の 生 産 か ら 撤 退 し 、 国 内 市 場 の 販 売 比 率 が 大 き い 分 野 を 中 心 に 国 内 生 産 へ の 回 帰 を 進 め て い る2。パ イ オ ニ ア は 国 内 市 場 向 け 市 販 用 カ ー ナ ビ の 生 産 を タ イ か ら 国 内 に 移 す 。ホ ン ダ も メ キ シ コ や 英 国 か ら 主 力 小 型 車 フ ィ ッ ト の 生 産 を 国 内 に 戻 し 、 輸 出 比 率 を 1 割 弱 に ま で 上 げ る 方 針 で あ る3。但 し こ れ ら 動 き は 一 部 の 製 品 に 限 ら れ る よ う で あ る 。
② 価 格 転 嫁 ( パ ス ス ル ー )( 内 需 型 国 内 販 売 価 格 値 上 げ )
内 需 型 企 業 に は 輸 入 コ ス ト の 増 加 を 国 内 価 格 に 転 嫁 す る 動 き も あ る4。山 崎 製 パ ン は 7 月 に パ ン を 2 年 ぶ り に 値 上 げ す る 。 小 麦 粉 な ど の 原 材 料 コ ス ト が 前 期 よ り 円 安 の た め 30 億 円 程 度 ま で 膨 ら む 見 通 し に な っ た 。 フ ァ ー ス ト リ テ イ リ ン グ は 円 安 や 原 材 料 高 を 理 由 に 15 年 の 秋 冬 商 品 で 2年 連 続 と な る 値 上 げ を 決 め た 。
③ 価 格 転 嫁 ( パ ス ス ル ー )( 輸 出 型 外 貨 建 て 輸 出 現 地 価 格 の 引 き 下 げ )
海 外 で の 販 売 戦 略 と し て シ ェ ア 拡 大 を 目 指 し 外 貨 建 て の 現 地 価 格 を 引 き 下 げ る 輸 出 企 業 が 出 て き た5。こ れ ま で は 値 下 げ せ ず 利 幅 の 確 保 を 優 先 し て き た 自 動 車 や 電 気 機 械 な ど の 一 部 メ ー カ ー が 、 戦 略 を 転 換 し て い る 。 過 去 の 円 安 局 面 と 異 な り 今 回 は 円 安 の 初 期 段 階 で 、 企 業 は 輸 出 品 の 値 下 げ に よ る シ ェ ア ー 拡 大 に 動 か ず 収 益 改 善 を 優 先 し た 。
高 付 加 価 値 品 の 輸 出 を 増 や し て き た 自 動 車 メ ー カ ー な ど で も 同 様 。 し か し 、 円 安 が 長 く 続 い た こ と で 、 利 幅 優 先 の 企 業 の 姿 勢 は 変 わ り 始 め て い る 。 三 菱 電 機 は 外 貨 ベ ー ス の 値 下 げ は シ ェ ア 奪 還 に 向 け た 営 業 戦 略 の 一 つ と し 、 パ ワ ー 半 導 体 な ど で 値 下 げ す る 。 輸 出 物 価 指 数( 契 約 通 貨 べ ー ス )を み る と 、小 型 乗 用 車 は 2013年 11月 頃 か ら 長 ら く 107、 108近 辺 に ほ ぼ 安 定 し て い た が 2015 年 4月 か ら 7月 頃 ま で 約 103に 落 ち 込 ん で い る6。 自 動 車 を 筆 頭 に 携 帯 電 話 な ど 通 信 装 置 や 半 導 体 メ モ リ ー な ど も 下 落 し て い る 。
④ 為 替 予 約
フ ァ ー ス ト リ テ イ リ ン グ は 、2015 年 8月 期 有 価 証 券 報 告 書 に よ る と 、2016年 8月 期 は 1ド ル =95 円 11 銭 の 平 均 レ ー ト で 36 億 ド ル を 予 約 し て い る7。 同 社 は 大 半 の 商 品 を 輸 入 し て い る た め 、 商 品 仕 入 れ 額 の 約9割 を 為 替 予 約 し て い る 。 期 間 と し て は 、3年 程 度
2日 本 経 済 新 聞 2015年5 月21 日
3同 上 2015 年 6月 3日
4同 上 2015年 6月 3日
5同 上 2015年 7月 6日
6 日 本 銀 行 輸 出 物 価 指 数 2010年 基 準
7 日 本 経 済 新 聞 2015年 11月 28日
先 ま で 為 替 予 約 し て い る 。
商 品 の 約 9割 を ベ ト ナ ム な ど 海 外 で 生 産 す る ニ ト リ ホ ー ル デ ィ ン グ は 、対 ド ル で 1 円 の 円 安 が 営 業 利 益 を 年 間 約 15億 円 押 し 下 げ る 。 こ の た め 、16年 2月 期 は 1 ド ル =101円 強 、17 年 2月 期 は 108円 強 で 為 替 予 約 を 実 施 し て い る 。 一 方 、 エ ー ビ ー シ ー ・ マ ー ト は 為 替 予 約 を し て い な い 。 青 山 商 事 も か つ て 多 額 の デ リ バ テ ィ ブ 評 価 損 を 計 上 し た 経 緯 か ら 、 新 た な 為 替 予 約 を 控 え て い る 。
3 . 4 . 円 高 局 面 で の 対 応
① ナ チ ュ ラ ル ヘ ッ ジ な ど
日 立 製 作 所 は ド ル や ユ ー ロ を 主 体 と す る 外 貨 建 て 資 金 の 半 分 を 半 年 先 ま で 為 替 予 約 し て い る 。 ソ ニ ー も 決 済 代 金 の 3力 月 分 程 度 を 為 替 予 約 。
N T N は ナ チ ュ ラ ル ヘ ッ ジ を 導 入 し た8。外 貨 建 て の 手 元 現 預 金 を あ ら か じ め 増 や し て お き 外 貨 建 て 債 務 と 資 産 が い つ で も 同 規 模 に 調 整 で き る よ う に 目 指 す 。 ナ チ ュ ラ ル ヘ ッ ジ は 現 預 金 を 手 厚 く す る だ け な の で 手 数 料 は か か ら な い 。
例 え ば 円 安 ・ ド ル 高 が 進 む と 、 円 換 算 し た ド ル 建 て 債 務 は 膨 ら む が 、 そ の 前 に 積 ん で お い た ド ル 建 て の 手 元 現 預 金 に よ っ て 資 産 も 同 様 に 膨 ら む た め 、 業 績 面 で 為 替 変 動 の 影 響 を 相 殺 で き る 。 ナ チ ュ ラ ル ヘ ッ ジ は 普 段 は 使 わ な い 現 預 金 を 増 や す 手 法 の た め 、 資 金 効 率 の 悪 化 に つ な が る と の 批 判 も あ る 。 N T N は 従 来 の 為 替 予 約 と 組 み 合 わ せ て 活 用 す る 。
② リ ー ズ ア ン ド ラ ッ グ ズ な ど
テ ル モ は グ ル ー プ 内 の 資 金 回 収 の 効 率 化 を 進 め 海 外 子 会 社 に 製 品 を 販 売 し た 際 に は 売 掛 金 の 回 収 期 間 を 従 来 よ り 数 十 日 間 ほ ど 短 縮 し 、 為 替 差 損 の 発 生 を 抑 え る 。 子 会 社 へ の 資 金 供 給 は 貸 し 付 け か ら 出 資 に 切 り 替 え る9。
3 . 5 . 新 興 国 通 貨 の 問 題
リ ー マ ン シ ョ ッ ク 以 降 、 日 本 企 業 の 新 興 国 へ の 事 業 進 出 が 一 層 進 み 、 自 動 車 、 電 機 、 精 密 機 械 な ど の 主 力 輸 出 企 業 で は 、 新 興 国 通 貨 の 変 動 に よ っ て 業 績 が 大 き く 影 響 す る よ う に な っ て き た 。 新 興 国 通 貨 安 に よ り 、 新 興 国 通 貨 建 て の 売 上 高 と 利 益 が 連 結 後 の 円 換 算 で 減 少 す る 。 ま た 現 地 通 貨 建 て の 外 貨 資 産 が 通 貨 安 で 下 落 し 為 替 差 損 を 発 生 さ せ る 。
上 場 企 業 の 2016 年 3 月 期 は 、新 興 国 の 通 貨 安 が 業 績 に 悪 影 響 を 与 え る10。ト ヨ タ 自 動 車 は 、 ロ シ ア ル ー ブ ル 、 豪 ド ル の 下 落 が 利 益 を 目 減 り さ せ る 。 ホ ン ダ も レ ア ル な ど の 影 響 あ り 。 ダ イ キ ン 工 業 は タ イ バ ー ツ や 人 民 元 な ど の 通 貨 安 が 営 業 減 益 要 因 に な る 。 日 本 た ば こ 産 業 は ル ー ブ ル な ど の 通 貨 が 対 ド ル で 下 落 す る の が 響 き 15年 12月 期 の 海 外 の た ば こ 事 業 の 営 業 利 益 は 14% の 減 少 を 見 込 む 。
8 日 本 経 済 新 聞 2016年 10月 5日
9 同 2016年 10月 7日
10 同 2015年 5月 20日
マ ツ ダ も 為 替 リ ス ク が 多 様 化 し て い る11。 メ キ シ コ 工 場 で の 生 産 が 増 え 日 本 か ら の 対 米 輸 出 が 減 少 す る 一 方 、 メ キ シ コ 工 場 は 取 引 が ド ル ベ ー ス の た め 対 ド ル の 為 替 変 動 の 影 響 は 受 け な い 。 し か し 、 カ ナ ダ や オ ー ス ト ラ リ ア 、 欧 州 向 け の 輸 出 が 増 加 、 対 豪 ド ル で 1円 動 い た 場 合 の 影 響 額 は 約 25 億 円 、 同 じ く ユ ー ロ が 約 18 億 円 、 カ ナ ダ ド ル が 約 15 億 円 と な っ て い る 。
こ の よ う な 動 き を 受 け て 、 企 業 は 新 興 国 通 貨 安 へ の 対 応 を 急 い で い る12。 例 え ば ユ ニ ・ チ ャ ー ム は 16年 12月 期 、イ ン ド ネ シ ア や ブ ラ ジ ル な ど 新 興 国 の 子 会 社 に 対 す る ド ル 建 て 親 会 社 貸 付 の 一 部 を 資 本 金 に 振 り 替 え る 。 現 地 通 貨 が 対 ド ル で 下 落 す る と 、 ド ル 建 て 負 債 を 持 つ 子 会 社 の 返 済 負 担 が 増 加 す る 一 方 、 現 地 で の 売 り 上 げ が 現 地 通 貨 の 場 合 、 返 済 の 原 資 が 不 足 す る 。 返 済 負 担 の な い 資 本 金 に 切 り 替 え れ ば 現 地 企 業 の 資 金 繰 り は 楽 に な る 。 ま た 現 地 工 場 の 原 材 料 は ド ル 建 て で 輸 入 す る こ と も 多 く 、現 地 通 貨 建 て で は 支 払 額 も 増 加 し 、 新 興 国 通 貨 安 は 現 地 企 業 に と っ て 大 き な 負 担 と な る 。
取 引 を 現 地 通 貨 建 て に 変 更 す る 企 業 も あ る 。 富 士 フ イ ル ム ホ ー ル デ イ ン グ ス は ブ ラ ジ ル な ど の 子 会 社 に 対 す る 貸 し 付 け を ド ル 建 て か ら レ ア ル な ど 現 地 通 貨 建 て に 切 り 替 え る 。 京 セ ラ は 中 国 国 内 で 人 民 元 建 て の 取 引 を 拡 大 し て い る 。 仕 入 と 販 売 の 両 方 を 従 来 の ド ル 建 て が 中 心 か ら 、 人 民 元 建 て に し て 為 替 リ ス ク を 抑 え る 。
花 王 は 、子 会 社 へ の 貸 付 金 の レ ー ト を す べ て 予 約 し ヘ ッ ジ し て い る 。14 年 稼 働 し た イ ン ド ネ シ ア の 紙 お む つ 工 場 に 対 す る 設 備 投 資 資 金 の 貸 付 金 を 対 象 と す る 。
① 負 債 を 資 本 に 切 り 替 え
ユ ニ ・ チ ャ ー ム ・ ・ ・ ・ 子 会 社 へ の ド ル 建 て 貸 付 金 を 資 本 金 に 切 り 替 え 横 浜 ゴ ム ・ ・ ・ ・ ロ シ ア 子 会 社 を 約 20 億 円 増 資 し 、 借 入 金 返 済 に 充 当 ヨ ロ ズ ・ ・ ・ ・ イ ン ド な ど 3力 国 の 子 会 社 で 借 入 金 を 全 額 資 本 金 に
② 現 地 通 貨 建 て で 取 引
富 士 フ イ ル ム ・ ・ ・ ・ ブ ラ ジ ル 子 会 社 の 借 入 金 を ド ル 建 て か ら レ ア ル 建 て に 京 セ ラ ・ ・ ・ ・ ド ル 建 て が 中 心 だ っ た 中 国 で 人 民 元 建 て 取 引 を 拡 大
③ 為 替 予 約 な ど
花 王 ・ ・ ・ ・ 子 会 社 へ の 貸 付 金 を 全 額 為 替 予 約 ミ ネ ベ ア ・ ・ ・ ・ 為 替 予 約 の 期 間 を 最 長 3 年 間 に 延 長
ア ス テ ラ ス ・ ・ ・ ・ ロ シ ア 子 会 社 か ら の 債 権 回 収 期 間 の 短 縮 を 検 討
自 動 車 部 品 メ ー カ ー が 新 興 国 通 貨 の 想 定 為 替 レ ー ト を 相 次 ぎ 公 表 し て い る13。 完 成 車 大 手 の 新 興 国 展 開 に 伴 い 、 現 地 に 進 出 す る 国 々 が 増 え 新 興 国 通 貨 の 動 向 が 業 績 に 与 え る 影 響 が 大 き く な っ て い る 。 油 圧 機 器 メ ー カ ーKYB は 、2017 年 3月 期 の 通 期 見 通 し か ら 中 国 ・ 人 民 元 や タ イ ・ バ ー ツ 、 ロ シ ア ・ ル ー ブ ル の 想 定 為 替 レ ー ト を 開 示 し 始 め た 。
11 同 2016年 3月 5日
12 同 2016年 3月 12日
13 日 本 経 済 新 聞 2016年 9月 1日
ト ヨ タ 紡 織 も 人 民 元 や バ ー ツ を 公 表 し 始 め た 。ヨ ロ ズ は ド ル 以 外 に ブ ラ ジ ル や メ キ シ コ 、 イ ン ド ネ シ ア な ど 主 要 子 会 社 が あ る 国 の 6通 貨 の 想 定 為 替 レ ー ト を 開 示 対 象 と し て い る 。
4 個別企業における為替リスク管理のケース
日 本 企 業 の 為 替 リ ス ク 管 理 に つ い て は 、 伊 藤 他 の ア ン ケ ー ト 調 査[8] 結 果 の 概 要 を 受 け て 「 国 際 ビ ジ ネ ス フ ァ イ ナ ン ス 研 究 会 」 と し て 個 別 に ヒ ア リ ン グ を 始 め て い る 。 今 後 社 数 を 増 や す 意 向 で あ る が 、 取 り あ え ず 個 人 的 な 調 査 も 含 め 伊 藤 ほ か の 「 結 果 」 を 検 証 し て い く 。
結 果 1 . 日 本 企 業 の 貿 易 取 引 に お い て 、 イ ン ボ イ ス 通 貨 と 決 済 通 貨 は 同 一 通 貨 が 用 い ら れ て い る 。
常 識 的 に 両 者 は 通 常 同 一 で あ り 、 イ ン ボ イ ス 通 貨 が 入 手 で き な い な ど の 事 情 が あ る 場 合 だ け 発 生 す る 。 輸 出 先 の 新 興 国 通 貨 が イ ン ボ イ ス 通 貨 と な っ た 場 合 、 規 制 が 強 く 新 興 国 の 国 外 で 決 済 が で き な い た め 、 や む を 得 ず 円 や ド ル で 決 済 す る こ と も あ る 。 ま た 、 反 対 に 新 興 国 の 一 部 に お い て イ ン ボ イ ス 通 貨 の ハ ー ド カ レ ン シ ー が 不 足 し て い る と き 、 ま た そ の 入 手 に き わ め て 高 い コ ス ト が 発 生 す る と き な ど 現 地 通 貨 で 支 払 わ れ る こ と も あ る 。
結 果 2 . 日 本 企 業 は 平 均 3 種 類 の 外 国 通 貨 を 貿 易 取 引 上 取 り 扱 っ て お り 、 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い ほ ど 取 り 扱 わ れ る 外 国 通 貨 数 は 多 い 。
一 般 に 企 業 規 模 が 大 き く 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い 企 業 は 多 国 籍 化 が 進 ん で い る の で 、 新 興 国 通 貨 の 関 与 も 頻 繁 で こ れ も ま た 当 然 の 結 果 で あ る 。 貿 易 外 の イ ン ボ イ ス 通 貨 で は 3 種 類 を か な り 上 回 る 。
結 果 3 . 先 進 国 通 貨 は 為 替 変 動 の 大 き さ 、 ア ジ ア 通 貨 は 規 制 の 存 在 が 、 日 本 企 業 の 為 替 リ ス ク 管 理 上 の 障 害 と な っ て い る 。
現 在 の 国 際 通 貨 市 場 は 米 国 FRB の 金 融 政 策 に 大 き く 影 響 さ れ る の み な ら ず 、 国 際 政 治 の 地 政 学 的 リ ス ク に 対 し 脆 弱 な た め ド ル を 中 心 と し て 変 動 が 大 き く 、 予 測 が 極 め て 難 し い 。 こ の 点 は 為 替 リ ス ク 管 理 上 の 最 大 の 問 題 点 で あ る 。 ま た 人 民 元 な ど ア ジ ア 通 貨 を 始 め と し て 新 興 国 通 貨 に つ い て は 依 然 規 制 が 多 い の も 事 実 で あ る 。 ま た 新 興 国 通 貨 に つ い て は ヘ ッ ジ コ ス ト や 外 為 手 数 料 が 高 く 為 替 ヘ ッ ジ の 実 行 を 阻 害 し て い る 。
結 果 4 . 日 本 企 業 の 約 4 分 の 3 が 為 替 市 場 を 通 じ た 何 ら か の ヘ ッ ジ 手 段 を 利 用 し 、 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い ほ ど 、 複 数 の ヘ ッ ジ 手 段 に よ っ て 為 替 リ ス ク 管 理 を 行 っ て い る 。
一 部 中 小 企 業 や 商 社 経 由 の 輸 出 を 行 う 企 業 を 除 き 、 ほ ぼ 大 多 数 の 企 業 が 輸 出 予 約 を 中 心 に リ ス ク ヘ ッ ジ を 実 行 し て い る 。 期 間 は 3 か 月 が 中 心 で 、 貿 易 取 引 額 の す べ て 全 額 を ヘ ッ ジ す る 会 社 も あ る が 、 予 約 比 率 を 情 勢 に 応 じ て 弾 力 的 に 調 整 す る 会 社 の ほ う が 多 い 。 特 定 の プ ロ ジ ェ ク ト や 子 会 社 の 設 備 資 金 対 応 の 投 融 資 に つ い て は 長 期 の ヘ ッ ジ を 行 う こ と も あ る 。 通 貨 金 利 ス ワ ッ プ や オ プ シ ョ ン の 利 用 に つ い て も 今 後 の 研 究 テ ー マ で あ る が 、 オ プ シ
ョ ン は コ ス ト 面 か ら の 制 約 が 大 き く 、 む し ろ オ プ シ ョ ン を 売 る 銀 行 サ イ ド の 営 業 姿 勢 が そ の 利 用 度 を 左 右 す る 面 は 否 め な い 。 特 に 中 小 中 堅 企 業 に お い て は そ う で あ る 。
結 果 5 . 約 半 分 の 日 本 企 業 に 為 替 リ ス ク ヘ ッ ジ の 割 合 に 関 す る 社 内 ル ー ル が 存 在 し 、 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い ほ ど 、 社 内 ル ー ル が 存 在 す る 企 業 の 割 合 は 高 い 。
あ る 程 度 の 企 業 に な れ ば 、 多 く の 経 営 者 が 為 替 リ ス ク に 関 し て ま ず 検 討 す る の が 、 利 益 に 影 響 す る 会 計 的 リ ス ク に つ い て で あ る 。 し た が っ て 上 場 企 業 な ど で は 当 然 の こ と な が ら 為 替 リ ス ク に 対 し 基 本 的 に ヘ ッ ジ す る ル ー ル も 定 め て い る 。 ま た 営 業 外 の 為 替 差 損 に つ い て も マ リ ー な ど も 考 慮 す る 。 為 替 換 算 調 整 勘 定 に つ い て は 円 高 に な る つ ど 議 論 さ れ て き た が 、 日 本 企 業 で は 具 体 策 に つ い て 本 格 的 な 検 討 に は 未 だ 至 っ て い な い 。
結 果 6 .日 本 企 業 の 約 4 割 が 為 替 リ ス ク 管 理 手 法 と し て マ リ ー 及 び ネ ッ テ ィ ン グ を 採 用 し 、 規 模 が 大 き い ほ ど 、 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い ほ ど 、 そ の 割 合 は 高 い 。
マ リ ー や ネ ッ テ ィ ン グ に つ い て は 多 国 籍 企 業 の 多 く が 具 体 的 な 対 応 を し て い る 。 結 果 7 . 半 数 以 上 の 日 本 企 業 が 現 地 法 人 毎 に 為 替 リ ス ク 管 理 を 行 う 体 制 を 採 っ て い る 。
現 地 法 人 毎 に 管 理 を 行 う 体 制 が い ま だ 中 心 。 管 理 の 一 極 集 中 や フ ィ ナ ン シ ャ ル セ ン タ ー は 一 部 大 企 業 に 限 る 。
結 果 8 . 多 く の 日 本 企 業 は 大 幅 な 為 替 変 動 を 輸 出 先 の 販 売 価 格 に 反 映 さ せ て い な い 。 た だ し 、 事 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 海 外 売 上 高 比 率 が 高 い ほ ど 、 反 映 さ せ る 企 業 の 割 合 は 高 い 。
こ れ は 価 格 転 嫁 に 関 連 す る 極 め て 重 大 な 結 果 で あ る 。 基 本 的 に 日 本 企 業 は PTM 行 動 を と る た め 外 貨 建 て 輸 出 価 格 を 安 定 的 に 保 つ 。 一 般 的 に 、 大 幅 な 為 替 変 動 を 輸 出 先 の 販 売 価 格 に 反 映 さ せ る か ど う か 、 あ る い は 反 映 が 可 能 か ど う か に つ い て は 当 該 企 業 の 価 格 転 嫁 力 、 即 ち 製 品 の 国 際 競 争 力 に か か っ て お り 、 高 度 な 経 営 判 断 と な る も の と 思 わ れ る 。 ま た 価 格 転 嫁 を 行 う 上 で も 日 本 企 業 の 場 合 長 期 の 取 引 関 係 を 考 え て 急 激 な 価 格 改 定 は と ら な い も の と 思 わ れ る 。 ま た 一 部 企 業 で は 国 際 競 争 力 の 強 い 製 品 に つ い て は 円 建 て で 販 売 し て い る 。 結 果 9 . 日 本 か ら の 輸 出 総 額 の 大 半 は 円 建 て 取 引 と 米 ド ル 建 て 取 引 で あ り 、 次 い で ユ ー ロ 建 て 取 引 が 用 い ら れ て い る 。 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 円 建 て シ ェ ア は 低 く 、 米 ド ル 建 て 、 ユ ー ロ 建 て 、 そ の 他 通 貨 建 て シ ェ ア は 高 い 。
日 本 の 基 幹 産 業 で あ る 自 動 車 産 業 と 電 機 産 業 の 主 た る 最 終 輸 出 国 で あ る 米 国 の 通 貨 が 、 生 産 拠 点 で あ る 東 ア ジ ア 企 業 に お い て も 統 一 通 貨 と し て 利 用 さ れ て い る こ と が 大 き い 。 新 興 国 通 貨 も 前 述 の と お り 増 加 し て い る 。
結 果 10.日 本 か ら 米 国 及 び ユ ー ロ 圏 向 け 輸 出 に お い て は 、概 ね 相 手 国 通 貨 が 選 択 さ れ て い る 。 そ の 他 の 先 進 国 向 け で も 、 相 手 国 通 貨 は 円 に 次 い で 選 択 さ れ て い る 。 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 円 建 て シ ェ ア は 低 く 、 相 手 国 通 貨 建 て 及 び 米 ド ル 建 て シ ェ ア は 高 い 。
ほ ぼ 結 果 通 り と 思 わ れ る が 、 ア ジ ア 向 け 輸 出 に お い て 競 争 力 の あ る 製 品 や 素 材 は 一 部 円 取 引 が 行 わ れ て い る 。
結 果 11.日 本 か ら ア ジ ア 各 国 向 け 輸 出 に お い て は 、円 と 米 ド ル が 選 択 さ れ て い る 。ア ジ ア
各 国 通 貨 は ほ と ん ど 選 択 さ れ て い な い 。 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 円 建 て シ ェ ア は 低 く 、 相 手 国 通 貨 建 て 及 び 米 ド ル 建 て シ ェ ア は 高 い 。
一 層 の 調 査 を 行 う 。
結 果 12.日 本 か ら の 主 要 な 輸 出 相 手 先 国・地 域 向 け 輸 出 に お い て は 、企 業 内 貿 易 取 引 の 割 合 は 50% 超 に 達 す る 。 企 業 規 模 が 大 き い ほ ど 、 輸 出 に お け る 企 業 内 取 引 の 割 合 は 大 き い 。 企 業 間 貿 易 で は 、 資 本 関 係 の な い 現 地 の 代 理 店 向 け 輸 出 の シ ェ ア が 最 大 で あ る 。
ほ ぼ 結 果 通 り 。 企 業 間 貿 易 で は 、 商 社 経 由 も 多 い 。
結 果 13.日 本 か ら 先 進 国・地 域 向 け の 企 業 内 取 引 に お い て は 相 手 国 通 貨 が 最 も 選 択 さ れ て い る 。 日 本 か ら ア ジ ア 各 国 ・ 地 域 向 け の 企 業 取 引 に お い て は 相 手 国 通 貨 は 殆 ど 選 択 さ れ て い な い 。
結 果 通 り 。日 本 か ら ア ジ ア 各 国 ・地 域 向 け の 企 業 内 取 引 に お い て は ド ル な い し 円 が 最 も 多 い 。
結 果 14. 企 業 内 取 引 よ り も 企 業 間 取 引 に お い て は 円 建 て 取 引 の シ ェ ア が 顕 著 に 高 い 。 詳 細 不 明 。 一 層 の 調 査 が 必 要 。
結 果 15.生 産 拠 点 か ら 現 地 市 場 へ の 販 売 に お い て は 、ほ ぼ 現 地 通 貨 が 取 引 通 貨 と し て 使 用 さ れ て い る 。
結 果 16.ア ジ ア の 生 産 拠 点 か ら 第 三 国 向 け 輸 出 に お い て は 、米 ド ル が イ ン ボ イ ス 通 貨 と し て 利 用 さ れ て い る 。
い ず れ の 結 果 と も 妥 当 な も の 。
5 課題とまとめ
こ の 研 究 ノ ー ト で は 会 計 的 リ ス ク を 中 心 に 為 替 リ ス ク を 検 討 し た 。 為 替 リ ス ク 管 理 に つ い て は ま だ 研 究 半 ば で あ り 、 最 終 的 な 結 論 に 至 る に は ま だ 時 間 を 要 す る の で 、 こ こ で は 暫 定 的 な 課 題 を 以 下 に い く つ か 列 挙 す る こ と に よ っ て 当 面 の ま と め と し 、 次 回 報 告 ま で 引 き 続 き 研 究 を 継 続 す る こ と と し た い 。
会 計 的 リ ス ク と 経 済 的 リ ス ク
円 高 シ ョ ッ ク が 企 業 価 値 に 与 え る 影 響 に つ い て 、 最 近 で は 他 の 需 要 シ ョ ッ ク や 石 油 価 格 シ ョ ッ ク な ど と 比 較 す れ ば 低 下 し て い る と の 指 摘 も あ る が 、 今 回 の 調 査 で は 、 為 替 変 動 、 特 に 円 高 が 日 本 企 業 の 会 計 上 の 業 績 に 与 え る 影 響 、 即 ち 会 計 的 リ ス ク が 依 然 と し て 大 き い こ と が 判 明 し た 。
会 計 的 リ ス ク と は 、 為 替 変 動 が 比 較 的 予 測 可 能 な 1 年 程 度 先 を 展 望 す る 決 算 に 影 響 を 与 え る も の と 考 え る が 、 一 方 経 済 的 リ ス ク と は 現 在 並 び に 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 、 即 ち 企 業 価 値 に 影 響 を 与 え る も の と そ の 違 い を 理 解 で き る 。
し か し な が ら 、 両 者 の 差 異 が 時 間 軸 と と も に 希 薄 化 し 一 体 化 す る こ と に よ り 現 実 に は 両 者 を 明 確 に 区 別 し て 捉 え る こ と は 極 め て 難 し い 。 急 激 な 為 替 の 変 動 が 発 生 す る と 即 座 に 直
後 の 四 半 期 決 算 、更 に そ の 次 の 四 半 期 に 反 映 さ れ る こ と が 予 想 さ れ る 。具 体 的 に は 売 上 高 、 営 業 利 益 、 営 業 外 損 益 及 び 純 資 産 ( 外 貨 換 算 調 整 勘 定 ) に 影 響 を 与 え る 。
売 上 高 と 営 業 利 益 は 即 座 に キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に 影 響 し 直 接 的 に 経 済 的 リ ス ク と 関 連 す る 。 更 に 為 替 差 損 益 中 、 評 価 損 益 も 対 象 資 産 ・ 負 債 が そ の 価 値 を 変 動 さ せ て い る 事 実 を 決 算 時 点 で 認 識 す る も の で あ る か ら 、 そ れ は 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 を 示 し て い る も の と も 解 釈 で き 、 経 済 的 リ ス ク と 関 連 す る 。 ま た 外 貨 換 算 調 整 勘 定 は 、 決 算 日 レ ー ト 法 に よ れ ば 既 存 の 海 外 直 接 投 資 残 高 の 時 価 を 円 で 評 価 す る た め の 調 整 勘 定 と 言 え る の で 、 も し 減 少 し て い る な ら ば 円 投 資 額 が 減 価 、 も し 増 加 し て い る な ら 投 資 価 値 が 増 加 し て い る こ と に な る 。
こ の よ う に 会 計 的 リ ス ク も 現 在 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー に も 影 響 し 、 ま た 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 反 映 し た 企 業 価 値 と も 関 連 す る 。 今 回 の 研 究 ノ ー ト で は 新 聞 な ど 公 表 資 料 を 基 に し た 会 計 的 リ ス ク を 中 心 と し た が 、 経 済 的 リ ス ク と 会 計 的 リ ス ク と の 区 別 に つ い て 両 者 を 明 確 に 区 別 す る よ り 、 む し ろ 両 者 は 密 接 に 関 連 す る も の と 考 え る 。 経 済 的 リ ス ク を 財 務 諸 表 に 反 映 し た も の が 会 計 的 リ ス ク と 考 え て も い い の で は な か ろ う か 。
イ ン ボ イ ス 通 貨 政 策
イ ン ボ イ ス 通 貨 が 円 建 て で あ れ ば 、 大 き な 為 替 変 動 で も し ば ら く の 間 は 事 業 業 績 に 影 響 を 与 え な い 。 為 替 の 変 動 を 受 け て 取 引 条 件 改 定 の 交 渉 を 行 う ま で の 間 は 全 く 影 響 し な い 。 し た が っ て 、短 期 的 に は 為 替 リ ス ク ヘ ッ ジ の 最 善 の 手 段 は 円 建 て イ ン ボ イ ス の 追 求 で あ る 。 し か し 日 本 の 場 合 、 歴 史 的 ・ 政 治 的 ・ 軍 事 的 理 由 か ら ド ル 経 済 圏 に 深 く 密 接 に 組 み 込 ま れ て き た こ と に 加 え 、 ア ジ ア で 築 い た 生 産 拠 点 の 多 く も 対 米 貿 易 に 向 け て 構 築 さ れ た も の で あ り 、 ド ル イ ン ボ イ ス 以 外 の 選 択 の 余 地 は 少 な く し か も 合 理 的 な も の で あ っ た 。 ま た 世 界 的 多 国 籍 企 業 に よ っ て 構 築 さ れ て い る SCM も ド ル 決 済 が 主 流 で あ る 。
日 本 企 業 は イ ン ボ イ ス 通 貨 の 特 異 な パ タ ー ン で よ く 知 ら れ て お り 、 先 進 国 と し て は 過 度 に ド ル 依 存 し て い る 。 日 本 は 、 米 国 や EU の よ う な 国 へ の 輸 出 に 際 し 輸 入 国 の 通 貨 を 選 択 す る 強 い 傾 向 が あ り 、 ま た 、 ア ジ ア へ の 輸 出 で も ド ル が 一 般 的 で あ る 。
し か し 日 本 企 業 の 内 で 高 度 に 差 別 化 さ れ た 輸 出 製 品 を 持 ち 、 国 際 的 に 高 い 市 場 シ ェ ア を 保 持 し て い る 企 業 は 、 円 建 て が 可 能 で あ る 。 イ ン ボ イ ス 通 貨 の 選 択 は 複 雑 か つ 難 し い 問 題 で あ る が 、 次 の 価 格 転 嫁 ( パ ス ス ル ー ) を は じ め 他 の リ ス ク 管 理 手 段 と と も に 検 討 さ れ る べ き も の で あ る 。 イ ン ボ イ ス 通 貨 の 選 択 は 日 本 企 業 の 為 替 リ ス ク 管 理 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 。
価 格 転 嫁 政 策 の 問 題
為 替 レ ー ト の 変 動 に 対 し 、 価 格 を 改 定 す る か ど う か 、 ま た ど の 程 度 頻 繁 に 行 う か も 為 替 リ ス ク 管 理 に 影 響 す る 。 も し 、 企 業 が 利 益 水 準 を 維 持 す る た め に 価 格 を 一 方 的 に 改 定 で き る 競 争 力 が あ れ ば 業 績 に は 大 き な 影 響 を 与 え な い 。 為 替 リ ス ク 管 理 の 有 効 性 は 前 述 の イ ン
ボ イ ス 通 貨 の 選 択 及 び 為 替 レ ー ト の 転 嫁 と 強 く 結 び つ い て い る 。
企 業 が 為 替 の 変 化 に 対 応 し て 価 格 転 嫁 が 可 能 か 否 か 、 ま た ど の 程 度 の 頻 度 で 変 更 可 能 か に つ い て は 円 の 急 変 に 対 す る 企 業 の 国 際 競 争 力 い か ん に よ る 。 も し 企 業 が 世 界 の 同 業 他 社 に 比 較 し 差 別 的 優 位 性 が 強 く 、 円 ベ ー ス で 安 定 し た 利 益 を 維 持 す る た め に 外 貨 建 て 輸 出 価 格 を 弾 力 的 に 変 更 で き る の で あ れ ば 、 為 替 の 変 動 が 企 業 業 績 に 大 き な 影 響 を 与 え な い 。 勿 論 国 際 競 争 力 の 強 い 製 品 で あ っ て も 長 期 的 に は 販 売 量 が 価 格 の 弾 力 性 に 応 じ て そ れ な り に 増 減 す る 。
日 本 の 輸 出 企 業 は 、 為 替 レ ー ト が 大 き く 変 化 し て も 外 貨 建 て 現 地 価 格 を す ぐ に 改 定 せ ず 一 定 に 保 つ PTM( Pricing-to-Market)行 動 を と っ て き た 。基 本 的 に は 取 引 先 と の 長 期 的 取 引 関 係 を 重 視 す る 戦 略 を 反 映 し た も の と 思 わ れ る 。 海 外 現 地 法 人 に 為 替 リ ス ク を 負 わ せ な い た め 、 先 進 国 向 け 輸 出 に お い て 現 地 通 貨 建 て 取 引 を 、 東 ア ジ ア 向 け 輸 出 に お い て 米 ド ル 建 て 取 引 を 選 択 す る こ と に よ っ て 販 売 価 格 を 安 定 さ せ る 行 動 を 採 用 し て い る 。
為 替 リ ス ク ヘ ッ ジ
Ito et al. [9] は 、 日 本 企 業 に つ い て 為 替 リ ス ク ヘ ッ ジ ( 金 融 及 び 営 業 ヘ ッ ジ )、 建 値 ( イ ン ボ イ ス 通 貨 ) 及 び 価 格 改 定 政 策 ( 価 格 転 嫁 ) が 為 替 リ ス ク に ど の よ う に 影 響 を 与 え る か に 関 す る 実 態 調 査 を 行 い 、 報 告 書 を ま と め て い る 。
調 査 に よ れ ば 、 海 外 市 場 依 存 度 の 高 い 企 業 は 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー が 高 い こ と 、 イ ン ボ イ ス 通 貨 が ド ル 建 て に な る ほ ど 為 替 エ ク ス ポ ー ジ ャ ー は 増 え る が 金 融 ・ 営 業 ヘ ッ ジ に よ り エ ク ス ポ ー ジ ャ ー は 減 少 す る こ と 、 円 建 て は エ ク ス ポ ー ジ ャ ー を 減 少 さ せ る こ と の 3 点 が 結 論 と し て 得 ら れ た 。 日 本 企 業 は 為 替 リ ス ク に 対 し 、 イ ン ボ イ ス 通 貨 に 応 じ て 金 融 ・ 営 業 ヘ ッ ジ 政 策 と 価 格 改 定 政 策 を 考 慮 し て い る 。
Pantzalis et al. [10] は米 国 の 多 国 籍 企 業 に つ い て 営 業 リ ス ク ヘ ッ ジ が 外 国 為 替 リ ス ク 管 理 に 及 ぼ す 影 響 を 調 べ て い る 。 多 国 籍 企 業 の 海 外 事 業 の ネ ッ ト ワ ー ク を 示 す 変 数 ( 広 が り と 深 さ な ど ) を 計 測 す る こ と に よ り 、 企 業 の 営 業 ヘ ッ ジ を 構 築 す る 能 力 が 判 明 す る 。 営 業 ヘ ッ ジ が 進 展 し 、 広 が り の あ る 会 社 は 営 業 リ ス ク が 低 く 、 一 方 深 さ の あ る 企 業 は 営 業 リ ス ク が よ り 大 き い と い う 妥 当 な 結 論 が 得 ら れ た 。
Allayannis et al. [11] は 、為 替 リ ス ク 管 理 に お け る 金 融 ヘ ッ ジ と 営 業 ヘ ッ ジ の 関 係 を 調 査 し て い る 。 従 来 の 研 究 で は 金 融 ヘ ッ ジ と 営 業 ヘ ッ ジ の 役 割 を 個 別 に 分 析 し て き た が 、 こ の 論 文 で は 、 多 国 籍 企 業 に お け る 両 者 の 役 割 を 広 く 関 連 付 け て 調 査 し 、 企 業 が グ ロ ー バ ル に 地 域 分 散 を 強 め る ほ ど 金 融 ヘ ッ ジ を 使 う こ と が 判 明 し た 。 営 業 ヘ ッ ジ は 金 融 ヘ ッ ジ と と も に 利 用 さ れ る と き だ け 価 値 を 生 む こ と が 分 か っ た 。
こ れ ら の 先 行 研 究 が 示 す 通 り 短 期 の 為 替 リ ス ク ヘ ッ ジ に つ い て は 先 物 予 約 な ど 金 融 ヘ ッ ジ が 有 効 で あ る が 、 国 際 競 争 力 に 対 応 す る 中 長 期 に わ た る 営 業 リ ス ク に つ い て は 営 業 戦 略 に よ る 営 業 ヘ ッ ジ し か 効 果 は な い の で あ る 。 末 尾 付 表 1 , 2 , 3 に 見 る よ う に 各 社 の 対 応 も ほ ぼ 同 様 に 短 期 的 に は 金 融 ヘ ッ ジ 、 中 長 期 的 に は 海 外 直 接 投 資 の 分 散 を 考 慮 し て い る 。
よ り 本 質 的 に は 円 イ ン ボ イ ス や 十 分 な 価 格 転 嫁 力 ( パ ス ス ル ー ) を 可 能 に す る 強 い 国 際 競 争 力 を 備 え た 製 品 へ の 特 化 が 必 要 と な ろ う 。
参 考 文 献
[ 1] 久 保 田 政 純『 日 本 企 業 の 外 国 為 替 管 理( 上 )』2016 年 、国 際 ビ ジ ネ ス フ ァ イ ナ ン ス 研 究 会 報 告 書 、国 際 ビ ジ ネ ス フ ァ イ ナ ン ス 研 究 会 編 、麗 澤 大 学 経 済 社 会 総 合 研 究 セ ン タ ー 、 Working Paper No.74
[2] Adler, M., and Dumas, B., 1984, “Exposure to currency risk: definition and measurement,”
Financial Management 13, 41–50.
[3] 祝 迫 得 夫 、 中 田 勇 人 『 為 替 レ ー ト が 日 本 の 輸 出 に 与 え る 影 響 の 数 量 的 評 価 : 構 造 VAR に よ る 検 証 』、2014 年 、独 立 行 政 法 人 経 済 産 業 研 究 所( RIETI)RIETI Discussion Paper Series 14-J-051
[4] 祝 迫 得 夫 、中 田 勇 人『 原 油 価 格 ,為 替 レ ー ト シ ョ ッ ク と 日 本 経 済 』、2014 年 、独 立 行 政 法 人 経 済 産 業 研 究 所 ( RIETI)RIETI Discussion Paper Series 14-J-050
[5] 伊 藤 隆 敏 、 鯉 淵 賢 、 佐 々 木 百 合 、 佐 藤 清 隆 、 清 水 順 子 、 早 川 和 伸 、 吉 見 太 洋 『 貿 易 取 引 通 貨 の 選 択 と 為 替 戦 略:日 系 企 業 の ケ ー ス ス タ デ ィ 』、2008 年 、RIETI Discussion Paper Series 08-J-009
[6] 清 水 順 子 、『 円 安 局 面 で の 企 業 行 動 数 量 よ り 利 益 幅 拡 大 重 視 』、2016 年 4 月 25 日 、 日 本 経 済 新 聞 経 済 教 室
[7] Shioji,E.,2014,"A Pass-Through Revival", Asian Economic Policy Review (2014)9,120-130,Japan Center for Economic Research
[8] 伊 藤 隆 敏 、 鯉 渕 賢 、 佐 藤 清 隆 、 清 水 順 子 、『 日 本 企 業 の 為 替 リ ス ク 管 理 と イ ン ボ イ ス 通 貨 選 択 』-「 平 成 21 年 度 日 本 企 業 の 貿 易 建 値 通 貨 の 選 択 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 」 結 果 概 要 -、 2010 年 、 独 立 行 政 法 人 経 済 産 業 研 究 所 ( RIETI)RIETI Discussion Paper Series 10-J-032
[9] Ito, T., Koibuchi, S., Sato, K., and Shimizu, J.,2013 "Exchange Rate Exposure and Exchange Risk Management:The case of Japanese exporting firms" RIETI Discussion Paper Series 13-E-025
[10] Pantzalis, C., Simkins, B. J., and Laux, P. A., 2001, "Operational Hedges and the Foreign Exchange Exposure of US Multinational Corporations," Journal of International
Business Studies 32(44), 793–813.
[11] Allayannis, G., Ihrig, J. and Weston, J. P., 2001, "Exchange-Rate Hedging: Financial vs. Operational Strategies," American Economic Review Papers & Proceedings, 91 (2), 391–395.
[12] Ito, T., Koibuchi, S., Sato, K., and Shimizu, J.,2010, "Why has the Yen failed to become
a dominant invoicing currency in Asia? A firm-level analysis of Japanese exporters’
invoicing” Working Paper 16231. National Bureau of Economic Research
[13] Eiteman, D., Stonehill, A. and Moffett, M. H. 2013“Multinational Business Finance” 13th.ed. Pearson Education, Inc.( デ ビ ッ ド・K・ア イ ト マ ン 、ア ー サ ー・I・ス ト ー ン ヒ ル 、 マ イ ケ ル ・H・ モ フ ェ ッ ト 、 久 保 田 政 純 ・ 真 殿 達 監 訳 、2011年 、 国 際 ビ ジ ネ ス フ ァ イ ナ ン ス 第12版 、 麗 澤 大 学 出 版 会 )