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Special Issue 特集論文 Invited Peer-Reviewed Article 招待査読論文 Presence and Prospects of CMOs in Japanese Corporations: How Do CMOs Contribute to Performance

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Academic year: 2021

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How Do CMOs Contribute to Performance?

日本型 CMO の現状と展望

― CMO は業績にどの程度貢献しているか ―

Hiroshi Tanaka

 *1

, Motohiro Ando

 *2

, Osamu Takamiya

 *3

,

Masafumi Emori

 *4

, Minoru Ishida

 *5

, Fumi Miura

 *6 CMO研究会 リーダー / 中央大学大学院 戦略経営研究科 教授

田中 洋

CMO研究会 企画運営メンバー / 株式会社博報堂

安藤 元博

CMO研究会 企画運営メンバー / 株式会社博報堂

髙宮 治

CMO研究会 企画運営メンバー / 株式会社博報堂

江森 正文

CMO研究会 企画運営メンバー / 東洋大学 経営学部 専任講師

石田 実

CMO研究会 企画運営メンバー / 中央大学大学院 ビジネス科学専攻 後期博士課程

三浦 ふみ

*1 Leader of CMO Research Workshop / Graduate School of Strategic Management, Chuo University, hirot@symphony.plala.or.jp *2 Member of CMO Research Workshop / HAKUHODO INC., motohiro.ando@hakuhodo.co.jp

*3 Member of CMO Research Workshop / HAKUHODO INC., osamu.takamiya@hakuhodo.co.jp *4 Member of CMO Research Workshop / HAKUHODO INC., masafumi.emori@hakuhodo.co.jp *5 Member of CMO Research Workshop / Toyo University, ishida@toyo.jp

*6 Member of CMO Research Workshop / Graduate School of Strategic Management, Chuo University, fumi_miura7002f@yahoo.co.jp

Abstract : The objective of this study is to explore how CMOs influence corporate performance in Japan. Recent

research reports have shown that CMOs play positive roles in American corporations. However, this kind of analysis has yet to be performed for Japanese corporations. An empirical analysis showed that CMOs do contribute to the performance of Japanese corporations in terms of sales growth ratio in three consecutive years. An online literature review of recent developments associated with CMOs showed that CGOs (chief growth officers) have started to replace CMOs in US consumer goods corporations during the 2010’s. These results are interpreted based on interviews with four Japanese CMOs. We propose a hypothetical causal model as a basis for further research.

Keyword : Top management team, Chief growth officer, Marketing management, Influence, Hierarchy, Sales

要約:本論文は CMO(チーフマーケティングオフィサー)が日本企業において企業業績にどのような貢献をしているかを実証 的に分析するとともに,CMO の地位が現在どのように変化しているかを文献調査で明らかにすることを目的としている。CMO が企業業績に正の影響を与えていることが近年米国で報告されているが,日本ではまだ研究がほとんどなされていない。実証分 析の結果,日本企業において,CMO を設置している企業の割合は約 8–11%であり,設置率は業種によってばらつきがあった。 また CMO 設置企業と非設置企業とでは,前者がより規模において大きいことがわかった。また,CMO 設置あり・なしは,企 業の 2 年間売上伸張率に正の影響があり,CMO 設置は 4.7%の売上増収効果をもっていた。また,企業規模が小さな企業ほど, CMO設置あり条件が売上変化率により大きな影響を与えている。文献調査では米国消費財企業において CMO に代わり CGO (チーフグロースオフィサー)が設置される傾向が 2010 年代に目立つようになった。CMO への詳細インタビューを通じて,こ

れらの結果を仮説モデルとしてまとめ,CMO/CGO の設置がどのように企業業績に影響を与えるかを考察した。

キーワード:CGO(chief growth officer),チーフグロースオフィサー,マーケティング担当役員,マーケティングの企業にお ける役割

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I.問題

本論文は,日本企業における CMO(チーフマーケティ ングオフィサー)についてその実態を明らかにするとと もに,CMO 設置が企業業績にどのように貢献している か(Study1),さらに,CMO の今後について考察する (Study2)ことを目的としている。本研究では,企業デー タ分析,詳細インタビュー,文献調査などの複数のアプ ローチ手法を採用しており,以下の構成から成っている。 I.(本章)問題:本研究での問題意識を述べるととも に,CMO に関する先行研究を展望する。 II.Study1:CMO データ分析:CMO の設置に関する 企業データを分析し,CMO の設置状況を明らかにする とともに,企業業績との関係を探索する。 III.Study2:CMO の今後の展望:欧米のグローバル企 業で CMO がどのような現状となっているか,文献調査 を基にしてその現状と展望を明らかにする。

IV.検討:I から III 章の結果をまとめ,CMO への詳 細インタビューによりその解釈を行い,今後の実務的示 唆を得る。

本論文のテーマである CMO(chief marketing officer) とは,マーケティングを主に管掌する企業のトップマネ ジメントの一員のことを指す。ただし,II 章の分析にお いては,広義の CMO としてマーケティング本部長・部 長を含めている。CMO が設置されるようになったのは 後述するように 1980 年代以降,この約 40 年間の現象で ある。企業経営において CMO がどのような役割を果た しているか,また今後どのような役割を果たすべきかは, 役員の単なる名称の問題に留まらず,マーケティングが 企業において果たしている役割を明らかにするために, マーケティング研究として重要な意義がある。過去に CMOの研究が積み重ねられてきたのはこのためである。 CMOはどのような役割を企業において果たしている

だろうか。Boyd, Chandy, & Cunha Jr.(2010)によれば

CMOは企業価値を高めるために 3 つの役割を果たすと される。1)情報的役割(informational role)。新しい市場 機会を見つけ,既存顧客と新規顧客から新しい売上を得 る。2)意思決定的役割(decisional role)。マーケティン グの投資にどのようなあるいはどの程度の投資をなすべ きかを決定する。3)関係的役割(relational role)。顧客 や広告代理店,提携パートナーなどの外部のステークホ ルダーと関係を築き維持する。 Jaworski(2011)は,自身の経験と文献によって CMO が果たすべき職務(task)を以下の 7 つに分類し,さら にその 7 つを 3 つのカテゴリー(戦略,組織,実行)に 分類している。 【戦略】1)企業内でマーケティングの職務を規定す る。2)顧客の声と市場インテリジェンス(知識)を保 有する。3)企業全体のマーケティング,ビジネスユニッ トごとのマーケティング,商品やブランドのマーケティ ングプログラムを含む,マーケティング戦略の全体を管 理(oversee)する。【組織・実行】4)マーケティング活 動と企業内の他のユニットとをコーディネートして CEO の仕事(agenda)を助ける。5)マーケティングのプロセ ス,手順,システム,能力,意思決定任務,報酬を確立・ 強化し,マーケティング組織が機能することに責任をも つ。(マーケティングスタッフの人的資源の強化など) 6)マーケティングのトランスフォーメーションを規定 し推進する。(ブランドのプランニングプロセスを変える など)7)ROI あるいはフリーキャシュフローなど,マー ケティングのパフォーマンスを測定するスコアカードの 開発。 CMOは概念的にはこのような役割を果たして企業価 値を高めるために貢献すると考えられるのであるが,実 際にそのような役割をどの程度果たしているだろうか。 CMOは米国において,1980 年代から企業社会に浸透

するようになった(Gilliatt & Cuming, 1986)。しかし,そ の重要性を指摘されながらも,2000 年代から 2010 年代 に至るまで一般的なビジネスジャーナリズムの世界では CMOの存在について肯定的・否定的な見解がないまぜ になりながら,議論され続けてきた(例えば,Court, 2007; McGirt, 2007; St. Clair, 2015)。スイスのビジネスス クール IMD 教授の Turpin(2012)は,「CMO は死んだ」 と言い次のように語っている。CMO の役割は PR やコ ミュニケーションに限定されており,商品や価格に触れ ることができない実態があり,トップマネジメントの中 で CFO がより力をもってきたのに比較して,CMO は曖

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昧な立ち位置しか与えられていない。 ただし CMO について否定的な見解ばかりではない。 SpencerStuart社(2018)の調べによれば,米国での CMO の任期は 2006 年当時の 23.2 か月(1.9 年)から,2017 年には 44.0 か月(3.7 年)となり,10 年間でほぼ倍に伸 びたことになる。これは 2010 年代に進展したマーケティ ングのデジタル化によってテクノロジーに詳しい CMO が起用されるようになり,CMO のアクションの結果が, より測定可能となり,効果が高まったと考えられるよう になったからだと説明されている。 実証的な研究の流れを追ってみよう。Weinzimmer et al. (2003)は 47 の産業で 173 社についてパス解析を実施し た結果,CMO の設置は売上成長率に正の影響を及ぼし ていることを見出している。

さらに,Nath and Mahajan(2008)は 167 社,2000 年–

2004年の 5 年間にわたって,企業データを基に,CMO が TMT(トップマネジメントチーム)に設置されている ことにどのような要因があるかを探求した。まず,戦略 的要因として,革新性,差別化,企業ブランディングが ある企業ほど,CMO が設置されていること,次に,構 造的要因として,トップマーケティングチームのマーケ ティング/マネジメント経験度が高いほど,また CEO が その企業のアウトサイダーであるほど,CMO が設置さ れている傾向があることを報告している。事業多角化と の関係においては,小企業の場合,多角化していない企 業ほど,CMO は設置されている一方で,大企業の場合, 多角化しているほど,CMO が設置されていることがわ かった。さらに業績との関係では,この 5 年間の期間に おいては CMO が TMT にいることは,企業業績にプラス もマイナスももたらさないことを発見した。この CMO 設置が企業業績に影響を結果しないという結果は,少な からず企業社会に対して影響を及ぼした(Simms, 2008)。

Boyd, Chandy, and Cunha Jr.(2010)では,異常投資収

益(abnormal stock return)(株主の CMO 指名への反応),

企業への顧客パワー(売上 10%以上を占める顧客がいる かどうか),CMO の過去のマーケティングなどの経験 度,企業の範囲(事業のセグメントの数),企業規模(従 業員数),企業の業績(売上成長度)などを変数として, CMOの設置がどのように市場反応に影響するかを調べ た。その結果,半数以上(54%)の企業において CMO の任命への市場の反応(異常投資収益)は否定的であっ た。また,CMO がその企業で以前にもマーケティング の経験がある場合で,顧客パワーが強い場合,市場の反 応はネガティブであることが示された。つまり,CMO の任命への市場の反応には顧客パワーが関係しているこ とが示された。この報告では CMO の任命については顧 客パワーや企業の経験が影響しており,著者たちは顧客 パワーが低いときに CEO が CMO を任命することが良い と推奨しており,CMO の設置は財務的な業績とは全体 として無関係であることを示唆している。このように, 00年代の実証的研究では,CMO の設置について正負両 方の結果が報告されていたことになる。

Verhoef and Leeflang(2009)の論文は,CMO 自体につ いての研究ではないが,マーケティング部門が企業業績 にポジティブな影響を与えていないのではないか,とい う 2000 年代の論調や研究報告に対して,どのような影 響があるかをオランダ企業について調査した。マーケティ ング部のアカウンタビリティ(マーケティング戦略の結 果を財務的測度に結びつける力)や革新性(革新的な商 品やサービスを社内で主導できる力)などの能力が,マー ケティング部門の社内的影響(知覚重要性など)に影響 し,さらに市場志向性(market orientation)に結びつき, 最終的に事業業績に結果するというモデルを提案した。 結果として,アカウンタビリティと革新性のふたつがマー ケティング部門の影響のドライバーとなっていることを 実証的に示した。しかし,顧客とマーケティング部門の 結びつきがマーケティング部門の影響の重要性には結び ついていなかった。さらにこのマーケティング部門の役 割は企業の市場志向性を強化する点において重要である と報告している。 これらの 00 年代の研究成果は,CMO の存在について 企業の業績への否定的な結果を示唆しており,CMO な いしマーケティング部門は顧客と結びついているから重 要とは言えない結果であった。 2011年以降の CMO 研究として以下の研究がある。

Homburg, Hahn, Bornemann, and Sander(2014)は,

CMOの特性が投資家にベンチャー企業のマーケティン

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社のハイテクベンチャー企業のデータを分析した。結果,

CMOが受けた教育(高学歴など),マーケティング経

験,その産業分野での経験が企業評価とポジティブに相 関していることが示された。CMO の評価がベンチャー 企業の成功と関連していることが示されたことになる。 Engelen, Lackhoff, and Schmidt(2013)は,異なった文 化間の国際比較を行い,TMT における CMO の社会的資 産である絆(tie),信頼(trust),団結(solidarity)がど のように影響を与えるかを 412 人の CMO 調査を通じて 調べた。結果として信頼が集団主義的文化,不確実性忌 避の文化においてより効果的であることがわかった。 これら二つの研究報告においては CMO 設置そのもの の影響というよりは,相対的な影響関係が示されている と言えるだろう。

一方,Germann, Ebbes, and Grewal(2015)は特筆され るべき成果を報告している。彼らは,Nath and Mahajan (2011)の研究を踏まえて次のような観点から研究を進 めた。つまり①時間的間隔をより長く取る,②研究対象 の産業カテゴリーをより包括的にする,③方法的に時間 と企業特有の因子による影響を含めた分析モデルの採用 である。 2000年から 2011 年までの 12 年間の 155 社の公開され た Compustat データベースを用いて,CMO の役割が財 務へ及ぼす影響について 4 つの異なったモデルを用いた 分析を行った。CMO がこの期間にいた企業はサンプル 全体の 32–40%であった。売上が 2 億 5 千万ドル以上で, 広告と R&D 額が報告されている企業を対象とした。Nath and Mahajan(2011)よりも期間を長くとり,より多くの ビジネスカテゴリーを含み,時間と企業効果を除去して 分析した結果,すべての期間で CMO を置いている企業 のトービンの q(株式市場の企業価値を資本の再取得価 格で割った値)は 0.75 で,置いていない企業は 0.36 で 有意な差があった。また CMO のポジティブな効果は CEOの在任期間が長くなると減衰した。つまり,CEO が長く在任するほど,CMO の業績へのポジティブな影 響は減ることになる。 また,従業員の数が多いほど,CMO のポジティブな 効果は減衰することもわかった。結果的に,トービンの qで測定された結果から,CMO を置いた企業のほうが置 かない企業よりも 15%高いパフォーマンスが示された。 つまり CMO の設置は企業の業績にポジティブな影響を 及ぼす頑健な証拠が見いだされたのである。 一方,日本の研究者で早い時期に CMO についてまと まった見解を発表したのは Kamioka and BearingPoint

Strategy Group(2006)である。彼らの主なファインディ ングと指摘のポイントは,1)米国のフォーチュン 1,000 社のうち,CMO 設置は 47%であるのに比較して,日本 では CMO の設置は 5%弱と推定した。日経 225 社(一 部上場,株価指数で選定された企業)の中の CMO 設置 率はさらに低く,4 社,1.8%のみであった(2006 年 3 月)。有力なグローバル企業の CMO 20 名にインタビュー して,2000 年代の CMO の役割を 2000 年代の変化を「狭 義のマーケティング」(価値の提供とコミュニケーション やプロモーション)から,「ブランドとアカウンタビリ ティー(効果への説明責任)」の重要性が増大し,経営 トップはマーケティングを投資とみなすように変化する と予測している。 Imamura(2014)は日本の B2B 大企業 CMO に詳細イ ンタビューを行い,日本の CMO の特質を挙げている。 日本企業で CMO が設置されている割合はまだ低いもの の,日経 Who’s Who で調べた結果では,B2B で歴史の長 い企業に CMO が多いことがわかった。具体的には, NEC,日立製作所,日立ハイテクノロジーズ,富士通, ブリヂストン,リコー,帝人,LIXIL などである。これ らの企業における CMO 導入の狙いとは,複数 BU にま たがるサービス提案の必要性であった。これらの日本企 業は,総合力で顧客に価値を提供する必要を感じており, 全組織を横通しする役割が期待されていた。ただし CMO のミッションは明確に定義されていないこともわかった。 これらの B2B 企業における CMO の役割はマーケティン グ活動の統合から,チェンジエージェント(改革の推進 者)の役割へ変化してきていると今村は報告している。 Iwata(2018)は,日経 BP マーケティングのブランド 偏差値データを用いて,仮説として「CMO あるいは準 ずる存在(親会社含)・企業を代表して CMO に類する発 言を行っている存在がいる企業は競争力(ブランド偏差 値)が高い」を立て実証分析を行った。CMO がいるか どうかについて CMO が外部に出演した企業,あるいは,

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CMO的な発言をしている役職者がいる企業を CMO 設置 企業と認定して,重回帰分析を実施した。その結果, CMOの存在がブランド総合偏差値(競争力)に 2015 年 と 16 年について,正の影響を与えている有意な結果を 得た。 これらの海外・日本における CMO に関する研究成果 を統合するならば,次のことが言えるだろう。 1)2010 年代以降の研究では,CMO の存在が企業業績 にポジティブな影響を与える報告が目立つようになった。 2)しかし日本企業においては,まだ CMO の存在が企 業業績に与える直接的な影響はまだ報告されていない。 3)特に日本企業における CMO はまだ少数企業にとど まっており,その特質はまだ解明されていない。 4)CMO の存在と役割は時代の変化とともに変化しつ つある。 本研究ではここから以下のリサーチクエスチョンを設 定する。 RQ1:日本企業にはどの程度の CMO が設置されてい るだろうか。またどの産業分野に CMO は多いだろうか。 RQ2:日本企業で CMO を設置している企業の業績は, 設置していない企業と比較して優れているだろうか。 RQ3:CMO の存在は世界的に現在どのような動きを示 し,今後どのようになると予測されるだろうか。 これらの研究課題に対して,本論文では以下の II 章に おいて RQ1 と 2 に答え,さらに RQ3 について III 章で答 えることとする。

II.Study1:企業データ分析

1.本章の目的と方法 本章 Study1 の目的は,日本の CMO 設置状況を明らか にするとともに,CMO 設置・非設置と企業業績との関 係を考察することにある。すでに I 章で展望したように, アメリカでは CMO 設置状況と企業業績との関係につい てすでにいくつかの蓄積があり,近年の研究では CMO 設置と企業価値との間に有意なポジティブな影響関係が あることが明らかにされている。日本でもいくつかの研 究や論説があるものの,まだ CMO 設置の状況について 明らかではない。また,CMO 設置と企業業績との関係 も明示されてはいない。 本章で分析の対象としたデータでは CMO をより広く 捉え,マーケティング担当役員だけでなく,マーケティ ング本部長,マーケティング担当部長も含めることとし た。このような広い定義を用いたのは,日本ではまだマー ケティングという名称の部署そのものが少なく分析に十 分なサンプルが確保できないことがある。このように広 義の CMO 定義を採用することで,日本企業にとってよ り意味のある結果を導くことができると考えたからで ある。 本章では,次の 3 つのステップによってデータを入手 し,分析を行った。 ステップ 1 として,日本のすべての上場企業(東証一 部・二部,名証,札証,福証,各証券取引所マザーズな どの新興市場)を対象として,2015/4/1~2018/3/31 の 3 年間における企業の公開情報を対象に人事情報をクロー リングした1)。ここで言う企業の公開情報とは,上場企 業の「人事ニュース」のことである。この期間に該当す るニュースの数は,3,481 社,187,611 件であった。な お,クローリング(crawling)とは,「ロボット型検索エ ンジンにおいて,プログラムがインターネット上のリン クを辿って Web サイトを巡回し,Web ページ上の情報を 複製・保存すること」である(Weblio (n.d.))。 利用したデータベースにおける 2018 年 3 月時点の全 上場企業数は 3,707 社であり,そのうち,下記いずれか の条件に合致する企業及び該当するニュースの数は,430 社,1,972 件であった2)。マーケティング関連の役職者又 は CMO に関する人事ニュース。抽出条件は以下のよう であった。(「マーケティング」and(「役員」or「常務」 or「専務」or「本部長」or「部長」))or「チーフマーケ ティングオフィサー」。 ステップ 2 として,このデータに Yahoo ファイナンス が東洋経済新報社の『会社四季報』を基にして収集した 企業業績データを加えて,データセットを作成した。た だし上場企業の業績データの 3,707 社のうち約 24%,907 社が従業員数・売上高・総資産に欠損値がある(828 社) か売上高変化率が半減または 2 倍を超えるはずれ値(94 社)となり,,これらの企業を除いた 2,800 社を対象とし

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た分析を実施することとなった。 データに欠損値が多い理由はふたつ考えられる。ひと つは,上場した年月によって,過去データが存在しない ことである。つまり対象企業は 2018 年 3 月時点で上場 している企業(証券コード)を基点にしているため,上 場した年月によって,過去データが存在しないケースが ある。もうひとつの理由は,Yahoo!ファイナンスで情報 が開示されていないことである。分析に当たっては,欠 損値データを除いて行った。 ステップ 3 として,CMO の設置がある,なしの二種 類の企業において規模などでどのような違いがあるか, また,企業業績にどのような影響があるかの分析を 行った。 2.結果 分析の対象となった 2,800 社のうち,本研究で採用し ている,マーケティング部長まで含めた広義の CMO を 設置している企業は 316 社であり,企業業績データの欠 損値を除いた上場企業 2,800 社のうち 11.3%を占めてい た。なお,業績の欠損値あり企業を含めた,3,277 社の うち,狭義の CMO(役員レベルのみ)で集計すると, 259社であり,7.9%となる。つまり,日本の上場企業 で,CMO を有する企業の割合は,CMO の定義によって 異なるがおおよそ 8–11%程度であることが判明した。 ただし表 1.CMO 設置企業の業種別比率が示すよう に,設置のあり・なしは業種によって大きく異なる。 CMO設置比率が相対的に高い業種を次の二つの基準 によって選択してみよう。調査対象企業全体の CMO 設 置比率 11.3%以上の業種で,業種に含まれる社数が 10 以下の少ない業種を除く。食料品 24.2%(n=99),繊維 製品 23.8%(n=42),化学 17.2%(n=163),医薬品 24.4%(n=41),ゴム製品 25.0%(n=16),ガラス・土 石製品 12.8%(n=47),電気機器 19.8%(n=212),輸送 機器 13.2%(n=76),精密機器 18.9%(n=37),情報通 信 12.7%(n=283),卸売業 11.6%(n=267),その他金 融業 13.6%(n=22)以上 12 業種。 一方,CMO 設置比率が相対的に低い業種で,10 社以 上が含まれる業種として,次の業種が挙げられる。建設 業 1.3%,パルプ・紙 4.2%,石油・石炭製品 0.0%,鉄 鋼 7.7%,非鉄金属 12.0%,金属製品 6.8%,機械 7.4%, その他製品 6.3%,電気・ガス業 10.0%,陸運業 3.8%, 海運業 7.7%,倉庫・運輸関連業 3.3%,卸売業 11.6%, 小売業 9.6%,銀行業 3.7%,証券業 3.3%,不動産業 3.5%,サービス業 10.2%,以上 17 業種。 ここに業種に含まれる社数が 10 社以下で少数のため 挙げなかった業種として,水産・農林業,鉱業,石油・ 石炭製品(以上 0%),保険業 37.5%(n=8)がある。 このように業種別にみてみると CMO 設置が比較的多 い業種は 12 業種,少ない業種は 17 業種ということにな る。社数が少ない業種も含めると CMO 設置が多い業種 は 14 業種,少ない業種は 19 業種となる。全体としては 圧倒的に CMO 設置率が低い業種が多いことがわかる。 次に「箱ひげ図」を用いることによって,CMO の設 置あり・なしによってどのような企業プロフィールの違 いがあるかを見てみよう(図 1)。なお,従業員数や売上 など B/S,P/L の項目の分布は右に裾が厚くなるため箱 ひげ図の目盛りに自然対数値を用いた。負値のある利益 項目はマイナスを乗じて対数変換した後に再びマイナス を乗じ,絶対値が 1 未満の値は 0 に変換した。サンプル は 3,707 社の欠損値を除く 2016 年度から 2018 年度の 3 期の財務指標とした。 単独決算の従業員数,売上高,営業利益,経常利益の 4つの指標(図 1-1~1-4)で見る限り,どの指標の中央 値においても「CMO あり企業」が「CMO なし企業」よ りも大きいことがわかる。 次に,CMO あり・なしの企業プロフィールの違いを より明確に把握するため,企業規模で評価した。規模の 測定はコブ-ダグラス生産関数の考え方を参照して,売上 を人(人件費か従業員数),モノ(固定資産),カネ(流 動資産)の各対数値に共通のスケールとした。すなわち, 売上,従業員数,総資産を 1 因子分析で因子得点を求め た(図 3)。クロンバックの信頼性係数では 2016–8 年の いずれも α=0.91 であり,一次元性が確認できた。この 因子得点を用いて比較したところ,2016 年,17 年,18 年いずれも「CMO あり企業」が「CMO なし企業」より も p<.01 水準で有意に高く,「CMO あり企業」が「CMO なし企業」よりも規模の点で大きいことが確認できた。 次に,CMO 設置が業績にどのように影響するかを検

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証するために,上記の規模因子と,CMO 設置の有無を 独立変数とし,2016 年度から 2018 年度の売上の変化率 を従属変数とする重回帰分析を実行した(図 4)。 重回帰のモデル全体では,決定係数 0.03 で,必ずしも 十分に満足できる係数値ではなかったものの,F 検定 p<.01で有意な結果であった。CMO 設置有無は係数(推 定値)0.047 で,規模因子の係数は-0.039 であった(いず れも p 値は 1%水準で有意)。ここから CMO の設置は 4.7%の増収効果をもっていると判定できる。つまり, CMOの設置は業績にプラスのインパクトをもっている 可能性がここから指摘できる。 さらに,企業規模がどのように CMO あり/なしに影響 するかを明らかにするため,CMO あり/なしの 2 グルー プに分けて,それぞれ単回帰して,回帰直線の差(交互 作用)を分析した(図 5)。

この結果,まず,Johnson-Neyman 法(Johnson & Fay, 1950)により 5%有意水準で CMO あり/なしで売上高変 化率に対する規模の影響(回帰直線の傾き)に差がある と検証できた。特に規模因子がより小さな企業群におい ては,回帰直線の 95%信頼区間が交わらないため CMO CMO 設置企業と非設置企業の業種別比率 表 1  

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CMO 設置あり/なしによる企業プロフィールの違い 1-1.従業員数(単独・全期間) 1-2.売上高(単独・全期間) 1-3.営業利益(単独・全期間) 1-4.経常利益(単独,全期間) 図 1  

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あり/なしで,規模が売上変化率に与える影響(回帰直線 の水準)に有意な差があることがわかった。次に,企業 規模が小さい側で CMO ありの方が,売上変化率が有意 に高いこともわかった。つまり,企業規模がより小さな 売上増加率(2016⇒2018) 図 2   規模因子(2016 年度単独決算の売上,従業員数,総資産から 1 因子を作成) 図 3   CMO 設置による増収効果 図 4  

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場合,CMO の設置が売上変化率により影響を与えるこ とが明らかになった。この分析結果は,サンプル抽出条 件である売上高変化率のはずれ値の閾値を 50%~50 倍 の間で変化させてもほぼ変わらない。また,売上高変化 率の期間を 2016 年度から 2018 年度の 2 年間から 1 年間 にすると,CMO 設置効果はおよそ半減する。 ここまでの結果をまとめると以下の 5 点が指摘できる。 1.日本の上場企業において,広義の CMO(マーケ ティング担当役員,マーケティング部長,マーケティン グ本部長)を設置している企業は 11.3%であり,狭義の CMO(役員レベルのみ)では,7.9%である。 2.業種別にみて,CMO を設置していない業種が設置 している業種よりも倍近く多い。 3.CMO 設置あり企業は,設置なし企業よりも企業規 模が大きい傾向がある。 4.CMO 設置あり・なしは,企業の 2 年間売上伸張率 に正の影響があり,CMO 設置は 4.7%の売上増収効果を もっている。 5.企業規模が小さな企業ほど,CMO 設置あり条件が 売上変化率により大きな影響を与えている。

III.Study2:CMO の近年の変化と展望

1.問題 文献を通じて米国のグローバル企業において近年 CMO が CGO へと「進化」している現象がみられる。Study2 の目的は,CGO 成立の状況と背景を知ることで,CMO の役割変化を明らかにすることにある。 米国ではマーケティング領域においてデジタル・トラ ンスフォーメーション,つまりデジタル化による従来の ビジネス構造の変化が進んでいる。こうしたデジタル・ トランスフォーメーションは,従来のサイロ組織の破壊 と新たなクロス・ファンクショナル・チームへの再編へ と結びついている(Schuuring et al., 2017)。さらには外 部パートナーをも巻き込んだマーケティング・エコシス テムのオーケストレーションといった機能統合が,マー ケティング部門に求められるようになった(Eaves, Aziz, Thomas, Kristensen, & Moses, 2016)。

このようなデジタル化に伴う事業形態の変容は CMO の在り方にも変化を及ぼすようになった。後述するよう

単純傾き効果 図 5  

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に,2015 年頃から,Coca-Cola, Colgate-Palmolive, Kellogg

Company, ConAgra Foods, Hershey Company等,消費財業

界の大手企業を中心に,「Chief Growth Officer(チーフグ ロースオフィサー,以下 CGO)」というコーポレート・ オフィサーが CMO に代わって新たな「統合役」として 設置されるようになった3) このような背景を踏まえ,本章では次のことを明らか にすることを目的としている。近年米国企業に出現して きた CGO という役職はどのような役割や機能を担って いるのか。どのような職務を担い,どのような人的要件 が求められているのか。こうした疑問を明らかにするこ とにより,米国に 30 年前に出現した CMO が現在,どの ような変化を遂げているかを明らかにできると考えた。 以上のような問題意識に立って,Study 2 でのリサー チ・クエスチョン(RQ)として以下の 3 つを設定した。 RQ1:CGO が出現した状況と背景は何か。 RQ2:CGO の位置づけと職務は何か。 RQ3:CGO の人材として求められる人材要件とは何か。 これらの RQ に従って,次節で示す文献調査を行った。 本章では,調査方法の確認に続いて,米国のビジネス 界におけるマーケティング機能統合の背景にある考え方 を,当該テーマに関する大手経営コンサルティング会社 による主要な調査研究・提言内容に基づいて整理してい る。次に米国企業事例調査に基づきマーケティング機能 統合の実例を提示するとともに,統合役を果たしている CGO等のコーポレート・オフィサーの経歴を確認するこ とにより,統合役の人材要件を整理している。その上で, 確認できた事象の解釈を行うとともに,実務上の示唆を 提案している。 2.方法 以下の 3 ステップで文献調査を実施して,知見をまと めることとした。 ステップ 1(CGO 役職の確認):CGO という役職が CMOに代わって出現していることを文献で確認する。 ステップ 2(CGO 出現の背景):CGO 設置の背景にあ る考え方を,オンライン上の情報に加えて,米国の大手 経営コンサルティング会社である McKinsey & Company (Buck, Cvetanovski, Harper, & Timelin, 2017),The Boston

Consulting Group(Schuuring et al., 2017),Accenture (Eaves et al., 2016)の 3 社の 2016 年以降のマーケティン グ機能変革を論じている調査研究報告書,提言書によっ て論点と主張を確認した。

ステップ 3(CGO の位置づけ・職務・求められる人材 要件):Russell Reynolds 社の調査報告書を精査し,そこ で言及されている The Coca-Cola

Company(n.d.),Colgate-Palmolive Company( n.d. ), ConAgra Foods ( Conagra

Brands)(n.d.),The Hershey Company(n.d.),Kellogg Company(n.d.)の各社のホームページにアクセスし,組 織構造,マーケティング機能の位置づけ,マーケティン グ機能の責任者の職位・タイトル・職務範囲,および各 人の経歴を確認した。 3.結果 一連の文献調査から明らかになったことを,リサーチ・ クエスチョン毎に整理する。 (1)CGO 出現の状況と背景 RQ1:CGO が出現した状況と背景は何か。 CGOが近年,米国の消費財企業に出現していることは 以下の文献によって確認できる。

Hinds, Hayes, Sanderson, Sachar, and Samson(2016)に

よ れ ば , 2010 年 ご ろ に Colgate-Palmolive 社 に Fabian

Garciaが CGO に任命され,続いて,2014 年前後に Kellogg

Companyに Paul Norman が CGO に就任している。これ

ら に 引 き 続 き , Mondelez, Tyson Foods, Constellation

Brands, ConAgra, Coty社などの消費財企業に 2016 年ま

でに CGO が設置されている。 CMOが CGO にとって代わるべき形態であると指摘し たのは McDonagh(2013)で,彼は BtoB のクラウドサー ビス企業の CMO であった。McDonagh は,マーケティ ングは特定のサービス領域に留まらず,より広い領域を カバーすべきで,そのためにはマーケティング関係の人 材の成長が必要だと主張している。Forbes の記事(Ellet, 2016)は Chief Growth Officer という役職が設置されるよ うになったことを伝えている。さらに,エグゼクティブ サーチ会社 Russell Reynolds Associates 社の CGO に関す る調査報告書がある(Hinds et al., 2016)。

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米国の広告・マーケティングの専門誌 ADWEEK で, 米国の大手技術リサーチ会社である Forrester Research 社は,CGO が CMO にとって代わると指摘している (Jackson, 2017; Johnston, 2017)。また,以下のように実 際に CMO を廃して CGO を設置する事例が有力企業にお いて出てきた。このように見てくると,CGO という役職 が出現し,また CMO が CGO に「進化」すべきという論 調が出てきたのは,2010 年代の米国の企業社会,特に消 費財業界においてであることが確認できる。 すでに CMO が広告やプロモーションなど狭い役割に とどまっており,消費者行動や意思決定が変化しメディ アが「断片化」している状況から,CMO はより広い領 域や任務を担うべきであるという意見が 00 年代から出 されていた(Court, 2007)。こうした限定された CMO の 役割に見切りをつけ,CMO に代わって CGO を 2017 年 に実際に任命したのは Coca-Cola 社だった(Melnick, 2017)。同社は対消費者と流通の担当と戦略部門をひと つにし,5 つの戦略カテゴリーを横断して成長を図るた めの CGO を任命した(Odell, 2017)。CGO を任命したの は同社が初めてではなかったものの,こうした同社の動 きは消費者商品業界に反響を与え,CMO と CGO とはど う異なるのかが議論された(Andrews, 2017)。 同社が CGO を設置した理由は Coca-Cola 社を成長志 向で顧客中心の企業にするためとされている。CMO 解 雇の一因は同社の売上の低迷であり 2012 年に 480 億ド ルであった世界の売上額が 2016 年には 443 億ドルに減 少している。 ここで考えるべき問題は,なぜ消費財企業にほかの産 業よりも先に CGO が設置されるようになったかである。

Hinds et al.(2016)は CGO 出現の背景として,①商品カ

テゴリーの低迷,②運営コストの上昇,③小売業者パワー の上昇,④デジタル破壊,⑤アクティビスト投資家の存 在,⑥消費者パワーの増大と細分化の 6 つの要因を挙げ ている。 さらに消費財企業に CGO が出現した背景をより深く 考察するために,2010 年代の消費財企業が置かれた状況 を探ってみよう。有力なグローバル消費財企業で近年トッ プが頻繁に交代する理由として,マーケティングのデジ タル化,参入障壁の容易化,消費者の行動変化,流通業

の PB 化,などが挙げられている(Abboud, Walker, & Fontanella-Khan, 2018)。FMCG 界の巨人である P&G 社 も株主のための増配を続けているものの,リーマンショッ ク後の業績を回復できていない。2017 年 6 月期の純利益 である 101 億ドルという金額は,2008 年 6 月期より 16% 少ない水準にとどまっている(「P&G 増配優等生が直面 する成長の壁」Nikkei Denshi-ban, 2018.)同社はブラン ドポートフォリオの入れ替えやコストカットに務めてい るものの,FMCG 大手は,中国などの成長市場でローカ ル市場の競合に対して苦戦していることが伝えられてい る(Chin & Michael, 2014)。これらの資料の結果をまと めるならば,FMCG 企業は 2010 年代にグローバル市場 や市場環境の変化に伴って成長鈍化に見舞われており, それが FMCG 業界に CMO に代わって CGO の到来を招 いたと考えることができる。 (2)CGO の位置づけと職務内容 RQ2:CGO の位置づけと職務は何か Hinds, et al.(2016)によれば,CGO という役職は,単 に CMO 職が拡張したというだけでなく,次の 3 つの重 要な役割を担うと指摘している。①CEO への信頼できる アドバイザー役,②損益計算に長けたブランド構築の専 門家,③社内のコンフリクトを調整できる調整役。つま り,CGO は,①CEO に次ぐ高位の Corporate Officer と して CEO に進言し,②成長に力点を置きながら,③経 営戦略,マーケティング,営業,およびその他関連諸機 能を統合的に管掌する役割と考えられる。

次に CGO がどのような社内的位置づけにあるか,ま たどのような職務を担っているかを,米国の消費財業界 で CGO を 配 置 し て い る Coca-Cola ( The Coca-Cola

Company)( n.d. ) お よ び Palmolive (

Colgate-Palmolive Company)(n.d.)の事例を見て行こう。

Coca-Cola社の組織構造は,CEO 直下に 4 つの地域営

業統括部門(Operations)毎に President 配置するととも に,同じく CEO 直下のグループ本社機能を担う Chief

Officer(Senior Vice President)を配置している。CGO の

Francisco Crespo氏は Chief Officer の一人であり,「global

growth」に力点を置いて,グローバルマーケティング, 経営戦略,カスタマー&コマーシャルリーダシップチー

(13)

ムを統括している。

Colgate-Palmolive社の組織構造は,CEO 直下に COO

(President)を配置し,さらにその直下に operating units を配置している(地域営業統括部門と事業部の President または Vice President)。他方,CEO 直下にグループ本社 機能を担う Chief Officer を配置している。CGO の P. Justin

Skala氏は Chief Officer の一人であり,グローバルマーケ

ティング,カスタマー開発,サプライチェーン,技術開 発,サステナビリティを一元的に管掌している。 これらの企業で見る限り,CGO は日常の事業別または 地域別のオペレーションとは異なり,CEO の直下にあっ て「機能」として企業の成長を担う役割であることがわ かる。 (3)CGO の人材要件 RQ3:CGO の人材として求められる人材要件とは何か エグゼクティブサーチ会社大手の Russell Reynolds に よる調査によれば,CGO はマーケティングの実務経験と 規模の大きな事業体のジェネラル・マネジメント経験の 両方を併せ持っている(Hinds et al., 2016)。また,同社 は調査からの示唆として,CGO は CMO の延長線上にあ るのではなく,マーケティング洞察と戦略思考とを具備 する実績のあるビジネスリーダーであるとも主張して いる。 以下では実際の CGO 二人の経歴を見ることで CGO の 人 材 要 件 を 確 認 し て み た い 。 一 人 は Coca-Cola の

Francisco Crespo氏(The Coca-Cola Company)(n.d.)で,

もう一人は Colgate-Palmolive の Justin Skala 氏(Colgate-Palmolive Company)(n.d.)である。 Coca-Cola社の Crespo 氏の経歴の特徴は,キャリアの 初期に現地法人の営業・マーケティングの担当者として 実務経験を積んだのち,担当する事業規模を段階的に拡 大しながら,現地法人社長としてジェネラル・マネジメ ントの実績を積み重ねている。氏はコロンビアで産業エ ンジニアリングを学んだ後,1989 年に Coca-Cola のエク アドル現地法人入社し,以後,ラテンアメリカ地域で営 業・マーケティング・現地事業管理・現地法人経営・地 域営業統括を歴任し,2017 年 5 月より現職の CGO に就 任している。CGO に就任する前の具体的な経歴は,①ア ルゼンチン(Commercial Director of Coca-Cola FEMSA in Buenos Aires)では営業責任者(後に全社的に展開され るカスタマーリレーションシッププログラムの導入),② チリ(GM of in Chile)では現地事業管理(低価格ブラン ドとの競争に勝利),③ブラジル(VP of Operations for the Brazil Business unit)では現地事業管理(事業再建を達 成),④南ラテンアメリカ地域の営業統括(President of the South Latin business unit)ではアルゼンチン,ボリビ ア,チリ,パラグアイ,ペルー,ウルグアイの事業を統 括,⑤メキシコ(メキシコは全社売上 2 位の中核国)で は現地法人経営(ローカルボトラー達を巻き込んだ 7 年

CGO の組織内の位置づけ 図 6  

(14)

総額 82 億ドルの大型システム投資プロジェクトを完遂) となっている。 一方,Colgate-Palmolive 社の Skala 氏の経歴の特徴は, キャリアの初期で本社のマーケティング・セールス担当 者として実務経験を積んだ後,地域営業統括者としてジェ ネラル・マネジメントの経験を積んでいる。1982 年に Colgate-Palmoliveに入社し,マーケティング・セールス・ ジェネラルマネジメントを経験した後,Colgate Asia の

President, Colgate Latin America の President, North

America and Global Sustainabilityの President,及び COO,

North America, Europeといった地域営業統括のポジショ

ンを歴任し,2018 年 7 月に CGO に就任している。 以上 2 人の経歴から,CGO の人材要件として,以下の 3点が導出される。 ① キャリアの初期においてマーケティングの知識・ 能力を身に着けている。 ② 現地法人社長あるいは地域営業統括者としてジェ ネラル・マネジメントを経験し成果を出している。 ③ 多くの国際的ビジネスを積み重ね,異文化のマネ ジメント経験を有している。 4.結論と実務的示唆 CMOに取って代わって新しい CGO という職務が 2010 年代の後半にかけて米国の消費財企業に出現した。米国 の消費財企業はこの時期,成長の鈍化に見舞われている。 そこには次のような背景がある。商品カテゴリーの成長 性が低迷し,運営コストが上昇し,小売業者パワーがさ らに増大した。またインターネットや ICT 技術の進展に より「デジタル破壊」が進行し,アクティビスト投資家 が企業にプレッシャーをかけるようになった。さらに, 消費者パワーの増大と細分化も進行しただけでなく,グ ローバル市場においてはローカルの巨人企業との競争に おいて弱体化した。

CGOは組織的には CEO の直下におかれ,CEO に進言

する役割を果たすとともに,成長への施策を担い,各部 署のコンフリクトを避け,各部門の機能を統合する役割 を果たしている。また,CGO に任命される人材要件と は,マーケティングの知識のみならず,地域の子会社トッ プや営業責任者としてジェネラル・マネジメントの経験 を合わせもち,同時にグローバルな市場や組織の経験を 積んだ人物である。 このような米国における CGO 設置への動きは日本企 業にも重要な示唆を含んでいる。日本企業は I 章と II 章 で見たように,CMO への動き自体が浸透していないと いう課題をもっている。しかし,今後企業成長に,より 積極的役割を果たす役職の設置とその役職に適した人物 の育成が急務な課題となることが考えられる。

IV.検討

本章では I–III 章の結果をまとめるとともに,企業の CMOあるいはそれに準ずる地位の役職者に対して詳細 インタビューを実施して,その意味を解釈すると同時に, 日本企業への実務的示唆を得ることとする。 I章では先行研究をレビューした結果,欧米の研究で は 00 年代に CMO の設置について業績に貢献しているか どうか,実証的研究の結果でも明確には判定されなかっ た。しかし 2010 年代,ことに,Germann et al.(2015) は 12 年間の長期にわたる企業業績を精査して,トービ ンの q を企業業績の変数として用い,CMO 設置企業の ほうが非設置企業よりも 15%高いという頑健な成果を報 告している。しかしながら日本企業においてはまだこの ような実証的結果は報告されていない。ここから次のよ うなリサーチクェスチョンを設定した。 RQ1:日本企業にはどの程度の CMO が設置されてい るだろうか。またどの産業分野に CMO は多いだろうか。 RQ2:日本企業で CMO を設置している企業の業績は, 設置していない企業と比較して優れているだろうか。 RQ3:CMO の存在は世界的に現在どのような動きを示 し,今後どのようになると予測されるだろうか。 II章では,上場企業の人事データをクローリングによっ て収集し,同時に 2016–18 年の企業業績データと照らし 合わせ分析したところ,次のような結果を得た。 (1)日本の上場企業で,CMO を有する企業の割合は, CMOの定義によって異なるがおおよそ 8–11%程度であ る。相対的に広義の CMO が多い業種は食料品,繊維製 品,化学,医薬品,ゴム製品,ガラス・土石製品,電気

(15)

機器,輸送機器,精密機器,情報通信,卸売業,その他 金融業の 12 業種であり比較的 BtoC カテゴリーが多い。 (2)2016 年,17 年,18 年いずれも「CMO あり企業」 が「CMO なし企業」よりも有意に規模が大きい。 (3)規模因子と,CMO 設置の有無を独立変数とし, 2016年度から 2018 年度の売上の変化率を従属変数とす る重回帰分析を実行したところ,CMO 設置は 4.7%の増 収効果をもっていた。つまり,CMO の設置は日本企業 の業績にプラスのインパクトをもっている可能性がある。 さらに III 章では文献サーベイを基に,世界特に米国の CMO職務が近年どのような動きを示しているかを調査 した。 発見として,有力な米国の消費財企業においては CMO に代わって CGO(チーフグロースオフィサー)という職 務が 2010 年代に増加していることが確認できた。この CGOという職務は,マーケティングのみならず,企業の 成長を図る職務として CEO の直下におかれ,CEO に進 言する役割を果たすとともに,成長への施策を担い,各 部署のコンフリクトを避け,各部門の機能を統合する役 割を果たしている。また CGO として,地域の子会社トッ プや営業責任者としてジェネラル・マネジメントの経験, グローバルな市場や組織の経験を積んだ人材要件が求め られることもわかった。その背景として米国の消費財企 業が 2010 年代に内外の環境変化によって成長の鈍化に 見舞われていることが指摘できる。 ここでまだ未解決の研究課題とは,なぜ日本企業で CMO設置企業の方が非設置企業よりも業績の伸長率が 高いのだろうか,という疑問である。この結果を解釈す るために,4 名の元 CMO ないしマーケティング担当役 員にヒアリング調査を実施した。インタビュー相手は次 の 4 名である。 1)50 代男性。広告代理店,外資系コンサルティング 会社,外資系消費財企業,外資系 ICT 企業などを経た。 日本で外資系企業のマーケティング担当役員を経験して いる。 2)50 代女性。日本で外資系消費財企業マーケティン グ管理職,社長職を経て,海外で消費財企業のマーケティ ング担当役員を経験。 3)40 代男性。日系 ICT 企業 CMO。外資系コンサル ティング会社,ICT 企業を経て着任。 4)40 代男性。日系消費財企業マーケティング本部長。 外資系消費財企業を経験。 4名のインタビューの共通項を総合化すると,以下の 発見があった。 発見 1.【社内資源の方向づけ】CMO は売上に責任を もつ場合と持たない場合がある。売上に責任を持たない 場合,社内の色々な部門と連携し,売上を上げるすべて の活動をリードする役割を担う。具体的には,BtoB であ れば,「パイプライン」つまりデジタルコンテンツから送 客し,その後は営業に渡すなど,リードジェネレーショ ンを行う。BtoC であれば,どの商品に「フォーカス」す るかその方針を決めて推進する。また長期・短期の活動 計画を作成する。こうした方向づけのためにビジョンを もつ必要がある。また顧客がもつニーズに対して社内の 異なった BU を対応させ全社のリソースを活用できるよ うに図る。売上や PL に責任をもつとき,CMO は end to endつまり商品,広告,売上,利益のすべてのプロセス に関わる必要がある。さらにチェンジエージェントとし て,変革をリードする役割も担う。 発見 2.【コンフリクトマネジメント】社内の部門同士 あるいは CEO などの上級役員と部門間のコンフリクト が産まれるときに,そのすり合わせ,解決役,合意形成, コンフリクトマネジメントを行う者として CMO が関わ る。このために対人折衝能力が求められる。 発見 3.【マーケティングエクセレンス開発】CMO に は二種類あり PL に関わる CMO と,PL には直接かかわ らず「マーケティングエクセレンス」,つまりマーケティ ングのスキルやノウハウ開発あるいはマーケティングイ ノベーションに関わるタイプの CMO がいる。KPI の設 定や管理も含めて CMO が管理する場合もある。例えば, 顧客満足に代わる指標の開発,リサーチの方式の定型化 など。またブランドマネージャーの育成なども CMO の 担当範囲となる。 発見 4.【マーケットインテリジェンス】市場探索を行 い,市場の中のどこに潜在的なニーズがあるかを探る。 あるいは新しい事業パートナーを探すパートナリングを 行う。 CMOがコミュニケーション,リサーチ,ブランドを

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管理するのは当然であるが,これらの部門を統括するだ けでなく,上記のような幅広い任務を負わされているの が実際の CMO なのである。ここから得られた示唆とは 実際の CMO は我々が文献調査で明らかにした CGO の役 割とかなり似通っているということである。 すでに引用したように,Hinds et al.(2016)によれば,

CGOは①CEO に次ぐ高位の Corporate Officer として

CEOに進言し,②成長に力点を置きながら,③経営戦 略,マーケティング,営業,およびその他関連諸機能を 統合的に管掌する役割を果たしている。つまり,本イン タビューで語られた CMO は実質的には CGO の役割をか なり果たしていると考えることができるだろう。 これらの結果から,日本企業において,なぜ CMO 設 置企業が非設置企業よりもより優れた業績を示している かを考えると,発見 1 から 4 の,4 つの役割を CMO が 実際に実現できているためではないかと推察される。ま たこれらの CMO の役割は CGO が現在担っている役割と も重なる部分が多い。以下ではこれらの発見に基づいて 本論文での発見を統合化してモデルとして捉えてみたい。 それが図 7 の CMO/CGO と企業成長メカニズム仮説で ある。 つまり,この CMO/CGO と企業成長メカニズム仮説に よれば,CMO/CGO を設置することで①社内の資源が方 向付けられ,②組織間のコンフリクトが解決されること で,同じ方向に企業が向かうことを可能にし,A.企業 資源が効率的に集中化される。さらに,③マーケティン グエクセレンスが開発され,④マーケットインテリジェ ンス=市場探索を行うことで,いっそう B.企業のもつ 市場対応能力が高まる。A と B の結果が合成され,業績 の伸長に結びつくことが想定できるのである。 このように考えると,II 章での発見,つまり,CMO 設 置には大企業が多いが,実際の業績への効果はより規模 の小さな企業により大きい理由も解釈ができる。つまり, CMO設置の必要性は,社内資源の方向づけや組織間コ ンフリクトの多い大企業にとってより切実な課題として 捉えられているであろう。また大企業ほどマーケティン グエクセレンスを持ち,マーケットインテリジェンスも 行っているために,CMO が必要とされる。しかしなが ら,実際に CMO 設置の成果をより享受するのは,①② ③④を CMO の指揮下,より効率的に運営できているよ り規模が小さな企業であろう。 この仮説モデルは次の実証研究につなげるためのモデ ルとして提出される。 最後に,本論文の限界について触れたい。II 章での実 証分析の基となった企業データは 3 年間の限定された期 間であり,Germann et al.(2015)の 12 年間にわたるデー タを用いた研究のように,より長期の観察に基づいた分 析が必要とされる。また今回のデータでは,クローリン グにより収集ができなかった企業も多く,さらに業績の 欠損値も多かったため,これらの欠陥を今後克服する必 要がある。また,データ収集期間中に人事情報をオンラ インで表示していない上場企業については分析からはず CMO/CGO と企業成長へのメカニズム仮説 図 7  

(17)

れてしまう結果になる点も課題である。

また III 章の CMO から CGO への「進化」も米国の消 費財企業における一時的な流行なのか,長期的に定着す る傾向なのかが判然としなかった。また消費財以外の企 業への広がりも今回の文献調査の範囲でははっきりしな かった。 しかしながら,本論文ではこれまでになされなかった 日本企業における CMO 設置と業績の関係の一端を捉え た初めての研究であり,さらに,詳細インタビューに基 づいて次の研究への手掛かりをつかむことができた。企 業におけるマーケティングの地位を明らかにするため今 後とも多くの探求が望まれる。 謝辞 企業データ収集に当たっては,株式会社 Nexal の上島 千鶴氏,佐藤裕之氏にお世話をかけた。ただし本論文で のありうべき間違いはすべて著者の責任に帰すべきもの である。 注 1) データ収集にあたっては,株式会社 Nexal の協力を得た。 2) Nexal 社は上場企業のうち 3,707 社のデータを保有してお り,このうち今回人事ニュースを検索してヒットしなかっ た,つまり人事情報が確認できなかった企業は 430 社であっ た。この結果,人事情報を確認できた企業数は 3,277 社で あった。この 3,277 社を基数とすると,より狭義の CMO (役員,執行役員)の設置率は 240 社(業績欠損値企業含 む)であり,社のうち,6.5%であった。 3) 日本の大手企業でも CGO を設置する動きが出てきている。 資生堂は 2018 年 11 月 6 日付けのプレスリリースにおいて, 2019年 1 月 1 日付けで,米州を統括する地域本社である資 生堂アメリカズ社長 CEO の Marc Rey 氏が,新設する CGO に就任する旨を発表した(Shiseido, 2018)。Rey 氏は,CGO として資生堂グループがグローバルビューティー市場で成 長を続けるため,新たなビジネスモデルを開拓するととも にグループ全体の成長戦略を推進する職務が付与され,資 生堂グループ CEO である魚谷雅彦氏の直属となる。具体的 には,従来通り資生堂アメリカズ社長 CEO として米州地域 ビジネスに責任を負うことに加え,グローバルプレステー ジメイクアッププブランド事業,およびメイクアップとデ ジタルのセンター・オブ・エクセレンスを管轄する。さら に新設される Technology Acceleration Hub とグローバル M&Aチームを統括する。

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