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日立グループのモビリティ事業の戦略と展望

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Academic year: 2022

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社会課題の解決でグローバルな成長を牽引する

日立グループのモビリティ事業の戦略と展望

C oncept

社会課題を志向する ビジネストレンド

グローバルなビジネストレンドは大きく変わってきて いる。特に2008年のリーマンショックなどを契機とし,

グローバル市場において持続的な成長を実現していくう えでは,企業が社会的な課題解決や価値提供に寄与する ことが重要だとの考え方が浸透してきた。2015年には 国 連 がSDGs(Susitainable  Development  Goals: 持 続 可能な開発目標)を発表し,主に企業の経営者やビジネ スリーダーに向けて,地球社会が共通して直面する課題 に対してより積極的なコミットメントを求めた。2030 年まで10年足らずとなった今,SDGsが掲げる目標数

値を達成するためには企業の具体的な貢献が不可欠だ が,グローバル企業の多くはすでにSDGsを自社の経営 の根幹に据え,事業戦略の抜本的な見直しを図っている。

日立は,こうしたビジネストレンドに先駆けて社会イ ノベーション事業を標榜し, ITを活用した社会インフラ の高度化やオープンな連携・協創を通じた社会課題の解 決に取り組んできた。さらに,SDGsやSociety 5.0など,

イノベーションによって社会課題を解決しようという動 きが加速する状況に応えるべく,新たな中期経営計画で は全事業をモビリティ,ライフ,インダストリー,エネ ルギー,ITという五つのセクターに分け,デジタル技 術を駆使しながら,顧客と共に社会価値,環境価値,経 済価値を向上して いくことを掲げている(図1参照)。

図1 │社会価値,環境価値および経済価値の向上

モビリティ ソリューション

ライフ ソリューション

インダストリー ソリューション

エネルギー ソリューション

IT ソリューション

社会価値 環境価値 経済価値

プロダクト プロダクト プロダクト プロダクト プロダクト

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図2 │SDGs達成に貢献する日立のモビリティ事業

人口増加 世界人口※1)

2018年76億人→2050年97億人

都市化 世界の都市人口割合※2)

2018年55%→2050年68%

気候変動 気候変動がもたらす 環境・経済・社会への悪影響 社会の変化

モビリティに 求められるもの

・ より速く,より環境に配慮した都市間移動

・ 都心部における自動車依存の軽減

・ 高層ビルの人の流れの整流化

・ Mobility as a Service

日立レールは,英国 サウス・ダラムに14 歳から19歳までの 600名 を 対 象とし た,ユニバーシティ・

テクニカル・カレッ ジ(UTC)の設立を 支援

UTCサウス・ダラム

次世代車両プラット フォームでは,リサイ クル可能な材料を 95%利用

新型2階建てEMU「Rock」

日立の製品は,世界 中で経済,環境およ び社会的価値の向 上に寄与

2021年 まで に 国 内 既 設 エレ ベ ー ターのリニューアル 対 象 約3万 台のう ち半数を置き換え,

45%のCO2削減を めざす

「アーバンエース」

利用者の歩行速度 に合 わせ,エスカ レーターの速度を 切り替え,すべての 利用者の利便性を 向上

気配りセンサー付き日立エスカレーター モビリティのSDGs

英国向け高速車両Class 800シリーズ

 都市の健全な発展を支え,

グローバルな成長をめざす

鉄道事業とビルシステム事業を統合するモビリティセ クターは,売上収益の約3分の2を海外が占め,今後も グローバルな成長が期待される事業領域である。急激な グローバル化やデジタル化の進展によって予測不能な時 代を迎える今日,社会の変化に合わせてモビリティに求 められる価値も大きく変わってきている。日本を含む先 進国では少子高齢化が社会問題となっているが,世界と しては人口増加の傾向が続いており,2018年には76億 人だった世界人口は2050年には97億人まで増えると予

想されている。またその人口が都市部に集中し,2018 年に55%だった都市人口の割合は2050年には68%まで 上昇する。これらの人口が世界中を行き交うことによっ て生じる温暖化と気候変動が環境,経済,社会にさまざ まな影響をもたらすものと考えられている。

こうした課題が山積する時代において,都市の健全な 発展を支えるモビリティソリューションとは,一体どの ようなものであろうか。

温室効果ガス削減に向けては都心部における自動車へ の依存度を下げる必要があり,鉄道をはじめとする公共 交通による,より速く,より環境に配慮した都市間移動 が求められる。また,都市の最小単位であるビル内での 移動も見過ごすことはできない。そのため,エレベー

注:※1)世界銀行のデータに基づく。 ※2)国際連合「世界都市人口予測2018年度改訂版」による。

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ター・エスカレーターなどの運行データの活用,ビル内 の画像解析などにより,人の流れを整流化するといった スマートビルの実現に期待が集まっている。さらには,

鉄道や公共交通,自動車からビル内の昇降機に至るさま ざまな移動手段に関する情報やデータを統合・連携し,

最適運行を実現するとともに利用者に対して新たな高付 加 価 値 サ ー ビ ス を 提 供 す るMaaS(Mobility  as  a  Service)の構想が本格的な実用段階に入っている。ス マートシティに関して多くの実績を持つ日立は世界各地 のPoC(Proof  of  Concept)に参画し,その一翼を担っ ていく考えである。

こうした新たなニーズへの対応の先にはSDGsの掲げ る各分野の目標達成がある。モビリティセクターでは SDGsへの貢献を重要な事業指標として優先的に取り組 んでいる。例えば,ビルシステム分野では2021年まで に国内既設エレベーターのリニューアル対象約3万台の うち半数を置き換え,45%のCO2削減をめざすことで,

気候変動やエネルギーに関する目標の達成に,また高齢 化社会に対応し,利用者の歩行速度に合わせて自動で減 速制御するエスカレーターで,住み続けられるまちづく りにそれぞれ貢献する。一方,鉄道分野では,次世代車 両プラットフォームにリサイクル可能な材料を95%使 用し,資源循環と環境負荷軽減を図っていく考えだ

(図2参照)。

グローバルな協創で 世界の鉄道をリード

世界に広がる日立の鉄道事業

現在,世界で約1万2,000人の従業員を擁する日立の 鉄道事業の歴史は古く,日本国内では100年前の1920 年に蒸気機関車の製造に着手し,1924年に完成した国 産初の大型電気機関車ED15形が原点と言える。2015 年,日立グループに加わったHitachi  Rail  S.p.A.  (旧 Ansald  Breda社)の歴史はさらに古く,そのルーツは  1853年,イタリア・ジェノヴァでジョヴァンニ・アン サルドによって創業されたアンサルド社にまで遡る。創 業当初は英国からの輸入に依存していた蒸気機関車のイ タリア国産化をめざし,1850年代後半に最初の国産蒸 気機関車を納入した。

また2001年にアンサルド社と合併したブレダ社は,

エルネスト・ブレダによって1886年に設立され,鉄道 車両だけでなく,のちに飛行機の製作も手掛けたイタリ ア有数のメーカーであった。両社は機関車,電車の製造 から,ETR200,ETR400(Frecciarossa  1000)などの高 速鉄道車両の製造を担ってきた。

一方,信号関連分野を担当するアンサルドSTS社も 2006年に設立された会社ではあるが,1881年にジョー ジ・ウェスティングハウスが創設したユニオン・スイッ チ・アンド・シグナル(US&S)社,スウェーデンのス タンダード・レディオ・オ・テレフォン社,フランスの 鉄道信号企業であるCSEE社など,それぞれ歴史を持つ 有力な通信事業や信号会社を統合しながら,信号システ ム・ターンキー事業をグローバルに展開してきた。貨物 輸送向けと旅客輸送向けに信号&保全装置の開発,製造,

新設,更新,保守を一手に手掛け,特に自動制御システ ム技術に優位性があり,それを中核とした自動運転シス テムが2002年にデンマークのコペンハーゲンで採用さ れ,その後,イタリアのミラノ地下鉄5号線などにも採 用された。2015年よりHitachi Rail S.p.A.とともに日立 グループの一員となり,Hitachi Rail STS S.p.A.として 新たなスタートを切ることとなった。

「気候変動や都市化に関する多くの課題が顕在化して いる今日,都市機能の中核を担う鉄道に対しての期待が 世界的に高まっていますが,こうした大規模かつ複雑な 社会システムを構築し,安全・安心に運用する能力を備 えた企業はワールドワイドに見ても数社に限られます。

日本,英国,イタリアの伝統を受け継ぐ日立の鉄道事業 は2020年現在,世界中に11の生産拠点を有しており,

米国・イタリア・インド・オーストラリアなどへの信号 システム,英国でのClass  800シリーズなどの車両,

アンドリュー・バー

日立製作所 執行役常務 鉄道ビジネスユニット CEO

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日本国内では新幹線車両やモノレールシステムを納入し ています。(図3参照)。今後は鉄道システムにおけるトー タルソリューションのリーディングカンパニーとして,

さらなる発展をめざしています。」(日立製作所  執行役 常務・鉄道ビジネスユニット CEOアンドリュー・バー)

鉄道のフルラインアップで世界に挑む

グローバルに拡大する日立の鉄道事業は,世界各地の 多様なニーズに応えるために車両,信号&ターンキー,

サービス&メンテナンスという三つのビジネスラインで 競争力の強化を図っている。それぞれの分野でコア製品 と技術への投資を行い,顧客に対する付加価値を高めて いく計画である。

車両ビジネスは,高速車両,通勤電車,モノレール,

空調・換気装置,台車などに加え,インバータ制御装置,

ハイブリッド駆動システム,ATIなどの車載機器を含む 分野だ。ここでは主にグローバルな製造工程における作 業量の平準化・効率化を図る新プラットフォームの開発

に注力する。特にデジタル・IoTソリューションを導入 することにより,顧客ニーズを見据えた技術革新を加速 していく。

信号&ターンキービジネスは,ネットワーク信号制御 システム,デジタルATC(Automatic  Train  Control:

自動列車制御装置)  運行管理システム,旅客案内システ ム,鉄道用受変電システムなどである。ここでは“One  Hitachi Rail”として,日立製作所とHitachi Rail STSの 事業の統合を推進し,グローバルなプロジェクトマネジ メント能力を強化していく。またERTMS(European  Rail  Traffi  c  Management  System)への取り組みを強化 し,CBTC(Communication  Based  Train  Control  System:無線式列車制御システム)の新市場を開拓し,

関連デジタル技術を開発することがカギとなる。

サービス&メンテナンスビジネスは,鉄道システムの エンジニアリング・保守・運用などに関わる分野である。

ここでは,予防保全向けのデジタル・IoTソリューショ ンの深化が課題であり,車両のライフサイクルコストの 図3 │鉄道事業における主要プロジェクトの進捗状況

日本・車両

東日本旅客鉄道株式会 社向け新幹 線E7系車 体と電気品納入

モロッコ・信号 タンジェ=カサブラン カ高速鉄道営業開始

イタリア・信号 フィレンツェ トラム1・2号線完納

イタリア・車両 ピストイア工場で新型 二階建て車両「Rock」

披露

2019年6月営業運転開始

インド・信号 全長29.7 kmノイダメ トロのアクアラインが

開業

オーストラリア・信号 Rio Tinto Limitedの 貨 物 列 車 が100万 kmの自動運転走行を 達成

英国・車両 Great Western  RailwayおよびLNER 向けIEP車両が完納

英国・車両 70編成のAbelio  ScotRail向けClass  385車両が完納

デンマーク・車両 コペンハーゲンメトロ 向け車両を完納 2019年9月環状線開業

日本・車両

西武鉄道株式会社向 け新型特急車両001 系(Laview)運行開始

日本・車両

大阪モノレール株式 会社向け新型モノレー ル3000系納入

日本・車両

東海旅客鉄道株式会 社向けN700S 2020年7月営業運転 開始

米国・信号

マサチューセッツ湾交 通 局 向けPTCシステ ムの据付の完了

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削減をめざし,サプライチェーン管理を強化していく。

これらを通じて車両のサービス品質・信頼性の継続的な 向上を図っていく考えである。

「日立の強みは,車両,信号&ターンキー,OS&M

(Operation,Service & Maintenance:運用・サービス・

保守)という,鉄道システムに関わる三つの分野を統合 するフルシステムプロバイダーであることです。現在,

モビリティとしての全体最適化が一層求められる将来課 題に対して,独自のソリューションを提案する体制が整 いつつあります。三つのビジネスラインが連携して開発 を進めることにより,モビリティ分野のシステムインテ グレーターとしてB2B(Business to Business)のビジネ スだけでなく,B2C(Business  to  Customer)のビジネ スも通じて,イノベーションを通じた新しい価値で社会 のニーズに応えることで,よりよい社会の実現に全力を 尽くしていきます。」(バー)

Lumadaが実現する次世代の鉄道システム

こうした戦略を実行するうえで最大のコアコンピタン スとなるのが日立のLumadaが提供するデジタルソ リューションテクノロジーである。

製造工程では先端ロボティクスやAIと生産設備のつ ながる化によるデジタルファクトリーの実現をめざすと ともに,シームレスなサプライチェーン管理による品質 管理,工場設備の保守,コンポーネント部品数の適正化 などを通じてスループットの拡大を図っていく。

将来の車両に向けては,需要に応じた運行で混雑緩和 に寄与するダイナミックヘッドウェイや無人自動運転に よる省力化をめざす。また,オペレーション面では運行 状況の診断モニタリングや故障予測技術などを駆使した 最適化・効率化と,データを活用した新たな高付加価値 を提供していく(図4参照)。

図4 │日立グループのデジタルソリューションテクノロジー

製品 製造 オペレーション

将来の車両 デジタルファクトリー

およびオペレーション

先端ロボティクス

スマートマシンとつながる化

サポートファンクション 運行状況

シームレスサプライチェーン

倉庫管理の最適化

診断モニタリング

故障予測技術

センサー実装

無人運転

運行管理システムとの 組み合わせで差別化

生産設備のつながる化 日立技術を活用し,

マシンラーニングを促進

オペレーションの効率化を目的とした取り組み (2019年度)

コア製品の強化

ダイナミック ヘッドウェイ

需要に応じた運行

輸送力最大化と 混雑緩和

運行管理システム との組み合わせで 差別化

無人自動運転

省力化

組み合わせによる 需要に応じた運行

新規事業の創生

チケッティング

バックエンドシステム およびオペレーション サービスの提供

乗客の移動情報 取得による 新しい価値を創造

セキュリティ

画像認識技術による 自動検知・検索

反社会的行為抑制

オペレーションの効率化

PLM

車両開発データの統合 により再利用を最大化

既存システムとの インタフェースに よりデータを集積

デジタル ファクトリー

仮想実車試験システム

(等価試験)

サプライチェーンを統括 するコントロールタワー

サプライヤとのリアル タイム情報共有

サプライチェーン コントロールタワー スループットを拡大するため サプライチェーン管理の改善

品質管理および工場保守 工場の予防的な設備保守 およびコンポーネント部品数 の適正化

駆動システム診断パッケージ モーターおよび電気品向け 予知保全システム

(6)

のニーズに応えるため,2010年には水戸事業所に当時,

エレベーター研究施設としては世界で最も高い地上高 213  mの「G1TOWER」を完成させた。一方で昇降機の メンテナンス面では遠隔知的診断システム「ヘリオス」

や,グローバル管制センターへの投資を拡大している。

ビルシステム事業のグローバル展開としては,1980 年から中国市場で本格的に昇降機事業の展開を始め,

1995年には広州に製造・販売・サービスを担う合弁会 社を設立した。以後,市場の拡大に応じて絶えざる革新 を続け,新たな地域で社会イノベーション事業の中核と して成長を牽引してきた。特にアジア・中東地域では 2010年代より販売・サービス拠点の拡大を加速し,中 国市場においてはトップクラスの新設受注台数シェアを 獲得している。こうした近年の成果を象徴するのが,広 州周大福金融中心に納入した世界最速※)1,260  m/分の エレベーターである(図5参照)。

「世界最大の市場である中国ではNo.1昇降機メーカー としての地位を守りつつ,その生産能力を活用してアジ ア・中東諸国への輸出拡大を進めていきます。その一方 で現在,高齢化が急速に進む中国では,一人ひとりの QoLを基点とした社会課題への取り組みが求められて おり,ビルシステム事業においては,エレベーターのな い古い団地にエレベーターを後付けする取り組みを推進 しています。ビルシステム事業は,オフィス,住宅,商 業施設,公共施設,宿泊施設などの多様な顧客ベースを 有しており,スマートシティのような広範囲にわたる社 会イノベーション事業を牽引する事業領域と言えます。」

(日立製作所  執行役常務・ビルシステムビジネスユニッ ト CEO 光冨眞哉)

社会イノベーションのコア事業として 世界No.1をめざす

日本・中国から世界に拡大する日立のビルシステム事業 日立のビルシステム事業は,駅やビルなどで快適な移 動を担う昇降機を軸に展開してきた。エレベーターは 1920年代に亀戸工場で研究開発を開始し,1932年に東 京電気株式会社川崎工場に第1号機を,エスカレーター は1936年に大鉄百貨店へ第1号機をそれぞれ納入した ことからスタートした。戦後は昇降機の需要増加に伴い,

1961年に国分工場から水戸工場に昇降機生産を移管し た。高層ビル時代を見据えて高速エレベーター技術の開 発に取り組み, 1968年に竣工となった日本初の超高層 ビル,霞が関ビルディングに,当時の国内最高速となる 定格速度300 m/分の高速エレベーターを納入した。ま た,ビルの高層化やマンション,オフィスビルの増加に 合わせて1970年代からは遠隔監視技術の開発,メンテ ナンスサービスの拡大に注力した。

その後,日立の昇降機は,オフィスビル,マンション,

商業施設など,多くの高層・超高層ビルで利用されなが ら,インバータ制御方式の採用などによる進化を続けて きた。さらなるビルの超高層化に伴う高速化や大量輸送

光冨 眞哉

日立製作所 執行役常務 ビルシステムビジネスユニット 

CEO

図5 │ 世界最速1,260m/分のエレベーターを 納入した広州周大福金融中心の外観

※)2020年7月現在(日立製作所調べ)。

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データ活用で新たな価値をグローバルに提供していく 今後はエレベーター・エスカレーターの新設・リニュー アルおよびメンテナンスを中心とする昇降機事業をデジ タル技術で高度化していくことに加えて,既存の事業 チャネルを生かし,ビル設備をはじめとするさまざまな データを活用して新たなビルサービス事業を拡大してい く考えであり,グローバル市場での競争力を一層強化す るための施策を進めている。

まず先端的なサービス提供を可能にするプラット フォームとして,世界で60万台を超える昇降機やその 他のビル設備,そして世界1,500拠点のサービス・メン テナンス網を結ぶグローバル管制センターの機能をさら に拡充し,ビルサービス事業のグローバル展開を加速し ていく(図6参照)。

続いてはコアコンピタンスであるLumadaを活用した デジタル化による新たな価値の提案だ。ビル設備に加え,

ビル内の人の動き,混雑状況などのさまざまなIoTデー タを収集・分析し,設備の最適化や就業者向けのサービ スを提供する。

「グローバル管制センターを強化し,AIを活用した故 障復旧支援システムの導入などのサービスの高度化を図 るとともに,遠隔監視サービスやビルオーナー・管理者 向けダッシュボードのグローバル展開を推進していま す。また,スマートビル,スマートシティの実現に向け て,昇降機とその他のビル設備や,サービスロボットな どを組み合わせたデジタルソリューションの開発を加速 しています。日本を中心に実績を積み上げ,Lumadaの ユースケースとして蓄積し,グローバルでの課題解決に 貢献していきたいと考えています。」(光冨)

危機の時代を乗り越えていくために

2020年の年頭から現在に至るまで,新型コロナウイ ルスの世界的な感染拡大によって,世界各地で医療機関 の機能を守るために都市封鎖などの対策が行われてい る。こうした中で,人と人,人と物の接触を最小限に抑 制しようというソーシャルディスタンスやフィジカル ディスタンスなどの考え方が唱えられ,今後,感染拡大 が鎮静化したとしても,第二波,第三波を警戒した新し

い生活様式が求められるようになっている。

日立は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という 危機に対して,社会インフラやサプライチェーンの維持,

顧客の事業継続への支援などに努めるとともに,新たな 生活様式や社会のあり方に対応した技術開発と製品・

サービス提供に注力している。モビリティセクターでは,

ビル・建物内の非接触での移動・生活を実現する「タッ チレスソリューション」の提案をはじめ,ソーシャルディ スタンスに配慮しつつ,都市空間における安全・安心・

快適な移動をトータルに支援するソリューションを検討 している。

「新型コロナウイルスのパンデミックにより,世界は いっそう予測不能な時代に突入しています。しかし,こ のような危機的な状況にこそ,社会イノベーション事業 を通じてグローバルに培ってきた幅広い実績と知見を生 かせる機会があると考えています。これは,社会・環境・

経済にわたる新たな価値を協創する機会と捉え直すこと ができます。日立のモビリティセクターは鉄道や昇降機 など,人の移動を支援する技術を磨いてきましたが,今 後は新たな顧客ニーズをいち早く捉えたソリューション を開発し,コアとなる製品と組み合わせて提供すること で,都市空間におけるニューノーマルに貢献していきた いと考えています。」(光冨)

図6 │ グローバル管制センターの様子

参照

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