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有害性評価書 Ver. 1.1 No.39 1,2- ジクロロプロパン 1,2-Dichloropropane 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 :1-135 CAS 登録番号 : 新エネルギー 産業技術総合開発機構 委託先財団法人化学物質評価研究機構 委託先独立行政法人製品評価技

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有 害 性 評 価 書

Ver. 1.1

No.39

1,2-ジクロロプロパン

1,2-Dichloropropane

化学物質排出把握管理促進法政令号番号:

1-135

CAS 登録番号:78-87-5

新エネルギー・産業技術総合開発機構

委託先 財団法人 化学物質評価研究機構

委託先 独立行政法人 製品評価技術基盤機構

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目 次

1. 化学物質の同定情報... 1 1.1 物質名 ... 1 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号 ... 1 1.3 化学物質排出把握管理促進法政令号番号... 1 1.4 CAS 登録番号 ... 1 1.5 構造式... 1 1.6 分子式 ... 1 1.7 分子量 ... 1 2. 一般情報 ... 1 2.1 別 名 ... 1 2.2 純 度 ... 1 2.3 不純物 ... 1 2.4 添加剤又は安定剤... 1 2.5 現在の我が国における法規制 ... 1 3. 物理化学的性状 ... 2 4. 発生源情報 ... 2 4.1 製造・輸入量等... 2 4.2 用途情報 ... 2 4.3 排出源情報 ... 3 4.3.1 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 ... 3 4.3.2 その他の排出源... 4 4.4 排出経路の推定... 4 5. 環境中運命 ... 5 5.1 大気中での安定性... 5 5.2 水中での安定性... 5 5.2.1 非生物的分解性... 5 5.2.2 生分解性 ... 5 5.2.3 下水処理による除去 ... 6 5.3 環境水中での動態... 6 5.4 生物濃縮性 ... 6

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6.1 水生生物に対する影響... 6 6.1.1 微生物に対する毒性 ... 6 6.1.2 藻類に対する毒性... 7 6.1.3 無脊椎動物に対する毒性 ... 8 6.1.4 魚類に対する毒性... 9 6.1.5 その他の水生生物に対する毒性 ... 10 6.2 陸生生物に対する影響... 11 6.2.1 微生物に対する毒性 ... 11 6.2.2 植物に対する毒性... 11 6.2.3 動物に対する毒性... 11 6.3 環境中の生物への影響 (まとめ) ... 11 7. ヒト健康への影響... 12 7.1 生体内運命 ... 12 7.2 疫学調査及び事例... 14 7.3 実験動物に対する毒性... 16 7.3.1 急性毒性 ... 16 7.3.2 刺激性及び腐食性... 16 7.3.3 感作性 ... 17 7.3.4 反復投与毒性... 17 7.3.5 生殖・発生毒性... 20 7.3.6 遺伝毒性 ... 22 7.3.7 発がん性 ... 24 7.4 ヒト健康への影響 (まとめ)... 26 文 献 ... 28 有害性評価実施機関名,有害性評価責任者及び担当者一覧... 36 有害性評価報告書外部レビュア一覧... 36

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1.化学物質の同定情報 1.1 物質名 : 1,2-ジクロロプロパン 1.2 化学物質審査規制法官報公示整理番号 : 2-81 1.3 化学物質排出把握管理促進法政令号番号 : 1-135 1.4 CAS登録番号 : 78-87-5 1.5 構造式 1.6 分子式 : C3H6Cl2 1.7 分子量 : 112.99 2.一般情報 2.1 別 名 二塩化プロピレン、1,2-DCP 2.2 純 度 99.5%以上 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構, 2002) 2.3 不純物 プロピオンアルデヒド、エピクロロヒドリン、プロピレンクロロヒドリン (一般的な製 品) (化学物質評価研究機構, 2002) 2.4 添加剤又は安定剤 無添加 (一般的な製品) (化学物質評価研究機構, 2002) 2.5 現在の我が国における法規制 化学物質排出把握管理促進法:第一種指定化学物質 化学物質審査規制法:指定化学物質 (第二種監視化学物質) 消防法:危険物第四類第一石油類 労働安全衛生法:危険物引火性の物、名称等を通知すべき有害物 海洋汚染防止法:有害液体物質C 類 船舶安全法:引火性液体類 航空法:引火性液体 港則法:引火性液体類

C

Cl

H

H

C

Cl

C

H

H

H

H

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3.物理化学的性状 外 観:無色液体 (U.S. NLM:HSDB, 2002) 融 点:-100℃ (IPCS, 2000 ; Verschueren, 2001) 沸 点:96℃ (Merck, 2001) 引 火 点:16℃ (密閉式) (IPCS, 2000 ; NFPA, 2002) 21℃ (開放式) (Merck, 2001) 発 火 点:557℃ (IPCS, 2000 ; NFPA, 2002)

爆 発 限 界:3.4~14.5 vol% (空気中) (IPCS, 2000 ; NFPA, 2002) 比 重:1.159 (25℃/25℃) (Merck, 2001)

蒸 気 密 度:3.89 (空気 = 1)

蒸 気 圧:27.9 kPa (20℃) (IPCS, 2000)

分 配 係 数:オクタノール/水分配係数log Kow = 1.98 (測定値)、2.25 (推定値) (SRC:KowWin, 2002) 解 離 定 数:解離基なし スペクトル:主要マススペクトルフラグメント m/z 63 (基準ピーク = 1.0)、62 (0.71)、27 (0.57)(NIST, 1998) 吸 脱 着 性:土壌吸着係数 Koc = 47 (測定値) (Gangolli, 1999) 溶 解 性:水:2.8 g/L (25℃) (SRC:PhysProp, 2002) 一般的な有機溶媒:混和 (Merck, 2001)

ヘ ン リ ー 定 数:286 Pa・m3/mol (2.82×10-3 atm・m3/mol) (25℃、測定値) (SRC:PhysProp, 2002)

換 算 係 数:(気相、20℃) 1 ppm = 4.70 mg/m3、1 mg/m3 = 0.213 ppm 4.発生源情報 4.1 製造・輸入量等 1,2-ジクロロプロパンの 1997 年から 2001 年までの 5 年間の製造量、輸入量は表 4-1 の通りで ある (通商産業省, 1998, 2000a,b; 経済産業省 2002, 2003)。ただし、ここでの製造量は出荷量を 意味し、自家消費分を含んでいない。 表4-1 1,2-ジクロロプロパンの製造・輸入量等 (トン) 年 1997 1998 1999 2000 2001 製造・輸入量 8,641 7,021 7,096 6,492 5,140 (通商産業省, 1998, 2000a,b; 経済産業省 2002, 2003) 4.2 用途情報 1,2-ジクロロプロパンの用途として、金属用洗浄剤、油脂、樹脂、ゴム、ワックス、アスフ ァルト等の溶剤、ドライクリーニング用溶剤 (GDCh BUA, 1996) に使用されているという報告 がある。また、1,2-ジクロロプロパンを高温で塩素化することにより、四塩化炭素とテトラク ロロエチレンが合成される (関東電化工業, 1998)。

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4.3 排出源情報 4.3.1 化学物質排出把握管理促進法に基づく排出源 化学物質排出把握管理促進法に基づく「平成13 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出 量の集計結果」(経済産業省, 環境省, 2003) (以下、2001 年度 PRTR データ) によると、1,2-ジク ロロプロパンは1 年間に全国合計で届出事業者から大気へ 218 トン、公共用水域へ 89 kg 排出 され、廃棄物として376 トン、下水道へ 330 kg 移動している。土壌への排出はない。また届出 外排出量としては対象業種の届出外事業者から1,871 トンの排出量が推計された。非対象業種、 家庭、移動体からの排出量は推計されていない。 a. 届出対象業種からの排出量と移動量 2001 年度 PRTR データに基づき、1,2-ジクロロプロパンの対象業種別の環境媒体 (大気、水 域、土壌) への排出量と移動量を表 4-2 に整理した。その際、経済産業省及び環境省による届 出外事業者からの排出量推計値は環境媒体別とはなっていないため、業種ごとの大気、水域、 土壌への配分は届出データと同じ配分と仮定し、環境媒体別の排出量を推定した (製品評価技 術基盤機構, 2003)。 表4-2 1,2-ジクロロプロパンの届出対象業種別の環境媒体への排出量等 (トン/年) 届出 届出外 排出量 移動量 排出量(推計)1) 届出と届出外の 排出量合計 業種名 大気 水域 土壌 下水 道 廃棄物 大気 水域 土壌 排出計 3) 割合 (%) 出版・印刷・同 関連産業 65 0 0 0 21 738 <0.5 0 803 38 プラスチック製 品製造業 - - - - - 748 <0.5 0 749 36 窯業・土石製品 製造業 130 0 0 <0.5 0 - - - 130 6 石油製品・石炭 製品製造業 <0.5 0 0 0 0 126 <0.5 0 127 6 機械修理業 - - - - - 106 <0.5 0 106 5 繊維工業 1 0 0 0 0 71 <0.5 0 71 3 衣服・その他の 繊維製品製造業 - - - - - 37 <0.5 0 37 2 化学工業 17 <0.5 0 0 355 - - - 17 1 一般機械器具製 造業 <0.5 0 0 0 <0.5 16 <0.5 0 16 1 その他2) 4 0 0 0 0 28 <0.5 0 33 2

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(製品評価技術基盤機構, 2003) 1) 大気、水域、土壌への配分を届出データと同じ配分と仮定し、推計した。 2)「その他」には、上記以外の届出対象業種の合計排出量を示した。 3) 四捨五入のため、表記上、合計があっていない場合がある。 -: 届出なし又は推計されていない。 0.5 トン未満の排出量及び移動量はすべて「<0.5」と表記した。 なお、2001 年の 1,2-ジクロロプロパンの製造量及びその製造段階での排出原単位 (日本化学 工業協会, 2002) から 1,2-ジクロロプロパンは製造段階において大気へ 135 トン排出され、水域 及び土壌への排出はないと推定される (製品評価技術基盤機構, 2003)。したがって、2001 年度 PRTR データに基づく届出対象業種からの 1,2-ジクロロプロパンの排出量のほとんどは、製造 段階ではなく、使用段階での排出と考えられる。 また、「平成14 年度届出排出量及び移動量並びに届出外排出量の集計結果」(経済産業省, 環 境省, 2004) (2002 年度 PRTR データ) によると、1,2-ジクロロプロパンは 1 年間に全国合計で届 出事業者から大気へ148 トン、公共用水域へ 50 kg 排出され、廃棄物として 226 トン、下水道 へ290 kg 移動しており、排出量及び移動量は 2001 年度と比較し、やや減少した。なお、対象 業種の届出外事業者からの届出外排出量については、2001 年度より大幅に減少し、316 トンで あった。 b. 非対象業種、家庭及び移動体からの排出量 2001 年度 PRTR データでは、1,2-ジクロロプロパンの非対象業種、家庭、移動体からの排出 量は推計対象となっていない (経済産業省, 環境省, 2003)。 4.3.2 その他の排出源 2001 年度 PRTR データで推計対象としている以外の排出源として、海外では土壌害虫防除を 目的に播種前・植付前の畑土壌中に注入して使用される 1,3-ジクロロプロペン (D-D 剤) に一 部含まれる 1,2-ジクロロプロパンが、土壌から地下水に流出する危険性があると報告されてい る (Krijgsheld et al., 1986)。一方、1,2-ジクロロプロパンを含む D-D 剤を土壌に散布した場合に、 土壌中では分解せず、揮散して大気へ移動するという報告がある (Roberts et al., 1975) 日本におけるD-D 剤の使用は、1995 年頃まで 10,000 トン/年以上であったが、現在は粒状で 取り扱いが容易でかつ人体及び環境への影響が小さいとされるホスチアゼートに切り替わりつ つある (SRI International, 2001)。別途調査したところ、現在国内で流通している D-D 剤中には 1,2-ジクロロプロパンはほとんど含まれないということから、本評価書においては D-D 剤使用 による1,2-ジクロロプロパンの環境中への排出については考慮しない。 4.4 排出経路の推定 1,2-ジクロロプロパンは、金属洗浄剤や油脂等の溶剤、テトラクロロエチレン、四塩化炭素 等の合成原料として使用されているという用途情報及び2001 年度 PRTR データ等から判断して、 主たる排出経路は、1,2-ジクロロプロパンあるいは 1,2-ジクロロプロパンを含む製品を使用する 段階からの大気への排出と考えられる。

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本評価書では1,2-ジクロロプロパンの放出シナリオとして、1 年間に全国で、大気へ 2,088 ト ン、水域へ1 トン排出され、土壌への排出はないと推定した。また、廃棄物としての移動量及 び下水道への移動量については、各処理施設における処理後の環境への排出を考慮していない。 5.環境中運命 5.1 大気中での安定性 a. OH ラジカルとの反応性 対流圏大気中では、1,2-ジクロロプロパンの OH ラジカルとの反応速度定数が 4.4×10-13 cm3/ 分子/秒 (25℃、推定値) である (SRC:AopWin, 2002)。OH ラジカル濃度を 5×105~1×106 分子 /cm3とした時の半減期は20~40 日と計算される。 b. オゾンとの反応性 1,2-ジクロロプロパンとオゾンとの反応性については、調査した範囲内では報告されていな い。 c. 硝酸ラジカルとの反応性 1,2-ジクロロプロパンと硝酸ラジカルとの反応性については、調査した範囲内では報告され ていない。 d. 直接光分解 1,2-ジクロロプロパンは、大気中では 290 nm 以上の太陽光を吸収しないので直接光分解は起 こらないとの報告がある (Verschueren, 2001)。 5.2 水中での安定性 5.2.1 非生物的分解性 1,2-ジクロロプロパンには加水分解を受けやすい化学結合はないので、水環境中では加水分 解されない。 5.2.2 生分解性 1,2-ジクロロプロパンは、揮発性物質用改良型培養瓶を用いた化学物質審査規制法に基づく好 気的生分解性試験では、被験物質濃度100mg/L、活性汚泥濃度 30mg/L、試験期間 2 週間の条件 において、生物化学的酸素消費量 (BOD) 測定での分解率は 0%であり、難分解性と判定されて いる。なお、全有機炭素 (TOC) 測定での分解率は 1%で、ガスクロマトグラフ (GC) 測定での 分解率は2%であった (通商産業省, 1978)。 1,2-ジクロロプロパンは、低濃度の条件では生分解が起る場合があり、馴化した微生物では比 較的速く生分解される。植種源として家庭下水を用いたせ生分解性試験では、1,2-ジクロロプ ロパンが初期濃度5 mg/L である場合、最初の 7 日間で 42%が分解された。さらに、段階的な

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3 次継代培養で 89%と増大した (Tabak et al., 1981)。また、メタン資化菌での研究において補助 基質としてギ酸を加えた条件で約23 mg/L の 1,2-ジクロロプロパンが、24 時間で完全に一次分 解された。分解生成物は、2,3-ジクロロ-1-プロパノールであった (Oldenhuis et al., 1989)。 嫌気性条件では、硝化菌は1 時間で 1,2-ジクロロプロパンの約 40%を生分解し、さらに菌を 増加することで約70%を分解するとの報告がある (Rasche et al., 1990)。 2 種類の土壌を用い、密閉系で 4~80 週間行った生分解性試験では、80 週間でも 1,2-ジクロ ロプロパンは 70%以上残存していた。また、開放系での試験では、1,2-ジクロロプロパンはほ とんど土壌に残存しなかったが、揮散により除去されたと考えられ、1,2-ジクロロプロパンは

土壌では分解しないが、容易に揮散して除去されるとしている (Roberts and Stoydin, 1976)。

5.2.3 下水処理による除去 1,2-ジクロロプロパンの下水処理による除去については、調査した範囲内では報告されてい ない。 5.3 環境水中での動態 ヘンリー定数を基にした水中から大気中への 1,2-ジクロロプロパンの揮散については、水深 1 m、流速 1 m/秒、風速 3 m/秒のモデル河川での半減期は 3 時間と推算される (Lyman et al., 1990)。 なお、1,2-ジクロロプロパンについては、水への溶解度は 2.8 g/L (25℃) だが、蒸気圧は 27.9 kPa (20℃) と大きく、ヘンリー定数も 286 Pa・m3/mol (25℃) と大きい (3 章参照)。 以上及び 5.2 から、環境水中に 1,2-ジクロロプロパンが排出された場合は、主に大気中への 揮散により水中から除去されると推定される。馴化などの特定の条件が調った場合は、生分解 による除去の可能性もある。 5.4 生物濃縮性 1,2-ジクロロプロパンは、化学物質審査規制法に基づくコイを用いた 6 週間の濃縮性試験で、 水中濃度が0.4 mg/L 及び 0.04 mg/L における濃縮倍率はそれぞれ 1.2~3.2 及び 0.5~6.9 であり、 濃縮性がない又は低いと判定されている (経済産業省, 1978)。 6.環境中の生物への影響 6.1 水生生物に対する影響 6.1.1 微生物に対する毒性 1,2-ジクロロプロパンの微生物に対する毒性試験結果を表 6-1に示す。

活性汚泥の呼吸阻害を指標とした30 分間 EC50は520 mg/L (Volskay and Grady, 1988)、鞭毛虫

の 増 殖 阻 害 を 指 標 と し た 48 時 間 EC50 は 640 mg/L (Keine Angabe zur Primarquelle vom

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6-1 1,2-ジクロロプロパンの微生物に対する毒性試験結果 生物種 温度 (℃) エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 細菌 活性汚泥 ND 30 分間 EC50 呼吸阻害 520 Volskay & Grady, 1988 原生動物 Euglena gracilis (鞭毛虫類) ND 48 時間 EC50 増殖阻害 640 KAPD1), 1993

ND: データなし 1): Keine Angabe zur Primarquelle vom Datenlieferanten

6.1.2 藻類に対する毒性 1,2-ジクロロプロパンの藻類に対する毒性試験結果を表 6-2 に示す。 淡水緑藻としてセレナストラム、セネデスムス及びクラミドモナス、海産珪藻であるスケレ トネマに対する毒性試験結果が報告されている。 急性毒性の指標として、72 時間または 96 時間の EC50 (生長阻害) は、73.2~123 mg/L の範囲 であり、最小のEC50はセレナストラムでの73.2 mg/L (バイオマス) であった (環境庁, 1996a)。 長期毒性とされる 72 時間 NOEC は、OECD テストガイドラインに準じた試験によるセレナ ストラムの生長阻害を指標とした10.6 mg/L (バイオマス) 及び 81.4 mg/L (生長速度)であった (環境庁, 1996a)。 揮発性物質や水中で安定でない物質を対象とした流水試験システムを用いたクラミドモナス での報告もあり、平均測定濃度に基づいて算出された生長阻害に関する 10 日間 NOEC は 29 mg/L であった (Schafer et al., 1994)。 海産珪藻では、スケレトネマの生長阻害に関しての5 日間 NOEC が 18 mg/L であるとの報告 (Hughes, 1988) があるが、試験期間中の濃度低下が著しく、NOEC である 18 mg/L 区の 5 日後 の測定濃度は5.93 mg/L であった。この結果より、試験液中の平均濃度を用いて NOEC を算出 することは困難であるが、1,2-ジクロロプロパンの水中での半減期等から推定すると、スケレ トネマの感受性はセレナストラム (NOEC: 10.6 mg/L) とほぼ同じかやや高いと考えられる。 表 6-2 1,2-ジクロロプロパンの藻類に対する毒性試験結果 生物種 試験法/ 方式 温度 (℃) エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 淡水 Selenastrum capricornutum1) (緑藻、セレナストラム) OECD 201 GLP 止水 閉鎖系 23±2 72 時間 EC50 24-48時間EC50 24-72時間EC50 72 時間 NOEC 24-48時間NOEC 24-72時間NOEC 生長阻害 バイオマス 生長速度 生長速度 バイオマス 生長速度 生長速度 73.2 126 140 10.6 81.4 81.4 (m)2) 環境庁, 1996a Scenedesmus subspicatus (緑藻、セネデスムス) 止水 閉鎖系 ND 96 時間 EC50 生長阻害 123 Behechti et al., 1995

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生物種 試験法/ 方式 温度 (℃) エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 Chlamydomonas reinhardtii (緑藻、クラミドモナ ス) 流水 24±1 4 日間 EC50 7 日間 EC50 10 日間 EC50 4 日間 NOEC 7 日間 NOEC 10 日間 NOEC 生長阻害 83 62 50 38 31.5 29 (m) Schafer et al., 1994 海水 Skeletonema costatum (珪藻、スケレトネマ) 止水 閉鎖系 20±2 5 日間 NOEC 生長阻害 18 (n) Hughes, 1988 ND: データなし、(m): 測定濃度、(n): 設定濃度、閉鎖系: 試験容器や水槽にフタ等をしているが、 ヘッドスペースはある状態 1) 現学名: Pseudokirchneriella subcapitata、2) 暴露開始時の測定値に基づく値 6.1.3 無脊椎動物に対する毒性 1,2-ジクロロプロパンの無脊椎動物に対する毒性試験結果を表 6-3に示す。 無脊椎動物では、甲殻類を用いた毒性試験が報告されており、急性毒性としては、淡水種で 48 時間 EC50が13.6~45 mg/L 及び 48 時間 LC50が52~55.9 mg/L、海産種では 48 時間及び 96 時間LC50が 26.65~100 mg/L 超の範囲で報告されている。1,2-ジクロロプロパンの揮発性を考 慮した急性毒性のうち最小値は、ネコゼミジンコに対する遊泳阻害を指標とした 48 時間 EC50 の13.6 mg/L であった (Rose et al., 1998)。 長期毒性としては、淡水種であるオオミジンコ及び海産種であるミシッドシュリンプの試験 データが報告されている。このうち、OECD テストガイドラインに準じたオオミジンコの繁殖 を指標とした21 日間 NOEC が 0.960 mg/L (環境庁, 1996c)、ミシッドシュリンプの致死及び成長 を指標とした28 日間 NOEC が 4.09 mg/L 以上 (Ward et al., 1989) と報告されている。

6-3 1,2-ジクロロプロパンの無脊椎動物に対する毒性試験結果 生物種 大きさ/ 成長段階 試験法/ 方式 温度 (℃) 硬度 (mg CaCO3/L) pH エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 淡水 生後24 時間以内 U.S. EPA 止水 閉鎖系 22±1 173±13 7.4- 9.4 24 時間 LC50 48 時間 LC50 NOEC 99 52 < 22 (n) LeBlanc, 1980 生後48 時間以内 NEN1) 止水 22±1 ND ND 48 時間 EC50 遊泳阻害 45 (n) Hermens et al., 1984 ND 流水 21±1 ND 8.0- 8.3 24 時間 LC50 48 時間 LC50 > 72.9 55.9 Dow, 1988a 幼生 流水 閉鎖系 20±2 160-180 8.1 21 日間 NOEC 21 日間 LOEC 繁殖 8.3 15.8 (m) Boeri, 1988 Daphnia magna (甲殻類、 オオミジンコ) 生後24 時間以内 OECD 202 GLP 半止水 密閉 20±1 35.5 7.6- 7.8 48 時間 EC50 48 時間 NOEC 遊泳阻害 29.5 13.0 (a, n) 環境庁, 1996b

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生物種 大きさ/ 成長段階 試験法/ 方式 温度 (℃) 硬度 (mg CaCO3/L) pH エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 OECD 202 GLP 半止水 密閉 20±1 35.5 7.1- 7.9 14 日間 EC50 21 日間 EC50 21 日間 NOEC 21 日間 LOEC 繁殖 1.99 4.74 0.960 2.40 (a, n) 環境庁, 1996c Ceriodaphnia dubia (甲殻類、 ネコゼミジンコ属 の一種) 生後24 時間以内 U.S. EPA 止水 密閉 助剤2) 25 65.2 7.7 48 時間 EC50 遊泳阻害 13.6 (m) Rose et al., 1998 海水 Elminius moderatus (甲殻類、 フジツボ) 幼生 止水 閉鎖系 ND ND ND 48 時間 LC50 53 (n) Pearson & McConnel, 1975 Crangon crangon (甲殻類、 ブラウンシュリンプ) ND 半止水 ND ND ND 48 時間 LC50 > 100 Portmann & Wilson, 1971 ふ化後24 時間以内 流水 25±1 塩分濃度: 20-21‰ ND 24 時間 LC50 > 26.65 ふ化3-4 日後 流水 21-24 塩分濃度: 20-21‰ ND 96 時間 LC50 > 26.65 Dow, 1988b Americamysis bahia (甲殻類、 ミ シ ッ ト ゙ シ ュ リ ン プ、アミ科) ふ化後24 時間以内 流水 閉鎖系 22.9- 28 塩分濃度: 18-25‰ 7.3- 8.3 28 日間 NOEC 親 の 致 死 及 び 成長、F1の致死 ≧4.09 (m) Ward et al., 1989 ND: データなし、(a, n): 被験物質の測定濃度が設定値の±20%以内であったので設定濃度により表示、 (m): 測定濃度、(n): 設定濃度、閉鎖系: 試験容器や水槽にフタ等をしているが、ヘッドスペースはある状態、 密閉: 試験容器上端まで試験液を満たしてヘッドスペースはない状態

1) オランダ規格協会 (Netherlands Normalistie Institut) テストガイドライン、2) アセトン

6.1.4 魚類に対する毒性 1,2-ジクロロプロパンの魚類に対する毒性試験結果を表 6-4に示す。 淡水魚の急性毒性としては、ファットヘッドミノー、メダカ、ブルーギル及びグッピーを用 いた試験報告がある。1,2-ジクロロプロパンの揮発性を考慮した試験方式で実施された 96 時間 毒性試験のLC50値は127~163 mg/L の範囲であり、その中で最小値は、ファットヘッドミノー に対する127 mg/L であった (Geiger et al., 1985)。さらに、長期毒性試験としては、ファットヘ ッドミノーの受精卵からふ化後28 日間までの仔魚を 1,2-ジクロロプロパンに暴露した初期生活

段階毒性試験では、成長を指標としたNOEC が 6 mg/L であった (Benoit et al., 1982)。

一方、海水魚に関しては、マコガレイ及びタイドウォーターシルバーサイドを用いた急性毒 性試験が行われており、96 時間 LC50はそれぞれ61、240 mg/L と報告されている (Dawson et al.,

1977; Pearson and McConnell, 1975)。調査した範囲内では海水魚での長期毒性試験報告は得られ ていない。

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6-4 1,2-ジクロロプロパンの魚類に対する毒性試験結果 生物種 大きさ/ 成長段階 試験法/ 方式 温度 (℃) 硬度 (mg CaCO3/L) pH エンドポイント 濃度 (mg/L) 文献 淡水 30-35 日齢 U.S. EPA 流水 25 42-45 6.7- 7.6 24 時間 LC50 48 時間 LC50 72 時間 LC50 96 時間 LC50 194 154 141 140 (m) Walbridge, 1983 31 日齢 U.S. EPA 流水 24.8 45.3 7.48 96 時間 LC50 127 (m) Geiger et al., 1985 Pimephales promelas (ファットヘッドミノー) 産卵後 2-8 時間の 卵 流水 25±1 45 7.4 ふ化後28 日間 NOEC LOEC 成長 6 11 (m) Benoit et al., 1982 OECD 203 GLP 半止水 密閉 96 時間 LC50 163 (a, n) Oryzias latipes (メダカ) 体長 2.0±0.5 cm 流水 24±1 35.5 7.4- 7.8 14 日間 LC50 21 日間 LC50 21 日間 NOEC 毒性症状 > 74.7 > 75.4 10.1 (m) 環境庁, 1996d, e 33-75 mm 止水 23 55 7.6- 7.9 96 時間 LC50 320 (n) Dawson et al., 1977 Lepomis macrochirus (ブルーギル) 0.32-1.2 g U.S. EPA 止水 21-23 32-48 6.5- 7.9 24 時間 LC50 96 時間 LC50 360 280 (n) Buccafusco et al., 1981 Poecilia reticulata (グッピー) 2-3 か月齢 半止水 閉鎖系 助剤1) 21-23 25 ND 7 日間 LC50 116 (n) Konemann, 1981 海水 Pleuronectes limanda (マコガレイ類、カレ イ科) 15-20 cm 流水 12-18 ND ND 96 時間 LC50 61 (n) Pearson & McConnell, 1975 Menidia beryllina (タイドウォーターシル バーサイド) ND 止水 20 55 7.6- 7.9 96 時間 LC50 240 (n) Dawson et al., 1977 ND: データなし、(a, n): 被験物質の測定濃度が設定値の±20%以内であったので設定濃度により表示、 (m): 測定濃度、(n): 設定濃度、閉鎖系: 試験容器や水槽にフタ等をしているが、ヘッドスペースはある状態、 密閉: 試験容器上端まで試験液を満たしてヘッドスペースはない状態 1) 種類未確認 6.1.5 その他の水生生物に対する毒性 調査した範囲内では 1,2-ジクロロプロパンのその他の水生生物 (両生類等) に関する試験報 告は得られていない。

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6.2 陸生生物に対する影響 6.2.1 微生物に対する毒性 調査した範囲内では 1,2-ジクロロプロパンの陸生微生物 (土壌中の細菌や菌類等) に関する 試験報告は得られていない。 6.2.2 植物に対する毒性 調査した範囲内では1,2-ジクロロプロパンの植物に関する試験報告は得られていない。 6.2.3 動物に対する毒性 1,2-ジクロロプロパンのミミズに対する毒性試験結果を表 6-5に示す。 1,2-ジクロロプロパンの動物に対する毒性影響がミミズで致死を指標に検討されている。 LC50はろ紙接触試験で 44~84μg/cm2、人工土壌試験においては3,880~5,300 mg/kg の範囲で

報告されている (Neuhauser et al., 1986a, b)。

6-5 1,2-ジクロロプロパンのミミズに対する毒性試験結果 生物種 ろ紙接触試験48 時間 LC50 ろ紙中濃度 (μg/cm2ろ紙) 人工土壌試験14 日間 LC50 土壌中濃度 (mg/kg 乾土) 文献 Allolobophora tuberculatata (ツリミミズ類) 84 (65-110) 4,272 (3,140-5,825) Eisenia foetida (シマミミズ) (59-70) 64 (3,830-4,680) 4,240 Eudrilus eugeniae (アフリカナイトクローラー) (38-51) 44 (4,200-6,800) 5,300 Perionyx excavatus (フトミミズ類) 63 (56-72) 3,880 (3,241-4,647) Neuhauser et al., 1986a, b 6.3 環境中の生物への影響 (まとめ) 1,2-ジクロロプロパンの環境中の生物に対する毒性影響については、致死、遊泳、成長、繁 殖などを指標に検討が行われている。 1,2-ジクロロプロパンは比較的揮発性が高いことから、水生生物に関して信頼できるデータ は試験を流水、閉鎖系の半止水または止水方式で実施したもの、あるいは試験液中の被験物質 濃度を測定したものである。 藻類の生長阻害試験では、セレナストラム、セネデスムス及びクラミドモナスに対する報告 があり、72~96 時間の EC50 (生長阻害) は 73.2~123 mg/L の範囲であった。これらの値は GHS 急性毒性有害性区分 III に相当し、有害性を示す。また、長期毒性とされる生長阻害を指標と した最小のNOEC は、セレナストラムでの 10.6 mg/L (バイオマス) 及び 81.4 mg/L (生長速度) で あった。 無脊椎動物に対する急性毒性は、13.6~100 mg/L 超の範囲であった。このうちミジンコ類に 対する48 時間 EC は13.6~45 mg/L であり、GHS 急性毒性有害性区分 III に相当し、有害性を

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示す。長期毒性としては、淡水でオオミジンコの繁殖試験の21 日間 NOEC が 0.960 mg/L、海 水でミシッドシュリンプの致死及び成長を指標とした28 日間 NOEC が 4.09 mg/L との報告があ った。 淡水魚類の急性毒性において、信頼性の高いLC50 (96 時間~7 日間) は 116~163 mg/L の範 囲にあり、GHS 急性毒性有害性区分に該当しないが、海産のカレイ類では 61 mg/L であり、GHS 急性毒性有害性区分 III に相当し、有害性を示す。長期毒性としては、ファットヘッドミノー の初期生活段階毒性試験による成長を指標としたふ化後28 日間 NOEC は 6 mg/L であった。 陸生生物に関しては、ミミズ類を用いた 48 時間のろ紙接触試験での LC50が44~84μg/cm2、 人工土壌試験では3,880~5,300 mg/kg の範囲で報告されている。 以上から、1,2-ジクロロプロパンの水生生物に対する急性毒性は、藻類、甲殻類、魚類に対 してGHS 急性毒性有害性区分 III に相当し、有害性を示す。長期毒性の最小値は甲殻類のオオ ミジンコの繁殖を指標とした21 日間 NOEC の 0.960 mg/L である。 得られた毒性データのうち水生生物に対する最小値は、甲殻類のオオミジンコの繁殖を指標 とした21 日間 NOEC の 0.960 mg/L である。 7.ヒト健康への影響 7.1 生体内運命 a. 吸収 1,2-ジクロロプロパンの吸収について定量的なデータは得られていない。なお、ラットに 14C-1,2-ジクロロプロパンを経口投与及び吸入暴露した実験で、投与後 24 時間以内にいずれの 場合も70%以上が尿及び呼気中に排泄されている (Timchalk et al., 1989, 1991) ことから、経口 投与では胃腸から、吸入暴露では肺から容易に吸収されると考えられる (ATSDR, 1989)。 b. 分布 ラットに14C-1,2-ジクロロプロパン 1、100 mg/kg を経口投与した実験で、投与後 24 時間以内 に投与量の80~90 %が排泄され、7.1~10.6 %が組織及び屠体に残存していた。投与 48 時間後 に体内から検出された放射能は多くの組織や器官に分布していたが、中でも肝臓での放射能濃 度が最も高かった (Timchalk et al., 1989, 1991)。 ラットに14C-1,2-ジクロロプロパン 5、50、100 ppm (23.3、233、466 mg/m3) を 6 時間吸入暴 露した実験では、血中の放射能濃度は暴露開始から4 時間後に最高値 (0.06、1.00、4.55μg/g 血 液) に達した。暴露終了後 2 時間以内に検出限界値以下になり、血中からは速やかに排出され た (Timchalk et al., 1991)。 c. 代謝 ラットにおける1,2-ジクロロプロパンの主な代謝経路を図 7-1 に示す。 ラットに 1,2-ジクロロプロパンを経口投与及び吸入暴露した実験では、尿中に、N-アセチル -S- (ヒドロキシプロピル) -L-システイン (図 7-1 における I)、N-アセチル-S- (2-オキソ-プロピル)

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-L-システイン (II) と N-アセチル-S- (1-カルボキシエチル) -L-システイン (III) の 3 つのメルカ プツール酸が同定された (Timchalk et al., 1991)。

また、ラットでは、ジクロロプロパンは 1-クロロ-2-ヒドロキシプロパン (IV) から 1,2-エポキシプロパン (V) 、さらにプロペンジオール (VI) 、乳酸塩 (VII) へと代謝され、二酸化 炭素とアセチルCo-A になることが報告されている。アセチル Co-A は TCA サイクルに入り二

酸化炭素に代謝され、あるいはさらに様々な生合成経路へと利用される。1-クロロ-2-ヒドロキ

シプロパン (IV) は別経路でβ-クロロラクトアルデヒド (VIII) からβ-クロロ乳酸 (IX) に代 謝されると考えられている (Jones and Gibson, 1980)。

d. 排泄 1,2-ジクロロプロパンは酸化及びグルタチオン抱合をうけ、尿中にメルカプツール酸として 排泄される (Guengerich et al., 1991) 。 ラットに1,2-[1-14C]ジクロロプロパン 0.8 mg を強制経口投与した実験では、投与 24 時間後 に尿中には50.2% (以下いずれも雌雄の平均値) がメルカプツール酸として、呼気中には 19.3% が二酸化炭素として、また23.1%がその他の揮発性物質として排泄され、糞中には 4.4%が排泄 された。投与4 日目には皮膚に 1.7%、屠体には 3.7%が残留していた (Hutson et al., 1971)。 また、ラットに14C-1,2-ジクロロプロパン 5、50、100 ppm (23.3、233、466 mg/m3相当) を 6 時間吸入暴露した実験では、急速な吸収、代謝、排泄がみられ、投与開始から48 時間後には、 尿中に55~65%がメルカプツール酸として、呼気中には 16~23%が二酸化炭素として排泄され た。糞中には6.3~9.7%、屠体には 5.8~10%がみられ、性差は認められなかった (Timchalk et al., 1991)。

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Cl

Cl

SR OH SR O OH SR O Cl OH Cl Cl O O OH OH OH OH O Cl Cl O OH CO2 CO2 (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅲ) (Ⅳ) (Ⅴ) (Ⅵ) (Ⅶ) (Ⅷ) (Ⅸ)

経口及び吸入経路

グルタチオン抱合 グルタチオン抱合 酸化 酸化 酸化 還元 アセチルCoA TCAサイクル R = N-アセチルシステイン 図 7-1 ラットにおける1,2-ジクロロプロパンの代謝経路 (Ⅰ):N-アセチル-S- (ヒドロキシプロピル) -L-システイン; (Ⅱ):N-アセチル-S- (2-オキソ-プロピル) -L-システイン; (Ⅲ):N-アセチル-S- (1-カルボキシエチル) -L-システイン; (Ⅳ):1-クロロ-2-ヒドロキシプロパン; (Ⅴ):1,2-エポキシプロパン; (Ⅵ):プロペンジオール; (Ⅶ):乳酸塩; (Ⅷ):β-クロロラクトアルデヒド; (Ⅸ):β-クロロ乳酸. 7.2 疫学調査及び事例 1,2-ジクロロプロパンの疫学調査及び事例を表 7-1に示す。 1,2-ジクロロプロパンを多量に経口摂取した場合、精神錯乱、心臓麻痺等の急性毒性を示し、

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死に至ることがある (Larcan et al., 1977)。他にも経口摂取により、溶血性貧血、肝臓及び腎臓 の機能障害がみられ、死亡に至った例もあった (Pozzi et al., 1985; Thorel et al., 1986)。また、吸 入暴露された場合、嘔吐、腹痛、血尿等の症状がみられた (Pozzi et al., 1985)。 1,2-ジクロロプ ロパンの慢性的な吸入暴露では、溶血性貧血、肝臓及び腎臓の機能障害等の報告がある (Pozzi et al., 1985)。 1,2-ジクロロプロパンを含む混合溶剤に作業中暴露した 10 人の塗装工及び金属加工作業員、 及び1,2-ジクロロプロパンとメチルシリコーンオイルの混合エアロゾルに暴露した 2 人の女性 作業員に皮膚炎がみられており、その皮膚炎患者を対象とした 1,2-ジクロロプロパンを用いた

パッチテストですべての患者に陽性結果が得られた (Baruffini et al., 1989; Grzywa and Rudzki, 1981)。 表 7-1 1,2-ジクロロプロパンの疫学調査及び事例 対象集団 性別・人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献 男性 体重70 kg 経口 50 mL(組成不明) 精神錯乱、ショック、昏睡、心臓麻痺、その後、 死亡。肝細胞壊死 Larcan et al., 1977 49 歳男性 自殺目的で経 口摂取 ND 門脈圧亢進を伴う肝臓毒性 Thorel et al., 1986 28 歳男性 1,2-ジクロロプ ロパンを含む 脱色剤を誤飲 ND 2日後、腎臓障害及び利尿作用 4日後、溶血性貧血 7日後、死亡 Pozzi et al., 1985 20歳女性 1,2-ジクロロプ ロパンを含む 染み抜き剤を 吸入 (乱用) (98% 1,2-ジ クロロプロパ ン) ND 1か月後: 嘔吐、腹痛、斑状出血、血尿 回復後再吸入: 乏尿、鼻出血、血尿、子宮出血、 結膜の出血、重度の腎障害(クレ アチニン及び尿素窒素増加)、急 性肝障害 (AST、ALT、ビリルビ ンの増加)、溶血性貧血及び血栓、 尿細管壊死 Pozzi et al., 1985 55歳女性 1,2-ジクロロプ ロパン (60%) を含む溶剤を 用いて部屋の 掃除 ND 食欲不振、腹痛、夜間の発熱、急性の肝臓及び 腎臓障害、溶血性貧血及び血栓 Pozzi et al., 1985 塗装工及 び金属加 工作業員 10人 4年間の職業暴 露 (10-40%の 1,2-ジクロロプ ロパン) ND 手の甲や指に痒みを伴う紅斑、浮腫及び小疱の 症状を示した皮膚炎に罹患 2%以上の 1,2-ジクロロプロパンを用いたパッチ テストの結果: 全員が陽性反応 Baruffini et al., 1989 女性作業 員 1人 プラスチック 工場で1,2-ジク ロロプロパン (7.4%) を含む エアロゾルに6 年間暴露 ND 手足の皮膚炎 1,2-ジクロロプロパンを用いたパッチテストの 結果: 陽性反応 Grzywa & Rudzki, 1981

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対象集団 性別・人数 暴露状況 暴露量 結 果 文献 女性作業 員 1 人 ベークライト の部品生産工 場で1,2-ジクロ ロプロパン (7.4%) を含む エアロゾルに4 年間暴露 ND 手足の皮膚炎 1,2-ジクロロプロパンを用いたパッチテストの 結果: 陽性反応 Grzywa & Rudzki, 1981 ND: データなし 7.3 実験動物に対する毒性 7.3.1 急性毒性 1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する急性毒性試験結果を表 7-2に示す (California State Water Resources Control Board, 1983; Lewis, 1996; Pozzani et al., 1959; Smyth et al., 1969; Torkelson and Rowe, 1981; Trevisan et al., 1989; Willoughby, 1991)。

実験動物の経口投与による急性影響として、流涎、流涙、呼吸困難、運動性低下、昏睡、胃 腸の出血、溶血性貧血、肝臓及び腎臓の障害が報告されている (Bruckner et al., 1989; Gorzinski and Johnson, 1989; Imberti et al., 1990; Matsumoto, 1982)。

実験動物の吸入暴露による急性毒性の主な影響は、肝臓及び腎臓への障害で、肝臓に小葉中 心性肝細胞壊死や脂肪変性、腎尿細管上皮の脂肪沈着などがみられた (Highman and Heppel, 1946; Sidorenko et al., 1979)。また、オルニチンカルバミルトランスフェラーゼ、アスパラギン 酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼの血清中濃度の増加が認 められた (Drew et al., 1978)。 表 7-2 1,2-ジクロロプロパンの急性毒性試験結果 マウス ラット モルモット 経口LD50 (mg/kg) 860 1,700-2,100 2,000-4,000 吸入LC50 (ppm) 720 (10時間) 3,000 (8時間) ND 腹腔内LD50 (mg/kg) ND 1,100 ND ND: データなし 7.3.2 刺激性及び腐食性 1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する刺激性及び腐食性試験結果を表 7-3に示す。 ウサギの皮膚に 1,2-ジクロロプロパン (投与量不明) を開放適用した試験では、軽度の刺激

性を示した (Clayton and Clayton, 1993-1994)。

ウサギの眼に 1,2-ジクロロプロパン 500 mg を点眼した試験では、中等度の刺激性を示した (Anon., 1969)。

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7-3 1,2-ジクロロプロパンの刺激性及び腐食性試験結果 動物種等 試験法 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献 ウサギ 経皮 開放 適用 ND 記載なし 軽度の皮膚刺激性 Clayton & Clayton, 1993-1994 ウサギ 点眼 ND 500 mg 中等度の刺激性 Anon., 1969 ND: データなし 7.3.3 感作性 調査した範囲内では、1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する感作性に関する報告はない。 7.3.4 反復投与毒性 1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する反復投与毒性試験結果を表 7-4に示す。 a. 経口投与 雌雄のB6C3F1マウスに1,2-ジクロロプロパン 0、30、60、125、250、500 mg/kg/日を 5 日/週、 13 週間強制経口投与した試験で、500 mg/kg/日群まで投与に関連する症状の発現及び病理組織 学的変化はなかった (U.S. NTP, 1986)。この試験は、2 年間強制経口投与試験 (U.S. NTP, 1986) の投与濃度を設定するための試験であり、2 年間の試験の最高用量群 (250 mg/kg/日群) におい ても、有意な非腫瘍性の変化は認められなかった。 雌雄のF344 ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、300、500 mg/kg/日を 14 日間強制経口投与し た試験で、雌雄の300 mg/kg/日以上の群で投与1時間後に流涙、嗜眠などの一過性の影響がみ られ、肝臓及び腎臓の相対重量の増加、肝臓に肝細胞の小葉中心性肝細胞核小体明瞭化、変性 及び壊死が、雄に体重増加抑制、脾臓の相対重量の減少が認められた (Gorzinski and Johnson, 1989)。 雌雄の F344 ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、60、125、250、500、1,000 mg/kg/日を 5 日/ 週、13 週間強制経口投与した試験では、500 mg/kg/日群で雄に体重増加抑制がみられ、半数が 死亡した。また、1,000 mg/kg/日群で雌雄の全数死亡、肝臓にうっ血、雌では小葉中心性肝細胞 壊死が認められた (U.S. NTP, 1986)。この試験は、2 年間強制経口投与試験 (U.S. NTP, 1986) の 投与濃度を設定するための試験であり、2 年間の発がん性試験では非腫瘍性変化として、最高 用量 (250 mg/kg/日) 群の雌に肝細胞壊死の例が増加している。 雄のSD ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、100、250、500、750 mg/kg/日を 5 日/週、13 週間 強制経口投与した試験で、100 mg/kg/日以上の群で体重増加抑制及び溶血性貧血がみられた。 さらに、250 mg/kg/日以上の群でヘマトクリット値及びヘモグロビン濃度の減少、ビリルビン 濃度の増加、肝臓及び腎臓におけるグルタチオン濃度の増加、肝臓及び脾臓の相対重量の増加、 500 mg/kg/日以上の群で中枢神経系抑制、精祖細胞の変性を伴う精巣の変性、精巣上体精子数 の減少が認められ、500 mg/kg/日群では 13 週間で半数以上が死亡した。また、750 mg/kg/日群 では10 日以内に半数以上が死亡した。著者らは LOAEL を 100 mg/kg/日としている (Bruckner et

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なお、雄のSD ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、100、250、500、1,000 mg/kg/日を 10 日間 強制経口投与し、1、5、10 日目に剖検を行なった試験では、中枢神経系抑制は 500 mg/kg/日以 上の群で1 日目から、溶血性貧血は 500 mg/kg/日以上の群で 5 日目から、体重増加抑制は 500 mg/kg/日以上の群で 10 日目にそれぞれみられており、これらの影響は高用量投与群の短期間暴 露でも認められたことが報告されている (Bruckner et al., 1989)。 b. 吸入暴露 雌雄のB6C3F1マウスに1,2-ジクロロプロパン 0、15、50、150 ppm (0、69.9、233、699 mg/m3) を6 時間/日、5 日/週の頻度で、13 週間暴露した試験で、雄の 15 ppm 群で赤血球数、ヘモグロ ビン濃度、ヘマトクリット値の有意な減少、雄の150 ppm 群で赤血球数及びヘモグロビン濃度 の有意な減少がみられた。雄の 50 ppm 群及び雌の全暴露群にはこれらの所見は認められなか った。この結果について、著者らは、雄にみられた赤血球関連の変化に用量依存性が認められ ないことから、1,2-ジクロロプロパンに由来する変化ではないと考察し、NOAEL は 150 ppm で あると結論している (Nitschke et al., 1988)。 雌雄のF344 ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、15、50、150 ppm (0、70.5、233、694 mg/m3) を6 時間/日、5 日/週の頻度で、13 週間吸入暴露した試験で、雌雄の 15 ppm 以上の群に鼻腔呼 吸上皮の肥厚、50 ppm 以上の群に嗅上皮変性、150 ppm 群に体重増加抑制が認められた。著者 らは鼻腔呼吸上皮の肥厚は毒性学的に意義のある変化とは考えていない (Nitschke et al., 1988)。 従って、本評価書ではNOAEL を 15 ppm (70.5 mg/m3) と判断した。

雌雄のNew Zealand White ウサギに 1,2-ジクロロプロパン 0、150、500、1,000 ppm (0、699、 2,330、4,660 mg/m3) を 6 時間/日、5 日/週の頻度で、13 週間吸入暴露した試験では、雄の 150 ppm 以上の群及び雌の500 ppm 以上の群で赤血球数の減少、雌雄の 500 ppm 以上の群でヘモグロビ ン濃度及びヘマトクリット値の減少、網状赤血球の増加、骨髄過形成がみられた。また、雄の 1,000 ppm 群で嗅上皮の変性、雌雄の 1,000 ppm 群で骨髄におけるヘモジデリン貪食マクロファ ージの増加が認められた (Nitschke et al., 1988)。 c. 腹腔内投与 雄のAlbino ラットに 1,2-ジクロロプロパン 0、10、25、50、100、250、500 mg/kg/日を 5 日/ 週の頻度で、4 週間腹腔内投与した試験では、投与群の全個体で肝細胞の過形成がみられ、50 mg/kg/日以上の群で還元型グルタチオン濃度及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ活性の 増加、250 mg/kg/日以上の群でシトクロム P450 量の減少が認められた (Trevisan et al., 1989)。 以上のデータから、1,2-ジクロロプロパンは、経口投与により、ラットでは中枢神経系の抑 制、溶血性貧血、肝細胞の変性及び壊死、精巣の変性を、吸入暴露では、経口投与と同様に貧 血を惹き起こす。 1,2-ジクロロプロパンの反復投与毒性データの最小値は、経口投与では、ラットに対する 13 週間強制経口投与による体重増加抑制及び溶血性貧血を生ずる LOAEL100 mg/kg/日であり (Bruckner et al., 1989)、吸入暴露では、ラットに対する 13 週間吸入暴露による嗅上皮変性にお けるNOAEL15 ppm (70.5mg/m3) である (Nitschke et al., 1988)。

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7-4 1,2-ジクロロプロパンの反復投与毒性試験結果 動物種等 投与 方法 投与期間 投与量 結 果 文献 マウス B6C3F1 雌雄各10 匹/群 経口 投与 (強制) 13 週間 5 日/週 0、30、60、125、 250、500 mg/kg/日 純度99.4% 投与に関連する症状の発現及び病理組織学 的変化なし U.S. NTP, 1986 ラット F344 雌雄各10 匹/群 経口 投与 (強制) 14 日間 0、300、500 mg/kg/日 300 mg/kg/日以上: 雄: 体重増加抑制、脾臓の相対重量減少 雌雄: 一過性の流涙及び嗜眠、体温低下、 肝臓及び腎臓の相対重量増加、脾臓の相 対重量減少、肝細胞の小葉中心性核小体 明瞭化、変性及び壊死 500 mg/kg/日: 雌: 体重増加抑制 Gorzinski & Johnson, 1989 ラット F344 雌雄各10 匹/群 経口 投与 (強制) 13 週間 5 日/週 0、60、125、250、 500、1,000 mg/kg/日 純度99.4% 500 mg/kg/日: 雄: 半数死亡、生存個体に体重増加抑制 1,000 mg/kg/日: 雌雄: 全数死亡、肝臓のうっ血 雌: 2/5 で小葉中心性肝細胞壊死 U.S. NTP, 1986 13 週間 5 日/週 0、100、250、 500、750 mg/kg/日 100 mg/kg/日以上: 体重増加抑制、溶血性貧血 250 mg/kg/日以上: ヘマトクリット値及びヘモグロビン濃度 の減少、ビリルビン濃度増加、肝臓及び 腎臓におけるグルタチオン濃度の増加、 肝臓及び脾臓の相対重量増加 500 mg/kg/日: 半数以上死亡 500 mg/kg/日以上: 中枢神経系抑制、精祖細胞の変性を伴う 精巣の変性、精巣上体精子数の減少 750 mg/kg/日: 10 日以内に半数以上死亡 LOAEL: 100 mg/kg/日 ラット SD 雄15-16 匹/群 180-200 g 経口 投与 (強制) 10 日間 1、5、10 日目に剖 検 0、100、250、 500、1,000 mg/kg/日 1 日目: 500 mg/kg/日以上で中枢神経系抑制 5 日目: 500 mg/kg/日以上で溶血性貧血 10 日目: 500 mg/kg/日以上で体重増加抑制 Bruckner et al., 1989 マウス B6C3F1 雌雄各 10 匹/群 6-8週齢 吸入 13週間 6時間/日 5日/週 0、15、50、150 ppm (0、69.9、233、 699 mg/m3 当) 純度99.9% 15 ppm: 雄: 赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマ トクリット値の減少 150 ppm: 雄: 赤血球数、ヘモグロビン濃度の減少 ただし、50 ppmでは以上のような所見 なし NOAEL: 150 ppm (699 mg/m3) Nitschke et al., 1988 ラット F344 吸入 13週間 6時間/日 0、15、50、150 ppm 15 ppm以上: 雌雄: 鼻腔呼吸上皮の肥厚 Nitschke et al., 1988

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動物種等 投与 方法 投与期間 投与量 結 果 文献 匹/群 6-8週齢 694 mg/m3) 純度99.9% 雌雄: 嗅上皮変性 150 ppm: 雌雄: 体重増加抑制 NOAEL: 15 ppm (70.5 mg/m3) (本評価書の判 断) ウサギ New Zealand White 雌雄各7 匹/群 6-7か月 齢 吸入 13週間 6時間/日 5日/週 0、150、500、 1,000 ppm (0、699、2,330、 4,660 mg/m3) 150 ppm以上: 雄: 赤血球数減少 500 ppm以上: 雌: 赤血球数減少 雄: 肝臓の絶対重量及び相対重量の増加 雌雄: ヘモグロビン濃度及びヘマトクリ ット値の減少、網状赤血球の増加、骨 髄過形成 1,000 ppm: 雄: 嗅上皮の変性 雌雄: 骨髄におけるヘモジデリン貪食マ クロファージの増加 Nitschke et al., 1988 ラット Albino 雄5匹/群 200±10 g 腹腔内 4週間 5日間/週 0、10、25、50、 100、250、500 mg/kg/日 10 mg/kg/日以上: 肝細胞過形成 50 mg/kg/日以上: 還元型グルタチオン濃度及びグルタチオ ン-S-トランスフェラーゼ活性の増加 250 mg/kg/日以上: シトクロムP450量の減少 Trevisan et al., 1989 7.3.5 生殖・発生毒性 1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する生殖・発生毒性試験結果を表 7-5に示す。 雌雄のSD ラットに 1,2-ジクロロプロパンを 0、0.024、0.1、0.24%の濃度で含む飲水を交配の 10 週間前から 2 世代にわたって投与した試験で、全世代の 0.1%以上の群で対照群に比較して 飲水量が減少した。それに伴い、F0の雄及びF0の雌 (授乳期) では 0.1%以上の群、F0の雌 (妊 娠中) 及び F1の雌雄では 0.24%群で体重増加抑制がみられた。また、0.24%群では、児動物に 関して、生後21 日目までの授乳期間中に新生児の体重の低値と死亡率が増加した。交配率、妊 娠率、生存出生児数、死産率に 1,2-ジクロロプロパンの投与による影響はみられなかった。著 者らは、親動物の飲水量の減少及び体重増加抑制を指標としたNOAEL を 0.024% (雄: 18 mg/kg/ 日、雌: 38 mg/kg/日相当)、生後 21 日目までの新生児の体重の低値及び死亡率増加は母動物毒性 による二次的な影響であるとみなし、新生児毒性のNOAEL は 0.1% (121 mg/kg/日相当) であり、 雌雄の親動物に対する生殖毒性のNOAEL は 0.24%であると結論している (Kirk et al., 1990)。生 殖毒性のNOAEL である 0.24%の換算値として、本評価書では、摂取量データから F0より長期 間摂取したF1の雌雄の交配前までの摂取量を採用する。摂取量は、雄では250 mg/kg/日、雌で は269 mg/kg/日に相当する。従って、生殖毒性の NOAEL は 0.24% (250 mg/kg/日相当) である と判断する。 SD ラットの妊娠 6~15 日目に 1,2-ジクロロプロパン 0、10、30、125 mg/kg/日を強制経口投 与し、妊娠21 日目に帝王切開した試験で、125 mg/kg/日群の母動物で摂餌量減少、体重増加抑

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制、飲水量増加がみられ、同群の胎児で、母動物の二次的影響とみられる頭蓋骨骨化の遅延が 認められたが、奇形は認められなかった (Kirk et al., 1995)。

New Zealand White ウサギの妊娠 7~19 日目に 1,2-ジクロロプロパン 0、15、50、150 mg/kg/ 日を強制経口投与し、妊娠28 日目に帝王切開した試験で、150 mg/kg/日群の母動物で摂餌量減 少、体重増加抑制、貧血がみられ、同群の胎児で、母動物の二次的影響とみられる頭蓋骨骨化 の遅延が認められたが、奇形は認められなかった (Kirk et al., 1995)。 以上の結果から、生殖毒性に関する2 世代飲水投与試験で、雌雄の親動物で体重増加抑制が 認められ、親動物の一般毒性のNOAEL は 0.024 % (18 mg/kg/日相当) であった。児動物に関し て、授乳期間中に新生児の体重の低値及び死亡率増加がみられたが、母動物の二次的影響であ り、新生児毒性のNOAEL は 0.1% (121 mg/kg/日相当) であった。また、生殖毒性は最大用量で も認められず、NOAEL は 0.24% (250 mg/kg/日相当) であった (Kirk et al., 1990)。

発生毒性に関する強制経口投与試験では、ラット及びウサギの母動物に対して125 mg/kg/日 以上の投与で体重増加抑制等の影響がみられたが、胎児への影響は母動物の二次的影響とみら れる頭蓋骨骨化の遅延のみであり、催奇形性は、ラットへの125 mg/kg/日、ウサギへの 150 mg/kg/ 日の投与でみられていない (Kirk et al., 1995)。 表 7-5 1,2-ジクロロプロパンの生殖・発生毒性試験結果 動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献 ラット SD 雌雄 各30匹/群 経口投与 (飲水) 交配10週間前 から2世代 0、0.024、0.1、 0.24 % 全世代の0.1 %以上: 飲水量の減少 F0の雄及びF0の雌 (授乳期) の0.1 %以上: 体重増加抑制 F0の雌 (妊娠中) 及びF1の雌雄の0.24 %: 体重増加抑制 0.24 %の児動物: 出生時体重の低値、新生 児の死亡率が増加 親動物 (一般毒性): NOAEL:0.024 % (雄: 18 mg/kg/日, 雌: 38 mg/kg/日相当) (生殖毒性): NOAEL:0.24% (雄: 250 mg/kg/日, 雌: 269 mg/kg/日相 当: 本評価書換算) 児動物 (一般毒性): NOAEL:0.1 % (F0雌: 121 mg/kg/日相当) Kirk et al., 1990 ラット SD 雌 30匹/群 経口投与 (強制) 妊 娠6-15 日 目 の10日間 妊 娠21 日 目 に 帝王切開 0、10、30、125 mg/kg/日 125 mg/kg/日: 母動物: 摂餌量減少、体重増加抑制、飲 水量増加 児動物: 頭蓋骨骨化の遅延、 ただし、奇形なし Kirk et al., 1995 ウサギ New Zealand White 経口投与 (強制) 妊 娠7-19 日 目 の13日間 妊 娠28 日 目 に 帝王切開 0、15、50、150 mg/kg/日 150 mg/kg/日: 母動物: 摂餌量減少、体重増加抑制、貧 血 (軽度の不同血球症、変形赤血 球増多症、多染性赤血球症) Kirk et al., 1995

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動物種等 投与方法 投与期間 投与量 結 果 文献 18匹/群 ただし、奇形なし 7.3.6 遺伝毒性 1,2-ジクロロプロパンの実験動物に対する遺伝毒性試験結果を表 7-6、まとめを表 7-7に示す。 バクテリアを用いたin vitro 試験では、塩基対置換型変異を引き起こしやすいとされるネズミ チフス菌TA100 及び TA1535 株による復帰突然変異試験で、S9 添加の有無に関わらず、陽性で あったが、フレームシフト変異を引き起こしやすいとされる TA98、TA1537 株については S9

添加の有無に関わらず、陰性であった (Carere and Morpurgo, 1981; De Lorenzo et al., 1977; Haworth et al., 1983; Principe et al., 1981; Priston et al., 1983)。 Streptomyces coelicolar (放線菌) を 用いた前進突然変異試験では、S9 添加の有無に関わらず、陰性であったが (Carere and Morpurgo, 1981; Principe et al., 1981)、Aspergillus nidulans (糸状菌) による試験では陽性が報告されている (Carere and Morpurgo, 1981; Principe et al., 1981)。チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞を用

いた染色体異常試験及び姉妹染色分体交換(SCE)試験ではいずれも陽性が報告されている

(Galloway et al., 1987; U.S. NTP, 1986; von der Hude et al., 1987)。

in vivo 試験では、ショウジョウバエを用いた伴性劣性致死試験、ラットを用いた優性致死試 験のいずれも陰性を示した (Hanley et al., 1989; Woodruff et al., 1985)。

以上、1,2-ジクロロプロパンは、in vitro ではネズミチフス菌での復帰突然変異試験、糸状菌 による前進突然変異試験、CHO 細胞による染色体異常試験および SCE 試験において陽性の報 告があり、in vivo ではショウジョウバエを用いた伴性劣性致死試験、ラットを用いた優性致死 試験でいずれも陰性と報告されている。結果を総合的にみて、1,2-ジクロロプロパンは遺伝毒 性を有すると判断する。 表 7-6 1,2-ジクロロプロパンの遺伝毒性試験結果 試験系 試験材料 処理条件 物質組成 用量 結果a) - S9 +S9 文献 ネズミチフス菌 TA100、TA1535 + + TA1978 プレート法 10-50 mg/plate - - De Lorenzo et al., 1977 ネズミチフス菌 TA100 ND + TA1535 + + TA98、TA1537 懸濁液 65% 1,2-ジクロ ロ プ ロ パ ン 、 25% 1,3-ジクロ ロプロペン 62.5-8,000 mg/mL - - Priston et al., 1983 ネズミチフス菌 TA100 プレート法 1、10、100 μmol/plate - - Stolzenber g & Hine, 1980 ネズミチフス菌 TA100、TA1535 + + in vitro 復帰突然 変異試験 TA98、TA1537、TA1538 プレート法 1-10μL/plate - - Carere & Morpurgo, 1981

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試験系 試験材料 処理条件 物質組成 用量 結果a) - S9 +S9 文献 ネズミチフス菌 TA100、TA1535 + + TA98、TA1537 プレート法 0.33-10 mg/plate - - Haworth et al., 1983 ネズミチフス菌 TA98、TA100、TA1535、 TA1537 プ レ イ ン キ ュ ベーション法 33-2,000 μg/plate - - U.S. NTP, 1986 ネズミチフス菌 TA100、TA1535 + + TA98、TA1537、TA1538 プレート法 1-10μL/plate - - Principe et al., 1981 大腸菌 WP2s プ ロ フ ァ ー ジ 誘発 7-7,000μg/mL - - DeMarrini & Brooks, 1992 出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae JD1 ND 65% 1,2-ジクロ ロ プ ロ パ ン 、 25% 1,3-ジクロ ロプロペン 62.5-8,000 mg/mL - + Priston et al., 1983 放線菌 Streptomyces coelicolar

プレート法 2-100μL/plate - ND Carere & Morpurgo, 1981 放線菌 Streptomyces coelicolar プ レ ー ト 法 、 スポット法 2-100μL/plate - - Principe et al., 1981 前進突然 変異試験 糸状菌 Aspergillus nidulans プレート法 100-400 μL/plate + ND Carere & Morpurgo, 1981; Principe et al., 1981 SOS 修復 試験 大腸菌PQ 37 ND ND - - von der Hude et al., 1987 umu 試験 ネズミチフス菌 TA1535/pSK1002 ND 476.2μg/mL - - Ono et al., 1991 染色体異 常 (異数 性) 試験 糸状菌 Aspergillus nidulans ND 0.05-0.25% - ND Crebelli et al., 1984 CHO 細胞 ND -S9: 1180-1580 μg/mL +S9: 460-950 μ g/mL + + U.S. NTP, 1986 染色体異 常試験 CHO 細胞 ND 460-1,500 μg/mL + + Galloway et al., 1987 マウスリ ンフォー マ 試 験 (TK 座) マウスリンフォーマ L5178Y 細胞 ND -S9: 0.63-1000 μL/plate +S9: 0.03-0.1μ L/plate - + Myhr & Caspary, 1991

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試験系 試験材料 処理条件 物質組成 用量 結果a) - S9 +S9 文献 CHO 細胞 ND 112.7-1127 μg/mL + + U.S. NTP, 1986 CHO 細胞 ND 370μg/mL + + von der

Hude et al., 1987 CHV79 細胞 ND 113-1,130 μg/mL + + von der Hude et al., 1987 姉妹染色 分体交換 試験 CHO 細胞 ND 113μg/mL + + Galloway et al., 1987 不定期 DNA 合成試験 ヒトリンパ球 ND 11.3-1,130 μg/mL - - Perocco et al., 1983 吸入 33,840 mg/m3 伴性劣性 致死試験 ショウジョウバエ 経口 4,200μg/mL - Woodruff et al., 1985 in vivo 優性致死 試験 雄ラット 経口 (飲水) 14 週間 28 、 91 、 162 mg/kg/日 - Hanley et al., 1989 a) -: 陰性 +: 陽性 ND: データなし 表 7-7 1,2-ジクロロプロパンの遺伝毒性試験結果 (まとめ) DNA 損傷性 突然変異性 染色体異常 その他 バクテリア - + ND ND カビ/酵母/植物 ND + - ND 昆虫 ND - ND ND 培養細胞 +、- + + ND 哺乳動物 (in vivo) ND - ND ND ND: データなし 7.3.7 発がん性 1,2-ジクロロプロパンの発がん性試験結果を表 7-8に示す。 雌雄の B6C3F1マウスに0、125、250 mg/kg/日を 5 日/週の頻度で、103 週間強制経口投与し た試験では、雄の250 mg/kg/日群及び雌の 125 mg/kg/日以上の群で肝細胞腺腫と肝細胞がんの 発生率が有意に増加した (U.S. NTP, 1986)。U.S. NTP では、肝細胞腺腫及びがんの発生の増加 を根拠に雌雄のB6C3F1マウスに対して発がん性を示す証拠があると報告している。また、IARC も本試験における肝細胞腫瘍の発生は用量相関があるとみなしている (IARC, 1986, 1999)。 F344 ラットの雄に 0、62、125 mg/kg/日、雌に 0、125、250 mg/kg/日を 5 日/週の頻度で、103 週間強制経口投与した試験では、雌の250 mg/kg/日群で乳腺の腺がんの発生率がわずかに増加

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したがFisher 法での統計的有意差はなく、乳腺線維腺腫の発生率には投与による影響が認めら れなかった (U.S. NTP, 1986)。U.S. NTP では、雄の F344 ラットについて 1,2-ジクロロプロパン

投与に対する発がん性の証拠なしとしている。また、雌の250 mg/kg/日群に対して発がん性の

明確な証拠はない(equivocal evidence of carcinogenicity)としている。IARC は、雌ラットの最

高用量群で投与終了時の生存数が少なかったこと等を理由に、U.S. NTP のラットのデータから は結論を引き出せない (inconclusive) としている (IARC, 1986, 1999)。 以上、1,2-ジクロロプロパンは、B6C3F1マウスに0、125、250 mg/kg/日を 103 週間強制経口 投与した試験では、雄の250 mg/kg/日群及び雌の 125 mg/kg/日以上の群で肝細胞腺腫と肝細胞 がんの発生率が有意な増加がみられている。ラットでの試験では発がん性を示す証拠は示され ていない。 国際機関等での発がん性評価を表7-9 に示す。IARC は、グループ 3(ヒトに対する発がん性 については分類できない物質)に分類している。 表 7-8 1,2-ジクロロプロパンの発がん性試験結果 動物種等 投与 方法 投与期間 投与量 結 果 文献 雄 (mg/kg/日) 0 125 250 投与終了時生存数 肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝 細 胞 腺 腫 / が ん 35/50 33/50 35/50 例 7/35 9/33 15/35* 8/35 10/33 9/35 15/35 18/33 24/35* 雌 (mg/kg/日) 0 125 250 マウス B6C3F1 雌雄各 50 匹/群 7-9 週齢 経口 投与 (強制) 103 週間 5 日間/週 0 、 125 、 250 mg/kg/日 投与終了時生存数 肝細胞腺腫 肝細胞がん 肝 細 胞 腺 腫 / が ん 35/50 29/50 26/50 例 1/35 5/29 5/26 1/35 3/29 4/26 2/35 8/29* 9/26* U.S. NTP, 1986 雄 (mg/kg/日) 0 62 125 投与終了時生存数 投 与 に よ る 腫 瘍 発生の増加なし 39/50 41/50 41/50 例 雌 (mg/kg/日) 0 125 250 ラット F344 雌雄各 50 匹/群 7-9 週齢 経口 投与 (強制) 103 週間 5 日間/週 雄: 0、62、125 mg/kg/日 雌: 0、125、250 mg/kg/日 投与終了時生存数 乳腺がん 乳腺線維腺腫 37/50 43/50 16/50 例 1/37 2/43 4/16 14/37 20/43 5/16 U.S. NTP, 1986 *: 統計的有意差あり (Fisher 法: P < 0.05)

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7-9 国際機関等での1,2-ジクロロプロパンの発がん性評価 機関/出典 分 類 分 類 基 準 IARC (2002) グループ3 ヒトに対する発がん性については分類できない。 ACGIH (2002) A4 ヒトに対して発がん性が分類できない物質。 日本産業衛生学会 (2002) - 2002 年現在発がん性について評価されていない。 U.S. EPA (2002b) - 2002 年現在発がん性について評価されていない。 U.S. NTP (2001) - 2001 年現在発がん性について評価されていない。 7.4 ヒト健康への影響 (まとめ) 1,2-ジクロロプロパンは実験動物では、経口、吸入のいずれの経路でも速やかに吸収され、 酸化及びグルタチオン抱合されメルカプツール酸として尿中に、または別経路で二酸化炭素及 びその他の揮発性物質として呼気中に排泄される。 ヒトでの事例としては、1,2-ジクロロプロパンの経口摂取では、精神錯乱、心臓麻痺等の急 性毒性症状を示し、溶血性貧血、肝臓及び腎臓の機能障害がみられ、死に至ることがある。吸 入暴露の場合は、嘔吐、腹痛、血尿等の症状を示し、慢性的な吸入暴露では、溶血性貧血、肝 臓及び腎臓の機能障害の報告がある。1,2-ジクロロプロパンを含む溶剤又はエアロゾルの暴露 では皮膚炎がみられており、その皮膚炎患者を対象としたパッチテストで陽性結果が得られて いる。 1,2-ジクロロプロパンの実験動物への急性毒性はマウス、ラットに対する経口投与で、LD50 は860~2,100 mg/kgであり、吸入暴露では、マウスに対する10時間のLC50が720 ppm、ラットに 対する8時間のLC50が3,000 ppmであった。刺激性については、ウサギの眼に対して軽度~中等 度の刺激性を示す。ヒトでは皮膚炎やパッチテストで陽性の報告があるが、実験動物では感作 性に関する報告はない。 反復投与毒性に関しては、B6C3F1 マウスの 13 週間強制経口投与試験では最高用量 (500 mg/kg/日) まで投与の影響はなかったが、SD ラットでは 500 mg/kg/日投与で中枢神経系、肝臓、 血液、精巣に影響がみられ、13 週間強制経口投与試験での体重増加抑制及び溶血性貧血を指標 としたLOAEL は 100 mg/kg/日であった。また、ラットの 13 週間吸入暴露試験においては嗅上 皮変性がみられ、そのNOAEL は 15 ppm (70.5 mg/m3) であった。 生殖毒性に関する2 世代飲水投与試験では、雌雄の親動物で体重増加抑制が認められ、親動 物の一般毒性のNOAEL は 0.024 % (18 mg/kg/日相当) であった。児動物に関して、授乳期間中 に新生児の体重の低値及び死亡率増加がみられたが、母動物の二次的影響であり、新生児毒性 のNOAEL は 0.1% (121 mg/kg/日相当) であった。また、生殖毒性は最大用量でも認められず、 NOAEL は 0.24% (250 mg/kg/日相当) であった。 発生毒性に関する強制経口投与試験では、ラット及びウサギの母動物に対して125 mg/kg/日 以上の投与で体重増加抑制等の影響がみられたが、胎児への影響は母動物の二次的影響とみら れる頭蓋骨骨化の遅延のみであり、催奇形性は認められていない。 遺伝毒性については、1,2-ジクロロプロパンは、in vitro ではネズミチフス菌での復帰突然変 異試験、糸状菌による前進突然変異試験、CHO 細胞による染色体異常試験および SCE 試験に おいて陽性の報告があり、in vivo ではショウジョウバエを用いた伴性劣性致死試験、ラットを

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用いた優性致死試験でいずれも陰性と報告されている。結果を総合的にみて、1,2-ジクロロプ ロパンは遺伝毒性を有すると判断する。 発がん性については、ヒトでの疫学調査の報告はないが、実験動物ではB6C3F1マウスに0、 125、250 mg/kg/日を 103 週間強制経口投与した試験で、雄の 250 mg/kg/日群及び雌の 125 mg/kg/ 日以上の群で肝細胞腺腫と肝細胞がんの発生率が有意な増加がみられている。ラットでの試験 では発がん性を示す証拠は示されていない。IARC は、グループ 3(ヒトに対する発がん性につ いては分類できない物質)に分類している。

表   6-1  1,2-ジクロロプロパンの微生物に対する毒性試験結果  生物種  温度  (℃)  エンドポイント  濃度  (mg/L)  文献  細菌  活性汚泥  ND  30 分間 EC 50 呼吸阻害  520  Volskay &amp;  Grady, 1988  原生動物  Euglena gracilis  (鞭毛虫類)  ND  48 時間 EC 50 増殖阻害  640  KAPD 1) , 1993
表   6-3  1,2-ジクロロプロパンの無脊椎動物に対する毒性試験結果  生物種  大きさ/  成長段階  試験法/ 方式  温度 (℃)  硬度  (mg CaCO 3 /L)  pH  エンドポイント  濃度  (mg/L)  文献  淡水  生後 24 時間以内  U.S
表   6-4  1,2-ジクロロプロパンの魚類に対する毒性試験結果  生物種  大きさ/  成長段階  試験法/ 方式  温度 (℃)  硬度 (mg CaCO 3 /L) pH  エンドポイント  濃度 (mg/L)  文献  淡水    30-35 日齢  U.S
表   6-5    1,2-ジクロロプロパンのミミズに対する毒性試験結果  生物種  ろ紙接触試験 48 時間 LC 50  ろ紙中濃度  (μg/cm 2 ろ紙)  人工土壌試験 14 日間 LC 50 土壌中濃度  (mg/kg  乾土)  文献  Allolobophora  tuberculatata  (ツリミミズ類)  84  (65-110)  4,272  (3,140-5,825)  Eisenia foetida  (シマミミズ) (59-70) 64  (3,830-4,680)
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参照

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