条項素描
その他のタイトル Ancora sul diritto marittimo di Messina
著者 栗田 和彦
雑誌名 關西大學法學論集
巻 64
号 3‑4
ページ 935‑1040
発行年 2014‑11‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/8880
メッシーナ海事評議員条項素描
栗 田 利 彦
1
は し が き2
メッシーナ海事評議員条項3
むすびにかえて1
は し が きメッシーナ
( M e s s i n a )
は,中世地中海交易の要衝に位置し,その港が,1 2
世紀には,シチリア( S i c i l i a )
のもっとも重要な港(少なくとも,その一つ)になっていたことは,多くの歴史家の認めるところである。メッシーナにも,
四大海洋共和国と称されるアマルフィ
( A m a l f i )
などと同様,商事・海事慣習(法)が生まれ,さらには,海事評議員裁判所が設けられ,海事評議員裁判に 関連する慣習(法)も生成• 発展していた。
メッシーナの海法関連の写本の存在は,散発的ではあったが,かなり以前か ら,いく人かの研究者によって公表されてきた。それらのなかでもっとも重要 なものは,
L u i g iG e n u a r d i , I I l i b r o d e i c a p i t o l i d e l l a c o r t e d e l c o n s o l a t o d i mare d i M e s s i n a , P a l e r m o , 1 9 2 4 , p p . 28‑159
が報じているメッシーナ海事評議員裁判 所に関連する規則(以下において,「Genuardi」または「Gen本」と略称する)である。
再確認しておくと,
Gen本は,第 1
条から第1 6 7
条までの通し番号によって まとめられてはいるが(その後,第1 6 8
条および第1 6 9
条の一部の写本の断片が 発見された),編纂者によって,統一的な呼称は与えられていない。これらは,大きく,第
1
条から第56
条まで,第57
条から第1 1 0
条まで,および第11 1
条以下 の3部に分けられる。第
1
条から第5 6
条までには,C a p i t u l aC o n s u l a t u s Maris Messane
(メッシー ナ海事評議員条項。以下において,「CCMM1 )
」と略称する)とのタイトルが 付されており,そして,5 7
条から第1 1 0
条までには,L ic a p i t u l i e t o r d i n a c i o n i d i l a c u r t i d i m a r i d i l a n o b i l i c i t a t i d i Messina f a c t i e t o r d i n a t i p e r l a u n i v e r s i t a t i d i l a p r e d i c t a c i t a t i
(称揚された市共同体のために起草され制定された高貴なメッシーナ市海事裁判所の諸条項と諸規則。以下において,「
Me
裁判所条項」と略称する)とのタイトルが付されている。
CCMM および Me 裁判所条項が,まさしく,メッシーナ海法の中核• 最重 要部をなすもの,といいうる(第
1 1 1
条以下は,1 5
世紀から1 6
世紀にかけて公布・裁可された海商に関する規則・布告などのリスト)。
( 1 )
直後の「1‑1
先行の作業」にいう「序説」では,CCMM
を「Me
評議員条項」と略称していたが,「
Me
裁判所条項」とまぎらわしく感じられるため,表記方法 を改めることにした。
1‑1
先行の作業 筆者は,先に,「メッシーナ海法序説(1)」(以下において,「序説」と略称する)なる小稿をものし,
Gen
本における配置順では前後す るが,Me
裁判所条項の検証作業を行った。序説の(主たる)目的は,
Me
裁判所条項の全5 4
カ条と,アマルフィ海法の いわゆるF o s c a r i n i
本(以下において,「A m
」と略称する)第1
条から第3 5
条 および第3 9
条から第5 8
条の類似・対応関係の確認・検証であった。両法は,「正確に対応する」あるいは「正確な翻訳である」といわれるほど に類似(酷似)しており,この類似・対応関係は,中世イタリア海法史研究上,
大きな謎の一つであるが,序説は,規定の配列順,規定内容,使用文言・表現
方法などについて,類似(および差異)・対応関係を逐条的に確認・検証する ことによって,両法の「類似のほど」を具体的に把握することに努めた。
序説によって,両法が他に類例を求めることができないほど類似・対応して いることを確認・検証しえたが,
CCMM
の規定内容については,ほとんど検 討できなかった(2)0( 1 )
法学論集6 2
巻4 ‑ 5
号1 7 6 3
頁以下。( 2 )
序説でCCMM
を検証しなかったのは,序説の(主たる)作業目的と紙数のほ か,CCMM
とMe
裁判所条項は,通し番号によってまとめられてはいるが,異 なったタイトルによって,明確に分類されており,その性質を異にしているように 思われたこともある。大雑把ないい方になるが, Me
裁判所条項は,(略称から受 けるイメージと異なるかもしれないが)私法・実体法的な規定群であり,CCMM
は,裁判法・手続法的な規定群からなっている(序説・1 8 5 0
頁以下)。
1‑2
本稿の検討対象 本稿は,その検討の重要性を認識しながらも,序説 で検討対象としえなかったCCMM
について,検討を試みるものである。‑ 96 ‑ (938)
C C M M
は,メッシーナの海事評議員裁判制度に関連して,海事評議員の選 任,その職責,海事評議員裁判所における訴訟手続,船舶売却代金の債権者に 対する分配などについて定めている。CCMM
のかなりの条文とヴァレンシア(Valenza)
評議員規則( 1 3 3 6
年か ら1343年( 1 3 4 2
年)にかけてアラゴン王P i e t r o 4
世によって公布された(I)。以 下において,「Val
規則」と略称する)の相当数の規定が類似・対応関係にあることが,多くの研究者によって指摘されている。
Genuardi
は,両者間の類似・対応関係を一覧表にまとめ,CCMM
第1
条, 第1 6
条から第24条,第26
条から第32条および第34条から第45条の29
カ条と,そ れらに類似・対応するVal
規則の規定を明確に示している(Val
規則のほう からすると,全42カ条のうち28
カ条,3
分の2
の規定がCCMM
のなかに類似 する規定を有する),としている(2)。この関係をとらえ,CCMM
は,Val
規則を翻訳あるいは移調したもの, と評価する向きもある。
さらに,
C C M M
の い く つ か の 規 定(Murino
によると,第3 1
条,第32条, 第38条から第41
条,第49条,第53
条および第54条の9カ条)は, A m
第59条から第65条に類似しているため,
A mお よ び Val
規則と重複して類似すること になる,といわれている(3X4J0CCMM は, Me 裁判所条項とともに,メッシーナ海法の中核• 最重要部を なすもの, といいうるにとどまらず,イタリア海法と他国(とりわけ,スペイ ン)の海法の関係を議論するうえで,きわめて重要な法ということができる。
( 1 ) C f . , Jean Marie P a r d e s s u s , C o l l e c t i o n de l o i s m a r i t i m e s a n t e r i e u r e s au 1 8 s i e c l e , Tom . , 5 , P a r i s , 1 8 3 9 , pp . 3 7 4 ‑ 3 9 3 ; T r a v e r s T w i s s , L ' o r d e j u d i c i a r i de l a c o r t d e l s c o n s o l s de l a m a r , The b l a c k book o f a d m i r a l t y , v o l . 3 , i n Rerum b r i t a n n i c a r u m m e d i i
ぉv is c r i p t o r e s , Appendix P a r t I I I , London , 1 8 7 6 , p p . 4 5 0 ‑ 4 9 5 .
樋 貝 詮三「海の慣習法」
( 1 9 4 3
年)633‑654
頁にVal
規則(海事領事裁判所ノ司法手続)の 全文和訳が掲載されている。同翻訳は,おそらく(訳語や注の内容から判断すると),
Twiss
の研究に依拠しているもの,と思われる。( 2 ) G e n u a r d i , p . XIV . Mario Murino, Andar p e r mare n e l medioevo , Le a n t i c h e
c o n s u e t u d i n i m a r i t t i m e i t a l i a n e , C h i e t i , 1 9 8 8 , p . 3 0 6 , n . 1
は,Genuardi
に同調している
。
なお,類似性が認められる,といっても,かなり形式が異なっているものが みられる(その点については,G e n u a r d iもよく承知している) 。
また,G e n u a r d i
が類似性を認めていない規定についても,類似性を承認しうるものがあるかもしれ ない。たとえば,CCMM
第26
条但書きとV a l
規則第20
条との類似性を承認しうる かもしれない(本稿2‑26
参照)。
( 3 ) M u r i n o , op . c i t . , p . 3 0 6 , n . 2 . G e n u a r d i
およびMurino
の説く類似・対応関係を 表にすると以下のようになる(数字は条文番号を表わす)。
CCMM 3 1 3 2 3 8 3 9 4 0 4 1 4 9 5 3 5 4 Am 5 9 6 0 6 1 6 1 6 1 6 2 6 3 6 4 6 5 Val
規則2 7 2 8 3 2 3 3 3
ぶ3 4
*
筆者は,CCMM第4 0
条とV a l
規則第34
条が類似する,と考えている(本 稿2‑40
参照)。
( 4 ) P a u l L a b a n d , Das S e e r e c h t von A m a l f i , Z e i t s c h r i f t f u r < l a s gesammte H a n d e l s r e c h t , 1 8 6 4 , S . 3 3 2 , N . 1 3 5
は,つとに,Am第5 9
条はV a l
規則第27
条に由 来する,としている。同様に, Am第6 0
条から第62
条についても,V a l
規則から継 受したもの,と考えている( L a b a n d ,a . a . 0 . , S . 3 3 3 , N . 1 3 9 ; S . 3 3 4 , N . 1 4 0 ; S . 3 3 5 , N . 1 4 3 ) 。
1‑3
本 稿 の 目 的 本稿は,CCMM
の 各 条 を 逐 条 的 に 分 析 ・ 検 討 す る こ と に よ り , メ ッ シ ー ナ の 海 事 評 議 員 裁 判 制 度 の 全 貌 ( 少 な く と も , そ の お お よ そ のところ)を明らかにするとともに,Val
規 則 と の 類 似 ・ 対 応 関 係 の ほ ど ( 実 態)を検証しようとするものである。筆 者 は , 序 説 の
3‑4
「むすびにかえて」で,以下のようにのべた。
「 な ぜ , 他 に 類 例 を 求 め る こ と が で き な い ほ ど の 類 似 性 を 伴 っ た 海 法 が ア マ ル フ ィ か ら か な り 離 れ た ( 直 線 距 離 で 約
300 km)
メッシーナに存在したのか,そ の 謎 は 依 然 と し て 残 る か さ ら に 深 ま る で あ ろ う 。 さ ら に は , ア マ ル フ ィ 海 法
( お よ び メ ッ シ ー ナ 海 法 ) が 往 時 も っ と も 広 範 な 適 用 範 囲 を 有 し た コ ン ソ ラ ー
ト ・ デ ル ・ マ ー レ の 形 成 に 影 響 を 及 ぼ し た可 能 性 を 否 定 で き な い か も し れ な
ぃ叫。
これに若干の付言をすると,メッシーナ海法は, トラパニ
( T r a p a n i )
海 法 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し た だ け で は な く (2), さ ら に 広 く , シ チ リ ア 全 体 の 指 導 的 役 割 を 演 じ て い た も の , と 思 わ れ る(3)。 ま た , 現 在 は 独 立 の 共 和 国 に な っ て い‑ 9 8 ‑ (940)
るマルタ
(Malta)
が1 4
世紀よりメッシーナ海法の強い影響を受けており,17
世 紀 末 に 制 定 さ れ た マ ル タ 海 事 評 議 員 規 則 の な か に , 同 規 則 に よ っ て 規 律 さ れて い な い 事 項 に 関 す る す べ て の 紛 争 は メ ッ シ ー ナ海事評議員の規定に準拠して 判 断 さ れ る べ き旨を定めた規定があった,という(4)。
さらには,
CCMM
の 多 く の 規 定 がVal
規 則 ( お よ び バ ル セ ロ ナ( B a r c e l l o n a )
海 事 評 議 員 規 則 ) の 規 定 に 類 似 ・ 対 応 し て い る が , メ ッ シ ー ナ において海事評議員の制度が設けられたのは,1282
年12
月から1283
年5
月6
日 の あ い だ , と す る 説 が 有 力 で あ る(5)。すると,同制度の創設は,Val規 則 が 公
布された時期より50
年ほど遡ることになる。CCMMが Val
規 則 か ら 多 く の 影 響を受けたかもしれないが,逆に,Val規 則 が CCMMか ら 摂 取 し た こ と も
あったかもしれない。中 世 イ タ リ ア 海 法 史 な い し 中 世 地 中 海 海 法 史 を 語 る う え で , メ ッ シ ー ナ 海法 の 有 す る 意 義 は , は な は だ 大 き い , と い う べ き で あ ろ う 。 本 稿 に よ り , メ ッ シーナ海法に関する議論にとどまらず,中世イタリア海法に関する議論(イタ リ ア 海 法 が 地 中 海 海 域 の 諸 都 市 の 法 律 ・ 慣習に及ぽした影響などに関する議論 も含めて)に新たな資料を提供しうるであろう(6)0
( 1 )
序説・1 8 5 2
頁。序説に残された課題の一つとして,Am第5 9
条から第6 5
条とCCMM
の規定との類似・対応関係の検証があったが,その課題は,本稿により,解消されることになる
。
( 2 )
拙著「アマルフィ海法研究試論」関西大学出版部・2 0 0 3
年(以下において,「試 論」と略称する)・2 6 3
頁以下。( 3 )
本稿・2‑37
参照。
( 4 ) Mario C h i a u d a n o , C o n s o l a t o d e l mare d i M a l t a , Novissimo d i g e s t o i t a l i a n o , v o l . 4 , T o r i n o , 1 9 5 7 , p . 2 3 5 .
( 5 ) C h i a u d a n o , C o n s o l a t o d e l mare d i M e s s i n a , Novissimo d i g e s t o i t a l i a n o c i t . , l o c o c i t .
( 6 )
本稿は,序説が検討対象にしたMe
裁判所条項とともにメッシーナ海法の中核・最重要部の一方をなす
CCMMを検討対象とするものであり,その意味で,序説
の続編であり,序説と対をなす。しかし,本稿は,「続・メッシーナ海法序説」と 称してはいるが,序説のたんなる補遺・補足にとどまらず,独自・固有の意義を有 するものであるから,「メッシーナ海事評議員条項素描」というサブタイトルを帯びている
。
2
メッシーナ海事評議員条項(CCMM)
本稿は,
Genuardi
の研究にしたがいながら,CCMM
の第1
条から第5 6
条 について分析・検討作業を行うものであるが,序説ですでに紹介しておいたよ うに,CCMM
について,Genuardi
より先に報告をした者がいる。R a f f a e l l e S t a r r a b b a , C o n s u e t u d i n i e p r i v i l e g i d e l l a c i t t a d i Messina s u l l a f e d e d i un c o d i c e d e l XV s e c o l o ( p o s s e d u t o d a l l a B i b l i o t e c a comunale d i P a l e r m o ) , P a l e r m o , 1 9 0 1
(以下において,「
S t a r r a b b a
」または「S t
本」と略称する),pp.273‑289
であ る(1)。
S t a r r a b b a
は,タイトルが示しているように,メッシーナの慣習(法)およ び特権などに関する多くの写本を復刻・収録しており,そのなかに,われわれ がいまかりにCCMM
と略称している規定群の一部(CCMM
第1
条から第3 4
条に対応する規定群)が含まれている。
S t
本によると,その規定群に先立ち," C a p i t u l ae x t r a c t a a l i b r o C a p i t u l o r u m c u r i e m a r i s n o b i l i s C i u i t a t i s messane ad p e t i c i o n e m p h i l i p p i de b o n f i l i o e t p e r r o n i de J o f f o i p s i u s c u r i e c o n s u l um"
とのタイトルが付されている(2)。明らかに,それは,
Genuardi
の紹介する写本のそれよりも長く詳細である。
S t
本がCCMM
のきわめて有益・貴重な研究であることは,まぎれもない 事実であり,本稿において,S t
本を無視するわけにはゆかない。しかし,本 稿が,主として,Genuardi
の研究にしたがうのは,なによりも,S t
本がGen
本のCCMM
の第1
条から第3 4
条までに対応する条文しか報じていないからで ある。ふ本の特徴のおおよそを先にいくつか紹介しておくと,まず,
Gen
本のす べての条文に「条文番号」と「見出し」が付せられているが,S t
本の規定群 には,条文番号は付されておらず,また,Gen
本の第1
条から第1 5
条に対応 する条文には見出しが付されていない(第1 6
条以下に対応する条文には,見出しが付されている)。
‑ 1 0 0 ‑ (942)
S t
本で用いられている用語・表現は,同じイタリア南部方言であっても,Genuardi
が指摘しているように(3l,Gen本のそれよりかなり古いようである (Gen
本は1 7
世紀前半の写本であり,S t
本は1 5
世紀初頭の写本である,と考えられている。S
t
本の用語・表現が2
世紀ほど新しいGen
本の用語・表現より 古 くとも当然であろうが)。S t
本の用語・表現の古さを具体的にいくつか列挙すると,固有名詞の頭文 字についての大文字の不使用(メッシーナ,イエスキリスト,聖夜および神をも小文字で表現),冠詞前置詞の未発達・不統一,定冠詞の省略形の未発達,
アクセント記号の不使用(第
2
条において,e
が用いられているくらい),コ ンマやセミコロンの使用頻度,その他,単語のつづり(U
とV , C
とT , I
とJ , C
とz , C
とC, che ( c h i )
とk iなど,枚挙にいとまがない)などである。
Genuardiの研究にしたがいながら, S t
本をも参照するために,以下の方法 によりたい。例として,まず,S t a r r a b b a ,p p . 273‑274に収録されている Gen
本第1
条に対応する条文を参照する。Qvaskidunu annu i n l i f e s t i d i n a t a l i d i n o s t r u s i g n u r i i h e s v c h r i s t u t u c t i I i s e i c o n s u l i I i q u a l i s i d e r u i n l u o f f i c i u p e r l a n n u p a s s a t u s i d i u i n u c o n g r i g a r i e t i u n g i r i i n l a c u r t i o r d i n a t a u n d i l u o f f i c i u d i l u c o n s u l a t u d i l u mari
si 四~eti l l o c u avendu deu e t l a bona i u s t i c i a innanti~et d i v i n u y s l i g i r i s e i g i n t i l i homini e x p e r t i i n l a r t i d i l u m a r i , p a t r u n i d i n a u i oy m i r c a d a n t i l a q u a l i e l e c i u n i s i d i u i f a r i p e r s c h o r t i e t p e r s c a r f i e t non p e r m a l i c i a oy p r i y e r i j d i a u t r u i l i q u a l i s e i homini d i u i n u e s s i r i d i fama bona e t c o n d i c i o n i i n t e g r a l i q u a l i d i u i n u i n c u m i n c ; a r i r e y r i e t m i n i s t r a r i i u s t i c i a d i l u primer i o r n u d i g i n n a r u
innanti 匹~lid u i p r i m i e l e c t i p e r m i s i q u a c t r u c ; o e s t i g i n n a r u f r i u a r u m a r c ; u e t a b r i l i e t l i a u t r i d u i s i c u n d i e l e c t i p e r mayu iugnu i u g n e c t u e t augustu e t I i t e r c i e l e c t i s i c t e m b r u u c t u u r u nuembru e t dichembru e t c u s s i s i m i l i t e r d i u i n u s i d i r i l i n u t a r i p e r l u tempu s u p r a d i s t i n c t u .
うえの条文中に
1 9
個の下線を付しておいたが,それらは,Genuardiが Gen
本第1
条との差異として認識したものである叱CCMM
第1
条から第34
条を検討するに際して,Gen
本の各条によりながら,Genuardiが差異と認識した箇所の後に, St
本 の 対 応 語 ・ 旬 を 《 》 で 包 ん で 呈 示 す る こ と に す る。筆者も,基本的には,Genuardiの 認 識 基 準 に し た が い
た い が , と く に 筆 者 が 指 摘 し た い 箇 所 ( た と え ば ,Genuardiが 見 落 と し た と
思 わ れ る 箇 所 ) に つ い て は , ① , ② と い う よ う に ,0
で 包 ん だ 数 字 の 注 を 付 すことにする。
2‑1
で 掲 げ るGen第 1
条を参照すれば,Genuardiが St本 と の 差 異 と し た
部 分 と し な か っ た も の の 認 識 基 準 の お お よ そ が 分 か る で あ ろ う 。 す な わ ち , 大 文 字 の 使 用 , 冠 詞 前 置 詞 , 定 冠 詞 の 省 略 形 , 単 語 の つ づ り ( の 多 く ) , コ ン マ の 使 用 な ど は , 差 異 と し て 扱 わ れ て い な い 。(1)
S t a r r a b b a , D i un c o d i c e d e l l e c o n s u e t u d i n i e d e i p r i v i l e g i d e l l a c i t t a d i M e s s i n a , A r c h i v i o S t o r i c o S i c i l i a n o , anno XXIV ( 1 8 9 9 ) , p . 285によると,彼の労作に復刻・
収録されている,メッシーナの慣習 (法)および特権などの写本 (装「本)は,最 初,
1 8 9 9
年3
月, ミュンヘンの古書店主から,パレルモ国立古文書館にもたらされ た。写本は,同館の財政的事情もあって,同館が取得するに至らず,パレルモ市立 図書館が購入することとなった, という。彼の労作は,パレルモ市立図書館が写本 を取得してからきわめて短時間のうちに公刊されたことになる。( 2 ) S t a r r a b b a , p . 273 . ( 3 ) G e n u a r d i , p . 2 8 , n . 3 .
(4) この数は,長大な
Gen本第 1 8
条において差異として認識された数につぐ大きさ である。しかし,その他の条文においては,差異として認識された箇所は,数個程 度にとどま っている。* 本稿の碁本方針
[ V a l
規則および Amの類似・対応条文]2
において,CCMM
の各条について,順 次,検討するが,「小見出し」の番号は,Gen
本の条文番号に合わせる。その番号 の後に,G e n u a r d i ,p . XIV
がその類似性を認めているV a l
規則の条文をかっこ書 きで表示しておく 。また,第31
条,第32
条,第38
条から第41
条,第49
条,第53
条お よび第54
条については,類似性が認められているAmの条文と試論での主たる検
証箇所も併せて表示しておく 。なお,CCMM
の規定とA mの規定を対照する場
合の基本方針については,序説・1 7 6 8
頁参照のこと。[CCMMの見出し] CCMMの各条
に付された「見出し」が語 ・句ではなく,文章 になっている例が多いが,それらの見出しについても,本稿でも (序説と同様),簡潔な表現で「試訳」をしておく。
‑ 1 0 2 ‑ ( 944)
[規定内容] 筆者は,
CCMM
のすべての条文について,翻訳あるいは規定内容の検 証を試みた研究者を知らない。また,CCMM
には古い方言 ・用語がかなり含まれ ている。そのような状況において,CCMM
のすべての条文に正確な翻訳を施すの は, きわめて困難な作業である (少なくとも,筆者にとっては)。翻訳を試みても,
場合によっては,かなり大胆な「推測」が入ってくるであろう。各条の分析・検討 の便宜のため,籠者が解析できた範囲で,各条の「規定内容」を【 】で示すこと にする。したがって,それらは,場合によっては,「試訳」あるいは「仮訳」の域 に達しえていないこともありうる
。
[引用文献の略称]
La T a b u l a d e A m a l p h a , d i r e t t o d a A n t o n i o G u a r i n o , Cava d e i T i r r e n i , 1 9 6 5
を「G u a r i n o
」と略称するが,たとえば,G u a r i n o ,p . 3 6 ‑ 1 ‑ 2
とした 場合,同書3 6
頁にあるAm 第 1
条に関する注の2
を意味する。2‑1
第1
条( V a l
規則第1
条)〔 Comus i d i v i n u e l i g i r i I i c o n s u l i d i mari :
海事評議員の選任方法〕Chaschedunu 《 Qvaskidunu 》 annui n I i f e s t i d i N a t a l i d i N. S . I e s u X r i s t o t u t t i I i s e i c o n s u l i , I i q u a l i s e d e r u i n l ' o f f i c i o p e r l u anno p a s s a t u , s i d i v i n u c o n g r e g a r i e t i u n g i r i i n l a c u r t i o r d i n a t a , u n d i l ' o f f i c i o d i l l u ① I c o n s u l a t u d i l o mari s i r e g g i
《 r e y i 》 , e t i l l o c o , ha vendo Deu e t l a bona j u s t i c i a i n n a n t i l ' o c c h i 《 l o c k j 》 , l e t ! d i v i n u e l i g i r i 《 y s l i g i r i 》 seyg e n t i l h o m i n i e x p e r t i i n l ' a r t i d i l o mari p a t r o n i d i n a v i o i j m e r c a d a n t i , l a q u a l i e l e t t i o n i s i d i v i f a r i p e r s o r t i 《 s c h o r t i 》 e tp e r s c a r f i i e t non per m a l i c i a oy p r i g h e r i 〈 p r i y e r i j 〉 dea l t r i u 《 a u t r u i 》 , I i q u a l i s e y homini d i v i n o e s s e r i d'f 1 ama ona e b t con 1 d ' t ・ ・ 1 o m m ・ t e g r a , 1
「q u a l i d . ・ ・ 1vmo mcomenzan
< incumin~ari > reggiri < reyri > et m i n i s t r a r i j u s t i c i a d i l o primo 《 primer 》 journud i gennaro i n n a n z i , cioe < ~oe > Ii d u i p r i m i e l e c t i p e r m i s i q u a t t r o , c i o e 《 c o e s t i 》 : g e n n a r o , f e b r a r o 《 f r i u a r u 》 , marcio < mar~u > et a p r i l e 《 a b r i l i 》 , e t I i a l t r i d u i s e c u n d i e l e c t i p e r mayo, j u g n o , j u g n e t t o e t a g o s t o 《 augustu 》 e tI i t e r z i e l e c t i : septembro 《 s i c t e m b r u 》 , o c t o b r o 《 uctuuru 》 , novembro 《 nuembru 》 e tdecembro e t c o s s i s i m i l i t e r d i v i n o s e d i r i I i n o t a r i p e r l u tempu s u p r a d i s t i n t u .
cc G e n u a r d i , pp . 2 8 ‑ 2 9 ; S t a r r a b b a , p p . 2 7 3 ‑ 2 7 4 . ① I I
は,挿入・付加部があ ることを表わす。すなわち,本文の ! l u l
は,S t
本では,l u
が入っていることを表 わす。ただし,G e n u a r d i
は,これを見落としている。本条は,「見出し」には,「海事評議員の選任方法」とあるが,選任時期,選 任者,被選任者の員数・資格,および任期・執務期間についても定めている
(それだけではなく,公証人についても言及している)。本条と
Val
規則第1
条との類似性を承認しうるが,両者を詳細に対照・検討すれば,いくつかの差 異を発見することが可能である。【毎年,われらが主イエスキリストの聖誕祭に,過去
1
年間執務をしていた6
名の評議員全員は,海事評議員の職務を行っている裁判所に集合し,そこで,神と正義に誓って,航海者の組合
( l ' a r t id i l o m a r i ( 1 ) ) ,
船長または商人のうち から6
名の熟練の紳士を選任しなければならない。その選任は,策略または他 人の請願によってではな<' くじ引き抽選により( p e rs o r t i e t p e r s c a r f i i )
な されなければならない。その6
名の者は,誉れ高く廉直な人でなければならな ぃ。その者たちは,1
月1
日以降,裁判を司りそして行い始めなければならな い。すなわち,最初の被選任者2
名が,4カ月間,すなわち, 1
月,2
月,3
月および 4月,そして,第 2の被選任者 2名が, 5月, 6月, 7月および 8月, そして,第3
の被選任者2
名が,9
月,1 0
月,1 1
月および1 2
月(を担当する)。そして,同様に,公証人は,上記の期間について,執務しなければならない。】 選任時期は,毎年,聖誕祭の時期である。本条の文言を詳細に観察すると,
Val
規則第1
条と若干異なるかもしれない。すなわち,本条では,「聖誕祭に( i n I i f e s t i d i N a t a l i )
」となっているが,Val
規則第1
条では,「聖誕祭の前夜 に( l o v e s p e r de l a f e s t a de N a t a l )
」となっている。前者では,聖誕祭が複数形 で表わされており (「祭の期間中に」と読むことが可能であろう), 一方,後者 では,いわゆる「クリスマス・イヴ」になっている。選任者も,本条と
Val
規則第1
条とでは異なるようである。本条の形式か らすると,現任の評議員が,次年度の評議員を選任するように読むことができ る(2)。Val
規 則 第1
条 に よ る と , 航 海 業 者( n a v e g a n t s ( 3 ) ) ,
船長( p a t r o n s ( 4 l )
および海員が,次年度の評議員を選任するようである。本条においては,評議員として
6
名の者が航海者の組合,船長または商人の 有識者のなかから選ばれる。これに対して,Val
規則第1
条では,2
名が航海‑ 1 0 4 ‑ ( 9 4 6 )
者の組合のなかから評議員として選任されることになっている。
任 期 が
1
年であることは,本条とVal規 則 第 1
条 と で一致している。ただ し,本条においては,6
名の評議員が2
名・3
組に分かれ,4
カ月ずつ執務す ることになっている。具体的な選任方法について,
Val規則第 1
条では,選挙による全員一致また は多数決による旨が定められているが,本条では,そのような定めはない。選 任 が , 策 略 や 請 願 に よ る こ と な く , く じ 引 き 抽 選 に よ り( p e rs o r t i e t per s c a r f i i ) ,
公 正 に 行 わ れ る よ う , す な わ ち , 不 正 が 生 じ な い よ う 戒 め ら れ て い るだけである。( 1 )
これに類似の用語O a r t ed e l m a r e )
がトラーニ海法の前文および第1
条にみら れる。拙稿「トラーニ海法素描」法学論集5 5
巻4‑5
号1 2 9 4
頁および1 2 9 8
頁で用い た訳語をあてておく 。なお,Val
規 則 第1
条にも,l aa r t d e mar
が登場する。T w i s s , op . c i t . , p . 4 5 1
は,t h eg u i l d o f
navigators との訳語をあてている。
樋貝• 前 掲6 3 3
頁も参照のこと。( 2 )
ただし,選任方法が「くじ引き抽選」によるというのであれば,現在の評議員が,後任者の選任会議の運営をするだけのようにも解釈しうる。
( 3 )
この「航海業者」は,樋貝• 前掲同所の訳語である。前 注 ( 1 )
でもみたが,「航海 者」または「航海業者」がどのような範囲の者を指す用語なのか,難解な問題であ る。序説 ・1 7 8 2 ‑1 7 8 3
頁 注 *cumpagnuni
も参照のこと。( 4 )
樋貝• 前掲同所は,「船舶管理人」と訳している。2‑2
第2
条〔 E l e c t iquid debent f a c e r e :
被選任者の義務〕E l e c t i l i l
《s e i
》f c o n s u l i insembla personalmenti divinu t e n i r i l a c u r t i insembla cum l i n o t a r i , comu e costumatu, i t a quod n u l l u d i l l i c o n s u l i p o , ne d i v i l ' o f f i c i o p r e d ・ 1 c t o vm 1 ・ d ' ・ n , renuncian, ne comm1tt1n a
• ①persona n u l l a .
cc G e n u a r d i , p . 2 9 ; S t a r r a b b a , p . 2 7 4 . ① S t
本では,n i n
となっているが,G e n u a r d i
は , 見 過 ご し て い る。
同 様 の 例 は , 第8
条 に お い て2
回生じている。G e n u a r d i
がこの差異を最初に指摘するのは,第11条においてである。
本条は,評議員(見出しには,「被選任者」とあるが)の義務について定め
ている。すでにふれたとおり,本条から第
1 5
条までの規定には,Val
規則との 類似・対応関係が認められていない。これらの規定は,CCMM
に固有のもの,といいうるかもしれない。
なお,本条から第
6
条の見出しは,ラテン語で表示されている。また,本文 にも(他の条文においても, しばしばみられるが)ラテン語の字旬がみられる。このことから,
CCMM
のもとの条文はラテン語で書かれていたのであろう(1),との推測が成り立ちうるかもしれない。
本稿では,便宜上,
2
段(文)に分けて規定内容を示しておいたが,本条,とりわけ,その前段は,評議員の義務に関する導入規定のような内容を定めて いる
。
ただし,見出しに「被選任者の義務」とあるように,かならずしも,適 用対象を評議員に限定した表現をしておらず,本文(前段)において,「公証 人」に対する言及がなされている。
【選任されると, 《{
6
名の》}評議員は,共同して,自ら,公証人とともに,慣習にしたがい,裁判所を運営しなければならない
。
したがって,評議員は,前述の職務を売り渡し,放棄し,何人にも委ねることができず, してはならな ぃ。】
前段は,被選任者(主たる者は評議員であろうが)の義務について,抽象 的・ 一般的な表現でしか規定していない
。
前段で注目する点として,「慣習にしたがい
(comu e costumatu)
」との文言 が存在することである。
この文言から,CCMM
が編纂される以前に,すでに,海事評議員裁判制度が慣習上存在していたこと(その慣習の具体的な内容まで 知ることはできないが)を読み取ることが可能であろう
。類似の文言
は,この 後も, しばしば登場する。
後段では,前段より,少し具体的な内容が盛り込まれている
。裁判制度の公
正さを担保するために,評議員に求められるべき当然の所作(三つの禁止事項)が列記されている(2)0
本条は,義務違反については,なにも定めていない。それは,次条に委ねら れている。
‑ 1 0 6 ‑ ( 9 4 8 )
なお,後段に類似の用語方法により,公証人の職務放棄などを禁じた規定が 第
8
条に存在している。( 1 ) R i n i e r o Z e n o , S t o r i a d e ! d i r i t t o m a r i t t i m o i t a l i a n o n e l m e d i t e r r a n e o , M i l a n o , 1 9 4 6 , p . 1 3 6 .
( 2 )
現代法的な感覚からすると,三つの禁止事項が制限列挙か例示列挙か,という疑 問(たとえば,「職務怠慢・僻怠」が本条にふれるか)が生じうるであろう(往時,そのような疑問があったのか否かは,築者には不明)。
2‑8
の注( 1 )
参照。2‑3
第3
条〔
Consulesr e n u n c i a n t e s o f f i c i u m i n qua pena s u n t :
職務違反をした評議員に 対する制裁〕Item e l e c t i I i c o n s u l i s i r e n u n c i a s s i r o , v i n d i s s i r o oy c o r n r n i t t i s s i r o l ' o f f i c i o p r e d i t t o r n a i p l u i d i v i h a v i r i l ' o f f i c i o , ne
《non
》d i g n i t a t ii n l a c i t a t i p r e d i c t a e t d i v i p a g a r i j u r e pene a l l a opera d e l l a r n a t r i e c c l e s i a d i Messina
①,l e t f d i c i o
《90
》e s t i p r i v i l e g i u i n l a banca d e l l i i u r a t 1 . ・ c
cGenuardi, p p . 2 9 ‑ 3 0 ; S t a r r a b b a , p . 2 7 4 . ① S t
本では,m i s s i n a
となっている。 S t
本とGen
本の対応関係が終了する第3 4
条までの本文(見出しを除く)のなかに,M e s s i n a
は, 4度出てくるが,S t
本では, 4度とも,m i s s i n a
というように,頭文字 が小文字で書かれている(ラテン語表示のMessane
という語を含めれば5
度)。
また,S t
本のタイトルのなかにもm e s s a n e
という語があるが,これらすべてが,S t a r r a b b a
による書き換え(大文字から小文字への)であった, とは考えがたい。
本条は,評議員の義務について定めた前条を受けて,評議員の義務違反に対 する制裁について定めている。
【同様に,選任されると,評議員は,前述の職務を放棄し,売り渡しまたは
(他人に)委ねた場合,前述の市(メッシーナ市)において,
2
度と,その職 務にも,要職にも就くことができない。
そして,メッシーナの聖母(教会)の 公庫に相当の罰金を支払わなければならず,それに関して,宣誓者の銀行にお いて先取特権が認められる。】本条についても,便宜上,
2
段に分けて内容紹介をしておいたが,前段では,い わ ば , 義 務 違 反 者 の 公 職 追 放 を 規 定 し て い る。規 定 内 容 は , 義 務 違 反 者 の
「名誉」にかかわる措置になっている。
本条の後段は,義務違反者に対する罰金について定めている。前段の措置は,
「名を惜しまない」人には,それほどの制裁の効果を生じない(かもしれな い)が,経済的な制裁は,その種の人にも効果がある。しかし,本条において は,その具体的な金額については,なにも規定されていない。おそらくは,義 務違反の程度により,罰金の額が定められるのであろう(1)。
前条と本条により,評議員の職務(義務)および職務違反が規律されている が,報酬について,
CCMM
に明示的規定は存在しない(ただし,第5 1
条 の 手 数料を除く)。公証人の報酬・費用については,第9
条が詳細な規定を設けて いるのと対照的である。本条の規定内容とはかかわりないが,本文の文頭に置かれた
Item
について,ふれておきたい。
Am
やMe
裁判所条項でなじみ深いこの語は,本条以降第1 7
条まで(ただし,S t
本 で は , 第1 5
条まで)しばらくのあいだみられるが,いったん途切れ,また,第
49
条以降(第54
条を除く)に登場する。Item
は,規定内容に直接関連する用語ではないが,それが置かれた規定な いしその規定を含む法律の成立・編纂時期を推測する手がかりの一つとされて いるのは,周知のとおりである。(1
)
なお,罰金の納付先について, 「メッシーナの聖母 (教会)の公庫( l ao p e r a d e l l a m a t r i e c c l e s c i a d i M e s s i n a )
」としておいたが,そのような理解でよいのか,はなはだ心もとないし,また,それが具体的にどこを指すのかは, 箪者には推測不 能である。しかし,往時のメッシーナの人々にとっては,自明のことであったもの,
と思われる。なお,本条により評議員が支払うべき罰金および第
9
条により公証人 が支払うべき罰金が,第1 0
条により裁判に欠席した訴訟当事者が支払うべき罰金と,同じ性質のものか,議論がありえよう。
2‑50
注( 1 )
も参照のこと。2‑4
第4
条〔 Quomododebent p r o n u n c i a r e s e n t e n t i a m :
判決の申渡方法〕Item l 《 i n 》 I l u p r o n u n c i a r i d i l a s e n t e n c i a d i v i n o s e d i r i l i d u i c o n s u l i pro
‑ 1 0 8 ‑ (950 )
. ・ c t r i b u n a l i , more s o l i t o , a l i t e r l a s e n t e n c i a non s i puo proferm.
cGenuardi, p . 3 0 ; S t a r r a b b a , p . 2 7 4 .
本条は,判決の申渡方法について定めている。本条以降の規定の大半は,か なり具体的に,メッシーナ海事評議員裁判所における裁判・執行手続について,
規定している。
【同様に,判決の申渡しには,
2
名の評議員が裁判官を努めなければならず,例のごと<'さもなければ,判決を申し渡すことができない。】
本条は,判決の申渡しには,
2
名の評議員が同席すべきことを求めている。前半部だけで本条の趣旨は明らかであるが,その趣旨を確認した後半部に注目 すべき文言がみられる。すなわち,「例のごとく
(more s o l i t o )
」である。この 文 言 は , 第2
条 に み ら れ る 「 慣 習 に し た が い(comu e costumatu)
」 な ど と 同 様に,CCMM
に 明 示 的 に 規 定 さ れ て い な い 「 海 事 慣 習 ( 法 ) 」 が 往 時 メ ッシーナに存在していたことをうかがわせる(1)0
( 1 )
同趣旨の文言は,CCMM
第42
条および第43
条にみられるほか,Gen
本第1 1 2
条 にもみられる。2‑5
第5
条〔
Quomodo debent procedere p a r t i b u s p e t e n t i b u s c o n s i l i u m :
訴訟当事者の 助言請求権〕Item i n q u a l s i v o g l i a 《 qualumquata 》 causa I i p a r t i l i t i g a n t i , o , a l c u n a d i i p s i requedino c h i 《 ki* 》 supra causa alcuna I i c o n s u l i haiano c o n s i g l i o , oy d i m e r c a n t i , oy d i j u r i s t a I i c o n s u l i non ponnu zo n e g a r i , ma d i v i n o h a v i r i matura d e l i b e r a c i o n i e t
①sano c o n s i g l i o , e t secondo l u c o n s i g l i o s p a c i a r i 《 s p a c h a r i 》 l a causa servando sempri I i c a p i t o l i 《 l ac a p i t a l i ② 》 d e l l ac u r t i . c
c G e n u a r d i , p p . 3 0 ‑ 3 1 ; S t a r r a b b a , p . 2 7 4 . * [ k i ] Gen
本のc h i
またはc h e
に対 応する語として,S t
本では多くの場所で,k i
が用いられている。G e n u a r d i
は,数カ 所で用法の差異を指摘しているが,無視している箇所が多い。本稿では,以降,c h i
または
c h e
とk i
の対応関係について,逐ー指摘しない。①
S t
本には,ない。②S t a r r a b b a , p . 2 7 4 , n . 2
も,ここには,I ic a p i t u l i
が入るべ きとしている。第
1
条においてみたように,評議員は,海事関係の仕事に従事する者のなか から,それも,かなりの経験者のなかから選任される。彼らは,おそらくは,海事法・慣習に通じた者たちであろうが,すべての海事法・慣習の解釈に長け ているわけではないであろう。現在の裁判においても,時として,鑑定人の意 見聴取がなされている。
本条は,専門家の助言
( c o n s i g l i o ( 1 l )
を求める権利を紛争当事者に認めてい る。海事裁判の専門性からすると,専門家の助言は,公正・妥当な裁判にとっ て,不可欠であろう。【同様に,いかなる訴訟においても,訴訟当事者またはそのいずれかの者は,
訴訟に関して,商人のまたは法律家の助言をえるよう評議員に要求することが でき,評議員は,これを拒絶することができず,熟慮した採決および健全な助 言をえなければならず,そして,助言にしたがい,つねに裁判所の条項を守り,
訴訟を処理しなければならない。】
いずれの時代においても,商事・海事慣習(法)についてもっとも通じてい るのは,商人であろう。助言を求める相手として,商人は適材,といいうる。
また,評議員自身は,海事関係の実務家であっても,法解釈の専門家ではな ぃ。公正・妥当な裁判を行うため,あるいは,訴訟当事者に不満を残させない ために,(職業的)法律家2)の助言は有益・有効であろう。
なお,専門家の助言(意見)聴取について,本条は,訴訟当事者の権利とし て認めているが,第
2 0
条では,評議員の義務として規定している。( 1 )
本条のc o n s i g l i o
の訳語として「助言」をあてておいたが,CCMM
には,c o n s i g l i o
(およびその派生語)が2 0
数回出てくる。場所によっては,「合議」の意 味に用いられているもの,と思われる(おそらく,第23条)。( 2 )
ここにいう「法律家」として,どのような職種の人が想定されていたのは,少な くとも,本条のみからは,不明というほかない。考えうるところでは,裁判官,公 証人,弁護士(多分,その時代にも,職業的訴訟代理人は存在していたであろう。 第1 5
条を参照のこと)である。‑ 1 1 0 ‑ (952)
2‑6
第6
条〔 Quomododebet s i g i l l a r i l i t e r a :
書類の捺印方法〕Item o g n i l i t t r a 《 l i t t e r a 》 s id e v i s i g i l l a r i cum s i g i l l i d i l i c o n s u l i e t cum l o s i g i l l o g r a n d i d i l a c u r t i e t s i m i l i t e r l i p r o c e s s i 〈 p r o c h e s s i
〉,verum che de novu
①f u o r d i n a t u che i n q u a l s i v o g l i a 《 qualunquata 》 p r o c e s s ua p p e l l a t u s i d i v i s u b s c r i v i r i d .
1manu propna d i a l c u n o d e l l i c o n s u h . ・ c
c G e n u a r d i , p . 3 1 ; S t a r r a b b a , p . 2 7 4 . ① S t
本では," d an o u u "にな っ
ている。本条は,往時のメッシーナの裁判において提出された文書の扱いについて定 めているが,その扱いが慎重になされていたことをうかがわせる
。
【同様に,すべての書類は,評議員の官印および裁判所の大公印によって捺
印されなければならず,訴訟記録も同様である
。
むしろ,上訴されたいかなる 訴訟の記録においても,いずれかの評議員自身の手による署名がなされなけれ ばならない,と最初から定められていた。】説明文の末尾にある「最初から」は,
" denovu"
にあてた訳語である。S t
本では,解読文の注①でみたように,"danouu "
になっている。現代標準イタリア語の
" d inuovo"
には,「ふたたび」以外に「最初から」の意味がある。ただし,本稿の解釈が正しかったとしても,その「最初」がいつころのことか は,やはり,少なくとも,本条のみからは,不明というほかない
。
なお,本条が規定している裁判所の公印の形式がどのようなものであ
ったか
は,第1 6
条にかなり詳しく規定されている。
2‑7
第7
条〔 Nonc i essendo l ' u n o d i l i c o n s u l i , c h i d i v i f a r i l ' a l t r o : 1
名の評議員不在時 の他の評議員の義務〕Item s i a l c u n o d e l l i c o n s u l i l 《 c r i a t i 》 I i n l o tempo che d i v i s e d i r i non f u s s i
p r e s e n t i a l a c i t a t i , c h i l u s o compagno l u d i v i a s p e t t a r i j o r n i q u i n d i c i , cuntandu
d a l l u j o r n u che incomencira s e g n i r i i n n a n t i e t s i p e r a v e n t u r a i n f r a q u i s s i j o r n i
q u i n d i c i non v e n i s s i , t u t t i I i c o n s u l i d i q u i l l u annu insembla d i v i n o e l i g i r i un a u t r o i n l o c u d i q u i l l u a b s e n t i . c
c G e n u a r d i , p . 3 1 ; S t a r r a b b a , pp . 2 7 4 ‑ 2 7 5 .
第
2
条および第4
条にあるように,評議員は,2
名で協力(共同)して,裁 判にあたらなければならない。原則として(例外として,第27条の規定がある が),1
名が不在のまま,訴訟を遂行することができない。本条は,不在者が 出た場合の対応策について規定している。【同様に,いずれかの!《当番》}評議員が執務すべき時に(メッシーナ)市 にいない場合,彼の相手方は,執務開始予定日から数えて
1 5
日間,彼を待たな ければならない。そして, (彼が,)偶然,その1 5
日以内に現れないとき,その 年のすべての評議員は,共同して,不在者に代わる他の者を選任しなければならない。】
上掲の規定内容から分かるように,本来の執務者が現れるのを待つ期間は,
1 5
日間のみである。その期間を経過すれば,執務代行者の選任がなされる。迅 速な訴訟進行が図られるのと同時に,本来の2
名による訴訟運営の確保が意図されている。
執務代行者がどのような者のなかから選任されるのかについて,明示的言及 はなされていないが,その年の評議員のなかから選ばれたであろうことが想像 される。それは,第
44
条の「評議員の忌避」の規定が,忌避された評議員の代 行者がその年の評議員のなかから選ばれるべき旨を定めていることを根拠・手 がかりとしている。
2‑8
第8
条〔 L in o t a r i non ponnu r e n u n c i a r i ne commettiri I ' o f f i c i o :
公証人の職務放棄・委託禁止〕