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県産粘土鉱物を利用した無機系吸着材料の開発

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Academic year: 2021

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(1)

化学部

県産粘土鉱物を利用した無機系吸着材料の開発

瀬川 晃児

県内で産出する耐火粘土と木材チップ工場より排出されるチップダストを原料とし、水処理な どを目的としたセラミック−炭素複合系吸着剤の製造技術の確立を目的として、材料の配合、炭 化条件、ガス賦活による特性の改善について検討した。その結果、一連の工程を経ると100㎡

/g前後の比表面積を有し任意の形状の多孔体が得られるものの、炭酸ガス気流中で熱処理して も十分な賦活効果は見られない事がわかった。

キーワード:粘土 吸着材、炭化、賦活

Study on Production Method for Inorganic Absorbent with Clay Minerals

SEGAWA Koji

Manufacturing method for adsorbent of ceramic-carbon composite was investigated.

Ironrichfireclay and wood chip dustwereblended,milled,pelletized andcarbonated with tube furnace with nitrogen gas flow. The process gave porous carbide samples of the necessary shape and specific surface area of about 100m/g. Buttheactivationwithcarbon2 dioxidegaswasnoteffectiveforthesamples.

key words : clay,adsorbent, carbonization,activation

1 緒 言

粘土鉱物を炭素系材料と複合化させて吸着材とし、水 処理等に利用する研究は従来ほとんど行われていない。

また、耐火粘土に代表される県産粘土鉱物は豊富な埋蔵 量で知られている1)ものの、現在は一部が陶磁器用など に利用されているのみで新たな用途開拓による有効利用 が求められている。

本研究は、水処理等を目的としたセラミック−炭素複 合系吸着材料を開発して、県産粘土鉱物の利用を促進す るとともに、副原料として有機系及び無機系産業廃棄物 を使用することで、それらの有効利用も図ることを目的 として実施した。

2 実験方法 2−1 原料の調製

粘土鉱物は、岩泉町石見鉱山産の赤盤粘土を用い、ア ルミナ製ポットミルで水とともに12時間粉砕し、脱水 後風乾した。炭素源となる有機質原料としては岩手町の 木材チップ工場より排出される広葉樹質のダストをあら かじめカッター式ミル(IKA製M−20)で10分間 破砕し100℃で乾燥して用いた。

これらの材料を所定の割合で配合し、アルミナ製振動 ミル(平工製作所製TI−100)で5分間粉砕混合し た粉末に水を加えて混練し3〜5mmの粒状に可塑成形 して100℃で乾燥したものを焼成に供した。

(2)

熱電対

ガス導入管 シリコン栓

炉心管

多孔質アルミナブロック 磁製ボート

図 1 炉心管の内部構造

ガス排出管

2−2 炭化およびガス賦活

炭化処理は、図1のように雰囲気焼成できる内部構造 のムライト製炉心管(内径40mm)を取り付けたシリ コニット管状炉で行った。約8gの成形試料を磁製ボー トに入れて炉内中央に配置し、予めダイアフラム式ポン プで排気後に塩化カルシウム入り乾燥管を通して乾燥し た工業用窒素ガスを140Nml/minの割合で流し ながら昇温速度400℃/hrで所定の温度に到達後直 ちに炉冷した。賦活処理は、2.5gの試料について炭 化処理と同様の操作で工業用炭酸ガスを用いて行った。

2−3 試料の評価

原料の熱重量変化は、示差熱天秤(真空理工製SYS TGD7000)を用いて窒素気流中、昇温速度10℃

/minで、約20mgの粉末試料について測定した。

炭化試料の迅速表面積は比表面積測定装置(柴田科学製 SA−1100型)を用い、窒素ガスによるBET1点 法で求めた。炭化処理および賦活処理による収率は、そ れぞれの処理前後の重量変化の割合から求めた。

3 結果と考察 3−1 原料の配合

図2に赤盤粘土とチップダストの熱分析結果を示す。

この結果から、600℃から1100℃の温度範囲では いずれの材料も大きな重量変化はないことがわかる。1 000℃付近での炭化処理を想定して、炭化後の重量比 がほぼ1:1となるように、赤盤粘土1:チップダスト 2の重量比で混合粉砕した。粉砕試料は、水を用いた可 塑成形が容易で、乾燥後及び炭化後も十分な強度を保持 しており、ハンドリングによる破壊は見られなかった。

3−2 炭化処理

熱分析の結果と、赤盤粘土の焼結特性2)から、炭化処 理の温度を600℃から1400℃とした。

収率と得られた炭化物の比表面積に及ぼす炭化温度の 影響を図3に示す。この結果は、試料重量や形状の違い

を考慮しても、上の熱分析結果と良い一致を示した 次に、炭化物の比表面積に及ぼす炭化温度の影響を図 4に示す。800℃前後で比表面積は最大となり、さら に温度を上げると炭化温度の上昇とともに比表面積は減 少した。収率の結果から、800℃から1200℃付近 までは著しい重量減少が見られず、炭素量がそれほど減 少していないと考えられることから、比表面積の減少は 細孔の収縮に起因すると考えられる。

図2 原料の加熱重量変化

図3 炭化温度の収率への影響

600 800 1000 1200 1400

炭化温度[℃]

45 50 55 60 65

収率[%]

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 温度 [℃]

-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10

重量変化 %]

赤盤粘土

チップダスト

(3)

図4 炭化温度の比表面積への影響

3−3 賦活処理

あらかじめ600℃で炭化した材料について、炭酸ガ ス気流中、最高温度600℃から1000℃、最高温度 到達後の保持時間0〜30分の条件で賦活処理を行った。

得られた試料の比表面積に及ぼす賦活温度の影響を図 5に示す。この結果から、炭酸ガスによる賦活効果は6 00℃〜800℃の低温側でわずかに認められる程度で、

逆に900℃以上で長時間賦活処理を行うと比表面積は 著しく低下することがわかった。

さらに、賦活処理前後の重量変化から求めた賦活収率 に及ぼす賦活温度の影響を図6に示す。賦活処理での重 量減少の大部分は、酸化による炭素の消費に起因すると みなせるが、この結果と上の比表面積の結果を合わせて 考えても、炭素の残存量と比表面積の間に明確な相関は 見られない。

これは、800℃以下の低温側では細孔構造を維持し たままで炭素が消費されていくために比表面積が大きく 変化しないのに対して、900℃以上では表面の炭素が 急激に失われることによって比表面積も大きく減少する と考えられる。

4 結 言

県内で産出する耐火粘土と木材チップ工場より排出さ れるチップダストを原料とし、水処理などを目的とした セラミック−炭素複合系吸着剤の製造技術の確立を目的 として、材料の配合、炭化条件、ガス賦活による特性の 改善について検討した。その結果、一連の工程で100

㎡/g前後の比表面積を有した任意の形状の多孔体が得 られた。さらに、得られた炭化物を炭酸ガス気流中で熱 処理しても十分な賦活効果は見られない事がわかった。

600 800 1000 1200 1400

炭化温度[℃]

20 40 60 80 100

比表面積㎡/g]

図5 賦活温度の比表面積への影響

図6 賦活温度の賦活収率への影響

試作材料の比表面積は最大でも100㎡/g前後にと どまり、一般の活性炭(1000㎡/g前後)やさらに 良質の木炭(500㎡/g前後) に比べてもかなり低3) いことから、吸着剤としての特性が十分には期待できな いと考えられる。

文 献

1)「岩手県岩泉町 赤盤粘土の利用に関する基礎研究

(東北の非金属鉱物資源調査報告)」仙台通商産業局、

非金属鉱物調査委員会編(1989)

、 ,46 2)横屋正男、船山博:岩手県工業試験場研究報告 2 1

(1979)

3)たとえば「新版活性炭−基礎と応用−」真田雄三他編 講談社(1997)など

600 700 800 900 1000 賦活温度[℃]

0 20 40 60 80 100

比表面積[㎡/g]

保持時間なし 15分保持 30分保持

600 700 800 900 1000 賦活温度[℃]

70 75 80 85 90 95 100

賦活収率[%]

保持時間なし 15分保持 30分保持

(4)
(5)

参照

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