論
文
大和 川 水 系 初 瀬 川 に お け る親 水 護 岸 工 事 と河川 の 自然 環 境
Ri ver Res t or at i onandNat ur al Envi r onment s i nt heHas eRi ver , Nar a.
岩崎 敬二w
Kei j i I was aki
は じめ に
自然 の河 川には 、 流 れ の 速 い 浅 い瀬と、 流 れ が 停 滞した深 い 淵 が 交 互 に く り返 され て い る。 川 岸 に は、 流 心 の 流 速 に応じて 、 石 ・砂 ・泥 の 河 原 が 形 成 され 、広 い 河 川 の 中 洲 や 河 原 に は ヤ
ナギ 類 の 樹 木 や 湿性 の ヨ シな どの植 物 が繁 茂して い る 。 流 れ は 自然 堤 防 の 中 で 蛇 行し、堤 外 に は洪 水 を受 け 止 め る 氾 濫 原 が広 が っ て い る 。 こ うい った 多 様 な 河 川環 境 は 、 数 多くの生 物 た ち の 生 息 場 所とな っ て おり、 エ コトー ン と呼 ば れ る 水 中 か ら 陸 上 ま で の 環 境 の 傾 斜 に応 じて 、 様 々 な生 物 達 が 複 雑 な種 間 関 係 を取 結 んで 、 独 自 の生 物 群 集 が形 成され て い る( Al l an, 1995; 可 児 、1994; 桜 井 、1991、1994; 谷 田 、2001) 。 さ ら に、 上 流 か ら下 流 へと連 続 的 に変 化 す る 環 境 条件と物 質 や エ ネ ル ギ ー の流 れ が 、 多様 な生 物 群 集 に よっ て 変化 ・貯 留 さ れ て生 態 的 な循 環 が健 全に行 わ れ る こ とで 、豊 か な河 川 生 態 系 が 維 持され て い る( 谷 田、1999) 。
1950年 代 以 降 、 こ うい っ た 自然 河 川 の 多様 性 が 、都 市 近 郊 や平 野 部 か ら次 々 と姿 を消しつつ あ る 。 治水 の た め の流 路 の直 線 化 を伴 っ た河 川 改 修と、 洪 水 防止 を 目的 と した河 川 土 砂 の凌 深 や 河 原 ・中洲 な どの 除去 の た めで あ る。 さ ら に 、1980年代 か ら は 、親 水 護 岸 工 事 と称して、 水 辺 に親 しむ た め の河 川 敷 公 園 の 建 設 や 高 水 敷 の コ ンク リート護 岸 化 、階 段 ・芝 生 の 設 置 とい っ た 営 為 が 行 われ て き た( 吉 村 、1996) 。 こ うい っ た工 事 は 、 河 原 や 中 洲とそ こ に繁 茂 す る 自然 植 生 の除 去 、 流 路 の直 線 化 、 瀬・淵構 造 の 破 壊 、 土 砂 で できた 自然 堤 防 と氾 濫 原 の 喪 失 を も た ら し、 多様 な生 物 的 環 境 を破 壊し、 単 調 か つ 画 一 的 な 人工 的 環 境 を全 国 各 地 に作 り上 げ て い っ た 。 そ の結 果 、 自然 の 河 川 が 備 えて い る、 生 物 た ちの 食 う ∼食 われ る関 係 を通した 自浄作 用 も 失 わ れ 、水 質 悪 化 の 一 因 と な って い る( 玉 井 ほ か 、1993; 島 谷 、1999) 。
こ う い った 人工 護 岸 工 事 に対 す る反省 か ら、ドイ ツで は 、1980年代に河 川 の 自然環 境を復 元 す る た め の多 自然 型 工 法 が 開 発 され 、 失 わ れ た 自然 環 境 に近似 した 河 川 環境 が 次 々 と再 生され る よ うに な っ た( 自 然 環 境 復 元 研 究 会 、1995; 佐 々木 ・中村 、1996) 。 日本 でも、 そ の 多 自然 型 工 法 に 日本 の状 況に応じた 工 夫 を加 え た 多 自然 型 川 作りが 神 奈 川 県 横 浜 市 で初 め て 行 われ 、
水 質 の 改 善 ・生 物 的 環 境 の 再 生・水 生生 物 の復 活・川 遊 び や釣りの活 発 化 とい う点 で 、 か な り の成 果 を挙 げ て い る( 吉 村 、1996) 。 こ の河 川 の 自然 環 境 の 復 元 作 業 は 全 国 各 地 で も行 わ れ る よ うに な っ て お り( 土 屋 、1999; 玉 井 、1999; 谷 田、1999; 馬 場 、2001) 、 直 線 化 され た 河 川 の大 規 模 な再 蛇 行 化 計 画も実 施 さ れ つ つ あ る( 中 村 、2003) 。2002年 に は 自然 再 生 推 進 法 が 制 定 され 、 河 川 の 自然 環 境 の 復 元 は 、 そ の 中 で も特 に重 要 な テ ー マ とな っ て い る。
竜 田川 を は じめ とす る 大 和 川 水系 の 諸 河 川 は 、 か つ て は万 葉 集 や古 今 集 に謳 わ れ た清 流 で あ った 。しかし現 在 で は 、 一 級 河 川 と して は 全 国 で1- 2位 を競うほ どの汚 濁 河 川とな っ て しま っ た 。 そ の 一 因と して河 川 改 修 に よ る 自然 破 壊と そ れ に伴う 自浄 作 用 の 喪 失 が あ る( 岩 崎 、 2000) 。 奈 良 県 を流 れ る大 和 川 水 系 で は、 「自然 環 境 に配 慮した 」 と され る 、 河 川 敷 を公 園化 す る 「親 水 河 川 」を作 る た め の 河 川 改 修 が1990年 代 前 半 か ら竜 田川と初 瀬 川 で 行 わ れ て い る ( 奈 良 県 土 木部 河 川 課 、1997) 。 この 論 文 で は 、桜 井 市 を 流 れ る 初 瀬 川 を対 象と して 、 こ の河 川 改 修 が 施 され た 場 所 と され て い な い場 所 との 生 物 相 と水 質 を調 査し、奈 良 県 が行 っ た 「親 水 河 川 」 化 工 事 が 河 川 の 自然 環 境 に どの よ うな 影響を与 え た か を分析した.
圃査場所 と
調 査方法
調 査 対 象 地 は 、桜 井 市 の 金屋 地 区 と脇 本 地 区で あ る 。 こ こ を流 れ る初 瀬 川 の 金屋 地 区 で は 、 1995年頃 か ら上 記 の よ うな親 水 公 園 作りが 奈 良 県 に よ って 行 わ れ 、1997年 には ほ ぼ 完 成して い
る。 こ の親 水 工 事 区 の うち、 大 向 寺 橋 の 周 辺 は 「花 と歴 史 の ゾ ー ン」 と名 付 け られ た 親水 工事 が行 わ れ て お り( 奈 良県 土 木 部 河 川 課 、1997) 、流 水 部分 の 河原 や 中洲 は全 て 除去 され た上 で 、 階段 状 の コ ンク リート護 岸 や 敷 石 護 岸 が 施 され 、 一 部 で は木 工 沈 床 や 巨 石 の 捨 石 も設 置 され て い る( 写 真1) 。 河 川 敷 部 分 に は 、 芝 生 の 緑 地 や ゲ ートボ ー ル 場 な どが 設 置 さ れ て お り、 日本 庭 園状 に 巨石 が 配置され て い る所 やタイ ル を使 っ たモ ザ イ ク絵 が 描 か れ て い る所 もあ る( 写 真 2) 。 この 論 文 で は、 この 部分を 「親 水 護 岸 区」と称 す る。
この 親水 護岸 区 の下 流 、J R桜井線 の鉄 橋 付 近 で は 、 「川 が本 来 持 って い る 自然 環 境を保 全し、 緑 豊 か な都市 景観 を創 出す る」とさ れ 「自然 環 境 回復 ゾ ー ン」と名 付 け られ た( 奈 良 県 土 木 部
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写 真1. 親 水 護 岸 区 の 河 川 景 観. 桜 井 市 金 屋 地 区 写 真2. 親 水護 岸 区 の 高 水 敷 の 環 境. 桜 井 市 金 屋
の 大 向寺 橋 付 近( 2002年6月 撮 影) . 地 区 の 大 向 寺 橋 付 近( 2002年6月 撮 影) .
岩崎: 初 瀬川の 自然 環境 と親水工事
河 川 課1997) 工 事 が 行 われ てい る( 写 真3) 。 この 部 分 に は 、 か つ て あ っ た中 洲 や ガマ ・ッ ル ヨシ な ど の抽 水 植 物 群 落 を残しつ つ 、 竹 組 み や 木 組 み の護 岸 が 施 され て い る( 写 真4) 。 こ の 論 文 で は 、 この 部分 を 、 「自然 回 復 区 」 と名付 け る。
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写 真3. 自 然 回 復 区 の 河 川 景 観. 桜 井 市 金 屋 地 区 写 真4. 自 然 回 復 区 の 竹 組 み 護 岸. 桜 井 市 金 屋 地
のJ R桜 井 線 鉄 橋付 近( 2002年6月 撮 影 〉. 区 のJ R桜 井 線 鉄橋 付 近( 2002年6月 撮 影) .
この 「親 水 護 岸 区 」 と 「自然 回 復 区」 の 上流 部 分 、 慈 恩 寺 地 区の 近 鉄 大 和 朝 倉 駅周 辺 よ り も 上 流 の 初 瀬 川 で は、 前 述 の よ うな 親水 工 事 は行 わ れ て お らず 、 川 幅 は 狭く両 岸 は垂 直 に 近 い コ ンク リートで護 岸 され て い る もの の く写真5) 、 自然 状 態 に近 い河 原 や 中 洲 、 瀬 、淵 が 残され てい た( 写 真6) 。 この 論 文 で は、 この 部 分 を 「非 改 修 区」 と称 す る。
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写 真5. 非 改 修 区 の 河 川 環 境, 桜 井 市 脇 本 地 区 新
朝 倉橋 付 近( 2002年6月 撮 影) .
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写 真6. 非 改 修 区 の 流 路 部 の 環 境. 桜 井 市 脇 本 地
区 新 朝 倉 橋 付 近 〔2002年6月 撮 影) .
この よ うな 「親 水 護 岸 区」、 「自然 回 復 区 」 と 「非 改 修 区」 で 、1998年か ら2003年まで の5年 間 に 、夏( 6- 7月) と 冬 く1- 2月) の それ ぞ れ で1回 つ つ の 生 物 調 査 を行 っ た。
非 改修 区 は 、慈 恩 寺 地 区 の上 流 、 脇 本 地 区 の 新 朝 倉 橋 のすぐ下 流 に あ っ て、 自然 の 河 原 が 形 成 され そ の 上 に抽 水 植 物 群 落 が 存 在して い た場 所 を、 定 点調 査 地 と した。 そ こで 、 早 瀬 ま た は 平瀬 の流 心 部 、淵 、 岸 部 の抽 水 植 物 群 落 内 部 の3ケ 所 で、 水 生 生 物 を採 集した。 早 瀬 ま た は平 瀬 で は 、25c mx25c mの 方 形 枠 を3ケ 所 つ つ水 底に ラ ン ダム に 置 き、 下 流 側 に 網 目0. 5mmの サ ー バ ー ネ ッ トを置 い て流 下 す る動 物 を受 け つ つ
枠 を3ケ 所 つ つ 水 底 に ラ ンダ ム に置き、 網目05mmの ネ ッ トで砂また は 泥 を採 取してバッ トに 移し、河 原 に持 ち帰り、 そ の 中 の 動物 を ピ ンセ ッ トで採 集した。 岸 部 の抽 水 植 物 群 落 で は、 口 径35c m×25c m・ 網 目l mmのD型 ネ ッ トをl mお きに 下 流 か ら上 流 に 向か っ て 群 落 内 部 に挿 入 して10回の 網 入 れ を行 い 、 網 の 中 に た ま った 動 物 や 落 葉 をバッ トに移して 河 原 に持 ち帰 っ て 、 水 生 動 物 を ピ ンセ ットで 採 集した 。 そ れ を1セ ッ トと して3セ ッ トを行 っ た。 なお 、落 葉 が 多 量 に採 取 され た 場 合 に は 、 現 場 で の微 少 な 動物 の採 集 が不 可 能 で あ っ た た め 、室 内 に持 ち帰 っ
て 、双 眼 実 体 顕微 鏡 の 下 で 、微 少 な 動物を ソー テ ィ ング した。
「親 水 護 岸 区」 は、 数 百 メー トル 毎 に、 人工 的 な 落 ち 込 み に よ って 区切られ て おり、金 屋 地 区 の 大 向寺 橋 が か か る そ の 一 つ の 区 切りの 、大 向 寺 橋 の すぐ上 流 部 分を定 点 調 査 地 と した 。 1998年か ら2000年 ま で の 調 査 期 間 中 、 「親水 護 岸 区 」 に は、 礫 や 石 が水 底 に存 在 す る よ う な早 瀬 や平 瀬 が 全く存 在しなか っ たた め に、 瀬 で の 調 査 は で きな か っ た が 、淵 に 相 当 す る流 れ の な い砂 泥 部 分と岸 部 の 抽 水 植 物 群 落 内 部 で は 、 非 改修 区 と同 様 の 調 査 を行った 。
「自然 回復 区 」 は 、 同 じ く金 屋 地 区 に あ るJ R桜井 線 の 鉄 橋 の 約200m上 流 部 を定 点 調 査 地と した 。 こ こに は 、調 査 期 間 中 、淵 に相 当 す る部 分 が 渇水 時 を除 い て ほ とん ど存 在しな か っ た た め 、早 瀬また は平 瀬 部 分と岸 部 の 抽 水 植 物 群 落 内 部 で は 、 非 改 修 区 と同 様 の調 査 を行 っ た 。
採 集され た動 物 の 同定 は、 水 生 昆 虫 につ い て は 川 合( 編 、1985) の 「日本 産水 生 昆 虫検 索 図 説」を、魚 類 に つ い て は宮 地 ほか( 1976) を 用 い て 、 可 能 なか ぎ り、 種 名 まで確 定 す る よ う努 め た。 た だ し、双 翅目の ユ ス リカ科 、 カ ゲ ロ ウ 目の コ カゲ ロ ウ科 、 貧 毛 類 の イ ト ミ ミズ類 の種 まで の 同定 は不 可 能 で あ っ た た め、 ユ ス リカ科 と コ カゲ ロ ウ科 につ い て は 、 属 の レベ ル で と ど め て 、調 査 地 点 ご とに タクサ( 分 類 群) 数 を数 え た 。 イト ミ ミズ類につ い て は 、 科 の レベ ル ま で 同 定 した。
調 査場 所 の水 質 につ い て は 、溶 存 酸 素 量 と酸 化 還 元 反 応 の 場 所 毎 の 違 い を知 るた め に、2003 年 か ら2004年に か け て 、瀬 に相 当 す る流 心 部 と、 岸 部 に存 在 す る抽 水 植 物 群 落 の 、 開 放 水 面 か ら50c m内 部 と、2m内 部 で 、 夏( 2003年7月) と 冬( 2004年2月) の2回 、 溶存 酸 素 量 と酸 化 還 元 電 位 の 水 質項目の 測 定 を行 っ た。 そ れ ぞ れの 場 所 で 、 各測 定 項目に つ い て 、5回 つ つ の測 定 を行った 。 溶存 酸 素 量 につ い て はKepi s DO- 5509、 酸 化 還 元 電 位 につ い て はHannaWTを 用 い て 行 った 。
結
果
夏 の 採集 結 果
図1に 、1998年 か ら2002年の 夏 に 、各 年 の各 区 で の 瀬 で の3回 の採 集 、 淵 で の3回 の採 集 、 川 岸 植物 群 落 で の3回 の調 査 で採 集され た水 生 動 物 の 、 の ベ タ クサ 数 の 違 い を示 す 。 方 法 の 項 で 述 べ た よ う に、 親 水 護 岸 区で は 、5年 間 を通して、 瀬 は全く形 成 され て お らず 、 川 岸 の 植 物 群 落 も1998年と1999年に は存 在しな か っ たの で 、瀬と川 岸 の 植 物 群 落 で の 採 集 が で き なか った た め に 、 図1に は示 さ れ て い な い 。 こ の親 水 護岸 区 の 淵 で採 集され た水 生 動 物 は 、5年 間 を通
岩崎: 初 瀬川の 自然環境 と親水工事
1998年1999年2000年2∞1年2002年
図1. 夏 期 調 査( 6- 7月) に お け る採 集 タ ク サ 敗 の 調 査 場 所 ご との 比 較. 縦 軸 の タ クサ 数 は 、
平 均 では な く、 の ベ タ クサ 数 を示 す 。
して 、貧 毛 類 とユ ス リ カ科と コカ ゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワカ ゲ ロウ科 の弱 令 幼 虫 とカ ワニ ナ だ けで 、 採 集 タクサ 数 は毎 年 、4- 6タ ク サ しか な か った。
自然 回復 区 で は 、 方法 の項 で書 い た よ うに 、5年 間 を通して ほ と ん ど淵 が形 成され て い な か っ た ため 、 淵 で の 採 集 が で きな か った 。 瀬 は 、 早 瀬 に あ た る もの が なく、平 瀬 状 態 の 川 底 だ け で あ っ た が 、5年 間 を通して 、7- 12タ ク サ の水 生 動 物 が 採 集され た 。 個 体 数 で はユ ス リカ科 と コカ ゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワ カ ゲ ロ ウ科 ・ヒ ラ タ カ ゲ 回 ウ科 ・マ ダ ラ カ ゲ 回 ウ科 の幼 虫 が 多く、 シ マトビケ ラ科 の トビケ ラやミズ ム シ・カ ワ ニ ナ な ど も若 干採 集 され た 。 ッ ル ヨシ を 主体と し た川 岸 植 物 群 落 で は 、毎 年 、8- 12タ ク サ の水 生 動 物 が 採 集 され 、 フ タ オ カゲ ロ ウ科 ・コ カ ゲ ロ ウ科 や カ ワ トンボ科 ・サ ナ エトンボ科 ・ヤ マトンボ科 のトンボ の幼 虫 な どの水 生 昆 虫 だ け で な く、 ギ ギ やドン コ・カ ワ ヨシ ノ ボ リ・オ イ カ ワ な ど魚類 の稚 魚 や カ ワ ニ ナ ・サ カ マ キ ガ イ な どの 巻 貝 も採 集 され た 。
置 の 分 散分 析を 用いると) 、 非 改修 区の 方が 有 意 に タク サ 数 が多 い、と いう 結果 が 得ら れた
( p〈0. 01、 年 毎 の 違 いに つい て は 、p>0. 05) 。
非 改 修区 の 川 岸 植 物 では 、13- 19タ ク サ の 水生 動 物 が 採集さ れ 、 の ベタ ク サ 数 で は 、 こ の 部
分 で の 採集 数 が 最 も 多 かっ た 。フ タ オ カ ゲ ロ ウ 科 ・コ カ ゲ ロ ウ 科 やイ ト ト ン ボ 科 ・カ ワ ト ン ボ
科 ・サ ナ エト ン ボ 科 ・ヤ マ トン ボ 科 ・ヤン マ 科 の ト ン ボ の 幼 虫 、ア メ ン ボ ・ ミズ カ マキリ・タ
イ コ ウ チ ・ミ ズ ス マシ・マッ モム シ な ど の 水生 昆 虫だ け で なく、 ドン コ・カ ワ ヨ シ ノ ボリ・オ
イ カ ワ ・カ ワ ム ツ など魚 類の 稚 魚、 カ ワ ニ ナ ・チリ メ ン カ ワ ニ ナ ・サカ マ キガ イ ・ヒ メ モ ノ ア
ラ ガ イ ・モ ノ ア ラ ガ イ な ど の 巻 貝、ミズム シ やシ マイ シ ビ ル な ど 、 幅 広 い 分 類 群 の 動 物 が 採 集
さ れ て い る 。こ の 非 改 修区 の 川 岸 植 物 で 採 集さ れた タ ク サ 数を 、自 然 回 復 区 の 川 岸 植 物で 採 集
さ れ たタ ク サ数と比 較 すると( 網 入れ10回 あたり の 採 集タ ク サ 数を 従 属 変 数とし、 年と非 改 修
区/ 自 然 復 元区 の 区 別と をグ ル ープ 変 数とし て 、 繰 り返し の ある2元 配 置 の 分 散 分 析を 用い る
と) 、瀬の 場合と 同 じ く 、 非改 修区の タ ク サ数 の 方 が 有 意に 多 かっ た( p〈0. 001、 年 毎の 違い
に つ い て は 、P>0. 05) 。
非 改 修区 の 淵 では4- 6種 類 し か 採 集さ れ ず 、 貧 毛 類 、 ユ スリ カ 科と コ カ ゲ ロ ウ科 ・タ ニ ガ
ワ カ ゲ ロ ウ 科の 弱令 幼虫 やカ ワ ニ ナ だ け で あっ た 。
冬 の 採集 結 果
冬 の 調 査 で も、夏と同 じよ う に 、親 水 護 岸 区で は5年 間 を通して 瀬 が 全く形 成 され て い な か った た め に 、 瀬 で調 査 をす る こ とが で きなか っ た( 図2) 。 親 水 護 岸 区 の 淵 で は 、毎 年 、5- 9 タ クサ が採 集 され た に と どま り、貧 毛 類とユ ス リカ科 、 コ カ ゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワ カゲ ロ ウ科 の 弱 令幼 虫 や カ ワ ニ ナが 主 体 で あ っ た。 親 水 護 岸 区 の 川 岸 植 物 群 落 は、2002年 以 降 に ツル ヨ シな どの 枯 れ た 桿 な どが林 立 す る場 所 が できる よ う に な り、 そ こで調 査 を行 っ た が 、3- 6タ クサ しか採 集 で きな か っ た。
自然 回 復 区 の瀬 で は 、12- 17タ クサ の水 生 動 物 が 採 集 され た 。 フ タ オ カゲ ロ ウ科 ・コ カゲ ロ ウ科 ・チ ラ カ ゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワ カ ゲ ロ ウ科・ヒ ラ タ カ ゲ ロ ウ科 ・マ ダ ラ カ ゲ ロ ウ科 な ど カゲ ロ ウ科 の幼 虫 が 多 く、 シマトビケ ラ科 ・ヒゲ ナ ガ カ ワトビ ケ ラ科 の トビケ ラやミズ ム シ・カ ワ ニ ナ な ど も若 干採 集 され た 。 自然 回 復 区 の川 岸 植 物 群 落 で は 、6- 10タ クサ ほ ど採 集 され て お り、 フ タオ カ ゲ ロ ウ科 や コ カ ゲ ロ ウ科 の カ ゲ ロ ウ類 、 カ ワトン ボ科 ・サ ナエ トンボ科 ・ヤ マ ト ンボ 科 のトンボ の幼 虫 やドンコ ・カ ワ ヨシ ノ ボ リ ・オ イ カ ワ な ど魚 類 の稚 魚 や カ ワニ ナ も採 集 され た 。 た だ し、個 体 数 は いず れ も少 なか っ た。
非 改 修 区 の 瀬 で は 、15- 26タ クサ の動 物 が 採 集 さ れ 、 のベ タ クサ 数 は こ の部 分 で も っ と も多 か った 。 ユ ス リ カ科と コカ ゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワ カ ゲ ロ ウ科・ヒラ タ カ ゲ ロ ウ科 ・マ ダ ラ カゲ ロ ウ科 ・チ ラ カゲ ロ ウ科 な どカ ゲ ロ ウ類 の幼 虫 の個 体 数 が 多く、 シマトビ ケ ラ科 ・ヒ ゲナ ガ カ ワ トビケ ラ科 な どのトビケ ラ や カ ワ ゲ ラ科 ・ミ ドリカ ワ ゲ ラ科 な どの カ ワ ゲ ラ類 な ど も少 なか ら ず 採 集 され て い る 。 非 改修 区 の瀬 で採 集 され た タクサ 数 を 、 自然 回 復 区 の瀬 で の タ クサ 数 と比 較 す る と( 方 形枠1ケ の 中 の タク サ 数 を従 属 変 数 と し、 年と非 改 修 区/ 自 然 復 元 区 の 区 別 と を
岩崎: 初 瀬川の 自然環境 と親 水工事
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欺 鴨
陸燃
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1999年2000年2001年2002年2∞3年
図2. 冬 期 隅 査( i - 2月) に お け る 採集タ クサ 数 の 咽 査 場 所 ご との 比 較. 縦 軸 の タ ク サ 数 は 、
平 均 で は な く、の ベ タクサ 数 を示 す 。
グ ル ー プ変 数と して 、繰 り返しの あ る2元 配 置 の 分 散 分 析 を用 い る と) 、 非 改修 区 の 方 が 有 意 に タ クサ 数 が 多 い 、 とい う結 果 が 得られ た( p<0. 005、 年 毎 の 違 い につ い て は 、p>0、05) 。
非 改修 区 の 川岸 植 物 で採 集され た水 生 動 物 の タ クサ 数 はl l - 14で 、 カ ゲ ロ ウ類 につ いて は コ カゲ ロ ウ科 ・タニ ガ ワカ ゲ ロ ウ科 ・マ ダ ラ カ ゲ ロ ウ科 ・チ ラ カ ゲ ロ ウ科 な どで 瀬 で の 採 集 タ ク サ と共 通 す る もの が 多 か っ た。 そ の他 に は、 カ ワトンボ科 ・イト トンボ 科 ・ヤ マトン ボ科 な ど のトンボ類 や 、 カ ワ ヨシ ノ ボ リ ・オ イ カ ワ・カ ワ ム ツ な どの 魚 類 の 稚 魚 、 カ ワニ ナ・チ リ メ ン カ ワニ ナ な どの巻 貝 が採 集 さ れ てい る。 こ の非 改 修 区 の 川 岸 植 物 で の タ クサ 数 を、 自然 回 復 区 の 川岸 植 物 で の タ クサ数と比 較 す る と( 網 入 れ10回あ た りの 採 集 タ クサ 数 を従 属 変 数 と し、 年 と非 改 修 区/ 自 然 復 元 区の 区別とを グ ル ー プ変 数 と して 、 繰り返しの あ る2元 配 置 の 分 散 分析 を用 い る と) 、 瀬 の場 合と同 じ く、非 改修 区 の タ クサ 数 の 方 が 有 意 に多 か っ た( p<0. Ol 、 年毎 の違 い に つ い て は、P>o. os ) 。
溶 存 酸 素量と酸 化 還 元 電 位( 表1)
2003年7月 の 溶 存 酸 素 量 の 平 均 値 は 、 各 区 と も、 概 ね流 心 部 で最も高く、植 物 群 落 の 端 部 ( 開 放水 面 か ら50c m内 側) 、 植 物 群 落 の奥 部( 開 放 水 面 か ら2m内 側) と 向 か うに つ れ て 、減 少 して い た。 各 区 の3ケ 所 で の測 定 の平 均 値 は、 い ず れも有 意 に異 な って い た( ANOVA検 定 で 、 親 水 護 岸 区: p<0. 01、 自然 回復 区: p・U. 05、 非 改 修 区: p<0. 001) 。 しかし、 非 改 修 区で は 、植 物 群 落 の奥 部 に向 か う につ れ て の 減 少 は 著 し く、植 物 群 落 の 奥 部 で は 、流 心 部 に比べ て 溶存 酸 素 量 が か な り少 ない状 態 にあ った 。
表1. 溶 存酸 素量 と酸化還元電位の隅査場所ご との比較. 数 値 は5回 計測の平均値 を示す.
調査 区
溶 存 酸 素 量( ms / c m) 酸 化 還 元 電 位( mV)
2003年7月 2004年2月 2003年7月 2004年2月
親水護 岸区 流心 部 植物 群落端 部 植物 群落奥 部
7. 72 8. 02 7. 34 6. 91 7. 14 1'
z 2i . a
210. 2
197. 8
234. 5
234. 7
z ao. 2
自然回復区 流心部 植物群落端部 植物群落奥 部
7. 79 7. 64 7. 54 7, 31 7. 22 7, 06
z 30. s
195. 4
192. 4
244. 4 ×37. 9 11i . s
非改修区 流心部 植物群落端部 植物群落奥部
$. 11
7. 42
6. 37
7. 14
&. 57
6. 29 235. 6 , , . 153. 2 239. 1 246. 5 168. 2
2004年2月 で の溶 存 酸 素 量 の平 均 値も、2003年7月 と1司様 の傾 向 を示した。 各 区 と も、流 心 部 か ら植 物群 落 の 奥部 へと向 か うに つ れ て 、平 均 値 が 減 少して お り、 各 区 の3ケ 所 で の測 定 の 平 均 値 は 、 い ず れも有 意 に異 な っ て い た( ANOVA検 定 で 、 親 水 護 岸 区: p<0. 05、 自然 回 復 区: p<0. 05、 非 改修 区: p<0. 001) 。 た だし、 親 水 護 岸 区 と 自然 回 復 区 で の 流 心 部 ・植 物 群 落 端 部 ・植 物 群 落 奥 部 で の 違 い は少 な く、 非 改 修 区 で の違 い は著しい もの で あ っ た。
酸 化 還 元 電 位 は 、 溶存 酸 素 が 消 費 さ れ る と低 下 す る こ とが 知られ て おり、 こ の値 が低 い と、 酸 化 状 態 よ りも還 元 状 態 が 強 い こ とが示 唆 さ れ る( 宗 宮 、1990) 。2003年7月 の 測 定 結 果 で は 、 各 区 と も流 心 部 で 最 も高 い 値 を示し、植 物 群 落 の奥 部 で は低 い傾 向 に あ っ た 。親 水 護 岸 区 と 自 然 回 復 区 で は 、 流 心 と植 物 群 落奥 部との差 は少 なく、 非改 修 区 で は 、植 物 群 落奥 部 の値 が か な り低 い 傾 向 に あ っ た( ANOVA検 定 で 、 親 水 護 岸 区: p<0. 05、 自然 回 復 区: p<0. 05、 非 改 修 区: p〈0. 001) 。 こ の傾 向 は 、2004年2月 の測 定 でも、 同様 で あ っ た( ANOVA検 定 で 、 親 水 護 岸 区: p>0. 05、 自然 回復 区: p<0. 05、 非 改 修 区: p<0. 001) 。 つま り、 非 改 修 区 の 植 物 群 落 の 奥 部 は、 還 元 的 な傾 向 が 強 い 状 態 に あ る こ とが わ か っ た 。
岩崎: 初 瀬川の 自然環境 と親水工事
考
察
河 川 環 境 と水 生 生 物 相 の 違 い に つ い て
1997年 か ら2002年 まで の 調 査期 間 中 に は 、親 水 護 岸 区 、自然 回 復 区 、非 改修 区 の そ れ ぞ れ で 、 河 川 環 境 に大 き な違 い が あり、 そ れ を反 映して 、 瀬・淵 ・川 岸 植 物 の そ れ ぞ れ で 採 集 され た生 物 の種 数 や 生 物 相 には 、 各 区 で 大 きな 違 い が あ る こ とが わ か った 。
桜 井 市 金 屋 地 区 の 親水 護岸 区 の 改修 工 事 は 、 河 原・中 洲 とそ こ に生 えて い た 川 岸 の 植 物 を全 て除 去して 進 め られ て い た た め 、 改修 工 事 後4年 ほ ど経 過した1999年 まで は、 瀬 や 川 岸 植 物 群 落 が 存 在 せ ず 、 浅く平 坦 な砂 泥 の 川 底 が 全面を占 め て い た 。 そ こで 採 集 され た 生 物 は 、 ユ ス リ カ科 ・イトミ ミズ 類 な どの淵 的 環 境 に生 息 す る もの ば か りで 、3つ の 方 形 枠 で の採 集 結 果 を込 み に した の ベ タ クサ 数 も5- 7タ ク サ 程度と、大 変 に貧 弱 な もの で あ った 。2000年 か ら、 クサ ヨシや ッル ヨ シ な どの抽 水 植 物 の群 落 が形 成 され た が 、 植 物 の 密 度 は 非 常 に 低く、 群 落 面積も 大 変 に小 さか った た め か 、 そ の 川 岸植 物 群 落 で採 集 され た タ クサ 数 も、 の べ で4- 6種 程 度 と 極 め て 少 な い もの で あ った 。2003- 2004年 に行 っ た 水 質 調 査 の 結 果 で も、 溶 存 酸 素 量 と酸化 還 元 電 位 の 値 は と も に流 心 部 と大きな違 い が なく、 本 来 水 が 滞 留しが ちで 酸 素 不 足 ・還 元状 態 に な りや す い 植物 群 落 内 部 で も溶存 酸 素 量 が 多 く酸 化 的 な 状 態 にあ る とい う結 果 が 得 られ た( 表 1>。 つ ま り、水 質 とい う点 でも、流 心 と川 岸 植 物 群 落 内 部 で は か なり一 様 な 環 境 に あ る こ と が わ か った 。 こ うい っ た現 象 は 、親 水 工 事 から7- 8年 が 経 過して も、 河 川 の 多様 な 自然環 境 が まだ 復 活して お らず 、 河 川環 境 の 多様 性 が 貧 弱 な ま まで あ った た め 、 生 物 の 生 息場 所 の構 造
も水 質 環境も単調 で あ っ た こ とを示 すもの と考 え て よい だ ろ う。
桜 井 市 金屋 地 区 の 自 然 回復 区 で は 、写 真4に 示 した よ う に、 護 岸 部 分 で 川 岸植 物に多 少 は 配 慮した工 法 が 採 用 され て い た 。しかし、 この 工 事に よ って 幅4- 5mほ どの高 水 敷 が 両岸 に作 られ た た め に、 通常 の水 量 の時 に河 川 水 が 流 れ る 空 間 が狭ま り、水 流 が 蛇行 す る空 間 が ほ とん ど ない ため に淵 が 全く形 成され ず 、 右 岸 に は平 水 時 の 流 速 が30- 50c m程 度 、水 深 が40- 70c m 程 度 の 平 瀬 的 環 境 が ほ とん どの 区間 で 直 線 的 に続 い て い た( 岩 崎 、 未 発 表) 。底 質 も 、 部分 的
に は泥も含 ん だ砂 ・小 石 と長 径20c m程 度まで の 小 礫 が ほ と ん どで 、礫も浮き石 が 少 な く多く は 沈 み 石 で あ っ た( 岩 崎 、 未 発 表 〉。 右 岸 の 竹 組 み 護岸 の 基 礎 部 分 は 、 こ の 直線 的 な流 れ に常 に 洗 わ れ てい る た め か 、 水 深 が40- 70c mと 深 く、組まれ た竹 に水 生 植 物 が 根 付 い て い る場 所 は ほ とん どな く、植 物 群 落 は ほ と ん ど形 成 さ れて い な か っ た 。 こ の平 瀬 的 環 境 で採 集 さ れ た生 物 は 、流 速 の早 い環 境 に生 息 す る もの が 多く、 そ の タ ク サ 数 は 、夏 ・冬と もに 、前 述した非 改 修 区 の瀬 で採 集 さ れ た生 物 に比 べ て 少 なか った 。 水 深 ・流 速 ・底 質・水 の流 線とい う点 で非 常 に単 調 な平 瀬 的 環 境 で あ っ た ため に、 後 述 す る よ うな多 様 な微 少 生 息 場 所 空 間 を持 っ て い た非 改 修 区 よ りも採 集 され た タ クサ 数 が 少 なか った もの と思 わ れ る。
生 物 は、 も っぱ ら カ ワ トンボ ・ヤ マトンボ ・コイ科 魚 類 の稚 魚とい っ た川 岸 植 物 群 落 に特 有 の もので 、 後 述 す る よ うに 、非 改 修 区 で は 瀬 に生 息 す る動 物 や 止 水 性 の動 物も採 集 され て い た こ とと は対 照 的 で あ る。 自然 回復 区 で の採 集タ クサ 数 の少 な さは 、川 岸 植 物 群 落 の構 造も生 物 に と って の 微 少生 息 空 間 も多 様 で は な か っ た た め と思 わ れ る。
非 改 修 区 で は 、早 瀬 ・平 瀬 ・淵 の 区 別 が 明 瞭 に あ り、 中洲 ・河 原とそ こに繁 茂 す る抽 水 植 物 群 落 も 自然 に近 い状 態 で残され て おり、 河 川環 境 が 多様 で 、水 質 の点 で も大きな変 異 が あ る状 態 が 残 され て いた こ とが わか った 。 淵 で採 集 され た 生 物 の種 組 成と タ クサ 数 は 、前 述した親 水 護 岸 区で 採 集 され たもの と大 き な違 い はな か っ た が 、 瀬 で は 、夏 ・冬と もに 、常 に 、 自然 回復 区 よ り も多 数 の タ クサ が採 集 され た 。 非 改修 区 に は 、早 瀬 ・平瀬 が と もに あ って 、流 速 は20-80c m、 水 深 は5- 60c mと 変 化 に富 んで い た。 底 質 も砂 は もち ろ ん 長径 がl c m程 度 の小 石 から 40c m程 度 の 中礫まで が 存 在 して 変 化に富 ん で おり、 沈 み 石も浮 き石も存 在して い た( 岩 崎 、 未 発 表) 。こ う い っ た 瀬 の 環 境 の 多 様さが 、採 集され た 生 物 の タ クサ 数 が 多 か った こ との 原 因
と思 わ れ る。
非 改 修 区 の川 岸植 物 群 落 の環 境 ・空 間 も多 様 で あ っ た 。 最 大 で4- 5m程 度 の 幅 を持 っ た抽 水 植 物 群 落が 広く形 成され て い る場 所 が あ り、ミゾ ソバ ・クサ ヨ シ・ツル ヨ シ・ガ マ とい っ た 多くの 植 物 から成 っ て い た。 川 岸 植 物 群 落 の 縁 辺 部( 開 放 水 面 か ら50c m内 側) の 溶 存 酸 素 量 と酸 化 還 元 電位 は 、 流 心 部 よ りもは っ き りと低く、 さ ら にそ の 奥 部( 開 放 水 面 から2m) に な る と、 溶存 酸 素も酸 化 還 元 電 位もさ ら に減 少 して 、 酸 素不 足 ・還 元 的 な環境にな って い た 。植 物 の密 度 は計 測しな か っ たが 、他 の2つ の 調 査 区 と比 べ て か な り高 か った た め 、植 物 群 落 の奥 部 で は 、水 が か な り滞 留して い る こ とが 示 唆 され た。 川 岸植 物 群 落 内 部 の 環境も、 多様 で あ っ た こ とが推 察され る。 た だ し、植 物 群 落 での 生 物 の 採 集 は開放 水 面 との接 点 で あ る縁 辺 部 で行 わ れ た た め に 、酸 素 不 足 ・還 元 的 な環 境 の影 響 は強くなか った よ うで 、 自然 回 復 区 と比べ て多 数 の タ クサ が 、夏 ・冬と もに採 集され た。 カ ワトンボ・イ ト トン ボ・カ ワム ツ な ど コ イ科 魚 類 の稚 魚 とい っ た川 岸 植 物 群 落 に特 有 の動 物 ばかりで な く、 タ イ コ ウチ ・ミズ カマ キ リ・マ ッモ ム シ とい っ た 止水 性 の動 物 や 、瀬と共 通 のマ ダ ラ カ ゲ ロ ウ類 やミズ ム シ・サ カマ キ ガイ な ど も 採 集 され た こ とが 、採 集タク サ 数 が 自然 回復 区 よ り も多 か っ た こ との 原 因 で あ る。 以 上 の よ う に、 非 改 修 区 で は 、 流心 部 分 ・川 岸 部 分と もに 、河 川 環 境 が 多 様 で あ っ た こ とが 、採 集 され た タ クサ 数 が 他 の2つ の 区 よ り も多 か っ た こ との 原 因 と考 え ら れ る。
水 生 動 物 群 集 に お け る 川 岸 植 物 群 落 のf 要 性
川 岸 の 植 物 群 落 は 、 そ の 葉 ・茎 ・根が 混 在す る ことで 細 か く複 雑な 空 間 構 造を 作り出 し、 そ
れが 生息 場所の質 と 量を 増大 さ せて 、そこに 住む 動物 の種数 や個体 数 を 豊 富に し ている
( Br us venet al . , 1990; 帆 苅ほ か 、1994; Maur er &Br us ven, 1983; Or mer ( 虹, 1988; Or mer odet al . ,
1993; Rut t et al . , 1s s 9; I t o, 1996) 。 今回 の 調 査で は 、シ ル トや 落 葉など が 堆 積 し た 止 水 な ど に
適し た 形 態を 持 つと さ れ 、 流 れ の 緩や か な 河 川 の 礫 底 や 砂 底に 生 息 し て い る シリ ナ ガ マダ ラ カ
ゲ ロ ウ( 石 綿 、1989) や 、 京 都 市 の 賀 茂 川 で は 流れ の 緩 やか な 礫 底に 大 量に 生 息 し て い る オ オ
岩崎: 初 瀬 川の 自然 環境 と親水工事
フ タ オ カゲ ロ ウ( 岩 崎 ほ か 、1997) な どが 、 非 改 修 区 の川 岸 植 物 群 落 の 内 部 に多 数 生 息して い た 。 また 、水 辺 の植 物 や止 水 的環 境 に強く依 存して い る動 物 群も採 集 され た。 カ ワトンボ科 や コ ヤ マトン ボ の 幼 虫 は 、 川 岸 の水 生また は湿 性 植 物 群 落 に 特 徴 的 な水 生 昆 虫 で あり( 石 田 、 1969; 石 田 ら、1988) 、 イト トンボ科も、 止 水 的 な水 塊 の水 生植 物を主 な生 息 場 所に して い る 昆 虫 で あ る( 石 田 、1969; 石 田 ら、1988) 。 個 体 数 は少 な い な が ら、ミズ カマ キ リ・タ イ コ ウ チ ・マ ツ モ ム シ とい っ た止 水 性 の 半 翅 目の 成 虫も、 お な じ調 査 場所 で 採 集 され た 。礫 底 や 流 れ の あ る水 面 に は通 常 出現しな い止 水 性 の ア メ ンボ科 や イトア メ ン ボ科 も 多 数採 集され て い る。 また、 非 改 修 区の 礫 底 で は、ミズ ム シ・シマ イ シ ビル ・サ カマ キ ガイ が 少 数 な が ら生 息 して い たが 、 同 じ非 改 修 区の 川 岸 植 物 群 落 で は 、 こ うい っ た 汚 濁域に数 多く出 現 す る種 に混じっ て イ ト トンボ科 や カ ワトンボ 科 が 数 多く生 息 して おり、 と くに、 清 流 に 生 息 す る とい わ れ る オ オ カ ワトンボ( 石 田、1969; 津 田 、1976; 石 田 ら、1988) も 少 数 な が ら分布して い た。さ らに 、 カ ワ ム ツ とカ ワ ヨシ ノポ リの稚 魚 が夏 一秋 に 多 数採 集 され 、恐ら く、 流 れ が緩 や か な植 物 群 落 の 中が 稚 魚 の 生 育 場所とな っ て い た もの と思 わ れ る( 水 野 、1996) 。
今 回 の調 査 結 果 は 、 京 都 市 の 加 茂 川 で行 わ れ た 調 査と同 じ く( 岩 崎 ほ か 、1997) 、 川 岸 の 植 物 の 存 在 が 、 流 水 の 砂礫 底 を主 な生 息場 所とす る種 だ け で なく、止 水 性また は植 物 体 に依 存し た動 物 群 の 生 息 を も可 能 と し、河 川 中流 域 の 水 生 動 物 群 集 の 種 組 成 の 多 様 性 を高 め て い る点 で 、 景 観 的 にだ け で なく生 態 学 的 に も極 め て重 要 な もの で あ る こ とを示 唆して い る。
ところ が 、 奈 良 県 が桜 井市 を流 れ る 初瀬 川 で行 っ た 「親水 化 」とい う名 の河 川改 修 は 、親 水 護 岸 区 にお い て も 自然 回 復 区 に お い て も、 早 瀬 ・平 瀬 ・淵 とい っ た河 川 要 素 や 、 川 岸 植 物 群 落 の構 造 を単 調 化 させ 、工 事 終 了 後5- 8年 を過ぎて もそ れ を継 続させ て い る こ とで 、水 質環 境 や 水 生 動 物 相 を画 一化させ て い る こ とが 、 今 回 の調 査 か ら明 らか に な っ た。 河 川 の 改 修 を進 め る にあ た っ て は 、 「親 水 化 工 事 」 の よ う な画 一 的 な環 境 を作 り出 す よ う な方 法 で は な く、 河 川 の 多 様な 自然 環 境と豊 か な生 物 的 環 境に配 慮した 、 再 自然 化と 自然 復 元 が 望まれる( 谷 田 、 2001) 。 また 、 自然 回復 区 で は、 流 路を狭 め る こ とで 流 水 が 蛇 行 できる 空 間 を奪っ た た め に 、 既 存 の 川 岸 植 物 群 落とそ こ に生 息 す る生 物 相 を 単 調 にす る結 果を もた ら して い た と 思 わ れ る。 河 川 の 生 物 的 自然 に 配慮した 自然 回復 の た め の護 岸 工 事 で あ っ て も、工 事 の 対 象 地 区 の河 川 環 境 と生 物 的 環 境 の独自性を事 前 に調 べ 、 そ の多 様 性 を維 持 す る形 で 適 切 に行 われ る こ とが 望 ま れ る( 中 村 、2003) 。
謝
辞
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