ドイ ツ統合 と有 力 企 業 の経 営 会 計 事 情
柳 田 仁
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目 次
問題 の所在
「壁 」崩壊 か ら両 ドイ ツ統合 までの経緯 有力企業 の経営政策
企 業環境 の変化 と経営管理会計 付 記
注
1問 題 の 所 在
東 ドイ ツ社 会 主義 統 一 党 政権 の終 焉 が 近 づ い た1989年 夏 以 降
,東 西 ドイ ツ に関 す るニ ー スが 新 聞 ・ 雑 誌 ,テ レ ビ,ラ ジオ 等 で毎 日の よ う に報 じ られ た・ 明 治 時 代 か らその 政 治 繍 文 化 を手 本 と し,第2次 大 戦 敗 戦 高 度 経 済 発 展 と同 じ よ うな道 を歩 ん で き峨 が 国 で は,ド イ ツ に特 別 襯 しみ を感 じ, 従 来 か ら ドイ ツ人 が我 が 国 を議 す る以 上 に,ド イ ツ に注 目 し,よ り多 くの 情 報 を取 り入 れ て きた。
しか し,ベ ル リン の壁 崩 壊 と同時 に,そ れ以 前 の 何 倍,何 十 倍 もの情 報 が 押 し よせ て い る。 湾 岸 戦 争 以 前,ヨ ー ロ ッパ 発 の政 治 経 済 情 報 は
,す べ て メ イ ド ・イ ン ・ジ ャー マニ ー だ と言 わ れ る ほ どで あ っ た
。
本 稿 で は・ 歴 史的 変 革 期 に あ る ドイ ツ 々こお い て有 力 企 業 が そ の よ うな環 境
変 化 に た い して どの よ う に対 応 して し・るか を主 に経 営 ・会 計 上 の側 面 か ら検 討 す る。
皿 「壁 」 崩 壊 か ら両 ドイ ツ統 合 まで の経 緯
〔1〕 両 ドイ ツ 統 合 ま で の 軌 跡
1989年 夏 か ら秋 に か け て 東 ドイ ツ 国 民 が ハ ン ガ リー チ ェ コ ス 「ロバ キ アy ポ ー ラ ン ド等 を経 由 して 大 量 に 脱 出 し,東 ドイ ツ 国 内 で は大 規 模 な デ モ が 相 次 ぎ,10月18日 に は,ホ ー ネ ッカ ー が 国 家 及 び 共 産 党 の 要 職 を 解 任 され,18 年 間 に わ た る独 裁 政 治 も終 り を告 げ た 。11月4日 に は,東 ベ ル リ ン で 東 ドイ
ツ 史 撮 大 の ・・0万 槻 模 の 体 制 批 判 デ モ が 行 わ れ ・続 い て11月9日 に は・休 火 山 が 爆 発 す る よ う に して 東 西 ベ ル リ ン を隔 て て い た 壁 が 若 者 達 の 手 に よ っ て 壊 さ れ,東 西 ドイ ツ は往 来 自 由 と な っ た 。 そ れ 以 後,ド イ ツ 統 合 へ の 歩 み
は急 で あ っ た。
1989年11月9日 以 降,東 西 ドイ ツ に 関 連 し た 主 要 な 事 象 を 歴 史 的 に 辿 っ て み る と以 下 の 通 りで あ る 。
〈1989年>
11月9日 東 ドイ ツ政 府 が ベ ル リ ン の 壁 を 開 放
11月28日 コー ル 西 ドイ ツ首 相,国 家 連 合 を統 合 の 前 提 と し,段 階 的 に 東 ド イ ツ との 協 力 関 係 を 強 化 す る10項 目提 案 を発 表
11月29日 べ 一 カ ー 米 国 務 長 官 が 西 ドイ ツ とNATO,ECと の連 携 を 条 件 とす る4項 目 の 原 則 を発 表
12月2日 〜3日 マ ル タ で の 米 国 ・ソ避 β首 脳 会 談 で ドイ ツ統 合 問 題 を糠 12月7日 ゴ ル バ チ ョ フ ソ 連 邦 議 長 と ミ ッ テ ラ ン フ ラ ン ス 大 統 領 が 会 談,現
時 点 で の ドイ ツ 統 合 は現 実 的 で は な い との 認 識 で0致
12月19日 コ ー ル 西 独 首 相 とモ ドロ ウ 東 ドイ ツ 首 相 が 会 談,両 国 で 条 約 共 同 体 を つ く る こ とで 合 意
2国 際経営論 集No・.3互992
〈1990年 〉 1月6日
1月30日
2月2日
東 ドイ ツ社 会 主 義 統 一 党(民 主社 会 党)の ギ ジ党 首 が 東 西 両 ドイ ツ に駐 留 す る外 国軍 隊 を1999年 まで に撤退 させ る構 想 を発 表
ゴル バ チ ョ フ議 長 が 訪 ソ中 の モ ドロ ウ首 相 に 「ドイ ツ統 合 はだれ も疑 問 を もって い な い」 との 見 解 を表 明
ゲ ン シ ャー 外相 が べ 一 カ ー米 国務 長 官 との会 談 で
,統 合 ドイ ツ は NATOに 加 盟 す るが ・現 在 の 東 ドイ ツ地 域 に はNATO軍 を配 備 し な い との構 想 を説 明
2月13日
同同
2月15日 2月20日
両 ドイツ首脳 が ボ ンで会談,経 済通貨 同盟結成 専門委員会 の発足 で合意
仏 ・伊 が 統 合 ドイ ツ中立 化 案 に反 対
東 西 両 ドイ ツ と米 ソ英 仏 の外 相 が オ タ ワ で,い わ ゆ る2プ ラス4 ケ国会 談,ド イ ツ統 合 で協 議 を開 始
東 ドイ ツ政 府 酒 ドイ ツの制 度 に対 応 した新 銀 行 薯去案 を閣 謙 定 通 貨 統 合 の た め両 ドイ ツ専 門 委 員 会 が東 ベ ル リンで初 会 合
東 ドイツ総選挙開票結果
中 道 左 派 革 新 系 旧 共 産 党 (旧社会主 義統 一党) 民主化運動
グ ル ー プ そ の 他 計 」
ドイ ツ連 合
キ リス ト教 民 主 同 盟(CDU) ドイ ツ社 会 同盟(DSU) 民 主 主 義 の出 発(DA) 自由民 主連 合(LDP,FDP) 社 会 民 主 党(SPD) 民 主社 会 党(PDS)
連 合90(新 フ ォ ー ラ ム 等)
得票率(%)
45.15 40.91
i
0.92fi.325.28 2.84 16.33
2.90
5.50 100%
193 164 25
22 400人
3月18日
4月12日
東 ドイ ツ で初 の 舳 選 挙 で保 守 系 の 「ドイ ツ連 創 が圧 勝 ・ 早 期
「統 合 」 へ 弾 み
東 ドイ ツ デ メ ジ ェー ル大 連 立{(ド イ ツ連 合 拍 由民 主 党)+社 会 民主党}
4月23日 両 ドイ ツ政 府 ・与 党,両 ドイ ツ通 貨 交換 比 靴 年齢 別 の交 換 醸 設 定 で 合 意
5月3日NATO臨 時外 相 会 議 で 統 合 ドイ ツ の残 留 確認
5月6日 ワ シ ン トン7ケ 国 蔵 相 会 議 で両 ドイ ツ通 貨 統 合 を支 持 5月13日 両 ドイ ツ州議 会選 挙 で 社 民 党 勝 利,与 野 党 逆 転
5月 、8日 。 ンベ ル 煉 ドイ ツ,ヴ ァイ ゲ ノレ西 ドイ ツ磁 相 樋 貨.経 済 社 会 保 障 同 盟 条 約 に調 印
6月21日 東 ドイ ツ人 民 議 会,西 ドイ ツ麟 議 会(下 院)樋 貨'経 済 社 会 保 障 同 盟 条 約 を批 准
東 ドイ ツ人 民議 会,オ ー デ ル ・ナ イセ 線 を統 合 ドイ ツ とポー ラ ン ドの国 境 と して承 認 決 議
7月1日 通 貨 ・経 済 ・社 会保 障 同 盟 条 約 が 発 効,通 貨 統 合 実 施
7月16日 ゴ ルバ チ ョフ大 統 領,コ ー ル首 相 に統 合 ドイ ツのNATO加 盟 を
容認
7月 、7日 両 ドイ ツプ ラ ス4ケ 国外 相 会 議 で 統 合 ドイ ツ とポ ー ラ ン ドが 東部 国境 を オー デル ・ナ イ セ の2つ の河 に沿 っ た線 で決 め,国 境 条 約 を 結 ぶ こ とに合 意
8月9日 両 ドイ ツ首 相,統 一 継 挙 を1・月14Elに 繰 り上 げ る こ とを強 く推 進 し たがsそ の 実施 に必 要 な西 ドイ ツ基本 法 の 改 正 に野 党 が 反対 し
て断 念 。 この結 果,当 初 の予 定 通 り12月2日 が総 選 挙 実 施 日 とな る。
東 ドイ ツFDPが 連 立 内 閣 か ら離 脱
8月16日 東 ドイ ツSPDも 連 立 内閣 か ら離 脱 ・ その舳 は・ 今 の ま まの 国 家 条 約 に反 対 で あ る こ と,蔵 相 を辞 任 させ た こ と等 で あ る。
4国 際 経 営 論 集No3199?
連邦議会総選挙結果
得票率(%) 議席数(人)
CDU/CSU 43.8
319
BPD 33.5
239
FDP 11.0
79
Grune(緑 の 党) 3.9 0
B/90/Grime(連 合'90/緑 の 党) 1.2 S
PDS 2.i
17
(注)旧 東西 ドイ ツ別比例代 表制 どち らかで得票率5%を 超 えれ ば議席が 配 分 され る。B/90/Grune,PDSは 旧 東 ドイ ツ で 得 票 率5%を 超 え
,旧 東 ドイ ツ 地 域 で 議 席 を 獲 得 。Gr伽eは 両 地 域 と も5%ラ イ ン を 超 え ず 議 席 配 分 な し。
「川 の 流 れ を渡 っ て い る途 中 で,馬 を乗 り換 え る も の は な い 」と い う諺 どお り}ド イ ツ 国 民 は コ ー ル 政 権 の 継 続 を 望 ん だ
。 8月31日 両 ドイ ツ 「統 合 条 約 」 調 印
東 ドイ ツ 人 民 議 会s西 ドイ ツSPD,FDPは これ を 評 価 し た が , 緑 の 党 は反 対
9月12日 モ ス ク ワ の 両 ドイ ツ プ ラ ス4ケ 国 外 相 会 議 で
,ド イ ツ問 題 最 終 規 定 条 約 に調 印
9月13日 独 ソ善 隣 ・友 好 ・協 力 条 約 に仮 調 印
10月3日 ドイ ツ統 合 が 実 現 。 「お や す み な さ い 西 ドイ ツ ・東 ドイ ツ
,お は よ う ドイ ツ」
両 ドイ ツ 国 民 の 歓 喜 と期 待 の う ち に 実 現,し か し,あ ま りに 早 す ぎ た 「統 合 」 に不 安 と動 揺
10月14日 州 議 会 選 挙 も,保 守 系 勝 利
12月2日 ドイ ツ統 合 後 初 の連 邦 議 会 選 挙 で も連 立 与 党 が 勝 利
,コ ー ル 与 党 54.8%,SPD33 .5%で 低 迷,PDS2 .4%で 満 足,Grune3 .9%で い ち ば ん の シ ョ ッ ク
以 上 の 主 要 な 事 象 の う ち,次 節 で は特 に ,最 も企 業 経 営 に 影 響 を 及 ぼ す 通
貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 条約 に関 して検 討 し よ う。
〔2〕 通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟条 約
東 ドイ ツ初 の 自 由選挙 で,キ リス ト教 民 主 同盟 ・キ リス ト教 社 会 同盟 お よ び民 主 主 義 の 出発 で構 成 す る ドイ ツ連 合 が大 勝 利 し,「 両 ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・ 社 会 保 障 同盟 の創 設 に関 す る条 約 」 が,は じめ の予 想 よ り早 く7月1日 に発
効 した。
この条 約 の骨 子 は,西 ドイ ツ連 邦 銀行 が 東 ドイ ツ の発 券 銀 行 も兼 ね る こ と, 東 ドイ ツ は西 ドイ ツ の税 制 や 社 会 保 障 制 度 を段 階 的 に導入 す る こ と,東 ドイ
ツ財 政 の赤 字 は西 ドイ ツが補 填 す る こ と等,西 ドイ ツ の経 済 に関 す る法律 等 が東 ドイ ツ地 域 に も適 用 され る とい う こ とで あ る。
〔3〕 両 ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 条 約 の 要 旨 と若 干 の 論 評
本 条 約 は,前 文,6章38条 の本 文,9項 目の付 則 お よび 共 同議 定 書(指 針) か ら構 成 され て い る。 その うち特 に本 稿 に とっ て重 要 と思 わ れ る もの に つ い て解 説 す る。
「前 文 」 で は,1989年11月 に東 ドイ ツで 平 和 的 民 主 的 革 命 が 行 われ た とい う事 実 を前 提 と し,通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同盟 を創 設 す る こ とに よ って,西
ドイ ツ基 本 法23条 に基 づ き欧州 統 合 達 成 へ 向 け た最初 の重 要 な一 歩 を踏 み出 そ う とす る両 ドイ ツ の願 いが 込 め られ て い る と同時 に,EC加 盟 諸 国 に も配 慮 して い る。
第1章 第1条 「基 本 原 則 」 で は,条 約 の対 象 と して① 双 方 は通 貨 ・経 済 ・ 社 会 保 障 同盟 を設 立 す る。 ② 双 方 は1990年7月1日 か ら西 ドイ ツマ ル ク を共 通 通 貨 とす る通 貨 同 盟 を形 成 し,西 ドイ ツ連 邦 銀行 が,両 ドイ ツ の発 券 銀行 とな る。③ 経 済 同 盟 の基 礎 は,双 方 に共 通 な経 済 秩 序 として の社 会 市 場 経 済 で あ る。 これ は特 に私 有 財 産制,競 争 原 理,自 由 な価格 決 定,さ らに労働, 資本,財 貨,サ ー ビス の完 全 自由化 に よ って規 定 され る。④ 社 会 保 障 同盟 は
6国 際 経 営 論 集No31992
通 貨 ・経 済 同 盟 と一一体 を成 す とす る。
第2条 で は,双 方 は西 ドイ ツ基 本 法 の民 主 的,連 邦 的,社 会 的基 本 秩 序 を 承 認 す る。 したが っ て,こ れ に対 立 す る東 ドイ ツ の社 会 主 義 的 社 会 ・国 家秩 序 に関 す る従 来 の規 定 は,も はや適 用 され な い こ とを原 則 と して い る。
第3条 「法 的基 礎 」 で は,通 貨 同盟 の設 立 お よび通 貨 交 換 に つ い て は,双 方 が合 意 し,付 則1に 掲 げ た規 定 が適 用 され る とす る。す な わ ち,付 則1「 通 貨 同 盟 と通貨 交換 に関 す る規 則 」 で は,1990年7月1日 の西 ドイ ツマ ル クの 東 ドイ ツへ の導 入 と通 貨 の切 り替 え,交 換 比 率s債 務 お よび債 権 の取 り扱 い 等通 貨 統 合 の実施 に関 す る細 目が 規 定 され て い る。 通 貨 同盟 の設 立 まで の期 間 は,付 則Hに 掲 げ た西 独 法 規,す な わ ち西 ドイ ツ の連 邦 銀 行 法,金 融保 険 業 務 関連 諸 法 規,原 子 力 法,商 法,会 社 関連 法 規y共 同決 定 法,経 営体 規 則
法 等 が 東 ドイ ツ に も適 用 され る と した 。
第2章 「通 貨 同盟 」 で は,以 下 の事 項 を前提 条 件 及 び原 則(第10条)と し て い る。① 通 貨 同盟 設 立 に伴 い西 ドイ ツマ ル クの唯 一 の発 券 銀 行 で あ る西 ド イ ツ連 銀 の金 融 政 策 上 の責 任 は,全 通貨 地 域 に拡 大 され る。 ② 通 貨 安 定 の た め に双 方 は,イ ン フ レ を防 ぎ,東 ドイ ツ企 業 の競 争 を強 化 す る通 貨 交換 方 式 を選 択 す る。③ 西 ドイ ツ連 銀 は,通 貨 安 定 の た め両 ドイ ツ政 府 か ら独 立 した 通貨 供 給,信 用 供 与 政 策 を行 使 す る。④ 通貨 政 策 の前 提 とな るの は,東 ドイ ツが 市場 経 済 的 金 融 制 度 を樹 立 す る こ とで あ る。 私 的経 済 原 則 を志 向 した銀 行 シ ス テ ム,自 由 な金 融 ・資本 市 場 で の 自 由 な金 利 形 成 が それ に属 す る。 ⑤ 上 記 の 目標 を達 成 す る ため,双 方 は通 貨 同盟 に関 す る次 の原則 で 一 致 した。
(A)西 ドイ ツ マ ル クが1990年7月1日 か ら東 ドイ ツに お け る通 貨 と して導 入 さ れ る。(B)賃金,給 与,奨 学 金,家 賃,地 代 は1東 ドイ ツマ ル ク対1西 ドイ ツ マ ル クの比 率 で交 換 され る。(C)そ の他 の債 権 債 務 に関 して は2東 ドイ ツ マ ル ク対1西 ドイ ツマ ル クで 交換 され る。 ⑪ 東 ドイ ツマ ル クか らの交 換 は,東 ド イ ツ居 住 者,東 ドイ ツの 金 融 機 関 の 口座 を通 じて の み な され る。(E)個人 の金 融 機 関 に お け る預 金 はi一 定 限 度 額 まで を1東 ドイ ツマ ル ク対1西 ドイ ツマ
ル クで 交 換 し,限 度 額 は年 齢 別 に異 にす る。 す な わ ち,(a)1976年7月1日 以 降 生 れ の者 は,2,000マ ル ク まで,(b)1931年7月2日 以 降1976年7月1日 まで
に生 れ た者 は,4,000マ ル ク まで,(c)1931年7月2日 以 前 生 れ の者 は,6,000 マ ル ク まで 。 申請 は1回 限 り,1ケ 所 の金 融 機 関 で行 え る。(d)個人 の預 金 が, 上 記 の金 額 を超 え る場 合,な らび に法 人 あ るい は その 他 の事 業所 の預 金 は,
2東 ドイ ツマ ル クに対 して1西 ドイ ツマ ル クの率 で 交換 され る。(e)1989年12 月31日 現 在,東 ドイ ツ外 に住 所,所 在 地 が あ る個 人 ま た は法人,事 務 所 の預 金 は,2東 ドイ ツ マル クに対 して1西 ドイ ツマ ル クの率 で 交換 され る。(f)先
に挙 げ た もの の うち,1989年12月31日 以 降成 立 した個 人 あ る い は事 業 所 の預 金 は,3東 ドイ ツ マル クに対 して1西 ドイ ツマ ル クの率 で 交換 す る。⑥ 東 ド イ ツ は国 有財 産 の状 況,収 益 率 を調 査 した う えで,さ らに経 済構 造 の 変 革 お
よび 国家 財 政 の立 て直 しに 国有 財 産 を優 先 的 に活 用 した後 で,預 金 者 に対 し て2東 ドイ ツマ ル ク対1西 ドイ ツマ ル クの交 換 率 で の相 当額 分 の 国有 財 産 へ の文 書 に よ る按分 所 有 権 の可 能 性 を検 討 す る。 ⑦ 西 ドイ ツ連 銀 は,こ の条 約 お よび連 銀 法 に規 定 され た権 限 を通 貨 同盟 の全 地 域 で行 使 す るた め,東 ドイ ツ 国 内 に15ま で の支 店 を設 け る と して い る。
この両 ドイ ツマ ル クの 交換 比 率 は,経 済 ・経 営 的 な面 か らい ろい ろ と問題 が あ る。 しか し,コ ー ル首 相 が90年3月 の東 ドイ ツ選 挙 中 に東 ドイ ツ住 民 に 対 して1対1の 交 換 を約束 した た め,西 ドイ ツ連 銀 との折 衝 の結 果 よ うや く
決 ま った もの で あ る。
実 質 的 交 換 比 率 よ り高 い比 率 を設定 す る こ とに よっ て そ の差 額 負 担,物 価, 企 業 競 争 力 等 の 問題 が 生 ず る。
第3章 「経 済 同盟 」 で は,第11条(経 済 政 策 の基 礎)と して,① 東 ドイ ツ は,そ の経 済 ・財 政 政 策 措 置 が社 会 的市 場 経 済 と調 和 す る こ とを保 証 す る。
それ らの措 置 は,市 場 経 済 的秩 序 の枠 内 にお い て,た えず 適切 な経 済 成 長 を 遂 げつ つ,価 格 水 準 の安 定,高 い 雇用 状 態,対 外 経 済 の均衡 に寄与 す る もの とす る。② 東 ドイ ツ は,構 造 変 化,現 代 的 な職 場 の 創 出,幅 広 い基盤 を なす
8国 際 経 営 論 集No.31992
中小 企業,さ らに職 業 の 自由 と環 境 保 護 を促 進 す るた め に,市 場 自体 の力 と 民 間 の活 動 を展 開 させ る枠 組 み を作 る。 企 業運 営 は,第1条 の社 会 的市 場 経 済 原 則 に基 づ い て行 わ れ る。 企 業 は,生 産 物 ・生 産 量 ・生 産 様 式 ・投 資 ・労 使 関 係 ・物 価 ・利 益 活 動 に関 し,自 由 な決 定 を下 しう る等 と して い る。 更 に, 第14条 で は,東 ドイ ツ企 業 の構 造 的 適 合 を促 す た め に,両 ドイ ツ政 府 は協 調
して措 置 を講 じ る とす る。 その 目標 は,社 会 的 市 場 経 済 の基 礎 に立 っ て よ り 大 きな成 長 と将 来性 の あ る職 場 をつ くり出 す た め,で き るだ け多 くの 中小 企 業 を も含 む 幅広 い現 代 的 な経 済 構 造 を達 成 す る こ とで あ る。 そ の他,農 業 ・ 食 糧 経 済,環 境 保 護 に関 して も規 定 して い る。
第4章 の社 会 保 障 同盟 で はi団 結権,労 働 争 議 権,労 働 協 約,経 営 共 同 決 定 権 等 に関 す る原 則,社 会 保 障 の 原則,失 業保 険,雇 用 促 進,年 金保 険,疾 病 保 険,保 険衛 生,労 災 保 険,生 活 保 護,財 政補 填 に つ い て も規 定 して い る。
第5章 の国家 予 算 と財 政 で は,国 家 予 算 に関 し,東 ドイ ツ財 政 政 策 の原 則 として公 的 予 算 は市 場 経 済 に適 応 し,西 ドイ ツの 予 算構 造 に あわ せ て編 成 さ れ る とす る。 また,起 債 と負 債}西 ドイ ツ か らの財 政 補 墳,公 務 に お け る過 渡 的規 定 に つ い て も定 め て い る。 更 に,財 政 に関 し,関 税 と特 別 消 費税,収 得税 と流通 税,情 報 交 換,協 議 方法,財 務 行 政 機 関 の設 立 につ い て も規 定 し て い る。
最 後 の第6章 結 び で は,こ の条 約 が,西 ドイ ツ な い し東 ドイ ツが第 三 国 と 結 ん だ条 約 に抵 触 しない と明 記 す る と と もに,条 約 の 見 通 し,ベ ル リン条 約, 発 効 に関 して も規 定 して い る。
更 に,共 同議 定 書(指 針),付 則(9項 目)も 同 時 に調 印 され た。
〔4〕 通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟 条 約 発 効 ・通 貨 統 合 実 施 後 の 東 ドイ ッ 両 ドイ ツ統 合 の 第1段 階 で あ る通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟 が,1990年7月 1日 に 発 効 し,通 貨 統 合 が 実 現 す る こ とで 東 ドイ ツ で も西 ド イ ツ マ ル ク が 唯 一 の 通 貨 と な っ た
。 早 朝 か ら銀 行 に よ っ て は混 乱 し た と こ ろ も あ っ た が,東
ドイ ツマ ル ク(M)か ら西 ドイ ツ マ ル ク(DM)へ の交 換 は,比 較 的 順 調 に 実施 され た。
東 ドイ ツ銀行 の窓 口 で は,ド イ ツ マ ル ク払 い戻 し のた め の長 い行 列 が 出 来 たが,日 曜 日で店 舗 が 休 業 とい う こ と もあ り,引 出額 は事 前 の予 想 を下 回 り, 政 策 担 当者 はマ ル ク安 定 の好 材 料 と歓迎 して い た。 西 ドイ ツ連 銀 の予 測 に よ
れ ば,1人 当 り引 出額 は350DM程 度 とい う。先 き行 き不 安 もあ っ て東 ドイ ツ 市 民 の貯 蓄 志 向 も強 まっ て い るた め,通 貨 統 合 に よ る衝 動 買 い や狂 乱 消 費 も 避 け られ た。 さ らに,東 ドイ ツ市 民 も利 殖 に 目 ざめ た と し,通 貨 統 合 成 功 と
の声 が,直 後 に あが っ て い る。
通 貨 統 合 後,西 ドイ ツ は相 変 わ らず 雇 用,物 価 が 安 定 し景 気 も好 調 で あ る。
それ に対 し,東 ドイ ツ に とって 通貨 統 合 は,実 質 的 に数 倍 の通 貨 切 り上 げ に な るた め経 済 が苦 境 に陥 る こ とは無 理 の な い こ とで あ る。
通 貨 統 合 後,東 ドイ ツ に生 じた事項 の い くつ か を列 挙 す る と以 下 の もの が あ る。
(イ)東 ドイ ツ の銀 行 が 中小 企 業 に融 資 を したが らな くな っ た。
(ロ)東 ドイ ツ 内 で有 力 とみ な され て い た企 業 で も,販 売 不 振,賃 上 げ等 で 倒 産 が 避 け られ な くな って い る。
の 東 ドイ ツの 農産 物 が,ECの 基 準 を充 た して い な い とい う こ とで農 民 を苦 境 に追 い 込 んで い る。 過 剰 人 員 の上 に農 具 はな く,農 産 物 の 品質 も 悪 い た め買 い手 も少 な く農 民 デ モ が頻 発 して い る。 しか し,西 ドイ ツで
の産 直 は好 評 を博 して い る。
ω 東 ドイ ツ財 政 補 助 を続 けて い る西 ドイ ツか ら東 ドイ ツ政府 に節 約 の要 請 が あ っ た。
㈲ 統 合 ドイ ツ国 防軍60万 人 を3,4年 以 内 に37万 人 へ 削 減 しs周 辺 諸 国 の脅 威 を和 らげ る と と もに国 家 財 政 を ス リム化 し,そ の節 約 コス トを統 合 コ ス トに振 り向 け る。
的 東 ドイ ツ28億 マ ル クの軍 縮,不 用 に な った軍 用車 等 を企 業 等 に売却 し
10国 際 経 営 論 集No3]992
た 。
(ト)東 ドイ ツ 補 助 予 算 と して,経 済 を立 て な お す た め に 更 に数 十 億 マ ル ク を必 要 とす る 。 成 長 率 は90年 度4.5%か ら91年 度3.5%に 下 落 す る こ と を 予 測 し て い る。(OECD経 済 見 通 し;91年 度2.75%,92年 度2.25%で 見 通 し良 好)
㈱ 売 上 付 加 価 値 税 を16州 で どの よ う に 分 配 す る か が 問 題 と な っ た 。 (リ)東 ドイ ツ 失 業 者 が 更 に増 え,政 府 発 表 で は1990年7月 末27万2 ,000人 か
ら8月 末36万LOOO人(4.1%)に 増 加 し て い る 。 東 ドイ ツ失 業 者 同 盟 の 調 べ で は8月 末 現 在150万 人 が 失 業 中 で あ り,政 府 発 表 は失 業 保 険 申 請 者 の 数 で あ る と反 発 し て い る 。 これ に 対 し,8月 の 求 人 数 は2万 人(7月
は2万7,000人)と 少 な い 。 操 業 短 縮 も進 ま な い 。 な お,1991年7月 の 政 府 発 表 で は84万2,000人(9.5%)の 失 業 者 数,200万 人 の 時 短 労 働 者 数 で あ る。 ドイ ツ経 済 研 究 所 の 発 表 で は,92年 に は150万 人 か ら200万 人 に 達 す る見 込 で あ る。
(ヌ)西 ドイ ツ 企 業 と東 ドイ ツ企 業 との 合 併 に 負 債 の 棒 引 提 案 を ラ フ ォ ン テ ー ヌ(SPD)元 首 相 候 補 が し た が
,反 対 意 見 が 多 く否 決 さ れ た 。 ρの 東 ドイ ツ 民 間 企 業 組 合 員 や 公 務 員 の 相 次 ぐ賃 上 げ が 続 い て い る。
以 上 が,通 貨 統 合 直 後 に 生 じ た 主 要 な 事 項 で あ る が,当 初 の 予 測 に 比 し て そ の 影 響 は 多 方 面 に わ た っ て い る 。
通 貨 統 合 後9ケ 月 を経 過 した91年3月19日 に は,ペ ー ル連 銀 総 裁 は 「我 々 は,東 西 ドイ ツ間 の経 済 格 差 を調 整 す る準 備 もほ とん どな い ま ま,1日 で(旧 東 ドイ ツ に)ド イ ツ マル ク を導 入 して しま っ た。 さ らに付 け加 え るな らば交 換 比 率 も適 正 で な い。 破 滅 的 な結 果 が 出 る こ とは あ らか じめ予 想 で きた 」 と 通 貨 統 合 は失敗 に終 っ た との見 解 を示 した。 コー ル 首相 に押 し切 られ た形 で 通 貨 統 合 を一 気 に施 行 され て し まっ た連 銀 総 裁 ペ ー ル に して みれ ば,最 近 の マ ル ク安,経 済 の停 滞 か らそ の感 を もた ざ る を得 な か っ た の だ ろ う。 ペ ー ル
の この 発 言 で マ ル ク は更 に値 を 下 げ,彼 の辞 任(1991年7月 末)へ とつ な が っ た 。
しか し,コ ー ル 首 相 は91年7月1日,両 ドイ ツ通 貨 ・経 済 ・社 会 保 障 同 盟 発 足1周 年 に 際 し て ボ ン で 記 者 会 見 し,「両 ドイ ツ通 貨 経 済 社 会 保 障 同 盟 を 昨 年7月1日 とい う時 点 で 導 入 した こ と は,人 々 に統 合 へ の 道 し る べ を は っ き
り示 す う え で,正 しか っ たJと 判 断 す る と と も に,「 旧 東 ドイ ツ 経 済 が 上 向 い て い る兆 しが 出 て い る 」 こ と を 強 調 し た 。 ま た,ド イ ツ マ ル クが 通 貨 統 合 後
も安 定 は損 な わ れ な か っ た と述 べ た 。
しか し な が ら,8月15日 ドイ ツ 連 銀 は シ ュ レ ジ ン ガ ー 新 総 裁 の も とで 公 定 歩 合 を1%上 げ て 年7.5%と し た 。 利 上 げ の 理 由 に つ い て 「ドイ ツ 内 外 で の マ
ル ク価 値 の 安 定 を 図 る」 こ と を強 調 し て い る 。
皿 有 力企 業 の経 営 政 策
例 年 夏,ド イ ツで は新 聞 や 雑 誌 に前 年 度 売 上 高 ラ ン キ ン グ上 位100社 が 発 表 され る。 売上 高 が 多 い こ とが,必 ず し も有 力 企 業 にラ ン ク され るた め の必 要 に して充 分 な条件 とは い え な いが,し か し有 力 企 業 として リス トア ップ され る た め の最 も重 要 な条 件 の1つ で あ る。
90年 度 は,東 西 ドイ ツ統 合 後,初 の売 上 高 ラ ン キ ン グ発 表 で あ るが,新 ド イ ツ経 済 圏 の誕 生 で 旧西 ドイ ツ系企 業 は更 に拡 大 路 線 に あ るが,旧 東 ドイ ツ 系 企 業 で ラ ン ク入 りす る もの はな か っ た。
「統 合 」 で最 も恩 恵 を受 け た の は,旧 東 ドイ ツ市 民 の購 買 力 増 加,特 に公 共 工 事 を中心 とした建 設 ブー ム,そ れ 等 に伴 う資 金 需 要 で,小 売 業 ・土 木 建 設 業 ・銀 行 で あ る。 しか し,全 般 に企 業 の収 益 は悪 化 して お り,4分 の1の 企 業 で収 益 減,欠 損増 を示 して い る。 そ の原 因 と して,マ ル ク安 に よ る第1 次 産 品 ・原材 料 の輸 入 価 格 の高 騰,そ れ に高 賃 金,増 税 等 に よ る製 品価 格 上
昇 が挙 げ られ る。 製 品 価 格 の上 昇 は,ド イ ツ企 業 の 国 際競 争 力 を弱 め て い る。
12国 際経営論集No.31992
91年 上 半 期 成 長 率 は,実 質7%,名 目9%強 と見 られ るが,7月 か ら実 施 され た増税,旧 東 ドイ ツ地 域 で の 失業 率 増 で 成 長 率 は5%以 下 に落 ち込 む も の と予 測 され る。
〔1〕 ドイ ツ企 業 売 上 高 ラ ン キ ン グ上 位goo社
90年 度 の ラ ン キ ン グ 上 位 か ら見 て い く と,1〜3位 ま で は89年 度 と変 わ ら な い。 ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ 社 は90年 度 か らMBBの 業 績 を加 算 す る こ とで 両 社 の 売 上 高 の 差 は170億 マ ル ク と更 に拡 大 し た 。 しか し,ダ イ ム ラ ー 社 の 利 益
は89年 度 の4分 の1強 と激 減 し て い る。
4〜9位 で は,ブ ン デ ス ・ポ ス トがy通 信,郵 便,銀 行 業 務 に そ れ ぞ れ 分 割 さ れ る こ とで,テ レ コ ム が 新 た に9位,ブ ン デ ス ・ポ ス トは20位 に ラ ン キ ン グ さ れ た 。7位 に は,小 売 業 の テ ン ゲ ル マ ンが13%の 伸 び を 示 し2つ 順 位 を上 げ た 。8位 に ラ ン キ ン グ さ れ て い る バ イ エ ル 社 は,化 学 業 界 の 世 界 的 景 気 後 退 傾 向 に も か か わ ら ず,利 益 で は19億 マ ル ク と トッ プ を奪 っ た。
10位 と11位 は,共 に 売 上 を伸 ば した が,RWEが テ ィ セ ン を逆 転 した 。14 位 に ス ー パ ー ・チ ェ ー ン ス トア の メ トロ ・ ドイ チ ェ ラ ン ドが,カ ウ フ ホ フ を 買 収 す る こ とで 前 年 比31%増 で,18位 か ら上 が っ た 。
21位 以 下 で は,コ ン ツ ェ ル ン のViagが 他 企 業 買 収 に よ り売 上 高86%増 で 前 半 の44位 か ら25位 に 躍 進 し た の が 目 に つ く。 しか し,ク レ ク ナ ー 社 が 石 油 部 門 の 失 敗 に よ り,Viag社 とバ イ エ ル ン ヴ ェ ル ク社 に 経 営 権 を譲 渡 し て リス ト(89年 度39位)か ら消 え た 。 同 様 に,MBB(89年 度56位),ニ ク ス ドル フ (89年 度75位)が,そ れ ぞ れ ダ イ ム ラ ー 社,ジ ー メ ン ス 社 に 吸 収 合 併 さ れ ラ ン キ ン グ か ら姿 を 消 し た の が 淋 し い 。
〔2〕 壁 崩 壊 後 の 有 力 企 業 の 経 営 戦 略 川 ド イ ツ 銀 行
ドイ ツ銀 行(DeutscheF3ankAG)は,1870年,ベ ル リン の 古 くて お 粗 末 な 長
売上高 ランキング上位100社
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(注)1)MBB社 売rげ を 含 む 。利 益 に 関 し て は 収 益 計1ゴ ∫法 の 違 い に よ り89年 と の 比 較 は 困 難 。2)ド イ ツ ・ ブ ン デ ス ポ ス トの 通 信,郵 便 事 業 の 分 割 に よ る 。3)割 引 後 推 定 売1二げ 。4)グ ル ー プ 全 体 の 売tげ 。 5)Kauh。fを 含 む 。6)東 部 新5州 を 含 む 。7)暫 定 値 。8)企 業 買 収 後 の 売 上 げ 増 加 。9)1♪ 」1 Bよ り9月30日 ま で を 計 」=。IG)C{,opAGを 含 ま な い 。11)1989年 の 数 値 は 再 編 後 の 部 門 に 適 応 。 12)Barmag社 の 株 式 過 半 数 を 初 め て 算 入013)収 益 は ラ ジ オ ・テ レ ビ 受 信 料,広H:rt収 入 及 び 助 成 金 。 14)ド イ ツ で の 卸 売 り の 売Lげ 。15)ラ イセ ン ス 供'チ を 含 む 。16)株 式 会 社 の 収 益 。17)Ask・ 社 に よ
り 買 収 さ れ るr,
(出 所)Handelblatt1991.7.6,DeutscheMarkt199L9
屋 の よ うな建 物 で そ の産 声 を上 げ た 。 ドイ ツ銀行 が設 立 され た年 に起 こっ た 多 くの銀 行 の 買収,解 散 ・清 算 の嵐 を 目 の あ た りに して,創 立 者 ゲ オ ル ク ・
フ ォ ン ・ジー メ ンス とヘ ル マ ン ・ヴ ァル リ ッ ヒは,ド イ ツ銀 行 で は多 種 多様 な金 融 業 務 を手掛 け な けれ ば,こ の時代 成 長 で きな い だ ろ う と確 信 した。 支 店 網 の拡 張,産 業 向 け の長 期 貸 出 の前 提 とな る預 金 の獲 得,そ して な に よ り
1)
も'証券 ブ ロ ー カ ー 業 務 の 拡 充 で あ っ た 。
今EIで は,ド イ ツ銀 行 は,ド レ ス ナ ー 銀 行,コ メ ル ツ銀 行 と と も に3大 銀 行 の1つ で あ る が,そ の 規 模,収 益 性,成 長 性 に お い て 他 の2行 を 引 き離 し て い る。
16国 際経営論集No.31992
ドイツ3大 銀 行の財務 指標 等比較
(百 万lDM) ドイ ツ銀 行 ド レ ス ナ ー 銀 行 コメ ル ツ銀 行
1990 1989 X990 1989 1990 1989
総 資 産 400,200 344,000 283,265 249,579 215,954 191,554
売 上 高 404,700 348,800 286,951 253,412 217,946 193,841
貸 出 残 高 27:x,300 233,800 213,703 156,786 X22,357 105,547
純 利 益 1,067 1,340 921 s50 557 564
資本 金 ・準備金等 15,566 14,367 10,086 9,176 7,556 s,45s
顧 客 数 7.6fim. 6.98m. 5.27m. 4.68m. 3.36m. 3.11m.
支 店 数 1,856 1,640 1,530 1,397 956 897
※ グ ル ー プ 別 (注)1)90年 度 はCommerzbankは,売 上 高 で はWestdeutcheLandesbankの250
,899 百 万 マ ル ク に 次 い で4位 で あ る 。
2)グ ル ー プ 別 財 務 指 標 等 で あ る 。 (出 所)AnnualReport}or1990
DeutscheBankAG DresdnerBank Commerzbank
す な わ ち3大 銀 行(90年 度)の 財 務 指 標 を み る と,ド イ ツ銀 行100に 対 し , 総 資 産 額 で は ド レ ス ナ ー 銀 行71(89年 度73),コ メ ル ツ銀 行54(同56),当 期 純 利 益 で は,ド レス ナ ー86(同49),コ メ ル ツ52(同42),90年 度 を除 け ば,
そ の 他 の 財 務 指 標 の 格 差 も高 くs経 営 効 率 も両 行 に比 し相 対 的 に 高 い。 ドイ ツ に お い て は,我 が 国 の よ う に 銀 行 業 務 と証 券 業 務 との 垣 根 が な い
, い わ ゆ る ユ ニ バ ー サ ル 銀 行 と して,預 金 ・貸 付 業 務 等 の 他 株 式 ・債 権 な ど の 売 買 ・引 受 業 務 も行 っ て い る 。 ドイ ツ 銀 行 は,我 が 国 で い え ば,「 第 一 勧 業 銀 行+日 本 興 業 銀 行+野 村 証 券+α 」の 総 合 金 融 機 関 で あ り(広 瀬 ドイ ツ興 銀 社 長),文 字 どお り ドイ ツ産 業 界 に 君 臨 して い る 。
ドイ ツ 銀 行 と第 一 勧 業 銀 行 と を89年 度 に お い て 比 較 す る と以 下 の よ う で あ る。
総 資 産(個 別)で は第 一 勧 銀 が ドイ ツ 銀 行 の3.5倍 近 く,貸 出 残 で は第 一 勧
(単位:億 円) ド イ ツ 銀 行 第 一 勧 業 銀 行
総 資 産傷 堕
19兆3,230(2,147億 マ ル ク) 30ジ ヒ三9,960(3,440〃)66兆5,908 68兆7,651
貸 出 残 高 12ツ 巳1,680(1,352〃) 32兆6,257
純 利 益傷 跨
906(10.07〃) 1,205(13.39≫)x,555 1,500
総資本純利益率(本 体) 4,689 2,335%
店 舗 数 げループ) 1,640店 377店
(注)1マ ル ク=90円
(出 所)Annual,Reportfar1959,DeutscheBankAG/DaHchiKangyoBank'90
銀 が ドイ ツ銀 行 の2.7倍 近 く,し か し,ド イ ツ銀 行 の総 資 本 利 益 率 は第 一 勧 銀 の約2倍 とい う効 率 の良 さで あ る。
ドイ ツ銀行 の強 さ の根 源 は,ま ず,有 力 企 業 の株 式 を大 量 に保 有 して 資本 参 加 す る と と もに,社 長 の任 罷 免 権 を有 す る西 ドイ ツ固有 の 監 査 役 を多 数, 大 企 業 に派遣 して い る こ とにあ る。
次 の表(次 ペ ー ジ参 照)は,ド イ ツ銀 行 の主 た る企 業 の保 有 株 式 率 と監 査 役 派 遣 人 数 で あ る。
ドイ ツ銀 行 は,こ の よ うに大 企 業 を支 配 す る こ とに よ って,そ の 系列 企 業 ドイツ銀行の主 た る企業の株 式保有率
ア ル ゲ マ イ ネ ヘ ェ ア バ ル テ ゥ ン グ ス ゲ ゼ ル シ ャ フ ト イ ン ズ ス ト リ ー べ タ イ リ グ ン グmbH
ダ イ ム ラ ー ・ベ ン ツ ㈱
エ ネ ル ギ ー ・ヘ ェ ア バ ル テ ゥ ン グ ス ゲ ゼ ル シ ャ フ ト フ ィ リ ブ ホ ル ツ マ ン ㈱
ホ ル テ ン ㈱
カ ー ル シ ュ タ ッ ト㈱
ク レ ッ ク ナ ー フ ン ボ ル ト ド ォ ツ ッ ㈱
ヘ ユ ア
mbH
55.35%
28.37 25 30 25.40
?5.26 41ユ4
(出 所)AnnualReportfor1990
18国 際 経 営 論 集No,31992
大企 業 への監 査役派遣 ダ イム ラー ・ベ ン ツ(自 動 車 業 界 世 界 第4位) テ ィ ッセ ン(鉄 鋼 業 世 界 第3位)
VEBA(エ ネ ル ギ ー)
ジ ー メ ンス(電 機 業 界 世 界 第3位) VW(自 動 車 業 界 世 界 第7位) BASF(化 学 業 界 世 界 第2位)
バ イ エ ル(〃 第4位)
2人 2〃
2〃
1〃
1〃
1〃
1〃
(注)1990年 度 は未 記載
(出所)AnytualR砂oκ ル71989
の 多 数 を 傘 下 に 置 い て い る。 ま た,ド イ ツ 銀 行 は,企 業 へ の 融 資 方 式 か ら利 ザ ヤ を 決 定 す る 力 を持 っ て お り,た と え ば,預 貸 金 利 ザ ヤ は2 .52%(89年)
と,我 が 国 都 銀 の 多 くが0.5%以 下 で あ る の と比 し採 算 性 が 高 い 。
ドイ ツ銀 行 の 東 ドイ ツ へ の 進 出 と し て,東 ドイ ツ初 の 民 間 銀 行 で あ る東 ド イ ツ 信 用 銀 行 と合 弁 会 社 を設 立,店 舗 数 約110店 を 譲 り受 け,6 ,000人 の 従 業 員 を 引 き取 っ た こ とが 特 に注 目 さ れ る 。 行 名 は 「ドイ ツ 銀 行 ・信 用 銀 行 」 で 1990年7月2日 に 営 業 を 開 始 した 。 ドイ ツ 銀 行 は,ド レ ス ナ ー 銀 行 と同 様 に 合 弁 戦 略 に よ っ て 東 ドイ ツ進 出 を果 た して い る が,コ メ ル ツ 銀 行 は独 立 店 舗 戦 略 を と っ て お り,91年 度 末 まで に 約1・・の 支 店 を 開 設 し よ う と し て い2).ま
た,旧 東 ドイ ツ は混 乱 期 で あ り所 有 権 も は っ き り しな い よ う な状 況 に あ り, 結 局 は1つ の 国 に な る の だ か ら,あ わ て る 必 要 は な い と,ド イ ツ 銀 行 に は横 綱 相 撲 的 な と こ ろ も あ っ た 。
ドイ ツ 銀 行 で は 旧 東 ドイ ツ再 建 コ ス トを 年 間500億 マ ル ク(実 際 は1 ,200億 マ ル ク を超 え る)と 予 測 し,そ の 中 心 的 役 割 を 果 た す 西 ドイ ツ 民 間 企 業 投 資 需 要 の 資 金 供 給 の 主 役 と な ろ う と し て い る。
し か し,他 方 で は,東 ドイ ツ 統 合 は そ れ ほ ど の メ リ ッ トは な い と の 見 解 も あ る。 例 え ば,東 ド イ ツ 預 金 残 高 は,西 ドイ ツ 預 金 の1年 分 の 増 加 額 程 度,
ま た貸 付 の 中 心 とな る 資 金 不 足 の 中 小 企 業 の 審 査 基 準 に な る 財 務 資 料 等 が 不 完 全 で あ る 等 々 で あ る。