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を用いた直接通信と携帯網の切り替え方式の提案

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Academic year: 2021

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(1)

NTMobile

を用いた直接通信と携帯網の切り替え方式の提案

123430022 鈴木 一弘

渡邊研究室

1. はじめに

無線LANにおけるアドホックモードはインフラがない 環境において,端末間で直接通信ができる手段として有用 である.しかし,端末が移動しながらアドホックモードで 通信する場合,端末の距離が離れると電波が届かなくなり,

通信が途切れてしまうなど,常に安定した通信は困難であ る.一方,すでにインフラが整備された携帯網は,いつで もどこでも通信が可能であるが,通信帯域が狭いため高ト ラフィックに対応できない.そのため,移動通信において端 末が近距離の場合はアドホックモードを利用し,アドホッ クモードによる通信が困難な場面では携帯網に切り替えて 通信ができると有用である.しかし,現在のIPネットワー クでは,通信中にネットワークを切り替えると,IPアドレ スが変化することにより,通信が一度途切れてしまう.

我々は,NAT越えと移動透過性を同時に実現するNT- MobileNetwork Traversal with Mobility)を提案してい [1, 2].本稿ではNTMobileを用いて無線LANのアド ホックモードと携帯網の間をパケットロスなく切り替える 方式を提案する.この方式は車車間通信などに利用できる.

2. NTMobile

2.1 NTMobileの概要

NTMobileは仮想IPアドレスとトンネル通信を用いた 技術である.NAT越えと移動透過性の機能を有するNTM 端末,NTM端末のネットワーク位置情報の管理や通信経 路生成の指示を行うとともにDNSの機能を包含するDC

Direction Coordinator)を導入する.DCはグローバル ネットワークに配置する.NTM端末にはDCから仮想IP アドレスが割り当てられ,端末の識別子として利用される.

NTMobileでは通信開始時にUDPトンネル経路を構築す る.MNCNは仮想IPアドレスによる全てのパケット を,実IPアドレスでカプセル化する.端末がネットワー

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1: NTMobileの通信開始シーケンス

クを切り替えても実IPアドレスのみが変化するためIP ドレスの変化を上位アプリケーションに対して隠ぺいする ことができる.

2. 2 事前登録処理

NTM端末はDCに対し,実IPアドレスなど端末情報 を登録する.DCは端末情報を登録するとともにNTM 末に対して仮想IPアドレスを割り当てる.

2. 3 通信開始シーケンス

1NTMobileにおける通信開始時のシーケンスを 示す.NAT配下に接続するMNから,グローバルネット ワークに接続するCNへの通信開始時の処理について説明 する.MNはアプリケーションのDNSクエリを検出すると 自身を管理するDCMNに対してCNの情報を問い合わせ るとともに経路指示要求を行うNTM Direction Request を送信する.DCMNDNSDCCNDNSクエリや,

独自のメッセージNTM Information Request/Response をやり取りすることでCNの情報を取得する.DCMN 取得したMNCNの情報を元に生成すべき経路を判断 し,NTM Route DirectionによりMNCNに経路生成 指示を行う.MNCNDCMNの指示に従ってNTM Tunnel Request/Responseをやりとりすることで実IP ドレスによるUDPトンネル経路を生成する.

2. 4 ハンドオーバ時の処理

MNが異なるネットワークに切り替わると,MNは新し いアドレス情報をDCMNに再登録する.その後,通信開 始時と同様のシーケンスが機能し,新しいトンネル経路が 構築される.

2. 5 課題

現状のNTMobileは,グローバルネットワーク上に配 置されたDCの指示に従って通信経路の生成を行うため,

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2: 提案方式の概要

(2)

NTM端末が直接通信を行うような場合,このまま利用す ることはできない.

3. 提案方式

3.1 提案方式の概要

2に提案方式の概要を示す.無線LANと携帯網(以 3G)の両インタフェースを持つスマートフォン前庭と する.3G側でNTMobileの機能によりトンネルを構築し,

無線LAN側では独自にトンネル構築を行う.2つのトン ネルを維持したまま,無線LANの電波強度に応じて経路 くを切り替えながら通信を行う.

3.2 通信の開始

事前に3G側で自身のアドレス情報(3GIP)などの登録 処理を済ませ,仮想IPアドレスを取得しているものとす る.このとき,無線LAN側ではAutoIPを利用して一意 の実IPアドレス(AdIP)を生成しておく.MNからCN へ通信を開始する場合,3G側ではNTMobileの機能によ CN3G側実IPアドレス及び仮想IPアドレスを取 得し,トンネル経路を構築する.無線LAN側では端末同 士がマルチキャストで名前解決を行うことができるマルチ キャストDNSMDNS)を利用して問い合わせを行う.名 前解決ができない場合,解決ができるまで定期的に問い合 わせを行う.MDNSにより端末Bの無線LAN側実IP ドレスを取得するとアドホックモード特有のUDPトンネ ル経路を構築する.

3.3 ハンドオーバ

通信中は無線LAN側のパケットの受信信号強度をもと に無線LANの電波強度を常時測定し,電波強度が一定値 以上であれば無線LANのトンネル経路,一定値未満であ れば3Gのトンネル経路を選択して通信を行う.

3にハンドオーバ時のシーケンスを示す.アドホック モードのトンネル経路で通信を行っている時,端末の移動 などにより電波強度が閾値を下回ると,3G網を利用してト ンネル切り替え指示/応答のメッセージをやり取りし,3 Gのトンネル経路での通信に切り替える.次に3Gのトン ネル経路での通信を行っている時,電波強度が閾値を上回 るとアドホックモードを利用してトンネル切り替え指示/

応答のメッセージをやり取りし,アドホックモードのトン ネル経路での通信に切り替える.

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3: ハンドオーバ時の処理

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4: 実装の構成

3. 4 提案方式の利点

アドホックモードと携帯網を組み合わせることにより両 者の利点をあわせ持つシステムを実現した.移動通信にお ける端末間直接通信に対して,NTMobileの適用を可能に した.NTMobileによって両ネットワークを切り替えた時 においてもIPアドレスの変化を隠蔽し,通信の継続性も 確保した.

4. 実装

提案方式をAndroid端末に実装する.図4Android における提案方式を実現する実装の構成を示す.NTMobile はカプセル化などを行うカーネルモジュール,制御メッセー ジを交換するNTMデーモン,トンネルテーブルおよび仮 想インタフェースからなる.

提案方式の実現のため,無線 LAN接続の設定を行う wpa supplicantを書き換えてアドホックモードを可能にさ せ,NTMデーモンはMDNS名前解決後にトンネル構築 メッセージを出せるように改造する.また,WiFiと3G を同時に動作させるためConnectivityServiceを改造する.

さらに,AutoIP機能や無線LANの電波強度の判定,無 LANをアドホックモードとして使用する機能はアプリ ケーションとして実装する.

5. まとめ

本稿では,NTMobileを用いて直接通信と携帯網を切り 替える方式を提案した.今後は実装を行い,性能の評価を 行っていく.

参考文献

[1] 鈴木秀和,上醉尾一真,水谷智大,西尾拓也,内藤克 浩,渡邊 晃:NTMobileにおける通信接続性の確立 手法と実装,情報処理学会論文誌,Vol. 54, No. 1, pp.

367379 (2013).

[2] 内藤克浩,上醉尾一真,西尾拓也,水谷智大,鈴木秀 和,渡邊 晃,森香津夫,小林英雄:NTMobileにおけ る移動透過性の実現と実装,情報処理学会論文誌,Vol.

54, No. 1,pp. 380393 (2013).

(3)

理工学研究科 情報工学専攻 渡邊研究室

123430022 鈴木 一弘

NTMobileを用いた直接通信と

携帯網の切り替え方式の提案

(4)

研究背景

• ネットワークの多様化

携帯網,無線

LAN

など

• スマートフォンの普及

• ユーザの要求

接続性の確保

移動通信

高速化,安定化

• キャリアの要求

トラフィック迂回

(5)

移動通信方式の比較

• 直接通信

無線

LAN

アドホックモードにより,端末が直接通信を 行う

• 携帯網通信

携帯網を用いた通信

通信方式 インフラ 通信帯域 通信可能範囲

直接通信 不要 広い 電波が届く

範囲のみ

携帯網通信 整備済み 狭い カバーエリア

全体

(6)

研究目的

• アドホックモードによる直接通信と携帯網を電波 強度により,切り替えて通信する

携帯網

アドホックモード

(7)

解決すべき課題

• IP ネットワークではネットワークを切り替えると通 信が途切れてしまう

移動透過性技術の必要性

⇒NTMobile

により解決

NTMobile はアドホックモードでの使用を想定して

いないため,このまま使用することが出来ない

(8)

NTMobile の概要

移動透過性を実現する

DC

NTM

端末の管理を行う

DCからNTM端末に仮想IPアドレス配布

通信開始時にトンネル経路を構築

上位アプリケーションに対して実

IP

アドレスの変化を隠蔽

NTM

端末

(移動後)

NTM

端末

(移動前)

G

無線

LAN DC

NTM

端末

インターネット

DC

DNS

(9)

端末起動時の処理

MN DCMN DCCN CN

VIPMN

の割り当て

VIPCN

の割り当て

RIPMN

の登録

RIPCN

の登録

RIPMN

取得

RIPCN

取得

RIP

:実

IP

アドレス

VIP

:仮想

IP

アドレス

(10)

通信経路構築シーケンス

MN NAT Router DCMN DNS DCCN CN

UDPトンネル

指示要求

名前解決 経路指示

トンネル構築要求

トンネル構築応答

(11)

NTMobile の課題

• NTMobile

はグローバルネットワークに配置した

DC

の指 示により経路構築を行う

このままアドホックモードによる通信へ適用できない

提案方式への適用には機能の拡張が必要

DC

指示要求

(12)

提案方式の概要

• NTMobile

を用いてアドホックモードによる直接通信と携 帯網を切り替えて通信を行う

通信開始時に直接通信と携帯網それぞれにトンネル経 路を構築

通信中は無線

LAN

の電波強度によって切り替える

MN

DC

CN 3G

ネットワーク

3G

網トンネル アドホックモード

トンネル

仮想

IP

アドレス

による通信

(13)

利用する既存技術

• Auto IP

– DHCP

サーバ無しに端末が

IP

アドレスを生成

リンクローカルアドレス

(169.254.0.0/16)

を利用

– ARP

によって衝突を確認

– RFC 3927

• MDNS ( Multicast DNS )

– DNS

サーバ無しに端末同士で名前解決を行う

– DNS

クエリをマルチキャストで行う

(14)

端末起動時の処理

MN DC CN

無線

LAN

3G 3G

無線

LAN

3GIPの登録

VIPMN

の割り当て VIP

CN

の割り当て

AdIPMN

生成

AdIPCN

生成

Auto IP

NTMobileの処理

提案方式の処理

3GIPMN

取得

3GIPCN

取得

GIP

:携帯網通信用実

IP

アドレス

AdIP

:アドホックモード用実

IP

アドレス

(15)

MN DC CN

無線

LAN

3G 3G

無線

LAN

MDNS

NTMobileの処理

提案方式の処理

通信経路構築処理

通信経路構築シーケンス

UDPトンネル

トンネル構築要求

トンネル構築応答

UDP

トンネル

(16)

ハンドオーバ

MN CN

無線

LAN

3G 3G

無線

LAN

UDPトンネル

UDP

トンネル

UDP

トンネル

NTMobileの処理

提案方式の処理

電波強度が 一定値未満

電波強度が 一定値以上

トンネル切替要求 トンネル切替応答

トンネル切替要求

トンネル切替応答

(17)

提案方式の利点

• アドホックモードと携帯網の利点を生かした通信 を実現する

• 移動通信における端末間直接通信に対して

NTMobile の適用を可能にする

• 3G 網に流れるトラフィックを低減

• アドホックモードによりスループットが高くなる

(18)

提案方式のモジュール構成

• Android に実装

アプリケーション

アプリケーションフレームワーク

ライブラリ

Linux カーネル

Android

ランタイム

Connectivity

Service wpa

supplicant

NTM

デーモン

仮想

I/F NTMカーネル

モジュール 実

I/F

I/F

切替 モジュール

実装部分

NTMobile

拡張部分

(19)

Connectivity Service の拡張

• 提案方式は 2 つの経路を維持する

• Android は通常,無線 LAN 接続時には 3G インタ フェースを使用できない

• Connectivity Service

– Android

端末のネットワーク接続の管理を行う

Connectivity Service を改造して,無線 LAN 接続

時でも 3G インタフェースを使用可能にする

(20)

wpa supplicant の拡張

• 提案方式では無線 LAN をアドホックモードで使用

• Android は通常,アドホックモードを使用できない

• wpa supplicant

– WPA

を無線

LAN

クライアントに提供するツール

• wpa supplicant を書き換えることでアドホックモー

ドを使用可能にする

(21)

NTM デーモンの拡張

• 提案方式はアドホックモード側で MDNS 完了後に トンネル構築メッセージをやりとりする

• NTM デーモン

– NTMobile

のユーザ空間の実装

アドレスの確認や制御メッセージを扱う

• 端末側の判断でトンネル構築メッセージを送信で

きるように改造する

(22)

まとめ

• NTMobile を用いてアドホックモードによる通信と

携帯網をシームレスに切り替える方式を提案

• 無線 LAN の電波強度に応じて経路を切り替える ことで,通信状態の良いネットワークの選択が可 能

• 今後は実装を行い,動作確認と有効性の確認を

行う

(23)

参考文献

• NTMobile

鈴木秀和,上醉尾一真,水谷智大,西尾拓也,内藤克浩,渡邊

晃:

NTMobile

における通信接続性の確立手法と実装,情報処

理学会論文誌,

Vol. 54, No. 1, pp. 367―379 (2013).

内藤克浩,上醉尾一真,西尾拓也,水谷智大,鈴木秀和,渡邊 晃,森香津夫,小林英雄:

NTMobile

における移動透過性の実 現と実装,情報処理学会論文誌,

Vol. 54, No. 1,pp.380―393 (2013).

• Auto IP

– Stuart Cheshire. Dynamic Configuration of IPv4 Link-Local Addresses. RFC 3927, 7 2001.

• MDNS

– http://www.multicastdns.org/ (2014.01.27

アクセス

)

(24)

ご清聴ありがとうございました

(25)

トンネル通信

MN CN

UDPトンネル

外側

IP

ヘッダー 内側

IP

ヘッダー

NAT Router

RIPMN RIPCN VIPMN VIPCN

RIPNAT RIPCN VIPMN VIPCN

(26)

提案方式ハンドオーバ時のアドレス変化

MN CN

無線LAN

3G 3G 無線LAN

UDPトンネル

UDPトンネル

UDPトンネル

電波強度が 一定値未満

電波強度が 一定値以上

トンネル切替要求 トンネル切替応答

トンネル切替要求 トンネル切替応答

AdIPMN⇔ AdIPCN VIPMN VIPCN

3GIPMN 3GIPCN VIPMN⇔ VIPCN

AdIPMN AdIPCN VIPMN VIPCN

(27)

AutoIP

169.254.0.1

②,④

ARP

要求

ARP

応答

169.254.0.1 169.254.0.2

169.254.56.89

(28)

MDNS

DNS

クエリ

A.local

IP

アドレスは?

宛先:マルチキャストアドレス

DNS

応答

A.local

169.254.0.1

宛先:

169.254.0.3

ホスト名:

B

IP

アドレス

169.254.0.2

ホスト名:

C

IP

アドレス

169.254.0.3

ホスト名:

A

IP

アドレス

169.254.0.1

③通信相手情報 ホスト名:

A

IP

アドレス

169.254.0.1

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