The Silvicultural Studies on Ninjinba, one ofthe Clones of Japanese Ceder, Cryptomeriajaponica D. Don.
全文
(2) ス ギの 栄 養 系 ニ ン ジ ン バ に 関 す る造 林 学 的 研 究 塚. 原. Hatsuo. 初. 男. TSUKAHARA. The Silvicultural Studies on Ninjinba, one of the Clones of Japanese Ceder, Cryptomeria japonica D. Don.. 目 緒. 次 3.黄. 言. 1.林 業 上 の 特性 に 関す る研 究. 色 葉 の 無機 養 分. 4.黄 色 球 果 種 子 の発 芽 試 験. 1.産. 地. 5.黄. 2.名. 称. 6・ 黄 色 葉 の 発現 と環 境. 3.地 理 的 分 布 と成 長. (1)黄 色葉 の発 現 と温 度 と の関 係. (1)地 理 的 水平 分 布. (2)黄 色 葉 の 発現 と 日照 と の関 係 7・ 黄 色 葉 の 発 現 と 遺伝. (2)地 理 的 垂 直 分 布 (3)分 布 地 方 の気 象 と土 壌 a.気. 象. b.土. 壌. (4)全 般 的 成 長 状 況. 色 葉 の挿 木 発 根 性. (1)黄 色 葉 発 現 の年 次 変化 (2)自 然 交 雑 種子 に よ る育 成 子 苗 の黄色葉発現 IIL育. 林 上 の 特 性 に 関 す る研究. L針. (5)立 地 別 成 長 状 況 4.一 般 的 特 性. 葉の特徴. (1)針 葉 の形 状 に よ るスギ 挿 木 品. (1)外 部 形 態 的 特 徴 (2)黄. 種 の分 類. 色葉 量. (2)彎曲 係 数 法 に よ る スギ 挿 木 品. (3)黄 色 度 と成 長 (4)心. 材 色. (5)結. 実 性. (6)成 長 の早 晩 性 (7)成. 種 分類 上 の 育林 的 価値 2.枝 条 の 特 徴 3.樹 幹 の 特 徴 IV.結. 長 型. 論. 1.外 部 形態 的特 徴 2.黄. (8)一 般 的発 根 性 II.生 理 生 態 的特 性 に関 す る研 究 1.黄 色 葉 の色 素 分 析. 4.育 種 な らび に造 林 へ の応 用. (1)ペ ーパ ー ク ロマ トグ ラ フ ィー. 摘. (2)吸 収 スペ ク トル. Resume. (3)ク. 引用 文 献. ロロ フ ィ ルの 定 量. 2.黄 色 葉 の陰 陽性. 色葉 の 発 現 機 構. 3.黄 色 葉 の 生理 的 特性. 写. 要. 真.
(3) 緒. 口. 昭和32年 夏 期 福 岡 県 お よび 佐 賀 県 に お け るス ギ 挿 木 品 種 の現 地 林 分 調 査 に 参 加 し,福 岡 県朝 倉 郡 小 石 原 村 よ り英 彦 山 に向 う途 上 の ホ ンス ギ 林 分 中 に お い て ひ とき わ 秀 れ た い わ ゆ る精 英樹 的 個 体 を 発 見 した.点 在 す るそ の個 体 は い ず れ も 豊 か な る黄 金 色 を 呈 し,ま さに 異 観 で あ った.こ れ が後 に ニ ン ジ ンバ と命 名 した ス ギ の1栄 養 系 で あ る. 黄 色 葉 をつ け る樹 木 に は,ス ク シ ン,チ. ャボ ヒバ,オ. ギ,ヒ ノキ,ア. カ マ ツ,ク. ウ ゴ ン ヒバ,マ サ キ,ア オ キ,イ. ロマ ツ,カ. ラマ ツ,イ ブ キ ビ ャ. ヌ ツ ゲ,SamgUCUSnigra(ニ. ワ. トコの 一 種)15)などが あ り,ス ギに もオ キ ナ ス ギ33)キヤ ツ ロ,オ オ ヤ ジ ロ,フ ・ イ リス ギ や ほ か に 特 殊 な 環 境 条 件 下 に お い て 黄 色 葉 な い し 白色 葉 をつ け る もの が あ る.こ れ らは いず れ も きわ め て 稀 に実 生 林 に お い て 見 出 され る変 異 体 か 或 は 園 芸 品 種 ば か りで あ る の に対 し, ニ ン ジ ンバ は 挿 木 に よ って栄 養 繁 殖 され,木 材 生 産 を 目的 とす る林 業 上 の 品 種 とし て 実 用 に供 し うる もの で あ り,切 花 用 とし て価 値 あ る もの で あ る. ま た,ニ. ンジ ンバ は 従 来 知 られ て い るス ギ の 諸 品 種 に較 べ て種 々 の 点 に お い て異 な って. お り,北 部 九 州(添 田 町)で は 成 長 が 良 好 で あ る ほか,そ. の 針 葉 に 黄 色 葉 を交 うる こ とは. 林 業 上 の挿 木 品 種 と して 他 に 全 く例 を見 な い貴 重 な特 性 で あ るた め 遺 伝 研 究 や 育 種 材料 と し て好 適 で あ る と思 わ れ る.一 般 に,植 物 の イサ ハ の発 現 機 構 に つ い て は 知 ら れ て い な い.た だ,中 性 子 やr線. を 照 射 した 場 合 に 起 る こ とが 知 られ て い る く らい で あ る70.緑 色. 葉 の光 合 成 と黄 色 葉 の そ れ との 関 係 や,黄 色 葉 の 生 理 生 態 的 特 性 につ い て も未 開 拓 で あ り ・ イサ ハ 植 物 の繁 殖 生 理 につ い て も全 く 手 が つ け られ て い な い. そ こで,ニ. ンジ ンバ の林 業 上 の 特 性 に 関 す る研 究 を 開始 し,次. い で 黄 色 葉 の生 理 生 態 的. 特 性 な らび に 育林 上 の 特 性 に 関 す る研 究 を す す め て ス ギ の栄 養 系 ニ ンジ ンバ の造 林 学 的 意 義 を 解 明 せ ん とし た. 本 研 究 を遂 行 す るに あ た り,終 始 直 接 御 懇 篤 な る 御 指 導 を 賜 った 恩 師 九 州大 学 教 授 佐 藤 敬 二 博 士 に 対 し満 腔 の謝 意 を 表 す る. また,本 研 究 を遂 行 す るに あ た り御 指 導 を賜 った 九 州 大 学 助 教 授 加 藤 退 介,同. 宮島寛博. 士 は じめ,本 研 究 の調 査,実 験 の 遂 行 上 多 大 の 御 援 助 と御 鞭 錘 を 賜 った 諸 氏 の芳 名 お よび 諸 機 関 名 を記 し深 甚 の 謝 意 を 表 す る次 第 で あ る. 平 田善 文 氏(奈. 良学 芸 大学 助 教 授),小. (岩 手 大 学 農 学 部 講 師),汰 教 官),黒. 川 保 喜 氏(福 岡 学 芸 大学 助 教 授),永. 木 達 郎 氏(九 州 大 学 農 学 部 教 官),菅. 木 嘉 久 氏(宮 崎 大学 学 芸 学 部 勤 務),須. 義 司 氏(九 州 大 学 大 学 院学 生),室. 崎 民 雄 氏(九. 野 正造 氏. 原 淳 氏(九 州 大 学 理 学 部 州 大学 農 学 部 教 官),中. 村. 屋 法 暁 氏(福 岡 県立 糸 島農 業 高 校教 諭),斉 藤 明 氏(九. 州 大 学 大学 院 学 生),白 石 懸 氏(日 本 パ ル プK.K,勤. 務),中 川 展 彰 氏(秋 田 営 林 局 鷹 巣 営. 林 署勤 務),谷. 本 昇 氏(同 上),田. 部 村),栗. 口 俊 一 氏(福 岡 県 八 女 郡 星 野 村),野. 原 誠 一 氏(同 上),大. 神 薫 氏(同. 県 田 川 郡 添 田 町),九. 同大 学 附 属 演 習 林,同 大 学 理 学 部 千 葉 研 究 室,福 林 業 懇 話会,同. 州 大 学 農 学 部 造 林 学 教 室, 県 森 林 組 合 連 合 会,同 県. 県林 業 試験 場,筑 後 農 林 事 務 所,星 野 村 森 林 組 合,上 陽 町 役 場,同. 合,矢 部 村 森 林組 合,大 淵 森 林 組 合,黒 育 種 場.. 岡 県林 務 部,同. 川 金 吾 氏(同 郡 矢. 木 森 林 組 合,添. 森林組. 田町 役 場,同 森 林 組 合,九 州 林 木.
(4) 3. 1.林 業 上 の 特 性 に 関 す る 研 究 1.産. 地. ニ ン ジ ンバ は 九 州 の 中部 以北,す 同 郡 小 石 原 村,浮. 羽 郡 浮 羽 町,八. な わ ち,福. 岡 県 田川 郡 添 田町,朝 倉 郡 甘木 市 上 秋 月,. 女 郡 黒 木 町,上. 陽 町,星. 野 村,矢. 部 村,筑. 紫 郡 那珂 川. 町,大 分 県 日田 市 小 野,佐 賀 県 佐 賀 郡 富 士 村 な ど 主 とし て星 野 川 お よび 矢 部 川 流 域 と英 彦 山 山麓 地 域 の ス ギ 挿木 林 か ら散 発 的 に見 出 され る もの で あ る.上 陽 町 下 横 山で は ほぼ 純 林 に 近 い状 態 の もの が認 め られ,と. くに,こ. の 地 に 限 りか な り高 令 の ま とま った 個 体 群 を見. 出す こ とが 出 来 るた め,一 応 この 附 近 を 産 地 の 中心 とみ た. 2.名. 称. ニ ン ジ ンバ の 各 産 地 に お い て ,そ の 多 くは 特 に品 種 とし て の 名 称 が な い.添. 田町 で は キ. ウ ラ(ウ ラが 黄 色 で あ る)と 呼 ん で キ ウ ラ と混 同 し,矢 部 村 で は ア カバ を も含 め て キ ナ バ と呼 び.星 野 村 で は ア カ バ と同 一 品 種 とみ て ア カバ の 中 に 黄 色 葉 を つ け る も のが あ る とさ れ て い た. 上 陽 町 下 横 山 で は ニ ンジ ンア オ バ(人 参 青 葉)ま た は 発 心 山附 近 に み られ るた め ホ ッシ ン ニ ン ジ ンア オ バ,ホ 見 出 され た.と. ッシ ン ニ ン ジ ン と呼 ば れ,こ. の 地 に お い て初 め て品 種 らし い 名称 が. ころ が ア オ バ とい う呼 び 名 は 冬 期 の針 葉 が 赤 変 しな い もの に つ い て 呼 ぶ こ. とに 統 一・し て い る の で,ア カ バ 同様 冬 期 赤 褐 色 葉 と な る ニ ン ジ ンバ を ア オバ と呼 ぶ こ とは 不 適 当 と考 え られ る.そ れ 故 ニ ンジ ンア オ バ と 呼 ぶ よ りは ニ ン ジ ン ア カ バ と呼 ぶ ほ うが 合 理 的 な 名 称 で あ るが,一 般 の ア カ バ と区 別す る うえ か ら ニ ンジ ンバ と命 名 した ・ 夏 期 黄 色 葉 をつ け るス ギ に は 実 生 林 の 中か ら 見 出 され るオ オ ヤ ジ ロ,キ ヤ ツ ロ等 が あ り 園 芸 品 種 とし て オ キ ナ ス ギ,ブ イ リス ギ等 が あ る.ニ. ンジ ンバ と以 上 の 品 種 と の植 物 学 的. な 関係 に つ い て は 現 在 の と こ ろ全 く未 明 で あ るが,ニ. ン ジ ンバ は 挿 木 に よ って増 殖 し うる. ス ギ の栄 養 系 の ひ とつ で あ り,こ の こ とは 林 業 上 唯 一 の例 で あ る.し た が って ニ ン ジ ン バ と他 の黄 色 葉 ス ギ を 明 瞭 に 区 別 す る必 要 が あ り,ニ. ンジ ンバ と命 名 す る こ とが きわ め て 妥. 当性 のあ る も の と考 え られ る. 3.地. 理 的 分 布 と成 長. (1)地. 理 的水平分布. ニ ン ジ ン バ は 九 州 の 中 部 以 北,北. 緯33.〜340,東. 経130.〜131.の. 場 合 ア カ バ と 同 一 林 分 中 に 散 発 的 に 見 出 さ れ る(図1).両. 標 準 地 を 調 査 し,ニ ン ジ ンバ とア カ バ. 二 ン ジ ンバ の 地 方 別 出 現 率. 現 率 を 求 め,こ れ を主 産 地 別 に 見 た 場 とお りで あ る.. 表1の4地. 方 は ニ ンジ ンバ の 比較 的. 多 い 地 方 で あ り,こ の うち で特 に 上 陽 地 方 に多 い こ とが わ か る.ニ ンジ ンバ の原 産 地 が 上 陽 地 方 で あ る と推 定 され るゆ え ん で あ る,. 添 上 星 矢. 田 陽 野 部. くの. 者 の代 表 的 な混 交 林 に つ い て 表1. の 現 存 個 体 数 を調 べ て ニ ンジ ンバ の 出. 合 表1の. 範 囲 に 分 布 し,多.
(5) 4.
(6) 星 野 地 方 に お け る ニ ン ジ ンバ の方 位 別 出現 率 を調 べ 表2の 結 果 を 得 た.こ 場 合,植. 表2 ニ ン ジ ンバ の傾 斜 方 位 別 出現 率. の. 栽 苗 に お け る ニ ン ジ ンバ の混. 入 程 度 や 林 令 に よ って も出 現 率 は 当然 変 化 す る と推 定 され るた め,同 一 植 栽 者 に よる同 一 植 栽 年 次 の 同一 海 抜 高 に お け る 林 分 を 調 査 の 対 象 に し た.表2よ 多 く,日. り ニ ン ジ ン バ は,日. 当 りの よい 南 西 向 きの 林 分 に. 当 り の 良 く な い 北 東 向 き の 林 分 に 少 な い 傾 向 が 認 め られ る.こ. の こ と は,ニ. ンジ. ン バ の 黄 色 葉 発 現 が 日 照 に 関 係 し て い る こ とを 推 定 さ せ る も の で あ る. (2)地. 理的垂直分布. 添 田 地 方 で は 英 彦 山 麓 に お け る 海 抜600mを い.こ. の 地 方 の ス ギ は 英 彦 山 頂1,200mを. ニ ン ジ ン バ の 最 上 部 と し,300〜400mに. 上 陽 地 方,矢 部 地 方 で は 添 田 地 方 同 様 海 抜 約600mを 海 抜 約800mを 林(1951)12)に 久 島)で. あ り,多. 上 限 と し て い る が,星. ニ ン ジ ン バ の 最 上 部 分 布 地 と し,多 く は250〜700mに よれ ば,九. 多. 上 限 と し て 分 布 し て い る. 野地方では. 広 く分 布 し て い る.. 州 地 方 に お け る ス ギ の 垂 直 的 天 然 分 布 は 海 抜300〜1,850m(屋. く は400〜1,400mで. あ る と い う.こ. れ か らみ る とニ ン ジ ンバ の垂 直分 布. は い ま の と こ ろ わ り あ い 海 抜 高 の 低 い 地 帯 の よ うで. あ る.. 表3. 星 野 地 方 に お け る ニ ンジ ンバ の 海 抜. 星 野 地 方 に お け る ニ ン ジ ンバ の海 抜 高 別 出 現率. 高 別 に そ の 出 現 率 を 前 と同 じ方 法 で 調 べ 表3の 結 果 を 得 た. 表3に 示 す とお りニ ンジ ンバ の 出 現 率 は林 分 の 向 きが 北 。南 いず れ の 場 合 に も海 抜 高 を増 す につ れ て 小 さ くな る 傾 向 を認 め る こ とが で き る. 図2 林 分 の傾 斜 方 位 と海 抜 高 の ちが い に よ るニ ン ジ ンバ の 出現 率.
(7) 同 一植 栽 年 次 に 限 らず,同 一 植 栽 者 の 林 分 に 限 つ て 星 野 地 方 に お け る ニ ンジ ンバ の 出 現 率 を傾 斜 方位 ・海 抜 高 別 に 調 べ た 結 果 は 図2に 示 す とお りで あ る.こ れ よ り同 じ海 抜 高 の 林 分 で は南 面 よ り も北 面 が,ま た 南 ・北 い ず れ の場 合 に も 海 抜 高 の 高 い ほ ど ニ ン ジ ンバ の 出 現 率 が 小 さ い傾 向 を認 め る こ とが で きた. 一 般 に海 抜 高 の低 い 林 地 は 海 抜 高 の 高 い と ころ に あ る 林 地 よ りも 温 暖 で あ る とさ れ る117).し た が って,ニ. ン ジ ンバ の黄 色葉 発 現 に は 日照 の ほ か に 温 度 も また 関 係 が あ る よ う. で あ る. (3)分. 布 地 方 の気 象 と土 壌. a.気. 象. ニ ン ジ ンバ の分 布 地 方 あ る い は これ に 直近 の 地 方 は 表4 ,各 地 方 の 気 象(1961)59)60)61)は 表5に 示 す とお りで あ る. ニ ン ジ ンバ 分 布 地 方 の 月別 日最 高 気 温 は 年 平 均19〜27℃. で あ り,月 別 日最 低 気 温 は年. 表4 ニ ン ジ ン バ 分 布 地 方 の 所 在. 添. 田. 添. 田. 福 岡県 田 川郡 添 田 町. 英 彦 山. 〃. 甘. 木. 〃. 三 奈 木. 〃. 吉. 井. 〃. 浮羽郡吉井町. 黒. 木. 〃. 八女郡黒木町今. 〃. 星. 野. 〃. 〃. 星野村. 〃. 矢. 部. 〃. 〃. 矢部村. 〃. 甘. 木 〃. 浮 八. 羽 女. 〃. 〃. 甘木市大字小 田 〃. 大 字+文 字. 日. 田. 日. 田. 大 分 県 日田市 大 字 十 二 町. 佐. 賀. 古. 湯. 佐賀県佐賀郡富士村古湯. 表5 ニ. ン. ジ. ン バ. 分. 布. 地. 方. の 気. 象(1961)62).
(8) 日最高気温 日最低気温 降 水 量. 平 均3〜11℃,年 が30℃. 間 降 水 量 は1,500〜2,500mmで. あ る.い. ず れ も 日最 高 気 温 の 月別 平 均 値. を 越 す 地 域 に 分 布 し て い る こ と が わ か っ た. b.土. 壌. ニ ン ジ ン バ の 分 布 地 に お け る 土 壌 型 は 主 と し て 埴 質 壌 土 ・礫 質 壌 土 で あ りBD・BE型 多 い.福. が. 岡 県 で ス ギ の 立 地 と し て 最 も 地 味 の 良 い と さ れ てい る 上 陽 ・星 野 ・矢 部 地 方 で は. 変 朽 安 山 岩 を 母 材 とす る 場 合 が 多 く,ほ 成 岩 類,第. か に 田 川 変 成 岩 類(結. 晶 変 岩 類),古. 生代 三 郡 変. 三 紀 層 変 朽 安 山 岩 化 凝 灰 質 角 礫 岩 を 母 材 と す る と こ ろ も見 ら れ る.地. 味の良 く. な い と さ れ る 添 田 地 方 で は 筑 紫 溶 岩 を 母 材 に し て い る. (4)全. 般的 成長状況. ニ ン ジ ン バ の 主 な 分 布 地 の うち,地. 味 の 良 くな い と され る 添 田地 方 と地味 が 良 い と され. る 八 女 地 方 に お け る林 分 の 成 長 状 況 を,計26ヵ 調 査 し,表6,7,8の 実 施 し,比 ル,メ. 結 果 を 得 た.な. お,調. 所 いず れ も標 準 地 幹 材 積 測 定法 に よつ て 査 は1958年10月. か ら1962年11月. 較 の た め に 九 州 産 ス ギ 主 要 挿 木 品 種 す な わ ち ホ ン ス ギ,ア. ァ サ,イ. ン ス ギ と,八. までに. ヤ ス ギ,ウ. 女 地 方 の 代 表 的 ス ギ 挿 木 品 種 す な わ ち ア カ バ,キ. ラセバ. ウ ラ,ナ. ガ. エ ダ に つ い て も調 査 の 結 果 な ら び に 従 来 の 知 見1)14)17)18)19)20)22)23)24)25)27)32)34)35)37)3S)39)48)49)59)51) 52)53)54)55)57)58)64)65)66)69)71)80)81)82)83)84)85)95)96)100)105)107)108)109)112)113)114)115)を 参 考 に し て表 示 し た た,上. は そ の 品 種 に と っ て 最 も 良 い 成 長 を 示 し,下. り,変. 異 の 巾 を 持 た せ た.. 樹 高 で は,ウ 中 位,ホ. ラ セ バ ル,イ. ン ス ギ,ア. 単 木 材 積 で は,大 ン ジ ン バ.メ. ア サ.ホ. ン ス ギ,キ. ヤ ス ギ,メ. ガ エ ダ が 良 好 で,ア. カ バ,ニ. ン ジ ンバ は. ア サ は 比 較 的 劣 る(表6).. き い 順 か ら,ウ ン ス ギ.ア. ウ ラ,ナ. .ま. は 最 も良 くな い 成 長 を 示 した 場 合 で あ. ラ セ バ ル,キ. ヤ ス ギとなる. ウ ラ,ナ. ガ エ ダ,イ. ン ス ギ,ア. カ バ,ニ.
(9) 表6. 表7. スギ 挿 木 品種 の樹 高 成 長(m). ha当. り材 積 で は,ウ. が 良 く,ア. カ バ,ニ. ス ギ挿 木 品 種 の単 木 材 積 成 長(m3). ラ セ バ ル が 特 に す ぐれ て お り,次 ン ジ ン バ は 中 庸 で 以 下 メ ア サ,ア. い で ナ ガ エ ダ ,イ. ヤ ス ギ,ホ. ン ス ギ,キ. ウラ. ン ス ギ の 順 で あ つ た(表. 8). い ず れ に つ い て も ニ ン ジ ン バ は ア カ バ と ほ ぼ 同 様 で し か も,ウ イ ン ス ギ,キ. ウ ラ の す ぐ れ た 成 長 を 示 す グ ル ー プ と,メ. ア サ,ア. ラ セ バ ル,ナ ヤ ス ギ,ホ. 的 成 長 が 劣 る グ ル ー プ と の 中 間 に 位 置 づ け られ る こ と が わ か っ た.し ル,ナ. ガ エ ダ 等 を 早 生 型 の 品 種 と み る な ら ば,ニ. ア サ は や や 晩 生 型,ア 40年. ヤ ス ギ,ホ. 生 林 分 に お け るha当. ア ヤ ス ギ,イ. ン ス ギ,ア. ンス ギ の 比 較. た が つ て,ウ. ラセ バ. ン ジ ン バ は ア カ バ 同 様 中 間 型 で あ り ,メ. ン ス ギ は 晩 生 型 の 品 種 と い え よ う.. り材 積 の 変 異 巾 は,ナ. カ バ,ニ. ガエダ,. ン ジ ン バ,キ. ガ エ ダ,ウ. ウ ラ,ホ. を そ の ま ま 立 地 差 に よ る 成 長 量 の ち が い と み れ ば,ナ. ラ セ バ ル,メ. アサ が 大 き く. ン ス ギ の 順 に 小 さ い.こ. ガ エ ダ,ウ. ラ セ バ ル,メ. の変 異 巾 ア サは 立 地.
(10) 表8. 適 応 性 の 小 さ い 品 種 で あ り,ア. スギ 挿 木 品 種 のha当. 材 積成 長(m3). ン ス ギ,ア. ヤ ス ギ,イ. カ バ は や や 大 き く,ニ. は 更 に 大 き く,ホ. ン ス ギ,キ. ン ジ ンバ. ウ ラは きわ め. て 立 地 適 応 性 の 大 ぎ い 品 種 と い う こ とが 出 来 る. 従 来 の 知 見22)55)81)83)によれ ば,ウ ル,ナ. ガ エ ダ,ホ. 応 性 の 小 さ い 品 種 で あ り,イ 庸,キ. ラセ バ. ンス ギ は立 地 に対 す る適 ン ス ギは 中. ウ ラ は 中 庸 か ま た は 大,ア. ヤ ス ギ,. メ ア サ は 大 と され て い る も の が あ っ て,ホ ン ス ギ と メ ア サ が 筆 者 の 推 論 と くい 違 っ て い る.こ. の こ と は ホ ン ス ギ,メ. ア サが 未 だ. に 複 合 栄 養 系(Clonecomplex)と. しての. 域 を 脱 し て い な い 品 種 と考 え られ る と こ ろ で あ る. い ず れ に し て も,ニ. ンジ ンバ の 立 地 に 対. す る適 応 性 は きわ め て 重要 で あ るた め 節 を あ ら た め て 詳 述 し た い. (5)立. 地別成長状 況. ニ ン ジ ン バ の 主 な 分 布 地 の う ち,添 上 陽,星. 田,. 野 の 各 地 に お け る現 地 林 分 を調 査. し,同. 一 林 分 内 に 混 交 す る ア カ バ,キ. ナ ガ エ ダ,ホ. ン ス ギ 等 と比 較 し た.調. ウラ 査の. 方 法 は 主 と して 標 準 地 幹 材 積 測 定法 に よ っ た.調. 査 し た 場 所 と時 期 は 表9,地. 10,成. 長 状 況 は 表11に. 況は表. 示 す とお り で あ る ・. 添 田 地 方 に お け る ニ ン ジ ン バ の成 長 状 況 は 単 木 的 に も ま た 林 分 全 体 的 に も ア カ バ, ホ ン ス ギ,イ. ン ス ギ よ りす ぐ れ て お り,9. 年 生 で ア カ バ,イ. ン ス ギ の 約3倍,ホ. 表9 二. ソ ジ. ン バ. の調査値. と調査. 福 岡 県 田 川 郡 添 田 町大 字 英 彦 山字 田屋 道 〃 〃 〃 大 字 落 合字 長 谷 〃. 〃. 〃. 〃. 字熊手 久保. 〃. 〃. 〃. 〃. 字 長谷. 〃 〃. 八 女 郡 上 陽 町 大 字 下 横 山字 向 〃. 〃. 〃. 字小谷. 年. 月. ンス.
(11) 〃. 〃. 〃. 星 野村大字 柳字皆瀬 〃 大字国 武字 向 〃 大字柳字皆瀬 〃. 〃. 〃. 〃. 字木 曽. 〃. 〃. 字皆瀬. 〃. 〃. 字木 曽. 〃. 〃. 字志谷. 〃. 〃. 大 字 国 武字 向. 〃. 〃. 〃. 〃. 〃. 〃. 〃. 大字 柳字 マ イ ブ ノ迫. 表10 ニ. ン. ジ. ン. バ. 調. 査. 地. の. 地. 況. 筑紫溶岩 〃 〃 〃. 古生代 三郡変成岩 類 〃 〃. 田川変成岩類 (結晶変岩類) 古生代 三郡変成岩類 変朽安山岩 変朽安山岩.
(12) ギ の 約4倍. の 材 積 で あ っ た(表11,No.1).20年. ン バ は ホ ン ス ギ の 約3倍. 生 以上 の 林 分 で も 単 木 的 に み て ニ ンジ. 強 の 材 積 で あ っ た(表11,No.2,3).一. 方,上. 表11 ニ. ニ. ン. ア. ジ. ン バ. カ. バ. イ. ン. ス. ギ. ホ. ン. ス. ギ. ニ ホ ニ ホ 二 ホ ニ. ン. ン. ン バ ス. ジ. ン ン. ン. ン. ア. ギ. ン バ ス. ジ. ン. ア 二. ジ. ン. ギ. ン バ ス. ギ. ジ. ン バ. カ. バ. ジ. ン バ. カ. バ. ホ ツ シ ン アオ バ ニ. ン. ア. ジ. ン バ. カ. バ. ホ ツシ ン ア オバ ホ 二. ン ン. ス ジ. ギ. ン バ. ホ ツ シ ンア オバ ニ. ン. ア ホ. ジ. ン バ. カ ン. バ ス. ク. ニ. ン ジ. ン バ. ア. カ. バ. ニ. ド ウ. ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. ナ ニ. ン. シ. ギ. ヤ. ガ. ダ. ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. ナ. ン. ラ エ. ガ. ラ エ. ダ. ン. ジ. ン. バ. の. 林. 分. 成. 長. 状. 況. 陽 お よび 星 野 地.
(13) ニ. ジ. ン バ. ア. ン. カ. バ. キ. ウ ガ. エ. ダ. ホ. ン. ス. ギ. 二. ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. ナ. ン. ラ. ガ. エ. ダ. 二. ン ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. ラ. ナ. ガ. エ. ダ. ホ. ン. ス. ギ. イ. ン. ス. ギ. コ バ. ウ. ラ. 二. ジ. ン バ. カ. バ. キ. ウ. 二. ン. セ. ア. ナ. ガ ン. ア ニ. ダ. ジ. ン バ. カ. バ. ジ. ン バ. カ. バ. キ. ウ. ニ. ン. ラ エ. ア. ナ. ガ ン. ラ エ. ダ. ジ. ン バ. ア. カ. バ. 二. ン ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. 二. ン ジ. ン バ. ア. カ. バ. キ. ウ. ナ. ガ. ラ. ラ エ. ダ. 二. ン ジ. ン バ. ア. カ. バ. 方 で は,ア が,ホ. ラ. ナ. カ バ に く らべ 単 木 的 に も ま た林 分 全 体 的 に も ニ ン ジ ンバ は 特 に す ぐれ て い な い. ンス ギ と ニ ン ジ ンバ を 比 較 した 場 合 に は ニ ンジ ンバ の ほ うが2〜4倍. 程 度 良好 な 成. 績 を 示 し て い る.添 田 地 方 に お け る林 分 の 主 体 は ホ ン ス ギで あ り,か か るホ ン ス ギ の 中 に ニ ンジ ンバ が点 在 して い るの に 対 し,八 女 地 方 で は ホ ンス ギ が林 分 構 成 上 の 主 体 で は な い た め,こ れ らを 無 視 して 比 較 す る こ とは さけ た 方 が 妥 当 の よ うに 考 え られ る.し た が っ.
(14) て,福 岡 県 で 最 も地 味 が 良 い とされ る八 女 地 方 で は ニ ンジ ンバ が ア カバ に 比 べ 必 ず し もす ぐれ た 成 長 を 示 さな い の に 対 し,地 味 の 良 くな い とされ る 田 川 地 方 で は きわ め てす ぐれ た 成 長 を 示 して い るた め,ニ. ン ジ ンバ は ア カバ よ り も 一 応 地 味 を 選 ば な い 品 種 で あ ろ うと考. え られ る. 星 野 地 方 に お け る ニ ンジ ンバ の 成 長 状 況 に つ い て,表11のNo.10〜16は 向 斜 面 の海 抜 高 の低 い 地帯 か ら高 い 地 帯 へ,ま た 同表 のNo.17〜22は. 南 また は 南 西 北 向斜面の海抜高. の 低 い地 帯 か ら高 い 地 帯 へ 順 次整 理 して い る.以 上 の調 査 結 果 に 関 して ニ ン ジ ンバ を ア カ バ と比 較 した 場 合,ま ず 南 面 の550m以. 下 で は ニ ン ジ ンバ が 劣 るが,630m以. 反 対 に ニ ンジ ンバ が ま さ って い る.ま た,北 面 で は調 査 地 の 最 高 部690mに ジ ンバ は ア カバ よ り劣 る成 績 で あ った.一. 上 にな ると 至 って もニ ン. 般 に,南 面 す る海 抜 高 の 高 い 地 域 は 低 い地 域 お. よび 北 面 す る同 じ海 抜 高 の 地 域 よ り地 味 が 劣 る とされ て い る116).以上 の こ とか ら,ニ ンジ ンバ の立 地 適 応 性 は ア カバ よ り大 き い と考 え られ る.同. じ よ うに,ウ. ラセ バ ル,ナ ガ エ ダ. 等 が立 地 適 応 性 の小 さ い品 種 で あ るの に対 し,ニ ン ジ ンバ は 立 地 適 応 性 の 大 きい 品 種 と認 め る こ とが 出 来 る. 4.一. 般 的 特 性. (1)外 部 形 態 的 特 徴 ニ ン ジ ンバ の外 部 形 態 的特 徴 の うち 最 も顕 著 な る ものは そ の 夏 葉 に 黄 色 葉 を交 うる こ と で あ る.か か る黄 色葉 は夏 期 か ら冬 期 の赤 変 前 ま で認 め られ るが,特 の春 芽 が 濃 緑 色 とな る8月 頃 最 も 目立 って くる.こ. に一 般 の緑 色葉 ス ギ. の黄 色 葉 は 冬 期 の 赤 変 とほ ぼ 時 を 同 じ. くし て姿 を 消す が,赤 変 の 直 前 に は 大 部 緑 色 に近 くな る場 合 が 一 般 的 で あ る.し か しな が ら 中 に は 赤 変 せ ず に そ の ま ま 黄 色 で あ る場 合 もみ られ るが,こ れ は 翌 春 枯 死 して し ま うよ うで あ る.ま た,1年 生 以 上 の 針 葉 に は 殆 ん ど認 め られ な い た めか か る黄 色 葉 は 年 に 一 度, し か も当年 生 葉 に 限 り発 現 す る も の と考 え られ る.黄 色 葉発 現 の 状 態 は 所 謂 フィ リ葉 と異 な り緑 色 葉 と黄 色 葉 との変 異 点 が は っき りし な い ・ ク ロー ネ の表 層 部 に多 くみ られ,特. に. 上 部 に 著 しい.山 腹 の 下 部 で 比 較 的 温 暖 な立 地 に 目立 って発 現 す る よ うで もあ る. ニ ンジ ンバ の 針 葉 は 接 触 型 で 色 沢 は 淡緑 色 ま た は 黄 色 で あ り触 感 は 軟 い.枝 の長 さ は ほ ぼ 中 庸 で 細 く,岐 出 角 は70〜80.,上. 方 に や や.彎曲 す る.枝 の 着 生 は や や 密 で 不 定 芽 が 認. め られ る.樹 皮 は赤 味 を 帯 び た 「な が れ 」 で 幹 は通 直 で あ るが幹 足 部 は 少 し 曲 る.断. 面形. は ほ ぼ 円型 で 根張 りが あ る.心 材 は 赤 色 で 美 し く材 も良質 で あ る・ 枯 死 枝 は 折 れ に くい た め 採 穂 に便 利 で あ り雪 害 を まぬ か れ た 例 も あ る.結 が,中. 実 性 は 僅 か に認 め られ る程 度 で あ る. に は例 外 もあ る.ク ロー ネ の 先 端 は 乳 房 状 を呈 す.ア. カ バ の林 分 中 に 多 く,ア ヵバ. の変 異 個 体 で あ ろ うと推 定 せ られ る. (2)黄 色 葉 量 一 般 に ニ ン ジ ンバ の黄 色 葉 は 当年 生 葉 に み られ るが,発 ち で 一 定 し て い な い.こ れ ま で観 察 した 中 で は,ク. 現 の程 度 は個 体 に よ って まち ま. ロー ネ の 全 面 に わ た つ て い る もの が 最. も顕 著 と され るが,き わ め て まれ で あ る. ニ ン ジ ンバ の黄 色 葉 の発 現 を観 察 して 表12の 基 準 を設 け,次 い で 実 際 に 黄 色 葉 量 を 坪 量 して この 基 準 との 関 係 を 客 観 化 し,各 た.. 地 方 の ニ ンジ ンバ の 黄 色 度 別 本 数 頻 度 を 調 査 し.
(15) 材 料 と 方 法. 表12 ニ ン ジ ンバ の 個 体 黄 色 度 と外観. 1961年9〜10月,福. 岡 県 八 女 郡,田. 川 郡 に お け る各 地 の 林 分 か ら ニ ンジ ン バ の供 試 個 体 を 選 び,1個 体 内 の黄 色 葉 量(生 重)を 測 定 し,全 当年 生 葉 量 の全 葉 量 に 対 す る比 を 求 め 表13の. 結. 果 を 得 た. 葉 量 は,供 試 個 体 を 伐 倒 して 測 定 す る直接 法*と,各 表13 ニ ン ジ ンバ の 黄色 葉 量. 間 隔)毎. ク ロー ネ 高(1〜2m. の平 均 的 枝 葉 を 切 り落 して そ. の葉 量 を測 定 し,こ れ に 全 枝 条 数 を 乗 じ て求 め た 間 接 法 が あ る. 間 接 法 は,直 接 法 に 比 べ統 計 的 に5 〜10%の 誤 差 が 見 込 まれ るが ,永 年 の 労 を 費 して 育 成 され た林 木 を 伐 倒 せ ず に す ませ る こ とが 出来 る. 結 果 と 考 察 表13に 示 し た結 果 の ご と く,ニ ン ジ ンバ の 黄 色 葉 量 は ク ロー ネ 表 面 の 大 半 に わ た っ て観 察 され る黄 色 度5の 個 体 で さえ,当. 表14 ニ ン ジ ンバ 個 体 黄色 度 の黄 色 葉 量 基 準. 年 生 葉 の21〜26%,全. の6〜9%程. 葉. 度 で あ る こ とが 知 れ た.. 間 接 法 に よ る統 計 的 誤 差 を 見 込 め ば 当 年 生 葉 の30%,全. 葉 の10%程. 度が黄. 色 葉 量 最 多 の 個 体 で あ る と考 え られ る.一 ・ 方,黄 色 度1の 個 体 は 当年 生 葉 の0.2%,全. 葉 の0.04%程. 度 の黄色葉. 量 を 有 す る も の で あ った. 以 上 の結 果 か ら ニ ンジ ンバ の個 体 黄 色 度 と黄 色 葉 量 との関 係 を 明 らか に し 表15 二 ン ジ ンバ の 黄色 度 別 現 存個 体 数. 表14に. 示 し た.. 福 岡県 一 帯 の ニ ンジ ンバ現 地林 分 調 査 に お い て しば しば 黄 色 度 を測 定 し た が,各 黄 色 度 別 個 体 数 を と りま とめ て 示 せ ば 表15の. とお りで あ る.. これ よ り,ニ ン ジ ンバ の黄 色 度1の 個 体 が 約5割 を しめ,黄 色 度 の増 す に つ れ て 個 体 数 が 減 少 し,黄 色 度5の 個 体 は 精 々1割 程 度 の頻 度 分 布 を示 す も の とみ る こ とが で き る..
(16) (3)黄. 色 度 と成 長. ニ ン ジ ン バ の 個 体 黄 色 度 を 表14の 別 樹 高,単. 木 材 積 を 示 せ ば 表16の. 基 準 に し た が っ て1か と お りで あ る.こ. ら5ま. で判定 し. ,個. 体黄色度. こ で 調 査 地 の 番 号 は 表9,10,11と. 同 一 で あ る.. 二. ン ジ ン バ. 表16 の 黄 色. 度. と 成 長. 量. 表16よ り調 査 地 に よ って か な りま ち ま ち で あ るが,黄 色 度 の ち が い に よ って 成 長 の 異 な る こ とが 認 め られ る. 1調 査 地 に お い て 樹 高,単 木 材 積 が最 高 で あ った 個 体 の 黄 色 度 を し らべ 各 黄 色 度 別 の調 査 地 例 数 を と りま とめ て 示 せ ば 表17の とお りで あ る. 表17 ニ ンジ ンバ黄色度別樹高,単 木材積最大 の調査地例数. これ よ り,黄 色 度2の 樹 高 な らび に 単 木 材 積 最 大 の場 合 が 最 も多 く,以 下 黄 色度3,黄 色 度1,4で あ り,黄 色 度5の 場 合 が 最 も少 な い こ とを認 め る こ とが 出来 る.こ の こ とは ニ ンジ ンバ の 黄 色 度 の ち が い に よ って 成 長 量 に 差 異 が あ り,黄 色 度2の 個 体 が最 も良 好 な 成長 を 示 す 場 合 が 多 く,黄 色 度5が 少 な い 傾 向 を 示 す もの と考 え られ る.か か る関 係 を 一 層 明 瞭 に す るた め に ,ニ ン ジ ンバ と同 一 林 分 内に お け る ア カバ の 樹 高 な らび に単 木 材 積.
(17) 表18 ニ ン ジ ンバ の黄 色 度 別 成 長 量 指 数(ア. を100と. し,こ れ に対 す る指 数 で ニ ン. 図3モ. カバ を100と. して). ンジ ンバ の個 体 黄 色 度 別 成 長 比 較. ジ ンバ の黄 色 度 別 成 長 量 を あ らわ せ ば 表18の. とお りで あ る.こ. こで か っ こ. 内の数値は上下黄色度 の 平 均 値 で あ る.表18に. おけ る 調査地全体の 指数. 平 均 値 を ニ ンジ ンバ の 個体 黄 色度 別 に 示 せ ば 図3の. とお りで あ る.. これ よ り,ニ ン ジ ンバ の7〜27年. 生. 主 要 分 布 地 林 分 に お け る個 体 黄 色 度 別 樹 高 な らび に 単 木 材 積 は 黄 色 度2お. よ. び3が 最 も良 好 で,以 下4,1,5の. 順. に 小 さ くな る傾 向 を 認 め る こ とが で き る.ま た,黄 色 度2と3の. グループは. 樹 高 な ら び に 単 木 材 積 の い ず れ も ア カ バ に 比 べ て 良 好 で あ り,黄 も劣 る 結 果 で あ っ た.こ とみ る 限 り,全. 体 的 に は 適 当 量(当. 年 生 葉 量 の1.5〜11.0%)の. が ア カ バ よ り も 良 好 な 成 長 を 期 待 で き る こ と を 示 し て い る.し 色 度2〜3の. ク ロー ン を 選 抜 す る こ と に よ っ て,少. 個 体 を 育 成 す る こ とが で き よ う. (4)心. 材. 色 度1と5は. ア カバ よ り. の こ とは ニ ンジ ンバ を 黄 色 葉 の発 現 す る ア カ バ の枝 条 変 異 個 体 群. 色. な く と も,ア. 黄 色 葉 を 交 うる ニ ンジ ンバ た が っ て,ニ. ン ジ ンバ の黄. カバ よ りも成 長 の良 好 な.
(18) 心 材 色 は,ス. ギ 挿 木 品 種 を 区 別 す る う え か ら も,ま. た 材 の 価 値 を 左 右 す る う え か ら も重. 要 で あ る. ニ ン ジ ンバ の心 材 色 は 桃 実 色 に近 い 赤 色 で あ り し た 場 合,次 a.心. ,八. 女 地 方 に お け るス ギ挿 木 品 種 と比較. に 示 す と お り で あ る.. 材 の赤 い も の. ア カ バ,ニ ア オ バ,キ b.黒. ン ジ ン バ,ヤ ウ ラ,ヤ. ベ シ チ,ホ. イ チ,ホ. ン ス ギ,コ. ッ シ ン ア オ バ,コ. バ ノ ウ ラ セ バ ル,マ. タ サ ン,ツ. エ ス ギ,. ガ. 味 が か った 赤. ヤ マ グ チ,シ c.心. チ ゾ ウ,イ. ン ス ギ,ゼ. ン ダ,カ. ゾウ. 材 の黒 い もの. フ ネ サ コ,ウ. ラ セ バ ル,ナ. す で に 述 べ た よ うに,成 色 は 黒 色 で あ り,材 キ ウ ラ 同 様,赤. ガエダ 長 で は ウ ラ セ バ ル や ナ ガ エ ダ は 早 生 型 の 品 種 と され る が,心. 質 が 必 ず し も 良 好 で な い の に 対 し,ニ. ン ジ ン バ は ア カ バ,ホ. 材. ン ス ギ,. 色 の 心 材 を 有 す る た め 材 質 良 好 な 品 種 と い え よ う.. (5)結 実 性 一 般 に ス ギ の 挿 木 品 種 は 結 実 性 の 少 な い こ と が1つ. の特 性 で あ る とされ て きた. .し. か し. な が ら ク モ トオ シ84)や イ ワ オ ス ギ58)の よ うに 結 実 性 の 高 い も の も 認 め ら れ る. ス ギ 挿 木 品 種 の 結 実 性 は,種 挿 木 増 殖 法 か ら,新. 子 に よ る造 林 法 に 直 結 す る も の で あ り,遺. 伝子 の固定的な. し い 遺 伝 子 を 有 す る 個 体 育 成 す な わ ち 交 雑 お よび 創 成 育 種 を 推 進 す る. に あ た り見 逃 す こ と の で き な い 重 大 な 要 因 で あ る. ニ ン ジ ン バ の 球 果 結 実 性 は ほ と ん ど無 い か,個 て,他. 体 に よ っ て 僅 か に 観 察 さ れ る程 度 で あ っ. の 品 種 と 比 較 し て 示 せ ば 次 の と お り で あ る.. a.結. 実 性 の 多 い もの. ツ エ ス ギ,フ. ネ サ コ,マ. タ サ ン,ナ. ガ エ ダ,ヒ. ノ デ ス ギ,ク. モ トオ シ,エ. ドス ギ,イ. ワ. オス ギ a.結. 実 性 あ る もの. ナ カ マ,コ c.結. ン ダ,シ. チ ゾ ウ,ホ. ッシ ンア オ バ. 実性僅かにあ るもの. ア オ バ,ア d.結. バ ノ ウ ラ セ バ ル,ゼ. カ バ,ニ. ン ジ ン バ,ヤ. マ グ チ,ヤ. イ チ,イ. ン ス ギ,カ. ゾウ. ラ セ バ ル,ヤ. ベ シ チ,ホ. ンス ギ. 実 性 な い もの. キ ウ ラ,カ. ミ ス ギ,コ. これ よ り,ニ. ガ,イ. タ シ チ,ウ. ン ジ ン バ の 種 子 に よ る 増 殖 は クモ トオ シ,ナ. ガ エ ダ,イ. ワオ ス ギ等 よ り も. 合 理 的 で な い と 考 え ら れ る. (6)成. 長 の早 晩性. 先 に 若 干 の ス ギ 挿 木 品 種 に 関 す る 成 長 の 早 晩 性 に つ い て ふ れ た.そ は ア カ バ 同 様 ほ ぼ 中 生 型 に 属 す る品 種 で あ る こ と を 推 定 し た.か. の 結 果,ニ. ンジ ンバ. か る 推 定 と 従 来 の 知 見36). 37)38)50)51)55)81)83)に も とつ い て 更 に 多 数 の ス ギ 挿 木 品 種 に つ い て と り ま と め. ,ニ. ン ジ ンバ の 成. 長 の 早 晩 性 を 一 層 明 ら か な も の に せ ん と し た. a.早. 生. ウ ラ セ バ ル,ナ. 型 ガ エ ダ,イ. ン ス ギ,キ. ウ ラ,ク. モ トオ シ,ヒ. ノ デ ス ギ,ア. ラ カ ワ,カ. ・ ノ.
(19) ウ,マ. タ サ ン,ゼ. トサ ア カ,ガ ナ カ マ,コ. リン,エ. ン グ ロ,ハ. ダ ナ ガ,カ. バ ノ ウ ラ セ バ ル,シ. b.中. 生. ア カ バ,ニ c.晩. 生. ビ ア カ,ア. ア ラ,チ イ チ,ツ. カ,ヒ. ン ス ギ,ア. タ シ チ,カ. 石 崎 等(1953)22)は. ド リ ス ギ,ク. リ メ ン ドサ,ク. エ ス ギ,ヤ. ダ リマ キ,フ. の こ とは,ス. オ ス ギ,フ. ミ ス ギ,ホ. ロ,ト. サ グ ロ,. ロ エ ド,エ. ドア ヤ,. マグ チ. ネサ コ. ク ヤ マ ア カ,オ. ッ シ ン ア オ バ,コ. ア ラ カ ワ,ウ ラ セ バ ル,ホ. は イ ン ス ギ を 中 生 型 に,中. くは,未. ラ ツ キ,ハ. チ ゾ ウ,ヤ. ジ ン,オ. 型 ア サ,ホ. ベ シ チ,イ. る.こ. ラ イ カ ワ,キ. 型. ン ジ ン バ,オ. ア ヤ ス ギ,メ ノ,ヤ. ン ダ,ハ. 村 等(1951)b5)は. ビ ク ロ,ク. ロ ジ ン,ニ. シ ゾ. ガ. ン ス ギ を 中 生 型 と し,ま. た 佐 藤 等(1954)Bl). オ ビ ア カ を 晩 生 型 に 属 す る 品 種 とみ た 例 も あ. ギ 挿 木 品 種 の 早 晩 性 を 判 定 す る基 準 が 判 然 と し な い ば か り で な く,多. だ に ク ロ ー ン コ ン プ レ ッ ク ス の 域 を 出 な い 品 種 に 属 す る こ とを 示 し て い る と考 え. ら れ る. (7)成. 長. 型. 一 般 に 林 木 の 成 長 型(成 あ る と さ れ て い る.あ も ち ろ ん,各. 長 周 期 ・成 長 ス ペ ク トル)は. ら か じ め,そ. ,樹. 種 や 品 種 に よ って まち まち で. れ ら の 成 長 型 を 知 る こ と が で き れ ば,造. 種 の 施 業 実 行 上 き わ め て 有 利 な も の と な ろ う.そ. 品 種 の 月 間 伸 長 率 を 調 査 し,こ. れ に 基 づ い て,ニ. こで まず,九. 林 ・撫 育 上 は 州 産 ス ギ挿 木. ン ジ ン バ の 成 長 型 を 位 置 づ け ん と し た.. 調 査地の概況 調 査 地 は 福 岡 県 粕 屋 郡 篠 栗 町 高 田,九 33.37'6,東. 経130'31'6,海. 抜 高40mの. 大 附 属 粕 屋 演 習 林 内 ス ギ 挿 木 品 種 見 本 林 で北 緯 平 坦 地 で あ る.1962年. の 気 象 は 表19に. 示 す とお り. で あ る. 供 試 材 料 と方 法 表19 粕. 1品 種 あた り3〜7本(平 は4〜5年. 屋. 演. 均5本)の. 習. 林. の. 気. 象(1962年). 供 試 個 体 を 選 び,合 計31品. 種 を 材 料 とし た.年 令. 生 で あ る.. 成 長 型 は 月別 樹 高 伸 長 量 を もつ て あ らわ した.こ 葉 へ の 変 異 点 を 基 点 とし て,1962年5月 mmで あ る.. れ は,樹 幹 梢 頭 部 に おけ る短 葉 か ら長. か ら11月 ま で く りか え し測 定 した.測 定 の単 位 は. 結 果 お よび 考 察 月間 樹 高 伸 長 量 を年 間樹 高 伸 長 量 で 除 し,品 種 別 月 間樹 高 伸 長 率 を 得 た(表20). これ よ り,同 一 地 域 に お け る ス ギの 諸 品 種 に は 種 々 な 成 長 型 を 示 す もの が あ って,し か.
(20) も これ らを ス ギ全 体 として み た 場 合 に は ほ ぼ 連 続 的 に 変 異 し,次 の7型 に 分 類 で きそ うで あ る.' 図4ス. 1.モ. トエ ス ギ,ナ. トサ グ ロ,ナ ハ ン グ ロ,カ. カ マA,チ. ガ エ ダ,ア ラ ツ キ,ミ. ヤ マ グ チ;III.ヒ. 1型.春. ギ 挿木 品種 の成 長 型. キ,ヒ. リ メ ン ドサ;II.ハ. ヤ ス ギ,イ ゾ ロ ギ,ウ. ダ リマ キ,エ. ノ ウ ラ セ バ ル,ク. ロ;V.シ. VI,ア. ン ジ ン バ,ア. オ ス ギ,ニ. ア ラ,ヒ. ノ デ ス ギ,. ン ス ギ,ク モ トオ シ,オ ラ セ バ ル,ト サ ア カ,ア ダ ナ ガ,タ. チ ゾ ウ,キ. ウ ラ,ヤ. ビ ア カ, ラ カ ワ,. ノ ア カ;IV.コ イ チ,ガ. バ. リ ン;. カ バ;VIL一. 型 の 典 型 的 と も い うべ き も の で,7月. 末 ま で に 年 間 の 約70%程. 度 伸 長 し,秋. 期. に ス ペ ク トル の 山 が ほ と ん ど な い も の. II型.年. 間 の50%以. 上 は5・6・7月. に 伸 長 す る 春 型 で あ る が,1型. よ り も秋 期 に お け る. ス ペ ク トル の 山 が 判 然 と し て い る も の. III型.春. 型 で は あ る が,秋. 期 に お け る ス ペ ク トル の 山 よ り ほ ん の 僅 か 春 期 の ほ うが 高 い. 程 度 の も の. IV型.春 で,ス. 期 か 秋 期 に 僅 か な ス ペ ク トル の 山 を み る が 夏 期,特. に8月. に お け る伸 長 が 旺 盛. ペ ク トル の 谷 を み な い も の.. V型.秋. 型 で は あ る が,春. 程 度 の も の.III型. 期 に お け る ス ペ ク トル の 山 よ り ほ ん の 僅 か 秋 期 の ほ うが 高 い. の 対 称 型.. VI型.II型. と 全 く対 称 的 な 秋 型.. VII型.1型. と 全 く対 称 的 な 秋 型..
(21) 20. 以 上 は,1地. 域 内 に お け る ス ギ挿 木 品 種 別 成 長 型 の1例 で あ り,こ. れ を 決 定 的 な もの と. す るた め に は,更 に 気 象 ・土 壌 等 そ の他 の要 因 の 異 な る地 域 に お い て 調 査 をす す め て,外 部 環 境 要 因 と成 長 型 との 関係 を把 握 す る こ とが 必 要 で あ るが,粕. 屋 演 習林 と大 差 な い環 境. 条 件 下 の地 域 で は,各 品 種 の 成 長 型 が こ こで 得 られ た 結 果 に近 似 の 傾 向 を 示 す もの と予 想 され る. ニ ンジ ンバ が ア カ バ の 黄 色 葉 を 発 現 す る枝 変 りで は ない か と考 え られ る 程 度 に ア カバ の 外 部 形 態 的 特 徴 と酷 似 し て お り,し か も,両 者 の成 長 型 が こ こで いず れ もVI型 に 属 した こ とは 興 味 深 い.こ の こ とは,ニ. ン ジ ンバ の 黄 色 葉 が こ こで 用 いた 材 料 の 発 現 程 度 で は,ア. カバ と異 な る成 長 型 を示 す まで の 影響 が な か った こ とを 意 味 す る もので あ ろ う.ま た,外 部 形 態 と成 長 型 との 関係 に 関 す る解 析 も これ よ り展 開 され る 可 能 性 が あ る ので は な いだ ろ うか. 表20 ス. ギ. 挿. 木. 品. 種. の. 月. 別. 成. 長.
(22) 21.
(23) (8)一般. 的発根性. ニ ン ジ ン バ は 直 挿 に も好 適 で あ る と さ れ て い る ,1958年4月 ニ ン ジ ン バ25年. 生 林 分 か ら5本. た.な. お,挿. 付 法 は1プ. 第2次. 枝 を 用 い,挿. 母 樹 と して 選 び. ロ ッ ト当 り9本. 床 は 赤 土 で,挿. 1度 掘 り と っ て 発 根 率 を 調 べ,直. 宛3回. ,挿. 田川 郡 添 田町 大 字 落 合産 の. 付 け て 同一 林 分 内 の ホ ンス ギ と比較 し. 反 復 の 乱 塊 法 で あ る.挿. 穂 に は両 品 種 と も. 付 後 は 日 覆 を 施 し 適 宜 灌 水 し た.1958年10月9日, ち に 元 へ 戻 し て 翌1959年10月15日. に 掘 り と って再 度 発. 根 率 を 調 査 し た(表21). ニ ン ジ ン バ の 平 均 発 根 率 は ホ ン ス ギ と ほ ぼ 同 様 で あ り約50%前 結 果 に つ い て 両 品 種 を 母 樹 別 に み た 場 合,ホ ン バ で は10〜90%で,母. ン ス ギ で は40〜60%で. の に 対 し,ニ 考 え ら れ る.そ. あ る の に 対 し,ニ. 樹 の 個 体 差 が き わ め て 大 き い こ とが わ か っ た.発. 根 数 に つ い て も こ れ と 同 様 の 傾 向 を 認 め る こ とが で き た.し 材 料 に 関 す る か ぎ り,添. 後 で あ った .第2年. た が っ て,こ. 根 した 苗 木 の こで 用 い た 実 験. 田産 ホ ンス ギ は か な り ピ ュア ク ロー ンに 近 ず け られ た 品 種 で あ る. ンジ ンバ は 未 だ に ク ロー ン コ ン プ レ ック スの 域 を 出 な い品 種 に 属 す る もの と れ 故,発. 根 率 の す ぐ れ た 二 ン ジ ン バ ピ ュ ア ク ロー ン の 養 成 は 今 後 大 い に 期. 待 で き よ う. な お,八. 目の ンジ. 女 地 方 に お け る ス ギ 挿 木 品 種 の 発 根 性 は 次 に 示 す と お り で あ る38)87),.
(24) 表21 ニ ン ジ ン バ と ホ ン ス ギ の 挿 木 発 根 性. a.発. 根 性 の 良 い も の(80%以. ニ ン ジ ン バ,ア b.発. ベ シ チ,ホ. ン ス ギ,ヤ. マ グ チ,ヤ. イチ. バ ノ ウ ラ セ バ ル,キ. ウ ラ,ナ. ガ エ ダ,コ. ガ,カ. ミ ス ギ,イ. タ シチ. 根 性 の 良 くな い も の(30〜40%). フ ネ サ コ,ウ d.発. 上). ン ス ギ,ヤ. 根 性 中 位 の も の(50〜70%). ナ カ マ,コ c.発. カ バ,イ. ラ セ バ ル,ア. オ バ,ゼ. 根 性 の 劣 る も の(20%以. マ タ サ ン,ツ. エ ス ギ,シ. ン ダ,カ. ゾウ. 下). チ ゾ ウ,ホ. ッシ ン ア オ バ. II.生 理 生 態 的 特 性 に 関 す る研 究 ニ ン ジ ンバ に 固 有 の 黄 色 葉 に 関 す る生 理 ・生 態 的 特 性 を究 明す る仕事 は,そ 林 学 的 意 義 を 明 ら か に す る 意 味 で き わ め て 重 要 で あ る. 表22 フ ァ イ ト ト ロ ン 各 ル ー ム の 環 境 条 件'. れ の一 離 造.
(25) そ こ で ま ず,葉. 肉 内 色 素 成 分 の 定 性 な ら び に 葉 肉 内 ク ロ ロ フ ィル 含 量 と 日 補 償 点 に 関 す. る 実 験 に よ っ て 黄 色 葉 の 耐 陰 性 に ふ れ,次 発 芽 試 験,黄. い で 葉 内 無 機 養 分 の 定 量 実 験,黄. 色球果種子の. 色 枝 葉 の 挿 木 発 根 性 試 験 に よ っ て 黄 色 性 の 生 態 的 意 義 を 明 ら か に し,更. 州 大 学 内 設 置 の フ ァ イ ト ト ロ ン(自. 動 環 境 制 御 実 験 室)に. お け る実 験 と,屋. よ っ て 黄 色 葉 の 発 現 に 関 す る 生 理 生 態 的 解 析 を こ こ ろ み た.ま. た,黄. に九. 外調 査 試 験 に. 色 葉 の 発 現 と遺 伝 に. 関 す る 若 干 の 実 験 な ら び に 調 査 を 行 な っ た. フ ァ イ ト ト ロ ン 各 ル ー ム の 環 境 条 件 は 表22に 1.黄. 示 す と お り で あ る.. 色葉 の 色 素 分 析. (1)ペ. ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー. 実 験 の 材 料 と方 法 ス ギ 葉 内 色 素 の ペ ー ペ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に よ る定 性 分 析 実 験 は,九 葉 研 究 室 で 行 な っ た.分. 析 の 方 法 は 種 々 考 え られ るが,ホ. 定 性 分 析 され たSIRoNvAL(1954)88)の 色 葉,赤. 色 葉,イ. ン ス ギ,ア. ラ カ ワ の 緑 色 葉,ホ. の 抽 出 液 を 試 験 管 に 移 し て,エ. ウ レ ン ソ ウの 葉 内色 素 を克 明 に. 方 法 を 採 用 し た.材. 葉 は 生 ま の ま ま 乳 鉢 で す りつ ぶ し,素. 料 に は ニ ン ジ ン バ の 緑 色 葉,黄. ウ レ ン ソ ウ を 用 い た.. 早 く85%ア. セ ト ン を 添 加 し て 色 素 を 抽 出 す る.こ. チ ル エ ー テ ル 約2ccを. の 内 壁 面 に 沿 っ て 静 か に 滴 下 す る.色. 静 か に 添 加 し,更. か る 色 素 の エ ー テ ル 懸 濁 液 を 脱 水 芒 硝(Na2SO4)で. に,こ. の 試 料 を ガ ラ ス 細 管 で 濾 紙 上 の 原 点 に 適 当 量 滴 下 す る.濾. (巾2cm,長. さ40cm)を. 素 は,各. 用 い,特 室,約2時. に蒸溜水を試験管. 素 は エ ー テ ル 層 へ 移 動 す る が,完. に,か. の 展 開 液 で,2〜40C,暗. 級 ベ ン ゼ ン,石 間,上. 州大学理学部千. 全 に 移 動 した 後. 完 全 に 脱 水 し試 料 と す る.次 紙 に は 東 洋 濾 紙No.50. 油 工・ 一 一 ・ 一テ ル,ア. セ ト ン ー10:2,5:2. 昇 法 を 用 い て 展 開 す る.濾. 紙 上 に 分 離 され た 色. 々 肉 眼 な ら び に 紫 外 線 照 射 に よ る螢 光 の 有 無 お よ び そ の 色 調 な ど に よ っ て 所 在 を. 確 認 さ れ,Rf価 実. 験. が 測 定 さ れ て 同 定 さ れ る. の 結. 果. 同 一 材 料 に つ い て 数 回,繰 こ れ よ り,ニ. ヵ ロチ ノ イ ド(カ と が 知 れ た.ま. り返 し 実 験 を 行 な っ た が そ の 結 果 は 図5に. ン ジ ン バ の 葉 肉 内 色 素 成 分 は,ク ロ チ ン 系),カ. た,こ. ロチ ノ イ ド(キ. れ 等 は,葉. ニ ン ジ ン バ の 赤 色 葉 で は,キ. ロ ロ フ ィル α,わ,フ サ ン ト フ ィル 系),等. 示 す と お り で あ る. ェ ォ ヒ チ ン α,δ, が 主 な もので あ るこ. 色 や 品 種 の 別 を 問 わ ず 存 在 す る こ と もわ か っ た. サ ン ト フ ィル 系 色 素 が 存 在 す る と こ ろ に ,肉. 色 素 が 認 め られ る ・ し た が っ て 冬 期 に お け る 針 葉 の 赤 変 現 象 と,こ. 眼 上 ピ ン クの. の ピ ン ク色 素 とは 密 接. な 関 係 が あ る よ うに 考 え ら れ る. (2)吸. 収 ス ペ ク トル. 吸 収 ス ペ ク トル に よ る 色 素 分 析 は,ペ 定 に 用 い ら れ る 実 験 方 法 の1つ ト溶 液 と,ア. で あ る.千. ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィー と と も に 一 般 の 色 素 同 葉(1960)6)は,ホ. セ ト ン抽 出 液 と を 比 較 し た が,か. ウ レ ンソ ウの純 ク ロ ロ プ ラス. か る 実 験 例 に な ら い,ス. ギ の 葉 内 色素 の ア. セ トン 抽 出 液 の 吸 収 ス ペ ク トル を 調 べ て ニ ン ジ ン バ 葉 色 別 な ら び に 品 種 別 に 比 較 し た. 実 験 の材 料 と方 法 材 料 に は,ニ. ン ジ ン バ の 黄 色 葉,緑. 変 葉 と冬 期 の 赤 変 葉)と,品 ア カ,カ. ラ ツ キ,チ. 色 葉,赤. 色 葉(フ. 種 間 比 較 の た め に,ホ. リ メ ン ドサ,ア. カ,エ. ダ ナ ガ,ト. ァ イ ト ト ロ ンC、ル ー ム に お け る 赤. ン ス ギ,ア. ヤ ス ギ,モ. トエ ス ギ,オ. ビ. サ ア カ の 各 々 緑 色 当 年 生 葉 を 用 い,.
(26) 図5ス. ギ と ホ ウ レ ン ソ ウの 葉 内色 素 に 関す る ペ ーパ ー ク ロ マ トグ ラム. 九大理学部 千葉研究室で実験を 行 な っ た,実 験 の 方 法 は 塚 原109) と 同 一 で あ り,各. 葉 内 色 素 の. ア セ トン 抽 出 液 を ベ ック マ ン (BECKMAN)の. 分光 光 度 計 に よ. っ て380mμ. か ら700mμ. に至 る. 波 長 範 囲 に お け る相 対 的 吸 光 係 数(Relativeabsorptioncoe伍 cient)を. 一. 測 定 し 吸 収 ス ペ ク トル. を 求 め た. 実験の結果 実 験 の 結 果 は 図6に りで あ る.ニ. 示 す とお. ン ジ ンバ の緑 色 葉. の ス ペ ク トル は410〜415mμ シ ョル ダ ー を,430mμ 1・ カ ロ チ ノ イ ド(キ サ ン トフ ィ ル 系),2.フ エ オ ヒチ ン a,3.フ エ オ ヒ チ ンb,4.ク ロ ロ フ ィ ルa,5.ク ロv ブ イ ルb,6,7.カ ロ チ ノ イ ド(カ フ ィ ラ イ ド,上 昇 法,展 開 液;ベ ル;ア セ ト ン(10:2,5:2) 図6ス. ロ チ ン 系),8.ク ロロ ン ゼ ン;石 油工一テ. を,450〜460mμ. に極 大値. に シ ョル ダ ー. を,540mμ,580mμ,620mμ. に. 波 形 の 山 を,660〜665mμ 大 値 を 持 っ て い る.か. ギ の 葉 肉 内 色 素 の 吸 収 ス ペ ク トル. に. ク トル 型 は,こ. に極 か るス ペ. こ で 扱 った ス ギ. の 他 の 材 料 に つ い て も 全 く同 一 で あ っ た. ニ ン ジ ン バ の 黄 色 葉 で は,緑 色 葉 に比 べ て や や長 波 長 側 に ず れ て い る が,吸. 収 ス ペ ク トル の. 根 本 的 な 差 異 が あ る よ うに み え な い. ム 方,ニ は,緑. ン ジ ンバ の 赤 色 葉. ・黄 い ず れ の ス ペ ク トル. と も 異 な り,と ら560mμ. くに,450mμ. か. の波長範囲 において明. 瞭 で あ る.こ. の 赤 色 葉 は,フ. ァ. イ ト トロ ンC1ル ー ム で 育 成 さ れ た も の で あ り,い. ま,緑. 色葉 の. 吸 光 係 数 値 を 赤 色 葉 の それ か ら 差 し 引 く と,残 1.ニ. 波 長(mμ) ン ジ ン バ の 緑 色 葉 お よ び,ア. カ,ア. ヤ ス ギ,エ. ダナ. ガ,オ ビ ア カ,カ ラ ツ キ,チ リ メ ン ドサ,ト サ ア カ, ホ ン ス ギ,モ トエ ス ギ の 緑 色 葉 2.ニ ン ジ ン バ の 赤 変 葉(フ ア イ ト トロ ン15℃ ル ー ム) 3,ニ. ン ジ ンバ の 黄 色 葉. は 図7(2)に. 差 ス ペ ク トル 型. 示 す と お りで あ る.. ま た,こ れ と,冬 期 の 赤 変 葉 内 色 素 成 分 の うち,ペ. ーパー上に単. 離 され る ピ ン ク色 素 の 吸 収 スペ.
(27) 図7ス. ギ の赤 変 葉 に含 まれ る赤 色色 素 の. ク トル(1)は,い. 吸 収 スペ ク トル. ず れ も490mμ. 極 大 値 を 有 し,450mμ. に. に僅 か な ふ. く らみ を 有 す る 同 一 吸 収 ス ペ ク ト ル 型 を 示 す こ とが わ か っ た. 考. 察. ニ ンジ ンバ の 黄 色 葉 内 色 素 組 成 は,一. 次 元 ペ ー パ ー ク ロ マ トグ ラ. フ ィ ー に よ っ て,ク α,わ,フ. ロ ロ フ ィル. ェ オ ヒ チ ンα,わ,カ. ロチ. ノ イ ド類 が 主 な も の で あ る こ と が 知 れ た.こ. の 色 素 組 成 は ニ ンジ ン. バ の 緑 色 葉 や ア ラ カ ワ,イ. ンス ギ. の 緑 色 葉 に つ い て も認 め られ た た め,ス. ギ全 体 に つ い て 共 通 の 成 分. で は な い か と考 え ら れ る. ま た,380mμ. か ら700mμ. まで. の 波 長 範 囲 に お け る葉 肉 内 色 素 の 吸 収 ス ペ ク トル に つ い て も 同 様 で あ る た め,ニ ラ ス ト色 素 類 は 定 性 的 に み て 緑 色 葉 と同 一・ で あ る と考 え ら れ る.400mμ は,種. 々 の カ ロ チ ノ イ ド類 色 素 が 吸 収 さ れ る と い わ れ て い る た め,更. 研 究 が,こ. ンジ ンバ の ク ロ ロ ブ 以 下 の波 長 範 囲 に に 詳 細 に わ た る実 験. れ か ら の 課 題 と し て 提 起 で き よ う.. 冬 期 に お け る赤 変 葉 に あ ら た に 増 大 さ れ る ピ ン ク 色 素 は,ペ. ー パ ー ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー. に よ っ て 一 応 キ サ ン ト フ ィル 系 の 色 素 と同 定 さ れ る が,こ. の 色 素 を 単 離 して 得 られ た 吸 収. ス ペ ク トル は,フ. お い て観 察 され た 赤 変 葉 の そ れ. ァ イ ト ト ロ ン のC・ ル ー ム(日. と 同 一 型 の 特 徴 を 示 し た ・ こ の こ と は,冬. 中15℃)に. 期 に お け る 針 葉 の 赤 変 現 象 と,温. が 密 接 な 関 係 を 有 す る こ と を 示 唆 し て い る ・ し た が っ て,冬 赤 変 は,490mμ. 度(15℃)と. 期 に おけ るニ ンジ ンバ の 針葉. に 吸 収 帯 を もつ キ サ ン ト フ ィル エ ス テ ル の 発 現 に よ っ て 達 成 さ れ る も の と. 考 え られ る. 千 葉(1954)93)も,冬. 期 赤 変 し た ス ギ の 葉 に は,490。430mμ. に 吸 収 帯 を 持 つ キ サ ン トフ. ィル エ ス テ ル を 含 む こ と を 認 め て い る. か か る 色 素 の 発 現 と温 度,そ. の 他 の 環 境 因 子 と の 関 係 を 更 に 詳 し く 実 験 研 究 し,樹. 品 種 間 の 差 異 を 知 る こ とが で き れ ば,そ. 種や. れ らの 成 長 休 止 期 や 成 長 開 始 期 を調 べ る こ とが で. き よ う. (3)ク. ロ ロ フ ィル の 定 量. 光 合 成 の 機 構 の 全 部 が 葉 緑 体 内 に あ る か ど うか と い う こ と は ま だ わ か っ て い な い2).C13 を 用 い たFRENKEL(1941)8)の と さ れ,ま. た,単. 実 験 に よ る と,そ. の 全 部 が 葉 緑 体 内に あ るので は な いだ ろ う. 位 葉 量 中 の ク ロ ロ フ ィル 含 量 と 光 合 成 速 度 と の 関 係 を 同 化 数 で 調 べ た. WILLsT?iL'i'rER等(1918)111)の. 研 究 に よ る と,そ. と を 明 らか に し た ・ し か し な が ら,高. の間に 必ず し も 直線的関係が成立 しないこ. 等 植 物 の 場 合,葉. 内 ク ロ ロ フ ィ ル 含 量 は,土. 地の条.
(28) 件 特 に 窒 素 分 の 多 少 に よ っ て 相 当 著 し く変 動 す る が,光. 合 成 の強 さ を決 定 す る植 物 体 の 内. 部 要 因 と し て き わ め て 重 要 で あ る4). 一 般に ,ク ロ ロ フ ィル の 含 量 は 光 強 度 の 函 数 と し て 知 ら れ,植. 物 の種 類 に よ って ち が う. も の で あ る こ と4),陰 葉 で は 陽 葉 よ り も 多 い こ と67)91),年 周 期 性 や 日 周 期 性 が 存 在 す る こ と41),ク ロ ロ フ ィル α(Cα)と. ク ロ ロ フ ィルb(Cb)の. 生 成 は 赤 色 光 下 で 促 進 さ れ る こ と41),な. ら び に,新. 比 は 一 定 で な い こ と41),ま た,そ. の. 規 に 生 成 さ れ る も の で は な く独 立 し て. 自 己 増 殖 す る も の で 母 細 胞 の 細 胞 質 か ら遺 伝 さ れ る も の で あ る こ と4}な どが 知 ら れ て い る. こ の 他,ク. ロ ロ フ ィル の 含 量 を 測 定 す る こ と に よ っ て 緑 色 植 物 の 生 理 生 態 的 特 性 の 研 究 を. 進 め て い る 報 告 は 多 い5)10)tl)13)16)2正)28)29)30XO)42)86)90)91)92)93)97)110) し た が っ て,ニ. ン ジ ン バ の 黄 色 葉 に 関 す る 生 理 生 態 的 研 究 を す す め る に あ た り,ク. フ ィ ル の 含 量 を 測 定 す る こ こ ろ み は き わ め て 重 要 で あ る と考 え ら れ,ま. ず,現. ロロ. 地林 分にお. い て 発 現 し た 黄 色 葉 に つ い て 実 験 を 開 始 し た. 実 験. の 方. 法. 実 験 の 方 法 に は 種 々 考 え ら れ る が28)29)70),こ こ で は 次 に 示 す と お りで あ る. ま ず,1定. 重 の 葉 を80〜85%の. 液 を 円 心 分 離 器(回. ア セ ト ン で 繰 り返 し 抽 出 す る.こ. 転 数2,000〜2,500/分)に. こ の 溶 液 の645mμ. と663mμ. か け て 完 全 に 爽 雑 物 を 除 き,一. に お け る 吸 光 度(1)645,1)663)を. 内 設 置 の 分 光 光 度 計 で 測 定 し,次 計 算 す る.稀. 釈 係 数 を 乗 ず れ ば,単. の ク ロ ロ フ ィル 抽 出. に 示 すMAcKINNEY(1941)42)の. 定 容 と す る.. 九 大 理 学 部 千 葉 研 究室 式 に 代 入 し てCα,Cbを. 位 試 料 重 当 り の ク ロ ロ フ ィル 量 をmg単. と が で き る.. 表23 ニ ン ジ ンバ の 黄 色 葉 と緑 色 葉 の クロ ロフ ィル含 量(mg/g,乾). 位 で求め るこ.
(29) 実 験1の. 材 料 と結 果. 福 岡 県 八 女 郡 星 野 村 大 字 柳 産 の ニ ン ジ ン バ15年 ロ ロ フ ィル を 定 量 し,こ 表23の 結 果 を 得 た.な. れ と 同 一 個 体,同. お,材. 生 を 母 樹 と し て 選 び,当. 一 部 位,同. 年生黄色葉 のク. 一 葉 年 の 緑 色 葉 と 比 較 し た と こ ろ,. 料 の 採 集 は196t年10月10日. で あ り,定. 量 実 験 は 同 月11日,. 12日 の 両 日 に 行 な っ た. これ よ り,ニ. ン ジ ン バ の 黄 色 葉 内 ク ロ ロ フ ィル 含 量 は,緑. く,Cα,Cb,cの. い ず れ に つ い て も約3割. お よ び 緑 色 葉 の い ず れ も ほ ぼ 等 し く,平 実 験2の. 色 葉 に比 べ て き わ め て少 な. 弱 程 度 で あ る こ と が 知 れ た.Ca/Cbは,黄. 均2.3〜2.4で. 色葉. あ っ た.. 材 料 と結 果. 福 岡 県 田 川 郡 添 田 町 大 字 落 合 字 長 谷 産 の 林 令25年. 生 の 母 樹 か ら 採 穂 し て1958年4月1日. に 挿 付 け た ニ ン ジ ン バ と ホ ン ス ギ の 挿 木 苗 か ら 各 々 当 年 生 葉 を 採 集 し,ニ. ン ジ ンバ の 黄 色. 葉 内 ク ロ ロ フ ィル 含 量 を 実 験 的 に 求 め,そ. れ の 緑 色 葉 な ら び に ホ ン ス ギ と 比 較 し た.定. 実 験 は1959年9月10日. 行 な った が,そ. と10月10日. の2回. の 結 果 は 表24に. 量. 示 す と お りで. あ る. こ れ よ り,ニ. ン ジ ン バ の 黄 色 葉 内 ク ロ ロ フ ィル 含 量 は,ニ. に 比 べ てCα,Cb,Cの ま た,以. ン ジ ン バ,ホ. ン ス ギ の緑 色 葉. い ず れ も き わ め て 少 な い こ と が わ か つ た.. 上 の 三 者 は,い ず れ も9月. と くに,ニ. ン ジ ン バ の 黄 色 葉 のCが,緑. で あ り,こ. の こ と は,9月. か ら10月 に な る と ク ロロ フ ィル の 含 量 を 増 し て い る. 色 葉 の そ れ に 比 べ て9月. の 黄 色 葉 よ り も10月. で は18%,10月. で は57%. の 黄 色 葉 が 緑 色 葉 に 近 い こ とを 示 す も の で. あ る. 表24 二 ン ジ ンバ と ホ ンス ギ の 当 年生 葉 内 クロロ フ ィ ル含 量(㎎/g,乾). 実 験3の 実 験2と 含 量 を1年. 材 料 と結 果. 同 一 材 料 の ニ ン ジ ン バ と ホ ン ス ギ 挿 木 苗 に お け る 緑 色2年 間 に わ た っ て 測 定 し 表25の. こ れ よ り,7月. 中 旬 〜9月. 結 果 を 得 た.. 上 旬 の い わ ゆ る 真 夏 を 除 け ば,ニ. 量 は ホ ン ス ギ に 比 べ て 明 瞭 に 低 い こ とが わ か っ た.ま 変 化 が あ る よ うで,こ. 生 葉 内 ク ロ ロ フ ィル. た,ク. ン ジ ン バ の ク ロ ロ フ ィル 含 ロ ロ フ ィル の 含 量 に は 季 節 的. こ で 扱 っ た 材 料 で は 晩 秋 あ る い は 初 冬 に 年 間 の 極 大 値 を と る よ うで. あ る. 考. 察. ニ ン ジ ン バ の 黄 色 葉 は,緑. 色 葉 に 比 べ て ク ロ ロフ ィル 濃 度 が 低 い た め. ク ロ ロ シ ス と考 え られ る(表23,24).表24に ロ ロ シ ス 葉 は,葉. ,一. お い て 認 め られ た ご と く,ニ. 内 ク ロ ロ フ ィ ル 構 成 の 量 的 関 係 に お い て,秋. 応,い. わゆ る. ン ジ ンバ の ク. 深 ま りゆ く に つ れ て 緑 色 葉.
(30) 表25 ニ ン ジ ン バ と ホ ン ス ギ の2年. に 近 づ く特 性 が 認 め ら れ た.こ た が っ て,ニ. 生 葉 内 ク ロ ロ フ ィ ル 含 量109). の こ とは 野 外 に お け る 葉 色 の 観 察 と同 一 の 現 象 で あ る.し. ン ジ ン バ に お い て 発 現 す る ク ロ ロ シ ス の1特. 性 と して 葉 色 の復 元 性 を挙 げ る. こ と が で き よ う. 葉 内 クロ ロ フ ィル 濃 度 は,品 動 す る も の で あ っ て,特 緑 色 葉 が,ニ. 種 に よ っ て 差 異 が あ り,ま. た,そ. の 差 異 は 季 節 に よ って 変. に 夏 期 に 差 異 が 小 さ い こ と が わ か った.こ. の こ と は,ホ. ンス ギ の. ン ジ ン バ の 緑 色 葉 よ り も ク ロ ロ フ ィ ル 濃 度 が 高 い こ とを 明 らか に し た 実 験 か. ら推 論 で き る. 一般 に. ,陰. 葉 は 耐 陰 性 が 強 く,陽. 葉 は 耐 陰 性 が 弱 い と さ れ3)56)67)68)82)91)92)93》94),し か も陰. 葉 で は 陽 葉 よ り も ク ロ ロ フ ィル 濃 度 が 高 いkさ. れ て い る た め11)13}56》91)92)93)94),ニ ンジ ンバ の. 黄 色 葉 は 緑 色 葉 よ り も耐 陰 性 が 弱 い と 予 想 さ れ る. 2.黄. 色葉 の陰陽性. 林 木 の 陰 陽 性 は 育 種 推 進 の 基 礎 と し て 見 逃 す こ と の で き な い 問 題 で あ る と同 時 に 施 業, 撫 育 法 へ の 応 用 等 林 業 上 き わ め て 重 要 で あ る.樹. 木 の 陰 陽 性 を 判 定 す る 方 法 は 種 々 あ るが. 主 と し て 次 に 示 す 形 態 ・生 理 ・生 態 的 特 性 に よ る 場 合 が 多 い. A.形. 態 的 特 徴 に よ る もの. a.外. 部形態的特徴. b.内. 部形態的特徴. B.葉. 内 含 有 物 質 の特 徴 に よ る もの. a.ク. ロ ロ フ ィル. b.全. 窒. 素. c.そ. の. 他. C.同. 化 組 織 の 補 償 点 に よ る もの. a.補 b.日 c。 そ. 償. 点. 補 償 点 の. 他. ニ ン ジ ン バ の 黄 色 葉 に 関 す る 生 理 的 特 性 の う ち 特 に ク ロ ロ フ ィル 含 量 が 少 な い こ と は す で に 明 ら か に し た.こ. こ で は,ま. ず ニ ン ジ ン バ の 日 補 償 点 を 求 め(実. 験1),次. い で,同.
(31) 一 材 料 に つ い て 日補 償 点 ,ク. ロ ロフ ィル 含 量,全. 窒 素 含 量 を 求 め て,ニ. ン ジ ンバ の陰 陽 性. を他 の ス ギ挿 木 品 種 と比 較 した(実 験2). 実 験1の. 材 料 と方 法. 1961年10月,八. 女 郡 矢部 村 産 ニ ンジ ンバ10年 生 母 樹 の 同 一 クP一 ネ 位 置 か ら黄 色 葉 と. 緑 色 葉 を採 集 し,フ ラス コ封 入 材 料 と して 約3gの を 高 さ約5cmの. 当年 生 小 枝 葉 を30本 ず つ 捲 えた.こ れ. 平底 試 験 管 に1本 宛 脱 脂 綿 で切 り口 を お お って 生 け,同. 9時500cc容3角. フ ラス コを 倒 立 して 封 入 し,フ. 年IO月20日 午 後. ァイ ト トロ ンB3ル ー ムの 台 上 に 設 置 し. て 消 燈 した.台 上 に は あ らか じめ 光 強 度 の階 級 を設 け るた め に 種 々の ビ ニー ル 膜 を 用 意 し,翌21日. 午 前9時 点 燈 して 各 材 料 ご との 光 強 度 の ちが い に よ る 日補 償 時 間 を 測 定 した.. 補 償 時 間 は,あ 4ccに. らか じめ 材 料 と共 に3角. フ ラ ス コ 内に 封 入 され たN/loo重. 炭 酸 ソー ダ約. ク レ ゾ ール レ ッ ドを 添 加 した 赤 色 の 指 示 溶 液 で 測 定 され る.す な わ ち,前 夜 材 料. が放 出 し た 炭酸 ガ ス を 吸 って この 指 示 溶 液 は黄 色 を帯 び るが,点. 燈 後 材 料 か ら放 出 され る. 酸 素 に よ って 元 の 赤 色 液 に も ど る.こ の 時 刻 を 測 定 し,そ れ まで に 要 した 時 間 を 日補 償 時 間 ま た は 日補 償 点 と した. 消 燈 後 に お け る フ ラス コ内 の 温 度 は いず れ も17℃ で あ り,点 燈 後 は22〜24℃ また,フ. で あ る.. ァイ ト トロ ンB3室 内台 上 の各 光 強 度 は 次 の とお りで あ る. C無 W1白 W2白. 被. 覆3,260(Lux). ビ. ニ. ー. ル1枚2,800(〃). ビ. ニ. ー. ル2枚2,420(〃). G1グ. レ イ ビ ニ ー ル1枚1,900(〃). G2グ. レ イ ビ ニ ー ル2枚1,100(〃). G3グ. レ イ ビ ニ ー ル3枚550(〃). 実 験1の 結 果 と考 察 各 供 試 材 料 の 日補 償 点 は 表26の. とお りで あ る.こ こで ×印 は25時 間 以 上 を 示 す. 表26. 二 ン ジ ンバ の黄 色 葉 と緑 色 葉 の 日補 償 点(時 間). 表26よ. りニ ン ジ ンバ の 日補 償 点 は,黄. 緑 各 葉 に共 通 し て 光 強 度 の 高 い 場 合 ほ ど小 さ く.
(32) 逆 に 光 強 度 が減 少 す るに つ れ て 大 き くな る傾 向 が み とめ られ る.ま た,最 短 日補 償 点 に よ って ニ ン ジ ンバ の黄 色 葉 と緑 色 葉 を 比 較 した 場 合,各. 光 強 度 区 に 例 外 な く黄 色 葉 の補 償 時. 間 は 緑 色 葉 よ り長 い こ とを 認 め た.一 般 に ス ギ の現 地 林 分 に お け る ク ロー ネ 表 層 部 で は, 数 万 ル ック ス或 は10万 ル ック ス以 上 に達 す る光 強 度 条 件 下 に あ り,こ の 実 験 に お け る程 度 の 光 強 度 で は いず れ も暗 い 状 態 とい え る.か. か る暗 い 状 態 で 日補 償 時 間 が 短 い とい うこ と. は 耐 陰 性 が強 い こ とを 意 味 す る も の と考 え られ る.し た が って ニ ン ジ ンバ の 黄 色 葉 は緑 色 葉 よ り比 較 的 耐 陰 性 が弱 い こ とに な り,そ の結 果,葉. 内 ク ロ ロフ ィル 含 量 と耐 陰 性 との 間. に何 等 か の 関 連 性 が あ る もの と推 定 され る. か か る推 論 が ス ギの 挿 木 品 種 を材 料 と した 場 合 どの 程 度 信 頼 で き る もの で あ ろ うか.こ の 問 題 を 次 の 実 験 で 検 討 し た い. 実 験2の 材 料 と方 法 福 岡 県 粕 屋 郡 九 大 附 属 粕 屋 演 習林 内 ス ギ 挿 木 品 種 見 本 林 か ら13品 種,八 女 郡 黒 木 町 福 岡 県林 業 試 験 場 内 ス ギ挿 木 品 種 見 本 林 か ら9品 種 を 供 試 母 樹 とし て選 び,1962年9月13日 験1と. 実. 同 じ方 法 で 材 料 を 採 集 した.実 験 の方 法 は 前 と同 様 で あ る.な お フ ァイ ト トロ ンB3. ル ー ム 内 の温 度 は 点 燈 時25℃,消 燈 は午 後8時. 燈 時20℃,で. あ る.ま た,点. で あ るた め,昼 の 時 間 は14時 間,夜. 燈 は 午 前6時. は10時 間 とな る.. 表27 スギ 挿 木 品 種 の 日補 償 点,ク. 二 ン ジ ン バ(黄) 〃(緑) ア. カ. バ. ア. オ. ス. ア. ラ. カ. ワ. ア. ヤ. ス. ギ. ウ. ラ. ク. モ. セ. ギ. バ. ル. ト オ. シ. ク. ロ. シ. チ. ゾ. ウ. タ. ノ. ア. カ. ハ. ン. グ. ヒ. ノ. デ. ス. ロ ギ. イ. ン. ス. ギ. ア. ヤ. ス. ギ. ア. ラ. カ. ワ. イ. ン. ス. ギ. ウ. ラ. キ ク. セ. バ. ジ モ. ル ン. ト オ. シ. タ. ノ. ア. カ. ホ. ン. ス. ギ. メ. ア. サ. ロ ロフ ィル,全 窒素 量. で あ り,消.
(33) 光 強 度2,200Luxと5,500Luxに. お い て 繰 り返 し 測 定 し た 材 料 の 平 均 日 補 償 点 を 求 め,. 同 一 材 料 の ク ロ ロ フ ィル な ら び に 全 窒 素 を 引 続 き 定 量 し た が,そ お りで あ る.な. の 結 果 は 表27に. お 全 窒 素 の 定 量 分 析 に は ケ ル ダ ー ル 法99)を 採 用 し た.ク. 示す と. ロ ロ フ ィル の 測 定. 法 な ら び に 日 補 償 点 の 求 め 方 は これ ま で の 方 法 と 同 一 で あ る.. 実 験2の 表27に. 結 果 と考 察. 示 し た 実 験 の 結 果 に 基 い て,日. ク ロ ロ フ ィ ル α/b,お. 補 償 点 と ク ロPフ. ィル α,b,全. よ び 全 窒 素 と の 関 係 を 示 せ ば 図8‑1・2・3・4の. 図8ス. 図9黄. ギ の葉 肉 内諸 養 分 含 量 と 日補償 点 と の 関係. 色 葉 の 発 現 に達 す る33℃ 持 続 積 算 時 間 と 33℃ に上 昇 す る以 前 の温 度 との 関係. ク ロ ロ フ ィル,. とお りで あ る ・.
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Maria Cecilia Zanardi, São Paulo State University (UNESP), Guaratinguetá, 12516-410 São Paulo,