• 検索結果がありません。

政府・非営利組織間の協働関係 : その理論的考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "政府・非営利組織間の協働関係 : その理論的考察"

Copied!
71
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

政府・非営利組織間の協働関係 : その理論的考察

坂井, 宏介

九州大学大学院法学府

https://doi.org/10.15017/10989

出版情報:九大法学. 91, pp.45-114, 2005-09-30. 九大法学会 バージョン:

権利関係:

(2)

●   O

O

45

政府・非営利組織間の協働関係

序論 1 公共サービス供給体制の変容と協働の台頭 2 問題及び分析視角の設定第一章 分析枠組の設定 1 分析概念の検討  ・分析概念としての﹁協働﹂  ・分析概念としての﹁民間非営利組織﹂  ・非営利組織の機能と政府活動 2 先行研究の検討第二章 民間非営利組織研究の変遷 1 経済学的非営利組織研究  ・存在論  ・検討 oo

その理論的考察

坂  井  宏 介

 2 レスター・サラモンの協働論

  ・﹁第三者政府﹂論

  ・﹁ボランタリーの失敗﹂論

 3 批判的考察

第三章 検討対象たる理論仮説

 1 資源交換論 組織論的アプローチ

 2 費用対効果論 計量的アプローチ

 3 社会政策選好論 公共政策アプローチ

結論 − 要旨

 2 更なる課題

(3)

46

房 勃

序 論 1 公共サービス供給体制の変容と協働の台頭 本稿は︑政府と非営利組織の協働関係を考察するものである︒両者の協働関係を政府の側に視点を置き︑理論化仮説化を試みる︒そこでは︑主として︑社会福祉分野のサービス供給を念頭に置き︑議論を展開する︒

 一九九五年一月の阪神淡路大震災を機に︑ボランティアとこれを支える非営利組織が脚光を浴び︑一九九八年三

月には特定非営利活動促進法︵NPO法︶が制定された︒そして︑二〇〇三年現在︑非営利組織と協働事業を開始      ユ している自治体は︑都道府県で九八%︑政令指定都市で一〇〇%にのぼる︒また︑膨大な財政赤字の解消や公共サー

ビスの質の向上及びコスト削減を目的として︑二〇〇一年一〇月には経済産業省経済産業研究所に﹃日本版PPP

研究会﹄が設置された︒この﹃日本版PPP研究会﹄が︑二〇〇二年五月に提出した﹁中間とりまとめ﹂では︑官       民のパートナーシップ︵協働︶による公共サービスの提供と︑その具体的手法が議論されている︒そして︑そこで

は︑行政や営利企業や非営利組織が︑対等な立場に立ち﹁新しい公益﹂を実現することが提唱されている︒      ヨ  また︑政府と非営利組織の関係は政策実務のみならず︑学術研究においても多大な関心が寄せられている︒もっ

とも︑協働関係は︑公共政策の重要課題として一九九〇年代後半より急速に浮上してきたものである︒従って︑現

時点では︑協働が将来的に確立されることを想定しつつ︑その論点と課題を規範的に論じる段階にあり︑理論的・      科学的な研究は少ない︒この様なわが国の協働をめぐる現状を踏まえた場合︑協働関係の理論と実践において既に

数十年の経験蓄積のある英米の理論から︑学ぶことも一方策と思われる︒

(4)

朗 瀦 螺 融 曜 浸 麟 關 駒

47  ところで︑わが国における特定非営利法人の活動規模・分野︵二〇〇四年現在︶を概観すると︑最も多いのは︑保健・医療・福祉分野で全体の三〇.六%を占めており︑それに次ぐまちづくり推進の一二.二%を大きく引き離し   ら ている︒そして︑この様な政治的背景としては︑九〇年代後半の社会福祉基礎構造改革に象徴される福祉の多元化・市場化を意図した抜本的な改革の展開が挙げられる︒ 従来︑わが国の社会福祉サービスでは︑社会福祉法人制度︑社会福祉施設認可制度︑措置委託制度の三重の障壁       により︑営利・非営利の両組織のサービス参入が阻止されてきた︒しかし︑一九九七年の児童福祉法改正及び介護保険法の成立︑及び社会福祉基礎構造改革による二〇〇〇年六月の社会福祉事業法他関連法の改正により︑戦後か       ヱらの措置制度の枠組は残りつつも︑疑似市場による利用者とサービス提供壁間の契約方式が導入運用されはじめた︒例えば︑二〇〇〇年より開始された介護保険制度では︑指定事業者として認定されれば︑営利企業や非営利組織も在宅福祉サービスに参入可能となり︑保育分野でも︑二〇〇二年三月三〇日厚生労働省︵児発二九五号児童家庭局︶通達﹁保育所の設置認可について﹂により︑一定の基準による認可の下︑営利企業︑非営利組織など﹁社会福祉法       人以外の者﹂でも︑保育所運営に参入可能となっている︒とりわけ︑介護保険導入後の訪問介護の指定事業者では︑社会福祉法人は三三%であるのに対して︑営利法人は四四.八%︵二〇〇三年一〇月現在︶の割合を占めるまでになつす た︒また︑英米では︑入○年代新自由主義の流れの下で︑この様な福祉の多元化・市場化を巡る先駆的な改革が行われ︑この改革を巡る理論的考察も今日まで積極的に行われてきた︒とりわけ︑委託サービス購入契約と競争入札︑バウチャーなどの導入に見られる英米の福祉の多元化・市場化の取り組みは︑わが国の様々な社会福祉政策において︑大きな影響を与えつつある︒

(5)

4805

碍 勃

 2 問題及び分析視角の設定 もっとも︑多くの論者が認識するように︑協働関係は行政・営利企業・非営利組織の三者相互間において︑必ずしも予定調和的に形成されるものではない︒そこには︑非営利組織との協働を重視する手法から︑市場化に基づき      あ 営利企業の参入を促進する手法まで︑時代や国や各政策分野ごとに異なるスタイルを見いだすことが可能である︒ そこで︑本稿では︑社会福祉サービス供給過程を念頭に置きつつ︑﹁政府は︑どの様な環境条件の下で営利企業ではなく非営利組織と協働関係を結ぶのか﹂︑理論的に考察する︒今後展開されるであろう実証研究の礎とするべ

く︑英米の研究動向を整理概観し︑理論化仮説化を試みる︒

 まず︑第一章では︑中心となる分析概念や先行研究を整理検討することで︑本稿の分析枠組を設定する︒第二章

では︑英米の非営利組織研究の動向を概観し︑﹁協働﹂の存在に関して︑何をどの様に論じているか検討し︑問題

点を抽出する︒第三章では︑政府・非営利組織問の協働関係を説明する際に有効と思われる理論仮説を提示し検討

する︒この様な一連の過程を経たうえで︑最後に今後の課題を提示したい︒

︵1︶ なお︑本調査の回収率は︑都道府県四七︵n四七︶︑政令指定都市一二︵n11一二︶であり︑その他︑人口三〇人以上の

 市区︵n11六一︶で八四%︑その他の市町村︵n11五一九︶で六九%がNPO団体との協働事業に着手しているとの結果を示

 している︒総務省自治行政局地域振興課監修︑財団法人地域活性化センター編﹃NPOと行政とのパートナーシップ促進ガイ

 ドブック﹄︵財団法人地域活性化センター︑二〇〇三年︶一〇ニー一二八頁︒

︵2︶ 経済産業省経済産業研究所編﹃日本版PPPの実現に向けて市場メカニズムを活用した経済再生を目指して︵中間とり

 まとめ︶﹄︵げ暮空\\≦≦≦.目Φ銃σqρむ\吋︒げ○ω遂\嘆①ωω\OOO卜︒録b︒\一\Ob︒O詔b︒げ︒昌d巴・b亀最終アクセスニ○〇五年九月二日︶︒また︑ 行政学者の伊藤正次は︑先の﹁中間とりまとめ﹂で示された社会像と類似の内容を︑企業経営型ガバナンスと命名し﹁自治体

(6)

●   ●

49   職員による政策形成・サービス供給能力の独占を打破し︑各政策事業部が独立行政法人や委託先企業・NPOなどとネットワー  クを構成しつつ地域公共サービスを提供する﹂形態とする︒伊藤は今後の自治体改革の方向性として︑議会主導型︑直接参加  型︑近隣自治型︑企業経営型の四つのガバナンス類型を構想提示する︵参照︑伊藤正次﹁自治体・地域におけるガバナンス改  革の構想と設計﹂年報自治体学一七号︵二〇〇四年︶四五頁︶︒

︵3︶ 例えば︑日本行政学会では︑一九九九年度研究会分科会B﹁NPOと行政の展開﹂︑二〇〇三年度研究会共通論題H

  ﹁NPOとローカル・ガバナンス﹂というテーマで二回の研究会が開催されている︒

︵4︶ 同様の認識を行政法学の観点から示したものとして参照︒

   山本隆司﹁民間の営利・非営利組織との協働﹂芝池義一・小早川光郎・宇賀克也編﹃ジェリスト増刊 行政法の争点﹄︵有

  斐閣︑第三版︑二〇〇四年︶一五四頁︒

︵5︶ 参照︑独立行政法人経済産業研究所計量分析・データ室編﹃二〇〇四年NPO法人アンケート調査結果報告﹄

   ︵ゲ詳空\\≦を≦比Φ江・αqo・︺b\甘\肩︒冨︒訂\唇︒\b︒OOミωlG︒も亀最終アクセスニ○〇五年九月二日︶︒

︵6︶ 参照︑星野信也﹁米英のプライベタイゼーション福祉国家の中流階層化﹂季刊社会保障研究二四巻三号︵一九八八年冬

  季︶二八三i二八四頁︒

︵7︶ 疑似市場原理に関して参照︒駒村庸平﹃福祉の総合政策﹄︵創成社︑二〇〇一年︶三;ニー三三一頁︒

︵8︶ 公的介護保険制度︑児童福祉︑社会福祉基礎構造改革に関して参照︒

   伊藤周平﹃介護保険と社会福祉﹄︵ミネルヴァ書房︑二〇〇〇年︶二〇八−三三頁︑駒村・前掲注︵7︶二八四一三二三頁︒

  増田雅暢﹁福祉サービスと供給主体﹂日本社会保障法学会編﹃講座社会保障法③ 社会福祉サービス法﹄︵法律文化社︑

  二〇〇一年︶一〇四−一二九頁︒

︵9︶ 他方︑特定非営利法人として介護保険制度の下で指定事業者となっている団体の割合は四.七%にぎない︒これに関して︑

  法人格取得をしないまま︑介護保険の枠外で社会福祉サービスに従事している団体が多い︑との指摘もある︵参照︑石田徹

  ﹁福祉社会と非営利セクター国際比較の中の日本﹂白石克孝編﹃分権社会の到来と新フレームワーク﹄︵日本評論社︑二〇〇四

  年︶一一二頁︶︒

   参照︑厚生労働省大臣官房統計情報部﹃平成一五年介護サービス施設・事業所調査結果の概況﹄︵二〇〇四年︶︒

   ︵暮6餉\\≦≦≦.士庶≦層σqO・Ub\80閃Φくωp貯巨\げ≦\訂一σqo\ωΦ﹃謡80︒︒\ぽα①×.げけき︸最終アクセスニ○〇五年九月二日︶︒

(7)

5005

91

︵10︶ 例えば︑アメリカでは︑一九八○年頃の時点で︑営利企業が担うデイケアサービス︐︵量図︒輿Φ︶は︑市場において五七%  の活動規模を誇り︑非営利組織の四三%を上回っていた︒また︑八○年の時点で︑営利企業が管理運営するナーシングホーム は市場において約手○の活動規模を誇っていた︒すなわち︑アメリカでは七〇年代にかけて︑ナーシングホーム︵夢Φβ霞︒︒− ヨσqげ︒白Φ︶やデイケアサービス︵9塁︒霞Φ︶の分野では︑営利企業が︑長い間︑社会福祉サービス供給において重要な地位 を占めていた︒いΦ簿霞ζ●ω巴9白oP冗員臼Φ村ωぎb二尊︒ω興£8σqo︿Φ彗日Φ暮出︒昌嘆oh写①≦δけδ5ωぎ爵①ヨ︒留目≦①需曽村Φ ω§Φ︵ゆ聾巨︒﹃ρζα●q・巨ω鵠︒寓冨⊂旨く①邑け団甲Φωpお⑩αン署・︒・︒︒︒る・︒♪・︒心O・

第一章 分析枠組の設定

 1 分析概念の検討

  ・分析概念としての﹁協働﹂      ユ 本章では︑まず﹁協働﹂の概念定義を行う︒もっとも﹁協働﹂に関しては︑多様な見解があり確立された定義は

存在しない︒また﹁協働﹂と類似の概念として︑﹁参加﹂や﹁パートナーシップ﹂概念も︑自治体の政策現場を賑わ

せている︒そこで本章では︑﹁参加﹂や﹁パートナーシップ﹂という類似の概念と比較しつつ﹁協働﹂を定義する︒

ω わが国における﹁協働﹂概念

 政治学・行政学において協働論は︑一九七〇年代頃から︑地方自治研究の文脈で議論されている︒その代表的論       ヨ者として足立忠夫︑寄本勝美︑田村明︑大森彌︑荒木昭次郎等が挙げられる︒そして︑これらの論者の議論には︑

(8)

矧 桝 糠 納 曜 浸 蘇 關 酌

51 ﹁市民が自治体と協働活動を行うことで︑身近な政府の民主化を実現し︑市民自らもたんなる受益者から自律的市民へと変貌するべき﹂との極めて規範的な含意が備わっている︒ この中で︑協働論を最も本格的に検討したのが自治行政学者の荒木昭次郎である︒荒木昭次郎は﹃参加と協働新しい市民H行政関係の創造﹄︵ぎょうせい︑一九九〇年︶において︑自治体の行政現象を分析し︑その固有条件な      お いし特質に基づく理論の体系化を試みている︒荒木は︑自治体行政は市民に密着した行政活動であることから︑市       ど民の関与と参加と協力を基礎とし固有の条件としている点で国の行政とは異なるとする︒ 荒木は︑農村型社会から都市型社会へと移行するにつれて︑自治体政府の機能が膨張化し︑結果︑市民的自由に二つの問題点をもたらすことを指摘する︒第一は︑民主主義論の観点からもので︑政府機能が膨張することで︑そ       め の権力行使が拡大して︑市民生活に過度に介入し︑市民的自由を狭めていくことである︒第二は︑政府サービスの生産性効果に関してであり︑仮に︑公的サービスの生産を自治体政府だけに依存するならば︑効果もあがらず︑経       め 費もかかり︑結果︑市民に犠牲と負担を強いるため︑市民的自由を拘束していくとする︒そこで︑地域住民が自治体政府の施策過程に影響力を行使することを通して︑住民意思と自治体意思との乖離を防ぎ︑自治行政の民主化を     ぜ図ることと︑市民が行政と協力生産することで市民のこiズに合致し︑低コスト高生産の行政サービスを確保する  まことを喚起し︑自らの見解をコプロダクション︵協働︶として定式化する︒ 荒木の議論は︑彼も指摘するとおり︑アメリカの行政学者ヴィンセント・オストローム︵<一︼PO①﹈Pけ ︵︶ωけ憎ObP︶の       ﹁コプロダクション︵Oo嘆09註8︶﹂論に強い示唆を受けている︒Oo嘆090菖○⇒とは︑09と嘆︒含︒江8を結合         させたものである︒09は共同・協力・協働・協調等を意味し︑℃憎︒山流証○ロとは︑用語法上︑ある価値を有する      ヨ 財やサービスをもたらすための活動︑ないしその成果・結果として使われている︒そこで︑荒木は︑このオストロー

(9)

52

房 勃

ムのO︒嘆︒α藤江︒昌概念を参照しつつ︑協働を﹁地域住民と自治体職員とが︑心を合わせ︑力を合わせ︑助け合って︑公共的性質を持つ財やサービスを生産し︑供給していく﹂と定義する︒そして︑ここには︑住民・市民による政策執行過程の民主的統制という規範的政治学的な含意が表れているのである︒ 荒木のこの概念定義は︑今日でも︑多くの論者に参照されている一方︑協働論に対しては︑これまでの国・自治体による行政主導の文化が続く限り︑﹁協働﹂が﹁支援﹂へと転化し︑NPOなどの非営利組織や市民活動が行政      の の外郭団体へと変化するとの懐疑的な見解もある︒

 そこで︑今日では︑理論的にも政策実務でも︑﹁市民または団体と行政が︑共通する地域社会の問題解決に向け      お て︑相互に存在意義を認めながら︑対等の立場でお互いに知恵や労力を出し合いながら協力し合うこと﹂と定義す     ま る傾向にある︒すなわち︑①対等の関係性への立脚︑②相互認識・尊重への配慮︑③共通目標に向けての﹁協力・       ゐ 協調﹂活動の三点が強調される特徴がある︒

 また︑行政法学者の中には︑﹁協働﹂と﹁参加・参画﹂の違いとして︑両者に含まれる現象は重複するものの︑       め 前者は後者と異なり主副・主従の関係性を想定していないと指摘する者がある︒彼等によると︑両者は厳密な定義

があるわけではなく︑その相違は関与の理解の仕方と捉えるべきであり︑量的質的な差異と理解すべきでない︑と

  をする︒更に︑協働が論じられる分野として︑環境と社会福祉分野があるものの︑前者は企業がその相手方として想       定されるのに対して︑後者では市民若しくは団体が想定される場合が多いと指摘する︒

 他方︑社会学者の中には︑﹁協働﹂と﹁パートナーシップ﹂を協力・協働作業の﹁断絶性﹂﹁連続性﹂という時間

的な視野から区分する者がいる︒ここでは︑﹁コラボレーション︵OO一一PぴO腎Pけ一〇昌︶﹂すなわち﹁協働﹂を﹁領域横断

的で︑対等で限定的な協働作業﹂とあくまで規範的な概念として用い︑﹁パートナーシップ﹂を﹁持続的一体的な

(10)

鋪 麟 擦 葡 曜 浸 麟 關 駒

53       あ 協力関係﹂として捉えている︒ 最後に︑これまで概観した協働を︑①パートナーシップ︵b霞臼零のぼb︶としての協働︑②コラボレーション︵87δび自9︒けδ口︶としての協働︑③コプロダクション︵︒o嘆09︒菖8︶としての協働︑の三つの下位類型に分類したのが︑       お 行政学者の江藤俊昭である︒江藤の類型化概念化では︑前二者︵パートナーシップ︑コラボレーション︶については先の社会学者の議論に依拠しつつ︑﹁連続性﹂﹁限定性﹂で区分する︒その上で︑前二者は主体間の関係性に着目した概念であるのに対して︑後者︵コプロダクション︶は︑更に協働の成果にまで踏み込んだ概念として類型化している︒ しかし︑この江藤の類型を現実の協働現象を分析する際に用いた場合︑判別不可能で曖昧な現象が多く︑分析概念としての有効性に疑問が残る︒また︑社会学者の概念定義も環境運動という協働が相対的に困難な分野に限定し      ノて論じており︑本稿が想定する社会福祉分野には必ずしも適合的とは思われない︒また︑現在までのわが国の﹁協働﹂論は︑政府・非営利組織間のみならず︑政府と非営利組織︑市民活動︑市民など主体を広く想定している︒ そこで︑次に﹁政府と非営利組織間の協働﹂に限定して︑英米における﹁協働﹂概念の定義を整理検討する︒② 英米における﹁協働﹂概念 ここでは︑英米の政府と非営利組織の関係性に論じた代表的な見解を概観し︑両者の関係性において﹁協働﹂がどの様に概念定義されているか考察する︒ まず︑アメリカの研究として︑国際環境政策研究者のアディル・ナジャム︵レα一一乞餌﹄PbP︶は︑政策過程をめぐ      ヨ る政府と非政府組織︵NGO︶の関係性を整理概観する︒ナジャムは︑両者の関係を︑︿目的と手段﹀及び︿類似性と異質性﹀の二つの軸を用いて︑四つに類型化する︵図一参照︶︒その類型とは︑協働︵O︒︒bΦ轟けδ昌︶︑補完

(11)

54

碍 勃

︵Oo巨bδ目魯$鼻骨︶︑対立︵08守︒田鼠けδ昌︶︑懐柔︵○?︒黒pけδ昌︶であり︑この四つの類型の頭文字から︑この類      ま 型を﹁四つのC﹂と命名する︒すなわち︑政府と非営利組織とが政策目標及びそれを実現するための戦略の双方において︑異質な関係を対立︵OO昌h円O昌けPけ一〇5︶とし︑政府と非営利組織がほぼ同様の目的を持ちつつ︑それを実現する手法に差異が見られる関係を補完︵Oo白墨①巨§尊信唄︶とする︒そして︑政府と非営利組織がほぼ同様の戦術       手段を用いるものの︑目的が異なる場合を懐柔︵Q︒−︒宮9江8︶と命名する︒最後に︑政府と非営利組織とが︑ほぼ同様の政策目標を共有するのみならず︑その目標に向けて同様の戦略を使用する場合を協働︵O︒︒bΦ蜀証§︶と ホ 

する︒このナジャムの﹁協働﹂概念は︑わが国の協働︑すなわち﹁市民または団体と行政が︑共通する地域社会の

問題解決に向けて︑相互に存在意義を認めながら︑対等の立場でお互いに知恵や労力を出し合いながら協力し合う

こと﹂という定義とほぼ重なり合うものと思われる︒また︑政策過程を全体的にマクロなものとして捉え︑政府と

非営利組織の関係を類型化する点で注目に値する︒

 これに対して︑ベンジャミン・ギドロン︵bdΦ且pB冒9脅︒昌︶︑ラルフ・クレイマ︵國巴喜ζ・囚話目零︶︑レスター・

サラモン︵﹈﹁①oQけΦ村 長・ のP一P屋PO﹈P︶は︑政策過程のなかでも︑政策執行過程︵サービス供給過程︶に絞って︑政府と非       あ 営利組織の関係を概念化・類型化している︒

 彼等は︑現代福祉国家においては︑サービス供給における財源の調達と実際のサービス供給という二つの機能が

分担されていることに着目する︒その上で︑この二つの機能が政府と非営利組織のどちらが分担しているかを視点

として︑﹁政府支配︵QO︿①毎目Φ暮U︒邑二丁︶モデル﹂︑﹁サードセクター︵日臣a−ω①9霞∪︒巨錘昌け︶支配モデル﹂︑       ま﹁二元︵U⊆巴︶モデル﹂︑﹁協働︵○︒一一暮︒書け一くΦ︶モデル﹂の四つに類型化する︵図一参照︶︒政府支配モデルとは︑

財源の調達とサービス供給の双方の機能を政府が支配的に担うものであり︑サードセクター支配モデルとは︑この

(12)

︽図一 ナジャムの政府・サードセクター関係の4Cモデル︾

目標︵目的︶

コ  コ

罫 俳 蔚

55 選好戦術

︵手段︶

︽出典︾ 一 致

異質

一 致

異質

  協 働︵∩oo℃q慧8︶ 懐 柔︵9−︒冨ぎ嵩︶

   補 完︵∩oヨ豆①ヨg§ξ︶  対 立︵盒QO口呼Oづ一9二〇コ︶

﹀α頃Z9ρす筥噂.弓プΦ国○¢同−Oのoh甲乙村9ωΦ08村−Qo<霞5唇①⇒け即Φげ戯︒昌ωOoob興p訟︒ダOo昌マ︒昌㎡9p菖oP

OO目豆Φ目①辻占詳ざp巳○︒−︒讐註︒見︑≧∪ミ︶︑&鉢ミ§晶Φミ§外湯富ミミ︒︒謡黒く︒口ρZ︒眞GQ信B目Φ島OOOも●

ω○︒ω・

二つの機能を非営利組織︵サードセクター︶が担うものである︒二元モデルとは︑財源の調達と人的サービス供給

の二つの機能を政府と非営利組織が共有しあうモデルである︒もっとも︑このモデルは︑更に平行モデル︵冨鑓7

巨爵餌昆目︒α9と二層モデル︵9巴日○α巴に分類される︒前者は政府が供給するサービスと同様のサービスを

(13)

56

腸 勃

政府が対象外とする人々に補充︵のξ豆Φ置Φ導︶するものであり︑後者は政府活動によって満たされない質的要求を満たすもので︑政府サービスを補完︵8ヨbδ目Φ暮︶するものである︒       そして︑政府が財源を供給し非営利組織がサービスを供給するものを︑協働モデルとして概念化する︒もっとも︑協働モデルは︑サービス供給者における政府との取引交渉力の有無により︑更に﹁自動販売機型協働モデル︵8ゲ﹃げ︒蚕吐くΦ−︿魯α霞目︒9Φ︸︶﹂と︑﹁パートナーシップ型協働モデル︵︒色9︒田江く①も胃露Φ村ω匡b目a巴︶﹂に分類する︒すなわち︑前者では︑非営利組織は政府の行政上の計画の管理者の代理人として機能し取引交渉の裁量をほとんど

有していないのに対して︑後者では︑非営利組織は行政上の計画を管理運営したり︑発展させたりする等の広い自      由裁量を有している︒

 ギドロン等は︑以上のように政府と非営利組織の関係を類型化し︑協働を﹁サービス供給過程において政府が資

金を供与し︑非営利組織がサービスを提供する﹂形態と定義している︒また︑﹁費用を持つ者に支配権がある︵奢げ︒

b負革①甘b興︒巴︒︒島Φけ二冨︶﹂との言葉を引用しつつ︑協働モデルにおいて﹁自動販売型協働モデル︵8 pげ自甲

江くΦ−︿Φ巳薄白︒ユΦ一︶﹂が︑一般的な協働形態と想定されていることを指摘しつつも︑現実には︑非営利組織の政治

的影響力が大きく︑大規模な政府部門が公共サービスを管理することの困難なことから︑﹁パートナーシップ型協

働モデル︵︒亀pぴ︒轟け写Φも9・困9①話ぼb白︒α9﹂が一般的であるとの注意を喚起する︒

 以上がギドロン等の協働概念であるが︑同様の認識は︑カナダのソーシャルポリシー研究者ジョセファン・リカー

ト︵q︒︒・①9冒Φ国Φ冨昌︶にも見いだされる︒彼女は︑カナダのブリティシュ・コロンビア州における政府と非営利

組織の関係を考察するなかで︑公共サービスの供給を非営利組織に民間委託し︑政府は専ら資金を供与し︑実際の

公共サービスの供給が非営利組織に契約によって委託される活動形態が︑一九七〇年代初頭に始まり八○年代初頭

(14)

サ  コ

57 ︽図ニ ギドロン等の政府・サードセクター関係モデル︾

政府支配型二 元 型協働 型非営利組織支配型

資金供与

政   府 政  府/非営利組織政   府非営利組織 サービス提供政   府 政  府/非営利組織非営利組織政   府

︽出典︾しdΦ且鋤巨p9脅Op即巴9ζ.一碧B興§織目Φ︒︒d零ζ・の巴p目8&︒・・Ω︒<Φ毎日①暮p島回①筈ぼ側の①︒8胃§霞αqぢσq邑豊8ωぼb︒・8奉臣器ω蜂Φω︵ω碧円村9・冒の8こ︒の︒︒①やしu器p一8N︶も●蜀

       お には一般的になったことを指摘する︒そして︑このサービス供給形態を﹁協働︵OO PぴONPけ一〇 P︶﹂と呼んでいる︒

 ところで︑ナジャムによると︑欧米においても︑﹁協働﹂という用語はコーポレーション︵Oo︒b①$けδづ︶のほか       あ にもコラボレーション︵∩いO一一PげONPけ一〇b﹁︶やコプロダクション︵Q︒肩︒9︒け一︒口︶等の語句が用いられるとする︒そし

て︑論者により︑異なる表記がなされるものの︑多くの論者はこれらを厳密に区別して使用していない︑と指摘

する︒ もっとも︑ナジャムの定義する﹁協働﹂とギドロン等の定義する﹁協働﹂では︑その含意する内容が大きく異な

る︒そこで︑両者の概念を包括的体系的に把握するのに有効なのが︑イギリスの研究者達による協働概念の定義で

ある︒

(15)

58

房 勃

 イギリスの行政学者であるヘレン・サリヴァン︵団①一①⇒ω邑オ碧︶とクリス・スケルチャー︵O竃δω冨げげ零︶は︑総ての協働形態︵HッONbPω Oh OO一一PげO村Pけ一〇﹈P︶は︑契約関係︵8巨蚕︒けの︶︑パートナーシップ︵b胃登霞ω圧窃︶︑ネット       きワーク︵器け≦o村犀ω︶の三つのいずれかから派生していることを指摘する︒ここで︑契約関係︵O︒暮蚕︒9巴邑pけδづ−の巨b︶とは︑﹁企業や非営利組織等の政府以外の組織や︑消費者の身近な距離で活動する政府部門により︑公共サービスの供給を行うもの﹂である︒そして︑その最も単純な形態として︑供給等の企画の決定と︑生産活動を別の主体が行うプリンシパル・エージェント関係を挙げる︒これは︑北米おける﹁政府が資金を供与し︑非営利組織がサー

ビスを提供する﹂との協働概念と重なり合う︒次に︑パートナーシップとは︑﹁合同で決定を行い生産を行い︑そ

の責任を共有するもの﹂と定義する︒そして︑この概念が長期間合同で意思決定を行うことを条件とすることや︑

政策綱領・学術書では頻繁に目につくものの︑現在の統治構造ないし政治的社会的環境の下では︑非常に規範的な

概念である点で︑契約関係とは異なるとする︒

 最後に︑ネットワークとは︑﹁特定の政策やサービス事業や課題に対処するために発達した流動的な人的関係﹂

と定義する︒また︑その特徴として︑参加者が当該関係性の維持を希望する限りで機能し続けることを指摘する︒

そして︑契約関係︑パートナーシップ︑ネットワークの違いとして︑前二者では︑組織問の法的拘束力を持ち︑明

確で公的な文書が作成されるのに対して︑後者は︑インフォーマルな関係性で構成されるがゆえ︑公的文書等が作

成されない点も指摘する︒

 このサリヴァンとスケルチャーの﹁協働﹂をめぐる概念定義は︑北米の協働概念を上手く包括化・体系化するも

のと捉えられる︒また︑わが国の一般的な協働概念も﹁パートナーシップ﹂として位置づけるのみならず︑その規

範的な特性も含意している︒以上を踏まえると︑彼等の定義における﹁契約関係﹂を﹁狭義の協働﹂﹁実態概念と

(16)

しての協働﹂とし︑他方で︑﹁パートナーシップ﹂を﹁広義の協働﹂﹁規範概念としての協働﹂と位置づけることが

議論を進めるに際し︑有効であると思われる︒そこで︑本稿では︑﹁政府が資金を供与し︑非営利組織がサービス

を提供する契約関係﹂を︑政府・非営利組織間の協働関係と定義し議論を進めたい︒

烈闘

59   ・分析概念としての﹁民間非営利組織﹂ 次に︑﹁民間非営利組織﹂の定義が課題となる︒代表的な非営利組織の定義としては︑世界的な非営利組織研究者であるレスター・サラモン︵H﹂ΦoQけΦ村 ζ︒ ωP一PbPO昌︶とヘルムート・アンハイアー︵団①巨暮囚●︸喜Φ貯村︶を中心とするジョンズ・ポプキンズ大学非営利セクター国際比較プロジェクト︵臼冨q︒巨ω山Ob空話O︒匿bp轟牙①Z︒唇δ津ω①︒8置去︒﹂Φ︒甘q口OZの℃︶における︑﹁構造一機能定義﹂が挙げられる︒この﹁構造−機能定義﹂では︑非営利組織の要件として︑①﹁組織化︵9σqp巳NΦ餌︶﹂︑②﹁民間組織性︵℃身鉾Φ︶﹂︑③﹁非営利分配原則      あ ︵乞︒〒嘆︒律虫ω9げ9一口σq︶﹂︑④﹁自己統治性︵のΦFσq︒︿①ぎぎσq︶﹂︑⑤﹁自発性︵<9毒δ蔓︶﹂を挙げている︒この定義は彼等独自のものではなく︑英国の非営利組織研究者︑マリア・ブレントン︵ζPN一P しU村Φ﹈Pけ○口︶の定義を参照としたものである︒ブレントンは︑非営利組織︵<︒ヨ導9・蔓︒村σqp巳ω豊8︶の定義として︑①﹁正式な組織︵ph︒馨普自σqp三豊8︶であること﹂︑②﹁政府からは組織上分離していること︵8昌巴9江︒冨身︒︒①冨困暮①守︒語σqo<①讐筥①暮︶﹂︑③﹁自己統治していること︵ωΦ郎σq︒<Φ琶お︶﹂︑④﹁営利配分しないこと︵ぎ亭鷲︒亀虫胃8郎けぎσq︶﹂︑⑤﹁公共の      ま利益に奉仕すること︵Oh腰匪︒σ魯Φh詳︶﹂︑を挙げており︑ほぼ同じ要件を設定している︒もっとも︑両者の定義は英米法を基礎とした概念定義であることから︑その妥当性︑とりわけ﹁非営利分配原則﹂を要件として設定する      ハ  ことに関しては︑かなりの異論がある︒

(17)

60

房 勃

 しかし︑本稿が実証研究を目的としたものではなく︑﹁非営利組織﹂概念の操作可能性ないし適用可能性を議論の中心的な課題としていないこと︑また︑サラモン等の定義に代わる有効な定義が未だ開発されてないことから︑本稿ではサラモン等による﹁構造−機能定義﹂の要件に該当する組織を﹁非営利組織﹂と想定し︑議論を進めたい︒  ・非営利組織の機能と政府活動 最後に︑本稿の分析視点との関係で︑非営利組織の機能を整理する︒

 アメリカの社会福祉政策学者ラルフ・クレイマi︵即巴喜ζ●囚二目①困︶によると︑ボランタリーセクターには︑

前衛︵<讐σq雷a︶機能︑アドボカシー︵巴︒<︒︒雲Φ︶⁝機能︑価値の擁護機能︵<巴まσqβ胃象窪︶︑サービス供給︵の①7      <一8鷲︒<一α9機能の四つの機能がある︒前衛機能とは︑自らが担う計画プログラムを革新し︑先駆的に実行し︑

実験を行い︑その有効性を実証する機能である︒そして︑この機能は組織独自の計画プログラムが将来的に政府プ

ログラムへと昇華することも模索するものである︒アドボカシi機能とは︑政府が必要とされるサービスを拡大し︑

監視し︑積極的に圧力行動を行う機能のことである︒価値擁護機能とは︑ボランタリー組織が自ら抱えている自発

主義︑独自主義︑党派的な価値を擁護するものであり︑参加を促進したり︑社会的︑宗教的︑文化的︑他の少数利

益という特殊利益を擁護する活動形態として表れる︒サービス供給機能とは︑ボランタリー組織が自ら嗜好するサー

ビスを供給するものや︑政府が好まない︑若しくは直接的ないし十分に要求することを望まないもの︑公的責任が

あるとも思われるサービスを供給するものである︒他方︑マリア・ブレントンは︑サービス供給︵の零§甲

嘆︒︿一α営σq︶機能︑圧力団体︵一U腎①のωdF村① 崩四目OdF尉﹇︶機能︑相互扶助︵目二g巴9・一α︶機能︑資源提供︵冨ω︒霞8津軽けδ昌︶       が 機能︑媒介調整︵︒ooa言讐ぎσq︶機能の五つを指摘する︒ブレントンのサービス供給機能と圧力団体機能が︑クレ

(18)

朗 嚇 擦 鋤 鯉 浸 麟 關 齢

61 イマーのサービス供給機能︑アドボカシー機能にそれぞれ対応する︒また︑相互扶助機能とは︑共通の利益や必要性から組織された組織内の会員に何らかのサービスや支援を提供する機能である︒資源提供機能とは︑ある組織が他の組織に活動に必要な資源を提供するものであり︑媒介調整機能とは︑組織間の意見を連絡調整する機能である︒そして︑最後の二つは︑主に︑非営利組織の連合体が傘下団体に対して行う機能を示している︒ もっとも︑本稿の議論では︑あくまで政府活動との関係する限りにおいて︑非営利組織の機能が考察対象となる︒ここでは︑政府や企業活動との関係性から非営利組織の機能を捉えた︑ピーター・ドォーキン・ホール︵℃Φけ零O・出山︶の分類が参考となる︒ホールは︑非営利組織の機能を︑①政府が委任した公的任務を達成すること︑②政府や営利企業が進んで充たすことのない公的課題を実行すること︑③政府や営利企業やその他の非営利組織が進める       タ政策の方向性に影響力を行使すること︑の三つに類型化する︒このホールの分類と︑先のサラモン等及びブレントンの機能類型を検討すると︑ホールの類型①で抽出可能なのが非営利組織のサービス供給機能であり︑ホールの類型③で抽出可能なのが非営利組織のアドボカシー︵圧力団体︶機能︑となる︒そこで︑本稿の問題関心からは︑ホールの①と③の類型における非営利組織の活動が考察対象となる︒ ところで︑政府活動は政策議題の設定︑政策の形成︑政策決定︑政策の執行︑政策評価の政策循環論として捉えられている︒この様な政策循環過程との関わりで非営利組織の機能を検討すると︑アドボカシー︵圧力団体︶⁝機能      まが政策議題の設定及び政策形成過程で行使されるのに対して︑サービス供給機能は政策執行過程で行使される︒つまり︑本稿では︑政策執行過程における非営利組織のサービス供給が考察対象として設定されうることとなる︒ 以上から︑本稿では︑政府のサービス供給過程における政府の資金提供活動と非営利組織のサービス供給活動の       関係性を協働関係と概念化し︑その成立条件を考察対象とする︒

(19)

62

腸 勃

 2 先行研究の検討       あ  政府・非営利組織間の協働関係について︑従来の研究は双方の関係性を規範的・政策提言的に論じるものが多く︑理論的実証的な研究は少ない︒そして︑本稿とほぼ同様の協働概念に依拠するものとしては︑行政学者の水谷利亮と田中健二の研究が挙げられる︒水谷利亮と田中健二はレスター・サラモンの議論を整理概観しつつ︑協働関係を考察している︒ まず︑水谷利亮は︑サラモンの協働論の中核にある﹁第三者政府︵昏①ぐα冨腎畠σQd<①§日①づけ︶﹂論とギドロン等

の政府・非営利組織間関係の類型化の試みを紹介したうえで︑ギドロン等の類型モデルをアメリカ︑ドイツ︑日本      ヨ における社会福祉サービス供給システムに適用する︒水谷は︑この三国の供給システムを︑サラモンの提示する

﹁第三者政府﹂と同一のものとして捉えている︒その上で︑水谷は︑アメリカやドイツの﹁第三者政府﹂は違いが

あるにも関わらず︑ギドロン等の類型では﹁パートナー型協同モデル﹂に位置づけざるをえないと同時に︑日本の

﹁第三者政府﹂の形態も︑必ずしも適合的ではないものの﹁自動販売機型協同モデル﹂でしか捉えられないと指摘

  ロ する︒

 また︑田中健二は行政と非営利組織がパートナーシップ︵協働︶関係を成立展開した後における行政の役割機能      ヨの変化に着目し︑その理論化仮説化を試みている︒田中は︑政策実施過程研究における﹁政策管理機能﹂と﹁政策

デリバリー機能﹂という分析視角を用い︑サラモンを中心としたアメリカの非営利組織論においてこの様な視角が      ヨ どこまで踏まえられているのかを検討している︒そこでは︑協働関係とは︑政府が資金供与し︑NPO等の非営利

組織がサービス供給する単純な役割分担ではなく︑その過程では︑サラモンも認識するごとく︑サービス内容を

具体化するための相互交渉の場が存在すること︑そして︑この交渉の場に関する分析が︑アメリカの非営利組織

(20)

・   ・

聯 酢 晒

63        ︵55︶︵NPO︶論では曖昧不明確こと︑を指摘する︒その上で︑彼は︑協働関係形成後の行政の新たな役割として︑サー      ︵56︶ビス内容を具体化したり︑交渉や管理監督を行うような﹁政策管理機能﹂が浮上してくることを指摘する︒ この水谷と田中の議論は︑サラモンを中心としたアメリカの協働論を先駆的に紹介しつつ︑更なる理論化ないし実証化を試みたものである︒しかしながら︑両者とも︑政府と非営利組織の協働が存在する理論的根拠として︑サラモンの﹁第三者政府﹂論︑すなわちアメリカ固有の非営利組織論にそのまま依拠しており︑なぜ︑アメリカの﹁第三者政府﹂が民間営利セクターでなく非営利セクターを中心として形成されてきたのかについては︑考察の視       ︵57︶野から外れていると思われる︒そこで︑次章では︑非営利組織研究の動向を概観し︑従来の非営利組織研究が協働に関して︑何をどの様な視点から論じてきたかを考察する︒

︵11︶ 大森彌は︑従来の﹁協同﹂ではなく﹁協働﹂という語意を用いることに関して︑﹁協同﹂が経済的な組織体︵﹁協同組合﹂︶

  における仕事といった意味合いが強いのに対して﹁協働﹂という語意では﹁互いが主催者﹂として︑﹁共に考え︑共に汗を流

  し︑共にリスクを負うという共通事業︵活動︶﹂に取り組む関係性が含意されていることを指摘する︵参照︑大森彌﹃自治体

 行政と住民の﹁元気﹂続・自治体行政学入門﹄︵良書普及会︑一九九〇年︶二一八頁︶︒

︵12︶ 寄本勝美﹁﹁住民協働﹂による自治の発展を求めて沼津市清掃労働者の理論と実践﹂早稲田政治経済学雑誌二四四・

  二四五号︵一九七六年︶四二五−四五二頁︑足立忠夫﹁公共市民学の提唱  講演市︵市民︶・公︵公務員︶・学︵学者︶の

 協働体制の確立の急務﹂法政論集︵北九州大学︶第四巻第三号︵一九七七年︶一五一一一八一頁︑田村明・森断編﹃文化行政

 とまちづくり﹄︵時事通信社︑一九八三年︶︑大森彌﹁続・自治体行政学入門i第二五講  ﹂自治実務セミナー二八巻四号

  ︵一九八九年︶︑二一五頁︒

︵13︶ 参照︑荒木昭次郎﹃参加と協働新しい市民11行政関係の創造﹄︵ぎょうせい︑一九九〇年︶はしがき六頁︒

︵14︶ もっとも︑同書の原型となった論文では︑荒木は﹁﹃公的サービスの共同生産﹄門﹃コプロダクション﹄﹂とし︑基本的に︑

(21)

6405

91

  ﹁共同﹂の字句を使用している︵荒木昭次郎﹁公的サービスの共同生産理論モデルその実際的適用への批判的分析と評価﹂  季刊行政管理研究三二号︵一九八五年︶三〇頁︶︒

︵15︶ 荒木・前掲注︵13︶一=ハ頁︒

︵16︶ 荒木・前掲注︵13︶=二五頁︒

︵17︶ 荒木・前掲注︵13︶一〇1一一頁︒

︵18︶ 荒木昭次郎﹁参加と協働の創造﹁協働型自治行政﹂の理念と仕組みを考える﹂市政五〇巻二号︵二〇〇一年︶=八頁︒

︵19︶ 荒木・前掲注︵13︶六頁︒

︵20︶ 荒木・前掲注︵13︶六頁︒

︵21︶ 荒木・前掲注︵13︶六−七頁︒

︵22︶ この様な協働論への懐疑的な立場を示す者として︑政治学者の松下圭﹁と行政学者の新藤宗幸がいる︵参照︑松下圭﹁

  ﹁序章 戦後政党の発想と文脈﹂﹃戦後政党の発想と文脈﹄︵東京大学出版会︑二〇〇四年︶八九頁︑新藤宗幸﹁﹃協働﹄論を超

  えて政府形成の原点から﹂地方自治職員研修三六巻三号︵二〇〇三年︶九一一〇頁︶︒もっとも︑管見では︑両者の見解は︑

  協働という手段が民主的な政府や自治型社会の創設に奉仕する︵すべし︶との見解に懐疑を示したものであり︑協働それ自体

  を否定するものとは思われない︒

︵23︶ この様に定義する者は少なくないが︑ここでは次を参照︒佐々木信夫﹁協働型まちづくりの新たな展開﹂自治フォーラム

  五三八号︵二〇〇四年︶九−一〇頁︒

︵24︶ ここでは︑自治体の政策実務における代表的な﹁協働﹂の定義として東京都︑福岡県︑福岡市︑横浜市を提示する︒

   東京都

   ﹁協働とは﹃行政とボランティア・NPOとが︑相互の存在を認識し尊重し合い︑相互にもてる資源を出し合い︑対等の立

  場で︑共通する社会的目的の実現に向け︑社会サービスの供給等の活動をすることを意味する﹂︵東京都生活文化局コミュニ

  ティ文化部振興計画課編﹃東京都ボランティア・NPOとの協働に関する検討委員会報告﹃協働の推進指針﹄策定への提言﹄

  ︵二〇〇二年︶一六頁︶

   ︵巨8⁝\\≦≦≦あΦ出遣暮二半p.目Φ貯98尊○・甘\一昌αΦ溢窪①の︾巴σqΦP℃U国最終アクセスニ○〇五年九月二日︶︒

(22)

 福岡県 ﹁協働とは︑ボランティア団体・NPO︑行政︑企業のそれぞれの主体性・自発性のもとに︑互いの特性を認識・尊重し合

いながら︑対等な立場で︑共通の目的を達成するため協力・協調すること﹂福岡県生活労働部生活文化課﹃ボランティア団体・

NPOと行政との協働事業実施状況調査結果﹄︵二〇〇四年︶

O   .

65  福岡市 ﹁共働﹂とは︑市民︑市民公益活動団体︑事業者︑学校及び市が︑対等の立場で相互の役割と責任を認め合いながら︑知恵と力をあわせて共に行動することをいいます﹂︒ なお︑福岡市では︑﹃福岡市新・基本計画﹄において︑﹁﹃共に﹄汗して取り組む︑﹃共に﹄行動する﹂との意味で﹁共働﹂という語意を使用した経緯を踏まえ︑本条例でも﹁共働﹂という言葉を使用している︒ 参照︑﹃﹁福岡市市民公益活動推進条例﹂逐条解説︵ぼ8\\≦≦≦・︒陣ξ.貯犀高︒訂・ピ\簿︒≦巳︒巴\嵐曽O㎝巽①おPμo︒最終アクセスニ○〇五年九月二日︶︒

   また多くの自治体が︑協働に関わる条例︑要綱︑指針などを策定するにさいし︑参照する概念定義として︑横浜市の﹁横

  浜市における市民活動との協働に関する基本方針︵横浜コード︶﹂がある︒そこでは︑協働の原則として︑①対等の原則︑②

  自主性尊重の原則︑③自立化の原則︑④相互理解の原則︑⑤目的共有の原則︑⑥公開の原則︑を提示している︒

   参照︑横浜市市民活動推進事業本部編﹃横浜市市民活動推進検討委員会報告書﹄

   ︵窪壱 \\≦≦≦.o詳図.図○犀︒冨目pな\ヨΦ\筈巨ぎ\けδゲ言\唇︒\ゲ︒爵︒ざのげρ窪碁一最終アクセスニ○〇五年九月二日目︒

︵25︶ 参照︑新川達郎﹁市民・NPO・行政の新たなガバナンス﹂山本啓・雨宮孝子・新川達郎編﹃NPOと法・行政﹄︵ミネル

  ヴァ書房︑二〇〇二年︶一二六頁︒

︵26︶ 参照︑大久保規子﹁NPOと行政の法関係﹂山本・雨宮・新川・前掲注︵25︶八○頁︑山田洋﹁参加と協働﹂自治研究八

  ○巻八号︵二〇〇四年︶二七一二八頁︒

︵27︶ 山田・前掲注︵26︶二八頁︒

︵28︶ 山田・前掲注︵26︶三三頁︒

(23)

66

0520

91

︵29︶ 参照︑長谷川公一﹃環境運動と新しい公共圏﹄︵有斐閣︑二〇〇三年︶一〇︑一八四︑二四一頁︒︵30︶ 江藤俊昭﹁地域事業の決定・実施をめぐる協働のための条件整備︿住民−住民﹀関係の構築を目指して﹂人見剛・辻山幸  宣編﹃市民・住民と自治体のパートナーシップ﹄︵ぎょうせい︑二〇〇〇年︶二一六−二﹁七頁︒︵31︶ ナジャムはNGOという用語を昌8冒oh芦く︒ξ暮pq博一巳①b魯9暮︸酔興詳9菖①し臣aωΦ︒8村等として言及される一連の  組織を包括する概念として用いている︒   ︾色Z色pβ^︑臣Φ周︒霞−O︒・︒h已三aω①︒げ︒7Q︒︿Φ毎目①巨国Φ醇δ5の ○︒︒b①轟鉱︒pO8時︒昌d9δpO︒89筥Φ暮p碁ざ  p昌900−○窟9δP..冬起︑&鉢さき9晦︒§§鉢二戸器織⑪︑︒︒謡骨矯く︒ピ一ρ乞︒.蔭の二目目霞bOOOρb.ω♂●

︵32︶ きミb●ωG︒G︒

︵33︶ N守ミこ署・G︒①o︒ふ⑩.

︵34︶ 富§噂b.G︒c︒卜

︵35︶ この三人のうち︑レスター・サラモンは︑政府と非営利組織の関係とは︑政府の政策執行研究の一角を占めるものである

  と︑明確に述べている︒ω巴9ヨoP︒・§ミ昌odΦ一ρb.嵩●

︵36︶ゆΦ且9邑昌Ω導︒p切巴喜ζ.寄p墓ぴ§亀目Φω§ヌの巴p日8巴︒・..︐Ω・︿①毎§暮p巳夢①6田困侮ぎ○︒琴b母巴くΦ

  勺Φ話bΦo画くΦ門㌦.ぎQミ鳴ミミ§叶Qお晒首馬琳ミミ︒・弓田︒ミΦミ①貫き鴨ミ貯駄§簿蛍⑦§ミ鳴さミ象ミ題︵ω9昌国鑓旨9の8臼○のの①¥

  切器P一㊤Φb︒︶醤・一①歯O・

︵37︶ もっとも︑サードセクターが資金を供与し︑政府がサービスを提供する逆の形態も︑理論上は可能であるとギドロン等は

  指摘する︒Hぼ画こb・Hρ

︵38︶ 但し︑協働モデルといえども︑政府の資金供与とは︑あくまでサ〜ビス供給に関わる主たる費用を負担するのであり︑非

  営利組織の維持管理に関わるあらゆる費用を負担するものではないことに注意をする必要がある︒

︵39︶q︒ω①bぼ器幻Φ蚕篭丁銀︒甘ミ⑦Mb蕊器多出︒§軋§︑導ミ︒N①9罫⑩§§器遷︒・Φ§・︵<碧︒量①5¢切O甲Φωωレ⑩㊤ω︶博

  bや㎝G︒−㎝①.

︵40︶ Z9宣β︒︒琶養昌9Φω一一b.G︒G︒蔭.

︵41︶ 彼等は︑協働の旦ハ体的な手法として︑コミュニティ主導イニシティブ︵︒o導巨5巳身−一Φ侮一巳江pd才①ω︶︑契約︵8暮錯9ω︶︑

  組織間協力︵一登霞6肘σq9臥三江︒昌巴8−ob興p試05︶︑合弁事業︵﹂oぎ亨くΦ暮雲Φ︶︑パートナーシップ︵b巽言Φ冨三b︶︑政策ネッ

(24)

67   トワーク︵boま団器暑︒蒔︶︑プリンシパル・エージェント関係︵bN冒︒甘酒蜘σqΦ暮憎巴pけδ口ω庄bω︶︑勺勺℃︵℃自歯すbほく鉾Φ  冨詳⇒Φ話ぼb︶︑関係的契約︵邑晋8巴8暮鍔︒江旨σq︶︑社会的ネットワーク︵ω09雪転け≦o跨︶︑戦略的同盟︵の訂鉾Φσqざ  巴一猷琴Φの︶︑ボランタリー・セクターとのコンパクト︵<○ξ暮要図のΦ90N︒o§b曽9︶を挙げている︒   田雪の邑冒き§織9冨の匿9Φさ§︶蚤嵩晦卜§︒︒︒︒bロ︒§織ミ§Q︒§ぎ︑§§詳津ぴ§雪曇§︵Z霧図︒爵  ℃巴σq蚕く①ζ碧ヨ臼簿P鱒OOb︒ンbb.心為

︵42︶ い①ωけΦN﹈≦.ω巴舘βoづQき織国巴含暮囚.卜嵩ず9Φさb声望匙晦琴Φき起︑&鉢の①90︑︑︾O︑8︒︒幽9織︒おミ9おミ受︒︒執︒つ︵Z①名団︒村貯

  ζ碧︒9の醇C巳くΦ邑昌勺話ωωし⑩⑩刈︶讐b旭・︒︒・︒−G︒心.

︵43︶ζ巴9しd器暮・p§⑩さN§ミq︒︒⑲§・詳bロミ蓉︒・︒︒§︒︒Φ§§︵い・巳8 い︒長日ppお・︒釦︶ら・⑩

︵44︶ 例えば︑この要件のもとでは︑ヨーロッパ大陸国家で非営利組織の中心に位置すると見なされている協同組合が︑﹁出資者

  に所得を配分する﹂組織であるため︑非営利組織から除外されることとなる︒

   ︾O巴9露国く霞ω§織q$巳︒忌︒・﹈﹃pぐ臼ρ.6①獣巳登録Φけほ巳︒︒Φ︒け︒二昌国霞︒b①㌦.国§鳴臼蕊ミじQミ︒︑詳国ミ愚魯巴の■

  ﹀琶σΦ暮穿Φ諺§織q$巳︒駐留︒・訂く巳①︵臣奉a日σq錠d−囚﹄OOら︶℃巳・︒お層

︵45︶ 口巴bげζ︒国村2βΦさぎ貯き鉢Ω壱卜晦⑩謎︒貯︒︒ヨ幹訟①き書話の登総︵ゆ霞匹①零d巳<Φ毎一身︒鴎○巴開︒村ap℃話のρおG︒一︶噂や⑩・

︵46︶ bdお昌8P︒︒§︑9昌9Φお一bb﹂O−一一︒

︵47︶勺Φ§U.缶巴ザ︐︑﹀匹の9︒巴○<①三婆︒hδげ︒勺碁鉾Φ乞8褄︒律のΦ︒け・坑︑臼﹃書ぎ題︑ミ騨の⑲§・︑卜鶉§ミ魯

  建ミ守8壷Φ9白巴醇ヨ℃︒≦①=︵Z①≦︸H磐ΦpO︒暮・⁝属官ΦC良く①透畠鷲①のの口⑩︒︒﹃︶噂b.・︒●

︵48︶ 管見では︑前者の機能が政治学愚息営利組織研究の対象となるの対して︑後者の機能が︑行政学的非営利組織研究の対象

  となると思われる︒

︵49︶ なお︑ここで︑政府とは︑﹁議員から成る政治体と行政官僚制の二部門で構成される統治機構﹂を指し︑市場という概念と

  同様に抽象的なものである︒従って︑本稿では︑中央政府ないし地方自治体のいずれかを想定するものではない︒

︵50︶ 代表的な研究として︑次を参照︒

   牛山久仁彦﹁行政とNPO地方政府のNPO政策を中心に﹂法学新報︵中央大学︶一〇七巻一二号︵二〇〇〇年︶一七九

  〜二〇一頁︑松下啓一﹃自治体NPO政策﹄︵ぎょうせい︑一九九八年︶︑松下啓一﹃新しい公共と自治体自治体はなぜNPO

  とパートナーシップを組まなければいけないのか﹄︵信山社︑二〇〇二年︶︑山本・雨宮・新川・前掲注︵25︶︑松行康夫・松

(25)

6805

91

  行彬子﹃公共経営学一市民・企業・行政のパートナーシップ﹄︵丸善出版社︑二〇〇四年︶︒   また非営利組織︵NPO︶も念頭におきつつ広く市民と行政の活動を論じたものとして︑次を参照︒辻山幸挙手﹃分権時  代の自治体職員⑦住民・行政の協働﹄︵ぎょうせい︑一九九八年︶︑辻山幸宣編集代表﹃市民・住民と自治体のパートナーシッ  プ﹄︵ぎょうせい︑二〇〇〇・二〇〇一年︶︑西尾隆編﹃シリーズ自治体改革⑨ 住民・コミュニティとの協働﹄︵ぎょうせい︑  二〇〇四年︶︒

︵51︶ 参照︑水谷利害﹁福祉多元主義と﹃第三者政府﹄日社会サービス供給システムにおける民間非営利セクターの機能をめぐっ

  て﹂法学雑誌︵大阪市立大学︶四二巻二号︵一九九五年︶一五七頁以下︒

︵52︶ 水谷は︑Oo=pげ︒蚕けオ①に︑協働ではなく﹁協同﹂との訳語を当てている︒

︵53︶ 参照︑田中健二﹁行政・NPO関係論の展開パートナーシップパラダイムの成立と展開︵一︶・︵二︶﹂法政論集︵名古屋

  大学︶第一七八号︵一九九八年︶一四三頁以下︑第一七九号︵一九九九年︶三四三頁以下︒

︵54︶ 田中・前掲注︵53︶﹁行政・NPO関係論の展開︵一︶﹂一五八頁︒

︵55︶ 田中・前掲注︵53︶﹁行政・NPO関係論の展開︵二︶﹂三六八−三七三頁︒

︵56︶ 田中・前掲注︵53︶﹁行政・NPO関係論の展開︵二︶﹂三七六−三七八頁︒

︵57︶ サラモンの﹁第三者政府﹂論の内容と問題点に関しては︑本稿第二章参照︒

第二章 民間非営利組織研究の変遷

1 経済学的非営利組織研究

 ・存在論

非営利組織研究において︑早くから理論的貢献を果たしてきたのは︑経済学である︒経済学からの非営利組織研

(26)

駒闘

69 究としては︑公共財の需要面・供給面それぞれに焦点を合わせて理論化された﹁政府の失敗論︵日冨Q︒︿Φ毎ヨΦ暮国亀霞Φ臼げ8蔓︶﹂と﹁契約の失敗論︵臼冨08貯8け国邑霞①弓げΦo蔓︶﹂が代表的である︒ 政府の失敗論は︑なぜ非営利組織が公共財やサービスを提供するために自発的に生じてきたのかを説明するために登場した理論である︒この理論では︑政府の限界と政府活動によって充たされないニッチがあり︑そのニッチを埋めるために非営利組織の役割が存在すると理論づける︒ デニス・ヤング︵UΦ巨虚幻●属︒琶σq︶はジェームズ・ダグラス︵千日Φの∪︒oσq奮︶の見解を整理する中で︑政府      では対応しきれず︑非営利組織が財やサービスを提供する環境条件を︑政府活動の五つの限界から指摘する︒その五つとは︑﹁個別化に対する制約︵︒g・けΦσqo誉巴8翁町9言け︶﹂︑﹁多数決による制約︵目9す曲弦p円一讐8塁訂9巨︶﹂︑﹁時間的制約︵け一bPΦ げO村一NO﹈P OO︼Pωけ腎画一﹈P⇔︶﹂︑﹁知識面での制約︵ざ︒琶①ασq①8霧時巴暮︶﹂︑﹁規模の制約︵ω幕8塁貯巴暮︶﹂であるが︑代表的なのは︑﹁個別化に対する制約︵︒魯ΦσQo浮巴8つ︒・訂pぼげ︶﹂と︑﹁多数決による制約︵匿p﹂○冨$醇彗      8屋貯巴馨︶﹂である︒﹁個別化に対する制約︵︒鉾Φσq︒無断8塁町巴昌け︶﹂とは︑政府の役割は標準的で万人共通の財やサービスを提供することに制約され︑個人が政府と異なる公共サービスを嗜好しても政府が充足しえない︑とするものである︒次に︑﹁多数決に伴う制約︵ヨ帥︺9日豊磐8房訂9一邑﹂とは︑一般に︑公共財の供給量やその水準は投票による政治過程を通して決定されるため︑多数決原理の結果︑投票選好分布の中で中位置に属する者︑すな      わち平均的な選好の投票者︵中位投票者︶の選好水準しか充たしえない︑との制約である︒もっとも︑費用負担に関しては︑投票者の負担する税が均一の場合︑平均より多くの財の供給を望む投票者にとって︑政府とは自らの税負担より少ない財しか提供しない存在であり︑他方︑平均より少ない供給を望む投票者にとっては︑過剰な財が供給されることとなり︑公共財の供給に関して政府は非効率な存在と見なされる︒そこで︑以上の制約を克服し︑平

参照

関連したドキュメント

※ 米政府支援機関(GSE): 「Government Sponsored Enterprise」の略で、政府支援機関などと訳され る。ファニーメイ(連邦住宅抵当公社)は

特定非営利活動法人

省庁再編 n管理改革 一次︶によって内閣宣房の再編成がおこなわれるなど︑

1989 年に市民社会組織の設立が開始、2017 年は 54,000 の組織が教会を背景としたいくつ かの強力な組織が活動している。資金構成:公共

当社は違法の接待は提供しません。また、相手の政府

特定非営利活動法人    

特定非営利活動法人    

この間,北海道の拓殖計画の改訂が大正6年7月に承認された。このこと