棚ぼた排除規定(WEP)とは?
やっと年金受給年齢に達したので、これからは年金を糧に老後の生活をとソシ ャルセキュリティーオフィスで年金受給の手続きをすると、突然米国年金の一 部、最大480 ドルが毎月減額される事態に愕然。そんな事態が事実として大半 の日本の年金受給者の間で起きているのです。このような驚愕の事態が発生し ているのはWEPというSSA(社会保障庁)の規定に依るものです。若い時から コッコツと払い込んできた日本の年金が、米国年金の減額という方法で減額さ れてしまうされてしまっています。
ここで問題となるのは、WEPの規定に依れば国民年金は明らかにWEPの対象 外です。米国のお住いの日本人の大半は国民年金に加入されており、WEPの国 民年金に対する誤適用が改善されれば日本人にとり大きな福音となります。
Q-1 どんな場合に減額の対象となるのですか?
政府系機関や米国外の国の雇用主の場合などですが、SSTaxを給与から源泉徴 収しない雇用主のもとで働いた場合(日本で働いていた場合はこれに該当しま す)、当該勤務から受給する退職年金や障害年金(日本の厚生年金、共済年金 はこれに該当)の年金額の一部に相当する額が米国年金の年金額から減額され てしまうことがあります。
Q-2 減額の対象は日本人だけなのですか?
SSTaxが徴収されてない仕事にもとづいて公的年金を受け取った場合、WEP
により米国人、日本人のみならず全ての年金受給者が米国年金の減額の適用対 象となります。
Q-3 具体的に対象となる日本の年金はなんですか?
厚生年金、共済年金等の公的年金だけです。但し、国民年金は個人で積み立て た年金であり仕事に基づいて得た年金ではないので対象外です。私的年金も対 象外です。
Q-4 適用の例外となるケースはありますか?
その主たるものは(1)国民年金(2)遺族年金受給者(3)SSTaxを社会保障 上の高額所得(substantial earnings)レベルで30年以上支払った方は対象と
なりません。社会保障上の高額所得とは、SSTax は給与所得に応じて課せられ る税金ですが、その給与所得には一定限度のキャップが定められておりその額 が社会保障上の高額所得です。2020年のSubstantial Earningsは25,575 ㌦ です。
Q-5 米国年金の加入期間が10年(40クオーター)未満なので、日米の年金 加入期間を通算して米国年金を受け取る場合はどうなりますか?
日米社会保障協定を活用して米国年金を受け取る場合は、本来の年金支給では 無いとの判断から減額されません。
Q-6 WEPと日米社会保障協定は何か関係があるのでしょうか?
分かりません。ただ協定が締結された2005年10月直後の2006年度の初め に国民年金のWEP適用についてSSAが見直しを行った記録がありますので 関係があるのかもしれません。
Q-7 WEPはいつ頃から制定されたのですか?
Social Security Administrationが1985年頃制定した規定ですが、それがい つから日本の年金にも適用になったのかは分かりません。
Q-8 減額された年金額はどのような流れで連絡がありますか?
米国年金の受給申請手続きにSSオフィスへ行きますと窓口で「貴方は日本の 年金を受給していますか」と質問され「はい」と答えると「年金額を証明する ものを持ってくるよう」要請されます。年金額の証明は2カ月おきに社会保険 庁から送付されてくる年金額振込通知OKです。年金額は2か月分が纏まって 送付されていますので、年金月額はその半分の数値であることを明確に伝えて ください。その後、WEP調整後の年金額が通知されて来ます。
Q-9 どのくらい減額されるのですか?
減額の計算式は、棚ぼた排除規定(WEP)に明記されています。米国年金の基本 年金額は、Social Security Actの第215条に定められている通りインフレ調 整後の平均月収に還元率を掛け算出します。平均収入月額が3分割され、3つの 還元率を使って掛け算されます。例えば平均収入月収が7000ドルの方は、最 初の960ドルは0.9倍され、次の960ドルから5785ドルは0.32倍、
そして残りの5785ドルを超える1215ドルは0.15倍された結果、基本 年金額(primary insurance amount)は2590ドルとなります。これがWEP 適用者の場合、最初の960ドルが0.4倍まで引き下げられます。つまり96 0ドル×(90%-40%)=480ドル減額となってしまいます。一方、Social Security Act 第215条(a)(7)「保証方式」で減額は WEP の適用となる年金 月額(厚生年金月額)の半額以上とならないよう保証しています。つまり減額の 金額は①減額の最高額は月額 480 ドル(2020 年度 加入期間 20 年以下の場 合) ②日本の年金の半分を上回る減額はありません。つまり①か②のどちらか 低い額が減額となります。また、社会保障上の高額所得(substantial earnings)
で20 年以上加入された方は、30 年に向けて限りなく減額0に向けて減額金額 は低減してゆきます。
例としてA さんの厚生年金月額が500ドルの場合の減額金額は、480 ドルよ り厚生年金月額500ドルの半分の250ドルの方が低い金額のため250ドルが 減額金額となります。この点から日本の年金額が減額金額の算定に影響するこ とになります。
Q-10 WEPの適用根拠についてどのように広報されているのですか?
WEPの適用根拠をSSA(SS Administration)ではWEPの説明リーフレットで 次のように説明しています。“社会保障給付金(SS benefits)は、労働者の退 職前収入のある割合を代替(補完)することを意図しています。社会保障給付 金の額は、低賃金の労働者のほうが高賃金の労働者よりも高い割合を得るよう に計算されており、例えば、低賃金の労働者は退職前の収入の約55%に等し い社会保障給付金を得ることができます。高賃金の労働者の平均代替率は約2 5%です。1983年までは、社会保障でカバーされていない仕事を主にして いた労働者は、長期の低賃金労働者であったものとして社会保障給付金が計算 されました。彼らは、自分の収入に対して高い割合の社会保障給付金を受け取 るのに加えて、社会保障税を支払わなかった仕事からの年金も受け取るという 利点を享受していたのです。連邦議会はこの利点を排除するために、「棚ぼた 排除規定」を成立させました。
Q-11それが何故日本の年金にWEPが及ぶのかはっきりしませんが?
この点はSSオフィスの窓口でも詳しく説明はなされていないようです。皆様 からの声として「WEPは米国政府が米国民を念頭に法律にしたわけで、日本 で働いていた時は米国とは全く関係なく日本政府に年金保険料を納めていた。
その結果受け取れる当然の権利である日本の年金を何故取り上げるのか。」等 のご意見を頂いております。 日本の年金受給者にとりWEPの問題点は、
(1)日本の年金受給がWEP適用となる根拠が不明確である(2)減額計算 を含む制度全体の説明が十分でないことがあげられます。
Q-12 国民年金はWEPの適用外なのに適用されるケースがあるのは何故です か。
日本政府が国民年金に関して正しい情報をSSAに提供する機会に適切な説明 をしてこなかったため誤適用が発生してしまったと推察されます。
WEPの適用となるのは勤務に基づく場合であり、居住に基づく国民年金は明 らかにその対象外です。現にSSA(米国社会保障庁)のプログラム運営マニュア ル規定(POMS】には“WEPの適用とならない社会保障協定締結国における年 金の形態”というタイトルのガイダンスがあります。その内容は(1)年金に は勤労と非勤労要因に基づくものがある。(2)非勤労要因に基づく外国年金 はWEPの対象外である(3)WEPを引き起こさない社会保障協定締結国の国 名(7か国)と年金のタイプは以下のとおりである。です。
ですから日本サイドから、国民年金は居住に基ずく年金であることをSSAに 正しく伝え、当該WEP適用外リストに日本の国民年金も加えてもらえばこと は解決するわけです。
Q-13 これまでの活動内容を説明してください。「嘆願書提出キャンペーン」の
具体的な動きを教えてください。
2005年10月日米社会保障協定が締結されました。それ以降WEPに関する相 談が増えてきました。WEPは日本の年金受給者にとり理不尽な制度であると 思い外務省経由でその適用除外を訴えましたが、米国の国内制度に対し日本と して言及は不可とのことでしたので、それ以降はWEPの存在に対する広報活 動は続けたもののWEP制度に対する疑問符は封印致しました。そんな中、
2016年10月国民年金に対してWEPが適用され米国年金が減額となり困窮さ れるAさんからの相談がありました。国民年金は明らかにWEPの規定上、適 用対象外であることから、私はAさんにSS Officeに減額の根拠の質問状の提 出を勧めました。
質問状はService Center(SC)経由Central Office(本部)まで回った上 で、Aさんに回答が届けられました。その内容から次の事実が判明しました。
①その地区のSCは、国民年金はWEPの適用外であると判断している②SSの 運営マニュアル(POMS)で、社会保障協定締結国でWEPの対象外となるタ イプの年金を持つ7か国がリストアップされ公表されている③SSAは日本政府 に国民年金がWEPの対象となるかについて、2006年についでそのご2回確 認したがこれまでの判断を変えるような回答は無かった。→日本政府が国民年 金に関して正しい情報をSSAに提供する機会がそれまで協定締結時を含め3 度あったにも係わらず、適切な説明をしてこなかったことが誤適用の原因と推 定される根拠です。私はこのような実にフェアーな回答に促され、せめてWE Pのルールに従った適正な運営を取り戻すべく、制度の更なる調査と是正キャ ンペーンを始めることなりました。
Q-14 「嘆願書提出キャンペーン」のこれまでの具体的な動きを教えてくださ
い。
2018年1月外務省北米2課を訪問。資料を持参し、国民年金に対するWEP 誤適用是正を要請。その後、取り組み状況が伝わってこないため、2018年6 月厚生労働省国際年金課に面談を求めるも「外務省が窓口の一点張り」で面談 できず。事態打開のため、在NY日本国総領事館 高橋礼一郎総領事(当時)あ てに、国民年金の実質減額の是正につき外務省・厚生労働省にその取り組みの 促進と解決を求めるメール、手紙による投稿を私のHPや米国各地のフリーペ ーパーで呼び掛けました。投稿された人数は不明ですが全米から多くの方が全 米から投稿してくださいました(NY総領事館では正しい投稿件数は把握して いませんでした)。その成果として、本件はワシントンDCの在米日本大使館 で担当する旨の訓令が2018年8月に外務省から発令されました。
同年10月杉山大使宛書状で是正依頼をしましたが返事を頂けないため、杉山 大使宛投稿キャンペーンを開始。2019年2月にはNY商工会議所会頭、NY日 系人会会長・事務局長が書面で杉山大使宛投稿をしてくださいました。しかし ながらそれ以降も何らの連絡も頂けないため、同年11月大使館を訪問し本件 担当されている厚生労働省から出向されている吉田書記官に面談しましたが、
交渉の現況、内容は交渉中との理由で伺うことが出来ませんでした。残念なが ら、以降なんの進展も交渉の状況の連絡もありません。
Q-15 なぜこの問題が起きてしまったのか、どうして見逃されてきたのか教え
てください。
日本政府が国民年金に関して正しい情報をSSAに提供する機会に適切な説明 をしてこなかったため誤適用が発生してしまったと推察されます。WEPの誤 適用を受けた方のクレームの声が個人ベースに留まり、大きなパワーとして届 けることが出来てこなかった。それと日本の行政が被害者の声を真摯に受け止 め改善の努力をしてこなかったためです。
Q-16 誤適用是正に対する今後の新しい展開を説明してください。
キャンペーンを通じ、多くの皆様にはお友達にもお声をかけて投稿して頂いた りしてきたにもかかわらず、何も変わらないことに正直、自責の念を感じており ました。同時に、一個人の限界を強く感じ始め組織的、継続性のある活動にしな ければと意識し始めました。そんな折、お二人の米国在住の方が活動の支援を申 し出てくださいました。期せずしてお二人とも会計士でシカゴとサンディエゴ 在住です。それ以来、協議を重ね、NPOを目指し米国で会社設立をいたしまし た。組織名は Nenkin Support Center of America です。そのミッションは
「我々の唯一の目的は、日本の国民年金を米国のソーシャルセキュリティシス テムのなかの棚ぼた規定(" Windfall Elimination Provision" or "WEP" )の対 象から外すことである。この目的達成のために、志を同じくする者を集め、ひと つの市民運動として活動を広め、継続する。目的はひとつであるため、これが達 成された暁には、組織自体の存在意義について、またその後の活動について、そ の時点のメンバーが協議をして決定することとする。この会の存在意義は広く 社会のためであり、非営利団体のものである。したがって米国歳入庁( "IRS" ) に 非 営 利 団 体 の 免 税 許 可 を 申 請 す る 。」 で す 。HP も 作 成 中 で 、 今 後
Facebook,Twitter等を通じて皆様も参加出来るようにいたします。活動の為ク
ラウドファンヂングも検討しています。今後とも共に目標に向かって頑張りま しょう。
(2020.09.25)