ホワイト ペーパー
要約
このホワイト ペーパーでは、VNX®ストレージ システムにおけ るEMC® FAST Cacheテクノロジーの概要について説明し ます。FAST Cache機能の実装、およびUnisphere®とSecure CLIを使用した操作方法について詳しく説明します。また、使用 のガイドラインやお客様の主なメリットについても説明します。
2013年12月
VNX ® FAST Cache
VNX5100 、 VNX5300 、 VNX5500 、 VNX5700 、 VNX7500
詳細レビュー
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パーツ番号:h8046.9-J
目次
エグゼクティブ サマリー ... 4
はじめに ... 4
対象読者 ... 5
用語 ... 5
グローバルなFAST CacheとTCO ... 6
FAST Cacheのコンポーネント ... 7
オペレーション原理... 8
FAST Cacheプロモーション ... 8
FAST Cacheからのフラッシュ アウト ... 11
障害処理 ... 11
管理 ... 12
ベスト プラクティス ... 18
制限事項 ... 19
結論 ... 19
参考資料 ... 20
付録A:FAST Cacheの構成オプション ... 21
付録B:FAST VPとFAST Cache ... 24
付録C:FAST Cacheとストレージ システム キャッシュの比較 ... 26
エグゼクティブ サマリー
フラッシュ テクノロジーをエンタープライズ アレイのディスク モジュール(一般にSSDと呼ぶ)
に初めて導入して以来、EMC®はこのテクノロジーの使用をすべてのストレージ システム に拡大してきました。フラッシュ テクノロジーが持つ高パフォーマンスとギガバイト単位のコ ストの急速な下落が、このキャッシュ階層の概念につながりました。キャッシュ階層とは、ス トレージ プロセッサのDRAMベースのプライマリ キャッシュとHDD(ハード ディスク ドライブ)
の間に位置する、エンタープライズ フラッシュ ドライブを使用した大容量のセカンダリ キャ ッシュです。EMC VNX®ストレージ システムでは、この機能はEMC FAST Cacheと呼ばれ ます。
FAST Cacheは、システム全体のパフォーマンスを向上させるために、ストレージ システム
の既存のキャッシュ容量を拡張します。これを実現するために、HDDより高速なフラッシュ ドライブにアクセス頻度の高いデータをコピーしてDRAMキャッシュの機能を拡張し、シス テム パフォーマンスを向上させます。また、フラッシュ ドライブは、DRAMキャッシュよりもは るかに大容量で拡張性の高いキャッシュを提供します。FAST Cacheの容量は100 GBから 2 TBまでサポートされ、既存のストレージ システムで使用できるDRAMキャッシュよりもは るかに大容量です。
システム レベルでは、FAST Cacheがフラッシュ ドライブ容量を最も効率的に使用できます。
これは、FAST Cacheが、フラッシュ ドライブを特定の用途用に割り当てるのではなく、ストレ ージ システム内で最も頻繁にアクセスするデータ用に使用するためです。FAST Cacheの 構成は、既存のメモリ割り当てインターフェイスを使用し、ホスト(サーバー)サイクルを使用 しない無停止のオンライン プロセスです。FAST Cacheは、RAIDで保護された読み取り/書 き込みモードで作成されます。容量のオプションは、ストレージ システムのモデルや、イン ストールされているフラッシュ ドライブの数と種類によって異なります。FAST Cacheを作成 し、ストレージ ボリューム上で有効化し、Unisphere®で管理できます。ユーザーが介入す ることなく、アプリケーションでFAST Cacheによるパフォーマンス メリットを確認できます。
また、VNX Block OEリリース31以降が稼働する既存のVNXシリーズ ストレージ システ ム 1で使用できます。FAST Cacheは、RAIDグループベースのLUNおよびプール ベースの LUNで使用できます。
はじめに
このホワイト ペーパーでは、FAST Cache機能の概要について説明します。FAST Cacheは、
フラッシュ ドライブ システム全体のパフォーマンス メリットの理解に役立ちます。次に、その 仕組みの概要について説明します。 ユーザー アプリケーションで特定のデータ チャンクに 頻繁にアクセスする場合、VNXは、ハード ディスク ドライブからフラッシュ ドライブにデータ チャンクをコピーして、そのチャンクをFAST Cacheに自動的にプロモートします。同じデータ チャンクへの後続のI/Oアクセスは、フラッシュ ドライブのレスポンス時に処理されるため、
ストレージ システムのパフォーマンスが向上します。このデータ チャンクのアクセス頻度が
1 VNX5100ストレージ システムでは、FAST Cache機能またはThin Provisioning™機能のいずれかを使用できますが、両方
は使用できません。 他のすべてのモデルでは、一度に両方の機能を使用できます。
減少し、その他のチャンクをFAST Cacheにプロモートする必要が生じた場合は、古いデー タからFAST Cache外に移動させます。FAST Cacheのアルゴリズムと基本的なFAST Cache の動作の詳細については、このホワイト ペーパーの「オペレーション原理」のセクションで 説明します。
対象読者
このホワイト ペーパーは、VNXストレージ システムでFAST Cache機能の使用を検討され ているEMCのお客様、パートナー様、EMCの従業員を対象としています。読者が
CLARiX®、VNXストレージ システム、およびEMCの管理ソフトウェアについて熟知している
ことを前提としています。
用語
• キャッシュ ページ:FAST Cache内に割り当てられた最小ユニットで、通常のサイズ は数キロバイトです。
• キャッシュ クリーン ページ:有効なFAST Cacheのページ。ユーザーLUNと同期され たデータのコピーが含まれます。
• キャッシュ ダーティー ページ:有効なFAST Cacheのページ。ユーザーLUNとはまだ 同期されていない、最近のデータのコピーが含まれます。
• キャッシュ有効ページ:割り当てられたユーザーLUN 上にあるデータの表示を含む、
FAST Cacheのページ。有効ページは、クリーン状態またはダーティー状態のいずれ
かになります。
• キャッシュ無効ページ:使用可能なデータが含まれていないFAST Cacheのページ。
ユーザーLUN上にあるデータは表示されません。
• キャッシュ警告:新しいページが作成されたあとにそのページをFAST Cacheにコピ ーするプロセス、または、まったく新しいデータセットの参照を開始するアプリケーシ ョンのアクセス プロファイルの変更。
• チャンク:特定のアドレス範囲内のデータ部分(64 KB)。
• DRAMキャッシュ:非常に高速のストレージ メディア(DRAM)にデータを透過的に格 納し、そのデータに対するリクエストをより高速に処理できるようにすることで、パフ ォーマンスを向上させるストレージ システムのコンポーネント。
• エクステント:隣接する物理ブロックのセット。
• FAST Cacheプロモーション:FAST Cacheが有効なバックエンドのユーザーLUNから FAST Cacheページに、データをコピーするプロセス。
• FAST Cacheライト バック:FAST Cacheページからバックエンドのハード ディスク ベ ースのLUNにデータをコピーするプロセス。
• フラッシュ ドライブ:ソリッド ステート メディアを使用してデータを格納する、データ ス トレージ デバイス。フラッシュ ドライブには可動部が含まれないため、回転式の
HDD(ハード ディスク ドライブ)に比べて極めて速いレスポンス タイムと高いIOPSを
実現できます。
• HDD(ハード ディスク ドライブ):磁気面にデータを格納し、さまざまな速度で回転す るデータ ストレージ デバイス。
• ホット スポット:LUN上で負荷の高い部分。
• 参照のローカル性:互いの距離が近い論理ブロックがほぼ同時に繰り返しアクセス されるという概念。
• 論理ブロック アドレス:ストレージ デバイス上のデータのブロックの位置を示す、
アドレス指定スキーマ。
• メモリ マップ:各ビットがFAST Cacheページを表すアドレスの配列。このマップは、
どのページがFAST Cacheにあり、FAST Cache内のどこにあるかを示します。メモリ マップのコピーはDRAMキャッシュ内にあります。そのため、ページへのアクセスは メモリの速度で行われます。
• プール:プールLUNによって使用されるディスク ドライブのグループ。システム上に 0個または1個以上のプールを構成できます。ディスクは、1つのプールのメンバ ーとしてのみ構成できます。プール ディスクをRAIDグループで使用することはでき ません。
• シンLUN:ストレージ システムによって消費される物理的スペースが、ホスト サーバ
ーによって認識されるユーザー容量を下回ることのあるプールで作成された、
ストレージの論理ユニット。
• シックLUN:ストレージ システム上で消費される物理的スペースが、ホスト サーバー
によって認識されるユーザー容量と等しいプールで作成された、ストレージの論理 ユニット。
グローバルな FAST Cache と TCO
FAST Cache機能を導入すると、フラッシュ ドライブを特定の用途用に割り当てることなく、レ
スポンス タイムがより高速でIOPSの高いフラッシュ ドライブを活用できます。このテクノロ ジーは、使用可能なストレージ システムのキャッシュを増やします(VNX7500ストレージ シ ステムで最大2 TBの読み取り/書き込み用FAST Cacheを追加。「付録A:FAST Cacheの 構成オプション」を参照)。FAST Cacheは、RAIDグループLUNまたはストレージ プール LUN上のアレイ内のホット スポットを処理します。フラッシュ
FAST Cache機能を使用する大きなメリットの1つは、アプリケーション パフォーマンスの向
上です。特に、I/Oアクティビティが頻繁で、かつ予期せず大幅に増加するワークロードで は、このメリットが顕著に現れます。アプリケーションのワーキング データセットの頻繁にア クセスされる部分を FAST Cacheにコピーすることで、アプリケーションのパフォーマンスが 直ちに向上します。FAST Cacheを使用すると、フラッシュ ドライブの速度で過度な読み取り /書き込み負荷のバーストが吸収され、アプリケーションで一貫したパフォーマンスを提供 できるようになります。
もう1つの重要なメリットは、システムのTCO(総所有コスト)の削減です。FAST Cacheは、
データのホット(アクティブ)サブセットをフラッシュ ドライブにチャンク単位でコピーし
ます。キャッシュの(ほとんどではないにしても)多くのIOPSをオフロードすることで、ユーザ ーは低コストで大容量のディスク ドライブを使用してその他のストレージのニーズを満たす
ことができます。この割合で小容量のフラッシュが大量のディスクとペアを構成することによ り、最小限のコスト(GBあたりのコスト)と最適な電力効率性(IOPS/KWH)で最高のパフォ ーマンス(IOPSあたりのコスト)が得られます。
FAST Cache Enablerをインストールすると、FAST CacheはすべてのRAIDグループLUN およびストレージ プール上でデフォルトで有効になります。FAST Cache Enablerをインスト ールする前に作成されたRAIDグループLUNとストレージ プールでは、FAST Cacheが無効 になります。これらのアイテムでFAST Cacheを使用するには、UnisphereまたはCLIを使
用してFAST Cacheを手動で有効にする必要があります。
FlashEMCでは、この機能を使用した場合のパフォーマンス メリットの特性を明らかにする
ために、特定のアプリケーション向けにFAST Cacheのテストを実施しました。以下に、各種 アプリケーションでのFAST Cacheのメリットをまとめます。
• VMware View™:リンク クローン デスクトップでは、FAST Cacheがハード ディスク ド ライブへのI/Oアクセスを削減し、フラッシュ ドライブにI/Oを指示することにより、
全体のパフォーマンスが向上します。具体的な用途としては、ブート ストーム(ハー ド ディスクのI/Oアクセスを最大99%削減)、オペレーションの再構成(ハード ディ スクのI/Oアクセスを最大70%削減)、ウイルス スキャン処理(デスクトップの完全 スキャンの所要時間を77%短縮)などがあります。HDDからのI/Oアクセスが削減 されるため、同じユーザー数を44%少ないHDDでサポートできるようになります。
• Oracle:Oracle 11g R2環境のOLTPワークロードについては、FAST Cacheの使用 により、トランザクション数が1分あたり12,500件から30,000件にパフォーマンス が向上します。同時に、レーテンシーも 14ミリ秒から5ミリ秒に削減されま
した。
• SQL Server:SQL Server OLTP環境にFAST Cacheを導入することにより、バックエン ドのファイバー チャネル ドライブ数を変更せずに、サポート ユーザー数が25,000 人から50,000人と2倍に増加しました。同時に、FAST Cacheを使用すると、レスポ ンス タイムが40秒から5秒に短縮され、1秒あたりのトランザクション数は1,300 件から2,400件に増加しました。
上記のパフォーマンス数値の詳細、実習の構成、および特定アプリケーションでの
FAST Cacheの使用に推奨されるベスト プラクティスについては、EMCオンライン サ
ポートで入手可能な各ホワイト ペーパーを参照してください。ドキュメントのタイトル については、このホワイト ペーパーの「参考資料」のセクションを参照してくだ さい。
FAST Cache のコンポーネント
FAST Cacheの機能を利用するには、FAST Cache Enablerが必要です。FAST Cache を作成するには、RAID 1 RAIDグループで構成されたフラッシュ ドライブが少なくとも 2台システムに必要です。イネーブラーをインストールすると、システムでは次の主 要コンポーネントを使用してFAST Cacheを処理および実行します。
ポリシー エンジン:FAST Cache経由のI/Oの流れを管理します。LUN上で頻繁にアクセス されるデータ チャンクは、FAST Cache(フラッシュ ドライブ)に一時的にコピーされます。他 のデータがより頻繁に使用されると、そのデータ チャンクは元のHDDにコピーされます。
ポリシー エンジンでは、これらの処理を実行するタイミングを判断します。また、ポリシー エ ンジンでは、データ アクセス パターンの統計情報も管理します。このポリシー エンジンで定 義されるポリシーは、システム定義のポリシーであり、ユーザーが変更することはできま せん。
メモリ マップ:粒度が64 KBのチャンクのエクステントの使用および所有を追跡します。
このマップは、64 KBチャンクのストレージの状態と、FAST Cacheのコンテンツに関する情 報を管理しています。メモリ マップのコピーは、DRAMメモリに保存されているため、ストレ ージ システム内にFAST Cache Enablerがインストールされている場合、既存のSPの読み 取りおよびライト キャッシュを一時的に無効にして、FAST Cacheのメモリ マップに領域を割 り当てる必要があります。メモリ マップが作成されたあと、サイズ変更されたSPの読み取 りおよびライト キャッシュは、ストレージ システムで自動的に再有効化されます。メモリ マッ プのサイズは、作成されるFAST Cacheのサイズに比例して増加します。メモリ マップのコ ピーは、データの整合性と高可用性を維持するために、フラッシュ ディスクにもミラーされ ます。
オペレーション原理
FAST Cacheプロモーション
HDD上でビジーになったデータは、FAST Cacheにプロモートされます。これは、非同期プロ セスです。FAST Cacheへのデータ プロモーションは、ストレージの64 KBチャンク内の(読 み取り/書き込み)アクセス回数に左右されますが、DRAMキャッシュにデータがすでにある かどうかは関係ありません。その階層のフラッシュ ドライブまたは「極限パフォーマンス」ド
ライブでFAST VPが有効になっている場合は、データがすでにフラッシュ ドライブに存在す
るため、その階層からのI/OはFAST Cacheにプロモートされません。FAST VPとFAST Cacheの連携方法について詳しくは、「付録B:FAST VPとFAST Cache」を参照してください。
たとえば、ストレージ システムでFAST Cacheが作成された直後に、アプリケーションから I/Oリクエストを受信したとします。この場合、FAST Cacheにはまだ何もプロモートされてい ないので、FAST Cacheのメモリは空です。
• 最初にI/Oがアプリケーションから送信されると、FAST Cacheのポリシー エンジン は、このI/Oのデータ チャンクに対するFAST Cacheのメモリ マップのエントリーを 検出します。この段階ではメモリ マップが空なので、HDDのLUNからデータにアク セスします。これを「FAST Cacheミス」と言います。EMCでは、FAST Cacheが有効な LUNにアクセスするたびにメモリ マップをチェックする場合、最小限のパフォーマン スのオーバーヘッドが発生することがわかっています。
• ストレージの64 KBチャンクのデータにアプリケーションが頻繁にアクセスする場合、
ポリシー エンジンは、そのチャンクをハード ディスクLUNからFAST Cacheにコピー します。メモリ マップは更新され、データ チャンクがFAST Cacheにあることが示され ます。この動作を「プロモーション」と呼び、この時間をFAST Cacheの「ウォームアッ プ時間」と呼びます。ストレージ システムでは、プロモーションのオーバーヘッドがス トレージ システムの性能の指定された割合を超過しないように、このアクティビティ を制御しています。
o FAST Cacheによるパフォーマンスの向上が現れるまでに、多少のウォーム アップ時間が必要です。ウォームアップ時間は、FAST Cache機能のプロモー ション処理の大部分を占めます。ウォームアップ時間は、FAST Cacheが作 成されたばかりで、データが空のときに発生します。また、アプリケーション のワーキング データセットが大幅に変更されたときや、現在のFAST Cache データが参照されなくなったときにも発生します。この段階では、FAST Cache ヒット率は低いため、レスポンス タイムはHDD LUNと同程度になります。
FAST Cacheヒット率が増加すると、レスポンス タイムも徐々にフラッシュ ドラ
イブと同等レベルに変化していきます。
o ウォームアップ時間は、特にバックエンドのHDDの数およびタイプに左右さ れます。たとえば、80台のSASドライブの構成はワーキング データセットが 大きいので、20台のSASドライブの構成よりもウォームアップ時間が短くな ります。同様に、バックエンドのSAS HDDでFAST Cacheを使用する場合、
バックエンドの NL-SAS HDDを使用する場合に比べてウォームアップ時間は 短くなります。これは、NL-SASドライブのレスポンス タイムが通常、SASドラ イブよりも高速なためです。したがって、アプリケーションのレイアウトを設計 する際には、FAST Cacheで安定したパフォーマンスを達成できるまでにウォ ームアップ時間がかかることを覚えておくことが重要です。
• アプリケーションがこのデータに再びアクセスすると、ポリシー エンジンではこのデ ータがFAST Cacheにあることがわかります。これを「FAST Cacheヒット」と呼びます。
データがフラッシュ ドライブから直接アクセスされるため、アプリケーションのレスポ ンス タイムは非常に短く、IOPSは高くなります。一定時間の間にワーキング セット のかなりの部分が FAST Cacheにプロモートされる場合、バックエンドで性能の低い HDDを使用している場合でも、アプリケーションの平均パフォーマンスを向上させる ことができます。
読み取り
ホスト アプリケーションからの着信I/OがFAST Cacheのメモリ マップと照合され、I/Oがす
でにFAST Cacheに存在するチャンクに対するものかどうかが判定されます。
そのデータ チャンクがFAST Cacheにない場合、I/Oリクエストは、ストレージ システムに
FAST Cacheが設定されていない場合と同じパスに送出されます。
一方、データ チャンクがFAST Cacheにある場合は、ポリシー エンジンによってI/Oリクエ ストが FAST Cacheにリダイレクトされます。ホストI/Oリクエストで読み取り処理が要求 され、ターゲットのデータがDRAMキャッシュにある場合、データはDRAMキャッシュから読 み出されます。データがDRAMキャッシュにない場合は、FAST Cacheからデータが読み出 され、DRAMキャッシュにもコピーされます(HDDからデータを読み出すときと同様)。
図1:FAST Cacheの読み取り処理 書き込み
ホストI/Oリクエストが、FAST Cacheにあるデータ チャンクの書き込み処理であり、LUN のライト キャッシュが無効でない場合、DRAMキャッシュが新たな「書き込み」で更新され、
ACKがホストに返信されます。ホスト データは、直接FAST Cacheには書き込まれません。
データをDRAMキャッシュの外に移動する必要がある場合は、FAST Cacheに書き込まれ ます。データはHDDではなくフラッシュ ドライブに書き込まれるため、DRAMライト キャッシ ュのダーティー ページ数を制限または減少できる場合があります。
注:FAST Cacheがストレージ システム内にインストールされ、有効になっている場合でも、
I/O動作は可能な限りDRAMキャッシュから直接処理されます。
図2:FAST Cacheの書き込み処理
図3:LUNのライト キャッシュが無効になっている場合の書き込み処理
FAST Cacheからのフラッシュ アウト
特定の条件下では、データがFAST CacheからバックエンドのHDDにコピーされます。この 動作をライト バック処理と呼びます。ライトバック処理は、FAST Cacheプロモーションがスケ ジュールされているが、FAST Cacheが使用できる空きページやクリーン ページが存在しな い場合に発生します。その場合、ダーティー ページがFAST Cacheからコピーされ、新しい データの領域を確保するためにHDD LUNに書き込まれます。LRU(Least Recently Used)
アルゴリズムは、フラッシュするデータ ブロックを判断して、新しいプロモーション用のスペ ースを確保します。
小さいブロックのシーケンシャルで高頻度なアクセスフィルター
VNX OEリリース32では、領域上のローカル性の高いワークロードによる小さいブロックの
シーケンシャルで短期間のアクティビティのバーストへの対処が改善されています。以前は、
再ヒットの可能性が低いこれらのワークロードが、ページがFAST Cacheにプロモートされる トリガーとなり、メリットがほとんど得られませんでした。この機能拡張により、FAST Cache を使用するシステムにとって最もメリットが大きい時間のかかるデータ アクセス パターンを、
FAST Cacheがよりインテリジェントに識別し、ほとんどメリットがないアクセス パターンを避
けるようになります。
障害処理
FAST Cacheとして構成されたフラッシュ ドライブでは、VNXのグローバル ホット スペア ア ルゴリズムが使用されます。グローバル ホット スペアは、グループ内のいずれかのドライ ブが故障した場合に、冗長構成のRAIDグループを自動的にオンラインで再構成します。
EMCは、プロアクティブ ホット スペアを採用して、この機能性をさらに拡張しました。プロア クティブ ホット スペアでは、ドライブで障害が発生しそうになると、これを認識して、障害が 起こる前にドライブのコンテンツを先制的にコピーします。これらの機能を組み合わせるこ とで、各 RAIDグループでドライブのさらなる障害への脆弱性を最小限に抑え、データの喪 失を防止します。パフォーマンス上の理由から、グローバル ホット スペアとして構成された
フラッシュ ドライブだけが、FAST Cacheで故障したフラッシュ ドライブをリプレースできます。
また、ホット スペアは、FAST Cacheに使用されるフラッシュ ドライブとストレージ システムの 別の場所で使用されるフラッシュ ドライブの間で共有できます。
ホット スペアが使用できない場合、単一ペアのFAST Cacheドライブが縮退モードのままに なり、キャッシュ ページ クリーニングのアルゴリズムにより、FAST CacheページがFAST
Cacheフラッシュ ドライブからHDDにコピーされる比率が高まります。この場合、FAST
Cache RAIDグループからの読み取り処理のみが許可されます。そのため、非冗長RAID
グループでドライブが故障した場合に、ドライブのデータ喪失の潜在的リスクが低減します。
この状態では、縮退RAIDグループが対応していた書き込み処理が、HDDによって処理さ れます。FAST Cacheに他のRAIDグループが存在する場合、それらが読み取り/書き込み 機能を継続します。縮退RAIDグループが修復されると、FAST Cacheはそれに対してデー タの再ウォームをシームレスに開始します。
管理
FAST Cacheの作成、管理、および監視には、UnisphereまたはSecure CLIを使用すること ができます。Unisphereの詳細については、EMCオンライン サポートで入手できるホワイト ペーパー「EMC Unisphere:Unified Storage Management Solution」に記載されています。
これ以降のセクションでは、UnisphereとSecure CLIのFAST Cacheに関係する部分につ いて説明します。FAST Cacheの構成オプションの詳細については、「」を参照してください付 録A:FAST Cacheの構成オプション。
Unisphere
Unisphereの[System]タブの右側には、[System Properties]および[Manage Cache]とい う2つのリンクがあります。この2つのリンクのどちらをクリックしても、[System Properties]
ウィンドウが開きます(図4)。
FAST Cacheを有効にするには、[System Properties]ウィンドウの[FAST Cache]タブをクリ ックしてFAST Cache情報を表示します。ストレージ システムでFAST Cacheがまだ作成さ れていない場合、ダイアログ ボックスの最下部にある[Create]ボタンが有効になります。
[Destroy]ボタンは、作成済みのFAST Cacheがある場合に有効になります。
図4:[Storage System Properties]ダイアログ ボックス
FAST Cacheが作成済みの場合、FAST Cacheの構成の詳細を反映して、[State]、[Size]、
および[RAID Type]フィールドが更新されます。FAST Cacheが作成済みの場合、[RAID Type]フィールドにはRAID 1が表示されます。[Create]をクリックすると、[Create FAST Cache]ダイアログ ボックスが表示されます(図5)。
図5:[Create FAST Cache]ダイアログ ボックス
FAST Cacheを有効化するための十分な数のフラッシュ ドライブが使用できない場合は、
Unisphereによってエラー メッセージが表示され、FAST Cacheを作成できません。スクリーン の下の部分に、FAST Cacheを作成するために使用するフラッシュ ドライブが表示されます。
[Manual]オプションを選択すると、ドライブを手動で選択できます。FAST Cacheを構成し たあとにそのサイズを変更するには、FAST Cacheを破棄して再作成する必要があります。
この場合、FAST Cacheのすべてのデータをデステージする必要があります。FAST Cache を再作成する場合は、データを再取り込みする必要があります(ウォームアップ時間)。
図6 次に、[Create LUN]ダイアログ ボックスの[Advanced]タブで、LUNに対して FAST Cacheを有効にする方法を示します。
RAIDグループ内にLUNが作成済みの場合は、[LUN Properties]ダイアログ ボックスの
[FAST Cache]タブをクリックして、FAST Cacheを構成します(「図7」を参照)。
図6:[Create LUN]ダイアログ ボックスの[Advanced]タブ
図7:[LUN Properties]ダイアログ ボックスの[Cache]タブ
ストレージ プールでFAST Cacheを使用する場合は、プールごとにFAST Cacheを有効にで きます。ストレージ プールに作成されたすべてのLUNでは、FAST Cacheがすべて有効ま たは無効になります。プール上のFAST Cacheは、図8に示す[Create Storage Pool]ダイ アログ ボックスの[Advanced]タブで構成できます。
図8:[Create Storage Pool]ダイアログ ボックスの[Advanced]タブ
ストレージ プールがすでに作成されている場合は、[Storage Pool Properties]ダイアログ ボックスの
[Advanced]タブを使用して、FAST Cacheを有効にします(図9を参照)。
図9:[Storage Pool Properties]ダイアログ ボックスの[Advanced]タブ
Unisphereの任意のテーブル([LUN]テーブルなど)にFAST Cacheのプロパティを表示す るには、テーブル ヘッダーを右クリックし、[Choose Columns]を選択します。または、テー ブルの右上隅にある[Tools]アイコンをクリックして、[Choose Columns]を選択します。
この操作で表示されるダイアログ ボックス(図10)で、[FAST Cache]を選択できます。 FAST
Cacheのプロパティは、テーブルのエントリーごとに表示されます。
図10:UnisphereでFAST Cache情報の表示を選択する
Secure CLI
前のセクションで説明した管理機能は、Unisphere CLIを使用して実行することもできます。
FAST Cache用のCLIコマンドには、次のものがあります。
タスク CLIコマンド
FAST Cacheの作成 cache ‒fast ‒create
FAST Cacheの破棄 cache ‒fast ‒destroy
FAST Cache情報の取得 cache ‒fast ‒info
RAIDグループLUN作成時のFAST Cacheの構成 bind … -fastcache 0|1
RAIDグループLUNでのFAST Cacheの有効化または
無効化 chglun ‒l <LUN #> -fastcache 0|1
RAIDグループLUNからのFAST Cache構成情報の取
得 getlun <LUN #> -fastcache
ストレージ プール作成時のFAST Cacheの構成 storagepool ‒create … -fastcache on|off 既存のストレージ プールでのFAST Cacheの構成 storagepool ‒modify ‒id <#> -fastcache on|off ストレージ プールでのFAST Cacheの状態の取得 storagepool ‒list ‒id <#> -fastcache
「…」は、追加のCLIオプションが必要であることを示しています Unisphere Analyzer
Unisphere Analyzerでは、FAST Cacheの統計を収集してパフォーマンスを監視します。こ れらの統計を表示するには、次の手順に従ってAnalyzerの詳細モードを有効にします。
1. Unisphereで、[Systems]タブをクリックします。
2. [Monitoring and Alerts]をクリックします。
3. [Statistics for Block]をクリックします。
4. [Customize Charts]をクリックします。
5. [General]タブをクリックします。
6. [Advanced]チェックボックスをオンにします。
7. [OK]をクリックして、設定を適用します。
ストレージ プロセッサ レベルでは、以下のFAST Cache統計が表示されます。
• FAST Cacheのダーティー ページ(%)
• FAST Cacheフラッシュ容量(MB/秒)
RAIDグループLUNおよびストレージ プールについては、以下のFAST Cache統計が表示 されます。
• FAST Cache読み取りヒット回数/秒
• FAST Cache読み取りミス回数/秒
• FAST Cache読み取りヒット率
• FAST Cache書き込みヒット回数/秒
• FAST Cache書き込みミス回数/秒
• FAST Cache書き込みヒット率
EMCオンライン サポートには、これらの統計を表示する場合に役立つビデオが用意されて います。EMCオンライン サポートにログインして、FAST Cacheのビデオの「Analyzerシリー ズ」を検索してください。
ベスト プラクティス
• FAST Cacheに適したアプリケーション ワークロードは次のとおりです。
o ローカル性の高い小ブロック ランダムI/Oアプリケーション o データの再ヒット:同じデータへの高頻度アクセス
o 現在のパフォーマンスがSPの機能ではなくHDDの機能によって制限され るシステム
• FAST VPまたはFAST Cacheで使用するフラッシュ ドライブやオプションの数に制限 がある場合は、フラッシュ ドライブを使用してFAST Cacheを作成することをお勧め します。次に、FAST VPが有効化されたストレージ プールで、残りのフラッシュ ドライ ブを使用します。FAST Cacheにはグローバルな性質があり、ストレージ システム内 のすべてのLUNとプールでメリットが得られます。FAST VPのメリットを受けられる のは、フラッシュ ドライブがあるストレージ プールだけです。FAST CacheとFAST VP の詳細については、「付録A:FAST Cacheの構成オプション」を参照してください。
• VNX5100ストレージ システムでは、FAST Cache機能またはシン プロビジョニング 機能のいずれかを使用できますが、両方は使用できません。Thin Provisioning™機 能がストレージ システムにインストールされている場合、FAST Cacheは使用できま せん。FAST Cacheを使用している場合、シン プロビジョニングは使用できません。
他のすべてのVNXモデルでは、一度に両方の機能を使用できます。
• Unisphereを使用して、FAST Cacheの作成に使用するフラッシュ ドライブを選択で きます。また、これらのドライブを手動で選択して、バックエンド バス間にフラッシュ ドライブを分散させることができます。DPEまたはDAE-OSエンクロージャ(0_0)に、
別のエンクロージャのドライブとミラーされるドライブを配置しないようにしてください。
たとえば、0_0のディスクを1_0のディスクとミラーリングしないでください。
• FAST Cacheでは、現在のボトルネックがドライブ関連である場合に全体的なシステ
ム パフォーマンスを改善できますが、IOPSを上げるとSP上のCPUの利用率が増 加します。システムをサイズ変更して、維持される最大使用率が70%になるように します。 既存のシステムでは、SP CPUの使用率を確認してください。 使用率が
80%を超えた場合は、EMCのストレージのスペシャリストに問い合わせてシステム
の稼働状態を確認し、次の手順を決定してからFAST Cacheを有効にしてください。
• FAST Cacheは、主なワークロードがランダムな小さいブロックの場合、最もメリット
が得られます。FAST Cacheを最大限に活用するには、主なワークロードがシーケン シャルI/Oまたは大きなブロックのI/Oの場合、FAST Cacheを有効にしないように します。
• ランダムな小さいブロックのワークロードで FAST Cache を最大限に活用できるので、
データベース ログ、循環ログ、VNX File SavVol LUNなど、小さいブロックのシーケン シャルなワークロードではFAST Cacheを有効にしないようにします。
注:ストレージ プールの場合、FAST Cacheはプール全体の機能になるため、プール レベル で(プール内のすべてのLUNを対象にして)有効化/無効化します。
詳細なベスト プラクティスについては、EMCオンライン サポートにあるホワイト ペーパー
「VNX Unified Best Practices for Performance」を参照してください。特定のアプリケーション
でFAST Cacheを使用する際のガイドラインについては、各アプリケーションに関するホワイ
ト ペーパーを参照してください。
制限事項
• MirrorView™やSnapView™などの一部のオプションのアプリケーションには、プラ
イベートLUNが必要です。これらのLUNはストレージ システムのライト キャッシュ の優先度に合わせてすでに最適化されているので、FAST Cacheを使用する必要は ありません。したがって、FAST Cacheへの不要なプロモーションを回避するために、
MirrorViewのライト インテント ログとSnapViewのクローン プライベートLUNでは FAST Cacheを無効化することをお勧めします。
• SnapViewスナップショット、およびMirrorView/AやSAN Copy™(差分セッション)な どの関連するレプリケーション ソフトウェアでは、予約済みLUNが必要です。FAST
Cacheは、予約済みLUNのパフォーマンス向上には寄与しませんが、ライト インテ
ント ログおよびクローン プライベートLUNとともに使用されるため、パフォーマンス を損いません。予約済みLUNでFAST Cacheを無効にすると、FAST Cache全体の ワークロードを最小化できます。FAST Cacheは、予約済みLUNがRAIDグループ内 に作成されている場合、LUNレベルで無効にできます。予約済みLUNがプール内 に作成され、プール内のその他のLUNでFAST Cache機能が必要な場合、予約済 みLUNでFAST Cacheが有効なままにできます。
• FAST Cacheは、それ以前は読み取りまたはライト キャッシュに使用できた、ストレー
ジ システムのメモリの一部を使用します。メモリ使用量は、ストレージ システムのモ
デルとFAST Cacheのサイズによって異なります。この動作は、追加のメモリ アップ
グレードを備えたVNX7500では発生しません。
• ヴォールト ドライブ内に取り付けられたフラッシュ ドライブは、FAST Cacheの作成に は使用できません。VNX OEではこの使用方法が制限されます。
結論
FAST Cacheを使用すると、参照のローカル性が高いデータに対して、ストレージ システム
でフラッシュ ドライブ クラスのパフォーマンスを発揮できるようになります。このワーキング データセットによって、フラッシュ ドライブ上にすべてのデータを配置しなくてもIOPSが向上 します。FAST CacheではアプリケーションからのI/Oバーストを吸収するため、HDDの負荷 が削減され、ストレージ ソリューションのTCOの改善に役立ちます。FAST Cacheは、
Unisphereを通じてわかりやすく直感的な方法で管理できます。
FAST Cacheは、シーケンシャルなワークロード、大きなブロックのワークロードなど、一部 のワークロードには本質的に適合しない場合があります。アプリケーションI/Oのプロファ イルを分析して、パフォーマンスのメリットが得られる可能性を判断します。
FAST Cacheは、FAST VPテクノロジーの補完的機能として使用することができます。
この2つのテクノロジーを使用すると、使用パターンに応じて最適なストレージ階層にデー タ セグメントを配置できます。
参考資料
以下のホワイト ペーパーは、EMCサポート ゾーンで入手できます。
• EMC Unified Storage System Fundamentals for Performance and Availability
• EMC VNX FAST VP
• EMC Unisphere:Unified Storage Management Solution
• EMC VNX Virtual Provisioning
• Leveraging EMC FAST Cache with Oracle OLTP Database Applications
• EMC® Infrastructure for VMware® View™ 5.0
• Applied Best Practices Guide:EMC VNX Unified Best Practices for Performance
• お客様向けテクニカル プレゼンテーション:EMC Multisite Disaster Recovery For Microsoft SQL Server 2012—EMC VNX5700、EMC FAST Cache、SQL Server AlwaysOn可用性グループ
付録 A:FAST Cache の構成オプション
表1:100 GBフラッシュ ドライブを使用するVNXストレージ システムのFAST Cache の構成オプション
モデル FAST Cacheの容量
(GB)
100 GBフラッシュ ドライブ の数
VNX5100 100 2
VNX5300 100 2
200 4
300 6
400 8
500 10
VNX5500 100 2
200 4
300 6
400 8
500 10
600 12
700 14
800 16
900 18
1,000 20
VNX5700 100 2
200 4
300 6
400 8
500 10
600 12
700 14
800 16
900 18
1,000 20
1,100 22
1,200 24
1,300 26
1,400 28
1,500 30
モデル FAST Cacheの容量
(GB)
100 GBフラッシュ ドライブ の数
VNX7500 100 2
200 4
300 6
400 8
500 10
600 12
700 14
800 16
900 18
1,000 20
1,100 22
1,200 24
1,300 26
1,400 28
1,500 30
1,600 32
1,700 34
1,800 36
1,900 38
2000 40
2,100 42
表2:200 GBフラッシュ ドライブを使用するVNXストレージ システムのFAST Cache の構成オプション
モデル FAST Cacheの容量
(GB)
200 GB
フラッシュ ドライブの数
VNX5100 N/A* N/A*
VNX5300 200 2
400 4
VNX5500 200 2
400 4
600 6
800 8
1,000 10
VNX5700 200 2
400 4
600 6
800 8
1,000 10
1,200 12
1,400 14
VNX7500 200 2
400 4
600 6
800 8
1,000 10
1,200 12
1,400 14
1,600 16
1,800 18
2000 20
*VNX5100では、FAST Cacheのオプションは100 GB(使用可能)のみとなります。
そのため、このプラットフォームでは200 GBフラッシュ ドライブを使用してFAST Cacheを構成できません。
付録 B:FAST VP と FAST Cache
FAST VPは、VNX OEリリース30で導入された新しい機能です。FAST VPは、複数の ドライブ タイプからなるストレージ プール内のサブLUNレベルで、1 GBデータ チャ ンクに対するストレージ階層化を実行します。FASTVPは、より多くのアクティブ チャ ンク(より頻繁にアクセスされるデータ)を、最適なパフォーマンスのストレージ階層に 自動的に移行し、あまりアクティブでないチャンクをパフォーマンスの劣る(より低コ ストの)階層に移行することにより、TCO(総所有コスト)を削減します。この機能の詳 細については、EMCオンライン サポートにあるホワイト ペーパー「EMC VNX FAST VP」 を参照してください。
表3:FAST VPとFAST Cacheの機能の比較
FASTキャッシュ FAST VP フラッシュ ドライブを使用して、ストレージ シ
ステムの既存のキャッシュ容量を拡張でき ます。
ストレージ プールを使用することにより、単一 のLUNで複数のタイプのドライブのメリットを 活用できます。
粒度は64 KB。 粒度は1 GB。
頻繁にアクセスされるデータをHDDからフラ ッシュ ドライブにコピーします。
一定期間に収集されたアクセスの重み付け平 均の統計に基づいて、異なるストレージ階層 間でデータを移行する。
ワークロードの変化が予測不能かつ非常に 動的で、迅速なレスポンス タイムを必要とす る場合に使用します。
ワークロード パターンの変化が予測可能で比 較的少ない場合に使用します。
アクセス頻度の高いHDDのデータを常時 FAST Cacheにプロモートします。再配置サイ クルはなし。
データの移行は、スケジュールに従って実 行されるか、再配置ウィンドウを手動で呼び 出す。
FAST Cacheにプロモートする必要があるデ ータを判断するための計算を継続的に実行 できます。
移動の必要があるデータ部分を判断するため の計算を1時間に1回実行できます。
FAST CacheおよびFAST VPを使用すると、ストレージ システムのパフォーマンスを 高めTCOを低減できます。例として、フラッシュ ドライブを使用してFAST Cacheを作 成し、SASおよびNL-SASディスク ドライブで構成されたストレージ プールでFAST VP 機能を使用することができます。パフォーマンスの観点から言うと、FAST Cache機能 にはバースト データに直接のメリットがあり、FAST VP機能は、よりアクティブなデー タをSASドライブに、あまりアクティブでないデータをNL-SASドライブに移行するとい う方式をとっています。TCOに関しては、FAST Cacheは、より少ないフラッシュ ドライ ブでアクティブ データに対処でき、FAST VPはSASおよびNL-SASドライブを使用し てディスク使用率と効率性を最適化します。
参照のローカル性が高く、バーストが生じやすいデータに対応するためにストレージ システムのパフォーマンスを直ちに改善する必要がある場合、一般的にはFAST
Cacheを使用します。一方、FAST VPを使用してTCOを最適化する場合は、保持して いるデータの一定期間のアクセス数および需要に応じて、適切なストレージ階層に データを移行します。FAST Cacheはパフォーマンス向上を重視し、FASTはTCOの改 善を重視した機能です。これらの機能は相互に補完し合うため、両方を使用するこ とで、パフォーマンスを向上させてTCOを削減できます。
FAST CacheをFAST VPと連携させると、不必要なタスクのためにリソースが無駄に 使用されることがなくなります。次に例を挙げます。
• FAST VPがデータ チャンクをフラッシュ ドライブに移行した場合、FAST Cacheでは、たとえ プロモーション条件に一致しても、そのデータ チャンクをFAST Cacheにプロモートしません。
これにより、あるフラッシュ ドライブから別のフラッシュ ドライブにデータがコピーされる場合 のリソースの無駄がなくなります。
• バーストが生じやすいワークロードでFAST Cacheが有効なLUNの特定のチャンクへのア クセスが開始されると、FAST VPはそのチャンクを異なるストレージ階層にすぐには移行し ません。その代わりに、FAST Cacheはチャンクをキャッシュにプロモートします。チャンクが プロモートされたあと、大部分のI/O動作はFAST Cacheから実行されます。その結果、バ ックエンドLUNでのアクティビティが減少し、FAST VPでは、より高いストレージ階層へのチ ャンクの移行が不要になることがあります。この場合、アプリケーションのワークロードで一 時的なバーストが発生すると、FAST VPによるデータ移行の開始が回避されます。
• 前述のシナリオに対し、アプリケーション ワークロードが持続的に増加している場合、FAST
Cacheでは、HDD LUNにデータを書き戻して、新たなプロモーション用の領域を作成する必
要があります。この処理は、バックエンドのアクティビティとして登録されます。最終的に、
FAST VPは、より高いストレージ階層(フラッシュ ドライブを選択できる)へのデータ チャンク
の移行をスケジュールします。この移行が完了した際に、FAST Cacheでは、フラッシュ ドラ イブのストレージ階層の既存データはプロモートしません。
• フラッシュ ドライブをFAST Cache用に使用すると、I/O使用パターンが変化したときのパフ ォーマンスのメリットが大きく、レスポンス タイムも速くなります。RAID 1アーキテクチャによ
りFAST Cacheでパリティのオーバーヘッドが高くなる欠点は、DRAMキャッシュのパフォー
マンス向上により相殺されます。パフォーマンスのメリットは、HDDへの書き戻しではなく、
FAST Cache内I/OのDRAMからフラッシュ ドライブへのフラッシュです。この動作は、FAST
Cacheが有効化されていない場合に発生します。
付録 C:FAST Cache とストレージ システム キャッシュの比較
FAST Cacheは、半導体ベースのストレージ テクノロジーです。この機能では、ストレ
ージ システムの高速で容量が限られたDRAMキャッシュと、より低速で容量の大き いHDDの間に、フラッシュ メモリ ベースで大容量のセカンダリ キャッシュ層を提供し ます。
表4:DRAMメモリとFAST Cacheの比較
特性 DRAMキャッシュ FASTキャッシュ 位置 CPUの最も近くに位置し、レーテンシ
ーが最も低い。
CPUから一段離れたところにあり、
DRAMキャッシュより速度が 遅い。
レスポンス タ イム
レスポンス タイムは数ナノ秒から数 マイクロ秒程度。
レスポンス タイムは数マイクロ秒 から数ミリ秒程度。
アップグレー ド性
アップグレード キットは、VNX 7500 でのみに用意されています。
サポート対象のすべてのモデルで アップグレード可能。オプションは、
ストレージ システムのモデルとフラ ッシュ ドライブのタイプにより異な ります。
処理 読み取り処理と書き込み処理で、
ユーザー構成可能な別々の領域 が存在します。
読み取り処理と書き込み処理を単 一の領域で行う。
容量 FAST Cacheに比べてサイズが制限
されます。
はるかに大容量に拡張できます。
粒度 粒度が非常に高く、実質的にI/Oサ イズで処理される。キャッシュ ペー ジ サイズは、2 KBから16 KBの 間で、ユーザーが設定できます。
64 KBの粒度のエクステントで動
作する。
可用性 障害発生時に、資格のある担当者 がサービスを交換する必要がある。
障害発生時に、別のフラッシュ ド ライブのホット スペアにより故障し たドライブが自動的に交換され、
故障したコンポーネントはユーザ ーが交換できます。
電源障害 コンテンツは揮発性であるため、
停電時には失われる。
コンテンツは不揮発性で、停電時 にも維持される。