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薬学の未来にむけて:アカデミア創薬への挑戦

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

 第 4  期科学技術基本計画に基づき、昨年 6 月に医 療イノベーション 5 か年戦略、続いて 7 月に日本再 生戦略が発表され、アカデミア創薬を後押しする体 制が整いつつある。例えば現在、省庁の枠組みを超 え、そして産官学が一体となり、「大学等の医薬品 シーズを掘り出し、目利きすること」、「核酸や抗体 といったバイオライブラリに加え、薬用植物由来の 化合物ライブラリを整備すること」などを目的に、

大阪府茨木市彩都の医薬基盤研究所を中心とした、「創 薬支援ネットワーク」構想も進んでいる。この「創 薬支援ネットワーク」に関しては、大阪大学の理工 系・医療系研究科、特に昨年 12 月に発足した「未 来戦略機構創薬基盤科学研究部門」との連携が期待 されていることも相俟って、「くすりのまち(道修町)」

を、お膝元に抱えた大阪大学への期待(阪大発創薬)

は加速度を増して高まっている。このような背景の もと、薬学研究科では、国内外における強みである

「創薬基盤技術力」と「創薬臨床力」をさらに高め、

阪大発の「ものづくり(創薬)」に貢献すべく、新 たな取組に挑戦しており、本稿でその背景と触りを、

部局を代表して紹介させて頂きたい。

 アカデミア創薬には、「魔の川:基礎」、「死の谷:

基礎〜臨床」、「ダーウィンの海:臨床〜実用化」と 呼ばれる、三つの障壁があると指摘される。大阪大 学では、このうち「魔の川」の克服に関しては、文

科省「化合物ライブラリを活用した創薬等最先端研 究・教育基盤の整備」や「創薬等支援技術基盤プラ ットフォーム」が、薬学研究科を世話部局として採 択されるなど、その基盤整備が進んでいる。一方で

「ダーウィンの海」に関しても、厚労省「早期探索 的臨床試験拠点」や文科省「TR 実践のための戦略 的高機能拠点整備」などが阪大病院で、また厚労省

「革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促 進事業」が医学系研究科と薬学研究科で各々採択さ れるなど、臨床研究、トランスレーショナルリサー チ(TR)研究やレギュラトリーサイエンス(RS)

研究も充実しつつある。しかし 基礎から臨床への 橋渡し 、所謂、「死の谷」を乗り越えるための研究 とその支援、そしてその整備は未だ、手薄と言わざ るを得ない。即ち、依然として、薬物動態(ADME)

と毒性(T)の不具合が、折角、苦労して基礎開発 してきた医薬品候補化合物をドロップアウトさせて しまう要因となっている。例えば、バイオ医薬品が 開発中止に追い込まれてしまう主な原因は、第一に、

毒性と薬効との兼ね合い(リスクとベネフィットと のバランス)がまずいことにあり、次いで、薬物動 態の問題、例えば、水溶性や吸収性、安定性、体内 分布の悪さが原因となる。そのため、アカデミアに 限らず、創薬全般の成否の鍵は、「安全性や薬効、

薬物動態を評価、コントロールできる基盤技術を如 何に開発するか。」にかかっていると言っても過言 ではない。「薬学」は本質的に、この「死の谷」の 克服に強みと特色を有する「ヒトの健康確保を考究 する生命科学」であり、「薬学」の未来の一つは、

まさに、ここにある。

 本観点から薬学研究科では、附属創薬センターに て、ADMET(医薬品の体内吸収性、分布、代謝、

蓄積・排泄、毒性)解析・評価とその制御に資する 基盤技術の確立を図っており、例えば、安定で有効、

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生 産 と 技 術  第65巻 第2号(2013)

1969年1月生

大阪大学薬学研究科修了(1993年)

現在、大阪大学薬学研究科 毒性学分野 研究科長・学部長、教授 薬学博士 ADMET学・安全科学・蛋白質工学 TEL:06-6879-8230

FAX:06-6879-8234

E-mail:[email protected]

薬学の未来にむけて:アカデミア創薬への挑戦

Yasuo TSUTSUMI

The future of Pharmacutical Sciences : The Challenge to the Academic Drug Innovation Key Words:Nanotechnology, Safety Science, Antisense, iPS

堤   康 央

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しかも安全な「革新的な核酸医薬」を創成中である。

また肝毒性予測など、医薬品のヒト ADMET を前 臨床で検討できる「iPS 細胞を利用した創薬支援基 盤技術」の確立にも挑戦しており、国内外に先駆け た成果が得られつつある。これら「創薬基盤技術力」

の底上げと共に、その両輪として、「RS・薬事」を 付加価値とし、未来医療としての TR や治験をも推 進できる、「創薬臨床力」に優れた医療人を育成す

るための新しい教育研究プログラム「Pharm D コ ース(大阪大学)」を、附属実践薬学教育研究セン ターをコアに、阪大病院(未来医療開発部・薬剤部 など)、MEI センター等との連携で立ち上げようと している。大学改革実行プランなど、大学を取り巻 く環境は激変しつつあるが、アカデミア創薬を目指 した薬学研究科に対し、ご叱責とご支援を賜れば幸 いである。

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生 産 と 技 術  第65巻 第2号(2013)

参照

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