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学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 2 項に該当

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Academic year: 2021

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ふ り が な

氏 名

こぶち けんじろう

小渕 健二朗

学 位 の 種 類 博士(歯学)

学 位 記 番 号 甲 第 859 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 2 年 3 月 6 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 2 項に該当

学 位 論 文 題 目 Nasal double DNA adjuvant induces salivary FimA-specific secretory IgA antibodies in young and aging mice and blocks Porphyromonas gingivalis binding to a salivary protein

(ダブル DNA アジュバント経鼻投与による若・老齢マウス 唾液抗原特異的 IgA 抗体は Porphyromonas gingivalis の 唾液タンパクへの結合を阻害する )

学 位 論 文 掲 載 誌 BMC Oral Helth 第 19 巻 第 1 号 令和元年 12 月

論 文 調 査 委 員 主 査 梅田 誠 教授 副 査 三宅 達郎 教授 副 査 沖永 敏則 教授

論文内容要旨

チロシンキナーゼ型受容体に結合する造血因子Flt3 ligand (FL)は、造血幹細胞や樹状細胞の分化・

増殖作用を有するサイトカインであり、そのFLを発現する DNAプラスミド(pFL)と自然免疫を誘導する TLR9 のリガンド1本鎖CpG オリゴデオキシヌクレオチド1826(CpG ODN)を併用した粘膜アジュバント は、マウスにニワトリアルブミン抗原や肺炎球菌表層タンパクPspA抗原と共に経鼻投与した時、口・

鼻腔や上・下気道といった粘膜部だけでなく全身系においても抗原特異的免疫応答を誘導することが 認められている。また、歯面上ペリクルを構成する唾液タンパクのひとつスタセリンは、歯周病原菌 Porphyromonas gingivalis ( P. gingivalis )の付着因子である線毛のサブユニット分子FimAとタンパ ク-タンパクの結合で特異的に結合することが報告されている。

本研究は、pFLとCpG ODNからなるダブルDNAアジュバント(DA)とFimAのリコンビナントタンパク r FimA を抗原とし、若齢および老齢マウスに経鼻同時投与した時の唾液および血漿中の抗原特異的抗体の誘 導を検証するとともに、 P. gingivalis がスタセリン被覆ハイドロキシアパタイトビーズ(sHAB)に結合 する際の唾液中に誘導された抗原特異的IgA抗体の影響について検討することを目的とした。

抗原は、新潟大学大学院医歯学総合研究科寺尾豊教授から供与された FimA 遺伝子をコードした FimA

発現 DNA プラスミド(PYT1245)を Escherichia coli BL21 に形質転換後、GST アフィニティーカラム

により r FimA を作製した。 r FimA 精製の確認はウサギ抗 FimA 血清によるウエスタンブロット法により

行なった。マウスは、BALB/c マウスの 8 週齢(メス)および 48 週齢(メス)を使用し、実験マウス群

(2)

には、抗原 r FimA(5 g)と粘膜アジュバント pFL(50 g)と CpG ODN(10 g)を、対照マウス群には、

r FimA(5 g)のみをそれぞれ 1 週間毎、計 3 回経鼻投与を行なった。

最終免疫 7 日目において、8 週齢および 48 週齢の実験および対照マウス群の血漿と唾液を採取し、

それぞれの抗原特異的抗体価を ELISA 法により測定した。さらに、舌下腺(SLGs)、顎下腺(SMGs)

および顎下リンパ節(PGLNs)を摘出し、それぞれの組織から単核球細胞を調整後、単核球細胞中の r FimA 特異的抗体産生細胞数を ELISPOT 法により測定した。

P. gingivalis のアデノシン三リン酸( ATP)量をBactiter-Glo Microbial cell viability kit

(Promeg

®︎

)により測定し、結合 P. gingivalis 数として換算した。

8 週齢および48 週齢の実験マウス群の唾液中 r FimA特異的IgA抗体価、血漿中 r FimA特異的IgAおよび IgG抗体価は、両週齢の対照マウス群と比較して有意な上昇を認めた。さらに両週齢の実験マウス群の SLGs、SMGs、PGLNsにおける抗原特異的抗体産生細胞数は、対照マウス群と比較して有意な増加を認め た。また、両週齢の実験マウス群のNALT、SLGs、PGLNs のCD11c

+

樹状細胞数は、対照マウス群と比較し て有意な増加を認めた。また、両週齢の実験マウス群のIgG、IgM抗体を除去後の r FimA特異的IgA抗体 を含む唾液は、対照マウス群と比較して P. gingivalis からのATP量が有意に低かった。

すなわち、pFLとCpG ODN からなるDA と r FimAを8 週齢および48 週齢マウスに経鼻投与した時、 r FimA のみを投与した両週齢マウスと比較して、唾液および血漿中に有意な抗原特異的抗体が誘導され、ま た唾液中に誘導された抗原特異的IgA 抗体は、 P. gingivalis のsHAB への結合を抑制することが認め られた。

以上から、本経鼻ワクチンは若・高齢者の口腔内 P. gingivalis の付着・定着を阻害する歯周病予防ワ クチンとなる可能性が示唆された。

論文審査結果要旨

本学位請求論文は、plasmid Flt3 ligand(pFL)と CpG ODN1826(CpG ODN)からなるダブル DNA アジュ バントと Porphyromonas gingivalis の付着因子である線毛のサブユニット分子 FimA のリコンビナン トタンパクの r FimA を経鼻同時投与することで若齢マウスおよび老齢マウスにおける唾液中 r FimA 抗 原特異的 IgA 抗体および血漿中 r FimA 抗原特異的 IgG、IgA 抗体が有意に誘導されていくことを明らか にした。

また舌下腺・顎下唾液腺・顎下リンパ節の r FimA 抗原特異的抗体産生細胞数は有意に増加している ことが明らかにしており免疫誘導組織である鼻咽腔関連リンパ組織、免疫実行組織である舌下腺・顎 下唾液腺・顎下リンパ節における CD11c 陽性樹状細胞の割合も優位に増加していることが明らかにし た。

また、マウス唾液 IgA 抗体がスタセリン被覆ハイドロキシアパタイトビーズへの P. gingivalis の 結合を阻害することを明らかにした。

以上、pFL と CpG ODN からなるダブル DNA アジュバントと歯周病原菌 P. gingivalis の付着因子であ

る線毛のサブユニット分子 FimA のリコンビナントタンパクの r FimA を経鼻同時投与は若齢および老齢

マウスの免疫応答を賦活化し、誘導された IgA 抗体は P. gingivalis が 歯面ペリクルスタセリンに結

合を阻害することを証明した点において、本論文は博士(歯学)の学位を授与するに値すると判定した。

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