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教職員が学び合う学校文化をめざして

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Academic year: 2021

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教職員が学び合う学校文化をめざして

―フォーマル研修とインフォーマル研修の有機的連携を通して―

高 度 学 校 教 育 実 践 専 攻 実習責任教員 阪 根 健 二 教職実践力高度化コース 実習指導教員 金 児 正 史 田 邊 早 苗

1 課題設定の理由

(1)問題意識

家庭や地域の教育力が低下する中,子どもた ちをめぐる生活,教育環境は時代や社会の状況 を反映してますます複雑化している。学校には,

様々な要求や負担が強いられ,さらに,学校の 役割・機能として,子どもたちの学力問題,不 登校・いじめの増加への対応なども求められて いる。そのような状況で,徳島県年齢別教員数 は,大きく変化し,20 代はこの 10 年間で 3.4%

から 12.7%に増加,加えて 50 代以上が約 50%

を占めるため,10 年後には半数の教員が入れ替 わる。(グラフ1)これにより,相対的に学校現場で の若年層の職能開発が急務の課題となっている。

(グラフ1:徳島県年代別小学校教員の割合)

また,OECD 国際教員指導環境調査(TALIS)に よると,日本の教員 1 週間あたりの勤務時間は,

34 か国・地域で最も長いことが明らかになった。

しかし,学級運営や教科指導,生徒の主体的学 習参加の促進に関連する項目の自己効力感に関 する項目では,日本はいずれにおいても自己効 力感の高い教員の割合が参加国平均を大きく下 回り,日本の教員の自己効力感や自己評価が低

いことがうかがわれる。

(2)学校アセスメントによる実習校の課題

①子どものよさと課題

子どもの実態の認識共有のため平成 25 年8 月,実習校教職員を対象に「子どものよさと課 題」について,インタビュー調査を行った結果 を表1に示す。

(表1:実習校の子どものよさと課題)

②教職員の課題

実習校の教職員は,個々の専門性を生かし高 い指導力をもったベテラン層が3分の2を占め,

20 代の若手教職員が増加し研修需要が増大し ている。しかし,学校現場の多忙化の中,時間 的な余裕もなく,若手教職員の職能開発に関わ る教職員は,拠点校指導員や校内指導教職員,

学年のみという場合が多い。

また,実習校では,研究主題について,組織 的に研究するための共通理解を図る場が少なく,

研究授業の成果や課題から全教職員が実践改善 に向けて意識を共有し,取り組むまでに至って いない。教職員の専門性や力量形成を目的とし た全体研修が少ないため,資質向上は個々に任 される面が大きい。

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(3)先行研究・先行実践事例

①教職員の協働

佐古(2011)は,教育活動の内発的改善を可能 にする学校組織の成立要件として,教員の自立 性と協働化(協働による組織化)の2つを位置付 け,学校組織の内発的改善力を構築するため,

児童の実態のすり合わせと認識共有からスター トし,協働的に形成された価値的目標に対して,

学校の諸活動を活用することについて述べてい る。

②校内研修

當山(2009)は校内研修について,校内での勤 務時間内において組織的・計画的に行われる義 務的集合研修(フォーマル)に加え,日常の職務 遂行過程における実践的な OJT を含むものとし て定義した。すなわち,近年の人材育成(OJT) に関する研究動向に基づき,職能開発という視 点から,個人的なコーチングやメンタリング等 をはじめ,学校内における日常業務全般(インフ ォーマル)及び無意図的な面も含め設定した。

③校内研修の効果と手がかり

當山(2009)は,若手優秀教員を職能開発の成 功モデルと推定し,その職能開発における校内 研修の効果について,「優秀教員は,自身の教育 実践活動と密接に関連する校内研修のニーズを 有するとともに,フォーマルよりもインフォー マル形式の校内研修の有効性が高い結果が明ら かとなった。」とし,校内研修の効果を高めると ともに職能開発を推進していくための手がかり として,「校内研修を通じた職能開発の推進にと って,“コミュニケーション”を基盤として,

教育実践活動に対する“省察”及び職場環境に おける“同僚性”が主要な条件となっており,

その意識を共有し,高めていく必要がある。」ま た,「個別具体的な研修として,実際の指導場面

における手続き的知識や省察の具体的手法等に 基礎的内容を取り入れることが重要である。教 員が相互に学び合う機会を設定し,情報の共有 化を図ることによって,付加的・波及的効果も 期待できる。」と述べている。

2 実践の目的と計画

(1)目的

実習校の課題から,フォーマル研修とインフ ォーマル研修の有機的連携を通して,教職員が 学び合う学校文化を構築することを目的とした。

この実践の目的を達成させるために,めざす教 師像を次のように設定した。

(2)計画

(図1:実践の構想図)

(表2:実践の計画)

<めざす教師像>

思いを伝え合い,広い視野で 学校を捉え,共に学び合う教職員

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- 43 - 3 実践の結果

(1)DoⅠ期の取組

①フォーマル研修

DoⅠ期で実践した2つのフォーマル研修の 内容とねらいについて,表3に示す。

(表3:DoⅠ期フォーマル研修の内容とねらい)

WS型校内研修を行うことで,子どもの課題 や手立てを共有することができたが,多忙の中,

新しい取組を進めていくことは負担も大きい。

そこでDoⅡ期では,新しい取組ではなく,4 月~9月までの授業実践の振り返りを行うこと で,RPDCAサイクルの【Check】を行うこ とができ,9月以降の指導実践の方向性や手立 て【Action】を学年で確認することとした。

②インフォーマル研修

DoⅠ期で実践したインフォーマル研修の内 容とねらいについて,表4に示す。

(表4:DoⅠ期インフォーマル研修の内容とねらい)

OJT個人シートを作成することで,若手教 職員が自らの課題を明確にでき,「授業力」相 互診断シートで互いの授業参観時の観点となっ たが,インフォーマル研修の実施は1回のみだ った(インタビューを除く)。DoⅡ期は,多様 な研修の形態を工夫し,若手教職員だけでなく,

全教職員対象の研修も実施することとした。

(2)DoⅡ期の取組

①フォーマル研修

DoⅡ期で実践した2つのフォーマル研修の 内容とねらいについて,表5に示す。

(表5:DoⅡ期フォーマル研修の内容とねらい)

事前に実践交流会資料を用意することで,写 真や文字など視覚的にも振り返ることができ,

担任外の教職員など取組に参加していなくても 同じグループで1学期の取組を共有することが できるようにした。

②インフォーマル研修

DoⅡ期では,多様な形態や内容を工夫しイ ンフォーマル研修を実施した。内容とねらいに ついて,「Q-Uについて」「手続き的知識の実践 交流」「省察の具体的手法」に分けて提示する。

(表6:「Q-Uについて」の内容とねらい)

(表7:「手続き的知識の実践交流」の内容とねらい)

(表8:「省察の具体的手法」の内容とねらい)

夏季休業中に実施した「Q-Uのポイントと結 果の見方」は町内小中学校から9名の教職員の 参加があった。また,全職員対象の「情報ルー ムの使い方」の手続き的知識の実践交流では,

初任者2名以外にも3名の参加があった。

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- 44 - 4 実践の成果と課題

本実践で実施した校内研修の成果と課題につ いて,表9に示す。

(表9:校内研修の成果と課題)

フォーマル研修では,参加した全ての教職員 が充実したWS型校内研修にするため,話し合 うテーマとグループ分け,時間配分,手法への 慣れなどが関係していることが分かった。特に,

話し合うテーマとそれに応じたグループ分けに よって,一人一人が当事者意識をもち自分の経 験や考えを伝え合うことが容易になる。

インフォーマル研修の「省察の具体的手法」

で参観した師範授業では,実習校のベテラン教 職員の個々の専門性を生かした高い授業力の一 端を垣間見ることができた。10 年後には,教職 員の半数が入れ替わるという学校現場にこそ,

このような授業力の送受信は欠かせない。

Q-Uのインフォーマル研修は,結果的にイン フォーマルではなくフォーマル研修として扱わ れた。町内で一斉にQ-Uを実施している強みを 活かすため,町内の教職員間でQ-Uに対する認 識を揃えておく必要がある。また,学年や個人 の手続き的知識が発信され共有することで,多 くの教職員の共有財産となりうる。さらに,実 践した1つのテーマの手続き的知識を複数で持

ち寄り,交流することでその手続き的知識がよ りよいものとなる。

このように,フォーマル研修とインフォーマ ル研修を有機的に連携させることで,互いの研 修内容がより深まり,効果的になることが分か った。

5 修了後の課題と取組の構想

(1)教職員が学び合うために

教職員が学び合う学校文化を構築する一助と なるため,この2年間の学びから得られた筆者 の課題を3点挙げる。

第1に,年齢や経験に関係なく双方向からの 情報の送受信ができる関係づくりや研修の仕組 みづくりである。第2に,多忙による校内研修 の形骸化を防ぐため,研修の効果や必要性など を教職員が理解し,短時間でも集中してできる ことに取り組むという意識改革の発信である。

第3に,筆者自身が,日々変化している社会や 一人一人個性の違う子どもたちに対応していく ため,常に新しい知見を求める意識をもち続け ることである。

(2)ハンドブックを活用して

本実践で使用した資料などを実習責任教員で ある阪根健二教授によって編纂していただき,

『学校活性化のためのハンドブック』として作 成中である。本実践のテーマとして掲げた「教 職員が学び合う学校文化」をめざす一つのツー ルとして活用していきたい。また,今回作成し たハンドブックが完成形ではなく,定期的に見 直し,より良いものとしていく必要がある。

【参考文献】

佐古秀一・曽余田浩史・武井敦史(2011)『学校 づくりの組織論』学文社

當山清実(2009) 「『優秀教員』の職能開発に おける現職研修の効果に関する研究―校内 研修に対する効果意識をもとにして―」『教 育実践学論集』第 11 号

参照

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