1. 序 文献 1) 等では,崎野らにより制振壁と称する履歴ダ ンパー内蔵型連層耐震壁が提案されている.ここでの 制振壁とは図 1 に示す,RC パネル,繋梁および上下短 柱 (CFT 造または鋼管横補強 RC 造 (TRC 造 )) で構成され る連層耐震壁を指す.制振壁は繋梁がせん断降伏 , 上 下短柱が曲げ降伏することにより図 1 に示す全体降伏 機構を形成する. ところで,地震時には高次モードに起因する層せん 断力が耐震壁部分に集中する傾向があることがよく知 られている.これにより制振壁に想定以上のせん断力 が作用した場合 , 短柱部のせん断破壊等想定したメカ ニズムを形成しない可能性が考えられる2 ).したがっ て制振壁および制振壁を含む有壁架構が動的外力下に おいても想定している降伏機構を形成するには,動的 効果を考慮した設計用層せん断力を設定する必要があ る.そこで本論では,最大地震応答層せん断力を静的 解析によって予測する手法を提案する.具体的には以 下の手順により予測法を提案する. 1 ) 地震応答解析のモード分解の結果から , 高次モード 成分を定量的に評価し , 予測式を提案する. 2)地震応答解析の基準モード応答の最大値をある程度 追跡できる限界耐力計算の等価線形化法を応用し , 高次モード成分を含んだ最大応答層せん断力を静的 解析によって予測する手法を提案する. 2 .解析モデルと解析手法の概要 2.1 解析変数と解析モデル 本論の解析変数は,建物層数,地震波の種類と規模 ( 最大地動速度 ( 以下,PGV) によって基準化 ),制振壁 の水平力負担割合 ( 以下,Rw) で,表 1 に示すものとし た.Rw は後述する建物の外周架構の断面と水平質量 を調整することにより設定した.
制振壁をコアに持つダブルチューブ合成構造の高次モード応答を考慮した
最大地震応答層せん断力の予測法
解析対象建物は RC 構造によるダブルチューブ合成 構造建物3 )である.図 2 に建物の立面図と平面図を示 す.本構造には内部コアに制振壁を有していることや 外周架構を柱降伏先行型ラーメンとしていること等の 特徴があるが詳細は文献 3) を参照されたい.外周架構 は単独では層崩壊の危険性があるが,連層耐震壁とと もに用いることで本構造が可能となる.図 3 に 6 層の 解析モデルを示す.制振壁を有する構面と外周架構構 面をモデル化し,両端をピン支持とした剛棒で連結し ている.繋梁と上下短柱は,建物全体に対して制振壁 が 20% の水平力を負担するよう設計を行う.繋梁の本 数は,3 層モデルは 3 階床位置に,6 層モデルは 2 階お よび 6 階床位置に,12 層モデルについては 3 階床位置 から 3 階おきに,18 層モデルは 4 階床位置から 2 階お きにそれぞれ一本ずつ配置する.制振壁の断面詳細を 表 2 に示す.外周架構は一般化のため無限均等骨組に モデル化し,Ai 分布に従う層せん断力に対して柱断面 の設計を行う.梁は全層同一とし , 梁せいを構造階高 の 1/2 に相当する 1800(mm) とする. 2.2 解析手法 解析はファイバーモデルの柱梁要素を用いた静的お よび地震応答解析4 )である.静的解析では高さ方向の 分布が A i 分布に従う水平力を各層柱梁節点に漸増載 荷する.3.3 の 2 次の縮約においては弾性 2 次モード比 例分布に従う水平力を漸増載荷する.地震応答解析は Newmark のβ法 ( β = 0.25) を用いた微少時間刻み ( Δ t=0.01(s)) に対する増分解析で,各増分段階では Newton-Raphson 法による収束計算を行う.減衰は一次と二次 の減衰定数を 3% とする Rayleigh 減衰とする.地震応答 解析には表 3 に示す地震波の PGV を 25cm/sec,50cm/sec, 100cm/sec に基準化して使用し,これらの応答値の平均 値を用いて応答を評価する.地震波の加速度,変位応 野口 裕介 図 1 制振壁とその降伏機構 図 2 建物立面,建物平面 36 00 36 00 36 0 0 3 60 0 36 00 36 00 36 00 36 00 36 00 36 00 36 0 0 3 60 0 36 00 C.L. 5000 5000 5000 5000 5000 4 5 0 0 4 5 0 0 4 0 0 0 4 0 0 0 4 5 0 0 4 5 0 0 制振壁 間柱 外周架構 答スペクトルを図 4 に示す.材料の構成 則は,コンクリートは崎野・孫モデル6), 外周架構の鉄筋は完全弾塑性モデルを用 いた.制振壁の鉄筋および鋼材について は大井7),秋山8)の提案に従った. 2 . 3 多自由度系の振動モード分解と等 価 1 質点系縮約 本報では倉本らが提案している等価 1 60-1 CFT柱orTRC柱 CFT柱orTRC柱 鉄骨造繋梁 RCパネル60-2 質点系の動的縮約によりモード分解を行う9 ).以下に s 次の応答変位,s 次の応答加速度を示す.なお,刺激 関数s
su は弾性固有値解析による結果を用いる. (1) (2) ここで, mi:i 層の質量 ) (t i :地震応答解析結果から得られた時刻 t における各層の変位 ) (t Pi :地震応答解析結果から得られた時刻 t における各層の外力 ) (t i s :各層における s 次比例変位で下式によって求められる. 3 .解析結果 3.1 等価 1 質点系の時刻歴応答 図 5 に Rw=100% とした 12 層モデルの,El Centro 波 (PGV=100cm/sec) に対する応答せん断力の時刻歴と応答せ ん断力の 1 次,2 次および 3 次モード以上の高次成分の 時刻歴を示す.図には各モードの最大値も併記してい るが,明らかに最大値の発生時刻がモードにより異な ることが分かる.したがって高次モードに起因するせ ん断力の最大値の単純累加では適切な解は得られない. そこで,以下では弾性振動に対する最大値評価によく 用いられる 2 乗和平方根 ( 以下,SRSS) によって最大応 答値の評価を試みる. 3 .2 動的解析に基づく層せん断力応答の評価 i 層に生じる層せん断力の最大値 Qimaxは下式により 評価できるとする. 図 3 6 層の解析モデル 表 1 解析変数 表 2 制振壁の主要断面詳細 Rw=0% 制振壁の水平力負担率 Rw=20%, Rw=50% Rw=100% 表 3 地震応答解析に用いる地震動 図 4 加速度,変位応答スペクトル 1 10 1 11 1 09 1 55 1 56 1 57 1 58 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 1 13 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 1 115 1 21 1 091111 19 1 203 1 22 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 1 115 1 30 1 091111 28 1 293 1 31 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 1 115 1 39 1 091111 37 1 383 1 40 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 1 115 1 48 1 091111 46 1 473 1 49 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 1 10 1 11 1 09 1 55 1 56 1 57 1 58 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 1 13 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 1 115 1 21 1 091111 19 1 203 1 22 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 1 115 1 30 1 091111 28 1 293 1 31 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 1 115 1 39 1 091111 37 1 383 1 40 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 1 115 1 48 1 091111 46 1 473 1 49 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 3 6 0 0 3 6 0 0 3 6 0 0 3 6 0 0 3 6 0 0 3 6 0 0 2250 2250 64 58 59 12 4 58 5812 4 581 245858 59 59 59 59 300020003000 壁脚をピン支持 とした弾性棒 ブレース置換を行った RC パネル 連結材 64 58 59 12 4 58 5812 4 5812 45 85 8 1 10 11 1 1 09 1 55 1 56 1 57 15 8 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 11 3 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 11 15 1 211 091111 19 1 203 12 2 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 11 15 1 301 091111 28 1 293 13 1 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 11 15 1 391 091111 37 1 383 14 0 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 11 15 1 481 091111 46 1 473 14 9 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 1 10 11 1 1 09 1 55 1 56 1 57 15 8 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 11 3 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 11 15 1 211 091111 19 1 203 12 2 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 11 15 1 301 091111 28 1 293 13 1 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 11 15 1 391 091111 37 1 383 14 0 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 11 15 1 481 091111 46 1 473 14 9 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 59 59 59 59 2250 2250 300020003000 64 58 59 12 4 58 5812 4 5812 45 85 8 1 10 11 1 1 09 1 55 1 56 1 57 15 8 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 11 3 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 11 15 1 211 091111 19 1 203 12 2 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 11 15 1 301 091111 28 1 293 13 1 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 11 15 1 391 091111 37 1 383 14 0 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 11 15 1 481 091111 46 1 473 14 9 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 1 10 11 1 1 09 1 55 1 56 1 57 15 8 1 59 1 60 1 61 1 62 1 54 11 10 3 1 12 5 11 1 11 11 3 1 09 1 14 1 15 1 16 1 17 1 10 11 15 1 211 091111 19 1 203 12 2 1 18 1 23 1 24 1 25 1 26 1 10 11 15 1 301 091111 28 1 293 13 1 1 27 1 32 1 33 1 34 1 35 1 10 11 15 1 391 091111 37 1 383 14 0 1 36 1 41 1 42 1 43 1 44 1 10 11 15 1 481 091111 46 1 473 14 9 1 45 1 50 1 51 1 52 1 53 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 2 3 4 5 4 2 3 5 59 59 59 59 2250 2250 300020003000 制振壁構面 外周架構構面 (柱降伏先行型ラーメン) 層数 壁厚(mm) 繋梁断面 Fc (N/mm2 ) 柱断面 (mm) 最上層梁 断面(mm) 3 H-800x400x6.2x40 600x600 700x300 6 H-800x400x12.6x40 750x750 850x450 12 H-800x400x28.4x40 36 900x900 900x550 18 H-800x400x25.4x40 60 900x900 900x550 600 24 (3) ここで,1Qimaxは基準モードの応答層せん断力の最大値 で,3.3 での検討を踏まえ代表高さ ( 略算的に 2h/3 とす る (h:建物高さ )) において地震応答解析から得られる 最大応答変位と等しい変位を生じるまで静的に水平力 を与えた時の応答層せん断力とする . またhQim axは層 せん断力の高次モード成分の最大値であり,次式で与 えられるとする9 ). (4) (5) ここで, 0max:地動の加速度の最大値 2Samax:地震応答解析における 2 次の応答加速度2Sa(t) の最大値 建物全体の応答予測への (3) 式の適用性の検討は可能 であるが,本論は壁部の設計用せん断力の確立を主た る目的としているため,壁部の応答予測へは別途予測 法が必要である.この点は文献 10) で提案されている動 的増幅係数の算定式を参照とした.すなわち制振壁に 生じるせん断力 wQima xは次式で表される. (6) ここで, w1Qimax:静的解析において建物全体がせん断力1Qimaxを保有するステッ プにおける壁部分の負担せん断力 βwh i:高次モードの制振壁部分の層せん断力負担率 βwi:基準モードの制振壁部分の層せん断力負担率 なお,以下に示す壁部の解析結果では,Rw=0% の結果 を除いている. 図 6 に地震応答解析から得られた Rw=50% とした 12 層モデルにおける各層の最大せん断力 Qiresを (3),(4),
N i i s s i N i i i s s i s u m t u m t 1 1 ) ( ) (
N i i s i N i i s i a s t m t t P t S 1 1 ) ( ) ( ) ( ) ( s(t)s suis(t) 2 max 2 max 1 max i h i i Q Q Q max 2 max 2 s j a N i j s j i m u S Q
2 1 max 0 2 1 2 max 2 max 1
N j s i s s j i i hQ Q m u x x 0 500 1000 1500 2000 2500 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 ac c el er at io n (c m /s e c 2) period(s) 50cm/sec,減衰=3.0% 0 10 20 30 40 50 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 di sp la c em e nt (c m ) period(s) 50cm/sec,減衰=3.0% wi whi i i i i w i w Q Q Q Q Q max 1 max 1 max max 1 max 1.0 地震波名称 観測年 PGA(cm/sec2) PGV(cm/sec) 継続時間(s) El Centro NS 1940 341.70 38.17 53.73 Hachinohe NS 1968 225.09 40.65 36.03 Taft EW 1952 175.95 17.64 54.42 Tohoku Univ. NS 1978 257.98 37.31 40.98 JMA Kobe NS 1995 820.56 92.6 50.00 BCJ-L2 - 355.66 80.65 120.00 Yokohama - 312.52 56.18 39.99 JSCA 八戸5) - 437.80 52.1 60.00 JSCA 東北5) - 350.30 56.8 60.00 JSCA 神戸5) - 469.50 58.7 60.00 建物層数 3種類(3,6,12,18) 制振壁の 水平力負担率 Rw(%)※ 4種類(0,20,50,100) 地震波の種類 観測波5波,模擬波5波 PGV(cm/sec) 3種類(25,50,100) ※Rwは外周架構の耐力と水平質量を調整することにより調整し, 降伏機構を形成した時の外周架構の耐力と制振壁の耐力の 単純な累加が0.25Rt(Rt:振動特性係数)となるように設計する. 外周架構と制振壁が同時に降伏機構を形成するとは限らないため, 制振壁の水平力負担率は必ずしも目指した値にはならない.(5) および (6) 式を用いて算定した層せん断力 Qicalと比 較して示す.a) が建物全体の応答,b) が制振壁部分の 応答である.参考として , 1 次モードのみを考慮した 場合における応答層せん断力も併記する.1 次モード のみで応答予測をする場合に比べて (3) 式により高次 モード応答を考慮した場合の方が予測精度が上がる ことが分かる.また図 7 に示すように , 全ての 12 層 モデルにおける Qica l/Qire sの平均値および変動係数は 建物全体で 1.03 および 8.46% となり概ね± 20%( 図中の 点線 ) 以内の誤差に収まっている.制振壁部分では 0.93 および 27.3% を示しせん断力が小さい範囲ではばらつ きが大きくなるが,概ね Qical/Qires=1.0 付近を示してい ることから制振壁の動的効果についても予測式によ り追跡可能であると言える. また , 図 6 より壁部の中層部分では Qical/Qiresの値が 0.8 程度である.これについては ,(3) 式の代わりに次式 による評価を考える. (7) ただし,0 ≦ e ≦ 1
中層部分に (7) 式(e=0.25)を適用した場合の Qiresと Qical
との比較を図 8 に示す.このように部分的に 1 次モー ド応答と高次モード応答の同時性の程度 e を考慮する 事で,全層にわたり地震応答解析結果により近い評 価を与えることも可能である. 3. 3 限界耐力計算による層せん断力応答の評価 3.2 では,各モードの最大値が精度良く予測できれ ば提案式により層せん断力の最大応答値の評価が可 能である事を示した.本項では静的解析の結果を基 に多自由度系の応答を比較的良く追跡できる限界耐 力計算の等価線形化法を用いて最大応答層せん断力 の評価法を検討する.一般的に 2 次以上の高次の振動 モードを評価する際には弾性と仮定する場合が多い が , 提案構造はダンパーを含み早期に高次モード減衰 の影響が考えられる為,限界耐力計算で通常考える 1 次モードに対する縮約のほかに 2 次の縮約を考える. すなわち 1 次モード分布に Ai 分布,2 次モード分布に 弾性 2 次モード比例分布を仮定し,s 次の応答加速度 sSaおよび応答変位sSdは下式で与えられるとする. (8) ただし, (9) 例として図 9 に Rw=50% とした 12 層モデルの 1 次と 2 次 の El Centro 波 (PGV=100cm/sec) に対する擬似応答加速度 -応答変位関係を示す.図中 ,Demand-Spectrum は El Centro 図 5 層せん断力の時刻歴応答 図 6 Qical/Qires分布(12 層,Rw=50%) 図 7 1 2 層モデルの予測値の予測精度
図 8 Qical/Qires分布(12 層,Rw=50%,e=0.25)
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Qir es /Σ W Qical/ΣW μ = 1.03 ν = 8.46 % a) 建物全体の応答 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 μ = 0.93 ν = 27.3 % Qical/ΣW b) 制振壁の応答 波のスペクトルより求めた弾性振動に対する応答曲線 で ,(8) および (9) 式より求めた Capacity-Spectrum を基に等 価減衰定数を求め,Demand-Spectrum を減じたものが弾 塑性振動に対する応答曲線 , Transition-Curve である.ま た,図には○印で Ai 分布および弾性 2 次モード比例分 布に従う層せん断力を作用させた時の等価 1 質点系の 応答値(sSaCSM,sSdCSM)を,□印で構造物を弾性と仮定し た等価 1 質点系の応答値を,赤点線で 1 次と 2 次の質点 系における等価減衰定数 Heqを , 青一点鎖線で 3.2 から 得られた応答加速度を併記している . 図 1 0 よりモード 分解により求めた 1 次の 1 質点系の最大応答加速度は 308cm/sec2であり,(8) および (9) 式により応答加速度を精 度良く予測できている.2 次の振動系を弾性と仮定した 場合,図 9 より最大応答加速度は約 2000cm/sec2だが,実 max max 1 2 max 2 max 1 max i h i 2 i h i i Q Q e Q Q Q M Q Sa s B s s
N i i i N i i i m m M 1 2 1 2 1 1 1
N i i i u m M 1 2 2 2
N i i s i N i i s i d sS m m 1 1 2 60-3 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 Q ical/Qires 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 st o ry Qical/Qires 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 Qical/Qires -8000 -4000 0 4000 8000 0 2 4 6 8 10 12層,制振壁の負担率100%のモデルの時刻暦応答 全体の応答 1次モード応答 2次モード応答 3次以上の高次モード応答 せ ん 断 力 (k N ) Time(sec.) Whole Responce(max.) 1st mode(max.) 2nd mode(max.) 3rd mode(max.) 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 1次モードのみ考慮(100kine) 1次モードのみ考慮(50kine) 1次モードのみ考慮(25kine) 高次モード考慮(100kine) 高次モード考慮(50kine) 高次モード考慮(25kine) st or y Q ical/Qires a) 建物全体の応答 b) 制振壁の応答 a) 建物全体の応答 b) 制振壁の応答60-4 際の最大応答加速度は図 10 より 1403cm/sec2で過大評価 である.(8) および (9) 式により弾塑性応答による減衰を 考慮し求めた予測値は約 1400cm/sec2で,塑性化を適切 に考慮することで,1 次とともに 2 次の振動系までの 最大応答加速度を適切に評価できる事が分かる.こう して得られた1SaCSMと2SaCSMにより最大応答層せん断 力を予測する.即ち (3),(6) および (7) 式を修正し次式に より検証を行う. (10) (10’) (11) 図 11 および図 12 に Rw=50% とした 12 層モデルにおけ る地震応答解析から得られた各層の最大せん断力 Qir es を (10),(10’) および (11) 式を用いて算定した層せん断力 QiCSMと比較して示す.3.2 で示した結果と同様に概ね 地震応答解析結果によって生じる最大応答層せん断力 を精度良く評価できている事が確認できる.表 4 に全 ケースの限界耐力計算による解析値の予測値を示す. 建物全体については全てのケースで良好な予測値を与 えているが,壁部については特に壁の水平力負担率が 低いモデルについて精度が悪い.これは,応答精度の 検討を比率で検証すると特に応答値が小さい場合は値 のばらつきが敏感であるためであり,図 7 に示した場 合と同様に壁部分についても予測式によって解析結果 を精度よく追跡できていると言える. 以上より,提案構造のようなダンパーを有する建物 の場合であっても,限界耐力計算によって規定された 手法を応用し,高次モード減衰の効果を適切に評価す る事で最大応答層せん断力の予測が可能である. 参 考 文 献 1) 崎野健治,中原浩之:RC 造短柱を有する 3 層転倒モーメント降伏型制 振壁の弾塑性性状に関する実験的研究,日本建築学会構造系論文集第 634 号,pp2159-2166, 2008.12 2) 日高桃子,崎野健治:転倒降伏耐震壁の 1 層部におけるせん断性状に関 する実験的研究,日本建築学会構造系論文集 Vol.586,pp163-170,2004.12 3) 山本能之,野口裕介,崎野健治,中原浩之:制振壁をコアに持つダブ ルチューブ合成構造に関する解析的研究,日本建築学会学術梗概集 . C-1,pp1407-1410, 2010.9
4)Kawano, A, Griffith M. C., Joshi, H.R. and Warner, R.F, : Analysis of the Behavior and Collapse of Concrete Frames Subjected to Severe Ground Motion, Research Report No.R163, Department of Civil and Environmental Engineering, The University of Adelaide,Australia, 1998. 11 5) 日本建築技術者協会:建築構造の計算と監理 JSCA 波 (JSCA-10 300 L2L2-1), 2002.6 6) 崎野健治,孫玉平:直線型横補強材により拘束されたコンクリートの 応力 - ひずみ関係,日本建築学会構造系論文集 Vol.461,pp95-104,1994.3 7) 孟令華,大井謙一,高梨晃一:鉄骨骨組地震応答解析のための耐力劣 化を伴う簡易部材モデル,日本建築学会構造系論文集 Vol.437,pp115-124,1992.7 8) 加藤勉,秋山宏,山内泰之:鋼材の応力 - ひずみ履歴曲線に関する実 験則,日本建築学会学術梗概集 pp937-938,1973.10 9) 倉本洋:多層建築物における等価 1 自由度系の地震応答特性と高次モー ド応答の予測,日本建築学会論文集,第 580 号 , pp61-68, 2004.6 10) 日本建築学会:鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針・ 同解説,1990.11 表 4 限界耐力計算による解析値の予測精度 図 11 QiCSM/Qires分布(12 層 ,Rw=50%) Rw 建物全体 壁 建物全体 壁 建物全体 壁 建物全体 壁 18 100 1.05 1.05 11.50% 11.50% 18 50 1.15 1.07 7.86% 11.80% 18 20 1.11 1.28 9.54% 27.68% 18 0 1.14 10.13% 12 100 1.02 1.02 11.27% 11.27% 12 50 1.03 0.96 8.03% 10.57% 12 20 1.11 1.03 9.48% 28.62% 12 0 1.11 9.58% 6 100 1.00 1.00 6.75% 6.75% 6 50 1.04 0.96 10.33% 12.86% 6 20 1.01 0.80 7.85% 19.38% 6 0 0.99 7.32% 3 100 1.05 1.05 2.71% 2.71% 3 50 1.00 0.98 9.12% 12.30% 3 20 1.00 0.87 8.43% 20.94% 3 0 0.92 12.31% 層 μ ν(建物全体) μ' ν' 壁の水平力負担率 平均値;Qical/Qires 変動係数 平均値 変動係数 1.11 1.13 11.39% 22.04% 1.06 0.99 10.49% 19.03% 1.01 0.92 8.46% 16.14% 0.99 0.96 9.72% 15.16% 2 2 1 iCSM h iCSM iCSM Q Q Q 図 9 8 , 9 式による 1 次と 2 次の応答加速度の予測 iCSM h iCSM iCSM h iCSM iCSM Q Q e Q Q Q 1 2 2 1 2 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 QiCSM/Qires st o ry 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 QiCSM/Qires 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 QiCSM/Qires
図 12 QiCSM/Qires分布(12 層 ,Rw=50%,e=0.25)
4 .結 本報では限界耐力計算の考え方に基づき,1 次モー ド分布と弾性 2 次モード比例分布に従う静的解析から 求めた応答加速度と SRSS により,制振壁及びそれを含 む有壁架構に作用する最大地震応答層せん断力の予測 が可能である事を示した. 図 1 0 各モードの最大応答加速度 wi whi iCSM iCSM iCSM iCSM w iCSM w Q Q Q Q Q 1 1 1 1.0 b) 制振壁の応答 a) 建物全体の応答 b) 制振壁の応答 0.5 1 1.5 1 3 5 7 9 11 1次モードのみ考慮(100kine) 1次モードのみ考慮(50kine) 1次モードのみ考慮(25kine) 高次モード考慮(100kine) 高次モード考慮(50kine) 高次モード考慮(25kine) QiCSM/Qires st or y a) 建物全体の応答 0 50 100 150 0 20 40 60 80 100 Performance Point (2nd_Elastic) Performance Point (2nd) ▽地震応答解析の応答点 ▽Heq(2nd) H e q( %) 2nd mode Spectral Displacement(cm) -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 -40 -20 0 20 40 (1),(2)式による (8),(9)式による 1st mode Performance Point: Sa=308(cm/sec2)▽ Spectral Displacement(cm) S pe ct ra l A cc el er at io n( cm /s ec 2) -2000 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 2000 -40 -20 0 20 40 2nd mode Performance Point: Sa=1403(cm/sec2)▽ Spectral Displacement(cm) 0 500 1000 1500 2000 0 20 40 60 80 100 Capacity Spectrum(1st) Elastic(1st) Demand Spectrum Transition Curve 地震応答解析の応答点 Heq(1st) Spectral Displacement(cm) △Heq(1st) Performance Point(1st) Performance Point(1st_Elastic) S pe ct ra l A cc el er at io n( cm /s ec 2) ▽地震応答解析の応答点 1st mode