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政令指定都市における消費者教育推進計画の 構成と内容について

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1.問題の所在

 本稿の課題は,政令指定都市(以下では政令市と略す)による消費者教育推進計画(以 下では推進計画と略す)の構成と内容を検討することにある。推進計画は,2012 年に制 定された消費者教育推進法(以下では推進法と略す)第 10 条で,推進計画の制定が地方 自治体にとって努力義務とされた後,2013 年に消費者庁により示された消費者教育に関 する基本的な方針(以下では基本方針と略す)等によって推進計画のモデルが示された。 さらに消費者庁が地方消費者行政強化作戦の政策目標の一つに全都道府県と政令市の推進 計画策定もあがっており,推進計画の策定も地方消費者行政強化指標の一つとして取り扱 われている。そのためか,2018 年 4 月現在でみると,推進計画は 47 都道府県全てで策定 This thesis evaluated the constitution and contents of the Consumer Education Promotion Plan (hereinafter called CEPP) for ordinance-designated cities. To summarize a typical CEPP, CEPP

is incorporated in the Consumer Basic Plan, the description of content on a policy-level exists, the planning period is five years, the actual situation is grasped by the consultation situation and the civil consciousness survey, and sets the consumer images as the target, which includes keywords such as consumer citizens and action, after specifying partial issues. In addition, there are no integrated measuring targets, although the target value and results are recorded. Considering the above, there is a tendency that it is difficult to grasp the actual situation, the contents are all-around.

消 費 者 教 育 施 策(consumer education policy), 地 方 消 費 者 行 政(local consumer policy division), 政 令 指 定 都 市(ordinance-designated city), 消 費 者 教 育 推 進 計 画(Consumer Education Promotion Plan),消費生活基本計画(Consumer Basic Plan) キーワード:

政令指定都市における消費者教育推進計画の

構成と内容について

Regarding the Constitution and Contents of the Consumer Education Promotion

Plan for the Ordinance-Designated Cities

色川 卓男

(Takuo Irokawa) 

       * 静岡大学(Shizuoka University)

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済み,20 政令市のうち 18 市で策定済みであり,策定していないところも今後策定予定な ので,国の政策目標の一つはいずれ達成されることになる1)。  しかし推進計画の策定はあくまで消費者教育の推進のための手段であり,最終的な目標 は,消費者教育がそれによって推進されることにある。果たして策定された推進計画がこ のような可能性を秘めたものなのかどうかを検討することは大きな課題として現れる。  先行研究には,柿野・大野田(2015)や色川(2015)によるものがある。最近では消費 者教育推進会議(2017)から推進計画の状況を調べた資料が示されている。柿野・大野 田(2015)は推進法制定の 1 年後の策定状況等の動向を主に検討したものである。しかし 本論文の課題に該当する記述はほとんどない。色川(2015),消費者教育推進会議(2017) も同様である。これらをみると,本論文は推進計画の研究を進めるものと位置づけられる。  本論文では,2017 年 8 月時点に策定されていた 16 市の推進計画に焦点をあてた。政令 市は広域自治体であると同時に住民を直接抱える基礎自治体でもある。そのため都道府県 のように県下の基礎自治体である市町村の動向にあまり配慮する必要はないとともに,地 方消費者行政強化作戦の対象になっているように,国の影響も受けやすい自治体でもある。  本論文の構成は,まず2節では推進計画の意味を,理論的に把握する。3節では,政令 市の推進計画を実際に取り上げて検討する。4節では,総合考察を行い,5節で本論文の 結論を述べる。

2.推進計画の理論的枠組み

(1)授業の概要  先述の通り,政令市は推進法第 10 条 2 項で推進計画策定が努力義務になっている。ま た推進法に基づき,2013 年度に基本方針が定められた。  そして推進計画の構成に関して,国の考え方を具体的に述べているのが消費者庁 (2013b)『消費者教育の推進に関する基本的な方針 よくある質問と回答』である。質問 7 では推進計画の策定の仕方やその構成について,消費者庁の考え方が書かれている。そ れによると,推進計画策定の仕方では「策定作業に入る前の段階」,「掲げる項目の抽出」,「地 域内の実態の把握」や「パブリックコメントの実施」などがあげられている。また推進計 画の構成については,「はじめに」から「消費者教育の推進の意義」,「消費者教育の推進 の基本的な方向」,「消費者教育の推進の内容に関する事項」,「関連する他の消費者施策と の連携」と「今後の消費者教育の計画的な推進」等,具体的な目次構成例があげられてい る。このように地方自治体が推進計画を策定しやすいように,国が手を尽くしている。 (2)行政計画  推進計画は行政計画の一つである。行政計画とは「行政権が一定の公の目的の実現のた めに目標を設定し,その目標を達成するための手段を総合的に提示するもの」2)である。 行政計画として推進計画を捉えると,消費者教育の何かしらの「目標を達成するための手 段を総合的に提示するもの」である必要がある。内容的にみると,都市計画のように市民

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に対する法的効果や拘束力があるわけではなく,行政上の指針と理解できる。また行政計 画の「計画体系は,基本構想―基本計画―実施計画という三層で捉えられるのが通例であ る。この三層の計画体系は,政策―施策―事務事業という政策体系と対応させて考えら れることが多い」3)。この視点でみると,各推進計画は施策レベルで構成されているのか, 事務事業レベルで構成されているのかを見極める必要がある。また行政計画の効果として, その政策に対する行政の目的と手段を明確にすることになるため,行政職員にとっては業 務の方向性が明確になるという側面がある一方,当該住民にもそれを明らかにするという ことになる。つまり行政計画に関する情報の公開は,当該住民がそれを把握するために も4)不可欠のものといえよう。 (3)政策評価  近年の行政計画はその政策評価と一体のものとして把握される。行政計画は,計画を策 定し,実施し,その効果等を評価するプロセスで行政活動が把握されるからである。政策 評価に関しては,政策評価法及び最新では総務省行政評価局(2013,2015)が示した一連 ガイドラインによって,その内容が把握できる。これらをふまえると,推進計画は「目標 管理型」 5)であり,そこでは「目標を適切に設定することが重要であり」,「各手段がいか に目標等の実現に寄与するか等に係る事前の想定を明確にすることが求められている。ま た,測定指標については,施策の達成状況を適切に説明することができるものを設定する ことが求められている」 6)という。つまり推進計画の目標が適切であるかどうか,その手 段は目標の実現に寄与するかどうか,さらに測定指標は目標の達成状況を適切に測定でき るものかどうかが問われていることになる。 (4)まとめ  ここまでをまとめると,推進計画は一定の公の「目標を達成するための手段を総合的に 提示する」行政計画の一つであり,政策評価も必要不可欠のものとして現れている。行政 計画として推進計画をみると,法的な枠組みの中で策定されたものだが,法的拘束力はな く,行政上の指針である。また,政策体系でみると,施策と事務事業との間にある。  政策評価という視点でみると,推進計画は「目標管理型」に該当するため,適切な目標 設定及び手段,効果測定等が求められていることになる。つまり推進計画は単に推進法に 規定されているだけでなく,以上のような,国の制度的枠組みにも準じて推進計画が策定 されていると整理できよう。

3.推進計画の構成と内容について

(1)推進計画のタイプ(基本計画と推進計画の関係)  まず基本計画との関係をみる。基本計画とは,消費生活基本計画等の名称で呼ばれてい る当該自治体の消費者行政全般に関わる計画のことである。2004年に消費者基本法が制定 され,その条文では国に消費者基本計画の策定を義務づけているが,地方では基本計画の

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策定を義務づけられていない。そのため,政令市では6市で基本計画を策定していない。 しかし基本計画は,消費者行政全般にわたる計画であるため,消費者教育部分も基本計画 に含まれていることになる。  この基本計画と推進計画とがどのような関係にあるのかを確認した(表−1)。先述し たように,16市(80.0%)で推進計画は策定されており,そのうち基本計画内に推進計画 を入れ込んでいる政令市は,9市(45.0%)である。行政の効率性を考えれば,当然の対 応方法ともいえるところである。現在,別立てに している自治体も,基本計画と推進計画の年次進 行のズレを調整し,いずれは基本計画内に位置づ けられるといわれている。次に推進計画だけの政 令市は3市(15.0%)であり,いずれの計画もな い政令市が3市(15.0%)である。先述したように, 基本計画の策定は法的に義務づけられていない一 方,推進計画は法的に努力義務となっており,消 費者庁が策定を促しているため,将来は推進計画 しかない政令市が6市(30.0%)になる可能性がある。  つまり全体の趨勢でみると,基本計画がある政令市では推進計画を基本計画内に位置づ ける方法が進み,推進計画だけを策定する政令市も将来は3割ほど出てくると考えられよ う。 (2)体系  行政計画を政策体系で区別すると,先述したように,政策−施策−事務事業という三層 でとらえられる。推進計画そのものの内容は,この体系にあてはめると,実際の事務事業 が明確ではない主に施策レベルのものと,実際の事務事業レベルで書かれているものとが ある。この点に着目し,内容を吟味して3区分することにした(表−2)7)  「主に施策レベル」で記載され,推進計画だけでは, 事務事業が把握できない政令市が 8 市(50%)あり,む しろ「主に事務事業レベル」で構成された推進計画は 2 市(12.5%)と少数であった。これからわかるように, 推進計画が具体的にどのような内容なのかを把握するた めには,計画本文だけではなく,実施状況等,可能な限 り事務事業レベルまでみていく必要がある。  また推進計画のタイプとクロス集計すると,基本計画 内に推進計画がある市では「主に施策レベル」が 9 ケース中 5 ケース(55.6%)である一 方,推進計画が基本計画の下位計画になっていると,「主に施策レベル」が 4 ケース中 2 ケー ス(50.0%),「施策と事務事業レベル」が同値であり,推進計画だけだと,「主に施策レベル」 が 3 ケース中 1 ケース(33.3%),「施策と事務事業の間」が 2 ケース(66.6%)となっている。 表−1 推進計画と基本計画との関係 (N=20) 度数 % 基本計画>推進計画 9 45.0 推進計画は基本計画の下位計画 4 20.0 推進計画のみ 3 15.0 基本計画のみ 1 5.0 基本計画,推進計画なし 3 15.0 合計 20 100.0 表−2 推進計画の体系     レベル(N=16) 度数 % 主に施策レベル 8 50.0 施策と事務事業の間 6 37.5 主に事務事業レベル 2 12.5 合計 16 100.0

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(3)最新策定年次と計画期間  次に推進計画の最新策定時期(表−3)は, 2015 ∼ 2017 年度に集中しており,ここ数年 で推進計画が出揃ってきた。また計画期間で みると(表−4),5 年間が 8 市と半分を占 める。1 年間は横浜市であり,毎年「推進計画」 という実施計画を策定しているためである。 概して計画期間が短いものは,基本計画とい ずれ合体させるという理由で短期間になって おり,逆に静岡市のように総合計画にあわせ て計画期間が 8 年という長期になっているものもある。 (4)策定のための実態調査状況  推進計画を策定するためには,基本方針でいう「消費者を取り巻く現状と課題」を各政 令市で把握しなければならない。これをみると(表−5),毎年収集されている相談状況 については,すべての政令市で推進計画策定の参考 にしているものの,市民意識調査は 12 市(70.6%), 学校等調査は 5 市(29.4%),事業者等調査は 4 市 (23.5%)にとどまる。紙面の制約上,表は掲載し ないが,相談状況だけを利用して推進計画を策定し ているのが 5 市(25.0%),これら 4 つの調査を行っ て推進計画を策定しているのは 3 市(15.0%)しか ない。つまり「相談状況」と「市民意識調査」だけ から,現状を把握している政令市が多いことになる。 (5)課題  実態把握をして,そこから明らかになった課題をもとに,具体的な推進計画の策定に進 む。ここでは課題の記述内容を 3 区分して示した。「具体的に記述」とは実態調査をふま えて具体的に課題が記述されている場合,「一部具体的に記述」とは具体的な課題の記述 もあれば,同じ箇所に抽象的な課題の記述もある場合,「国が示した課題を記述」とは国 の推進法等に沿った課題の記述にとどまっている場 合をさす8)  これらをみると(表−6),課題が一部でも具体 的に記述されているのは 8 市(50.0%)にとどまっ ていることがわかる。前項の実態調査とクロス集計 すると,4 つの実態調査を実施している政令市はい ずれも「具体的に記述」をしているものの,実態調 査が相談状況だけのところは,「国が示した課題を 表−3 現行推進 計画年度(N=16) 度数 % 2015 5 31.3 2016 6 37.5 2017 5 31.3 合計 16 100.0 表−4 現行推進 計画期間(N=16) 年数 度数 % 1 1 6.3 2 1 6.3 3 3 18.8 4 2 12.5 5 8 50.0 8 1 6.3 合計 16 100.0 表−5 推進計画策定のため       実態調査状況(N=16) 該当数 % 相談状況 16 100.0 市民意識調査 12 70.6 学校等調査 5 29.4 事業者等調査 4 23.5 表−6 推進計画の課題記述        (N=16) 記述状況 度数 % 具体的に記述 4 25.0 一部具体的に記述 4 25.0 国が示した課題を記述 6 37.5 記述なし 2 12.5 合計 16 100.0

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記述」しているレベルにとどまっている。この結果をみる限り,実態を詳細に把握しなけ れば,課題を具体的に挙げられないことになる。 (6)消費者像  それぞれの推進計画では目標とする消費者像はどのように書かれているのだろうか。消 費者像が記載されている箇所の文章から,キーワードを集計して確認した(表−7)。  意外なことに,「消費者市民」があがっているところは 8 市(50.0%)にとどまり,「行動」 が含まれているところが 10 市(62.5%)と最も多かっ た。「自立」や「考える」も記載は半数以下であり,「被 害に遭わない」に到っては,3 市(18.8%)にとどまっ ていた。もちろん推進計画の施策や事務事業がこの目 標とする消費者像の通りとは限らないが,消費者基本 法や推進法に示されている消費者の「自立」は少なく, 「被害に遭わない」は今や目標とする消費者像にも, ほとんどあがっていないことになる。 (7)情報公開  先述したように,推進計画本文だけでは具体的な事務事業が把握できない場合もあり, 実施状況や当該政令市の消費者行政の概要(「概要」と略す)等で具体的な事務事業の内 容まで確認する必要がある。そこでインターネット に対する情報公開状況についてみると(表−8),実 施状況や議事録は 13 市(81.3%),会議資料は 10 市 (62.5%),「概要」は 8 市(50.0%)で公開されており, これら資料によって,実績が確認できないのは 1 市の みである。但しその 1 市も推進計画本文にある程度, 事務事業レベルまでの記載があるので,そこから内容 を把握できる。 (8)学校  本項と次項は,推進計画と関連して実施されている事務事業について検討する。ここで は推進計画等関係資料を統合的なノートアプリケーションである Evernote に集約し,そ こで全文検索を行って,集計した。一例をあげると,推進計画の本文を,「出前講座」と いうキーワードで全文検索を行い,検索結果として該当した「出前講座」というキーワー ドの本文前後を確認し,取り上げる事業として妥当なものを該当事業と集計した。該当事 業としてカウントしたのは,主に消費者行政部局の事業として,取り組まれている事業で ある9)。但し,まだ実績がなくても,推進計画にあがっている場合もカウントしている。  学校でみると(表−9),講座全般は行われており,特に小・中・高の出前講座は 11 市 (68.8%)で実施されている。教材作成も 6 市(37.5%)で行われている。一方,コーディ 表−7 目標とする消費者像       (N=16) 該当数 % 行動 10 62.5 消費者市民 8 50.0 考える 7 43.8 自立 6 37.5 被害に遭わない 3 18.8 表−8 情報公開状況(N=16) 年数 該当数 % 実施状況 13 81.3 議事録等 13 81.3 会議資料 10 62.5 「概要」 8 50.0

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ネーターの活用があがっているのは 4 市 (25.0%)にとどまり,情報誌の作成は 2 市(12.6%),特定の学校を消費者教育 の推進校として位置づける事業は 1 校 (6.3%)にとどまる。このうち出前講座 の実施と教材作成をともに実施している のは 4 市(25.0%)と 1/4 の政令市だけ で実施している。  しかし推進校を設置している静岡市 は,コーディネーターも活用しており,学校における消費者教育の推進状況は,政令市の 間で差がある可能性がある。但し,ここでみられる結果はあくまで該当するか否かでみた ものであり,各事業の実施回数やその内容については検討していない。なお地域での出前 講座は,全ての政令市で実施していた。 (9)担い手  国でも消費者教育推進の担い手養成は重要であると認識しており,それが政令市にも降 りてきていることになる。そのため,教職員研修や 地域の担い手養成という両方の事業を実施している 政令市は 12 市(75.0%)と 3 / 4 で行われている(表 − 10)。また,推進計画を策定している全政令市では, 必ずどちらかが実施されている。 (10)測定指標  いずれの政令市の推進計画も,様々な事業ごとに目標をたてているのだが,その評価指 標として,推進計画に定量的な指標を示している場合がある。この定量的な指標には,出 前講座の回数など,自分たちが直接実施できる達成指標と,消費生活センターやクーリン グオフ,消費者市民社会の認知度など,自分たちが様々な事業を実施した結果として得 られる間接的な成果指標がある。各政令市の推進計画において(表− 11),達成指標と成 果指標は,それぞれ 6 市(37.5%)であがっており,いずれかをあげているところは 9 市 (56.2%),両方の指標ともあげているところは 3 市 (18.7%)である。但し推進計画にはいずれの指標も ない 7 市のうち,6 市では実施状況等において,事業 ごとに,目標値あるいは実績があがっており,いずれ もないのは 1 市だけである。

4.総合考察

 推進計画の構成は,ほぼ国の基本方針に沿ったものといえるが,具体的な内容や策定プ 表−9 学校(N=16) 該当数 % 出前講座の実施(主に小・中・高) 11 68.8 講座全般の実施(大学まで全校種) 16 100.0 コーディネーターの活用 4 25.0 教材作成 6 37.5 リーフレット等の作成も含む 15 93.8 情報誌の作成 2 12.6 推進校 1 6.3 表− 10 担い手(N=16) 該当数 % 教職員研修等 12 75.0 地域の担い手養成 15 93.8 表− 11 測定指標(N=16) 該当数 % 達成指標 6 37.5 成果指標 6 37.5

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ロセスについては,政令市ごとに異なる。そのため,実態把握−課題の明確化−推進計画 −実績・評価というプロセスを想定して推進計画が策定されるはずにもかかわらず,出発 点である実態把握が甘い自治体が多いため,例えば「消費者教育の重要性を理解しても, 具体的に何をしてよいかわからない」(札幌市)というような具体的な課題よりは,「すべ ての市民への消費者教育の機会の提供」というような抽象的な課題を示す政令市が多かっ た。このような場合には,推進計画の内容が施策レベルにとどまってしまうため,各年次 の具体的な事務事業の企画を立てる際の自由度が高くなってしまい,毎年,事業計画をた てるのと変わらなくなってしまう可能性がある。このようにみていくと,推進計画は各政 令市の実情にあわせて策定されるのは当然だが,実態把握や課題については,もっと踏み 込んだ検討をし,複数年にわたる推進計画をたてる意義を改めて考慮すべきである。  また,推進計画に定量的な達成指標,成果指標を示すことは,目標を明確にするという 点では意義があるとしても,それら指標と各事務事業の目標値,実績との関係もよく検討 する必要がある。推進計画に記載された達成指標,成果指標が,各事務事業の総合的な指 標として,適切なのかどうか,そもそも一つ一つの事務事業であげられる定量的な目標値 が,推進計画に照らして適切なのかどうかも問われよう。  全体的にみると,政令市の推進計画は,対象者すべてを含むことに焦点があるため,特 定の対象者に踏み込んでいるものは少ない。例えば,政令市ではないが,富士市の推進計 画では,学校に向けての取り組みのうち,特に重点目標として中学生に対する消費者教育 の推進をあげ,市内全中学校に対して相談員が出前講座に行くことを実施しているが,人 も予算も場所も限られている中で,消費者教育を推進していくためには,このように特定 の対象に対する徹底した取り組みを計画的に進めていくことも充分,ありえるのではない だろうか。以上のように政令市の推進計画は,多くの課題を残しているといえよう。

5.おわりに

 政令市でみられた典型的な推進計画の形態をまとめておこう。基本計画に組み込まれ, 施策レベルの内容記載があり,計画期間は 5 年間で,相談状況と市民意識調査で実態を把 握し,一部で具体的な課題をあげた上で,消費者市民や行動というキーワードを含めた消 費者像を目標とし,実施状況や会議資料や概要など,推進計画の詳細を把握するための情 報は公開されている。そして対象別には学校や地域では出前講座を実施し,担い手では教 員や地域の担い手に関わる研修を進めている。また事業ごとの目標値や実績は記載されて いるとともに,推進計画に何かしらの定量的な測定指標が示されている。全体的にみると, 典型的な推進計画は,総花的な計画の提示にとどまっている。  例えば,既存事業をそのままにして新しい事業を始めるならば,それに見合った人員と お金と場所というリソースが新たに必要となる。現在の地方消費者行政はこの新たなリ ソースを自ら生み出す力がほとんどないまま,推進法に従って,推進計画を手段にした消 費者教育の充実を図ろうとしている。こういう厳しい状況であるとわかっているからこ そ,推進法や基本方針などで関係部局や関連する人びととの連携が必要であるといわれて

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きた面もある。しかし,連携だけでリソース不足を抜本的に解消できるわけではない。今 後,国から経済的支援が先細りになっていくといわれており10),ますますリソース不足と いう大きな壁にぶつかることになる。推進法第 8 条には政府の財政上の措置が義務として あがっている。消費者教育施策のナショナルミニマムは国の責任であるとして,国の地方 に対する持続的な支援が求められる。  本論文では紙面の制約もあり,推進計画の構成と内容の記載状況を中心に検討したた め,特徴的な取組や実態的な側面について踏み込んだ検討は行っていない。また推進計画 によって,消費者教育が推進されたのかという重要な論点についての検討は,推進計画の 一期分が終わったところから都道府県も含めて取り組むべき課題であろう。これらについ ては今後の課題としたい。 謝辞  本研究を進めるにあたって,静岡大学卒業生小川美乃里さんには大変ご協力いただい た。ここに記して感謝申し上げたい。なお本研究は科学研究費基盤研究(c)研究課題番 号 16K00748 の助成を受けている。        注 1)ちなみに,その他の市でも 2017 年 8 月現在,10 市が策定済みであり,特に静岡県で 3 市, 兵庫県においては 4 市で策定されている。なお静岡県(2014)は推進計画における目標の一つ して 11 市の推進計画,地域協議会設置をあげている。 2)塩野(2015)234 ページ。 3)大杉(2010)3 ページ。 4)国レベルならば,「国民に対する説明責任を徹底するため」に該当する。 5)「目標管理型の政策評価」とは,「実績評価方式を用いた政策評価及びあらかじめ設定された 目標の達成度合いについて評価する内容を含む,いわゆる『施策』レベルの政策の事後評価を いう」(総務省(2013)2 ページ) 6)政策評価審議会政策評価制度部会(2017)1 ページ。 7)具体的に区分の定義を述べる。「主に施策レベル」とは,例えば「外部の人材の活用や情報 資料の積極的な提供など,児童・生徒の「生きる力」を目指して,発達段階に応じた消費者教 育を充実させます」(静岡市(2015))と書かれているように,施策は把握できるが,事務事業 として何を具体的に進めるかが不明である場合をさす。「施策と事務事業の間」とは,例えば 「学校において体系的な消費者教育を実施することが重要であると考えます」の後,「<具体的 な施策>・学校における消費者教育<教育委員会主体>(施策数,回数,人数等実績)」(さい たま市(2017))等の事務事業が書かれているように,施策も事務事業も書かれているが,事 務事業の具体的な内容が不明な場合をさす。「主に事務事業レベル」とは,例えば「若者に対 する消費者教育の推進のため,教育現場への消費生活相談員の派遣,職場体験学習の実施等や その他啓発を行います。主な関係先:学校,高校,大学」(千葉市(2017))云々と,事務事業 が具体的に書かれている場合をさす。 8)もう少し詳細に定義を述べる。「具体的に記述」とは,例えば「消費者教育の(またはそれ に準じる)取組を行っていても,その認識がない」,「取組の対象となる年齢層に偏りがある」(札

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幌市(2015))など,実態調査をふまえて具体的に課題が記述されている場合を指す。「一部具 体的な記述」とは,例えば「インターネットに関する相談は 69 歳以下のすべての年代で最も 多くなっています。このため,インターネットを利用する上で身に付けておきたい知識等につ いて広報・啓発を行うとともに,特に児童・生徒や保護者への消費者教育を強化する必要があ ります。」(福岡市(2016))など,具体的な課題の記述もあれば,同じ箇所に抽象的な課題の 記述もある場合をさす。そして「国が示した課題を記述」とは例えば「消費者と事業者との間に 生じる消費者トラブルは深刻な問題ですが,その一方で,消費者の行動が内外の社会経済情勢や 地球環境に大きな影響を与えることも見過ごすことはできません」(千葉市(2017))のように, 国の推進法等に沿った課題の記述にとどまっている場合をさす。 9)例えば千葉市(2017)では環境学習モデル校があがっていたが,事業は環境行政部局が担当し ていたので,カウントしなかった。これも消費者教育の一部であるからカウントすべきという考 え方は充分ありうる。しかし今回は消費者教育の推進には,まずもって消費者行政部局の主体的 な取組が重要であり,それがどの程度,推進計画に反映されているのかをみるため,このような 集計方法をとった。 10)地方消費者行政活性化基金や地方消費者行政推進交付金がある程度利用できている時には消費 者教育コーディネーターの人件費や事業経費にお金を利用できていたが,今後は先細りになって いくといわれている。(日本消費経済新聞(2017 年 12 月 5 日発行)) 引用及び参考文献 千葉市(2017),「第 3 次千葉市消費生活基本計画」  (http://www.city.chiba.jp/shimin/seikatsubunka/shohi/dai3zi-kihonkeikaku.html 2018.1.5) 富士市(2016),「富士市消費者教育推進計画」  (http://www.city.fuji.shizuoka.jp/kurashi/c0502/rn2ola000000cuse-att/rn2ola000000d0mp.pdf  2018.1.5) 福岡市(2016),「福岡市消費者教育推進計画」  (http://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/shohiseikatsu/life/syouhiseikatusentauhoumupeiji/   suisinkeikaku.html 2018.1.5) 浜松市(2016)「浜松市消費者教育推進計画」  (https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kurashi/shouhishakyouiku/documents/shohi-suishin-keikaku.pdf 2018.1.5) 色川卓男(2015),「消費者市民社会に向けた地方における消費者教育施策の現状と課題」『国 民生活 . ウェブ版』, (32), 1 ∼ 4(http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201503_01.pdf  2018.1.7) 柿野成美・大野田良子(2015),「消費者教育推進法施行 1 年目にみる地方自治体の動向と今後の 課題」,『消費者教育』,35,63∼73 川崎市(2017)「川崎市消費者行政推進計画(2017∼2019 年度)」  (http://www.city.kawasaki.jp/280/page/0000086540.html 2018.1.5) 神戸市(2016)「第 3 次神戸市消費者基本計画」  (http://www.city.kobe.lg.jp/life/livelihood/lifestyle/kihonkeikaku/index.html 2018.1.5) 熊本市(2017)「熊本市消費者教育推進計画」  (http://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=15887&sub_ id=1&flid=107739 2018.1.5) 京都市(2015)「京都市消費者教育推進計画」  (http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000180365.html 2018.1.5)

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名古屋市(2017),「第 2 次名古屋市消費者行政推進プラン」  (http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000091614.html 2018.1.5) 新潟市(2016)「新潟市消費生活推進計画・新潟市消費者教育推進計画」  (https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/seisaku/seisaku/keikaku/shiminseikatsu/syohi-suisin/ index.html 2018.1.5) 大杉覚(2010),「日本の自治体計画」『分野別自治制度及びその運用に関する説明資料』,No.15, 財団法人 自治体国際化協会,政策研究大学院大学 比較地方自治研究センター,1∼18  (http://www.clair.or.jp/j/forum/honyaku/hikaku/pdf/BunyabetsuNo15jp.pdf 2017.12.29) さいたま市(2017),「さいたま市消費者教育推進計画」  (http://www.city.saitama.jp/001/012/003/009/003/p051996.html 2018.1.5) 相模原市(2017)「相模原市消費生活基本計画(中間改訂版)」  (http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/syouhi/023296.html 2018.1.5) 堺市(2016)「第 2 期堺市消費者基本計画(平成 28 年度∼ 32 年度)」  (http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gyosei/shishin/syohi/dai2kikeikaku.html 2018.1.5) 札幌市(2015),「札幌市消費者教育推進プラン」  (http://www.city.sapporo.jp/shohi/sesaku/documents/ceplan_c.pdf 2018.1.5) 政策評価審議会政策評価制度部会(2017),「目標管理型の政策評価の改善方策(平成 28 年)」 (http://www.soumu.go.jp/main_content/000471070.pdf 2017.12.31) 仙台市(2016)「仙台市消費生活基本計画・消費者教育推進計画」  (http://www.city.sendai.jp/sekatsu/kurashi/tetsuzuki/shohi/kihon/index.html 2018.1.5) 塩野宏(2015),『行政法Ⅰ総論 第 6 版』,有斐閣。 静岡県(2014),「静岡県消費者教育推進計画」  (http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-110/kyouikukeikaku.html 2018.1.5) 静岡市(2015),「第二次静岡市消費生活基本計画・静岡市消費者教育推進計画」  (http://www.city.shizuoka.jp/000693248.pdf 2018.1.5) 総務省(2013),「目標管理型の政策評価の実施に関するガイドライン」  (http://www.soumu.go.jp/main_content/000266288.pdf 2017.12.31) 総務省(2015),「政策評価の実施に関するガイドライン」  (http://www.soumu.go.jp/main_content/000354069.pdf 2017.12.31) 消費者教育推進会議(2017),「都道府県・政令市における消費者教育の推進状況調査」  (http://www.caa.go.jp/policies/council/cepc/other/pdf/cpec_other_170428_0003.pdf  2018.1.5) 消費者庁(2013a),『消費者教育の推進に関する基本的な方針』  (http://www.caa.go.jp/information/index17.html 2017.12.28) 消費者庁(2013b),『消費者教育の推進に関する基本的な方針 よくある質問と回答』(http:// www.caa.go.jp/information/pdf/kihonhousin.pdf 2017.12.28) 消費者庁(2013c),「地方消費者行政強化作戦」  (http://www.caa.go.jp/region/pdf/tihou_kyoka_1.pdf 2017.12.29) 横浜市(2015),「横浜市消費者教育推進の方向性」  (http://www.city.yokohama.lg.jp/keizai/shogyo/kurasi/houkousei.pdf 2018.1.5) 横浜市(2018),「横浜市消費者教育推進計画」(平成 27 ∼ 29 年度版)  (http://www.city.yokohama.lg.jp/keizai/shogyo/kurasi/kyouikusuisin.html 2018.1.5)

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