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第2章 必修教科等の研究 8 技術・家庭 (家庭分野) 自分や家族の生活に合った選択ができる生活者を育てる家庭科教育 : 食生活の自立を目指す授業を通して

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8 技術・家庭(家庭分野)

自分や家族の生活に合った選択ができる生活者を育てる家庭科教育

―食生活の自立を目指す授業を通して― 菊谷 愛 本論の要旨 誰もが一生のライフステージにおいて,必要なものや欲するものを購入・使用・廃棄する生活をして いるが,その状況に応じて適切な消費行動が求められている。このような中,生徒を取り巻く環境は, 様々な情報やものがあふれ,価値観も多様化しており,生徒の消費生活は,周囲の情報に影響を受けや すい状況にある。「消費者の基本的な権利と責任」の授業においても,消費者にかかわるいろんな被害 の事例についての知識を持ち,生徒の多くが高い関心を示している。しかし実際には,生徒自身が日常 的に消費行動をとっていることは少ない現状である。そこで,やがて日常的に訪れるようになる商品を 選択・購入する場面で,多様な価値の中から自分や家族の生活に合った価値を判断し選択できる生活者 を育てたい。 本研究では,主に食品の選択と購入について取り上げ個々の生徒どうしの価値観のちがいに気付かせ 家族の生活スタイルや多様な価値の基準を考慮して判断する場面を授業の中で取り入れ,様々な情報と 価値を整理させながら意志決定に向かわせた。この学習を通して適切な判断が自分や家族の生活の仕方 や消費の在り方の改善につながることを知らせていきたい。 キーワード 価値・判断,商品の選択と購入,家族設定,食生活の自立 1 研究主題によせて (1) はじめに 私たちの生活は,日々様々なものを「選んで, 買って,使って,捨てる」という消費行動を繰り 返している。また現代社会においては,店舗販売 から無店舗販売,通信販売や訪問販売など,販売 方法や物資・サービスの提供,それらにまつわる 情報も多種多様にあり,生活者は適切に選択・購 入することが求められる。 中学1年生で「D身近な消費生活と環境」にお いて消費者の基本的な権利と責任についての授業 を行った。その中で様々な消費者にかかわるトラ ブルの事例を取り上げたが,生徒はこれらの情報 の多くを知識として得ているものの,正しく理解 して対処法までを知っている生徒はわずかであっ た。中でも特にインターネットとカタログ等の通 信販売については,実際に家族が「被害に遭った ことがある」あるいは「被害に遭いそうになった」 と言う生徒が経験を語るなどしたため,互いに現 実感を共有した。このような消費者にかかわるト ラブルについて,生徒の多くが「騙されたくない」 と感想を述べ,「騙されないためにどうするか」 や「騙されたらどうするか」について高い関心を 示した。実際には,中学生自身が主体的に消費行 動をとっていることは少ない現状であり,実生 活での目的に応じた商品の選択・購入に即時につ ながることは少ない。ただライフステージにおい て,衣・食・住生活を支える消費行動は必要不可 欠であり,商品を選択・購入する場面は必ず日常 的に訪れるようになる。その時に多様な価値の中 から自分や家族の生活に合った価値を選択できる ようにさせたいと考えた。 そこで本研究では,生徒にとって日常的であり 関心の高い内容「B食生活と自立」を柱として, 調理実習で使用する食品の品質の見分け方と取り 扱い,用途に応じた選択とを関連づけた授業の工 夫を試みた。調理実習は第1学年で全7回実施し た。題材には,以下を設定した。 ・筑前煮(日常食の調理) ・幸福豆(滋賀の郷土料理) ・さんまのかば焼き(魚の調理) ・ミネストローネ(エコクッキング) ・ハンバーグステーキ(肉の調理) ・ホームフリージングハンバーグ(加工食品) ・ハンバーグの素を使ったハンバーグ 内容「B食生活と自立」の「(2)日常食の献 立と食品の選び方」の「ウ 食品の選択」と「D 身近な消費生活と環境」の「(1)家庭生活と消 費」の「イ 購入及び活用」の学習との関連を図 りながら展開した。このように調理実習を中心に

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した授業を通して食品を選択,購入する場面では, その必要性や栄養・価格・味・調理の能率・環境 への負荷などの観点を理解して判断することが消 費者に求められている姿勢であることを伝えた い。 様々な事情の家庭があり,価値観も多岐に及ぶ が,それぞれの家庭にとってのよりよい選択の視 点は何かを判断させたい。またその自分の意見を 持つに至るまでにどのような判断をしていくの か,自分の変容に気付かせたい。 (2)研究の概要 ①自分や家族の生活に合った選択をする能力を 高める家庭分野の授業の工夫 ア) 多様な価値の基準を考慮して判断させる場 面を設定する。 [授業実践例1] ・筑前煮に使う材料を選ぼう [授業実践例2] ・いろいろなハンバーグを試してみよう イ) 実生活で食品の比較・選択をさせる。 ・宿題「食品の価格・産地調べ」 ・宿題「加工食品の品質表示調べ」 ②授業後に振り返る食生活の自立の意識分析 ・調理実習後アンケート (3)研究仮説 食品の選択にあたって,設定した家族の生活を イメージさせながらグループで話し合わせ,比較 や特徴,問題点などを明確に整理して判断させた 上で,自分の考えを伝えることで,他のグループ との交流やさらにはクラス全体を通した比較がで きるようになり,その中で生徒は自他の考え方の 違いに気付き,よりよい生活に向けて工夫するこ とを意見していくようになるであろう。 自分や家族の生活に合った選択ができる ようになるまでのイメージ図 2 授業実践例1 題材「筑前煮に使う材料を選択しよう」 (1) 題材設定の理由 新学習指導要領では,「B食生活と自立」にお いて,心身ともに健康で安全な食生活のための食 育の推進を図る視点から,食生活の自立を目指し, 中学生の栄養と献立,調理や地域の食文化などに 関する学習活動を充実させることがあげられてい る。特に食事の役割や調理については,小学校で の基礎的な学習を踏まえて,中学生に必要ないろ いろな栄養素が相互に関連をもちながら健康や成 長に役立っていることや安全と衛生に留意して食 品や調理用具の適切な管理を通して,よりよい食 生活を営むことができるようにすることをねらい としている。また調理実習で使用する食品の選択 や取り扱いについては調査や比較の活動を取り入 れるなど,生徒が主体的に考えることができるよ うに配慮することとなっている。 本時では,筑前煮に使う材料を選択させる際に, 筑前煮の調理実習で学習した調理法のことや環境 に配慮した調理実習で学習したごみの減量化のこ とを関連づけて生徒に既習事項を思い出させなが らよりよい選択ができる力に結びつくようにした い。この食品の選択にあたっては,様々な事情の 家庭や家族をイメージさせるために,4人グルー プを家族に設定したり家族の役割を決めてその立 場で物事を考えさせたりしていく中で,グループ 間の比較ができるようになり,その中で生徒は自 他の考え方の違いに気付き,よりよい選択に向け て工夫することができるようになるであろう。さ らに食品を適切に選択したり購入したりすること は,自分や家族の生活の仕方や消費の在り方を改 善することにつながることも知らせていきたい。 この学習を通して消費者としての自覚を高めさ せ,生活を見直す視点をもって主体的に生活を営 んでいけるような力を身に付けさせたいと考え, この題材を設定した。 (2)学習計画(全9時間) 第1次 「筑前煮」を作ろう ― 3時間 第2次 「エコクッキングをしよう」― 3時間 ~キャベツ丸ごと1個を使ってミネストローネ を作ろう~ 第3次 食品の選び方を考えよう ― 1時間 ~筑前煮に使う材料を選ぼう~(本時7/9) 第4次 環境に配慮した食生活を工夫しよう ― 2時間

価値判断

家庭生活

(生活体験)

安全 安心 環境 への 負荷 値段 五感 情報

家族の生活に合った選択ができる生活者

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( 3 ) 本 時 の 展 開 学習内容・学習活動 指導上の留意点,★思・判・表を伸ばす方策,◆評価 導 入 1. 各自宿題で調べてきた「筑前煮に使う材料 の価格,内容量,産地」を班で交流し一覧 表にまとめる。 2. 本時の課題を知る。 各班に一覧表を配布する。 宿題の「筑前煮に使う材料の価格,内容量,産地」を班で交流させ一覧表に記 入させる。調べた店舗によって商品の価格や産地が違うことに気づかせる。 本時は食品の用途に応じた選び方を考えることを示す。 展 開 3. 自分はどの材料を選ぶかをワークシート に書く。 班で話し合った結果,最も選びたいと考え たものの価格と内容量と産地をホワイト ボードに記入する。 4. ホワイトボードの内容を発表する。 筑前煮の材料を購入する時、比較の観点の どの観点を最も重視するか、意見を発表す る。 自他の考えの違いに気付く。 友達の考えを知って、再度選びたいと思っ た順を書く。 5. 筑前煮を作るために材料の「れんこん」を 買う時、どの「れんこん」を選択するか、 家族の事情を考慮して、班で話し合って決 め,黒板にれんこんの写真を順位づけて貼 り,選んだ理由を発表する。 家族の事情(調理するのは下線の人) ・3世代同居家族 [父母(共働き),祖母,中学 生,幼児] 祖母が畑で野菜作り ・核家族 [父母(専業主婦),中学生,幼児] エコに関心がありゴミの分別に厳しい母 ・核家族 [父(専業主夫)母,中学生,幼児] 健康志向ために体によいものを食べたい父 ・核家族 [父母(共働き),中学生,幼児] 食材宅配サービスを利用している ・大家族 [父母(専業主婦),高校生 ,中学2人,小学生2人,幼児] 育ち盛りの子ども に食費がかかり調理と買い物でやりくりする まずは自分がどれを選ぶのかを重視した観点と選びたい理由と順位をワーク シートに記入させる。その後班で交流し、どの食材を選ぶか話し合わせた結果 をホワイトボードに記入させる。 ★食品を選択する際に家族の事情や価格,内容量,産地を考慮して判断させ, 判断した理由を説明できるようにさせる。 食材を購入する時、どの観点を重視して選ぶか、意見を発表させる。 ★宿題で調べてきた価格,内容量,産地と調理時間などの情報を活用して判断 した自分の考えと他者の考えを比較させることでよりよい判断ができるよ うにさせる。 ・地域の食材を用いる地産地消は消費するエネルギーを減らせる。 ・食料を輸送することによって、二酸化炭素の排出量が増える。 ・安いものを選ぶと、たくさんの量を買うことができる。 ・味が一番。値段が高くてもおいしいものを選びたい。 ◆筑前煮の材料の選び方について,収集・整理した情報を活用して考え,工夫し ている。 【生活を工夫し創造する能力】 4人班を家族に設定し父・母・中学生・幼児の役割を決めて話し合わせる。 ★家族に設定し役割を決めさせてそれぞれの立場で意見を交流させ,発表の際 に判断した理由を述べさせる。 家族の事情カードを配布し、筑前煮を調理するのは誰かを確認する。 調理時間は40分間とし、朝ご飯のおかずに筑前煮を作ることとする。 「洗いれんこん」「水煮れんこんスライス」「水煮れんこんブロック」「筑前 煮野菜ミックス」の4種類の写真を配布し、どれを選ぶか話し合わせる。 家族の事情を満たすことが条件であることを告げる。 順位を決めさせて、黒板にれんこんの写真を貼らせ理由と共に発表させる。 家族の事情が異なっても,選ぶ食品は同じである場合や家族の事情によって選 ぶ食品が大きく変わることを、黒板に貼らせた写真の一覧(マトリクス)を使 って説明する。 ★写真を使ったマトリクスを見て,各家族の事情や選択した理由の違いを比較 して理解させる。 ま と め 6. 筑前煮の調理実習を思い出し、材料の入手 方法はどれがよいと思うか発表する。 材料の入手方法の例(冷凍・宅配サービス・地産地消・コンビニ・レトルト食 品など)を画像で呈示し入手方法の観点からよりよい材料の選び方を説明させ る。 図1 「筑前煮に使う材料を選ぼう」の1時間の学習過程 ○資料・教具・準備 生徒: 教科書,ファイル,筑前煮材料調べ宿題プリント 教師: れんこん関連写真,れんこん実物商品,筑前煮材料調べ一覧表,ワークシート,スクリーン,パ ソコン,実物投影機,家族の事情カード

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(4)学習の概要と分析 本時の筑前煮の材料を選択させる場面では,次 の3点の方法で判断する力を伸ばすことができ た。 ① 宿題で調べてきたことを交流させる。 調理実習では,教師が材料を購入・用意し たが,実習後に宿題として店舗に出向かせ, 筑前煮に使う材料の価格・内容量・産地を調 べさせた。(資料1) これをグループで交流し,店舗によって商 品の価格や産地が異なることを理解させた。 店舗に行くことができなかった生徒の中には インターネットやスーパーの広告を使って調 べてきた者もいた。(資料2・3) ② 4人班を家族に設定して事情付きで考えさせ る。 筑前煮に使う「れんこん」を選択させる場 面では,「土付きれんこん」,「水煮れんこ ん」「水煮スライスれんこん」,「筑前煮ミ ックス」の4種類について考えさせた。この 際に,4人班を家族に設定し,役割を決めさせ てそれぞれの立場で意見を交流させた。また それぞれの家族に設定した事情を与え,事情 を考慮させながら,どの食品を選択するかを 判断させるようにした。(資料4) 家族の事情は各班で異なり,核家族や3世 代同居家族など家族構成も様々で,事情につ いても健康志向や家庭菜園,食材宅配サービ ス利用などの設定にして与えられた事情を満 たすように考えさせ,よりよい選択ができる ように話し合いをさせた。そしてこの異なる 生活スタイルでそれぞれが考え判断をして選 択したものを互いに交流させた。この話し合 いにより,人により価値観が違うことを理解 し,自分にとってよりよい選択とは何かを考 えさせることにつなげた。 ③ マトリクスを活用して比較して考えさせる。 マトリクスを活用して,項目間の比較や特 徴,問題点などを明確にさせ,自分の考えを わかりやすく伝達・整理する力を身につけた いと考えた。ここでは,実物と画像の呈示を 同時に行うことで,生徒は画像ではわかりに くい表示部分を実物で確かめた。こうするこ とでイメージの幅が広がり,実物の情報とを 比較・整理しやすくなり,よりよい選択の視 点へ結びつかせることができた。(資料5) 資料1「宿題プリント:筑前煮に使う材料調べ」 資料2「班での交流:調べた店舗によって商品の 価格や産地が違うことを知る」 資料3「ワークシート:筑前煮に使う材料を選ぼ う」

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資料4「パワーポイント資料:筑前煮に使う“れ んこん”はどれを選ぶ?」 資料5「マトリクスで発表:選びたい“れんこん ”を順に貼ろう」 2 授業実践例2 題材「いろいろなハンバーグを試してみよう」 (1)題材設定の理由 本題材は内容「B食生活と自立」の「(2)日 常食の献立と食品の選び方」の「ウ 食品の選択」 と「(3)日常食の調理と地域の食文化」の「ア 基礎的な日常食の調理、食品の適切な管理」の学 習との関連を図りながら展開する。食品を選択, 購入する場面では,その必要性や栄養・価格・味 ・調理の能率・環境への影響などの観点を理解し て判断することが消費者に求められている姿勢で あることを伝えたい。この食品の選択にあたって は,実際に生鮮食品を使って調理することと加工食 品を活用して調理をすることと,冷凍加工の調理 をすること,加工食品を活用して調理をすること によって,,観点の比較や特徴,問題点などをイメ ージしながら明確に整理して判断させることにつ なげられると考えた。生徒には様々な事情の家庭 があるが,それぞれの家庭や個人にとってのよりよ い選択の視点は何かを判断させたい。この様々な 事情の家庭や個人の立場で物事を考えさせ,他の グループとの交流やさらにはクラス全体を通した 比較ができるようになり,その中で生徒は自他の 考え方の違いに気付き,よりよい生活に向けて工 夫することを意見していくようになると考えた。 その自分の意見を持つに至るまでにどのような判 断をしていくのか,自分の変容に気付かせたい。 本時では,ハンバーグを選択させる際に,調理実 習で学習した調理法のことや環境に配慮した調理 実習で学習したごみの減量化や加工食品の特徴の ことを関連づけて生徒に既習事項を思い出させな がらよりよい選択ができる力に結びつくようにし たい。ここでは基本的なハンバーグと冷凍加工し たハンバーグと加工食品(ハンバーグの素)を利 用した3種類のハンバーグを調理・試食させるこ とで,調理方法や調理時間,味,価格等,比較の 観点がより明確になり用途に応じた選択ができる ようになるであろうと考えた。自分や家族の生活 の仕方のTPOに合わせて3種類のハンバーグを どの場面でどのように使うのかを的確に判断させ たい。そして選択する時に,なぜそれを選んだの かという理由を多面的に捉えさせ,これが消費者 としての自覚を高めさせ,主体的に生活を営んで いく力に結びつくと考え,この題材を設定した。 (2)学習計画(全6時間) 第1次 「ハンバーグ」を作ろう ― 3時間 第2次 自分の生活に合った食品の選び方を考え よう ―3時間 ~ホームフリージングハンバーグを作ろう~ ―2時間 ~いろいろなバーグを試してみよう~ (本時8/8) (3)本時の展開 学習内容・学習活動 指導上の留意点,★思・判・表を伸ばす方策,◆評価 導 入 1. 加工食品(ハンバーグの素)の品質表示の 原材料名の情報で品名(名称)が何か考え る。 持参した品質表示の原材料名と見比べる。 加工食品(ハンバーグの素)の品質表示の原材料名のみを実物投影機で呈示し 品名を考えさせる。ハンバーグの材料名を呈示し似ていることに気づかせる。 原材料名の記載は使用量の多い順であることを示し、持参させた品質表示で確 認させる。

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展 開 2. 本時の課題を知る。 3. ホームフリージングハンバーグと加工食 品(ハンバーグの素)を利用したハンバー グについて比較する。 4. ホームフリージングハンバーグと加工食 品(ハンバーグの素)を利用したハンバー グを班で協力して調理する。 ・解凍したハンバーグを電子レンジで加熱 する。 ・ハンバーグを焼く。 ・盛りつけ、配膳をする。 ・試食する。 5. 調理・試食してわかった結果をワークシー トに記入する。 6. どのようなシチュエーション(状況)の時 に3つのハンバーグを作りたいかの意見と そのように考えた理由を発 表する。 自他の考えの違いに気付く。 本時は加工食品の表示の意味を知り用途に応じた選び方を考えることを示す。 ワークシートを配布し、ホームフリージングハンバーグと加工食品(ハンバー グの素)を利用したハンバーグについて観点「原材料・内容量・賞味期限・保 存方法・調理方法」で比較させる。 安全と衛生に留意することや時間の経過について知らせる。 適切な電子レンジの扱い方、加熱方法、調理方法について助言する。 火加減を班で注意するように確認する。 ハンバーグの盛りつけ方と配膳の仕方を確認する。 観点「調理時間・見た目・味」で比較させる。 ◆用途に応じたハンバーグの選択について,収集・整理した情報を活用して考え 工夫している。 【生活を工夫し創造する能力】 班で意見を交流させ、「いつ・どんな時・誰が・誰に・どのように作るか」を ワークシートに書かせる。 ★発表内容を実物投影機で写し,そのように考えた理由を発表させ,自分の考 えと他者の考えを比較させることでよりよい判断ができるようにさせる。 手作り ホームフリージング ハンバーグの素 いつ どこで 誰が調理する? どのように作る ま と め 7. 後片付けをする。 ・ゴミを分別し,適切に処理する。 ・調理用具,熱源の後片付けを点検し合う 環境や資源,衛生に配慮した後片付けの仕方に気づかせ,実践させる。 実習したことを家庭での実践に生かすよう助言する。 ○ 資料・教具・準備 生徒: 教科書,ファイル,エプロン,三角巾,マスク,布巾,加工食品品質表示 教師: 調理実習材料(ハンバーグの素,挽き肉・油・前時で冷凍したハンバーグ),フライパン, 電子レンジ,ワークシート,スクリーン,パソコン,実物投影機 (4)学習の概要と分析 本時の学習活動では,用途に応じたハンバーグの 選択について考えさせる場面で次の3点に力点を おいた結果,様々な価値を整理しながら意志決定さ せることができた。 ① まず調理実習で基本的な技術を体得させる。 第2・3次で行う調理実習「ハンバーグを作ろ う」では,肉の調理上の性質や衛生的な扱い方, 加熱の仕方などの基本的なハンバーグの作り方を 調理を通して技術を習得させたい。男女ペアで調 理を行い,ハンバーグのこね方・成形・焼き方に ついて相互評価させた。この基礎・基本を理解で きれば,その他の加工食品等のいろいろなハンバー グとの比較を行う際に,比較の観点となる調理時間 や保存方法を考慮して用途に応じた選択ができる ようになると考えた。 ② ホームフリージングハンバーグ(冷凍加工)を 調理させる。 第5・6次で行う調理実習「いろいろなハンバー グを試してみよう」では,ホームフリージングした ハンバーグと加工食品(ハンバーグの素)を使った ハンバーグを4人班で協力して調理させた。冷凍加 工するためには,みじん切りして炒めた玉ねぎを冷 ましたり,空気を抜きながらジップロックに入れた

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りする工程が,基本的なハンバーグの作り方にはな かったことで,どのようにしたら時間短縮につなが るかを考えながら作業する生徒の姿も見られた。 (資料6)また,冷凍加工する工程を肉の成形の段 階と指示したが,生徒から「焼いた物も凍らせて試 してみたい」という声があがり,2種類のホームフ リージングハンバーグを作らせた。 資料6「ジップロックに入れて冷凍する」 ③ 加工食品(ハンバーグの素)を使ったハンバー グを調理させる。 第7次では,ハンバーグの素を利用したハンバー グを班で協力して調理させた。ハンバーグの素には パン粉・玉ねぎ・乳成分等が含まれており,水と挽 肉があれば簡単にハンバーグができる。調理をして いる時の生徒の様子は,「うわっ。もうできた」と いう驚きの表情と「何か物足りない」と言って肉を こね続ける複雑な姿が見られた。基本的な手作りハ ンバーグと冷凍加工と加工食品を利用したハンバ ーグの3種類を実際に調理して試食し,それぞれの 良い点に気付かせ比較させた。それぞれのハンバー グを調理した感想は,「ホームフリージングしたら 肉が甘く感じた」「冷凍した方は焼く時にボロボロ とくずれやすくなって焼きにくかった」「ハンバー グの素を使う方が見た目がふっくらとしている」な ど加工食品の良い点も目立った。そして自分がハン バーグを選択する時は,どんなハンバーグを選択す るのかを問うと,「ハンバーグの素は年寄りになっ てから使いたい」「ハンバーグを作る時に残った種 で冷凍もしておきたい」といった扱い方の工夫点の 回答もあった。このように自分の考えと他の考えを 比較させることでよりよい判断ができるようにさ せた。 左:ホームフリージング 右:ハンバーグの素 生徒のふり返りノートより ・手作りのハンバーグは,玉ねぎの味と肉の味 がはっきりとわかる。ハンバーグの素は,スパ イスの味がきいていて美味しかった。 ・卵とか牛乳とかがない時は,ハンバーグの素 は便利だなと思った。 ・ホームフリージングも手作りのハンバーグも 同じ味だったから驚いた。冷凍にしておくと食 べたい時にすぐに作れて便利だと思う。 ・ハンバーグの素を使えばロールキャベツとか も簡単に作れるので便利だと思う。 ・ハンバーグの素を使う方が焼きやすかった。 ・手作りのハンバーグが1番美味しかった。 3 考察 ① 自分や家族の生活に合った選択をする能力 を高める家庭分野の授業の工夫 全6回実施した調理実習について事後アンケー トを実施した。(資料7)6回とも「実習がとても 楽しかった」または「実習が楽しかった」といった 前向きな解答を約8~9割の生徒がした。特にハン バーグステーキについては,「実習がとても楽しか った」と答えた生徒が最も多く,さらに「実習後に 家でも作った」と答えた生徒も多かった。ハンバー グステーキの調理で好きなところは,「こねる」 「玉ねぎのみじん切り」「形を整えて焼く」という 解答が多く生肉の取り扱いに関心が高いことがわ かる。調理で難しかったところは,「焼く時に形が くずれないようにひっくり返す」「中まで火を通 す」といった焼き加減に苦戦したようである。手作 りのハンバーグを作る家庭も少なくないようで,調 理手順の理解も全体的に早かった。ただ過去にホー ムフリージングを作ったりハンバーグの素を使っ たりしたことのある生徒はほとんどいなかったた め実際に調理・試食することで,調理時間や材料・ 価格・味などの選択する観点について考えさせるこ とができた。 第1回目の調理実習が「筑前煮(日常食の調理)」 であったため,筑前煮の調理については「とても楽 しかった」と答えた生徒が多かった。筑前煮は野菜 の材料の下準備が必要なので,調理実習の事前授業 として「材料の切り方・下準備のデモストレーショ ン」を行い全員に体験させた。この時は「こんにゃ くを塩もみしてちぎる」「さやえんどうの飾り切 り」「ごぼうの皮を包丁の背で剥く」調理に「楽し い」「やりたい」と言う意欲的な姿が見られた。た だ筑前煮の調理の難しいところを「れんこんの皮む き」「調理の順番」と答える生徒が多いことや,筑

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前煮の材料を選択させた授業では「筑前煮ミックス は切る手間が省けて便利」と言って選択する生徒も やや多かったことから,筑前煮は「調理に時間がか かる」「根菜類の下準備が面倒」といった感想を持 ち「授業後に家庭で作らない」生徒が多かったので はないかと思う。しかし「ハンバーグステーキ」「筑 前煮」は,共に調理後に材料や調理について選択さ せる授業を行ったため,生徒の印象も強く他の「幸 福豆」「さんまのかば焼き」「ミネストローネ」と 比較すると実習後の家庭での実践数は多かった。さ らにこの2つの題材については,「材料を一人で買 い物できる」または「材料があればいつでも調理で きる」といった自立の意識の高さも目立った。 ② 授業後に振り返る食生活の自立の意識分析 調理実習後アンケート(資料7)より,「材 料があればいつでも調理できる」「材料を一人 で買い物する自信がある」といった食生活の自 立の意識の高い題材は「ハンバーグステーキ」 と「幸福豆」であった。共通点は,材料が単純 でわかりやすいこと,調理が簡単であることで ある。郷土料理の幸福豆は,炒った大豆と米粉 を合わせた生地をホットプレートを用いて焼く 単純な調理であることから「自分で調理できる 自信がある」と答えた生徒が多かったのではな いかと思う。「さんまのかば焼き」は,「魚を 開くのが楽しかった」「魚に粉をまぶすのがお もしろい」という感想が多く,生魚を見た瞬間 は「えーっ。臭い。」と言って嫌がっていた生 徒も最後には,「おもしろかった」「もう1尾 やりたかった」という感想を残した。しかし大 半の生徒が授業後に家庭で実践していない。こ の家庭での実践につながらない理由として「台 所を好きに使わせてもらえない」「家族が魚嫌 い」という生徒の回答があった。またアンケー トで6回行った調理の好きなところを聞くと, 「大豆を炒るといい臭いがしてきた」「筑前煮 を煮ている時の醤油の香りが好き」「ハンバー グを焼いている時の焦げたいい臭い」「さんま を焼いてたれを入れた時の美味しそうな臭い」 など「焼く」調理を通してでしか味わえない五 感を働かせた記憶についての記述が見られた。 また自立の意識の高さの現れとして調理実習後 の家庭での実践を予測していたが,調理に対す る生徒の関心・材料の好み・家庭環境・生活時 間・経済面など様々な要因が関連して,生徒の 持つ自立の意識も変容することを実感した。 ◎大変そう思う○そう思う△あまり思わない×思わない 資料7[調理実習後アンケート 1 年生 108 人対象] 4 課題 本研究では,主に食品の選択と購入について取 り上げ個々の生徒どうしの価値観のちがいに気 付かせ,適切な消費行動を実践するためには家族 の生活スタイルや多様な価値の基準を考慮して 判断することが重要であることを伝え,この判断 する場面を授業の中で取り入れ様々な情報と価 値を整理させながら意志決定に向かわせた。この 学習を通して生徒は様々な考えや価値観にふれ ることはできたが,自分自身の価値観を持つまで にはまだ至っていない。主体的に生活をしていく 上で自分や家族の生活に合った選択をすること は必須である。この選択をする際に総合的な視点 と判断力,さらには生きていく上での問題や課題 を解決する力,他者と協力する力などが大きくか かわり自立につながっていくものだと感じる。 [引用・参考文献] ■「生きる力をそなえた子どもたち-それは家庭 科教育から-第三節 自立した人間の育成を目 指す家庭科」滋賀大学教授 矢野由起 著日本家 庭科教育学会編集:(株)学文社(2013) 筑 前 煮 幸 福 豆 さ ん ま の か ば 焼 ミ ネ ス ト ロ | ネ ハ ン バ | グ 実習が楽 しかった ◎53 ○45 △ 8 × 2 ◎62 ○38 △ 8 × 0 ◎54 ○41 △10 × 3 ◎51 ○44 △10 × 3 ◎75 ○25 △ 6 × 2 実習後、 家でも作 った ◎13 ○24 △ 2 ×69 ◎ 4 ○ 5 △ 6 ×93 ◎ 9 ○ 9 △ 2 ×88 ◎16 ○10 △ 8 ×74 ◎31 ○22 △ 6 ×49 材料があ ればいつ でも調理 できる ◎16 ○38 △38 ×16 ◎39 ○37 △22 ×10 ◎18 ○37 △37 ×16 ◎25 ○40 △33 ×10 ◎35 ○37 △29 × 7 材料を一 人で買い 物する自 信がある ◎37 ○36 △31 × 4 ◎46 ○46 △14 × 2 ◎39 ○41 △21 × 7 ◎32 ○39 △30 × 7 ◎41 ○40 △20 × 7

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