はじめに
食の安全には世代別の特徴をとらえて対応す る必要性が高い問題がある。 幼児や高齢者は、 免疫や咀嚼・嚥下機能が脆弱であることから、有 害微生物による食中毒や食品の誤嚥・窒息の予 防が一層求められる。この意味で、幼児の食の リスクの低減には、母親が正しい知識を身に付 けて家庭で合理的にリスクに対応することが求 められる。 一方、消費者の食の安全の問題の捉え方につ いては、リスク分析の考え方が適切に理解され 定着しているとは言えない現状が指摘されてお り、食品添加物や農薬等の人工物への不安が高 いことがリスクコミュニケーションの課題とし てとりあげられている1)。2015 年の内閣府食品 安全委員会による調査においても、消費者の多 くが食品添加物を「日本の現代の食生活等にお いて健康への影響に気をつけなければならない 項目」に挙げている2)。 筆者らは、先に、関東と関西に在住する幼児 を持つ母親を対象としたインターネット調査を 実施し、幼児の食のリスクの低減に必要な知識 や習慣が十分に身についていない母親が一定の 割合存在すること、食品の誤嚥・窒息の危険性 の認識が低い者は、食品添加物に否定的な考え を持ち、表示を参考にする一方で、食事中の幼 児の誤嚥・窒息に気を配っていない等の特徴を 持つことを明らかとし、母親へのリスクの考え 方を取り入れた食の安全教育の必要性を示し た3)。 本研究では、京都府南部に在住する母親を対 象として留置法による調査を行い、対象者の食 のリスク認識に関わる実態を示し、先の調査結 果3)と併せて考察した。 さらに、食品添加物の リスクを知覚することが、その他の食のリスク 認識に及ぼす影響について検討を加えた。尚、本 研究における食のリスクは「食品中に危害要因 が存在することで引き起こされる健康障害の程 度とその発生確率」、リスク知覚は「客観的な確 率値で示される危険性ではなく、人びとの主観 に基づく危険性評価」4)と定義する。食品添加物のリスク知覚に関する一考察
―京都府南部の幼児を持つ母親の食の安全に関わる調査から―
田中 惠子、坂本 裕子
京都府南部の幼児を持つ母親を対象に食の安全に関わる調査を実施した。幼児の食のリスクを適 切に認識していない者、リスクを低減するための知識や習慣が身についていない者が一定の割合存 在した。食品添加物のリスクを知覚する者の特徴から、リスクの低い問題に対しリスクを知覚する ことが、実質的にリスクの高い問題への意識を低める可能性が示唆された。母親を対象として、リ スクリテラシーを身に付けることを含めた食の安全教育の必要性が示された。 キーワード:幼児の食のリスク、母親、食品添加物、リスク知覚、リスクリテラシー方法
1.対象者と調査方法 2014 年 12 月に、京都府南部に位置する幼稚園 と保育所 2 園に子供を通わせている家庭 332 世 帯を対象として、自記式質問紙法によるアン ケート調査を行った。144 世帯から回答が得られ (回収率 43.4%)、そのうち 20 歳∼ 40 歳代の母 親、137 名を解析対象者とした。 調査用紙は、幼稚園もしくは保育所を通じて 配付し、各園でまとめて研究実施者が受け取っ た。用紙には、研究の目的、調査に同意しない 場合は提出する必要がないことを明記した。 尚、 本研究は、日本公衆衛生学会研究倫理審査委員 会の承認を得て実施した(日公 13 − 002 2014 年 6 月 4 日承認)。 2.調査内容 調査項目は、基本属性(表 1 参照)、食の安全 の問題の捉え方、食のリスクの考え方、知識、意 識および行動(表 2 ∼ 5)である。いずれも 2 ∼ 7 個の選択肢から選ばせる方式とした。食の安全 の問題の捉え方として、食の問題 11 項目(表 2) から、「幼児の食の安全の問題として危険性が高 く、その危険性を低くするため大人が家庭や保 育所・幼稚園等で努力する必要性が高いと感じ る問題」(以後、幼児にとって危険性が高いと感 じる食の問題と記す)を上位 3 位まで選ばせた。 食の問題 11 項目は、内閣府食品安全委員会が継 続的に実施している食品の安全性に関する意識 調査5)でとりあげられている項目を参考に、消 費者が不安に感じており、その問題について知 らない者が少ない問題として、 有害微生物によ る食中毒、食品添加物、農薬等の項目をとりあ げた。 また、幼児の食の問題として食物アレル ギーと食物による誤嚥・窒息を選び、さらに不 適切な食習慣を加えた。不適切な食習慣は食品 中の危害要因ではないが、幼児の健康状態と強 く関連すると考えられ、周りの大人が配慮する 必要性の高い問題であることから 11 項目に加え た。調査票では、不適切な食習慣とは「欠食、 不 規則な食事、 偏食、 塩分や砂糖あるいは脂肪の とり過ぎ、 野菜不足等栄養のアンバランスにつ ながる食べ方」として説明した。 母親の知識、意識および行動を問う項目には、 すべての幼児にとってリスクが高いと見なされ る有害微生物による食中毒と食品の誤嚥・窒息 に加えて、消費者の意識等の先行研究6 ∼ 8)が多 く、過去数年間で消費者のリスクの捉え方に大 きな変化がない項目として食品添加物を選定し た。食のリスクや食品添加物の考え方の質問は、 先行研究7、9)を参考にして作成した。 3.集計および解析方法 調査結果は百分率(%)で示した。 本研究で は、食品添加物のリスクを知覚する者の特徴を 明らかにするために、幼児にとって危険性が高 いと感じる問題の上位 3 位に食品添加物を選択 した者と選択しなかった者の 2 群を従属変数と して、 表 3 ∼ 5 に記載の質問項目を独立変数とし て多重ロジスティック解析を行った。解析には Wald の変数増加法を用い、年齢、就労の有無、 食と健康の専門職や資格の有無、子供の構成(0 ∼ 2 歳の子供の有無)、昼間の預け先、家族の食 中毒や自分の子供の誤嚥・窒息の経験の有無を 独立変数に同時に投入してこれらの因子の影響 を調整した上で関連のある要因を抽出した。 以 上 の 解 析 に は 統 計 解 析 ソ フ ト SPSS19.0J (Regression Models)を使用して有意水準は 5% (両側検定)とした。結果
表 1 に対象者の属性を示した。対象者の年代は、20 歳代 10.2%、30 歳代 67.2%、40 歳代 22.6% であった。子供の平日の保育は幼稚園が 57.7%、 保育所が 42.3%で、食品や栄養に関わる仕事の経 験や資格を有する者は 16.1%であった。また、同 居している子供に、 0 ∼ 2 歳がある者は 35.8%、 小学生以上がある者は 51.1%であった。 表 2 に、食の問題 11 項目について、幼児にとっ て危険性が高いと感じる問題の上位 3 位までに 選んだ割合を示した。割合が最も高かったのは、 有害微生物による食中毒の 79.6%で、次いで放射 性物質 35.8%、不適切な食習慣 34.3%、食品添加 物 30.7%の順であった。 食のリスクの考え方は、表 3 に示したように、 特定の食品の危険性に悩むよりも栄養バランス よく食べることが大切であると、どのような食 品にもリスクはありその大きさが問題であるで は、「そう思う、ややそう思う」と肯定的に答え た割合が 90.5%、86.0%と高かった。一方、毒性 を示すものでもごく少しであれば身体に害にな らないことがある、を肯定的に捉えている者は 30.1%に留まり、天然物は化学的に合成されたも のより安全であると考えている者は、76.6%に達 していた。 有害微生物による食中毒と食品の誤嚥・窒息 の経験、知識、行動を表 4 に示した。有害微生 物による食中毒に関して、幼児(2 ∼ 6 歳)へ与 えてはいけない食品として選択した割合は、生 牡蠣が全体の 91.2%、鶏の刺身が 78.1%と高かっ たが、尚、1 ∼ 2 割の者にこれらの食品を幼児に 与えてはいけないという認識がなく、全て与え て良いと答えた者も存在した。調理の際に生の 肉や魚を触った後に石けんで手を洗う習慣があ る(いつも石けんで洗う)者は 71.5%であり、一 方、「水だけで洗う、洗わない」者も 13.1%と 7 ∼ 8 人に 1 人存在した。また、バーベキューや 焼き肉等で生の肉や魚を扱う と取り や食べ る を「いつも区別している」者は 68.6%で、「区 1)選択ありの人数(%) 2) 食品の生産、加工、調理、流通、販売、栄養士、 管理栄養士等 3)保育士、幼稚園教諭、小中高校教員等 4)医師、薬剤師、看護師、介護福祉士等 表1 対象者の基本属性 人数(%) య 㻔㼚㻩㻝㻟㻣㻕 㻞㻜ṓ௦ 㻝㻠㻌㻔㻝㻜㻚㻞㻕 㻟㻜ṓ௦ 㻥㻞㻌㻔㻢㻣㻚㻞㻕 㻠㻜ṓ௦ 㻟㻝㻔㻞㻞㻚㻢㻕 ᗂ⛶ᅬ 㻣㻥㻌㻔㻡㻣㻚㻣㻕 ಖ⫱ᡤ 㻡㻤㻌㻔㻠㻞㻚㻟㻕 㣗ရ䠈ᰤ㣴㻞䠅 㻞㻞㻌㻔㻝㻢㻚㻝㻕 ಖ⫱䠈ᩍ⫱㻟䠅 㻞㻣㻌㻔㻝㻥㻚㻣㻕 ་⒪䠈⚟♴㻠䠅 㻞㻡㻌㻔 㻤㻚㻞㻕 ୖグ䛾ศ㔝䛾⤒㦂䜔 ㈨᱁䛿䛺䛔 㻢㻜㻌㻔㻠㻟㻚㻤㻕 㻜䡚㻞ṓ䛾 Ꮚ౪䛒䜚 㻠㻥㻌㻔㻟㻡㻚㻤㻕 ᑠᏛ⏕௨ୖ䛾 Ꮚ౪䛒䜚 㻣㻜㻌㻔㻡㻝㻚㻝㻕 ྠᒃ䛧䛶䛔䜛Ꮚ౪ 䠄」ᩘᅇ⟅ྍ䠅 ㉁ၥ㡯┠䚷䚷䚷 ᖺ௦ Ꮚ౪䛾 ᖹ᪥䛾ಖ⫱ 䛾⤒㦂䜔 ㈨᱁䛾᭷↓㻝㻕 䠄」ᩘᅇ⟅ྍ䠅 n=134 表 2 幼児にとって危険性が高いと感じる問題 の上位 3 位までに選んだ割合 㣗䛾ၥ㢟 ேᩘ䠄䠂䠅 ᭷ᐖᚤ⏕≀䛻䜘䜛㣗୰ẘ 䠄㻻㻙㻝㻡㻣䜔䝜䝻䜴䜲䝹䝇➼䠅 㻝㻜㻥㻌㻔㻣㻥㻚㻢㻕 㻕 㻤 㻚 㻡 㻟 㻔 㻥 㻠 ㉁ ≀ ᛶ ᑕ ᨺ 㐺ษ䛺㣗⩦័ 㻠㻣㻌㻔㻟㻠㻚㻟㻕 㻕 㻣 㻚 㻜 㻟 㻔 㻞 㻠 ≀ ຍ ῧ ရ 㣗 㣗≀䜰䝺䝹䜼䞊 㻟㻥㻌㻔㻞㻤㻚㻡㻕 㣗ရ䛾ㄗᄟ䡡❅ᜥ䠄䛾䛹䛵䜎䜚䠅 㻟㻞㻌㻔㻞㻟㻚㻠㻕 㻕 㻥 㻚 㻝 㻞 㻔 㻜 㻟 ⸆ ㎰ 㣗ရ୰䛾ởᰁ≀㉁䚷䠄㨶㢮䛻 ྵ䜎䜜䜛䝯䝏䝹Ỉ㖟➼䠅 㻞㻞㻌㻔㻝㻢㻚㻝㻕 㻕 㻢 㻚 㻠 㻝 㻔 㻜 㻞 ရ 㣗 ධ ㍺ 㻝㻞 㻔㻤㻚㻤㻕 ẘ ↛ ⮬ 㑇ఏᏊ⤌䜏䛘㣗ရ 㻥 㻔㻢㻚㻢㻕
縦計 100%、欠損値がある項目については合計は 100 にならない 1) 「あなたは次の事柄についてどのように思われますか。」として、各質問項目に対して回答項目から ひとつを選択 表 3 食のリスクの考え方 ᅇ⟅㡯┠ ேᩘ㻌㻔䠂䠅 య䚷㻔㼚㻩㻝㻟㻣㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝㻞㻠㻌㻔㻥㻜㻚㻡㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻌㻝㻞㻌㻌㻌㻔㻤㻚㻤㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻝㻌䚷㻔㻜㻚㻣㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝㻝㻣㻌㻔㻤㻢㻚㻜㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻝㻤㻌㻔㻝㻟㻚㻞㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻝㻌㻌㻌㻔㻜㻚㻣㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻥㻝㻌㻔㻢㻢㻚㻠㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻠㻠㻌㻔㻟㻞㻚㻝㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻞䚷㻌㻔㻝㻚㻡㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻠㻝㻌㻔㻟㻜㻚㻝㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻣㻥㻌㻔㻡㻤㻚㻝㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻝㻢㻌㻔㻝㻝㻚㻤㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝㻜㻡㻌㻔㻣㻢㻚㻢㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻞㻤㻌㻔㻞㻜㻚㻠㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻠㻌㻌㻌㻔㻞㻚㻥㻕 ㉁ၥ㡯┠ 㣗䛾䝸䝇䜽䛾⪃䛘᪉㻝㻕 ≉ᐃ䛾㣗ရ䛾༴㝤ᛶ䛻ᝎ䜐䜘䜚䜒ᰤ㣴䝞䝷䞁䝇 䜘䛟㣗䜉䜛䛣䛸䛜ษ䛷䛒䜛 䛹䛾䜘䛖䛺㣗ရ䛻䜒䝸䝇䜽䛿䛒䜚䛭䛾䛝䛥䛜ၥ 㢟䛷䛒䜛 㔝⳯➼䛾㌟య䛻Ⰻ䛔䛸䛥䜜䜛㣗ရ䛻䜒㌟య䛻ᐖ 䛻䛺䜛≀㉁䛜ྵ䜎䜜䛶䛔䜛 ẘᛶ䜢♧䛩䜒䛾䛷䜒䛤䛟ᑡ䛧䛷䛒䜜䜀㌟య䛻ᐖ 䛻䛺䜙䛺䛔䛣䛸䛜䛒䜛 ኳ↛≀䠄⮬↛䛾䜒䛾䛛䜙ᢳฟ䛧䛯ᡂศ䠅䛿Ꮫ ⓗ䛻ྜᡂ䛥䜜䛯䜒䛾䜘䜚Ᏻ䛷䛒䜛 縦計 100%、欠損値がある項目については合計は 100 にならない 1)「ある」の人数(%)のみ記載 2) 表に記載以外で質問した食品:魚の刺身、牛乳、半熟卵、 選択肢は「選択あり」、「なし」の 2 区 分、結果は「選択あり」の%のみ記載 表 4 有害微生物による食中毒と食品による誤嚥・窒息の経験、知識、行動 ᅇ⟅㡯┠ ேᩘ㻌㻔䠂䠅 య䚷㻔㼚㻩㻝㻟㻣㻕 ⤒㦂 ᐙᗞ䜢ᣢ䛳䛶䛛䜙䠈ᐙ᪘䛻㣗୰ẘ䛸デ᩿ 䛥䜜䛯䛣䛸䛜䛒䜛䛛㻝㻕 䛒䜛 㻡㻌㻔㻟㻚㻣㻕 ⏕∻⾃㑅ᢥ䛒䜚 㻝㻞㻡㻌㻔㻥㻝㻚㻞㻕 㭜䛾่㌟㑅ᢥ䛒䜚 㻝㻜㻣㻌㻔㻣㻤㻚㻝㻕 ⏕༸㑅ᢥ䛒䜚 㻢㻜㻌㻔㻠㻟㻚㻤㻕 䛩䜉䛶㻞㻕䛘䛶䜘䛔 㻡㻌㻌㻔㻟㻚㻢㻕 䛔䛴䜒▼䛡䜣䛷Ὑ䛖 㻥㻤㻌㻔㻣㻝㻚㻡㻕 䚻▼䛡䜣䛷Ὑ䛖 㻞㻜㻌㻔㻝㻠㻚㻢㻕 Ỉ䛰䛡䛷Ὑ䛖䠈Ὑ䜟䛺䛔 㻝㻤㻌㻔㻝㻟㻚㻝㻕 䛔䛴䜒༊ู䛧䛶䛔䜛 㻥㻠㻌㻔㻢㻤㻚㻢㻕 䚻༊ู䛧䛶䛔䜛 㻟㻞㻌㻔㻞㻟㻚㻠㻕 ༊ู䛧䛶䛔䛺䛔 㻝㻜㻌㻔㻣㻚㻟㻕 ⤒㦂 䛣䜜䜎䛷⮬ศ䛾Ꮚ౪䛷㣗ရ䛻䜘䜛ㄗᄟ䞉 ❅ᜥ䛾⤒㦂䛜䛒䜛䛛㻝㻕 䚷䛒䜛 㻞㻤㻌㻔㻞㻜㻚㻢㻕 㻝ṓ㡭䜎䛷 㻣㻌㻌㻔㻡㻚㻞㻕 㻞ṓ㡭䜎䛷 㻟㻝㻌㻔㻞㻟㻚㻝㻕 㻟ṓ㡭䜎䛷 㻢㻝㻌㻔㻠㻠㻚㻡㻕 㻠ṓ䠈㻡ṓ㡭䜎䛷 㻞㻞㻌㻔㻝㻢㻚㻠㻕 䜟䛛䜙䛺䛔䠄䛒䛶䛿䜎䜛䜒䛾䛺䛧䜢ྵ䜐䠅 㻝㻟㻌㻌㻔㻥㻚㻣 䛔䛴䜒Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛䠈Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛 㻤㻠㻌㻔㻢㻞㻚㻣㻕 䛹䛱䜙䛛䛸䛔䛖䛸Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛 㻟㻟㻌㻔㻞㻠㻚㻢㻕 䛒䜎䜚Ẽ䜢䛴䛡䛶䛺䛔䠈䛟Ẽ䜢䛴䛡䛶䛺䛔 㻝㻣㻌㻔㻝㻞㻚㻣㻕 ㉁ၥ㡯┠ ᭷ ᐖ ᚤ ⏕ ≀ 䛻 䜘 䜛 㣗 ୰ ẘ ▱㆑ ᗂඣ䜈䛘䛶䛿䛔䛡䛺䛔䛸ᛮ䛖㣗ရ䠄䜰 䝺䝹䜼䞊䛿䛺䛔䛸䛧䛶㻞㻕 ⾜ື ㄪ⌮䛾㝿⏕䛾⫗䜔㨶䜢ゐ䛳䛯ᚋ䛻▼䛡 䜣䛷ᡭ䜢Ὑ䛖䛛 䝞䞊䝧䜻䝳䞊䜔↝䛝⫗䠈㘠➼䛾䛻⏕ 䛾⫗䜔㨶䜢ᢅ䛖⠂䛸ྲྀ䜚⠂䜔㣗䜉䜛⠂䜢 ༊ู䛩䜛䛛 㣗 ရ 䛾 ㄗ ᄟ 䡡 ❅ ᜥ ព㆑ ▱㆑ 䝢䞊䝘䝑䝒䜔㣩➼䠈ㄗ䛳䛶Ẽ⟶䛻ධ䜚䜔 䛩䛔ᙧ䛾㣗䜉≀䛿ఱṓ㡭䜎䛷䛘䛶䛿 䛔䛡䛺䛔䛸ᛮ䛖䛛 ᬑẁ䛾㣗䜔䛚䜔䛴䛾䛻㣗ရ䛻䜘䜛 ❅ᜥ䞉ㄗᄟ䛜㉳䛣䜙䛺䛔䜘䛖Ẽ䜢䛴䛡䛶 䛔䜛䛛
縦計 100%、欠損値がある項目については合計は 100 にならない 1) 「あなたは次の事柄についてどのように思われますか。」として、各質問項目に対して回答項目から ひとつを選択 表 5 食品添加物に対する意識、理解および食品表示の参考の状況 ᅇ⟅㡯┠ ேᩘ㻌㻔䠂䠅 య䚷㻔㼚㻩㻝㻟㻣㻕 䛸䛶䜒Ᏻ䛷䛒䜛 㻝㻤㻌㻔㻝㻟㻚㻝㻕 䛒䜛⛬ᗘᏳ䛷䛒䜛 㻥㻜㻌㻔㻢㻡㻚㻣㻕 䛒䜎䜚Ᏻ䜢ឤ䛨䛺䛔 㻞㻣㻌㻔㻝㻥㻚㻣㻕 䜎䛳䛯䛟Ᏻ䜢ឤ䛨䛺䛔 㻜㻌㻌㻌㻔㻜㻚㻜㻕 䜘䛟▱䜙䛺䛔 㻝㻌㻌㻌㻔㻜㻚㻣㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻡㻡㻌㻔㻠㻝㻚㻜㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻠㻥㻌㻔㻟㻢㻚㻢㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻟㻜㻌㻔㻞㻞㻚㻠㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻡㻡㻌㻔㻠㻝㻚㻜㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻡㻟㻌㻔㻟㻥㻚㻢㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻞㻢㻌㻔㻝㻥㻚㻠㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻠㻥㻌㻔㻟㻢㻚㻟㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻢㻢㻌㻔㻠㻤㻚㻥㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻞㻜㻌㻔㻝㻠㻚㻤㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻞㻤㻌㻔㻞㻜㻚㻣㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻤㻠㻌㻔㻢㻞㻚㻞㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻞㻟㻌㻔㻝㻣㻚㻜㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝㻜㻜㻌㻔㻣㻠㻚㻝㻕 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔 㻞㻡㻌㻔㻝㻤㻚㻡㻕 䜟䛛䜙䛺䛔 㻌㻝㻜㻌㻌㻌㻔㻣㻚㻟㻕 䛔䛴䜒䠈䚻ཧ⪃䛻䛧䛶䛔䜛 㻝㻜㻣㻌㻔㻣㻤㻚㻝㻕 䛒䜎䜚䠈䛟ཧ⪃䛻䛧䛺䛔 㻟㻜㻌㻔㻞㻝㻚㻥㻕 ⌮ゎ㻝㻕 㣗ရῧຍ≀䛿䛩䜉䛶ᗣᙳ㡪䛜⛉Ꮫⓗ䛻ホ౯䛥 䜜⏝䛩䜛ᇶ‽್䛜Ỵ䜑䜙䜜䛶䛔䜛 ព㆑ ᬑẁ䛾㣗⏕ά䛷䛹䛾⛬ᗘᏳ䜢ឤ䛨䛶䛔䜎䛩䛛 ㉁ၥ㡯┠ ຍᕤ㣗ရ䛿㣗ရῧຍ≀䜢⏝䛧䛺䛔᪉䛜Ᏻ䛰 ⾲♧䛾ཧ⪃ 㣗ရ䜢㉎ධ䠈⏝䛩䜛㝿䛻㣗ရῧຍ≀⾲♧䜢ཧ ⪃䛻䛩䜛䛛 㣗ရῧຍ≀䛿┠ⓗ䛜䛒䛳䛶⏝䛥䜜ᾘ㈝⪅䛻 䛸䛳䛶┈䛜䛒䜛 㣗ရῧຍ≀䛿ᐇ㝿䛻㌟య䛻ධ䜛㔞䛜ᇶ‽್䜘䜚 䜒ప䛔್䛷䛒䜜䜀ᗣ䜈䛾ᙳ㡪䛿䛷䛺䛔 ᬑẁ䛾㣗⏕ά䛷䛿」ᩘ䛾㣗ရῧຍ≀䜢ྠ䛻 ᦤ䜛䛣䛸䛻䜘䜛ᗣᙳ㡪䛿䛷䛺䛔 従属変数:幼児の食の安全の問題として危険性が高いと考える上位 3 位までに食品添加物選択なしの群 を参照カテゴリーとする。 p<0.05 表 6 幼児にとって危険性が高いと感じる問題の上位 3 位に食品添加物選択ありの群に分類 される要因(多重ロジスティック解析) 㻼 䠅 䠥 䠟 䠂 㻡 㻥 䠄 ẚ 䝈 䝑 䜸 䞊 䝸 䝂 䝔 䜹 ┠ 㡯 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈ศ䛛䜙䛺䛔 㻟㻚㻣㻥㻌㻔㻝㻚㻞㻤㻙㻝㻝㻚㻝㻥㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝 䛒䜎䜚䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈䛭䛖ᛮ䜟䛺䛔䠈ศ䛛䜙䛺䛔 㻡㻚㻟㻠㻌㻔㻝㻚㻡㻢㻙㻝㻤㻚㻞㻢㻕 䛭䛖ᛮ䛖䠈䜔䜔䛭䛖ᛮ䛖 㻝 䛺䛧 㻝㻟㻚㻤㻝㻌㻔㻞㻚㻜㻡㻙㻥㻟㻚㻜㻝㻕 䛒䜚 㻝 䛒䜎䜚Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䛺䛔䠈䛟Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䛺䛔䠈 䛹䛱䜙䛛䛸䛔䛖䛸Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛 㻞㻚㻣㻥㻌㻔㻝㻚㻜㻞㻙㻞㻚㻢㻡㻕 䛔䛴䜒Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛䠈Ẽ䜢䛴䛡䛶䛔䜛 㻝 䜘䛟䛩䜛䠈䚻䛩䜛 㻢㻚㻞㻤㻌㻔㻝㻚㻠㻜㻙㻞㻤㻚㻞㻡㻕 䛒䜎䜚䛧䛺䛔䠈䛟䛧䛺䛔 㻝 䜘䛟䛩䜛䠈䚻䛩䜛 㻡㻚㻣㻞㻌㻔㻝㻚㻢㻣㻙㻝㻥㻚㻢㻝㻕 䛒䜎䜚䛧䛺䛔䠈䛟䛧䛺䛔 㻝 㻜㻚㻜㻠㻣 㣗ရ䜢㉎ධ䠈⏝䛩䜛㝿䛻㣗ရῧຍ≀⾲♧䜢ཧ ⪃䛩䜛䛛 㻜㻚㻜㻝㻣 ⊂❧ኚᩘ ᗂඣ䜈䛘䛶䛿䛔䛡䛺䛔㣗ရ䛸䛧䛶⏕∻⾃䛾㑅 ᢥ 㻜㻚㻜㻜㻣 㣗ရῧຍ≀䛿䠈ᐇ㝿䛻య䛻䛿䛔䜛㔞䛜ᇶ‽್䜘䜚 䜒ప䛔౯䛷䛒䜜䜀䠈ᗣ䜈䛾ᙳ㡪䛿䛷䛺䛔 㻜㻚㻜㻜㻤 㣗ရῧຍ≀䛿䛩䜉䛶ᗣᙳ㡪䛜⛉Ꮫⓗ䛻ホ౯䛥 䜜⏝䛩䜛ᇶ‽್䛜Ỵ䜑䜙䜜䛶䛔䜛 㻜㻚㻜㻝㻢 ᬑẁ䛾㣗䜔䛚䜔䛴䛾䛻㣗ရ䛻䜘䜛ㄗᄟ䡡❅ᜥ 䛜㉳䛣䜙䛺䛔䜘䛖䛻 㣗ရ䜢㉎ධ䠈⏝䛩䜛㝿䛻ᰤ㣴ᡂศ⾲♧䜢ཧ⪃䛩 䜛䛛 㻜㻚㻜㻜㻢
別していない」が 7.3%であった。 食品の誤嚥・窒息では、これまでに自分の子 供に経験がある者は全体の 20.6%であり、ピー ナッツや 等の誤って気管に入りやすい形の食 べ物を与えていけないのは「3 歳頃まで(4、5 歳 ま で を 含 む )」 と 概 ね 正 し く 回 答 し た 割 合 は 60.9%であり、「1、2 歳頃まで」が 28.3%、「わか らない」が 9.7%であった。普段の食事での配慮 で、「いつも気をつけている、気をつけている」 者は 62.7%であり、「あまり気をつけてない、気 をつけていない」者も 12.7%と約 8 人に 1 人存在 した。 表 5 に食品添加物に対する意識、理解、表示 の参考状況を示した。普段の食生活で、食品添 加物を不安に感じている者は 78.8%に達してい た。また、食品添加物は目的があって使用され 消費者にとって利益があると思う者は 41.0%に 留まり、 加工食品は食品添加物を使用しない方 が安全だと答えた者は 74.1%に達していた。食品 を購入、利用する際に食品添加物表示を参考に している者は、78.1%であった。 表 6 に、幼児にとって危険性が高いと感じる 食の問題に食品添加物を選択した者の特徴を示 した。 食品添加物の考え方では、すべて健康影 響が科学的に評価され使用する基準値が決めら れている、実際に体にはいる量が基準値よりも 低い値であれば健康への影響はでないと思う者 に対して、「あまりそう思わない、そう思わない、 わからない」と答えた者が食品添加物を選ぶ者 に分類されるという関連が有意であった。また、 幼児(2 ∼ 6 歳)へ与えてはいけない食品として の生牡蠣の選択者がない、食品による誤嚥・窒 息への配慮が低い、食品添加物や栄養成分表示 を参考にしていることが、食品添加物を選ぶこ とへ正の影響を示した。
考察
対象者の約 9 割は、特定の食品の危険性に悩 むよりも栄養バランスよく食べることが大切 や、どのような食品にもリスクはありその大き さが問題である、という食のリスクの考え方を 肯定的に捉えていた。その一方で、化学的合成 品より天然物が安全であると考える者が 8 割近 く存在し、毒性を示すものでもごく少しであれ ば身体に害にならないことがあると思う、と回 答した者は 3 割に留まった。食品のリスクを合 理的に捉えることについて総論としては賛成で あるが、個々の問題としては、化学的合成品に 対して不安を持ち10)、摂取(暴露)量を考慮に いれず有害か無害かの二者択一で評価するとい う消費者の傾向が本調査においても示された。 このようにリスク分析の考え方が適切に理解さ れ定着しているとはいえない現状は、これまで にも報告されており、食のリスクコミュニケー ションにおける課題としてとりあげられてい る1)。 幼児にとっての実質的にリスクが高く、リス ク低減のために周りの大人の努力が必要と考え られる食の問題としては、体質に依存する問題 である食物アレルギーを除くと、病原性の微生 物による食中毒や食品による誤嚥・窒息があげ られる。実際に、幼児の病原性大腸菌やサルモ ネラ属菌等による食中毒、食品よる窒息事故は 後を絶たず、死亡事故も発生している。 本調査では、表 2 に示したように 79.6%の母親 が、病原性の微生物による食中毒は幼児にとっ て危険性が高いと適切に認識していたが、食品 の誤嚥・窒息については危険性が高いと捉えて いる者は 23.4%に留まった。この割合は、先の調 査3)の 45.8%に比べても低く、一定の割合の母 親は幼児の食品の誤嚥・窒息へのリスク認識が 低いことが示された。これらのリスクの低減には、周りの大人がリ スク認識を持った上で予防のための知識や意識 を持つことが不可欠となる。有害微生物による 食中毒では、まず、危険性の高い食品の生食を 幼児にさせないことが重要であり、国や自治体 は、幼児の健診時や HP 等により「幼児には卵を 含め肉、魚介類の生食をさせない」という情報 を提供している11)。本調査において、これらの 食品を幼児に与えてはいけないという認識がな い者の割合は、生牡蠣で 8.8%、鶏の刺身で 21.9% 存在し、生卵では 56.2%に達していた。 さらに、手指や調理器具を介した交差汚染を 防ぐことが重要となる。特に手洗いは重要な管 理点であるが、調理中に生の肉等を触った後に 石けんで手洗いをする習慣が身についている者 は 71.5%であり、「水だけで洗う、洗わない」と 答えた者も 13.1%と 8 人に 1 人存在した。また、 生の肉や魚を扱う と取り をいつも区別する 習慣のある割合も 68.6%と 3 人に 2 人に留まっ た。以上の結果は、先の調査3)とほぼ同様であ り、幼児の母親の 3 ∼ 4 割に病原性微生物によ る食中毒を予防するための知識や習慣が身につ いていないことが示された。 食品の誤嚥・窒息では、対象者の 2 割に過去 に自分の子供で食品による誤嚥・窒息の経験が あった。 過去の調査でも、幼児を持つ母親の 15 ∼ 20%が家庭での子供の喉詰まりの経験がある と答えているように3)、12)、食品による誤嚥・窒 息は日常的に起こりうる問題である。このリス クを低減するためには、喉詰まりの危険性が高 い食品を与えないことや、食事中のしつけや見 守りが必要となる。これまでにも国や地方自治 体による注意喚起がなされてきたが13)、食品が 子供の窒息死事故を引き起こす大きな原因のひ とつであり、6 歳以下の子供で多発していること から、2017 年には消費者庁から改めて、「食品を 小さく切り、食べやすい大きさにして、よく噛 んで食べさせる」等子供への食品の与え方に注 意が必要であること、「遊びながら、歩きながら、 寝転んだまま食品を食べさせない」等食事中に 注意を払うことの注意喚起がなされた14)。 本調査において、3 歳頃まではピーナッツや 等を与えてはいけないことを知らない母親は 「わからない」を併せると約 4 割存在し、幼児に 危険性の高い食品を与える可能性がある母親が 少なく無かった。また、普段の食生活で食品に よる誤嚥・窒息を「あまり、全く気をつけてい ない」割合は 12.7%と 8 人に 1 人に達し、これら の割合は、先の調査3)とほぼ同等であった。こ のように幼児の食品による誤嚥・窒息を予防す る為の食品の選び方についての知識を持たな い、あるいは幼児の食事中の誤嚥・窒息に注意 を払っていない現状を示した報告が散見されて いる15、16)。 食品添加物は、目的があって意図的に食品に 添加される物質であり、有効性と安全性が科学 的根拠に基づいて評価された上で指定される。 指定制導入以降の事故例は極めて少なく、1955 年∼ 1988 年で数件が発生したが、その後は、2003 年に基準違反(指定外香料の使用)があったも のの、健康被害は報告されていない。このよう に実質的な被害が発生していないにもかかわら ず、食品添加物の安全性に不安を感じる消費者 は減らない1)。消費者が食品添加物のリスクを知 覚し、食品添加物が使用された食品を避けるこ とで、食品製造業者に食品添加物を避ける風潮 が生じ、食品の廃棄率や企業の製造コストが高 くなる、無添加志向により食中毒のリスクが高 まる等、様々な社会的問題につながることが指 摘されている7)、17、18)。このため、国や地方自治 体主導によるリスクコミュニケーションが継続 的に実施されてきた1)、18)。
本調査においても対象者の約 8 割が食品添加 物に不安を感じ、幼児にとって危険性が高いと 感じる食の問題として選択する者は 3 割に達し、 先の調査3)と変わらない結果となった。食品添 加物の考え方として、すべて健康影響が科学的 に評価され使用する基準値が決められている等 のリスク評価や管理に関わる事項や、消費者に 利益があるという考えを肯定的に捉えている者 は半数に満たず、加工食品は食品添加物を使用 しない方が安全だと考える者は 4 人に 3 人に達 していた。これらの結果も先の調査3)とほぼ同 等であった。 多変量解析では、幼児にとって危険性が高い と感じる食の問題に食品添加物を選ぶことと、 食品添加物はすべて健康影響が科学的に評価さ れ使用する基準値が決められているや、実際に 身体に入る量が基準値より低い値であれば健康 への影響はでないという考え方に否定的である ことが有意に関連した。リスク分析の考え方を 理解していないことが、リスク知覚につながる ことは容易に推察される。 さらに、日常の食生活において食品添加物や 栄養成分表示を参考にしている者ほど、幼児に とって危険性が高いと感じる食の問題に食品添 加物を選ぶ、と言う関連が有意に認められた。筆 者等は、食生活において栄養成分表示を参考に する者は、そうでない者に比べて、健康への意 識が高く、好ましい食習慣、生活習慣を有して いることを報告している19、20)。これらのことを 考え合わすと、食品添加物のリスクを知覚する 者は、健康的な食生活への意識が高く、リスク の情報を収集して食生活で実践する傾向がより 強いことが示唆された。 楠見等は市民の食品リスクリテラシーの育成 のための二つのルートとして、マスメディアと 学校教育をあげている21)。また、市民の食品の 安全に関する知識や判断基準には幼少期の教育 が強く影響するという調査結果から、家庭や学 校での教育の重要性が指摘されている22)。 一方で、インターネットを含めてマスメディ アではいまだに科学的根拠に乏しい情報が流さ れ、学校教育の現場では、食品添加物を排除す る考えをもつ者が少なくない。長村17)は、2009 年に文部科学省から通達された学校給食衛生管 理基準において、「有害若しくは不必要な着色 料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添加 物が添加された食品、(中略)を使用しないこと」 という記述が削除されず据え置かれた事をとり あげ、この内容が、学校給食や栄養教育関係者 が食品添加物を排除する考えを持つことの一因 となっていると問題視している。実際、生徒が 食品添加物に関する不安情報を学校教育で受け ていることを示す報告がある8)。 上に述べた様に、食品添加物のリスクを知覚 する者は、健康的な食生活への意識が高く、情 報を求めて食生活で参考にする傾向があると示 唆されたことから、学校教育やマスメディアの 影響をより受けやすいとも考えられ、その情報 の内容によっては食品添加物等の化学的合成品 の負の特性を強く知覚することにつながった可 能性も否定できない。学校教育やマスメディア の情報提供のあり方が食のリスク教育を推進し ていく上での重要課題の一つであると考えられ た。 また、食品添加物を幼児にとって危険性が高 いと感じる食の問題に選んだ者に、食中毒予防 のための知識や食品の誤嚥・窒息への配慮が低 いという関連性が見られた。この結果は、先に 述べたリスクの情報を収集して食生活で参考に する傾向が強いことと一見矛盾する。しかしな がら、リスクの低い問題に対してリスクを知覚 することが、リスクの高い問題への意識を低め
る可能性を示唆しているとも考えられた。筆者 らは、このような可能性を先行調査でも示して いる3)。これまで述べてきたことから、母親の食 のリスクリテラシーを高め、適切に食のリスク を認識するための教育が重要であると考えられ た。
結論
食品の誤嚥・窒息へのリスク認識が低い母親 や、有害微生物による食中毒や食品の誤嚥・窒 息のリスクを低減するための知識や習慣が身に ついていない母親が一定の割合存在するという 本研究の結果は、先の調査報告と考え合わせる ことで、幼児を持つ日本の母親の平均的な現状 であり、課題であると見なすことができると考 えられた。 幼児にとって危険性が高いと感じる食の問題 に食品添加物を選ぶ者の特徴から、リスク分析 の考え方を理解していないことが食品添加物の リスク知覚に正の影響を及ぼすこと、また、リ スクの低い問題に対してリスクを知覚すること が、実際にリスクの高い問題への意識を低める 可能性が示唆された。 以上の結果から、幼児を持つ母親を対象とし て、科学的なリスクの考えかたを身につける、即 ち、リスクリテラシーを高めることも含めて、食 の安全に関わる教育・啓発を推進する必要性が 高いことを示した。 さらに、本論文では、学校 教育やマスメディアの情報提供のあり方が食の リスク教育を推進していく上での重要課題であ ることに言及した。 文献 1) 内閣府食品安全委員会企画等専門調査会. 食品の安 全に関するリスクコミュニケーションのあり方につ いて. 2015. https://www.fsc.go.jp/osirase/pc2_ri_ arikata_270527.data/riskomiarikata.pdf (2017年11月 3 日アクセス可能) 2)内閣府食品安全委員会事務局.食品に係るリスク認 識 ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 に つ い て 2015. http:// www.fsc.go.jp/osirase/risk_questionnaire.data/ risk_questionnaire_20150513.pdf(2017 年 11 月 3 日 アクセス可能) 3)田中惠子、坂本裕子、森美奈子、他.幼児を持つ母 親の食のリスクの考え方、知識、意識および行動. 日本公衆衛生雑誌 2017; 64(9): 567-576. 4)神山 進.消費者行動におけるリスク敢行.彦根論 叢 2003;342:233-244. 5)内閣府食品安全委員会. 食品安全モニター課題報告 「食品の安全性に関する意識等について」(平成 25 年 8月実施).https://www.fsc.go.jp/monitor/2508moni-kadai-kekka.pdf (2017 年 11 月 3 日アクセス可能) 6) 宮腰由紀子、西田美佐、塩原正一. 母親の食品添加物 への意識と行動 . 順天堂医学 1999; 45: 51-63. 7)大南絢一、大石太郎、高原敦志、他. 保存料に関する リスク情報 / ベネフィット情報の提供が消費者行動 に与える影響. 日本リスク研究学会誌 2012; 22(4): 235-242. 8) 臼井宗一. 食品添加物に関するリスク認知の形成に 関する検討. 岐阜女子大学紀要(食文化研究)2014; 1: 1-6. 9) 内閣府食品安全委員会. 平成 21 年度食品の安全性に 係るリスクコミュニケーションの効果に関する調査 報 告 書. 2010. https://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/ show/ cho20100050001(2017 年 11 月 3 日アクセス 可能) 10)内閣府 . 身近にある化学物質に関する世論調査の概 要.2010.http://survey.gov-online.go.jp/h22 /h22-kagakubusshitsu/index.html(2017 年 11 月 3 日アク セス可能) 11) 東京都福祉保健局. くらしに役立つ食品衛生情報 . 第 5 回 特集 1:乳幼児のための食品衛生 乳幼児に食 中 毒 を 起 こ す 菌( 予 防 3 原 則 ) http://www. fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/ guide23.html(2017 年 11 月 3 日アクセス可能) 12)金泉志保美、柴田眞理子、宮崎有紀子、他. 年齢別に みた家庭における幼児の不慮の事故実態と事故予防 対策. 日本公衆衛生雑誌 2009; 56(4): 251-259. 13)内閣府食品安全委員会:食べ物による窒息事故を防 ぐために.2009. http://www.fsc.go.jp/sonota/yobou_syoku_jiko 2005.pdf(2017 年 11 月 3 日アクセス可能) 14) 消費者庁.News Release 食品による子供の窒息事 故 に ご 注 意 く だ さ い .2017. http://www.caa.go.jp/p o l i c i e s / p o l i c y / c o n s u m e r _ s a f e t y / r e l e a s e / pdf/170315kouhyou_1.pdf(2017 年 11 月 3 日アクセ ス可能) 15) 堀口逸子. 食品による窒息の要因分析 - ヒト側の要因 と食品のリスク度 - 母親を対象とした質問調査 - 厚生 労働科学研究費補助金(特別研究事業)分担研究報 告 書. 2009;41-45. http://www.mhlw.go.jp/topics/ bukyoku/iyaku/syoku-anzen/chissoku/dl/04.pdf (2017 年 11 月 3 日アクセス可能) 16)松尾敬子、山田哲也、向殿政男.こんにゃく入りゼ リーのリスク低減方策について−消費者庁事故情報 分析タスクフォースでの検討経過−.電子情報通信 学会技術研究報告 SSS、安全性 2013; 112(490):5-8. 17)長村洋一.食品添加物を巡っての最近の問題.日本 食品安全協会会報 2007; 4(1):52-58. http://www. ffcci.jp/information/img/e4bc9ae5a0b1vol4-2-1-31. pdf(2017 年 11 月 3 日アクセス可能) 18)田中豊、北山雅也、荒井 祥、他.食品添加物に関 するパンフレット教材が消費者の意識に及ぼす影響 ∼心理実験によるベネフィット情報とリスクリテラ シー情報の効果測定∼.日本食品化学学会誌.2015; 22(1): 11-17. 19)田中惠子、池田順子、福田小百合、他.地域住民に よる栄養成分表示の参考の実態.日本公衆衛生雑誌 2006; 53(11): 859-269. 20)田中惠子、池田順子、森美奈子、他.40、 50 歳代女 性の塩分表示に関する知識・態度と食生活との関連. 日本公衆衛生雑誌 2013;60(2): 87-97. 21)楠見孝、平山るみ. 食品リスク認知を支えるリスクリ テラシーの構造−批判的志向と科学リテラシーに基 づく検討−. 日本リスク研究学会誌 2013; 23(3):165-172. 22)関澤純、 土田昭司、 他 . 食品安全の情報依拠・信頼傾 向の分析と適切な教材開発による信頼と理解改善の 試み. 日本リスク研究学会研究発表会論文集 2008; 385-390.