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聴覚特別支援学校における重複障害児童・生徒へのキャリア教育に関する調査研究

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Academic year: 2021

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(1)聴覚特別支援学校における重複障害児童・生徒へのキャリア教育に関する調査研究                                    特別支援教育学                                    心身障害コース.                                      M10108J                                      山本 康貴 一ト,重複学級の有無,重複学級におけるキャリア. I.問題と目的  聾学校において重複障害児童・生徒への指導内. 教育の実施状況と課題等についてであった。回答. 容の一貫性や系統性の検討と共に,卒業後の就労. 方法は,選択肢と自由記述であった。. や生活を踏まえた教育内容の見直しとして,キャ.  また,質問紙作成にあたっては北市(2009)の r聾学校におけるキャリア教育に関する研究」等. リア教育の重要性が指摘されている。.  全国の聾学校においては,多くがキャリア教育. を参考にした。そして,予備調査を行い,聾学校重. を進路指導のなかに位置づけているが,高等部, 専攻科の指導領域であるという認識がみられる るキャリア教育に関する質問紙調査においても,. 複学級等の複数の教員に質問紙案の質問内容及 び表現の適切さ等を検討してもらい,質問項目を 決定した。⑤分析方法:選択肢の質問については エクセルで集計し,記述式の質問については類似. 全国の約9割の聾学校が何らかの形でキャリア. した内容の回答を集めてカテゴリー分けをして. 教育を実施しており,生徒の進路に対する意識が. 分析を行った。. 高まったことや卒業生の離職率が低下したこと 等の成果からキャリア教育の有効性を指摘して. (1)回収率:全国の聾学校104校中83校(回収率. いる(北市,2009)。. 80%)から回答があった。そのうち,各学部の内訳.  しかし,キャリア教育では進路指導の充実と共. は小学部が79%,中学部が77%,高等部が80%で. に,改めて児童・生徒一人一人のキャリア発達を 支援するというキャリア教育の視点に基づき,小. あった。. (石原,2010)。また,全国の聾学校通常学級におけ. 学部段階から教育活動全般を通して組織的,系統 的な取り組みを進めることや,家庭や地域の関係 機関との連携・協働をさらに充実させることが求. 皿.結果と考察. (2)重複学級の設置数:小学部では78校中60校 (設置傘77%),中学部では68校中47校(設置傘 69%),高等部では52校中41校(設置率79%)に重 複学級があった。. められている。. (3)重複障害児童・生徒の実態:重複障害児童・.  今日,聾学校では重複障害児童・生徒数が増加. 生徒の在籍人数は,小学部263名,中学部157名,. 傾向にあり,就学中の指導だけでなく,卒業後に も職場定着など様々な課題を抱えている。今後,. 高等部159名,計579名であった。  重複障害児童・生徒の在籍率は,小・中・高等. キャリア教育の意義を踏まえた教育の改善によ り,卒業後の就労を強く意識しながらも社会の中 で主体的に生きていく意欲,能力を培うことを目 標とした教育内容の見直しが進められていくで. 部全体の平均48%は在籍なし,平均32%は1名,. あろう。. 平均19%は2名であった。  重複障害児童・生徒の障害については,r聴覚 障害と知的障害」の児童生徒が小・中・高等部全 体で平均92%と最も多く在籍していた。その他,.  そこで本研究は,全国の聾学校重複学級に対し,. 小学部においてはr聴覚障害と肢体不自由」,r聴. 質問紙調査を行い,聾学校重複学級に在籍する重. 覚障害と自閉症」,「聴覚障害と2種以上の障害」. 複障害児童・生徒へのキャリア教育の実施状況と. の児童が平均3}%ずつ在籍しており,児童の障害. 課題を明らかにすることを目的とする。. が多様化,重度・重複化していることが明らかに. 1I.方法. なった。. ①調査対象者:全国の聾学校(幼稚部のみの聾学. (4)重複学級教員の教職年数:小・中・高等部の. 校や休校を除いた104校)において,小・中・高 等部の重複学級教員1名すっ(小学部99名,中学 部88名,高等部65名,計252名)を対象とした。. 重複学級教員の教職年数は平均16年,聾学校単 一学級は平均3年,聾学校重複学級は平均2年,他 の特別支援教育は平均7年であった。重複学級の 教員は重複学級での教職年数が特に少ないが,他 の特別支援教育の経験がある程度ある教員であ. ②調査期問:2011年5∼8月。③調査手続き:郵 送法による質問紙調査。④質問紙の構成:質問紙 の質問項目は15問。質問内容は,主にフェイスシ. った。. ■208一.

(2) (5)キャリア教育の実施状況:小学部では60校中. は18%,小・中・高等部の重複学級間における研. 52校(実施率87%),中学部では47校中47校(実施. 修会では5%であった。 (10)小・中・高等部重複学級における学部間の連. 率100%),高等部では41校中41校(実施率100%). でキャリア教育を実施していた。.  小学部でrキャリア教育に取り組んでいない」 という回答の主な理由は,『キャリア教育として. 携状況:聾学校の48%が連携を行っていた。連 携内容としては,主にr小・中・高等部重複学級 担任者による重複部会」とr個別の教育支援計画 等による教員間の引継ぎ」等であった。. 意識して取り組んでいない」,r児童の実態から キャリア教育を実施できていない」等であった。. 1V.総合考察.  次に,キャリア教育はどの程度,実施されている.  まず、聾学校重複学級におけるキャリア教育の. のかを知るために「キャリア教育を教育課程に位. 実施状況では,小学部が87%,中・高等部が1OO%. 置づけているかどうか」という点に注目した。そ. 実施していた。そのうち,rキャリア教育を教育 課程に位置づけていないが,キャリア教育に取り 組んでいる」と答えた学部は,小学部が81%と多 く,中学部では55%、高等部では56%であった。. こから,rキャリア教育を教育課程に位置づけて いないが,キャリア教育を取り組んでいる」と答 えた学部が小学部で81%と多く,中学部では55%, 高等部では56%であった。. この結果は,北市(2009)の結果と同様に「位置づ.  その他,キャリア教育を実施する学年は,重複障. けていない」という割合が多かった。しかし,北. 害児童・生徒の在籍する「全ての学年」で実施す るという回答が最も多く,小学部では83%,中学. 市(2009)の研究では,「位置づけている」聾学校. 部では91%,高等部では93%であった。. で30.4%であったのに対し,本調査では小学部が. (6)キャリア教育の取り組み内容:「教育活動全般. 19%,中学部が45%,高等部が44%と割合が高い ことが明らかになった。教育課程は各学校,各教. の割合は小学部が7.7%,中学部で26.9%,高等部. を通して取り組んでいる」と回答した学部は,小 学部で73%と多く,中学部で53%,高等部で59%. 員が具体的に計画する教育活動全体のことであ. であった。そのうち,取り組み内容として多かっ. り,その計画の中でキャリア教育が取り組まれて. た順に,小学部では「日常生活学習」,「生活単元. いるかどうかという点で実施状況を明らかにす. 学習」,r自立活動」,r特別活動」であった。中. ることができた。. 学部では「職場体験」,「先輩・卒業生の話」,.「自.  次に,キャリア教育の課題として,現在,聾学校. 立活動」,r職場見学」であった。高等部ではr職. では重複障害児童・生徒の増加と共に,障害の多. 場体験」,「先輩・卒業生の話」,「職場見学」,. 様化,重度・重複化が明らかになっており,今後さ. らなる対応が求められている。各学部での課題と. 「自立活動」であった。.  また,r個別の教育支援計画や移行支援計画」. して,小学部ではキャリア教育に関するr教員間. の活用については,小学部で35%,中学部で34%. の共通理解」,中・高等部では「教員のキャリア. であったが,高等部では49%と多かった。. 教育に関する専門性」が最も多く挙げられていた。. (7)キャリア教育を行う上での課題:小学部では.  さらに,重複学級教員の重複学級での教職年数. キャリア教育に関する「教員間の共通理解」,中・. が平均2年と特に少ないことに注目すると,重複 学級教員の重複障害教育に関する専門性を高め ることや経験の蓄積が難しいことや,小・中・高. 高等部では「教員のキャリア教育に関する専門 性」が最も多かった。次に,小・中学部では「児. 題として多く挙げられていた。. 等部の重複学級教員による連携や協力体制と共 に,児童・生徒への一頁した指導・支援内容を組 織的,系統的に進める上でも課題であることが示. (8)キャリア教育を推進する校内組織の有無:聾. 唆された。. 学校の42%に学校全体としてのキャリア教育を 推進する組織があった。各学部における組織では 27%,小・中・高等部の重複学級間における組織.  最後に,現在,全国の約4割の聾学校でキャリア. 童生徒の障害の程度や違い」,高等部では「教員. 間の共通理解」が多かった。以上の3点が主な課. 教育を推進するための校内組織が設けられ、研修 会や学部間連携が実施されていた。今後,さらな. では6%であった。. るキャリア教育の推進のためにも校内組織や研. (9)キャリア教育に関する校内研修会の有無:聾. 修会、学部間連携等の充実と共に,教員一人一人. 学校の35%に学校全体としてのキャリア教育に 関する研修会があった。各学部における研修会で. のキャリア教育や重複障害教育に関する専門性 の確保が求められている。. 主任指導教員  鳥越 隆士. 指導教員 鳥越隆士 一209一.

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