清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究
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(2) 51. 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに 関する研究1). 李. 健. 泳. 要 旨 日本の清酒は国酒と位置付けられているが、 韓国でも清酒は昔から名節 と家祭時にささげられてきた。韓国では2000年代後半に起きた日本式居酒 屋ブームにより清酒の輸入量も増え、 今は米国に次ぐ第 2 の清酒輸入国に なっている。2016年における韓国の酒類輸入量の中で清酒が占める割合は 金額で約 7 %であるが、 関税などを含めた流通コストにより酒蔵の出庫価 額の 3 倍以上になる韓国内の販売価格や清酒自体の理解不足は、 清酒の消 費拡大の阻害要因になっている。しかし、 新潟産の「久保田萬寿」と「が んばれ父ちゃん」は高価格帯と低価格帯でそれぞれ認知度が 1 位であり、 その理由は偶然の要因とサプライチェーンの特徴によるものである。 キーワード:清酒 ( Japanese Sake)、 日本式居酒屋 ( Japanese Bar)、 国際 流通コスト (Global Supply Chain Cost)、 久保田萬寿 (Kubota Manju)、 がんばれ父ちゃん (Ganbare Tochan). . はじめに. 日本の清酒は、その起源が明らかでないが、国酒の代表として古くから愛 されてきた酒であることに異論はないだろう。日本酒造組合中央会は2009年 に日本酒 (清酒) と本格焼酎、泡盛を「日本の食文化に粋をなす世界に誇る 伝統民族酒」であることを確認し、「国酒」として位置付ける「沖縄宣言」 1). 本稿は、科学研究費助成金 (基盤研究 C、課題番号 17K04047)による研究成果の一 部である。. − 51 −.
(3) 52. 李. 健. 泳. を採択したが、これが国酒の唯一の根拠であると言われている (株式会社日 本政策投資銀行地域企画部 2013、 2 頁)。一方、韓国でも祖先崇拝を重要な 徳性と認識して、昔から名節と家祭時に心を込めて清い酒である清酒をささ げたといわれている。日本の清酒と韓国の清酒が同じものであったかどうか を究明する研究は見当たらないが、韓国でも昔から清酒、すなわち清い酒が 飲まれてきたのも事実である。日韓ともに清酒が昔から飲まれてきた背景も あって韓国では清酒が日本酒であるという認識はあまりないようである。こ のような認識と共に2000年代後半に始まった日本式の居酒屋が韓国の若者の 間に人気を得て未だに現在進行形でブームが続いている。これらの理由によ り清酒がよく飲まれ、日本から韓国への輸出も増え続けている。本稿ではこ のような韓国での清酒消費の拡大に伴う輸出経路や消費動向を検討し、新潟 産の清酒ブランドである「久保田」と「がんばれ父ちゃん」のケースを考察 する。以下ではまず日本の清酒の生産と輸出の現況を取り上げるとともに、 韓国での清酒の輸入状況と消費動向を概観する。さらに、韓国で多く消費さ れている朝日酒造の「久保田」と白龍酒造の「がんばれ父ちゃん」のケース によるグローバル・サプライチェーンの特徴を考察する。. . 清酒の海外輸出動向と韓国の輸入動向. 清酒の国税庁の酒類輸出統計データによると、表1のように、2008年から 2017年までの10年間に、金額では約76億円から約186億円に2.4倍の増加を見 せ、数量では 12,151 kL から 23,482 kL に約1.9倍の増加を見せている。しか し、国内の清酒製成量は、表 2 で見られるように、2011年から2015年までの 5 年間に全体で 437,108 kL から 428,930 kL の約 2 %の 8,178 kL が減ってい るが、同期間の輸出量は、表 1 で見られるように、14,022 kL から 18,180 kL の 4,158 kL が増えている。2015年の清酒製成量に対する輸出量は約4.2%に 過ぎないが、清酒製成量の減少分の半分程度が輸出量の増加分に相当する量 であることをみると、国内清酒消費の減少を輸出によりかなり補っている状 況が確認できる。清酒の国内消費の減少傾向が続いていることから、輸出に.
(4) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 表1. 53. 清酒の海外輸出動向. 金額(百万円). 前年比(%). 数量(kL). 前年比(%). 2008年. 7,676. 108.9. 12,151. 107.2. 2009年. 7,184. 93.6. 11,949. 98.3. 2010年. 8,500. 118.3. 13,770. 115.2. 2011年. 8,776. 103.2. 14,022. 101.8. 2012年. 8,946. 101.9. 14,131. 100.8. 2013年. 10,524. 117.6. 16,202. 114.7. 2014年. 11,507. 109.3. 16,314. 100.7. 2015年. 14,011. 121.8. 18,180. 111.4. 2016年. 15,581. 111.2. 19,737. 108.6. 2017年. 18,679. 119.9. 23,482. 119.0. 資料:国税庁の酒類輸出統計データから集計. 対する期待も高いと思われる。 繰り返すことになるが、清酒の全体製成数量は少しずつではあるが、減っ て行く。特に、企業規模別の詳細な製成数量を見ると、表2のように、企業 数が一番多い 100 kL 以下の小規模の酒蔵と 2000 kL 以上の大規模の酒蔵が 製成数量を減らしている。正確な原因は更なるデータにより分析する必要が あるが、小規模の酒蔵の場合は、地酒としての地元消費地域での競争力の喪 失によると思われる反面、大規模の酒蔵の場合は、大都会での消費量の減少 による影響であると思われる。いわゆるナショナルブランドの陰りが見え始 めているともいえる。 一 方 、 表 3 で 見 ら れ る よ う に 、 韓 国 内 の 清 酒 の 出 庫 量 が 2016 年 に 約 23,000 kL で輸入量の約 4,200 kL の約5.5倍になっている。これは韓国の酒類 メーカーであるロッテ酒類が清酒を生産しているためである。ロッテ酒類は 単一工場としては世界最大規模である韓国内の郡山工場で清酒を生産してい るが、ブランドとしては、「Chungha ()」、「Bakhwasoobok ()」 「Seolhwa ()」、「Kookhyang ( )」の4つを持っている。2016年度の.
(5) 54. 李. 表2. 健. 泳. 清酒の企業規模別の製成数量. 企業数 (2015年基準). 製成数量 2011年. 2012年. 2013年. 2014年. 2015年. 1,158者. 437,108. 428,489. 432,440. 437,499. 428,930. 742者. 27,464. 26,028. 26,082. 26,509. 25,149. 186. 25,121. 24,084. 24,746. 25,526. 26,415. 製 200∼300 kL 成 数 300∼500 kL 量 500∼1,000 kL 規 模 1,000∼2,000 kL. 77. 17,796. 17,887. 19,649. 19,412. 18,843. 62. 18,425. 18,042. 16,170. 22,946. 23,334. 45. 33,902. 33,143. 32,921. 35,960. 38,170. 18. 32,412. 33,081. 35,406. 29,664. 32,444. 2,000∼5,000 kL. 15. 59,380. 47,073. 50,224. 57,884. 49,735. 5,000 kL 超. 13. 222,608. 229,151. 227,243. 219,597. 214,840. 合計(者,kL) ∼100 kL 100∼200 kL. 資料:清酒製造業の概況 (平成28年度調査分)、国税庁課税部酒税課、平成29年10月. 生産実績は「Chungha」というブランドが 12,115 kL で、「Bakhwasoobok」 というブランドが 9,679 kL で、合計 21,794 kL であったことから、韓国内の 清酒の製成はロッテ酒類がほとんどを占めていることが分かる2)。 一方、韓国における清酒の輸入分の統計が始めて公表された2007年から 2016年までの10年間の製成と輸入状況を見ると、表 3 のように、年度によっ ては減少する時期もあったが、全般的に韓国内の生産と輸入の全体量は増え 続けている。輸入分を含めた出庫量は2007年に 20,313 kL から2016年には 22,993 kL の約13%増で、輸入数量のみでは2007年に 1,148 kL から2016年に は 4,240 kL の約370%増であることから、日本からの輸入が飛躍的に増えた ことが分かる。 さらに、日本から韓国への清酒の輸出量と輸出額を比較すると、表 4 で見 られるように、他の国と違う傾向を見せている。2017年の統計数値に限るこ とではあるが、2017年の清酒輸出先別の数量と金額の関係を見ると、韓国は 2). 2017年 9 月22日に工場訪問で得た資料によるもの。 国税統計の出荷量 (22,993 kL) とロッテ酒類の生産量 (21,794 kL) の差には輸入量 (4,240 kL) が含まれるが、数値上の不一致は追加調査を必要とする。.
(6) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 表3. 55. 韓国の酒類全体と清酒の出庫及び輸入現況 [単位:k 、 百万ウォン] 清酒 Cheongju. 酒類全体 合計 区分. 出庫量 Delivered Quantity. 2007年 全体(輸入分込み) 2007年輸入分. 116,585. 2008年 全体(輸入分込み) 2008年輸入分. 3,714,296 120,799. 2009年 全体(輸入分込み) 2009年輸入分. 3,636,433 113,833. 2010年 全体(輸入分込み) 2010年輸入分. 3,732,713 122,600. 2011年 全体(輸入分込み) 2011年輸入分. 3,830,334 134,045. 2012年 全体(輸入分込み) 2012年輸入分. 3,937,402 153,667. 2013年 全体(輸入分込み) 2013年輸入分. 3,921,076 183,450. 2014年 全体(輸入分込み) 2014年輸入分. 4,014,872 206,705. 2015年 全体(輸入分込み) 2015年輸入分. 4,073,615 269,515. 2016年 全体(輸入分込み) 2016年輸入分. 3,598,863. 3,995,297 315,468. 前年対比. . Tax Base. 4,098,537. . 課税標準. 544,497 3.21%. 4,275,475. 3.61%. 635,955. 2.10% . 4,207,019. 5.77% . 573,469. 2.65%. 4,412,283. 7.70%. 593,857. 2.62%. 4,506,332. 9.34%. 606,048. 2.80%. 4,621,275. 14.64%. 626,735. 0.41% . 4,817,505. 19.38%. 636,441. 2.39%. 4,980,655. 12.68%. 663,576. 1.46%. 5,158,699. 30.39%. 737,870. 1.92% . 5,191,232. 17.05%. 784,215. 前年対比. . Delivered Quantity. 20,312. . 出庫量. 1,148 4.32%. 19,296. 16.80%. 1,436. 1.60% . 20,813. 9.83% . 2,296. 4.88%. 21,267. 3.56%. 2,873. 2.13%. 22,329. 2.05%. 3,028. 2.55%. 23,860. 3.41%. 4,891. 4.25%. 25,326. 1.55%. 6,328. 3.39%. 23,291. 4.26%. 3,825. 3.57%. 22,249. 11.20%. 3,790. 0.63%. 22,993. 6.28%. 4,240. 前年対比. 課税標準. . 前年対比. 72,274. . Tax Base. 4,314 5.00% . 71,692. 0.81%. 25.09%. 8,523. 97.57%. 7.86%. 81,430. 13.58%. 59.89%. 13,816. 62.10%. 2.18%. 86,675. 6.44%. 25.13%. 17,528. 26.87%. 4.99%. 91,537. 5.61%. 5.40%. 18,934. 8.02%. 6.86%. 91,624. 0.10%. 61.53%. 21,591. 14.03%. 6.14%. 98,708. 7.73%. 29.38%. 20,110. 6.86%. 8.04% . 98,009. 0.71%. 39.55%. 17,650. 12.23% . 4.47% . 93,514. 4.59%. 0.92% . 17,052. 3.39%. 3.34%. 98,116. 4.92%. 11.87%. 21,755. 27.58%. 注:上記のデータは韓国国税庁の国税統計から筆者が集計3). 表4 2017年国別清酒輸出の金額と数量 上位 5 ヶ国 輸出額 (千円) 国名. 2017年. 前年比 シェア. 国名 2017年. 2016年 前年比 シェア. 米国 6,039,268 5,196,141 116.2% 32.3%. 米国 5,780.0. 5,107.6 113.2% 24.6%. 香港 2,799,143 2,630,110 106.4% 15.0%. 韓国 4,797.5. 3,694.8 129.8% 20.4%. 中国 2,659,799 1,449,281 183.5% 14.2%. 中国 3,341.3. 1,910.2 174.9% 14.2%. 韓国 1,863,933 1,562,006 119.3% 10.0%. 台湾 1,985.2. 2,096.0. 94.7%. 8.5%. 台湾. 香港 1,806.8. 1,877.1. 96.3%. 7.7%. 948,376. 2016年. 輸出量 (kL). 931,098 101.9%. 5.1%. 資料:食品産業新聞社ニュース WEB (2018年 2 月 1 日) 3). 韓国国税庁が公表している国税統計は1998年度からであるが、輸入分統計の公表は 2007年度からである。.
(7) 56. 李. 健. 泳. 数量では 2 位で前年比20.4%の増加を見せている半面、金額では 4 位で前年 比10%の増加を見せていることから、低価の清酒輸入が増えていることが分 かる。その理由は、後述するが、韓国の日本式居酒屋ブームによる特定の銘 柄である「がんばれ父ちゃん」が多く売られたことが一つの要因であると思 われる。. . 韓国の清酒消費の状況. 3 1 消費者の飲酒動向 韓国では、酒飲みが好きな国柄もあるが、男性は勿論のこと、女性も社会 進出に伴って、飲酒する機会が増えている。表 5 のような酒類別の出庫量の 推移を見れば、好まれている酒類が読み取れる。韓国人がよく飲むお酒の酒 類は時代によって変わっていくが、基本的にはマッコリ、ビール、稀釈式焼 酎である。清酒を含めて他の酒類は、1960年と2010年を比較すると、消費が 増加しても相対的に量が少ないか、消費量がそれほど増えていない。 表5. 主な酒類別の出庫量の推移 [単位:kL]. 1960年. 1970年. 1980年. 1,213,195 1,428,258. 1990年. 2000年. 2010年. マッコリ. 332,402. 562,011. 158,080. 412,269. 薬酒4). 19,649. 12,575. 4,873. 2,053. 22,927. 18,394. 清酒. 16,786. 19,420. 27,873. 34,859. 28,477. 18,394. 果実酒. 257. 3,435. 2,867. 8,943. 6,622. 21,519. 579,601 1,307,672. ビール. 16,065. 85,652. 1,730,790. 1,909,923. 蒸留式焼酎. 19,035. 2,025. 0. 26. 502. 717. 稀釈式焼酎. 92,619. 197,812. 494,948. 701,566. 866,967. 930,605. 資料:、
(8) 、 、 S 27、 2013. 1、p. 73 (注:輸入分は含まれていないようである). 4). 薬酒は健康によいとされる成分や材料を入れて作った酒(人参酒など)の意味であった が、現在は濁酒を熟成させるとき、酒樽の上に清く浮かぶ液体だけ汲み出して作った 酒と混用して使われる (日本貿易振興機構 (ジェトロ)、2008年 2 月)。.
(9) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 57. しかし、マッコリ、ビール、稀釈式焼酎の1960年と2010年を比較すると、 マッコリは1960年の 332,402 kL から2010年の 412,269 kL に増えたが、1970 年と1980年の飛躍的な消費増加の後に急減し、所得水準の上昇によるマッコ リからの離脱が見られる。一方、ビールは1980年から消費量が急増し、2010 年まで消費量が増え続けている。稀釈式焼酎の場合は、1960年の 92,619 kL から毎年消費量が増え続け、2010年には 930,605 kL の10倍以上の消費増加 がみられる。今日の韓国での飲酒はビールと稀釈式焼酎が主流であることが 分かる。. 3 2 韓国での清酒に対する認識と飲用形態 韓国では祖先崇拝を重要な徳性と認識して、昔から名節と家祭時に心を込 めて清い酒である清酒をささげた (Park 2004)。家祭時に使う祝文には「謹 以清酌庶羞恭伸奠献尚饗」のような句が書いている。この意味は、「清い酒 といろいろな食べ物を誠意を尽くして捧げるので、食べてください」という ことで、祭祀には清い酒を使わなければならない5)。斗山酒類 (現在のロッ テ酒類) の関係者は、「国産清酒市場の70%程度は祭祀市場で、残りが日本 式食堂などで販売される」と見ている6)。 しかし、清い酒とは清酒を意味することは明らかであるが、昔の清酒が今 日の清酒を意味するかは議論の余地があるようである7)。その理由は、朝鮮 統監部による酒税令にある。朝鮮統監部は1916年に酒税令を公表し、酒種を 「薬酒」、「マッコリ」、「焼酎」、「日本清酒」に単純化するとともに、業者別 の最低生産量を定めることによって、清酒を造った零細な伝統酒業者は消え 去り、清酒に関する検証を難しくしている。さらに、第 2 次世界大戦や朝鮮. 5) 雑誌 Liquor の記事、2016 (http://www.liquorjournal.com/post/3307、最終アクセス日: 2018年 8 月25日) 6) 雑誌 Liquor の記事、2007 (http://www.liquorjournal.com/post/2034、最終アクセス日: 2018年 8 月25日) 7) 雑誌 Liquor の記事、2016 (http://www.liquorjournal.com/post/3307、最終アクセス日: 2018年 8 月25日).
(10) 58. 李. 健. 泳. 戦争以降の混乱期における食糧不足に伴い、穀物原料の使用制限により伝統 な蒸留式焼酎も姿を消して行った。その後、酒製造の統制は緩くなり、さら に、1988年の夏季オリンピックの開催をきっかけに、伝統的な酒類の製造を 奨励することになった ( 2013、p. 43、p.106)。一方、1984年7月に ビールの輸入開放を始めて、1990年から1994年末までウィスキー、ワインな どのほとんどの酒類が段階的に輸入開放された。さらに、1991年には酒類課 税体系の改善により酒類を18種類から11種類に単純化した。11種類は酒精、 濁酒、薬酒類 (薬酒、清酒)、ビール、果実酒、焼酎 (蒸溜式焼酎、稀釈式 焼酎)、ウィスキー、ブランデー、一般蒸留酒、Liquor、その他酒類である。 2000年からは薬酒と清酒、蒸溜式焼酎と稀釈式焼酎を分離させ、今日の13種 類になった ( 2008)。 一方、韓国内では「正宗」という名称が清酒という名称の代わりに使われ ている。その理由は、植民地時代に釜山で清酒を生産した日本の酒蔵の商品 ブランドが「桜正宗」8) で、1930年代は「正宗」が大流行したことによる (、p. 106)。今日でもブランド名は異なるが、名節と家祭事に使われ ている清酒を「正宗」という名称で呼ばれることも多い。ちなみに、日本酒 の輸入自由化は1994年になってからである。 さらに、2015年に清酒に対する消費者の消費実態と認識度を調べた調査結 果によると ( ・
(11) ・ 2017)、アンケート回答者の中で、韓 国産清酒と日本清酒が‘同じ酒’という認識が53.0%、‘異なる酒’という 認識が47.0%の似た水準で答えている。特に、消費者が考える韓国型清酒の 特性では男女ともに‘国産原料使用’がそれぞれ43.4%、36.9%で最も多く 答えた。このような結果は、歴史的な背景はあるが、「正宗」という名称が 清酒の代名詞になっているように、産地以外に日本と韓国の清酒に対する 明確な区別基準が消費者は持っていないためであると思われる。さらに、 当調査による最近 6 ヶ月以内に飲用した清酒の種類別の調査結果では、. 8). 日本酒 Korea、2017年 2 月.
(12) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 59. 「Chungha ()」が 363人 (72.6%)、「Bakhwasoobok ()」が 211 人 (42.1%)、「慶州法酒」が107人 (21.4%)、「クッスンダン」が100人 (20.0 %)、「Seolhwa ()」が74人 (14.7%)、「Kookhyang ( )」が47人 (9.5 %)の順であった。この順位から分かることは、輸入清酒が韓国産清酒より 値段が高いため、飲む頻度としては限られている。. 3 3 居酒屋ブームによる日本酒の消費 日本式の居酒屋ブームの背景には、昔から日本食に慣れている韓国人が留 学や旅行で日本で味わった日本食を韓国内の日本風のインテリア店で味わお うとするニーズが増えたことにあると言われている。 表6. 上位 5 位の訪日外国人の国別の推移 上位 5 位の訪日外客数の国別の推移 (単位:人). 2017年 総数. 2016年. 2015年. 2014年. 2013年. 2012年. 2011年. 2010年. 2009年. 2008年. 28,690,900 24,039,700 19,737,409 13,413,467 10,363,904 8,358,105 6,218,752 8,611,175 6,789,658 8,350,835. 韓国. 7,355,800. 6,373,564. 4,993,689. 2,409,158. 1,314,437 1,425,100 1,043,246 1,412,875 1,006,085 1,000,416. 中国. 7,140,200. 5,090,302. 4,002,095. 2,755,313. 2,456,165 2,042,775 1,658,073 2,439,816 1,586,772 2,382,397. 台湾. 4,564,100. 4,167,512. 3,677,075. 2,829,821. 2,210,821 1,465,753. 香港. 2,231,500. 1,839,193. 1,524,292. 925,975. 745,881. 481,665. 364,865. 508,691. 449,568. 550,190. 米国. 1,375,000. 1,242,719. 1,033,258. 891,668. 799,280. 716,709. 565,887. 727,234. 699,919. 768,345. 韓国人口 (百万人). 51.45. 51.25. 51.02. 50.75. 50.43. 50.20. 49.94. 49.55. 49.31. 49.06. 993,974 1,268,278 1,024,292 1,390,228. 資料:日本政府観光局(https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/index.html) IMF-World Economic Outlook Databases (http://www.imf.org/external/ns/cs. aspx?id=28). 訪日の韓国人の数を見ると、表 6 で見られるように、2008年に約240万人 から2017年には約736万人に増え、その数は2008年に韓国人口の約4.9%から 2017年に約14.3%にまで増えた。このように韓国人の日本文化に接する機会 が増えたことも日本酒の韓国への輸出が増える要因になっていると思われる。 日本酒の飲用機会の増加は日本式居酒屋ブームが一助していることが分かる。 お酒の専門雑誌によると、次のように日本式居酒屋の流行を分析している9)。.
(13) 60. 李. 健. 泳. 日本酒の酒屋は韓国内の酒屋創業市場で常にイシューになっている特 別な創業類型である。過去には主に専門性を持つ日本式料理人が小規模 で創業する独立創業が主流であったのに対して、最近では大規模で創業 するチェーン業者と価格破壊形態のフランチャイズ企業などが現れてい る。居酒屋のブームは何よりも日本の酒を代表するサケの人気が上昇し て、さらに低価格のサケが多く輸入されて一層大衆化している状況によ る。 居酒屋創業市場で、ビール居酒屋が大衆的な人気をもとに簡単に創業 して売上を高めるところに目的を置く対象であれば、日本式居酒屋業種 は専門性を備えてスキ間市場での差別化により長期間の安定性を目標と していると解釈できる。しかし、業界を分析してみれば、日本式居酒屋 は西洋式の Bar や Pub に比べて多くのつまみ類を取り扱う場合が多数 で、低アルコール酒であるサケの特性上、若い女性層に人気が高い業種 でもある。最近では多様な酒類と価格帯のサケ輸入が増加して居酒屋の 人気も一層高まっている。居酒屋業種の年中の売上の変化を調べれば、 12月、 1 月、 3 月の売上が高いことが分かる。ビール、串焼き、チキン などの他の酒屋業種に比べて、冬季売上が高いという特徴があるが、取 り扱う酒類とつまみ類の特性が冬季に適合するためであると判断される。. 3 4 韓国の日本式居酒屋の問題点 日本式居酒屋のブームに伴う問題点も多く取り上げられている。韓国の酒 類ジャーナルの編集部が2010年に主催した座談会10) で取り上げられた問題点 を要約すると、次の通りである。. ・日本産の酒であればよいという一部の輸入業者の無理な価格抑えによっ て日本では販売さえならない低級な製品が韓国内に入ってくる場合もあ 9) 国内居酒屋業種の商圏分析情報、2013年 9 月 10) 企画:酒類ジャーナル編集局、2010年 6 月 9 日.
(14) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 61. る。 ・消費状況を見てもソウル、その中でも江南の一部地域を除けば、ほとん どがパックや徳利の形態で販売されているが、特に徳利の酒は消費者の 立場ではどんなお酒なのかに関する情報が全くないため、ますます低級 製品が拡散されている。価格競争→低級製品→消費者不満→消費萎縮の 悪循環が続くという憂慮が高まっている。 ・多くの業者は清酒に対して消費者に正確で多様な情報を知らせるよりは 単純に多い量を販売して収益を上げることにだけ目を向けている状況で ある。 ・輸入、流通、販売企業などは消費者に清酒はどんな酒で、なぜ価格が高 いかなどの基本的で正確な情報を提供することを優先するべきである。. . 清酒の輸出経路と酒類の価格構成. 韓国では、日本酒の流通方法が法律によって定められている。販売チャネ ルごとに免許制度を採用しており、流通段階ごとに酒類輸入業免許、酒類卸 売業免許、酒類小売業免許が必要である11)。酒類の輸入業免許を取得し活動 している業者のうち、日本酒の輸入業者である全日本酒類販売 (旧月桂冠 Korea)、日本酒 Korea、ロッテアサヒの 3 社が全体の約 7 割程度のシェアを 占めている(日本政策投資銀行地域企画部 2013、34頁)。さらに、お酒のイ ンターネット販売は禁止されて対面販売が義務付けられているため、宅配便 で配送することができない (ジェトロ 2012、13頁)。清酒の日本から韓国へ の輸出経路は、基本的には、蔵元⇒日本輸出業者⇒韓国輸入業者⇒卸売業者 ⇒小売業者になる。以下では韓国への清酒輸出の経路と諸コストに関して概 観し、新潟県産ブランドの「久保田」と「がんばれ父ちゃん」の事例を取り 上げ、その成功の背景と韓国輸出のサプライチェーンの特徴について考察す る。. 11) 富山県. 国際・日本海政策課、2009年11月.
(15) 62. 李. 健. 泳. 4 1 清酒輸出に伴う諸コストの構造 日本国内では清酒流通経路上で利益配分は蔵元、卸売業者、小売店がそれ ぞれ 7:1:2 であると言われている。しかし、韓国への輸出の場合は小売店 の高いマージンと関税等のために韓国国内での販売価格は日本国内市場価格 の 3 ∼ 5 倍になる。表7で見られるように、生産者の出荷価額を100とした 場合、輸入通関手続きを終えるまで216になるが、韓国国内での諸コストや 流通経路上のマージンにより飲食店での価格は生産者の出荷価額の 3 倍以上 になる。韓国で高価格帯の清酒として知名度が一番高い「久保田萬寿」の場 合、筆者の経験からの記述になるが、免税店では3600円で、日本国内の特約 店でも3600円に消費税が付く程度であるが、韓国の酒専門の小売店では 15,000∼19,000円になり、日本式の居酒屋では22,000円∼25,000円で売られ ている。 表7 流通経路. 清酒輸出経路での諸コスト. 税率. 価格. 備考. 生産者⇒ 輸出業者. 100. 生産者出荷額を100とする場合. 115. 輸出業者マージンと港湾への輸送費. 通関・輸送. 121. 海上輸送費など. 関税15%. 140. CIF (Cost, Insurance, Freight) 価格に課 せられる. 酒税30%. 181. CIF 価格+関税の金額に酒税30%. 教育税10%. 186. 酒税額の10%. 付加価値税10%. 204. (CIF 価格+関税+酒税+教育税) に付 加価値税10%. 諸費用. 216. 検疫費用・通関手数料など. 345. 卸売業者・小売店のマージン、付加価値 税 (10%)、輸送費など. 通関⇒ 輸入業者. 輸入業者⇒ 卸売業者又は 小売店. 資料:日本貿易振興機構 (ジェトロ)、2012年10月、13 14頁.
(16) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 図1. 4 2. 63. ソウル駅近辺のロッテ・スーパーマーケットで 陣列されているパック清酒 (筆者撮影、 2017年 9 月21日). 朝日酒造の「久保田」と白龍酒造の「がんばれ父ちゃん」の韓国での 流通経路と販売動向. 前述のように2000年代の後半から始まった日本式居酒屋ブームにより清酒 の韓国への輸出量は増え続けているが、韓国での知名度 1 位の清酒は、高価 格帯では朝日酒造の「久保田萬寿」で、低価格帯では白龍酒造の「がんばれ 父ちゃん」である。両方ともに新潟の酒蔵のお酒であることが特徴である。 以下では筆者らの流通経路の訪問調査結果と関連文献にもとづいて流通経路 と販売上の特徴を考察する12)。. 4 2 1 朝日酒造の「久保田」の輸出経路 日本酒の日本から韓国への流通経路は、前述のように、基本的には、蔵元 ⇒日本輸出業者⇒韓国輸入業者⇒卸売業者⇒小売業者である。しかし「久保 12) 企業訪問調査においては、朝日酒造には2018年 3 月 8 日に訪問し、「久保田」の輸入 業者である日本酒 Korea は2017年 9 月21日に訪問し、それぞれインタビュー調査を 行った。さらに「がんばれ父ちゃん」については輸出業者である新潟酒販には2017年 9 月 8 日に訪問し、酒蔵である白龍酒造には2017年 9 月11日に訪問し、それぞれイン タビュー調査を行った。.
(17) 64. 李. 健. 泳. 田」の場合は、韓国市場への輸出初期は日本の朝日酒造が生産し、輸出業者 である日本名門酒会を通じて韓国の輸入業者である日本酒 Korea を経由し て小売店や居酒屋に流通していた。しかし、その後、朝日酒造と日本酒 Korea との直接取引に変わり、現在は朝日酒造と日本酒 Korea が独占取引 を行っている (伊藤ほか 2018)。 朝日酒造は1985年に久保田を発売してから「久保田」と「朝日山」の二つ のブランドを使用しているが、「朝日山」は新潟県内を中心に販売されるの に対して「久保田」は卸を介さない特約店制度を使い、全国酒販店と取引を 行っている (長沢・西村 2015年、4979頁)。筆者らが行ったインタビュー 調査によると、韓国への輸出には「久保田」が中心であるが、輸出量を見る と、20フィートコンテナーを年間 9 ∼10本、40フィートコンテナーを 1 ∼ 2 か月に 1 回を送り、千寿が萬寿の5.5倍程度であるという。韓国では千寿は 日本式居酒屋を中心に売られているが、萬寿は高級レストランを中心に売ら れているという。. 4 2 2 「久保田」の韓国でのブランド力 筆者らの日本酒 Korea のインタビュー調査によると、輸入業者である日 本酒コリアが扱っているブランド別の量の割合は、全体の輸入量に対して宝 酒造の松竹梅が約30%を占める。残り約70%のうちの20% が「久保田」で あるが、金額ベースでは、「久保田」が1位であり、全体の33%程度を占め るという。すなわち、「久保田」の萬寿と千寿を中心とした高価格帯の酒が 多く輸出されていることが分かる。さらに、「久保田」の販売比率では小売 りが25%程度、レストランが75%程度であるという。 韓国で「久保田」が最も売れている理由としては、韓国では2000年以降に 日本酒を多く飲み始めたが、「久保田萬寿」を呑んだ日本への留学経験者が 韓国でも「同好会」を作り飲むようになったこと、当時の政治家として与党 代表の部屋に大統領と飲むお酒として「久保田萬寿」があったという新聞記 事、サムスン電子の VIP 用のお土産が「久保田萬寿」であったなど、さま.
(18) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 65. ざまな理由や口コミから一般の人達の間で「久保田萬寿」は日本酒の中で最 高級のお酒というイメージが出来上がった。「獺祭」は日本で話題になる前 から安定的に韓国に輸入されていたが、日本ほどは受け入れられていないと いう。. 4 2 3 白龍酒造の「がんばれ父ちゃん」の輸出経路 「がんばれ父ちゃん」の場合は、商標権を輸出業者である新潟酒販が持っ ていて、日本の白龍酒造が作り、新潟酒販が韓国の輸入業者である泰山酒類 に輸出し、小売店や居酒屋に販売される。すなわち、新潟酒販と泰山酒類が 独占取引を行っている。白龍酒造の年間生産量は、4000石 (約 720 kL) であ るが、そのうち、金額ベースでの海外売上高比率が20%∼30%であるという。 その海外売上高の実に90%は「がんばれ父ちゃん」であり、「がんばれ父ちゃ ん」への依存度はかなり高くなっている (岸ほか 2018)。. 図 2 「がんばれ父ちゃん」のラベル (筆者撮影、 2017年 9 月21日).
(19) 66. 李. 健. 泳. 4 2 4 「がんばれ父ちゃん」の韓国でのブランド力 パック酒である「がんばれ父ちゃん」の場合は、新潟酒販が企画・販売し ていて、韓国の輸入業者である泰山酒類が2006年に8,700個を試しに輸入し たが、2016年に「がんばれ父ちゃん」は韓国市場で46万個 (1個が 900 ml パック) の10年で53倍の売上を上げた13)。韓国市場における2016年の「がん ばれ父ちゃん」のマーケットシェアを表 4 のデータと照らし合わせて計算し てみると、9.8%を占めていることになる。韓国へ輸出される日本酒の実に 1 割が「がんばれ父ちゃん」のパック酒である (岸ほか 2018)。 輸入業者である泰山酒類の Hongsunha 代表は、製品にストーリーを付け て、「不景気で苦労する家長たちに‘がんばれ父ちゃん’が慰労になるよう に願った」とし、「パパを応援する‘がんばれ父ちゃん’が単純な酒を越え て文化にしようと努力した」と言っている14)。「がんばれ父ちゃん」の成功 は他の輸入業者からはミステリーの話のようである。しかし、筆者らがイン タビューした日本酒コリアの関係者は次のように成功要因を挙げている15)。. アジア通貨危機以降で景気が悪く、その中で「がんばれ父ちゃん」とい うネーミングと分かりやすい絵が受け入れられた。味はあまり甘くなく ちょうどいい。一度 1 位になるととても強い。日本酒はみんなで飲むお 酒なので、みんな知っているお酒を選ぼうとする。そうなると、自然と 「がんばれ父ちゃん」が選ばれるようになる。「がんばれ父ちゃん」を 飲む層は、20−30代。日本酒は価格が高いので、普段あまり飲めない。 ハズレのものを買いたくないので、他人と同じものが良い。こういう韓 国の社会的な要因も影響したであろう。. 13) 韓国経済新聞の記事、2017年 1 月 2 日 14) 韓国経済新聞の記事、2017年 1 月 2 日 15) 日本酒 Korea でのインタビュー、2017年 9 月21日.
(20) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. . 67. 結びに. 日本と韓国では共に清酒が伝統酒の一つとして古くから愛されてきた酒で あるが、日本の清酒と韓国の清酒が基本的には同じ酒であったかどうかは分 からない。その理由は韓国の植民地時代に伝統的な清酒が途絶えたためであ る。しかし、韓国では古くから名節や家祭時に清酒が使われていたので、清 酒が日本のお酒であるという認識はあまりないようである。さらに、2000年 後半に始まった日本式居酒屋ブームにより清酒は専門レストランで飲む高い お酒から若者も手に届く値段で飲めるお酒として普及している。このような 背景により、清酒の韓国への輸出動向を見ても、金額では輸出先の国として は 4 位であるが、数量は輸出先の国として 2 位である。 一方、韓国内での清酒の消費動向では、従来からの日本式レストランで消 費されている高価格帯の清酒と日本式居酒屋で消費されている低価格帯の清 酒とに分けることができるが、2000年代の後半に起こった居酒屋ブームによ り低価格帯の清酒が多く輸入されている。まだ、輸入酒全体から占める清酒 の割合は極めて小さいが、増え続けている。ただ、高価格帯の知名度 1 位の ブランドが新潟県産の「久保田萬寿」で、低価格帯の知名度 1 位のブランド も新潟県産の「がんばれ父ちゃん」であることが、偶然ではあるが、面白い。 当研究ではこのような知名度 1 位のブランドの形成背景をブランド別のサ プライチェーンの特徴をインタビュー調査により調べた。「久保田萬寿」の 場合は日本国内の知名度が韓国内でも認知され、口コミで広まり、酒蔵と輸 入業者の密接な関係構築により知名度 1 位を維持している。その反面、「が んばれ父ちゃん」の場合は日本国内の知名度はほぼないのと等しいが、ラベ ルがもつイメージが不景気で苦しんでいる父親の姿を思い起こせ、ヒット商 品になり、さらに酒蔵と輸入業者の密接な協力関係構築により知名度 1 位を 維持している。すなわち、「久保田萬寿」の場合はブランドがもつパワーに より知名度を維持しているが、「がんばれ父ちゃん」の場合はラベルが持つ パワーをうまく利用することにより知名度を維持しているといえよう。.
(21) 68. 李. 健. 泳. 二つの事例は市場での知名度確保の要因を同じレベルの製品間の比較では 分析できない成功事例であるが、偶然に近い口コミという要因が市場で認知 度を高めて、さらにサプライチェーン上の酒蔵・輸出業者・輸入業者の 3 者 間の協力体制が成功を導くことができたことを物語っている。しかし、サプ ライチェーン上の酒蔵・輸出業者・輸入業者の 3 者間の‘独占的’な協力体 制が長く維持できている理由は残された研究課題であると言えよう。 (筆者は新潟大学経済学部教授). 参考文献 1.// (2017)「韓国型の清酒に関する消費者の酒類実態と認識調査」 (
(22) )、 Journal of East Asian Society of Diet Life, 27(2) pp. 215 222。 2.Park RD(2004) Traditional Liquor, Daewonsa, Seoul, Korea。 3.(2013)『
(23)
(24) &'( 4./0. !" #$%』(韓国の酒類制度と伝統酒産業) . )*+,)*-. S 27, 2013. 1。. (2008) 「12 3456 7」(酒税法体系改善に関する考察) . 829. 19 : 3 ;, 2008. 10, pp. 247274。 5.韓国の日本式居酒屋の問題点 (2010) (企画:酒類ジャーナル編集局、 2010年 6 月 9 日) http://www.liquorjournal.com/post/2098?&page=12 (最終アクセス日:2018年 8 月 25日)。 6.韓国経済新聞の記事 (2017.1.2) http://news.hankyung.com/article/201701021683i (最 終アクセス日:2018年 8 月25日)。 7.韓国国税庁の統計、 http://www.nts.go.kr/info/info_03_02.asp?minfoKey=MINF 4920080211210012&top_code=&sub_code=&sleft_code=&ciphertext= (最終アクセス 日:2018年 8 月25日)。 8.国税庁課税部酒税課 (2017) 「清酒製造業の概況 (平成28年度調査分)」平成29年10月。 9.株式会社日本政策投資銀行地域企画部 (2013) 「清酒業界の現状と成長戦略―「国酒」 の未来」2013年 9 月。 10. 日本貿易振興機構 (ジェトロ) 輸出促進・農水産部 (2008) 「平成19年度 食品産業国 際化可能性調査:韓国の食品市場について」2008年 2 月。 11. 日本酒 Korea (2017). 品格の名酒』日本酒 Korea パンフレット、 2017.2。. 12. 国内居酒屋業種の商圏分析情報 (2013) LIQUOR JOURNAL、 http://www.liquorjournal. com/post/952 (最終アクセス日:2018年 8 月25日)。 13. 富山県 国際・日本海政策課 (2009) 「韓国における日本酒の流通事情」(http://www. pref.toyama.jp/sections/1015/ecm/back/2009nov/tokushu/index2.html) (最終アクセス日:.
(25) 清酒の韓国市場とグローバル・サプライチェーンに関する研究. 69. 2018年 8 月25日)。 14. 日本貿易振興機構 (ジェトロ) 農林水産・食品部 農林水産・食品調査課 (2012) 「2012 年度主要国・地域における流通構造調査−日本酒編−」、2012年10月。 15. 伊藤龍史・岸保行・有元知史・張文・李健泳 (2018) 「日本酒の海外展開における パートナー関係:朝日酒造「久保田」のグローバル・サプライチェーンにおけるパワー と信頼の事例分析」韓国経営教育学会2018年春季国際学術発表大会要旨集, 2018年 5 月12日、 韓国慶南大学。 16. 長沢伸也・西村修 (2015) 「「久保田」と名を刻まれた「淡麗・辛口」の銘酒、『地場 産業の高価格ブランド戦略』晃洋書房、 49 79頁。 17. 岸保行・有元知史・張文・李健泳 (2018) 「日本酒の海外展開におけるパワー・バ ランスと安心関係に関する研究−中小酒蔵の「がんばれお父ちゃん」のグローバル・ サプライチェーンの事例を中心に−」2018年韓国経営コンサルティング学会春季学術 大会・報告要旨集、 2018年 4 月28日、 Soonsil 大学。.
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