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2016年熊本地震と学会の目指すもの -会長メッセージ-

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(1)巻頭メッセージ. 2016年熊本地震と学会の目指すもの ─会長メッセージ─ 富田達夫(情報処理学会会長/(独)情報処理推進機構) このたびの熊本地震により被災された方々,その. が避難生活を余儀なくされ,車中で宿泊する人々も. 家族の方々に心よりお見舞い申し上げます.. 多く,そのため発生する静脈血栓塞栓症いわゆる. 情報処理学会には熊本県に 83 名,大分県に 65 名. エコノミークラス症候群を含めた地震関連死者は. の会員がおられます.皆様方の無事を心よりお祈り いたしますとともに,今後の一日も早い復興を願い,. 12 名を数えた.. 地球はまさに生き物であり,そのメカニズムにつ. 学会としてもそのための支援をしていきたいと思い. いての研究は長い年月をかけて進められてきており,. ます.. 最近になって大きな発展を見せてきている.しかし それでもその全容が判明できるまでにはまだまだ多. 2016 年熊本地震に思う (数字は 4 月 23 日午後 4 時時点). くの時間を必要とする.残念ながら,人類はなお, 長い時間,自然災害との戦いを続けていかないわけ にはいかない.. 4 月 14 日午後 9 時 26 分,マグニチュード 6.5 の. 東日本大震災から 5 年が経過し,その経験から情. が続くことはだれもが想定できたが,28 時間後の. た取り組みも進められてきたが,その復興はまだ途. 4 月 16 日未明 1 時 25 分にマグニチュード 7.3 の地震. 上にある.そして今回の熊本地震であり,その間に. 地震が熊本地方を襲った.その後,ある程度の余震. 報処理によるレジリエンス社会の迅速な実現に向け. があり,実はこれが本震で 14 日の地震がその前震. も巨大台風や土砂災害,火山噴火など自然による災. であったということは,後になって判明した.連続. 害が続いた.突然起こる地震に比べ,予知の進んで. して震度 7 を超える地震が発生することは残念なが. きている災害もあるが,災害の場所の特定や内容,. ら事前に予測はできなかった.1,500 棟を超える家屋. 規模の特定などの予測は現時点でもかなり難しい.. が全壊し,1,500 棟近くの半壊家屋を含め,被害家屋. 一方で今回の熊本地震では,災害発生後の避難指示. は 10,000 棟を超えた.震災による死者も 48 名に達し,. や,発生予測に基づく避難誘導など,過去の反省に. なお行方不明者も存在する.60,000 人を超える方々. 巻頭 情報処理 Vol.57 No.7 July 2016. 基づく改善も多く見られた.避難場所での過不足は.

(2) あるものの援助物資の準備やコンビニエンスストア. る災害の予知に向けて,さまざまなセンサの活用,. の再開,物流等では以前よりは迅速な対応が多く見. ビッグデータの研究,AI の研究を通して取り組む. られた.レジリエンスな社会に向けた研究が進んだ. べき研究は多く存在している.遠回りと思えること. 結果,多くの改善が図られたことは事実であろう.. でも研究を積み重ねていくことがやがて大きな課題. 今後の復興には多くの時間を要するし,長期的な視. 解決へつながることを信じて各自の研究を深く進め. 点で被災者を支援していくことが必要であり,改善. ていっていただきたい.地球規模の災害解決に向け. すべきところについては速やかな対応が必要である. ては,情報処理の研究だけでは解決できないものも. ことは言うまでもない.そして今回の震災を通して. 多く,ほかの学問分野の研究と協同することで見え. 得られた知見や教訓・反省を,今後新たに起こるで. てくるものもあるはずである.分野横断的な研究に. あろう災害対応の改善に活かしていくことも重要で. ついても一歩踏み込むことが重要である.. ある.日本では高齢化が加速している.人口が減少. 情報処理学会では,今後の研究会活動の中で,長. している中で弱者と呼ばれる人の割合が増えている. 期的に取り組むべき課題を議論いただくとともに,. ということである.避難所での報道映像を見るにつ. 今すぐに現場の復興に役に立つ直近の対応策につい. け,超高齢社会の到来は目に見えた形で進んでいる. ても議論していただき,今後の研究活動や,各種イ. と言わざるを得ない.レジリエンスな社会の実現の. ベント活動を通じて具体化していくことを進めてい. 中で,弱者比率の増える状況をきちんと見据えてい. きたいと思う.被災された会員の方々への支援につ. かなければならないことを痛感した次第である.. いても考えられる措置を検討したい. 情報処理学会は,ICT を通じて安全で安心でき. 情報処理学会の目指すもの. る社会の実現,快適で信頼できるシステムの提供を. 東日本大震災の経験から,情報処理によるレジリ. ネスの創成と豊かな超スマート社会の実現も目指し. エンス社会の迅速な実現に向けた取り組みも進めら 1). 目指している.また,IoT や AI により新たなビジ. ている.高年齢化する日本の現状や,災害の多い地. れてきた .今回の震災では SNS による支援の輪. 域性を考慮した真の意味での安心・安全な社会作り. の形成がいち早くとられたことも報じられている.. に貢献できるより良い情報環境の創成に向けて,情. 復興に向けた活動の中で情報処理は大きな役割を担. 報処理学会員一同,力を合わせて取り組んでいき. っていかなければならないし,これまで以上に使い. たい.. 勝手の良いシステムを目指していかなければならな い.現場検証を通して得られた課題を迅速に解決し て次に備えていくことが肝心である.. 参考文献 1) 特集:災害科学と情報技術(震災 5 年特別企画),情報処理, Vol.57, No.3(Mar. 2016). (2016 年 4 月 26 日). 今,IoT,AI の研究が脚光を浴びる中,課題であ. 情報処理 Vol.57 No.7 July 2016. 巻頭.

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