多変量Realized GARCHモデルによるボラティリティ
の予測
著者
宇都宮 匡
2015
年度 修士論文要旨
多変量
Realized GARCH
モデルによるボラティリティの予測
関西学院大学大学院 理工学研究科
数理科学専攻 森本研究室 宇都宮 匡
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はじめに
株価のボラティリティとは株価変化率の分散ないし標準偏差のことであり、上がるか下がるかは別にして株 価がどれだけ変動するかを表すものである。その変動特性を明らかにすることは、金融資産のリスク管理を行 ううえで不可欠なことである。こうした理由から、株価の時系列分析では、近年、ボラティリティの変動を定 式化するボラティリティ変動モデルに注目が集まっている。本論文ではARCH(Autoregressive Conditional Heteroskedasticity)型モデルにRealized Volatilityを加 えたRealized GARCHモデル(Hansen et al.[2011])をさらに多変量に拡張した多変量Realized GARCHモ デル(Balter[2015])を用いて株価のボラティリティを予測することを目的にする。
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Realized GARCH
モデル
Bollerslev[1986]のGARCH(Generalized ARCH)モデルに高頻度データを用いたRealized Volatility(RV)
を組み込んだHansen et al.[2012]のRealized GARCHモデルを紹介する。
rt= √ htzt (1) ht= ω + βht−1+ γxt−1 (2) xt= ξ + ϕht+ τ (zt) + ut (3) ここでrtはt日でのリターン、xtはt日でのRV、zt∼ i.i.d.(0, 1)、ut∼ i.i.d(0, σu2)である。τ (zt)をレバ レッジ関数と呼び、この式がボラティリティのショックの非対称性を表現する。Realized GARCHモデルは GARCHモデルと同様に尤度を記述することができるので、最尤推定を行うことができる。
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多変量
Realized GARCH
Balter et al.[2015]の多変量Realized GARCHモデルは3つの式の組で構成されている。まず1つ目はリ
ターンの式、2つ目は多変量GARCHの構造をもった式、3つ目はRVに関する式である。一つ目のリター ンの式は rt= µ + √ htzt (4) 1
ここでµはN× 1 のベクトル、N は株式の銘柄数、条件付き分散htはht = (h1,t, ...hN,t)、ztはzt = (z1,t, ..., zN,t)でzt∼ i.i.d.NN(0, 1)である。ρtはリターンの共分散である。 次に2組目の多変量GARCH構造をもった式は Vt:= α + βVt−1+ τ zt+ τ∗zt∗+ γUt (5) Vt= ( log(ht) F (ρt) ) , zt= z1,t−1 … zN,t−1 , zt∗= z2 1,t−1− 1 … z2 N,t−1− 1 , Ut= u1,t−1 … uN,t−1 vt−1 (6) ここで、αはN (N + 1)/2× 1のベクトルで、βとγはN (N + 1)/2× N(N + 1)/2行列で、τ とτ∗は N (N + 1)/2× N行列である。そして測定方程式とよばれている3組目の式は log(xt) = ξ + φ log(ht) + δ(zt) + δ∗(z∗t) + ut (7) F (yt) = ζ + ψF (ρt) + vt (8) ここで、xt= (x1,t), ..., xN,tはRV、yt={yij,t}, i ̸= j, i > j, i, j ∈ {1, N}はRVの日次共分散、F はフィッ シャー変換と呼ばれF (ρ) = 12log(1+ρ)1−ρ で与えられ、ut= (u1,t, ..., uN,t)とξとζはN× 1のベクトルであ り、φ, δ, δ∗, ψはN× N の対角行列である。
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結果とまとめ
Balter et al.[2015]の多変量 Realized GARCHモデルを用いて TOPIXと信越化学工業の株価を1990
年1 月5日2013年12月30日までの期間について推定を行った。そしてEngle[2002]のDCC(Dynamic
Conditional Correlation)GARCH(1,1)モデルとの予測精度について比較した結果、多変量Realized GARCH
モデルの方がより精度の高い予測結果を得ることができた。
今後の課題としては、今回は推定の際に簡単のためレバレッジ関数を除去したのでレバレッジ関数ありの本
来の多変量Realized GARCHモデルを推定しDCC GARCHモデル以外のモデルとも比較検証する。
参考文献
[1] Hansen, P.R., Huang,Z. and Shek, H.(2012), ”Realized GARCH: A Joint Model of Returns and Realized Measures of Volatility,” Journal of Applied Econometrics,Vol.27,No.6,pp.877-906
[2] Balter.J., Dumitrescu.E-I, Hansen,P.R.(2015),”Exchange Rate Volatility Forecasting: a Multivariate Realized-GARCH Approach” Mimeo