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肺小細胞癌の放射線治療 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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山梨肺癌研究会会誌 11巻2号 1998

肺小細胞癌の放射線治療

山梨山梨医科大学 放射線科 植木潤子 大西洋 塚本達明 山口元司 田口優子 小宮山貴史 要旨:1984年から1998年の間に原発巣又は転移巣に対し放射線治療を施行した肺小細胞癌   54例(根治照射15例,緩和照射39例)の治療成績を検討した.根治照射ではCR 6例   (43%),PR6例(43%),で奏功率87%であり,緩和照射ではCR 1例(2.9%),   PR25例(71.4%)で奏功率74.3%であった.根治照射例においては,照射野150cm 2未   満の症例では有意に生存日数が延長したが,総線量,照射効果,化学療法の時期と効   果は生存日数に影響しなかった.また,根治照射例の平均生存日数と緩和照射例の平   均生存日数の比較より,根治照射を施行することにより,緩和照射として治   療された症例よりも100日以上の生存日数の延長が得られると推定された, Key words:small ce111ung cancer, radi ati on th erapy, radicalirradiation はじめに  肺小細胞癌の治療は放射線治療,化学治療が中心である.今回我々は,放射線照射方針 と治療効果及び予後を分析し,根治照射及び緩和照射の意義と最適な照射法について検討 した, 対象と方法  1984年10月から1998年2月までに当院施設にて放射線治療を受けた肺小細胞癌54例を retroSpectiveに検討した.対象症例の内訳は男性47例,女性7例,平均年齢65.6才であった, 病期はstage2が3例, stage3aが6例, stage3bが9例, atagedが35例であった.照射方針は根治 照射15例,緩和照射39例で,根治照射とはstage3以下の1irnited diseaseで状態が良く放射線 治療と化学療法の併用により根治の可能性が期待され,局所腫瘍制御に十分な線量を照射 したものである、照射部位は胸部33例,転移巣17例,胸部+転移巣3例であった,  生存曲線はKaplan−Meier法を,各因子間の有意差検定はL。grank testを用いて行い, P値く 05にて有意とし,05≦P値く1.0のとき差のある傾向があるとした. 結 果 1.背景因子  性別・年齢・PS(Performance Stauus)・stageと生存率の比較をそれぞれ行った. P S80%以 上,stage3以下で有意に生存日数の延長が見られた.根治照射例での1年生存率52%,2年 生存率18%,緩和照射では1年生存率20%,2年生存率3%であった. 2.照射方針と照射効果  根治照射ではCR 6例(43%),PR6例(43%),MR 1例(7%),NC 1例(7%)でCRとPRを合わせた奏 功率は86%だった.緩和照射ではCR 1例(2.9%),PR25例(71.4%),MR2例(5.7%),NC7例(20%) で奏功率は74.3%だった,緩和照射では画像上効果がなくても症状改善の見られた例が多 くあった(78%), 3.根治照射例の治療例による分析 1)照射効果   CRとそれ以外で生存率に有意差は見られなかった, 2)照射野・総線量   照射野150cm2未満の症例で有意に生存日数の延長が見られた. (ただし照射野150cm2 以上と未満で病期に有意差はなかった.)総線量は60Gy未満と60Gy以上で有意差はな 一68一

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平成10年9月1日 かった. (グラフ1.2参照} 3)化学療法併用時期と効果   化学療法併用は照射前10例,照射同時2例,なし1例で効果はCR2例, PR5例, NC2例  であったが,生存率の比較ではそれぞれ有意差は見られなかった. 4.緩和照射例の生存率に影響のあった因子 1)照射効果   PR以上の症例で生存日数延長の傾向が見られた. 2)転移部位   脳転移により生存日数減少の傾向が見られた. 考 察  肺小細胞癌は化学療法を主体とした治療を行い,放射線治療を補助的に用いることが多 かったが,最近は化学療法と放射線治療の同時併用療法が試みられ,良好な成績が報告さ れている1)一‘3),初期治療として,転移発見後に緩和照射を行うのではなく,根治照射を行 う必要性を今回の症例の結果から検討した.図1のように,根治照射を行った症例と(上 の図),根治照射適応がある症例に対し根治照射を行わなかったと仮定したもの(下の図) の生存日数を比較した,根治照射施行例(上の図)の平均生存日数は382日,照射開始か ら再発までの平均日数は115日であったので根治照射非施行例(下の図)の再発までの日 数は115日未満と仮定した.再発してから死亡するまでの日数は上の根治照射施行例では 267日,下の根治照射非施行例では発症後に緩和照射を施行しても平均164日であった. よって根治照射例では平均生存日数382日,根治照射非施行例では生存日数(115日未満 +164日=)279日未満となり,根治照射をあらかじめ加えておけば再発してからも100日 以上の生存日数の延長が推定された,今回の根治照射例では化学療法併用時期による生存 率の違いは見られなかったが,今後は同時併用を積極的に行い,もう一度放射線治療成績 を検討したい.  照射野の大きさと予後の関係では照射野150cm2以上の全例に放射線肺炎,放射線食道炎, 骨髄抑制が多く見られ,直接死因には到らなかったが予後に悪影響を及ぼしたと考えられ る,照射野が大きくなるにつれて放射線肺炎の程度がひどくなることは多く報告されてい る4).今回の結果からも照射野の小さい方が予後が良好で,照射野の大小で病期に差はな かったことから,照射野は病巣を含めていれば出来る限り小さい方がよいと考えられた.  照射量が多くなる場合は1日2回の多分割照射が有効であるとの報告もある5),今回の結 果では総線量は生存率に寄与しておらず,合併症の出現を考慮して根治照射の総線量を決 めた方がよいと思われた.  肺小細胞癌の生存率は1imited disease(LD)で3年生存率15−20%, Extensive diseas e(ED)で 3年生存率0%である1).今回の結果はこれらの数字より低かったが,化学療法開始日では なく放射線治療開始日を第1日目としているためと考えられた. 結 語 1.当施設において放射線治療を行った肺小細胞癌54例をretrospectiveに検討した、 2.PS(80%以上と未満),stage(Ill期以上と未満)で生存率に有意差がみられた. 3.根治治療において総線量,照射効果,化学療法の時期と効果は生存日数に影響しなかっ た. 4.根治治療は病巣のみを含んだ照射野で行い,総線量は60Gy以下が適当であると考えら れた. 5.緩和照射でも反応が良ければ延命効果が認められた. 6.根治目的で照射を行うことにより,緩和照射として治療された症例より生存日数を100 日以上延長させることが出来たと考えられた.しかし,ほとんど全ての症例で根治には到 らなかった,       −69一

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山梨肺癌研究会会誌 11巻2号 1998 文 献 1)久保田 馨;肺癌;化学療法の領域;241−247,V。114,s−1,1998 2)福岡正博,植島久雄;肺癌一小細胞癌;臨床雑誌,内科6;1078−1083, Vo179,No.6,1997−6 3)Randi A. Schea, MD・Penny Perkins ,PhD・Pamela K . Allen,MPH , et al;Limited−stageSmal1−Cell Cancer:Patient Surviva1 after Combined Chemotherapy and Radiati onTherapywith and with out TreatmentProtocols;Radiology;859−862,1995,decenber 4)今中一文,橋村孝久,副島俊典,他;放射線肺臓炎発症に関与する因子の検討;癌の 臨床;2326−2330,第36巻・第13号,1990.6 5)晴山雅入,佐野昌明,山岸雅彦,他;放射線肺炎を中心として;癌の臨床;2319−2325, 第36巻・第13号,1990.6 一70一

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平成10年9月1日      グラフ1根治照射例の胸部照射野面積別の生存率     1     .8    冊       一■一累積生存率(面積150未満)    k“’6

   鍵.4         一顯生韓(晒15・以上)

    .2     0       0  100200300400500600700800900       時間      グラフ2 根治照射例の総線量による生存率     1     .8   冊      ■一一累積生存率(線量60Gy未満)   笛・6

  鍵.4         一累積生碑(zaR6°Gy以上)

    .2     0       0  100200300400500600700800900       時間

図1

根治照射の必要性に関する考察

根治照射  あり

    0日

   照射開始 根治照射  なし

115日

再発

267日

164日

115日未満

  再発 緩和照射開始 一71一

382日

死亡

279日未満

 死亡

参照

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