Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
若手歯科医師の諸君よ, 来たれ外科研修に!
Author(s)
松井, 淳一
Journal
歯科学報, 111(2): 2i-2i
URL
http://hdl.handle.net/10130/2404
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若手歯科医師の諸君よ,来たれ外科研修に!
松 井 淳 一
最初に3月11日の東日本大震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,被災
された皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。
犠牲者と行方不明者合わせて2万人を超える甚大災害であり,被災地の様子をテレビの画面で見て
いると,今回のような大地震が日本中の何処で起きても不思議ではなかったのですから自分や家族が被
害に遭わなかったのは偶然の幸運でしかなく,被災地のことが他人事だとはとても思えません。一日も
早い復旧,復興を心からお祈りいたします。
さて,昨年平成22年,東京歯科大学は創立120周年を迎えました。この年,多くの記念事業が成功裡
に行われると言う素晴らしい歴史の一コマに私も参加することができました。私は本学の卒業生ではあ
りません。しかし,血脇守之助先生の「歯科医師である前に人間たれ」と言う薫陶を大切に守り継いで
来た同窓生の方々のようには行かないまでも本学への愛着を感じることのできた一年でした。
私は,これまでいくつかの病院に勤務しましたが,どの病院でも「自分の病院を愛すること」を大
切にして来ました。そして,病院が立派かどうか,活気があるかどうかは,「病院を愛する職員がどれ
だけ多いか」に拠っていると信じています。私は平成20年に外科教授として着任しましたが,本学は大
学を愛する多くの卒業生,同窓生で非常に立派で活気があると感心しています。
このことは,私が実際に勤務している市川総合病院についても言えます。医師,歯科医師,看護
師,薬剤師,技師など多くの職員が,自分たちの大学と病院を愛して働き高いレベルの医療を提供して
います。そして,歯科と医科が非常に良好な関係で連携しあい,医師と歯科医師が同じ釜の飯を食う同
士と言うような緊密な関係が出来上がっています。
市川総合病院では多くの医科ならびに歯科の卒後臨床研修医や若手医師が研修していますが,臨床
研修制度の目標の中には患者を全人的に診ることができ基本的な診療能力を有する医師,歯科医師の育
成があります。これは正に血脇先生の言葉と同じでありますが,私ども市川総合病院は,歯科大学卒後
3∼4年の大学院生やレジデントの諸君にとってこの血脇イズム修得に最高なる環境だと言えます。即
ち,歯科大学院生やレジデントたちには希望の医科診療科で研修する機会が与えられ,しばしば医科研
修医やレジデントと一緒に training を受けているのです。
私は外科医ですが,medical の臨床では内科系医師と外科系医師に二大別されます。一方,dental の
臨床をこの分類で考えますと歯科医師の先生方も所謂外科系医師と言えると思います。外科系医師は,
かっては単なる「職人的技術者」のイメージでしたが,現代ではそのイメージも併せ持った「生命科学
を扱う医療者」へと変貌しております。こう言う外科に毎年3ヵ月交替で歯科大学院生やレジデントの
諸君のローテーションを受け入れています。これまで男性も女性もいましたが,彼(女)らは唯一人の例
外無く非常に生き活きと一生懸命に研修してくれました。歯科,口腔外科につながる食道,胃を中心に
肝臓,膵臓,胆嚢,大腸,虫垂などの消化器,乳房,血管などなど多くの疾患の患者を実際に診療し,
手術に参加し,研修3ヵ月後半になればカンファレンスでまるで医科レジデントのようにして症例呈示
もしてくれます。外科では癌患者も多く,患者の苦痛,悩み,葛藤を実際に体感し経験してもらってい
ます。
3ヵ月の研修期間を終える際には,彼(女)たちは外科系医師の素晴らしさをより強く感じてくれ
て,見違えるような「全人的医療の実践者」になってくれて,例外なく「外科での研修は最高でし
た!」と言ってくれます。外科研修を修了した彼(女)たちはこれからの本学の歴史を切り拓く大きな力
に必ずなってくれると思います。
若手歯科医師の諸君よ,来たれ外科研修に! (東京歯科大学外科学講座 教授)
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