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ネットワーク利用の車載情報サービス

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Academic year: 2021

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66回 月例発表会(200404月) 知的システムデザイン研究室

ネットワーク利用の車載情報端末

∼次世代テレマティクスの行方∼

濱地優希,市川親司

Yuki HAMAJI,Chikashi ICHIKAWA

1 はじめに

ブロードバンドインフラが普及し,携帯電話が高機能 化した現代社会では,ネットワークに接続するデバイス の 1 つとして自動車が注目されている.近年,自動車 は IT 化が急速に進んでおり,なかでもテレマティクス (Telematics)1という分野が脚光を浴びている. テレマティクスとは,自動車におけるインターネット 接続に関する技術やサービスを示す.近年,各省庁が中 心となり進めている ITS2もこのテレマティクスの1つ である.自動車がインターネットに接続することより, メールをはじめ,音楽などエンターテイメントに関す るデータ提供はもちろん,事故や故障などに伴うロー ドサービスの手配やドライバーの自宅への連絡,保険会 社へのメール送信などという機能も盛り込んでいる.既 に複数の大手自動車メーカーが,データ通信モジュール を組み込んだ自動車を販売しているほか,カーナビメー カーも通信機能を内蔵した車載端末を提供し,既存の 車両に通信機能を追加させようとしている.これらの通 信機能により,従来のカーナビやカーオーディオといっ た「車載機器」は「車載情報端末」へ発展しようとして いる.

2 テレマティクスの動向

第1世代テレマティクスとされるサービスは 1997 年 に開始された.当時は基本的に1対1のサービスで,オ ペレーターが対応し,交通情報やレストラン,旬の観光 スポット案内など各種情報の提供してくれるサービスで あった.しかし当時は,通信端末となる携帯電話やカー ナビの普及率の低さに加え,通信料の高さなどから,一 般ユーザーには受け入れられなかった. 第2世代テレマティクスは 2002 年頃から始まった.携 帯電話そのものがインターネット通信機能を持つことで, 関連する技術やサービスが急速に普及し,コストが下が り,テレマティクスは1対1から1対複数のサービスへ と変化した. 1Telecommunication(電気通信) と Infomatics(情報処理) を組み 合わせた造語

2Intelligent Transport System の略で高度道路交通システムと訳 される

3 次世代テレマティクス

自動車がインターネットに接続されたことで,ユー ザーは車内にいながらにして様々な情報やサービスを受 けることが可能となった.また,自動車の IT 化は自動 車自体が様々な情報を受信,または発信することを可能 にした.ここでは,次世代テレマティクスへ向けた更な るサービス実現のための新システムとして,プローブ情 報システムと音声対話システムを紹介する. 3.1 プローブ情報システム プローブ情報システムとは,自動車を動くセンサ(プ ローブ)として捉え,収集したデータを蓄積・加工する ことにより,新たな情報を生み出し,それらを共通の基 盤として相互に利用しようというシステムである.様々 なセンサを搭載した自動車(プローブカー)が走行する ことにより,道路交通情報をはじめ,地域の気象,自然, 社会に係る情報等を,ユーザーに提供できるようになる. ࡢࠗࡄ࡯ #$5 ᠲ⥽ⷺ Άᢱྃ኿㊂ ᄖ᳇᷷ ࠛࡦࠫࡦ࿁ォ ૏⟎ ࡊࡠ࡯ࡉᖱႎ࠮ࡦ࠲࡯ ࡊࡠ࡯ࡉࠞ࡯ Fig. 1 プローブ情報システムの概要 Fig. 1 にシステムの概要を示す.プローブカーによっ て収集されたデータは一度プローブ情報センターに送信 される.そして,ここで様々なデータが分析され,有用 な情報がユーザーに発信されることとなる. 具体的な利用方法としては,例えば車両位置や速度パ ルスのデータを解析することにより,渋滞などの交通情 報が得ることができる.エンジン回転や燃料噴射量など のデータからは省エネ運転支援情報も得ることができる だろう.またプローブ情報は,交通だけでなく,道路状 況の監視という使い方もある.例えば,信号のない場所 で停車する自動車が一定時間で発生していれば工事箇所 の可能性が高い.また,徐行する車両が多い場所が発生 1

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したら,故障車や土砂崩れなど,交通を妨げる事柄がそ こにあると判断できる.このような情報は,いずれ通報 があるとしても,一刻も早い検知が可能になり,原因調 査や対処もそれだけ早く行える.この他,冬の山間部, 斜面の北側の道で ABS が作動する車両が多ければ,道 路が凍結していると判断できる. プローブ情報システムとは,このように自動車から発 進される様々な情報をデータマイニングすることで,ド ライバーや社会にとって有益な情報を生み出そうという システムである. 3.2 音声対話システム 現在の車載情報端末の HMI(ヒューマン・マシン・イ ンターフェイス)としては,タッチパネルやダイヤル状 のコントローラが採用されている.しかしこれでは,運 転中のドライバーがステアリングから手を離したり,端 末のディスプレイに目を向けたりすることになり非常に 危険である.また,機能が多くなると端末の操作も複雑 になり,高齢者を中心として抵抗を持つ人がいる.次世 代のテレマティクスにおいては,ドライバーは走行中に より多くの情報を扱うことになる.そこで,従来検索に 何回も手操作を要していた情報を,直接呼び出すことが でき,かつ検索情報や検索条件を自由に切り替えられる 柔軟な HMI が必須である. ここでは新たな HMI として,音声認識・合成を含 んだコンテンツを Web 上で記述する標準言語である VoiceXML3対応の音声対話システムを紹介する.現在, VoiceXML はチケット予約や故障対応コールなどの音声 応答サービスに利用されており,テレマティクスにおい て VoiceXML を用いることで,今後普及が見込まれる 様々なシステムへの応用が可能となる. 5RGGEJ5RGGEJԚ U[PVJGUK\GT U[PVJGUK\GT 5RGGEJ 5RGGEJԙ TGEQIPK\GT TGEQIPK\GT               8QKEG:/. 8QKEG:/.ԛ KPVGTRTGVGT KPVGTRTGVGT 5[UVGO U 5[UVGO U TGURQPUG TGURQPUG &TKXGT U &TKXGT U WVVGTCPEG WVVGTCPEG +PXGJKENGVGTOKPCN +PXGJKENGVGTOKPCNԘ ࡮0CXKICVKQP ࡮#WFKQ ࡮ ࡮ %CT %CT .GZKEQPITCOOCT HQTURGGEJTGEQIPK\GT EQOOCPF 0CVWTCN NCPIWCIG RCTUGT 5RQMGP FKCNQI EQTRWU +PHQTOCVKQPTGVTKGXCN  U[UVGO 5EGPCTKQIGPGTCVQT 5EGPCTKQ:/. 5VCVGVTCPUKVKQP IGPGTCVQT &KCNQI:/. 8QKEG:/.UEGPCTKQ EQORKNGT +PVGTPGV +PVGTPGV 74. 9KTGNGUUEQOOWPKECVKQP 0GVYQTMEGPVGT 0GVYQTMEGPVGTԜ &KCNQIOCPCIGT &KCNQIOCPCIGTԝ ࡮TQWVGIWKFCPEG ࡮TGUVCWTCPV ࡮RCTMKPI 8QKEG:/. FKCNQIUEGPCTKQ +PHQTOCVKQP +PHQTOCVKQPԞ FCVCDCUG FCVCDCUG .GZKEQPITCOOCT .GZKEQPITCOOCTԟ FCVCDGUGHQTURGGEJ FCVCDGUGHQTURGGEJ TGEQIPK\GT TGEQIPK\GT Fig. 2 音声対話システムの構成 Fig. 2 に車載機および情報センターの構成を示す.車 載機 1は音声認識部 2,音声合成部 3,VoiceXML イン

3Voice Extensible Markup Language の略で XML の音声対応 の拡張版 タプリタ 4から構成される.音声認識部 2はドライバー の発話を単語列に変換する.VoiceXML インタプリタ 4 はこの単語列を解釈実行し,その結果を音声合成部 3に より音声に変換してドライバーに伝達する. VoiceXML インタプリタ 4は,オーディオ操作など車 内だけで処理できる内容であれば車載機 1だけで対応す る.それが不可能な場合,単語列を検索コマンドと解釈 し情報センター 5に送信する.そして情報センター 5か ら返された情報を使用してドライバーと対話を継続する. このように車載機 1は必要な場合にのみ情報センター 5 にアクセスするため,対話処理の高速化が可能となる. 情報センター 5は対話管理部 6,情報データベース 7 ,音声認識用語彙・文法データベース 8から構成され る.車載機 1から単語列を受信すると,対話管理部 6は 情報データベース 7およびインターネットを検索する. そして検索結果を組み込んだ VoiceXML 対話シナリオ を自動生成する.また VoiceXML 対話シナリオが想定 するドライバー発話を音声認識するための語彙,文法を 音声認識用語彙・文法データベース 8から検索する.そ してこれら VoiceXML 対話シナリオ,音声認識用語彙・ 文法を合わせて車載機 1に送信する. 例えばドライバーが飲食店を目的地として設定する と,対話管理部 6は関連する話題,例えば経路情報や目 的地周辺の駐車場情報を元に,経路案内,駐車場案内の 2 つの話題を扱う VoiceXML 対話シナリオを生成する. また,ドライバーの発話を音声認識するための語彙・文 法を音声認識用語彙・文法データベース 8から検索する. そしてこれらの情報を合わせて車載機 1に送信する.以 後,車載機の VoiceXML インタプリタは対話管理部 6 から受信した情報を用いてドライバーとの対話を処理す る.このようなシステムを採用することで,柔軟な話題 遷移にも対応することが可能となる.

4 おわりに

プローブ情報システムや音声対話システムなどによ り,自動車は移動体から移動情報体へと進化する.自動 車は様々な情報を発信・受信し,ドライバーは柔軟にそ れらの情報を処理することができる.そして,これらの 自動車が街にあふれることで,社会全体の知的化にもつ ながる.つまり,次世代テレマティクスにおいては,自 動車に乗る人だけでなく,乗らない人も含めた全ての人 が情報技術の恩恵を受けることが出来るのである.

参考文献

1) 松本光吉著,「テレマティクス」,2002,日経 BP 社

2) DENSO TECNICAL REVIEW

http://www.denso.co.jp/DTR/

参照

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