災害とこころの健康 原クリニック(仙台市) 原 敬造 昨年3月11日、東日本大地震は突如として東北、関東を含む広範囲な地域 を襲った。地震による倒壊、地盤の液状化などを引き起こし、津波による大き な被害をもたらした。東北3県では死者行方不明者が1万8千人を超えるとい った大惨事となった。未だに多くの行方不明者がいる。 宮城県では宮城県沖地震がここ数年のうちに確実に起こるといった予測は立 てられていたが、これほどまでの大津波が沿岸部の広い範囲を襲うとは思って もいなかった。 今回の災害の最大の犠牲者は、高齢者であった。元来過疎地で高齢化率が高 かったが、発生時間が日中で若い人々は仕事か学校にいた。卒業を控えた学生 が、自宅に居て被害にあわれた場合もあるが、多くの高齢者が自宅にいた時間 帯であった。 災害は、予期せぬ時にやってくる。特に地震は予想がつかない。深夜でなか ったことがどれだけ犠牲者を少なくしたかと思うとぞっとする。 南海トラフトでの地震シュミレーションが発表された。名古屋市でも港区は 5メートルの津波に襲われることが予想されている。愛知県の海沿いの街はよ り波高の高い津波に襲われる予想がたてられている。”備えあれば憂いなし”と いうことわざがある。災害にいつ襲われるかは予想がつかない。 常日頃から、地震が起きた時の行動をシュミレーションしておくこと。自宅、 通勤、通学、職場、学校などなど。家族のおよその行動を把握しておく。緊急 時の連絡方法を確認しておく。交通網、通信網は寸断されることを前提にして おく。当然のことであるが、大事である。 健康面では、日頃服用している薬を、一週間程度のストックしておく。処方 箋をいつも持ち歩く。 災害時は、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、避難所での食事 や、ストレスによって悪化する。ストレスによる循環器系の病気が増えること が震災後の調査で示されている。地震や、津波、倒壊、火災などの恐怖体験か ら不眠や不安・恐怖、抑うつ気分なども多発する。近親者の死、家や思い出な どの喪失体験による悲哀反応も当然のことながら起こる。誰にでも起こる反応 であって、周囲の方のサポートがあれば自然に回復する。 平時からの人のつながりが、災害時にも大きな力となることは確かである。
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