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「多文化間コンピテンス尺度」作成のための予備調査 : 結果報告を中心に

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(1)

多 文 化 間 コ ン ピテ ンス 尺 度 」 作 成 の た め の 予 備 調 査

結果報告 を中心 に

A preliminary

study

for the

creation

of a Multicultural

Competence

Inventory

稲垣 亮子

Ryoko

Inagaki

要 旨:本 稿 は,「 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 尺 度 」 作 成 の た め に 実 施 し た 予 備 調 査 の 結 果 を 中 心 に 報 告 す る も の で あ る 。 「多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 」 と は,多 文 化 共 生 社 会 に お け る ホ ス ト側 で あ る 日 本 人 住 民 に 必 要 と さ れ る 「対 応 」 を 定 義 した も の で あ る。 多 文 化 が 共 存 す る 社 会 で は,ゲ ス ト側 の 適 応 の み な ら ず,ホ ス トの 能 動 的 な 働 き か け か ら質 の 高 い 相 互 作 用 を 創 造 し,対 人 関 係 を 良 好 に 開 始 ・維 持 す る こ と が 求 め ら れ る。 そ こ で,コ ン ピ テ ン ス の 項 目化 に は,異 文 化 理 解 ・接 触 に 不 可 欠 な 「気 づ き」 「知 識 」 「ス キ ル 」 が コ ン ピ テ ン ス の 背 景 に 位 置 し て い る と い う観 点,留 学 生 の 異 文 化 適 応 に 関 す る 内 容 と チ ュ ー タ ー 経 験 者 の 学 習 内 容 の 観 点 を 用 い た 。 項 目化 の 検 討 後,2 種 類 の 質 問 紙 を 作 成 し,約400名 を 対 象 と し た 調 査 を 行 っ た 。 そ の 結 果,性 別 と 想 定 外 国 人 カ テ ゴ リに お い て コ ン ピ テ ン ス の 差 が 認 め られ た 。 ま た,因 子 分 析 の 結 果 「積 極 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンに よ る 関 与 」 「日 本 文 化 ・習 慣 の 手 引 き 」 「異 文 化 へ の 共 感 的 理 解 」 と解 釈 可 能 な3因 子 構 造 を 得 た 。 本 稿 で 報 告 す る予 備 調 査 の 結 果 を 基 に,本 調 査 で 用 い る項 目 の 検 討 が 今 後 の 課 題 と な る 。 キ ー ワ ー ド:多 文 化 共 生 社 会 ホ ス ト住 民 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 尺 度 項 目 問 題 「我 々(ド イ ツ 政 府)は 労 働 力 を 取 り寄 せ た 。 し か し や っ て 来 た の は,人 間 だ っ た 。」 こ れ は, ス イ ス の 作 家M.ブ リ ッ シ ュ が1960年 代 に 記 し た と さ れ る一 節 で あ る(坂 井,2011)。 こ の 言 葉 は, 戦 後 の ヨ ー ロ ッパ 経 済,そ して 現 在 で も米 国 経 済 に み ら れ る移 民 問 題 を 象 徴 的 に 表 現 し て い る 。 そ して,異 文 化 で 生 活 す る マ イ ノ リテ ィ と の 関 わ り 合 い と い う 問 題 を マ ジ ョ リテ ィ に 問 い か け て い る 。 多 文 化 が 共 存 す る社 会 で は,異 文 化 滞 在 者 で あ る ゲ ス ト側 が ホ ス ト社 会 に い か に 「適 応 」 す べ き か,と い う 問 題 が 焦 点 化 さ れ る。 し か し,多 文 化 共 生 社 会 の ゲ ス トは,ホ ス ト側 に も多 く の 新 し い 価 値 観 を も た らす(Amiot,&delaSablonniere,2010)。 こ れ は,ホ ス ト社 会 の 施 策 の み な ら ず,ホ ス ト住 民 の ゲ ス トへ の 「対 応 」 を 蔑 ろ に で き な い こ と を 意 味 し て い る 。 1990年 の 「出 入 国 管 理 法 」 の 改 定 か ら20年 以 上 が 経 過 し た 現 在,日 本 に は 多 く の 外 国 人 が 地 域

(2)

住 民 と して生 活 して い る。 特 に愛 知 県 を含 ん だ 中部 地 域 は製 造 業 が多 い た め,自 治 体 の責 務 と し

て,就 労 ・生 活 す る外 国人 住 民 へ の ソ ー シ ャル サ ポ ー トの充 実 が取 り組 まれ て い る(稲 垣,2011)。

一 方 で

,異 な る文 化背 景 を も った外 国人 住 民 と 日本 人 住 民 の双 方 が,地 域 の生 活 者 と して就 労 し

た り,教 育 を受 けた りす る と き,質 の高 い接 触 を創 造 し,正 の相 互 作 用 を生 み 出 す た め に,ホ ス

ト社 会 の 日本 人 住 民 に は どの よ うな能 力 が必 要 とな るだ ろ うか。 多 文 化 共 生 とい う と,と もす れ

ば ゲ ス トの外 国 人 住 民 の 文 化 変 容(acculturation)や

日本 社 会 へ の適 応 の み が 問 題 と され が ち

で あ る。 しか し,日 本 人 もま た 同 時 に 多数 の外 国人 が そ の一 員 とな る多 文 化 社 会 へ の適 応 を迫 ら

れ て い るの で あ り,日 本 人 に要 求 さ れ る異 文 化 適 応 能 力 を心 理 学 的 に検 討 す る こ とは意 義 深 い も

の と考 え る。

外 国 人 た ち が 日本社 会 へ長 期 滞在 す るに あ た り直面 す る困難 とは ど の よ うな もの で あ ろ うか。

例 え ば,田

中 ・藤 原(1992),田

中 ・高 井 ・山 神 ・藤 原(1993),高

井(1994),田

中 ・中 島

(2006)は,留

学 生 の 異 文 化 不 適 応 に 関 す る研 究 を行 な って い る。 これ らの研 究 で は,留 学 生 が

生 活 す る上 で 感 じる対 人 関係 上 の 問題 点 を探 索,類 型 化 し,困 難 事 項 の 問題 を認 知 面 と行 動 面 か

ら分 析 して い る。 具体 的 に は 「1.感 情 や 機 嫌 を損 ね ず に調 和 を保 つ 工 夫 と して の 表 現 の 間 接 性 」

「2.礼 儀 や 社 会 通 念 と して の行 動 」 「3.抑 制 の きい た 自己表 現 」 「4.異 性 との 関 わ り」 「5.日 本

人 に よ る外 国 人 の 特 別扱 い」 「6.集 団主 義 的 な行 動 と同一 性 の尊 重 」 の6類 型 が 日本 で対 人 関係

を 形 成 ・維 持 す る際 の 困 難 事 項 と して類 型 化 され て い る(田 中 ・藤 原,1992)。

そ して,田

中 ・

中 島(2008)は,6類

型 に則 して作 られ た社 会 的 状 況 で の ロ ール プ レイ と 日本 人 学生 か らの フ ィー

ドバ ックを 繰 り返 す とい う ソー シ ャル ス キ ル訓 練 を実 施 し,教 育 的介 入 を行 った。 そ の結 果,各

状 況 に対 して 日本 人 か らの 印象 が 好 転 し,留 学 生 自身 も状 況 に即 した行 動 の 認 知 を獲 得 して い る。

これ に対 し,日 本 人 学 生 を対 象 と した もの に は,高 濱 ・田 中(2010),奥

西 ・田 中(2007)の

文 化 間 ソー シ ャル ス キ ル学 習 に 関 す る研 究 が あ る。 前 者 は,海 外 留 学 予 定 の 日本 人 学 生 の適 応,

後 者 は,留 学 生 と 日本 人 学 生 との対 人 関係 構 築 を 目的 と して い る。 自文 化 と異 文 化 下 で は異 な る

人 間 関 係 の 効 果 的 な 行動 様 式 の規 範 を理 解 ・学 習 す るセ ッ シ ョンを繰 り返 し,異 文 化 間 の対 人 関

係 を す み や か に 成 立 ・維 持 ・発展 させ るた め の認 知 ・行 動 的 な技 能 が 向上 した こ とを報 告 して い

る。 具 体 的 に は,異 文化 性 の存 在 へ の気 づ き,日 本 文 化 との違 い の具 体 的認 識,気

づ き ・認 識 に

従 った 社 会 規範 か らの解 離,負

の状 況 に対 す る誤 解 の可 能 性 に つ い て正 確 に説 明 す る技 術,相 手

との 妥 協点 ・交 渉 力 ・柔軟 性 等,相 手 へ の配 慮 を伴 った主 張 性 の技 術 な ど で あ る。

留 学生 と 日本 人学 生 を対 象 と した研 究 の 中 に は,留 学 生 支 援 者 で あ る 日本 人 チ ュ ー ター学 生 の

意 識 や 留学 生 との 関係 に つ い て論 じた もの が あ る。 田 中(1996,1997)は,日

本 人 チ ュ ー ター学

生 の 視点 か ら異 文 化接 触 体 験 に 関 す る質 問紙 調 査 と質 問紙 調 査 に先 立 った面 接 調 査 を実 施 して い

る。 チ ュー ター 達 は,チ ュー ター経 験 を通 した対 人 関係 形 成 過 程 で,相 手 文 化 の理 解 と吸収 が生

じ,異 文 化 間 ソー シ ャル ス キ ルが 学 習 さ れ(田 中,1996),対

人 行 動 の変 容 が起 って い た。 田 中

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(1996)に よ る と,こ の 異 文 化 間 ソ ー シ ャ ル ス キ ル は,対 人 関 係 形 成 に お け る,異 文 化 性 へ の 知 識 と 理 解,配 慮 を 伴 っ た 判 断 と行 動 の ス キ ル,対 話 の 重 要 性 や 否 定 的 な 帰 属 へ の 注 意 と い っ た 異 質 な 者 と の 交 流 に 必 要 な ス キ ル が 含 ま れ る。 ま た,文 化 に 特 定 さ れ な い ス キ ル の 学 習 も報 告 さ れ て い る 。 同 時 に,チ ュ ー タ ー た ち は,コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン障 害 な ど の 困 難 点,交 友 な ど の 楽 しか っ た 経 験,異 文 化 接 触 に 伴 う相 互 理 解 ・葛 藤 解 決 の 方 法 ・ ソ ー シ ャ ル ス キ ル の 習 得 ・文 化 の 仲 介 機 能 な ど の 学 習 経 験,日 本 社 会 の 再 認 識 ・ 自分 自身 を 振 り返 る機 会 な ど の 自 己 の 成 長 も報 告 し て い る 。 以 上 を ま と め る と,留 学 生 に 対 す る チ ュ ー タ ー 経 験 は,「 社 会 的 側 面 」 「異 文 化 間 教 育 的 側 面 」 「人 格 的 成 長 側 面 」 の 向 上 体 験 に 結 び つ く(田 中,1997)。 「社 会 的 側 面 」 と は,異 文 化 の 価 値 観 か ら 日 本 社 会 を 見 直 す 価 値 観 の 転 機,習 慣 や 社 会 の 仕 組 に 対 す る留 学 生 の 視 点 と の 同 一 視 が 含 ま れ る 。 「異 文 化 間 教 育 的 側 面 」 と は,習 慣 の 違 い に 関 す る 具 体 的 知 識,不 快 や 怒 り の 低 減,苛 立 ち へ の 耐 性 と い う情 緒 の コ ン トロ ー ル,社 会 的 文 脈 で の 的 確 な 受 信 と 発 信 に 代 表 さ れ る 。 「人 格 的 成 長 側 面 」 と は,対 処 能 力 の 有 能 性 の 向 上,交 流 へ の 動 機 づ け の 高 ま り,双 方 向 的 で 対 等 な 対 人 関 係 か ら学 ぶ 意 義 等 で あ る こ と が 述 べ ら れ て い る。 一 方,多 人 種,多 民 族 か ら構 成 さ れ た 移 民 国 家 で あ る米 国 で は,特 に 心 理 カ ウ ン セ ラ ー な ど 対 人 サ ー ビ ス に 従 事 す る職 業 人 に 対 し,多 文 化 へ の 敏 感 な 感 受 性 や 多 文 化 状 況 で の 適 切 な 振 る 舞 い が 強 く求 め られ て い る 。 こ の よ う な 背 景 の も と,multicultural  competence(MC)と い う概 念 が 提 出 さ れ,さ か ん に 研 究 が 展 開 さ れ て い る。 コ ン ピ テ ン ス と は,環 境 と効 果 的 に 相 互 に 影 響 し 合 う 能 力(White,1959)で あ り,自 文 化 下 で の 経 験,自 文 化 の 価 値 ・態 度 が 自 身 に 影 響 を 及 ぼ して い る こ と を 認 識 し,多 文 化 状 況 に て 生 じ る心 理 的 ・対 人 的 問 題 に 適 切 に 対 応 で き る 能 力 を 持 つ こ と,お よ び,そ の よ う な 存 在 と し て 自 己 を 認 識 す る こ と がMCで あ る と い え る。 Sue,Bernier,Durran,Feinberg,Pedersen,Smith,&Vasquez-Nuttal,(1982)とSue, Arredondo,&Mcdavis,(1992)は,カ ウ ン セ ラ ー 自 身 が バ イ ア ス や ス テ レ オ タ イ プ に 気 づ い て い る こ と,異 文 化 の 価 値 観 と世 界 観 に 気 づ い て い る こ と,異 文 化 の 社 会,歴 史,環 境 的 影 響 を 考 慮 し た 適 切 な 介 入 を 行 な え る 能 力 を 備 え る 重 要 性 を 説 明 し て い る 。 そ し て,こ のMCは, Pedersen(1989)に よ っ て 提 示 さ れ た 異 文 化 接 触 に 必 要 な 「気 づ き」 「知 識 」 「ス キ ル 」 の3つ の 側 面 を も っ た ス ト ラ テ ジ ー を 基 盤 と し て い る 。Pedersen(1989)に よ る 各 ス ト ラ テ ジ ー の 解 釈 は 以 下 の と お り で あ る。 ま ず 「気 づ き」 と は,内 在 化 さ れ た 思 考 や 態 度,価 値 に 気 づ く こ と で あ り,異 文 化 接 触 に は不 可 欠 な もの で あ る。 気 づ き に よ っ て 文 化 的 文 脈 に お け る 見 解 の 関 係 づ け, 意 味 づ け,置 き 換 え が 可 能 と な り,そ れ が 強 制 や 圧 迫,拘 束 や 制 約 と い っ た 負 の 意 味 な の か,あ る い は機 会 や 好 機 と い っ た 正 の 意 味 な の か を 識 別 す る こ と が で き る。 そ し て,様 々 な 事 象 に 対 し て 自 ら の 限 界 を 正 確 に 判 断 す る こ と が で き る。 次 に,多 文 化 的 状 況 に お け る 「知 識 」 と は,そ の 正 確 な 知 識 に よ っ て 気 づ き を 越 え た 効 果 的 で 適 切 な 行 動 を 起 こ す こ と を 可 能 に す る 。 適 切 な 知 識

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は 行 動 を 仮 定 した り想 定 した り す る こ と の 基 盤 と な り,文 化 の 異 な る人 々 の 見 解 か ら,そ の 文 化 の 理 解 や 解 釈 を 可 能 に す る。 ま た,そ の 人 々 の 地 域 や 国 の 文 化 を 知 る こ と も可 能 に す る 。 適 切 な 知 識 が あ れ ば,そ の 知 識 に ア ク セ ス す る こ と で 思 考 や 行 動 を 方 向 づ け る こ と が で き る か らで あ る 。 最 後 に 「ス キ ル 」 と は,多 文 化 的 な 状 況 下 で 効 果 的 な 行 動 に 向 け た,気 づ き の 構 築 と知 識 を 適 応 した り 応 用 した り す る ス ト ラ テ ジ ー で あ る。 異 文 化 の 人 々 を 観 察 し,行 動 を 理 解 し,自 ら が 実 際 に 行 動 す る こ と で 相 互 作 用 を 可 能 す る と い う も の で あ る 。Sueetal.(1982)とSueetal. (1992)は,上 記 の3つ の ス ト ラ テ ジ ー をMulticulturalCounselingCompetence(MCC)に 必 要 な3領 域 と して 捉 え て い る。 そ して,Sodowsky,Taffe,Gutkin,&Wise,(1994)は,Sueet al.(1982),Sueetal.(1992)の 提 唱 し た コ ン ピ テ ン ス の 枠 組 み か ら 「多 文 化 間 カ ウ ン セ リ ン グ 尺 度(theMulticulturalCounselingInventory:MCI)」 の 開 発 を 行 っ て い る 。Sodowsky etal.(1994)に よ って 展 開 さ れ た 各 コ ン ピ テ ン ス の 概 要 は 以 下 の よ う に 解 釈 で き る 。 ま ず 「気 づ き 」 は,自 文 化 が 相 手 に 与 え る影 響 に つ い て の 認 識,対 人 関 係 に お け る 行 動 様 式 の 文 化 的 特 徴 の 認 識,ホ ス ト社 会 ・自 国 の 社 会 経 済 的 地 位 の 影 響 の 認 識,異 文 化 の 視 点 か ら 自 文 化 を 知 覚 す る こ と,異 文 化 に 対 す る ス テ レ オ タ イ プ と 差 別 に 対 す る 負 の 影 響 の 認 識 か ら構 成 さ れ て い る 。 ま た, 「知 識 」 に よ っ て,異 文 化 を 正 し く理 解 す る こ と で 文 化 的 ス ト レ ス を 軽 減 さ せ る こ と が で き る 。 そ して 「ス キ ル 」 は,文 化 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 違 い の 理 解 と有 効 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン へ の 工 夫,異 文 化 に 対 す る慎 重 な 係 わ り合 い と行 動 へ の 努 力,自 分 の 言 動 が 異 文 化 に 対 す る 偏 見 に な っ て い な い か 省 み る,言 葉 が 通 じな い こ と に 対 す る 寛 容 さ,と い う内 容 か ら構 成 さ れ て い る 。 日 本 社 会 に お い て も既 に 立 ち 現 れ つ つ あ る 多 文 化 状 況 へ 対 応 す る に 当 た り,こ のMCと い う概 念 は,非 常 に 重 要 な も の で あ る と考 え ら れ る。 コ ン ピ テ ン ス は,具 体 的 な 行 動 を 生 み 出 す 機 能 を も っ て い る(菊 池 ・堀 毛,1995)。 そ して,人 は 積 極 的 に 環 境 に 働 き か け る こ と で コ ン ピ テ ン ス を 獲 得 し,コ ン ピ テ ン ス を 高 め よ う と 動 機 づ け ら れ る(桜 井,2004)。 す な わ ち,多 文 化 状 況 に お け る コ ン ピ テ ン ス を 持 つ こ と は,異 文 化 と い う環 境 に 能 動 的 に 働 き か け た り,多 文 化 状 況 に よ る 諸 問 題 に 対 処 しよ う と す る能 力 や 動 機 づ け を 高 め た り,多 文 化 共 生 社 会 の 実 現 に 大 き く寄 与 し た り す る だ ろ う。 そ して,そ の よ う な 重 要 な 働 き を も つ 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス を 測 定 す る 心 理 学 的 尺 度 を 開 発 す る こ と は,行 政 や 企 業 の 該 当 部 署 の 職 員 を は じ め,一 般 住 民 に 至 る 人 々 の 多 文 化 状 況 へ の 対 応 力 を 評 価 す る た め に も必 要 な こ と で あ る と考 え ら れ る。 以 上 よ り,本 研 究 は,留 学 生 の 異 文 化 適 応 に 寄 与 す る ソ ー シ ャ ル ス キ ル に 関 す る研 究,お よ び, 米 国 に お け る カ ウ ン セ ラ ー を 対 象 と し た 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス に 関 す る 研 究 を も と に,現 状 の 日 本 社 会 に お い て 必 要 と さ れ る 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス に 関 す る心 理 学 的 尺 度 を 作 成 す る こ と を 目 的 と す る 。 尺 度 化 に あ た っ て は,Pedersen(1989),Sue  te al.(1982),Sue  te al.(1992), Sodowsky  et al.(1994)に よ っ て 提 唱,展 開 さ れ た 「気 づ き」 「知 識 」 「ス キ ル 」 の3つ の 領 域 が 日 本 人 住 民 の 対 応,つ ま り,「 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 」 の 背 景 に あ る と位 置 づ け,具 体 的 な 対

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応 内 容 を検 討 す る。 そ して対 応 内容 を項 目化 し,尺 度 の作 成 を行 な う こ と とす る。 本 稿 は,尺 度

作 成 の た め の 予 備 調 査 の結 果 を報 告 す る もの で あ る。

大 学生 を対 象 に,多 文化 間 コ ン ピテ ンス を尋 ね る質 問紙 調 査 を実 施 した。 質 問紙 は,多 文 化 間

コ ンピテ ンス とデ モ グ ラ フ ィ ッ ク項 目の他 に,海 外 滞 在 経 験 と外 国人 との交 流 経 験 の有 無,海 外

志 向 の 有 無 を 尋 ね る項 目で あ った。 質 問項 目が 多 い た め,調 査 協 力 者 の 回答 時 間 へ の負 担 を配 慮

し,2種

類 の質 問紙(以

下,調 査A・ 調 査Bと す る)を 作 成 した。 そ の後,各

調 査 の 分 析 結 果 に

基 づ い て 各 項 目を 採 否 し,本 調 査 に使 用 す る項 目 と して統 合 を行 った。

質 問紙 の 構 成

質 問紙 は,調 査A・ 調 査Bと

もに以 下 の項 目か ら構 成 さ れ て い た。

多 文 化 問 コ ン ピテ ンス尺 度

多文 化 が共 存 す る社 会 に お い て,異 文 化 ま た は,外 国人 住 民 に

対 す る対 応 の程 度 を 測 定 す る項 目で,本 研 究 で独 自に作 成 した。 項 目化 の方 法 と項 目 の選 定 に つ

い て 次 に 示 す。 項 目の作 成 に 当 た って は,先 ず,高 濱 ・田 中(2010),奥

西 ・田中(2007),田

(1996,1997)の

日本 人 大 学 生 対 象 と した異 文 化 間 の ソー シ ャル ス キ ル や異 文 化 理 解 に関 す る分

析,報 告 内 容 を 質 問項 目化 した。 ま た,高 井(1994)の

日本 人 学 生 の留 学 生 に対 す る 「

道 具 的 な

ソ ー シ ャル サ ポ ー ト」,田 中 ・藤 原(1992)の

在 日留 学 生 が 抱 え る対 人 行 動 上 の 困 難 に関 す る分

析 内 容 を 質 問 項 目に変 換 し,約300項

目を 作 成 した。 次 に,作 成 過 程 で語 彙,表

現 が 重 複 した項

目を 削 除 し,約200項

目 を残 した。 そ して,200項

目 に対 してKJ法 を 用 い て カ テ ゴ リ化 を 行 った 。

そ の 後,カ テ ゴ リ内 で 質 問 内容 の具 体 性 と抽 象 性 の観 点 か ら,縮 約 ・圧 縮 と展 開 ・復 元(佐 藤,

2008)の

過 程 を繰 り返 しな が ら項 目 を取 捨 選 択 し,6カ

テ ゴ リ100項 目 を得 た。 各 カ テ ゴ リ内 の

項 目内 容 は,概 ね以 下 の よ う な性 質 を も って い た 。1.遠

慮 や 謙 遜 をせ ず,率

直 に話 す 等,相 手

文 化 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン ス タ イ ル に合 わ せ る性 質,2.好

感 を もた れ るよ うに 明 る く接 す る,

身 振 り手 振 りな ど で気 持 ちを 伝 え る等,文 化 一 般 の 対 人 関 係 の構 築 に 関 す る要 領,3.緊

張 しな

い よ うに 落 ち 着 く,外 国人 を避 け よ う と しな い等,言 葉 の壁 に こだ わ らず に コ ミュニ ケ ー シ ョ ン

を 図 る こ と を試 み る性 質,4.異

文 化,及

び,自 文 化 に対 す る積 極 的 な 関与 を意 味 す る多 文 化 共

生 社 会 へ の動 機 付 けの 高 さを 表 した性 質,5.異

文 化 に関 す る知 識 や 意 識 ・気 づ き に関 す る性 質,

6.日 本 文 化 的 行 動 様 式 を異 文 化 の人 々 に伝 え る と い う性 質 で あ っ た。 表1は,カ

テ ゴ リご とに そ

の 項 目の一 部 を 示 した もの で あ る。

上 記 の 過程 を 経 て作 成 され た項 目は,100項

目 と数 が 多 い た め,調 査 対 象 者 へ の 負 担 を 考 慮 し,

100項 目 の うち68項 目を カ テ ゴ リ内 で便 宜 上AとBと

に ラ ンダ ム に振 り分 け た。AとBと

に振 分 け

られ た。 そ の他 の32項 目 は,共 通 項 目 と してAとBと

に加 え,調 査A・ 調 査Bと した。 したが っ

て,各 調 査 の 多 文 化 間 コ ン ピテ ンス尺 度 は66項 目 とな った。

回 答 に先 立 ち,「 日本 で 生 活 して い る外 国 人 と接 す る と した ら,あ な た は,次 の よ う な行 動 を

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ど れ く ら い 行 な う こ と が で き ま す か 。 ま た は,外 国 人 に 対 し て ど の よ う に 考 え て い ま す か 。」 と 教 示 し た 。 た だ し,「 外 国 人 」 と い う 言 葉 か ら イ メ ー ジ さ れ る 人 種 ・民 族 像 は個 人 に よ っ て 異 な り,そ の こ と が 結 果 に影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が 考 え られ る 。 そ の た め,「 特 定 の 国 を 想 定 し な い 外 国 人 一 般 」 「ア ジ ア 系 外 国 人 」 「欧 米 系 外 国 人 」 「南 米 系 外 国 人 」 の 語 の い ず れ か に 置 き 換 え て 調 査 した 。 回 答 の 形 式 は 「1:全 く 当 て は ま ら な い 」 「2:あ ま り 当 て は ま ら な い 」 「3:ど ち ら で も な い 」 「4:や や 当 て は ま る」 「5:非 常 に 当 て は ま る」 の5件 法 で あ っ た 。 デ モ グ ラ フ ィ ッ ク 項 目 デ モ グ ラ フ ィ ッ ク項 目 は,所 属 学 部 と学 科,性 別,年 齢,留 学 生 か 否 か に つ い て 記 入 を 求 め た 。 海 外 滞 在 経 験 と 外 国 人 と の 交 流 経 験 の 有 無 滞 在 経 験 に つ い て は,「 あ な た は,海 外 に 一 箇 所 に つ き,2週 間 以 上 滞 在 した 経 験 は あ り ま す か 。」 と い う 質 問 に 対 し,「 あ り」 と 回 答 し た 調 査 対 象 者 に は,滞 在 期 間 の 選 択,国 ま た は 地 域 の 記 入,滞 在 期 間 中 に 友 人 に な っ た 外 国 人 の 有 無 に つ い て 回 答 を 求 め た 。 滞 在 期 間 は 「1.2週 間 ∼1ヶ 月 以 内 」 「2.1ヶ 月 以 上 ∼1年 以 上 」 「3. 1年 以 上 ∼2年 以 内 」 「4.そ れ 以 上 」 の4項 目 で あ っ た 。 友 人 に な っ た 外 国 人 の 有 無 に 対 し て 「い る 」 と 回 答 し た 調 査 対 象 者 に は,交 流 の 頻 度 に つ い て 回 答 を 求 め た 。 交 流 の 頻 度 は,実 際 に 会 う こ と 以 外 に も電 話 や メ ー ル 等 も含 ん だ 交 流 に つ い て 「1.よ くす る 」 「2.と き ど き す る 」 「3. あ ま り しな い 」 「4.め っ た に しな い 」 の4項 目 で あ っ た 。

(7)

海 外 志 向 の 有 無 海 外 志 向 は,海 外 に 関 す る こ と へ の 興 味 ・関 心,お よ び,興 味 ・関 心 事 項 に 対 す る 実 際 の 取 り組 み ・行 動 と し た 。 「あ な た は,海 外 に 関 す る こ ろ に 「興 味 や 関 心 が あ り ま す か 。」 と い う質 問 に 対 し,「 あ る」 と 回 答 し た 調 査 対 象 者 に は,そ の 内 容 に つ い て 自 由 記 述 に よ っ て 回 答 を 求 め た 。 ま た,興 味 ・関 心 事 項 へ の 取 り 組 み ・行 動 に つ い て は,「 興 味 や 関 心 事 に 対 し て 何 か に 取 り組 む な ど,行 動 して い る こ と が あ り ま す か 。」 と い う質 問 に 対 し,そ の 内 容 を 自 由 に 記 述 す る よ う に 回 答 を 求 め た 。 調 査 時 期 調 査Aは,2011年9月 か ら12月,調 査Bは2011年10月 か ら2012年1月 で あ っ た 。 手 続 き 調 査Aは,講 義 時 間 の 一 部 を 利 用 し た 集 団 調 査 形 式 で,調 査Bは,集 団 調 査 形 式 と 一 部 個 別 配 布 法 を 併 用 して 実 施 さ れ た。 調 査 は 講 義 担 当 者 と筆 者 の 依 頼,あ る い は,筆 者 の 依 頼 を 承 諾 した 講 義 担 当 者 に よ っ て 回 答 が 求 め ら れ た 。 い ず れ も,調 査 前 に 文 書 に よ る 依 頼,お よ び 開 始 時 の 文 書 と 口 頭 に よ る説 明 合 意 を 得 て い る。 質 問 項 目 は,多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス,デ モ グ ラ フ ィ ッ ク 項 目,海 外 滞 在 経 験 と外 国 人 と の 交 流 経 験 の 有 無,海 外 志 向 の 順 で 配 置 さ れ た 。 回 答 は 全 て 無 記 名 で 行 わ れ た 。 実 施 時 間 は,10∼15分 で あ っ た 。 調 査 対 象 者 調 査 対 象 者 は,調 査A・ 調 査Bと も にA県 内 の 大 学 に 通 う大 学 生 で あ る 。 調 査 Aの 調 査 対 象 者 は,243人 で あ っ た 。 う ち,有 効 回 答 数231人(95%)で あ り,男 性46人(20%), 女 性185人(80%),年 齢18∼25歳,M=19.6(SD=1.2)あ っ た 。 同 様 に,調 査Bの 調 査 対 象 者 は,177人 で あ っ た 。 有 効 回 答 数174人(98%)で あ り,男 性12人(7%),女 性162人(93%),年 齢 18∼23歳,M=20.0(SD=.76)で あ っ た 。 な お,本 研 究 の 目 的 か ら デ モ グ ラ フ ィ ッ ク に て 留 学 生 と 回 答 を した 対 象 者 は有 効 回 答 数 に 含 ま れ て い な い 。 結 果 調 査A・ 調 査Bの 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 尺 度 項 目 に 対 し て,性 別 のt検 定,外 国 人 カ テ ゴ リに 対 す る 分 散 分 析,因 子 分 析 を 行 っ た 結 果,お よ び,海 外 に 関 す る経 験 や 志 向 と の 関 連 を 分 析 し た 結 果 を 以 下 に 示 す 。 性 差 に み る コ ン ピ テ ン ス ま ず,調 査A・ 調 査Bの 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス の 全 項 目 に 対 して, コ ン ピテ ン ス の 項 目得 点 を 算 出 し た 。 「1:全 く 当 て は ま ら な い 」 を1点,「2:あ ま り 当 て は ま ら な い 」 を2点,「3:ど ち ら で も な い 」 を3点,「4:や や あ て は ま る」 を4点,「5:非 常 に 当 て は ま る」 を5点 と し,項 目得 点 と し た 。 表2・ 表3は,調 査A・ 調 査Bに お け る 各 項 目 得 点 の 平 均, 標 準 偏 差 を 示 し た も の で あ る 。t検 定 の 結 果,調 査A・ 調 査Bの 各 項 目 の 項 目得 点 に お い て,性 別 に よ る 有 意 差 が 認 め ら れ た 項 目 が あ っ た 。 表2・ 表3に 示 さ れ て い る よ う に,項 目得 点 に お い て 男 女 間 に 有 意 差 が み ら れ た 項 目 は,各 調 査 に お い て 以 下 の19項 目 で あ っ た 。 「笑 顔 で 接 す る 」[調 査A]:薮228)=-2.24,p〈.05,「 日 本 人 が こ と ば で は っ き り言 わ な い と き は,表 情 な ど を よ く見 て 日本 人 の 気 持 ち を 判 断 す る こ と を

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表2全

体 お よ び性 別 の 多 文化 間 コ ン ピテ ンス項 目得 点 の平 均 と標 準 偏 差(調 査A)

教 え る 」[調 査B]:t(172)-2.83,p<.01,「 伝 え た い こ と を 自 信 を も っ て 相 手 に 言 う 」[A]: 薮229)-2.13,p<.05,「 何 を 話 し た ら い い の か わ か ら な い こ と を 正 直 に 伝 え る 」[B]: 底172)=-3.35,p<,01,「 日 本 人 に 合 わ せ た 行 動 を し た 方 が よ い 場 合 が あ る こ と を ア ドバ イ ス す る 」[A]:底229)=2.06, 一ρ<.005,「 相 手 の 国 の 文 化 や 習 慣,人 間 関 係 の マ ナ ー に つ い て の 知 識 を 積 極 的 に 得 る 」[A]:t(228)=-2.65,p<.01,「 ジ ェ ス チ ャ ー を ま じ え て 伝 え た り,聞 い た り す る 」[A]:底227)=-1.99, ρ<.05,「 外 国 人 が 生 活 習 慣 の 違 い で 困 っ て い る と き は 説 明 す る 」[A]:底229)=-2.20, 一ρ<.05,「 ア イ コ ン タ ク ト を 多 く と る 」[A]:底229)=-2.71,

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p<.01,「 日 本 の 社 会 や 文 化,習 慣 に つ い て 進 ん で 話 す 」[A]:t(229)-2.10,p<.05,「 外 国 人 に は 遠 慮 し な い で 応 じ る 」[A]:薮228)-2.45,p<.05,「 外 国 人 が 理 解 で き る よ う に 普 段 の 自 分 の 話 し方 の ス ピ ー ドを か え る 」[A]:底229)=-2.14,p<.05,「 『す み ま せ ん 』 が 適 切 に 使 え る よ う に 教 え る 」[B]:底172)=-3.68, ρ<.001,「 集 団 の 意 見 を 取 り 入 れ た 方 が よ い こ と を ア ドバ イ ス す る 」[A]:底227)=-2.03,p<.05,「 親 し み や す い 雰 囲 気 で 接 す る 」[A]: 底228)=-2.18,p〈.05,「 好 感 を 得 る よ う な 態 度 で 接 す る 」[B]:t228)=-2,56,p<.05, 「『遠 慮 』 す る こ と は,相 手 へ の 思 い や り や 配 慮 で あ る こ と を 教 え る 」[B]:底172)=-2.00,

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一ρ<.05,「 明 る く振 舞 う」[A]:底229)=-2.75,p<.01,「 違 う文 化 や 習 慣 な ど を もつ 外 国 人 に は,自 分 の 意 見 を は っ き り 言 わ な い と誤 解 が 生 じ る 」[B]:薮172)=-2.59, 一ρ<.05,「 相 手 の 話 しを 進 ん で 聞 き た い 気 持 ち を 表 す 」[A]:底229)=-3.89, 一ρ<.001,「 積 極 的 な 気 持 ち が 伝 わ る よ う に 努 力 す る 」[A]:底228)=-2.08, 一ρ<.05で あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら総 合 的 に は,女 性 の 得 点 が 高 い 傾 向 が み られ た 。 特 に,KJ法 に よ る 分 類 の 段 階 に お い て,文 化 一 般 の 対 人 関 係 の 構 築 に 関 す る要 領 に カ テ ゴ リ化 さ れ た 項 目 に つ い て 男 性 よ り高 い 得 点 を 示 す 結 果 と な っ た 。 外 国 人 カ テ ゴ リに み る コ ン ピ テ ン ス コ ン ピ テ ン ス の 項 目得 点 が,想 定 さ れ る 外 国 人 の カ テ ゴ リ間 で 差 が あ る か を 検 証 す る た め,項 目得 点 を 従 属 変 数,外 国 人 の4カ テ ゴ リを 独 立 変 数 と し た 一 元 配 置 の 分 散 分 析 を 行 っ た 。 表4・ 表5に カ テ ゴ リ ご と の 項 目得 点 の 平 均 値 と標 準 偏 差,お よ び,分 散 分 析 の 結 果 を 示 す 。 分 散 分 析 の 結 果,カ テ ゴ リ条 件 に よ る 有 意 差 が み ら れ た 項 目 が あ っ た 。 多 重 比 較(Sidak法,5%水 準)を 行 な っ た と こ ろ,カ テ ゴ リ間 で 有 意 差 が み ら れ た 項 目 が あ っ た 。 表4・ 表5に 示 さ れ て い る よ う に,各 調 査 に お い て カ テ ゴ リ間 に 有 意 差 が み ら れ た 項 目 は,以 下 の30項 目 で あ っ た 。 「外 国 人 と の 間 に 疑 問 や 納 得 で き な い こ と が あ っ た と き は,納 得 で き る ま で き ち ん と 話 し合 う」[調 査A]:F(3,230)=2.83,p<.05,「 相 手 を 不 快 に さ せ な い よ う に 明 る く接 す る」[調 査B]:F(3,170)=5.19,p<.01,「 自 分 の こ と ば の ハ ン デ ィ を 伝 え る よ う に す る 」 [B]:F(3,169)=5.90,p〈.001,「 相 手 の 国 の 言 葉 を あ い さ つ 程 度 で も お ぼ え て た と え 下 手 で も 声 を か け る 」[B]:F(3,170)=3.08,p〈.05,「 相 手 や 相 手 の 文 化 に 対 す る寛 容 さ や 思 い や り を も つ こ と は,自 分 自 身 の 人 間 的 な 成 長 に な る 」[B]:F(3,170)=3.07,p<.05,「 も の お じ し な い で 自分 か ら話 し か け て み る 」[B]:F(3,170)=5.83,p<.001,「 相 手 に こ こ ろ を 開 い て も ら う た め に は,ま ず,自 分 の こ こ ろ を 開 い た り,話 し か け た り す る 」[B]:F(3,170)-4.72, p<.01,「 文 化 や 習 慣,考 え 方 は 国 に よ っ て 大 き く違 う」[B]:-F(3,170)-3.00,p<.05,「 日本 の 生 活 に 慣 れ て い な い よ う だ っ た ら,近 所 を 案 内 した り,買 い 物 な ど に 付 き 合 っ た りす る」[A]: -F(3,229)-3.09,p<.05,「 閉 鎖 的 に な ら な い で 思 っ た こ と や 自 分 の 気 持 ち を 素 直 に 相 手 に 伝 え て,相 手 の こ と も よ く 聞 く」[A]:F(3,230)-3.95,p<.01,「 相 手 の 文 化 を 理 解 し よ う と す る オ ー プ ン な 姿 勢 を も つ 」[B]:-F(3,170)-7.96,p<.001,「 相 手 の 国 の 文 化 や 習 慣,人 間 関 係 の マ ナ ー に つ い て の 知 識 を 積 極 的 に 得 る[A]:F(3,229)-6.56,p<.001,[B]:F(3,169)-3.53,p<.05,「 日本 の 文 化 を 再 確 認 す る た め に,相 手 の 文 化 や 習 慣 に つ い て 積 極 的 に 知 識 を 得 よ う と す る 」[A]:F(3,230)=3,78,p<,05,[B]:-F(3,169)=4.70, 一ρ<.01,「 外 国 人 に は, 自 分 の 気 持 ち を 気 後 れ せ ず に 堂 々 と 伝 え る こ と を 心 が け る 」[B]:F(3,170)=4.26, 一ρ<.01, 「日 本 の マ ナ ー と し て,人 と の 約 束 は 守 ら な け れ ば な ら な い こ と を 教 え る 」[B]:F(3,170)= 2.97,p<,05,「 外 国 人 が 生 活 習 慣 の 違 い で 困 っ て い る と き は 説 明 す る 」[B]:F(3,170)=3,43, 一ρ<.05,「 ア イ コ ン タ ク トを 多 く と る 」[B]:-F(3,170)=4.94,p<.01,「 日 本 の 社 会 や 文 化,習

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慣 に つ い て 進 ん で 話 す 」[A]:-F(3,230)-3.26,p<.05,「 『謙 遜 』 し た 方 が 好 意 的 に 受 け 入 れ ら れ る 場 合 が あ る こ と を ア ドバ イ ス す る」[B]:F(3,170)-3.00,p<.05,「 お 互 い に は っ き り と 気 持 ち を 述 べ た り,打 ち 明 け た り す る」[B]:F(3,170)=2.70,p<,05,「 話 が 膨 らむ 内 容 を 選 ん で 伝 え る 」[B]:F(3,170)=2.69,p<.05,「 相 手 の 文 化 と 自 分(日 本)の 文 化 に 摩 擦 が 起 こ らな い よ う に 潤 滑 油 の よ う な 存 在 に な る」[B]:F(3,170)=4,33,p<.01,「 自 分 の 楽 し い 気 持 ち が 相 手 に 伝 わ る よ う に す る 」[B]:F(3,169)=4,18,p〈.01,「 話 の き っ か け を み つ け る 」 [B]:F(3,170)=3,39,p<.05,「 外 国 人 に 対 す る 固 定 観 念(思 い 込 み)を 柔 軟 に か え る 」[A]:

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一F(3,229)-2.85,p<.05,「 集 団 の 意 見 を 取 り 入 れ た 方 が よ い こ と を ア ドバ イ ス す る 」[B]: -F(3,169)-6.16,p<.001,「 『遠 慮 』 す る こ と は,相 手 へ の 思 い や り や 配 慮 で あ る こ と を 教 え る 」[B]:F(3,170)=3,24,p<.01,「 さ さ い な こ と で も よ く 話 し 合 っ て お 互 い を 知 る 」[B]: F(3,170)=5,23,p<.01,「 相 手 の 話 し を 進 ん で 聞 き た い 気 持 ち を 表 す 」[A]:F(3,229)= 4.10, 一ρ<.01,[B]:-F(3,170)=2.89,p<.05,「 相 手 に 興 味 を も っ て も ら え る よ う な 態 度 で 聞 く 」[B]:F(3,170)=3,40,p<.05で あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 総 合 的 に は,外 国 人 一 般 カ テ ゴ リ,も し く は 欧 米 系 外 国 人 に 対 し て,南 米 系 外 国 人 を 想 定 し た 場 合 の 項 目 得 点 がKJ法 に よ る カ

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テ ゴ リ全 般 の 項 目に亘 って 低 くな る傾 向 が示 さ れ た。

多 文 化 間 コ ン ピテ ンス の 構 造

調 査A・ 調 査Bの 多 文 化 間 コ ン ピテ ンス尺 度 に対 して 因 子 分

析 を 行 な うに あ た り,天 井 効 果 が 生 じて い る と判 断 さ れ た項 目 と項 目得 点 の平 均 値 が4.0以 上 で

分 布 に 偏 りが あ る と見 られ る項 目を事 前 に分 析 対 象 か ら除 い た。

調 査Aで は,56項

目 に対 して主 因子 法 ・プ ロマ ッ ク ス回 転 に よ る因 子 分 析 を行 った。 因 子 寄 与

の 変 動 状 態 と因子 の 解 釈 可 能 性 か ら,3因

子 構 造 が 妥 当 で あ る と判 断 した。 そ して,.40未 満 の

十分 な負 荷量 が示 され な か った15項 目を除 き,残 りの41項 目 に対 して,再 度,主 因子 法 ・プ ロマ ッ

クス 回転 に よ る因 子分 析 を行 った。 プ ロマ ッ クス 回転 後 の 因子 負 荷 量 行 列 を表6に 示 す。

第1因 子 は 「22.遠 慮 を しな い で積 極 的 に話 しか け て み る」 「13.余 裕 を も って 相 手 に接 す る」

「7.外 国 人 同士 の仲 間 や グ ル ー プ に対 して親 し く話 しか け る」 「23.相 手 の様 子 を うか が うの で

はな く,じ ぶ ん か ら心 の壁 を取 り除 く」 「1.こ わが らず に積 極 的 に コ ミュニ ケ ー シ ョンを はか る」

を は じめ とす る13項 目か ら構 成 さ れ て い た。 この 因子 は,相 手 と相 手 文 化 に対 す る距 離 を縮 め て

関 わ り合 い が 持 て る こ と,対 人 関係 に お い て良 好 な 関係 の構 築 を可 能 に す る 内容 を反 映 して い る

と解 釈 で き る項 目か ら構 成 され て い た。 した が って,第1因

子 は 「

積 極 的 な コ ミュニ ケ ー シ ョ ン

に よ る関 与 」 と命 名 した 。 第II因 子 は 「45.『謙 遜 』 した 方 が 好 意 的 に受 け入 れ られ る場 合 が あ

る こ とを ア ドバ イ ス す る」 「46.断 る と き は相 手 を傷 つ けな い よ うに,は

っ き り と言 わ な い方 が

よ い 場 合 が あ る こ とを教 え る」 「51.日 本 の習 慣 と して,周

りの人 に従 わ な い と浮 いて しま う こ

とを ア ドバ イ ス す る」 「60.『遠慮 』 す る こ とは,相 手 へ の思 い や りや配 慮 で あ る こ とを教 え る」

「25.日 本 人 に合 わせ た行 動 を した方 が よ い場 合 が あ る こ と を ア ドバ イ スす る」 を は じめ とす る1

1項 目 か ら構 成 され て い た。 この 因 子 は,日 本 文 化 下 で 無 自覚 的 に獲 得 さ れ た待 遇 行 動 に気 づ い

て い て,そ れ を 外 国人 に相 手 に伝 え る こ とに よ って相 互 作 用 を もた らす こ とを可 能 に す る と解 釈

で き る項 目か ら構成 され て い た。 した が って,第

Ⅱ因子 は 「日本 文 化 ・習 慣 の手 引 き」 と命 名 し

た 。 第 Ⅷ 因 子 は 「64.相 手 の話 しを進 ん で 聞 きた い気 持 ち を表 す」 「31.相 手 の 国 の 文 化 や 習 慣,

人 間 関 係 の マ ナ ー に つ い て の 知 識 を積 極 的 に得 る」 「32.日 本 の 文 化 を再 確 認 す るた め に,相 手

の 文 化 や 習 慣 につ い て積 極 的 に知 識 を得 よ う とす る」 「63.違 う文 化 や習 慣 な どを もつ 外 国 人 に

は,自 分 の意 見 を は っ き り言 わ な い と誤 解 が生 じる」 「43.言 い た い こ とは丁 寧 に主 張 す る」 を

は じめ とす る16項 目か ら構 成 され て い た。 この 因子 は,自 文 化 と異 文 化 との差 異 を客 観 的 に捉 え

る こ とが可 能 で,そ の知 識 や認 識 に従 った行 動 が で き る こ と,異 文 化 の人 々 との人 間 関係 を維 持

す るた め の誠 実 さを備 え て い る と解 釈 で き る項 目か ら構 成 さ れ て い た。 した が って,第 皿 因子 は

異 文 化 へ の 共 感 的 理 解 」 と命 名 した 。 各 因 子 の信 頼 性 を 確 認 す る た め,因 子 ご と に信 頼 性 係 数

を 算 出 した と こ ろ,第1因

子 で は α=.905,第

Ⅱ因 子 で は α=.904,第

皿因 子 で は α=.886で あ

る こ とが 示 され た。

調 査Bの 項 目に対 して も,調 査Aと 同 様 の分 析 を お こな った 。 まず,天 井 効 果 お よ び,分 布 に

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偏 り が あ る と 判 断 さ れ た18項 目 を 除 外 した48項 目 に 対 して 主 因 子 法 ・プ ロ マ ッ ク ス 回 転 を 行 っ た 。 続 い て,.40未 満 の 十 分 な 負 荷 量 が 示 さ れ な か っ た 項 目 と 複 数 の 因 子 に ま た が っ て 高 い 負 荷 量 を 示 して い た13項 目 を 除 き,残 り の35項 目 に 対 し て,再 度,主 因 子 法 ・プ ロ マ ッ ク ス 回 転 に よ る 因 子 分 析 を 行 っ た 。 調 査Bの 項 目 に お け る 因 子 負 荷 量 行 列 を 表7に 示 す 。 結 果 的 に,調 査Bで も調 査Aと 同 様 の 解 釈 が 可 能 な3因 子(「 積 極 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に よ る 関 与 」10項 目,「 日本 文 化 ・習 慣 の 手 引 き」13項 目,「 異 文 化 へ の 共 感 的 理 解 」10項 目)が 見 ら れ る と解 釈 さ れ た 。 各 因 子 の 信 頼 性 係 数 は,そ れ ぞ れ α=.919,.873,.835で あ っ た 。 コ ン ピ テ ン ス と海 外 志 向 と の 関 連 多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス と海 外 滞 在 経 験,外 国 人 と の 交 流 経 験,海 外 へ の 興 味 と の 関 連 を 検 証 す る た め に,κ2検 定 を 行 っ た 。 ま ず,調 査A・ 調 査Bの 項 目 得 点 の 合 計 得 点 と平 均 値 を 算 出 し,平 均 値 を 境 に 各 調 査 対 象 者 を コ ン ピ テ ン ス 得 点 「低 群 」 と 「高 群 」 の2群 に 分 け た 。 表8は,各 群 に お け る 海 外 志 向 項 目 の 観 測 結 果 を 集 計 し た も の で あ る 。 表8に 示 さ れ て い る よ う に,調 査Aで は,コ ン ピ テ ン ス 得 点 群 と 外 国 人 と の 交 流 経 験 の 人 数 の 偏 り に 有 意 差 が 認 め ら れ た(κ2(1)=6.07,p<.05)。 そ こで,残 差 分 析 を 行 っ た 結 果,残 差 に 見 ら れ る よ う に,外 国 人 の 友 人 と の 交 流 経 験 者 は コ ン ピ テ ン ス が 高 く,経 験 の 無 い 対 象 者 は 低 い と い う結 果 が 得 ら れ た 。 同 様 に 調 査Bで は,外 国 人 と の 交 流 経 験 の 有 無(κ2(1)=7.87,p〈.01) と 併 せ て,海 外 に 関 す る興 味 関 心 と そ の 事 柄 に 対 す る取 り組 み を 行 っ て い る 人 数 の 偏 り に 有 意 差 が 認 め ら れ た(κ2(1)=4.53,p<.05)。 残 差 分 析 を 行 っ た と こ ろ,「 留 学 を し た い と 思 っ て い る 」 等 の 興 味 関 心 の 有 無 に 加 え て,「TOEICの 勉 強 を し て い る 」 「外 国 人 と ボ ラ ン テ ィ ア を し て い る」 等,そ の 関 心 事 に 対 して 実 際 に 行 動 を 起 こ し て い る対 象 者 は,行 動 を 起 こ し て い な い 対 象 者 に 比 べ,コ ン ピ テ ン ス が 高 い と い う結 果 が 得 ら れ た 。 しか し,調 査A・ 調 査Bと も に,海 外 の 滞 在 経 験 の 有 無 に 僅 か に 偏 り の 傾 向 が み ら れ た が,有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 ま た,滞 在 経 験 に お け る 滞 在 期 間,お よ び,友 人 の 有 無 に お け る交 流 の 頻 度 に は,そ れ ぞ れ 有 意 差 は み ら れ な か っ た 。 考 察 と 今 後 の 課 題 本 研 究 で は,多 文 化 間 コ ン ピ テ ン ス 尺 度 を 作 成 す る た め の 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た 。 項 目 数 の 多 さ か ら,調 査 票 は2種 類 作 成 さ れ,そ の ど ち ら の 調 査 に お い て も,ほ ぼ 同 一 の 結 果 が 得 ら れ た 。 ま ず,性 差 に お け る各 コ ン ピ テ ン ス 項 目 に お い て,女 性 の 方 が よ り能 動 的 な 働 き か け,対 応 を 行 な う 傾 向 が 明 ら か と な っ た 。 特 に 通 文 化 的 な 対 人 関 係 の 構 築 に 関 す る項 目 に お い て そ の 傾 向 が 示 さ れ て お り,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 行 な う上 で は,女 性 の 積 極 性 が 示 唆 さ れ て い た 。 下 位 尺 度 の 構 成 に お い て は,第 皿 因 子 で あ る 相 手 文 化 へ の 共 感 と 理 解 に お い て そ の 傾 向 が 顕 著 と な っ て い た 。 次 に,コ ン ピ テ ン ス の 対 象 と して 想 定 さ れ る外 国 人 の カ テ ゴ リに お け る 各 コ ン ピ テ ン ス は,約 半 数 の 項 目 に お い て,カ テ ゴ リ間 に 対 応 の 差 異 が み ら れ た 。 コ ン ピ テ ン ス の ほ ぼ 全 て の 性 質 に 対 し

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て,南 米 系 外 国 人 へ の 消極 性 が表 れ て い た。 一 方 で,特 定 の 出 身地 域 を想 定 しな い場 合 と欧米 系

外 国 人 に対 して は,積 極 性 が 示 さ れ て い た。 これ は,調 査 対 象 者 が大 学 生 で あ った た め,対 象 者

が これ ま で に受 けた英 語 の言 語 教 育 との 関連 が推 測 さ れ る。 同 時 に,英 語 以 外 の言 語 文 化 圏 の外

国 人 に対 して は,よ り強 い異 文化 性 ・異 質 性 が影 響 し,コ ン ピテ ンス の抑 制 が起 こる こ とが示 唆

され て い た。 この 傾 向 は,第1因

子 と第Ⅲ1因子 を構 成 す る下 位 尺 度 に表 もれ て お り,ア ジア お よ

び 南 米 系 外 国 人 に対 す る積 極 的 な コ ミュニ ケ ー シ ョン,お よ び南 米 文 化 へ の共 感 や理 解 は抑 え ら

れ る こ とが 示 され て い た。 ま た,外 国人 の友 人 との接 触 や実 践 的活 動 とい った海 外 志 向 の高 さ と

コ ン ピテ ンス の 高 さに は,予 測 さ れ た 関連 が あ る こ とが 明 らか とな り,尺 度 の基 準 関連 妥 当性 が

示 唆 され た。 最 後 に,因 子 分 析 に お い て は,同 様 の 解 釈 が 可 能 な以 下 の3因 子 を得 た。 「1:積

極 的 な コ ミュニ ケ ー シ ョンに よ る関与 」 「Ⅱ:日 本 文 化 ・習 慣 の 手 引 き」 「Ⅲ:異 文 化 へ の共 感 的

理 解 」 の 各 因 子 構 造 に お い て も同等 性 が 示 され て い た。 特 に第 Ⅱ因子 と第Ⅲ 因子 の下 位 尺 度 は,

両 調 査 に共 通 の 複 数 の項 目に よ って構 成 され て お り,因 子 の普 遍 性 が示 唆 さ れ た。 ま た,信 頼 性

係 数 に お い て も十 分 な値 が得 られ た と考 え る。

本 予 備 調 査 で は,項 目 を作 成 す る際

観 点 の 一 つ と してSodowskyetal.(1994)が

展 開 さ せ

た 多 文 化 間 カ ウ ンセ ラー に求 め られ るMCIを 参 考 と して い た。MCIは,「

気 づ き」 「

知 識 」 「ス キ

ル 」 の3因 子 か ら構成 され て い た。 本 予 備 調 査 で は,こ の異 文 化 接 触 に必 要 な3領 域 を 日本 人 住

民 の 具 体 的 な対 応 を つ くり出 す機 能 を持 つ働 き と して位 置 づ け た。 そ の結 果,本 研 究 で行 な った

因 子 分 析 に お い て,MCIと

の 間 に 以 下 の よ う な 共 通 性 が み られ た。 まず,Sodowskyetal.

(1994)の

「気 づ き」 の解 釈 で あ る 「

対 人 関 係 上 の行 動 様 式 の 文 化 的 特 徴 の認 識 」 や 「

異 文 化 の

視点 か ら自文 化 を知 覚 す る」 につ いて は,調 査A・ 調 査Bの 第 Ⅱ因 子 の 解釈 で あ った外 国 人 に と っ

て 認 知 と行動 が 困 難 だ と思 わ れ る対 人 行 動 の認 識 とそ の ア ドバ イ ス,日 本 社 会 に お い て人 間 関係

を 円滑 に す る行 動 の ア ドバ イ ス に同 質 性 が 表 れ て い た と考 え られ る。 ま た,「 知 識 」 と され る

異 文 化 を正 し く理 解 す る(こ とで 文 化 的 ス トレス を軽 減 させ る こ とが で き る)」 に つ い て は,第

(18)

皿 因 子 の 相 手 と相 手 の 国,社 会,文 化 に 対 す る積 極 的 な 理 解,自 文 化 と異 文 化 と の 差 異 を 客 観 的 に 捉 え て お り,そ の 認 識 に 従 う と い う 解 釈 に 同 質 性 見 ら れ た が 。 さ ら に,「 ス キ ル 」 と さ れ る 「文 化 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 違 い に 対 し て,上 手 く コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が で き る よ う に 工 夫 す る」 「言 葉 が 通 じ な い こ と に 対 して 寛 容 に な れ る 」 に つ い て は,第1因 子 の 相 手 と 相 手 の 国, 社 会,文 化 に 対 す る積 極 的 な 関 わ り合 い,自 文 化 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス タ イ ル を 相 手 文 化 の ス タ イ ル に 合 わ せ よ う と す る,こ と ば の 壁 に と ら わ れ な い 積 極 性 と い う解 釈 に 行 動 面 を カ バ ー す る ス キ ル と の 共 通 点 が 現 れ て い た 。 ま た,本 研 究 は,共 生 社 会 の 統 治 を 求 め ら れ る 自 治 体 や そ の 関 係 団 体 ・支 援 団 体,外 国 人 を 雇 用 す る 企 業 を 含 む 地 域 社 会 の 一 般 の 日本 人 住 民 の 対 応 に 焦 点 を 当 て て い る 。 し た が って,本 予 備 調 査 の 項 目 は,Sodowsky  et al.(1994)に よ る 専 門 性 の 高 い コ ン ピ テ ン ス と は 相 違 が あ る 。 具 体 的 に は,調 査A・ 調 査Bの 第1因 子 に 共 通 し た 特 徴 と し て 表 れ て い た 良 好 な 人 間 関 係 を 開 始,維 持 す る た め の 自 己 呈 示 や 相 手 と の 距 離 を 縮 め る 自 発 性 と い っ た 文 化 に 共 通 す る方 略 の 使 用 で あ る。 さ ら に,第 皿 因 子 の 下 位 尺 度 に は 異 文 化 へ の 動 機 づ け の 高 さ を 反 映 す る 項 目 が 含 ま れ て い た 。 こ の よ う な,対 人 関 係 に お け る通 文 化 的 方 略 と異 文 化 へ の 動 機 づ け は,多 文 化 社 会 に お け る 日本 住 民 の 対 応 と し て 有 用 な コ ン ピ テ ン ス で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 以 上,本 予 備 調 査 に お い て 日 本 人 住 民 の コ ン ピ テ ン ス と し て 定 義 し た 対 応 は,供 給 源 と し て 背 景 に 位 置 づ け た3領 域 か ら,そ れ ぞ れ 分 配 さ れ る か た ち で つ く り 出 さ れ て い た こ と が 示 唆 さ れ た 。 今 後 は,性 差 と 外 国 人 カ テ ゴ リ,及 び 因 子 分 析 に 示 さ れ た 予 備 調 査 の 結 果 を 基 に,本 調 査 に 用 い る 項 目 の 選 定 を 行 っ て い く こ と と す る。 そ の 際,予 備 調 査 で 明 ら か と な っ た 外 国 人 の 出 身 地 域 を 限 定 す る こ と に よ っ て,コ ン ピ テ ンス に 差 が 生 じ た と い う結 果 に 留 意 す る 必 要 が あ る と考 え る 。 な ぜ な ら ば,前 述 の 通 り,予 備 調 査 の 協 力 者 が 大 学 生 と い う性 質 上,想 定 さ れ た コ ン ピ テ ン ス の 対 象 が 外 国 語 教 育,特 に 英 語 教 育 に 関 連 す る一 部 の い わ ゆ る ホ ワ イ トカ ラ ー 職 の 外 国 人 で あ る こ と が 推 測 さ れ る。 しか し,日 本 で ホ ワ イ トカ ラ ー 職 に 就 く外 国 人 の 比 率 は 僅 か で あ る 。 一 方 で, 国 籍 別 の 外 国 人 登 録 者 は,ア ジ ア や 南 米 系 出 身 者 と そ の 家 族 が 大 半 を 占 め,多 く が 製 造 業 で あ る い わ ゆ る ブ ル ー カ ラ ー 職 に 従 事 して い る(稲 垣,2011)。 した が っ て,現 行 の 多 文 化 共 生 社 会 に お い て,行 政 や 企 業,一 般 の 日本 人 住 民 が 対 応 を 求 め ら れ る外 国 人 の 出 身 地 域,外 国 人 が 置 か れ て い る 環 境 等 の 状 況 に 鑑 み て 項 目 の 検 討 を 図 る こ と と す る。 引 用 文 献 Amiot,C.E.,&Sablonniere,R.dela(2010).FacilitatingtheDevelopmentandIntegration ofMultipleSocialIdentities:TheCaseofImmigrantsinQuebec(34‐61)Pickard J.Crisp(Eds.)ThePsychologyofSocialandCulturalDiversity.Wiley‐Blackwell 稲 垣 亮 子(2011).多 文 化 が 共 存 す る 社 会 の 進 行 一 ホ ス ト社 会 に お け る こ こ ろ の 対 応 へ の 検 討 一 人 間 文 化 研 究,16,名 古 屋 市 立 大 学 人 間 文 化 研 究 科103-117.

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参照

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