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大正前期における科学的管理法の流入と商工業学へのインパクト(3)

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大 正 前 期 に お け る科 学 的管 理 法 の流 入 と

商 工 業 学 へ の イ ンパ ク ト(3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 は じめ に 新時代の商工業環境変化 と欧米商工業事情 の紹介 科学的管理法の紹介 と怒濤的流入 以上53巻1号 利潤分配制度の紹介 と賛否両論 工場管理論の生成 産業心理学 ・労働科学的研究 の生成 以上53巻2号 科学的管理法の商業分野への適用 商業経営の革新 ・進展 と商業学の経営学化 お わ りに 以上53巻3号 7.科 学 的 管 理 法 の 商 業 分 野 へ の 適 用 本 来 は工 場 で の 管 理 法 と して 開 発 され た科 学 的 管 理 法 は,や が て,そ の 域 を超 えて 商 業 分 野 に も影 響 を及 ぼ し始 め た。 そ の 点 は,ア メ リカで 辿 っ た経 過 と同様 で あ っ た。 この分 野 での 先頭 に立 った の が井 関 十 二郎'}であ っ た。 早 くも大 正3(1914) 年 に井 関 は 「科 学 的 管 理 法 を小 売 店 に適 用 す る方 法 」 とい う4回 に わ た る連 1)井 関 に つ い て は,既 に 同 タ イ トル で 本誌 連 載 中の拙 稿(1)で くわ し く紹 介 した。 キ ー ワ ー ド:科 学 的 管 理 法,商 業 へ の 適 用,井 関 十 二 郎,商 業 経 営 の 革 新 商 業 学 の 経 営 学 化

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載 論 文 を 『実 業 之 日本 』 誌 に載 せ て い る2>それ に は 「工場 管 理 に成 功 した其 管 理 を小 売 店 に応 用 す る方 法 の 初 め て の 工 夫 」 とい うサ ブ タ イ トル が 付 け られ て お り,井 関 の 並 々 な らぬ 自負 と意 欲 が 感 じ られ る。 彼 は,概 ね 次 の よ う な 諸 点 を指 摘 して い る。 1.ア メ リ カで バ ー トラ ン ド ・ トム ソ ン とい う テ イ ラ ー シス テ ムの 熱 心 な 研 究 者 が,そ れ を小 売 店 に適 用 す る初 め て の 工 夫 に成 功 したが,そ れ は2-3ヶ 月 前 の こ とで あ っ た。 2.科 学 的 管 理 法 は仕 事 の 標 準 を生 命 とす る シス テ ムで あ り,単 に無 益 の 手 数 を省 く方 法 ・始 末 法 とい う こ と とは異 な る。 この 点 は誤 解 の ない よ う に して 貰 い たい 。 3.科 学 的 管 理 法 に は標 準,設 計,訓 練 選 択 な どの 根 本 原 則 が あ るが, と くに標 準 が 大 事 で あ る。 4.ト ム ソ ンはデ パ ー トの 勘 定 分 類 に力 を注 い だが,本 邦 小 売 店 に とって は販 売 が 大 切 なの で,販 売 能 率 増 進 につ い て 述 べ たい 。 5.科 学 的 管 理 法 の 小 売 店 へ の 応 用 は,科 学 的 管 理 法 の5原 則 に従 って, ① 店 員 の 選 択,② 店 員 の 訓 練,③ 仕 事 の 標 準,④ 動 作 の 研 究,⑤ 店 員 へ の 支 給 法 の5原 則 で あ る。 6.販 売 員 が 最 小 の 労 力 と時 問で 最 大 の 販 売 を な しう る ため に は販 売(活 動 の)標 準 が 必 要 で あ り,販 売 員 が そ れ に従 え ば最 高 能 率 を生 む とい う標 準 が な くて は な らない 。 そ れ を 「販 売 の 心 的 七 過 程 」 と して 作 成 し,販 売 員 に は これ に依 ら しめ る よ う にす る こ とが 必 要 で あ る。 7.七 過 程 と は① 紹 介(接 近),② 注 意 ③ 興 味,④ 信 念,⑤ 欲望,⑥ 決 心, ⑦ 注 文 で あ る3)。 8.販 売 標 準 は,工 場 にお け る作 業 表(指 図 表)に 相 当 す る。 2)井 関 十 二 郎 「科 学 的 管 理 法 を小 売 店 に 適 用 す る 方 法 」 『実 業 之 日本 』18巻4号 一8 号(大 正4(1915)年)。 3)周 知 の よ うに,こ れ は,今 日AIDMAの 法 則(あ るい はAIDCA,AMTUL,AIDA, AISAS等 々 の 法則)と い われ て い る購 買 者 の購 買心 理 過 程 に着 目 した発想 で あ る。

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3) 33 9.こ れ らをバ ック ア ップす べ く店 員 の 選 択,訓 練(態 度 販 売 語,商 品 知 識,暗 示 の 利 用 等)等 々が あ る。 10。 最 高 能 率 販 売 法 は商 品 と とも に満 足 を売 り,信 用 の永 続 的価 値 を高 め, 販 売 経 済 の 極 地 を図 らん とす る とこ ろ にあ り,売 っ たあ とは野 となれ 山 とな れ 主 義 とは異 な る。 井 関 は,上 記 の 論 文 を書 い た前 年 には,「 今 日の 顧 客待 遇 法 」 とい う論 文 を 『実業 界 』 誌 に 同誌 主幹 と して 書 い て お り4),「顧 客 は時 と して 自己 の 目的 に適 当 な買 い 物 の 選 択 を誤 って,帰 宅 後 大 に失 望 す る こ とが 少 くない もの であ る」 か ら 「巧 み に且 つ 正 直 に顧 客 を指 導 しな けれ ば な らぬ 」 と し,近 年 欧 米 にお ヒ ュ   マ ン ネ イ チ ュ ア イ ン セ リ ン ク プ ラ ン い て 「商 品 販 売 に於 け る人 性 の 研 究 」 が 盛 ん に な って きた こ とに注 意 を促 し て い る。 これ が 底 流 にあ っ た もの と推 定 され る。 井 関 は これ を皮 切 りに,科 学 的 管 理 法 の 商 業 へ の 適 用 者 と して,す さ ま じ い 勢 い で 著 書 を 出版 して い く。 『商 戦 必 勝 物 言 ふ手 紙 』(大 正3年),『 生 き た広 告 』(大 正3年),『 商 工 繁 栄 現 代 式経 営』(大 正4年),『 新 式 販 売 術 』 (大正4年),『 広 告 の仕 方 』(大 正4年),『 最 新 売 出 案』(大 正4年),『 店 内 と 店 前 」(大 正5年),『 店 頭 装 飾 図案 』(大 正5年)な どで あ っ だ)。 商 業 心 理 的 ア プ ロ ーチ につ い て は,既 に詳 し く述 べ た こ との あ る上 野 陽 一 『人 及 事 業,能 率 之 心 理 』(大 正8(1919)年)が,「 後 編 事 業 の 能 率」 中の 「第五 章消 費者 の心 理(第 一節 消 費者心理研究の必要/第 二節 商品の模造 につい て/第 三節 類似品の意義及 び心理/第 四節 模造品の検定)」 で取 り上 げ て い る と こ ろで あ る。 依 田 信 太 郎 『学 理 的 商 略 法 販 売 員 と販 売 術 』(大 正5年)6),『 心 理 応 用 4)井 関 十 二 郎 「今 日の顧 客 待 遇 法 」 『実 業 界 』6巻5号,大 正2(1913)年 。 5)「 商 戦 必勝 物 言 ふ 手紙 』 実 務 叢 書発 行 所,大 正3(1914)年:「 生 きた 広告 』 同文 舘 出版,大 正3(1914)年:『 商 工 繁 栄 現 代 式 経 営 』 実 務 叢 書 発 行 所,大 正4 (1915)年:『 新 式販 売術 』 実務 叢書 発 行所,大 正4(1915)年:「 広 告 の仕 方 』 実 務 叢 書 発行 所,大 正4(1915)年:「 最 新 売 出 案』 実 務 叢 書発 行 所 大 正4(1915) 年:「 店 内 と店 前』 実 務 叢 書 発 行所,大 正5(1916)年:「 店頭 装 飾 図 案』 同文 舘, 大正5(1916)年 。 6)依 田信 太 郎 『学 理 的 商 略 法 販 売 員 と販 売術 』 博 文 館,大 正5(1916)年 。

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売 る 法 買 わ せ る 法 』(大 正5年)7),『 繁 盛 実 例 販 売 商 略 』(大 正6年)8)も,科 学 的 管 理 法 の 名 は 挙 げ な い に せ よ,「 近 来 科 学 殊 に 心 理 学 の 非 常 な る発 達 に 連 れ て,販 売 術 も全 く其 面 目 を 一 新 し,所 謂 『学 理 的 販 売 法 』 の 必 要 が 盛 に 唱 へ られ る に 至 っ た 」 と言 い,「 販 売 術 の 如 き 人 情 の 機 微 に 触 れ た 複 雑 微 妙 な 技 術 は,到 底 こ れ を 学 問 的 に 研 究 す る こ と は 出 来 ず,必 ず や 各 人 独 特 の 自 発 的 経 験 に 待 た な け れ ば な ら な い と言 ふ 誤 解 」 が 「今 や 漸 く世 人 の 心 か ら一 掃 さ れ や う とす る 形 勢 」 に あ る とい う 認 識9)を 基 礎 に し て 書 か れ て い る こ と か ら, 科 学 的 管 理 法 の 思 考 の 影 響 は 否 め な い 。338頁 に 渡 る 『学 理 的 商 略 法 販 売 員 と販 売 術 』 の 主 要 内 容 概 略 は 次 の 通 りで あ る 。 1章 総 説1節 販 売 員 の 任 務(商 品 流 通 の 大 連 鎖 者,文 明福 音 の宣 伝 者,販 売 戦 線 の 最 先 鋒 販 売 戦 計 画 の謀 将,満 足 の 販 売 者,商 品 を 活 か す 技 師),2節 販 売 員 の 種 類(内 勤 ・外 勤,卸 売 ・小 売,応 接 ・通 信,商 店 ・工 場),3節 販 売 員 の 資 格(立 派 な人 格,健 全 な常 識 と 身体,自 信 と勇 気,独 創 力 と実 行 力) 2章 販 売 員 の 知 嚢1節 販 売 の 経 済 学(需 要 と供 給,不 景 気,主 観 的 価 イ直 市 価 高 低 の 原 因 と結 果)2節 生 きた 商 品学(商 品知 識 有 望 商 品,商 品 を傷 めぬ 荷 造 法)3節 買 はせ る心 理(顧 客 心 理 注 意 を惹 く,興 味 の 喚 起,欲 望 の 誘 発, 購 買 の 決 心,暗 示 力) 3章 販 売 の 諸 準 備1節 飾 窓 の 装 飾2節 商 品 の 陳 列3節 商 品の 広 告 4章 販 売 員 術 原 理1節 注 意 の喚 起2節 卸 売 販 売 員3節 出 張 販 売 員4節 屋 外 販 売 員5節 通 信 販 売 員1°) 依 田 『繁 盛 実 例 販 売 商 略 』(大 正6年)の ほ う は,店 主 ・店 員 の た め に, 内 外 商 店 で 成 功 し た 販 売 法90余 を 集 め,成 功 要 因 の 熱 心 さ,正 直,親 切,丁 寧,敏 速,気 転,暗 示,新 式 工 夫 の8つ の 柱 を 立 て て 整 理 し た,わ か りや す さ を 身 上 と し た 実 務 書 で あ る 。 秋 山 紅 之 助 『最 高 敷 率 新 商 略 』11)(大 正5年) も,商 業 の 効 率 を 強 調 して,時 代 の 影 響 を 感 じ さ せ る 。 森 永 勝 之 助 「最 新 米 7)依 田信 太 郎 『心 理応 用 売 る 法 買 わ せ る法』 佐 藤 出 版 部,大 正5(1916)年 。 8)依 田信 太 郎 『繁 盛 実 例 販 売 商 略』 佐 藤 出 版 部,大 正6(1917)年 。 9)依 田信 太 郎 『学 理 的 商 略 法 販 売 員 と販 売術 』 自序1-2頁 参 照 。 10)依 田 に は 「心 理応 用 売 る 法 ・買 は せ る 術』 佐 藤 出 版 部,大 正5(1916)年 とい う, 販 売 心 理 に 関 す る類 書 もあ る 。 11)秋 山 紅 之 助 『最 高 敷 率新 商 略』 長 久 社 書 店,大 正5(1916)年 。

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3)35 国 式 荷 造 法 」'2)(大正2年)は,米 国流 の合 理 的荷 造 を紹 介 して い る。 顧 客 に注 目す る思 考 は井 関 十 二 郎 「最 新 巧 妙 の 顧 客 維持 策 」'3)(大正1年), 同 「卸 売小 売 く うぽ ん附 き新販 売法 」'4)(大正3年),濱 田 四 郎 「最 新 に して最 奇 抜 な る 自動 的 割引 売 出 し」'5)(大正4年),濱 田 四郎 「小売 商店 の顧客 吸収 法」'6) (大正4年)な どの論 文 に表 れ て い る。 井 関 十二 郎 の 論 文 は,ア メ リカ ・フ レ モ ン ト市 の シ ュ ル ツ呉 服 店 の 割 引 券 利 用 販 売 法 の 紹 介,ク ーポ ン付 き販 売 の 推 奨 で あ り,濱 田の 論 文 は ボ ス トン市 の フ ァ イ レー ン商 会 のAutomaticBar-gainBasement(地 下 室 で の見切 り売 りだ しに 自動割 引 法 を組 み合 わせ た もの) の 紹 介,顧 客 の 呼 び寄 せ と長 時 間滞 在 を させ る方 法(客 用 休 憩 室,食 堂,写 真 室,店 内 郵 便 局 ・電 信 局,各 種 展 覧 会)に つ い て 米 英 デ パ ー トの 事 例 紹 介 な どで あ る。 い ず れ も,ど う顧 客 を集 め,販 売 能 率 を高 め るか とい う視 点 が 貫 徹 して い る。 広 告 につ い て も科 学 的 管 理 法 の 影 響 が 見 られ た。 依 田 信 太 郎 「科 学 的 管 理 の 立 場 よ り研 究 した る最 新 広 告 法 の 原 理 」'7)(大正2年)は,広 告 の神 髄 を新 習 慣 の 養 成 にあ る と し,① 顧 客 の 注 意 を惹 く,② 商 品 に関 す る伝 説 的 物 語 を 説 く,③ 需 要 者 の 観 察,④ 市 場 形 勢 の 観 察 な どを挙 げ る。 鈴 木 久 藏 「能 率 問 題 と して の現 代広 告法 の 根 本精 神 」'8)(大正4年),同 「最 大 能率 を発 揮 すべ き ビ ジネ スサ イコ ロシ  広 告 法 の 秘 訣 」19)(大 正4年)の2論 文 は,ア メ リ カ の 実 業 心 理 学, ア ドハ タ イシン グ ア ン ド セ リン グ 広 告 販 売 法 の 中 の広 告 心 理研 究 の知 識 の上 に立 って,広 告 の フ ォロ ー ア 12)森 永 勝 之助 「最 新 米 国 式荷 造 法 」 「実 業 界 』6巻2号 一3号,大 正2(1913)年 。 13)井 関 十 二 郎 「最 新巧 妙 の顧 客 維 持 策 」 「実 業 界 』,大 正1(1912)年 。 14)井 関 十 二 郎 「卸 売小 売 く うぼ ん 附 き新販 売 法 」 「実業 界 』9巻4号,大 正3(1914) 年 。 15)濱 田 四 郎 「最 新 に して最 奇抜 な る 自動 的割 引 売 出 し」 『実 業 之 日本 』18巻7号,大 正4(1915)年 。濱 田 は 三越 呉服 店 広 告 部 主 任 の 肩 書 で 紹 介 され て い る。 16)濱 田 四 郎 「小 売 商 店 の顧 客 吸 収 法 」 『実 業 之 日本 』18巻18号,大 正4(1915)年 。 17)依 田信 太 郎 「科 学 的 管 理 の 立 場 よ り研 究 した る 最 新 広 告 法 の 原理 」 『実業 界 』7巻 2号,大 正2(1913)年 。 18)鈴 木 久 藏 「能率 問 題 と して の現 代 広 告法 の根 本 精神 」 『実 業 之 日本 』18巻6号,大 正4(1915)年 。 19)鈴 木 久 藏 「最 大 能 率 を発揮 す べ き広 告法 の秘 訣 」 『実 業 之 日本』18巻8号,大 正4 (1915)年 。

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ップ ・シス テ ム,理 詰 め 広 告 よ り も暗 示 広 告 等 を奨 め,そ れ に よ る広 告 能 率 の 向 上 を説 く。 同 じ年 に 『実 業 之 日本 』 記 者 に よ る 「広 告 能 率 を増 進 す る要 素 の 研 究 」 と題 す る小 文 も見 られ る。 桑 谷 定 逸 「商 工 業 者 が 解 決 を切 望 しつ つ あ る広 告 の 根本 問題 一如何 な る広 告 法 が 最 も効 果 あ るか」2°)(大正1年),長 谷 川 寿 涯 「広 告 に対 す る公 衆 の 心 理 と広 告 者 の 研 究 問題 」21)(大正1年)な ど もあ っ た。 ま た,上 野 陽 一 『人 及 事 業,能 率 之 心理 』(大 正8年)の 「後 編 事 業 の 能 率 」 中で は,第 六 章 広 告 及 び販 売 と人 性 の 研 究(第 一節 広告及 び 販売の能率研 究/第 二節 人間の通性/第 三節 人間の行ふ応答の種類/第 四節 販売 訴求 と二種の応答 との関係/第 五節 広告 の心理 的起源及 び分類),第 七章 注意 と広 告(第 一節 注意 を惹 き起す条件/第 二節 注意の広 さ と広告 との関係/第 三節 注意 を惹 く手段 と しての広告用輪廓/第 四節 広告掲載 の位置 に関する研究),第 八章 記 憶及 び感情 と広告(第 一節 再認の心理 と広告/第 二節 美感 と広告 との関係/第 三節 種種 の形の美/第 四節 広告 の色彩/第 五節 感 情の波 及),第 九 章 動 作 と広 告 (第一節 暗示広告 と説明広告/第 二節 暗示 とは何 ぞや/第 三節 暗示広告の心理的 基礎/第 四節 広告の倫理)と して,広 告 を心理 学 的側 面 か ら深 く掘 りさげ てい る。 以 上 は,実 務 家 や そ れ に近 い 人 達 が 当 時 広 告 能 率 に強 い 関 心 を持 ち は じめ て い た こ とを示 して い るが,研 究 者 の なか で も,こ れ とはや や 視 点 が 異 な る もの の,広 告 研 究 を手 が け る人 が 出て きた。 北 沢 新 次郎 『最 近広 告論 』22)(大 正6年),村 本 福 松 「広 告 費 の 負 担 者 如何 」23)(大正5年)で あ る 。北 沢 は 自著 を 「何 等 の 系 統 的 の 体 を備 へ ず 」 と例 言 で 謙 遜 して い るが,当 時 の 広 告 論 と して は一 番 纏 ま っ た書 で あ っ た と言 え る。 同書 の 内 容 は,1章 広 告 とは 何 ぞ (広 告 の 意 義 機 能,広 告 と心 理 学,術 か 学 か),2章 広 告 の 発 達,3章 広 告 20)桑 谷 定 逸 「商 工 業 者 が解 決 を切 望 しつ つ あ る広 告 の 根 本 問 題 一如 何 な る広 告 法 が 最 も効 果 あ る か 」 「実 業 界』4巻3-4号,大 正1(1912)年 。桑 谷 に は 『実業 界 』 主幹 の 肩書 きが つ い て い る 。 21)津 村 敬 天 堂 広 告 起草 係 の 肩 書 で 紹 介 され て い る 。 22)北 沢 新 次郎 『最 近広 告 論 』 東 京 出版 社,大 正6(1917)年 。北 沢 は早稲 田大 学 教 授 で あ っ た 。 友 愛 会 会 長代 理 も後 に 務 め る こ と と な る。 23)村 本 福 松 「広 告 費 の 負 担 者 如 何 」 『商 業 及 経 済 研 究 』 第2冊,大 正5(1916)年 。 村 本 は 大 阪 高等 商 業 学校 講 師 で あ った 。

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3) 37 機 関選 択 問 題,4章 広 告 の場 所 及 び 時 期,5章 広 告 と商 標,6章 広 告 と色 彩 の 関 係,7章 挿 絵 と標 題8章 広 告 倫 理,9章 広 告 に関 る職 業 な どで あ っ た 。 村 本 の 論 文 は,私 企 業 の 巨 額 広 告 費 が 物 価 を上 げ消 費 者 の 負 担 を強 い る とい う社 会 主 義 者 の 「俗 解 の 非 を正 さ ん」 と して,広 告 費 と物 価,販 売 価 格 との 関 係 を論 じ,こ とは さ ほ ど簡 単 で は ない と批 判 して い る24)。 8.商 業 経 営 の 革 新 ・進 展 と商 業 学 の 経 営 学化 大 正 期 に入 って 欧 米 事 情 が紹 介 され る につ れ て,商 業 ・商 店 の あ り方 で は, 新 しい 特 徴 が 出て き始 め て い た。 当 時 の雑 誌 『新 日本 』(大 正4年)は こ う し た変 化 を紹 介 す る論 文 記 事 を載せ て い る25)。そ こで紹 介 され て い る もの は,① 三 越 呉服 店26)の新規 性(デ パ ー トメ ン ト化,進 歩 的販 売 法,広 告 法,流 行 の傾 向 の 観 察 研 究,店 員 の 欧 米 派 遣,エ ス カ レー タ ー,空 気 圧 搾 送 達 手 段 に よ る 社 内 伝 票 送 付,秘 密 斥 候 に よ る競 争 店 価 格 調 査,メ ー ル オー ダー ビ ジ ネス, メ ッセ ン ジ ャ ー ボ ー イ),② デ パ ー トに対抗 す る新 商 業 形態 の登 場(チ ェ ー ン ス トア(「 トラス ト式小 売 法 」),購 買 組 合 な ど),③ 販 売 現 場(店 頭)の 革 新 に よ る能 率 向 上(座 り売 り→ 陳 列 式 立 ち売 り法,商 品 在 庫 を倉 庫 か ら売 場 棚 に移 す,種 類 分 け陳 列 と抽 出式 棚 の 採 用,呉 服 陳 列 に懸 垂 法 の 採 用,砂 糖 屋 な どで 掬 い 計 量 杓 子 の 他種 類 用 意 客 の注 文 品 を紙 に書 き確 認 な ど),④ 広 告 24)広 告 に 関 す る 著 書,論 文 が 増 えた の も この 時 期 の 特 徴 で あ る。 既 にあ げた もの 以 外 で,著 書 だ け で も次 の よ う に多 い 。 平 岡敬 一 『自由 自在 広 告 法 』 南 北 社,大 正 3(1914)年,中 尾 清 太 郎 「今 日の広 告学 』秋 田書 店,大 正4(1915)年,佐 々木 十 九 『広 告 と販 売』 佐 藤 出 版 部,大 正4(1915)年,堀 田 善 太 郎 『広 告 の 戦 略 』 四 方堂 書 店,大 正4(1915)年,円 城 寺 艮 「実 用 新 聞雑 誌広 告 術 』大 正5(1916)年, 清 水 正 巳 「広 告 カ ッ ト及 広 告 文句 』 佐 藤 出 版 部,大 正5(1916)年,清 水 正 巳 「小 売 商 店 広 告 法』 佐 藤 出版 部,大 正5(1916)年,佐 々木 十 九 『奇 抜 な広 告 で 成 功 した 実 例』 佐藤 出 版 部,大 正6(1917)年,中 川 静 『広 告 術 八 講 』 森 下 博 薬 房, 大正8(1919)年 。 25)山 口孤 剣 「新 時 代 の 商 店 経 営 」 『新 時 代』5巻5号,大 正4(1915)年 。 26)三 井 呉 服 店 か ら営 業 を継 承 して 三 越呉 服 店 が設 立 された の は明治37(1904)年 であ っ た 。 当 時 の 「座 売 り」 を廃 して 陳 列 販 売 に切 り替 え る とい う先 進 的 方 法 を採 用 し,そ の 後 も新 規 な 工 夫 を重 ね て デ パ ー ト化 して 行 く。 取 扱 商 品 を呉 服 以 外 に も 拡 げ,大 正3年 に は新 装 開 店 で エ ス カ レー ター を設 置 して い る 。

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方法の刷新 ⑤店員待遇法の刷新(仕 着せ別家制→通勤給料制→利益分配制) な どで,欧 米 の 事 例 も交 えて 解 説 され て い る。 この よ う な商 業 で の 新 しい 展 開 を反 映 して,商 業 に関 す る論 文 の 傾 向 は, 明 治 期 とは異 な っ た新 しい 論 点 の 様 相 を呈 して くる。 第1は デ パ ー トメ ン トス トア(百 貨 商 店27))に つ い て の 論 文 の 多 出 で あ る 。 円 城 寺 艮 「三 越 の 通 信 販 売 経 営 法 」28)(大 正1年),河 津 逞 「デ パ ー トメ ン トス トア の 経 営 法 」(大 正2年)29),坂 本 陶 一 「マ ー シ ャル フ ヰ ル ド百 貨 商 店 に於 け る デ パ ー トメ ン トの 配 置 と 管 理 」(大 正3年)3°),浜 田 四 郎 「デ パ ー トメ ン トス トー ア 大 観 」(大 正4年),里 見 純 吉 「デ パ ー トメ ン トス トア に 就 い て 」(大 正 6年)3'),松 崎 壽 「百 貨 店 の 本 質 」(大 正8年)32)な ど が あ げ ら れ る 。 河津 逞 は小 売 商業 が 「今 正 に 革命 の時 期 に あ り」(13頁)と し,小 売 商 人 は 生 産 者 と消 費 者 の 双 方 か ら圧 迫 を受 け る よ う に な っ た とい う。 生 産 者 は直 接 消 費 者 に近 づ こ う と し,消 費 者 は消 費 組 合 を設 けて 生 産 者 や 卸 売 商 か ら商 品 を購 入 す る よ う に な りつ つ あ り,い ず れ も小 売 商 排 除 の 方 向 に向 か って い る 27)浜 田 四 郎 に よれ ば,「 百 貨 商 店 」 とい う命 名 は 桑 谷 定 逸(「 実 業 界 』 主 幹)に よ る もの だ っ た よ うで,そ れ まで は 「大 店 舗 制 小 売 商」 「小 売 大 商店 」 な ど と呼 んで い た 。 濱 田 四 郎,「 デ パ ー トメ ン トス トー ア大 観 」 「実 業 之 日本 』8巻15号,大 正4 (1915)年,62頁 参 照 。 なお,明 治 末期 か ら大正 にか けて の老 舗 呉 服 店 を中心 と し た 百 貨 店化 の 動 向 に つ い て は 日本小 売 業 経 営 史編 集委 員 会 編 『日本 小 売業 経 営 史 』 公 開 経 営 指 導協 会,昭 和42(1967)年,72頁 以 下 に 詳 しい既 述 が あ る 。 28)円 城 寺 艮 「三越 の 通 信販 売 経 営 法 」 『実 業 界』4巻6号,大 正1(1912)年 。 29)河 津 逞 「デパ ー トメ ン トス トアの経営 法 」 「国家 学会雑 誌 』27巻11号 大正2(1913) 年 。 河 津 は 当 時 東 京 帝大 法 科 大 学教 授 で,社 会 政策 学 派 系 の経 済学 者 で あ っ たが, 経 済 学 全 般 に つ い て 広 く言 及 して お り,後 に商 業 政 策 の 著 書 も出 して い る。 30)坂 本 陶 一 「マ ー シ ャル フヰ ル ド百 貨 商 店 に 於 け るデ パ ー トメ ン トの 配 置 と管 理 」 「実 業 界 』8巻3号,大 正3(1914)年 。坂 本 の 肩 書 は 商 学 士 と な っ て い る。 な お,坂 本 は 阪 本 と表 記 され て い る 場 合 もあ り(「 最 新 商 業 通 論 』 大 正3年 奥付), い ず れ が 正 しい の か 明確 で な い が,頻 出度 か らす れ ば,坂 本 が正 しい の で あ ろ う。 「最新 商業 通論 』 に つ い て は,後 に あ らた め て 言 及 す る。 31)里 見純 吉 「デ パ ー トメ ン トス トア に就 い て」 『大学 評 論 』1巻4号,大 正6(1917) 年 。 里 見 は 後 に 大 丸2代 目社 長 を務 め た 。 32)松 崎 壽 「百 貨 店 の 本 質 」 「商 業 及経 済 研 究 』14冊 大 正8(1919)年 。松 崎 は大 阪 市 立 高 等 商 業 学校(現 大 阪 市 立 大 学)教 授 で あ った 。 当 初 は商 事 要 項,商 業 史, 商業 政 策,工 業 政 策 等 に 関 心 を示 して い た が,後 にな る と金 融 研 究 に特 化 して い っ た 。

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3)39 とい う。 この よ う な時,小 売 商 の 新 経 営 法 と して 注 目され るの が 「大 仕 掛 経 営 法 」 の 有 利 さ(商 品の仕入れ,資 本の運転,店 舗装飾 ・位置,商 品の種類 その他 顧客の便宜)を 利 用 した デパ ー トメ ン トス トア だ とい う。 河 津 は デパ ー トを2 種 に分 類 し,① 流 行 の 変 遷 を利 用 して 利 益 を上 げ る もの,② 流 行 よ り も大 仕 掛 経 営 を利 用 して 廉 価 販 売 で 利 益 を得 る もの が あ る と し,内 外 デ パ ー トを こ の 二 つ に分 類 して 例 示 して い る。 彼 自身 は 「国 民 経 済 の 立 場 」 か ら② の タ イ プの デ パ ー トと(日 用 品 の 廉 価 供 給 をす る)消 費 組 合 の 発 展 に期 待 を よせ て い る。 デ パ ー トは廉 価 仕 入 れ ,店 舗雑費の節約,圧 倒的 な広告利用力,現 金 払 い 主 義 の 有 利 さ(資 本 回転 上 の 有 利 さ,貸 し倒 れ 危 険 回避)等 の 強 み が あ る と と もに,弱 み と して は有 能 な管 理 者 の 得 が た さ,不 況 時 対 応 の 困 難 性 等 をあ げて い る。 坂 本 の 論 文 は シ カ ゴの 中規 模 店 を例 に と って,1-8階 の 販 売 部 の 各 階 別 商 品 売 場 ・休 憩 室 ・喫 茶 室 ・食 道 等 の 配 置9-12階 の 事 務 部 ・作 業 部 の 配 置 と管 理 組 織 の 実 情 等 につ い て 述 べ た もの で あ る。 濱 田論 文 は世 界 中の 主 要 デ パ ー トを取 り上 げ,注 目す べ き仕 組 み につ い て 解 説 した もの で あ る。 里 見 論 文 も,デ パ ー トの歴 史,世 界 の 主要 デパ ー ト,種 類(① 多種商品陳列売 り,② 通信販売,③ 均一(価 格)商 店),組 織,発 達 原 因(① 経営 と組織の卓抜,② 交通機 関完備),特 色(① 便利,② 無料配達,③ 楽 しませる設備,④ 現金売 り,⑤ 取 り替 えと 買い戻 しに快 く応 じる,⑥ 現物陳列 と定価 の明示,⑦ 装飾),世 間 の疑 問 と非難(冗 費 と高価 既 存小売業へ の打撃 流行 を追い奢修傾 向 を募 らせ る),経 営 上 の 注 意 (良いシステム,使 用人 の訓練)な どにつ い て概 説 した もの であ る。 また,円 城 寺 論 文 は,タ イ トル 通 り三越 の通 信 販 売経 営 法 を取 り上 げ た もの で あ る。 坂 本, 濱 田,里 見,円 城 寺 の い ず れ も,当 時 商 業 革 新 の 目玉 で あ っ たデ パ ー トを啓 蒙 す る とい う役 割 を担 って い た。 これ に対 して 松 崎 論 文 は,学 者 と して デパ ー トの本 質 に切 り込 も う とす る。 彼 はデ パ ー トを消 費 組 合 と対 比 して 考 察 す る。 消 費 組 合 で は消 費 者 自身 が 共 同売 買 組 織 に よ って 各 自の 利 益 を擁 護 す る 目的 で あ る(共 済 主 義)の に対 し て,百 貨 店 は工 業 で の 大 規模 経 営 に従 い商 業 で も大規 模 経 営 の 有利 さ を認 め,

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収 益 増 を狙 う もの で あ る(営 利 主 義)。 デ パ ー トは また,多 数 小 売 商 人が 単 に 雑 然 と1箇 所 に集 ま る勧 工 場 ・勧 商 場 と も異 な る。 この よ う な視 点 か ら河 津 はデ パ ー トの 特 徴 ・営 業 方 針 ・取 扱 商 品 等 の 差 違,長 所 と短 所 を考 察 して い る。 商 業 使 用 人 全 般 の 待 遇 改 善 へ の 良 い イ ンパ ク ト,工 業 生 産 へ の 促 進 効 果 な どで 積 極 的 に評 価 し,ま た,デ パ ー トの 弊 害 は未 だ著 し くな く,取 締 方 法 を講 ず べ き段 階 に もない と して,寧 ろ奨 励 す る こ とを促 して い る。 第2は,商 業 革 新 の 動 きに触 発 され て 出 て 来 た 諸 論 文 で あ る。 笠 原 研 一33) 「デパ ー トメ ン トス トーア と小 売店 」(明 治45(1912)年),小 林 廣 太 郎34)「中 小 商 店 の 大 商 店 対 抗 策 」(大 正4年),桑 谷 定 逸35)「小 売 業 者 の 販 路 拡 張 策 」 (大 正1年),井 関 十 二 郎36)「通 信 販 売 経 営 の 呼 吸 」(大 正1年),石 川 文 吾37> 「MuItipleshopsystemと'」 ・売商 人 」(大 正7年)な どの よ うな,デ パ ー トに対 抗 す る小 売 業 界 の新 動 向 を伝 え る もの,小 林 三 雄38)「最 近 に於 け る米 国 の店 頭 装 飾 」(大 正2年)の よ うに新 時代 の 店頭 装 飾(商 品配置,店 前装飾 店窓設備 背景装飾)を 紹 介 す る もの,石 川 文吾 「消費 者 と して の女 の研 究 」39)(大正7年) の よ う に最 大 の 消 費 者 と して の 女 性 に着 目 し,そ の 心 理 的特 徴(保 守的,美 を 愛す,計 算 に緻密,虚 栄心,差 恥心等)に 照 準 を あ わせ た販 売 を推 奨 す る もの な ど,多 様 で あ っ た。 第3は,店 員(商 業 使 用 人)に 関 す る研 究 で あ る。 既 に述 べ た よ う に,新 時 代 の 商 業 にお い て は,店 員 待 遇 法 の刷 新 に向 か っ て変 化 を遂 げ つつ あ った 。 旧 来 の 「仕 着 せ 別 家 制 」 か ら 「通 勤 給 料 制 」 へ,さ らに は 「利 益 分 配 制 」 へ 33)笠 原 研 一 「デパ ー トメ ン トス トー ア と小 売 店 」 『東 洋 経 済 新 報』589号,明 治45 (1912)年 。 笠 原 は 三越 呉 服 店 営 業 課 長 で あ った 。 34)小 林 廣 太 郎 「中小 商 店 の 大 商 店 対抗 策 」 『実 業 界』10巻4号,大 正4(1915)年 。 35)桑 谷 定 逸 「小 売 業 者 の販 路 拡 張 策 」 『実 業 界』4巻4号,大 正1(1912)年 。 桑 谷 は 『実 業 界』 主 幹 の 肩書 が つ い て い る 。 36)井 関 十 二 郎 「通 信販 売 経 営 の 呼 吸 」 『実 業 界』4巻4号,大 正1(1912)年 。 37)石 川 文 吾 「Multipleshopsystemと ノ』・売 商 人 」 『会 計』2巻4号,大 正7(1918) 年 。石 川 は 東 京 高 等 商 業 学 校 教 授 で あ った 。 38)小 林 三 雄 「最 近 に 於 け る 米 国 の 店 頭 装飾 」 「実 業 界』6巻5号,大 正2(1913)年 。 小 林 は ニ ュ ー ヨー ク滞在 中 の ビジ ネス マ ンで あ った 。 39)石 川 文 吾 「消 費 者 と して の 女 の 研 究 」 「法 学 新 法』28巻4号,大 正7(1918)年 。

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大 正 前 期 に お け る科 学 的 管 理 法 の 流 入 と 商 工 業 学 へ の イ ンパ ク ト(3)41 とい う基 本 的 底 流 で あ っ た 。 明 治45年(=大 正1年)に 出 版 さ れ た 丸 山 幹 治 ・ 今 村 宗 太 郎 『丁 稚 制 度 の 研 究 』4°)では,こ の 転 換 期 の 丁 稚 制 度 を,1章 維 新 前 の 丁 稚,2章 現 代 の 丁 稚(仕 着 別 家 制,通 勤 給 料 制,折 衷 制),3章 店 員 制 度 の 改 善,4章 西 洋 の 丁 稚 制 と して 整 理 して 述 べ,折 衷 制 を 現 実 的 な も の と し て 奨 め て い た 。 本 書 に 序 文 を 寄 せ て い る5人 の 識 者 も,旧 来 の 丁 稚 制 度 が 過 去 の もの に な っ て き た こ と,家 族 的 情 誼 が 民 法 上 の 雇 傭 契 約 関 係 に,主 従 関 係 が 報 酬 関 係 に 変 わ っ て き て い る こ と を 認 め て い る 。 櫻 井 一 義 「丁 稚 の 問 題 」41) (大 正7年)や 向 軍 治42)「店 員 制 度 の 根 本 改 革 」(大 正8年)な ど も,同 様 な 問 題 意 識 を 述 べ た もの で あ る 。 こ う し た 状 況 が 進 ん で い く な か で,泉 俊 秀 『現 代 店 員 制 度 の 研 究 』43)(大 正 9年)は 新 しい 時 代 の 店 員 制 度 に つ い て 方 向 を 示 そ う と し た の で あ る 。 本 書 の 内 容 は,移 行 期 に お い て 前 向 きの 方 向 を 見 据 え る 内 容 を きめ 細 か く盛 り込 も う と して い る 努 力 の 跡 が,目 次 構 成 と主 要 内 容 を 見 て も容 易 に 見 て 取 れ る (括弧 内 は主 要 内 容 の要 約)。 其1現 代 の 要 求 と店 員 の 新 制 度(学 校 教 育 の 普 及,店 員 志 望者 減 少 と店 員 の 自覚 過 去 の 丁 稚 制 度 と家 族 主 義,店 員 待 遇 の 新 制 度) 其2店 員 の 待 遇 と家 族 主 義 の 美風(感 情 の 融和,店 主 へ の情 誼,人 格 本位 の待 遇, 家 族 主 義 の 美 名 と事 実 の相 違) 其3店 員 の雇 傭 関 係 と賃 金 制 度(思 想 の相 違 と店員 の要 求,店 員 の待 遇,暖 簾分 け の 実 行難 店 員 の独 立 と無 意 義 な制 裁 店 員 を職 業 と解 す る制 度 業 務見 習 い 店 員 の 待 遇) 其4店 員 月報 支 給 制 度 の標 準(店 員 の等 級,幹 部店 員 ・普 通店 員 ・少 年店 員 ・女 子 店 員,物 価 騰 貴 と臨 時 増 俸 ・臨 時 手 当) 其5店 員 の 進 級 と補 充 制 度(満 期 任 免 規 定,定 年 と序 列) 其6店 員 の修 養 機 関 と商店 の 設 備(夜 学 校,図 書 閲覧 室,運 動 設備,性 欲 問 題 知 識 の 交 換 と倶 楽 部) 40)丸 山 幹 治 ・今 村 宗 太郎 「丁 稚 制 度 の研 究 』 政教 社,明 治45(1912)年 。 丸 山 と今 村 は大 阪 朝 日新 聞社 員 で,同 紙 に明 治45年1月 下 旬 ∼2月 下旬 に わた っ て連 載 した もの を,改 訂 を加 え ず1冊 に 纏 め た とい う。 41)櫻 井 一 義 「丁稚 の 問 題 」 「東 京 経 済雑 誌』1962号,大 正7(1918)年 。 42)向 軍 治 「店 員 制 度 の根 本 改 革 」 「広 告 』 大 正8(1919)年 。 43)泉 俊 秀 『現 代 店 員 制 度 の研 究』 文 雅 堂,大 正9(1920)年

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其7 其8 其9 其10 其11 其12 其13 其14 其15 其16 其17 其18 其19 其20 同 様 に, 行 会 編 『ク ラ ー ク 入 門 』 な ど は44), を 説 い て い る 商 売 敵, 要,商 業 簿 記, 第4に, 繰 り返 さ な い 。 第5に,以 上 で 見 た よ う な 商 業 分 野 で の 諸 変 化 は,商 業 に お け る ① 個 別 商 店 ・企 業 的 視 点 の 重 要 性,② 経 営 ・管 理 研 究 の 一 層 の 重 要 性 を 浮 か び 上 が ら せ た 。 飯 塚 新 三 「商 業 経 営 の 進 歩 と 販 売 管 理 」45)(大 正3年)に よ れ ば,最 近 の 商 業 経 営 の 発 展 は 販 売 区 域 の 著 しい 拡 大,競 争 の 範 囲 と激 烈 さ の 増 大,販 44)山 本 邦 之 助 『世 間 の 求 む る 理 想 的 店 員』 平和 出 版 社,大 正5年 。 商 業 叢 書刊 行 会 編 『ク ラー ク 入 門』 岡村 書 店,大 正5(1916)年 。 木 村 浪 雄 『商 人 常 識 の 修 養 』 高 文館,大 正7(1918)年 。 45)飯 塚 新 三 「商 業 経 営 の 進 歩 と販 売 管 理 」 『実 業 界』9巻2号,大 正3(1914)年 。 店 員採 用 の 規 定 と内容(小 売 商 店,卸 問 屋,店 員 の 貯 金,旧 式商 店 の特 色 と別 家) 店 員 の 日常 生 活 と各 種 動 作(新 入店 員 の 所持 品,補 習 学科 科 目,寄 宿 舎 生 活, 衛 生 上 の 注 意,衣 服 の 洗 濯,会 議,合 議 制 度,女 子 店 員 の増 加 と資 格) 商 店 の 営 業 時 間 と店 員 の 休 養(営 業 時 間,勤 務 時 間 の制 定) 店 員 の 公 休 日 と修 養 問 題(日 曜 休 業,修 養 と休 業 日利 用,元 気 の養 成) 商 店 と店 員 の 食 事 費(栄 養 最 初 の勤 務 は炊 事,通 勤 店 員 の食 事 負 担) 店 員 の 疾 病 と療 養 費 店 員 の 成 績 と賞 与 分 配 の 標 準(分 配 方 法,査 定 標 準,資 金) 利 益 分 配 制 度 の 新 研 究 代 議 制 度 と組 合 制 度(代 議 制 度,店 員 組 合 組 織,入 店 時 の契 約 と条 件) 店 員 失 敗 の 共 通 原 因 店 員 の 退 職 と退 隠 料(老 後 の 待 遇 と退 隠料,養 老 保 険 年 功 店 員 の優 遇 法) 商 店 の 要 求 せ る店 員 の 資 格 店 員 の 要 望 と現 代 の 新 制 度 店 員 制 度 の 解 決 策 山 本 邦 之 助 『世 間 の 求 む る 理 想 的 店 員 』(大 正5年),商 業 叢 書 刊 (大 正5年),木 村 浪 雄 『商 人 常 識 の 修 養 』(大 正7年) い ず れ も,新 時 代 を迎 え た 段 階 に お け る 店 員 と して の 修 養 の積 み 方 (勤勉 健 康,紀 律,勤 倹,酒 ・煙 草,修 養 時 の利 用,結 婚 人 物, 繁 栄 時 と銀 難 時,女 性 との 関係,友 人,向 上 心,職 分 論 成 功 の 秘 訣 商 業 概 商 業 書 翰,商 業 文 例,商 業 習 字,店 員 座 右 の銘,等 々)。 広 告 に 関 す る 議 論 が 頻 出 し た が,こ れ に つ い て は 既 に 述 べ た の で,

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3) 43 売 部 の 職 責 の 拡 大 を もた ら した。 今 や 販 売 活 動 の 優 劣 が 企 業 全 体 の 成 敗 を決 す る。 綿 密 な市 場 調 査 に基 づ く販 売 管 理 は販 売 部 長 だ けで は 出来 ず,寧 ろそ れ は本 社 主 脳 ・参 謀 本 部 の 職 能 で あ る。 そ して,こ の 販 売 管 理 ・市 場 調 査 の 方 面 で 盛 ん に行 われ て い るの が 科 学 的 管 理 法 の 適 用 なの で あ る。 彼 は① 市 場 諸 般 の 調 査 報 告,顧 客 喪 失 原 因の 調 査 等 を専 門的 調 査 員 にや らせ て 販 売 員 に させ ない(販 売 に専 念 させ る),② 販 売 区域 設定 を調 査 に よる科 学 的根 拠 に基 づ い て 設 定 す る,③ 市 場 調 査 の 徹 底 等 をあ げ る。 浜 田 四 郎 『小 売 商 店 経 営 法』46)(大正6年)は,こ う した 管 理 学(経 営 学) 化 傾 向 を取 り入 れ て,次 の よ う に書 を編 成 して い る。 1章 小 売商店の位置 と建築 2章 小売商店内の設備(顧 客に便利,店 側 にも便利) 3章 販売(販 売方法,引 き渡 し方法,代 金支払 い,売 掛金管理 配達方法 販売員 心が け,売 れ残 り商品処分) 4章 事務 整理法 5章 通信 販売 6章 広告,客 引お よび店頭装飾 7章 営業 改良の方法 8章 店員の採用,訓 練及び監督 9章 デパー トメ ン トス トア 10章 小売商店政策 としての諸問題(良 品 と廉価 品,接 客態度,配 達 電話販売,掛 け売 りと現 金買い,営 業 時間) これ を明 治 期 存 在 した実 務 的 類 書,例 え ば祖 山鐘 三 ・原 田定 助 ・亀 井 藤 重 『実 地練 習 商業 活 法 』(明 治23年)の 内容 と比 較 す れ ば47),如何 に経 営 学 化 46)浜 田 四 郎 「小 売 商 店 経 営 法』 早 稲 田 大 学 出 版 部,大 正6(1917)年 。 47)「 実 地練 習 商 業 活 法』 の 内容 につ い て は,片 岡信 之 『日本 経営 学 史序 説」 文 眞堂, 平成2(1990)年,192頁 参照 。 そ れ は,次 の よ うな もの で あ っ た。① 商 家 に入 る もの の 心得 ② 資 本,③ 開 業,一 個 人 及 結社 営 業,④ 売 買,⑤ 投 機 ⑥ 仲 買 人 及 委託 販 売 商 ⑦ 貨 幣 及利 子,⑧ 手 形 世 界,⑨ 銀 行,銀 行 家 及 銀 行 業,⑩ 各 種 の 取 引所 及 其 得 失,⑪ 海 上保 険 ⑫ 生命 火災 及 各種 の保 険 ⑬ 売上 証,送 状 及勘 定 書 ⑭ 船 積,税 関 及外 国 貿易,⑮ 傭 船 約 定 及 船積 証 書,⑯ 商 用 書 簡 ⑰ 簿 記,⑱ 各 種 の 商 業機 関,⑲ 破 産 。 これ らは 商 店 を営 業 す る 上 で 必 要 な 業 界 の 基 礎 知 識 で はあ る が,そ れ ら を踏 まえ て ど う店 を経 営(管 理)す るか とい う よ うな,経 営(管 理) 的視 点 が な い こ とが わ か る 。 この 意 味 で 浜 田 の 書 とは 対 照 的 で あ る。

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(管 理 学 化)し,内 容 的 に も新 し い 内 容 か ら な っ て い る か が わ か る 。 浜 田 の 類 書 と して は,同 年 に 藍 川 忠 雄 『新 式 経 営 商 店 管 理 法 』48)(大 正6 年)も 刊 行 さ れ た 。 藍 川 は,今 日の 大 資 本 商 店 会 社 は 商 店 管 理 に 通 暁 し な け れ ば な ら な い の に,こ れ を 説 く書 が な く 「是 れ 実 に 商 業 事 務 界 の 大 欠 陥 で は な い か 」(序 文2頁)と い う 問 題 意 識 か ら,わ か りや す い 実 務 書 と し て 本 書 を 書 い た の で あ る 。 そ の 内 容 は,営 業 事 務 所 の 構 造,商 品 の 整 理 書 信 の 発 着 とそ の 管 理,会 計 帳 簿 の 整 理,店 員 の 管 理 店 員 選 択 の 標 準 店 員 の 待 遇, 営 業 上 の 注 意 広 告 の 利 用 な ど に わ た っ て い る 。 科 学 的 管 理 法 の 商 業 へ の イ ン パ ク トは,明 治 期 以 来 の 商 業 学 に も変 化 を 与 え た 。 明 治 期 に 『商 家 繁 栄 策 』(明 治36(1903)年)を 著 し,既 に そ の 時 点 か ら管 理 的 要 因 に 注 目 して い た 土 屋 長 吉49)は,こ の 書 を 商 家 内 治 篇(1章 商 人 の 修 養2章 開 業 の 準 備,3章 開 業4章 営 業 の 組 織5章 資 本 の 元 入 及 利 用,6章 商 店 の 管 理,7章 商 家 の 家 政),商 家 対 外 篇(8章 商 人 と交 際9章 売 買 商策10章 広 告 法,11章 手 形及 株 券 の運 用,12章 金 融調和 策)の2編12 章 構 成 で,商 業 経 営 書 を編 ん で い た5°)。こ の う ち 特 に 第6章 で は 「商 店 の 管 理 」 と して,営 業 主 の 心 得,店 員 監 督 の 方 法,店 員 の 保 護 待 遇,事 務 の 整 理 な ど が 考 察 さ れ て い る(明 治期 に は,土 屋 の よ う に 「管 理 」 の 用 語 を含 む商 業 書 は稀 で あ った)。 土 屋 は 次 い で 『商 業 経 営 法 』51)(明 治39(1906)年)を 出 版 し,ほ ぼ 同 様 な 構 想 を示 し て い た(1章 業 務 の 選 択,2章 営 業 地 の 選 択,3章 店 舗 の 構 造,4章 開 業 の 時 期,5章 商 店 の 称 表,6章 営 業 の 組 織,7章 営 業 の 譲 り受 け,8章 資 本 の元 入 及 利用,9章 広告 法,10章 商店 会 社 員,11章 商社 の管 理 及 監 査,12章 事務 の 分配13章 事 務 の整 理14章 売 買 法)。 こ れ が 大 正1(1912) 年 に 出 さ れ た 『商 事 経 営 論 』sz)にな る と,次 の よ う に,管 理 的 指 向 が さ ら に 強 48)藍 川 忠 雄 「新 式 経 営 商 店 管 理 法』 佐 藤 出 版 部,大 正6(1917)年 。 49)土 屋 は 明 治 期 に 多 くの 早稲 田 商 学 講 義 録(正 確 な刊 行 年 は 不 明)を 早 稲 田 大 学 出 版部 か ら出 して お り,「商 家繁 栄 策 』刊 行 時 に は講 義 を してい た もの と推測 され る。 50)片 岡信 之,前 掲 書,195-6,199頁 参 照 。 51)片 岡信 之,前 掲 書,288-9頁 参 照 。 52)土 屋 長 吉 「商事 経 営 論』 大 倉 書 店,大 正1(1912)年 。

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大 正 前 期 に お け る科 学 的 管 理 法 の 流 入 と 商 工 業 学 へ の イ ンパ ク ト(3)45 化 さ れ て く る の で あ る 。(括 弧 内 は 主要 内 容) 第1編 総 論 1章 企 業 及 商 業(企 業 ・商 業 の 意 義,企 業 家 と商 業 者) 2章 商 業 経 営 の 概 念 3章 経 営 を支 配 す る原 因(営 業 の 自 由,競 争 独 占) 4章 商 業 の 種 別 及 其 経 営 法(商 業 分 岐,商 業 の 種 類 各 種 商 業 経 営 法) 5章 商 業 経 営 学 の 地 位 及 内 容 第2編 営 業 及 商 業 経 営 の 組 織 1章 営 業 及 経 営 組 織 の 趨 勢 2章 営 業 組 織 の 形 態(単 独 組 織,共 同組 織,連 合 及 合 同) 3章 経営 形 態 の種 類(大 経 営 と小 経 営,粗 放 的経 営 と集 約 的経 営,単 業経 営 と兼 業経 営,デ パ ー ト,均 一 店 制 度) 第3編 商 業 経 営 の 基 礎 1章 商 業 経 営 者(経 営 の主 脳,経 営 補 助 者,商 人 以 外 の 商 事 経 営 者) 2章 商 品(意 義 種 類,所 在,集 散 交 換 の標 準) 3章 商 業 資 本 及 信 用(資 本 需 要 の方 向,程 度,効 果,利 用,信 用 調 査) 第4編 商 業 経 営 の 設 備 1章 業 務 の 選 定 2章 営 業 地 の 選 定 3章 開 業 の 時 期 及 方 法 4章 店 舗 の 構 造 及 設 備 5章 営 業 の 表 章(商 号,商 店 標 商 品名,商 標 看 板,暖 簾,公 示 手 段) 6章 広告(性 質 と効用,種 類 広 告 文 作 成,一 般 広 告,新 聞雑 誌 広 告,通 信 販 売 広 告,広 告 に対 す る責 任) 第5編 売 買(貨 物 商 業 の 経 営) 1章 売 買 取 引 の 要 件(成 立 時 期,契 約 の 要 件,予 約 済 み ・手 付) 2章 売 買 利 益 の 根 源(仕 入 イ直 実 費,売 価,利 益) 3章 仕 入 の 方 法(駆 け引 き,共 同仕 入,荷 受 ・商 品鑑 定) 4章 売買 の方 式(自 家 売 買 ・委託 売 買,単 独 売買 ・組 合 売買,居 商 ・出 商 通 信 販 売,現 金正 札 制,月 賦 販 売) 5章 注 文 の 勧 誘(直 接 勧 誘 商 業 旅 行 人,間 接 勧 誘) 6章 販 売 の 方 法(応 対,駆 け引 き,荷 造 ・出荷,代 金 回収) 第6編 商 業 事 務

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1章 商務の性質及種類 2章 商務 の管理及監査(業 務執行機 関,事 務管理,事 務監査,営 業規程,使 用人 の選択及採用,使 用 人の監督 使用人 の保護待遇 報酬) 3章 事務 の組織及分配(外 部的事務分配=支 店 ・出張所 ・代理店,内 部的事務分 配=事 務分掌) 4章 事務整理の一般 本 書 で は,第2編 で 経 営 組 織 を論 じ,第3編1章 で は商業 経 営 者(経 営 の主 脳 経営補助者,商 人以外の商事経営者)を 論 じ,第6編 商業事 務 で は,今 日流 に言 え ば管 理 組織 に つ いて 論 じて い る。 そ こで は監 査機 関(株 主総会,監 査役), 管 理機 関(当 事機関 としての常務取締役,委 任機 関としての支配人=課 長 ・係長),外 部 監査 機 関(公 共監査 人),営 業 規 程 ・執 務 手続 管 理対 象 とす る組織 形 態 のあ り方(事 務の組織及分配)な ど,管 理 問 題が150頁 に もわた って述 べ られて い る53) (本書 は全体で798頁 の大著であ るが,そ の2割 弱 をこの問題 に割い てい る)。 こ う して 仔 細 に見 て くれ ば,明 治 期 以 来 伝 統 的 で あ っ た商 業 学 の 基 本 的 パ タ ー ン,即 ち商 業 の 基 礎 知 識 と仕 組 み(商 業,商 人,売 買,手 形,小 切 手, 度 量 衡 な どの 基 礎 知 識 解 説 と)補 助 商 業 た る銀 行 業,鉄 道 業,海 運 業,倉 庫 業,保 険 業 な どの 仕 組 み の 解 説 とい っ た よ う な内 容 に終 始 す る記 述 か ら,そ れ らの 基 礎 の 上 に立 って 個 別 商 業 企 業 の 商 業 の 組 織 ・管 理 ・経 営 とい う主 体 的 運 営 面 を重 視 す る記 述 へ と,重 点 が 移 行 して きて い るの を見 る こ とが 出来 る。 浜 田 の 『小 売 商店 経 営 法』,藍 川 の 『新 式経 営 商店 管理 法』,土 屋 の 『商 事 経 営 論 』 に見 られ る個 別 商 店 ・商 業 企 業 の 管 理 ・経 営 へ の ま な ざ しは,商 業 学 の 経 営 学 化 の 進 展 とみ る こ とが 出 来 る。 また,特 に土 屋 の 『商事 経 営 論』 の 総 論 部 分 にお い て は,経 営 学 方 法 論 争 の 議 論 の なか で 問 題 とな る論 点 一企 53)こ の よ うに 管 理 組織 と管 理 事 務 が 重 要 化 し,大 き くな り,こ れ に携 わ る人 間 が 増 え て 行 くに つ れ て,そ こで の 能 率 問 題 も発 生 して くる。 この こ とが,大 正 半 ば 頃 以 降 に 事務 管 理 能 率 論 を発 生 させ る こ とに 繋 が るの で あ る。 た と えば 金 子 利 八 郎 「商工 事 務 管 理 組 織 」 「会 計』5巻5号,大 正8(1919)年,同 「事 務 管 理 能率 増 進 論 」 「会 計』6巻3号,大 正8(1919)年 。事 務 管 理 論 に つ い て は,後 に 改 め て 言 及 す る 。

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3) 47 業,企 業 家,商 業 経 営,商 業 経 営 学 な どの 基 礎 概 念 につ い て,海 外 論 者 や 上 田貞 次 郎 らの 説 に も関 説 しなが ら90頁 に もわ た って 検 討 してお り,そ の意 味 で も経営 学 化 へ の 進展 とす る こ とが 出来 よ う54)(方法論 的議 論 は,の ち に別項 目で 取 り上 げ る)。 9.お わ り に 科 学 的 管 理 法 を巡 る大 正 前 半 期 の 動 向 は,概 ね 次 の よ う に言 う こ とが で き る 。 明 治 期 に は僅 か に安 成 貞 雄 の 名 前 で 実 務 家 向 け雑 誌 に紹 介 され た に過 ぎな か っ た科 学 的 管 理 法 は,大 正 期 に入 って す ぐ,欧 米 商 工 事 情 紹 介 の 一 環 と し て,堰 を 切 っ た よ う に 流 入 し始 め た 。 大 正 元 年(1年)が1912年 で あ り,テ イ ラ ー のShopynanagementが1903年,TheprinciplesofScientificManagement が1911年 で あ っ た こ と を 考 え れ ば,素 早 い 反 応 で あ っ た と言 う こ とが で き る 。 紹 介 さ れ た の は テ イ ラ ー,エ マ ー ソ ン,ギ ル ブ レ ス,ミ ュ ン ス タ ー バ ー グ, ス コ ッ ト,ブ リ ス コ,ノ イ ッ ペ ル,ト ム ス ン,ロ バ ー ッ,ア ト キ ン ソ ン,フ ラ ン ク リ ン,バ リ ッ ト ら多 数 に の ぼ っ た 。 そ れ ら は 単 行 本 と して,ま た 雑 誌 掲 載 の 形 で,翻 訳 ・抄 訳 や要 点 紹 介 が な され た。 紹介 したの は,一 部 企 業 家, 実 務 家 翻 訳 家 実 務 雑 誌 記 事 な どで あ っ た。 ま た,エ フ ィシエ ンシー 協 会 や 大 日本 文 明 協 会 な どの よ うに,積 極 的 に啓 蒙 活 動 をす る団 体 も形 成 され た 。 54)こ の 点 に 関 連 して,土 屋 が 本 書 「商 事 経 営 論』 の 「序 」 で,次 の よ う に述 べ て い る の も見 逃 せ な い。 「先 に 明治36年9月 予 が 始 め て 「商 家 繁 栄 策 」 を著 し,以 て私 経 済 経 営 の 一 般 を叙 述 せ る や,当 時 此種 の研 究 普 か らず,所 謂 商 業 学 者 経 済 学 者 等 と称 す る 輩 は,荘 言大 語,徒 らに 天下 国家 の大 政策 を叫 び,私 人経 済 の如 きは, 殆 ど一顧 の価 値 だ も無 きが 如 く考 へ 居 た り,然 る に経 済 社 会 の 進 歩 は,企 業 の 組 織 を して 愈 広 大 且複 雑 な ら しめ,特 に 朝 近 「カ ー テ ル 」 の 旺 盛 な る に至 て は,最 早 事 業 内 部 の 経 営 を知 らず して,国 民 経 済 を語 る こ と能 は ざ る に及 び,此 に学 者 の態 度 一 変 し,今 や 欧 米 諸 大 学 の 学 科 表 中,企 業 経 営 に関 す る一 科 を見 ざ る もの 無 きに 至 り,随 て予 は 漸 くに して,幾 多 参 考 すべ き学 説 を耳 にす るの 幸 を得 た り」 序1頁 。 土屋 の この 著作 「商 業 経営 論 』 に対 して,の ちに佐 々木 吉 郎 は,「 我 が 国 に於 け る 経 営 論 的 著作 と して 特 筆 す べ き もの で あ る と私 は 思 ふ 」 と高 い 評 価 を与 え て い る(佐 々木 「経 営 経 済 学 総論 』 中央 書 房,昭 和15(1940)年 修 正3版,314 頁)。

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大 正 初 期 段 階 で 科 学 的 管 理 法 に積 極 的 に関 わ っ たの は,池 田藤 四 郎,井 関 十 二 郎,上 野 陽 一,神 田孝 一 の4名 で あ っ た。 四 者 はそ れ ぞ れ 異 な っ た特 徴 を持 って お り,池 田 は平 易 に説 い て 大 衆 化 す る こ とに,井 関 は商 業 面 へ の 適 用 に,上 野 は心 理 学 的 ア プ ロ ーチ に,神 田 は工 場 現 場 に責 任 を持 つ 現 場 管 理 者 と して の 知 識 整 理 に基 づ い た独 自の 展 開 に,そ れ ぞ れ 特 色 を打 ち 出 して い る。 科 学 的 管 理 法 を 日本 の 現 実 の 上 に もう少 し体 系 化 した記 述 を したの が 工 場 管 理 法 で あ っ た。 既 に触 れ た神 田孝 一 は,工 場 技 術 者 と して,勝 田一 は現 役 農 商 務 省 工 場 監 督 官 と して,そ れ ぞ れ の 立 場 か ら独 自の 体 系 的 な論 述 を して い る。 同 じ工 場 管 理 論 で あ りなが ら,科 学 的 管 理 法 の 議 論 とは無 関 係 に,と い う よ り もあ えて そ れ を無 視 して 真 反 対 の 立 場 を鮮 明 に して,独 自の 『工 場 管 理 実 学 」 を打 ち 出 したの が,工 場 管 理 責 任 者 で あ っ た鈴 木 恒 三 郎 で あ る。 彼 の 温 情 主 義 理 念 に た っ た家 族 主 義 的 経 営 指 向 性 は,後 の 日本 的 経 営 論 に繋 が る 工 場 管 理 思 想 の 草 分 け と して 受 け止 め る こ とが 出来 る。 しか も,鈴 木 は ア メ リ カの 工 業 事 情 を知 らなか っ た わ けで は な く,む しろ他 人 以 上 に通 じて い た だ け に,そ して 宇 野 利 右 衛 門 もそ の 姿 勢 を賞 賛 して い た だ け に,こ の 受 け止 め 方 は興 味 深 い もの が あ る。 したが って,当 事 の 実 務 家 た ちの 問 に は,科 学 的 管 理 法 に対 して 賛 否 両 論 が あ っ た こ とが わか るの で あ る。 この よ う な なか,や が て 学 術 雑 誌 にお い て も商 業 学 系 学 者 の 論 文 が 散 見 さ れ る よ う に な って くる。 しか しそ の 場 合 も,腰 を入 れ て 本 格 的 に取 り組 んで 論 じる とい う ほ どの 姿 勢 は見 られ なか っ た。 特 徴 的 だ っ たの は,商 業 学 関 係 の 学 者 とい う よ り も,む しろ積 極 的 に関 心 を示 したの は,社 会 政 策 に関 心 を 持 つ 社 会 経 済 学 者 た ち だ っ た こ とで あ る。 労 資 協 調,利 潤 分 配 な どの(科 学 的 管 理 法 や そ れ と同時 的 に導 入 され た)一 連 の 考 えが,彼 らの 関 心 を惹 い た の で あ っ た(利 潤 分 配 制 度 を巡 って は,肯 定 的 に評 価 して 採 用 を促 す 者,否 定 的 に評 価 す る者 の 両 論 が あ っ た)。 さ らに,科 学 的 管 理 法 の 思 考 は,産 業 心 理 学,労 働 科 学 等 の 分 野 の 研 究 へ

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大 正 前期 にお け る科 学 的管理 法 の流入 と 商工 業学 へ の イ ンパ ク ト(3)49 と展 開 され,暉 峻 義 等 を は じめ とす る研 究 者 た ち と倉 敷 労 働 科 学 研 究 所 の よ う な専 門的 研 究 所 の 創 設(大 正 後 半期)に 繋 が る動 きを も作 り出 して い った 。 科 学 的 管 理 法 は ま た,商 業 分 野 に も適 用 され る よ う に な り,お りか らの 百 貨 商 店 や そ れ に対 抗 す る小 売 店 の 近 代 化,能 率 化 の 必 要 か ら も,言 及 され る 幅 も拡 が って,商 業 の 多 領域 で議 論 が され る よ うに な る。 そ して ま た,商 店 ・ 商 業 へ の 科 学 的 管 理 の 適 用 とい う指 向 性 は,明 治 期 の 商 業 学 的 思 考 に管 理 論 的 思 考 を もっ た再 編 を迫 る こ と とな り,明 治 末 期 か ら微 か に見 られ た商 業 学 の 経 営 学 化 を一 層 進 め る契 機 とな っ たの で あ る。 そ れ まで 抽 象 的 に は言 及 さ れ て い た商 事 経 営 学(商 事 経 営 論)が,今 日か ら見 れ ば未 熟 で あ る にせ よ, 具 体 的 内 容 を伴 っ た形 で 現 れ る に至 っ た こ とは,時 代 の 流 れ を象 徴 す る もの で あ っ た。 以 上 の よ う に,大 正 前 半 期 にお い て は,ア メ リ カか らの 科 学 的 管 理 法 の 紹 介 ・導 入 を通 じて,明 治 期 の 商 業 学 的 議 論 が,大 正 後 半 期 の 経 営 学 誕 生 に向 けて の,直 前 の 歩 み の 段 階 にあ っ た と言 う こ とが で きるの で あ る。 しか し,大 正 後 半 期 に経 営 学 が 誕 生 して くる にあ た って は,科 学 的 管 理 法 の イ ンパ ク ト以 外 の 要 因 も絡 んで い る。 そ れ ゆ え,引 き続 きそ れ らの 要 因 を 探 って い くこ とが 筆 者 に とって の 課 題 とな る。(完) (かた お か ・しん し/経 営 学 部 教 授/2011年10月10日 受 理)

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ImpactofInfluxofTheScientificManagement

onCommercialandIndustrialStudies

intheFirstHalfoftheTaishoPeriod(3)

KATAOKAShinshi Inthispaper,Idescribesomebranchstreamsofthemovementofscientific managementinthefirsthalfoftheTaishoPeriod. AsIdescribedintheformertwotheses,Scientificmanagementsystem movementswereintroducedinthefirsthalfoftheTaishoPeriod,invarious areassuchasshopmanagement(factoryfloorlevelmanagement),personnel management,businesspsychology,industrialhygiene,wagedetermination systems,andsoforth.Theyweregenerallytheresearchoftechniqueused bytheproducerandproductionsite. AlongwiththeenthusiasticintroductionofScientificmanagementinpro-ductionsite,movementbegantohaveagreatinfluenceoncommercialsite. Manybooksandessaysappearedexplainingandcommentatingcommercial efficiency,advertising,decorationofretailshop,employmentandtrainingof salesman,modernretailorsuchasdepartmentstoreandchainstore,applica-tionofpsychologytocommercialphaseandsoforth. TheseScientificmanagementmovementsbecameoneofthestreamsshap-ingtheunifiedmanagementtheoryinJapansoonafterinthefirsthalfofthe TaishoPeriod.

参照

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