堀野正雄とグラフ・モンタージュ : 再構築されるメディア的現実
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(2) (76) ). 文学 ・文化編 (2008年 3月 甲南女子大学研究紀要第 44号. 基 本 的 に ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 、 ﹁リ ア ル フ オト﹂ の 一種 と 捉 え る こと が. れ 、加 え て、 写真 の説 明 や運 動 を 支 持 す るネ ー ム ︵ 文 章 ︶ が添 え ら れ る こと でイ メ. A、 他 を Bと す る、 Aは 即 ち 表 であ り 、 Bは そ の裏 であ る。 A は華 一麗面 であ り B. 世 界 の文 化 は 研 め て見 る と 二 つの相 を 持 つて いる こと を 否 め な い。 そ の 一つを. 頭言 には 次 のよう にあ る。. ージ に特 定 の意 味 や指 示 が 与 え ら れ て いる。 ま た多 重 露 光 写真 や変 則 的 な ト リ ミ ン. は醜 面 であ り暗 黒 面 であ る。 在 来 の文 化 史 は こ のA、 つま り 表 面 のみ の上 に打 ち. でき る のだ が 、 そ こ には 複 数 の写 真 を 組 み合 わ せ た 連 続 写 真 的 な 表 現 形 式 が採 用 さ. グも 頻 繁 に行 わ れ てお り 、 そ の意 味 では 、 ﹁フ オト ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ 的 な 要 素 も 強. な い。 ⋮ 犯 罪科 学 の持 つ分 野 は 即ち 此 のB面 、暗 黒 面 の実 相 を 掴 む こと にあ る。. 樹 てら れ て来 た 。 然 し乍 ら 物 の実 相 は そ の表 面 のみ で研 め ら れ るも のでは あ り 得. 西欧 にお いて先 行 す る類 似 の試 みを 挙 げ れ ば 、 バ ウ ハウ ス の モホ リ =ナギ によ る. ブ スリと メ スを 刺 す 、 そ こ に人 生 の凡 ゆ る実 相 は確 然 と す る。 過 去 と 現在 の暗 黒. く 反映 さ れ て いる。. ﹃ 大 都 市 のダ イ ナ ミズ ム﹄ が あ る。 ナ ギ の場 合 は これ を ﹁タ イ ポ フ オト﹂ と 命 名 し. 華 やか な 都 市 生活 か ら隠 蔽 さ れ た裏 面 を 暴露 す る こと 、 人 間 精 神 の暗 黒 面 を 探 求. 。. 面 に メ スを 振 つて明 日 へのより よき 生 活 を 約 束 す る、 そ こ に犯 罪 科 学 の使 命 が あ. イ ナ ミズ ム﹄ の表 現 上 の特 徴 は 、異 な る視 覚 的 要 素 を 再 配 置 し 、 文 字 や記 号 を 組 合. 犯 罪科 学 ﹄ の編 集 方 針 であ る が 、 そ の中 でも と り わ す る こと を 目的 と す る こと が ﹃. ZO. 映 画 のた め の草 案 ﹂ と 副 題 が 添 え ら れ た よう に、 も と も と 映 像 作 品 た。 そ れ は 、 ﹁ のた め の ﹁シ ナ リ オ﹂ と し て企 画 さ れ たも の であ り 、映 像 の時 間 的 進 行 と モ ンタ ー. せ てタ イ ポ グ ラ フ ィ ック に処 理 す る こと で、 ﹁ 写 真 的 ・視 覚 的 関 係 を 通 し て時 空 間. ジ ュを 示 す た め に考 え 出 さ れ た イ メージ スヶ ッチ でも あ った 。 つま り ﹃ 大 都 市 のダ. 映 画 ﹂ が意 図 さ れ て いた 的 出来 事 の生き た連 鎖 を つく り あ げ ﹂ た 、 いわ ば 紙 上 の ﹁. け 人 気 を 博 し た のが 、 グ ラビ ア印 刷技 術 を 利 用 し た ″グ ラ フ特 集 ″ であ った 。 最 初 の ″グ ラ フ特 集 ″は 、 一九 三 一年 四月 号 ﹁ 犯 罪 科 学 グ ラ フー 白 魔 産 業 党事 件 と 西. が少 な か らず 認 め ら れ る。 し か し 、 そ こ には 未 来 派 や バ ウ ハウ ス のタイ プ グ ラ フ ィ. 堀 野 の ﹁グ ラ フ oモ ンタ ー ジ ュ﹂ にも 、 そ う し た ナ ギ の ﹁タイ ポ フ オト﹂ の影 響. Z ω。. 号 の ﹁カ メ ラ の報 告﹂ ま で、 ほ ぼ毎 号 に及 ん で ″グ ラ フ特 集 ″が 組 ま れ る こと にな. 一九 三 二年 十 一月 部 戦 線 カ メ ラ ード﹂ と し て登 場 す る。 以 降 、確 認 し た 限り では 、. と いう わ け であ る。. に見 ら れ た よう な 記 号 や矢 印 の使 用 は抑 え ら れ ており 、視 覚 の運 動 と 方 向 性 は 、 矢. は 、 読 者 の尖 端 的 、猟 奇 的 興 味 を 大 いに満 足 さ せ た にち が いな い。 ま た 、視 覚 的 に. 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ ラ フ特 集 ″ あ た か も 犯 罪 現 場 の証 拠 写 真 のよう に提 示 さ れ る ﹃. ネ ー ム﹂ を 写真 と 写真 の間 に配 置 す る こと で、 物 語 の 声 映 画 の字 幕 を 連 想 さ せ る ﹁. 構 造 化 さ れ た ″グ ラ フ特 集 ″を 眺 め る こと によ って、根無 し 草 的 な 都 市 住 民 特 有 の. 印 や記 号 では な く 、 主 に組 写 真 の連 鎖 によ つて決 定 づ け ら れ て いる。 さ ら には 、 無. よう な 線 形 的 な 時 間感 覚 が 生 起 し て いる点 も 見 逃 せ な い。. 浅草 に 不安 を 緩 和 さ せ る働 き も あ った と いう 言 い方 も でき るだ ろう 。 た と え ば 、 ﹁. 生き る人 び と ﹂ には 同 時 期 に お いて流 行 を み る雑 踏 や細 民 窟 への潜 入 ルポ が 、 ﹁ス. 暗 部 の実 態 が 、 スナ ップ 写真 の客 観 的 な 視 覚 によ って克 明 に ﹁ 見 え るも の﹂ と し て. 一一 ﹃犯 罪 科 学 ﹄ に お け る グ ラ フ特 集 グ ラ フ oモ ンタ ージ ュ﹂ の発表 媒 体 であ る 具体 的 な作 品例 を検 討 す る前 に、﹁. 沌 と し て重 層 化 した 大 都 市 の相 貌 を 、映 画 を観 るか のごと く 大 衆 に理解 し やす い形. ナ ップ 写 真 ﹂ によ つて組 み立 てら れ て いる。 そ こ には捉え 所 のな い流 動 的 な 都 市 の. ﹃ 犯罪 科 学﹄ の編集 方 針 か ら ま ず は確 認 し てみた い。雑 誌 ﹃ 犯 罪 科 学﹄ ︵ 武 侠 社︶ は、 一九 三 〇年 六月 に創刊 され、 いわ ゆる犯罪報道をはじめ、探偵実話、 ルポ ルタ. 式 で報 告 し て い った の であ る。. 記 録 さ れ て いる。 こう し た スナ ップ し た 写真 で再 構 成 され た ″グ ラ フ特 集 ″は 、 混. ージ ュ、犯罪小説などを掲載す る犯罪を テー マとした総合雑誌 であ る。創刊号 の巻.
(3) 伸彦 三堀野正雄 とグラフ 0モ ンター ジ ュ 馬場. (77). 当 初 、 ″グ ラ フ″と いう 言 葉 は 恣 意 的 に使 わ れ て いる も の に過 ぎ な か った よ う で 一九 三 一年 七 月 犯罪 科 学 グ ラ フ﹂ と し て シ リ ーズ 化 さ れ た 特 集 は 、 あ る。 最 初 の ﹁. も 異 な る点 が強 く意 識 さ れ 、新 し い表 現 ジ ャ ン ルと し て意 識 さ れ て いる こと が 分 か. を 、 そ れ はと りも 直 さず 編者 の、撮 影 者 の意 図 を 叫 ん で いる。 物 の形を 単 な る形. 一枚 の写 真 が独 立 し て いな が ら 何 枚 も 続 い て編 集 さ れ る 時 に、 そ こ に無 音 の声. る。 編集 者 は以 下 のよう に力 説 し て いる。. 首 都 貫 流﹂ に 至 って は ″巻 頭 グ ラ フ″ いう 言 い方 に変 更 さ れ 、 同 年 十 二 月 号 の ﹁. 号 か ら は ﹁グ ラ フセ ク シ ョン﹂ と 変 わ り 、 同年 十 二月 増 刊 号 では ﹁グ ラ フ特 集 ﹂ と 翁編 集 雑 記し と 記 さ れ て いる。 これ は 、 こ の新 し い表 現 形 式 が ジ ャ ン ルと し て の. 一月 号 か ら はど しど し こ のグ と し て撮 つた 写真 は古 い。 生活 のな い写 真 は 困 る。. 一九 二 一年 、大 阪朝 日新 聞 の日曜 版 付 録 と し 日本 にお け る グ ラ フ雑 誌 の代 表 は、. 〓一 ﹁ア サ ヒ グ ラ フ﹂ と の ち が い. ラ フ頁 を 発 展 さ せ てみ た いと 思 って いる。. 適 当 な 語 が な か った が ゆえ の語 のブ レ であ ろう 。 ま た 、当 時 の読 者 に と って、 ″グ ラ フ特 集 ″は確 か に刺 激 的 であ った にち が いな いが 、 そ の受 容 と 理 解 に関 し ては 、 混 乱 、 あ る いは 、と ま ど いがあ った こと も 伺え 編 集 雑 記﹂に、 ヨ 一 る。 そ の証 拠 には、 昭 和 七 年 五月 号 の ﹁ 月 号 で募 集 し た ″グ ラ フ 上 った が 、質 に於 いて採 用 す べき も のが 一篇 も な か った のは 、 返 す 返す も 残 念 であ. 国 際 写真 情 報 ﹄ が 、 て発 行 さ れ た ﹁ 朝 日 グ ラ フィ ック﹂ であ ろう 。 翌 三 二年 には ﹃. ・シ ナ リ オ ″は意 外 の不 成 績 だ った。 量 に於 いては編 集 部 を 面 食 は せ る程 の多 数 に る﹂ と あ り 、 フォト ・シ ナ リ オ の懸 賞 公 募 に意 図 した よう な 作 品 が集 ま ら な い編 集. る。 と り わ け ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ は 、写 真 を 大 胆 に使 った大 型 雑 誌 と し て知 ら れ 、 文. 二 三年 に は ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ が 創 刊 さ れ、 出 版 界 に は グ ラ フ雑 誌 のブ ー ム が 起 き. 多 く の読 者 には、 こ の ″グ ラ フ特 集 ″ が 新 し い写真 の形 式 であ る のか 、 そ れ と も. 章 は 見 出 しと 説 明文 程 度 にと ど めら れ 、 写 真 を 最 大 限 に生 か し た編集 方 針 が採 ら れ. 者 の落 胆 の談 が述 べら れ て いる。. 映 画 の シ ョ ットを並 べた も のであ る のか 判 断 でき ず 、十 分 な 理 解 を 得 る こと が でき. て いる。 つま り 、 編 集 の重 心 は徹 底 し て ﹁ 見 る﹂ こと に置 か れ て いる。. ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ で注 目 す べき 点 は 、 イ ラ スト や写真 を 切 り 抜 いて、組 み合 わ せ. な か った 。 つま り 、 ジ ャ ン ル、 形 式 と し て の括 り が曖 味 であ った が ゆえ 、 混 乱 を 招 いて いた の であ り 、 ま た 写 真 映 像 が連 続 す ると いう 視 覚 体 験 に対 し て目 の訓 練 、 つ. 売 特 許 と いう わ け では な か った 。 同時 期 の雑 誌 にお いて既 に頻 繁 に みら れ る流 行 の. 犯 罪 科 学 ﹄ の専 無 論 、 巻 頭 に別 刷 り のグ ラ フ頁 を 置 く と いう 雑 誌 編 集 の形 式 は ﹃. 会 そ のも のを 表 徴 す るも のであ る。 そ れ は 消 費 記 号 と 刺 激 が氾 濫 す る無 秩 序 な 世 界. よう な フ ォト ・モ ンタ ージ ュ作 品 ﹁カ メ ラ幻 想 曲 ﹂ は 、 膨 張 し 、重 層化 し た 都 市 社. な 視 覚 体 験 がも た ら し て いた こと であ る。 た とえ ば 、 おも ち や箱 を ひ っく り 返 し た. ると いう ″フ ォト ・モ ンタ ージ ュ″が いち 早 く 試 みら れ、 報 道 写真 と は異 な る新 鮮. 形 式 であ った。本 文 を オ フセ ット印 刷 で刷 り 、 写真 を 効 果 的 に見 せ るた め巻 頭 を 別. を 捉 え 、 急 激 な 震 災 復 興 を 遂 げ た モダ ン都 市 ・東 京 の心 象 風 景 を 見 事 に表 現 し 、. ま り 読 解 の訓 練 がな さ れ て いな か った の であ る。. 紙 でグ ラビ ア印 刷を 用 いると いう 使 い分 け は 、第 一次 世 界 大 戦 以 降 の印 刷技 術 の進. し かし ﹃ 物 の形 犯 罪科 学 ﹄ の編 集 者 は、 そう し た フ ォト ・モ ンタ ージ ュ作 品 を ﹁. 人 々 の目を 驚 か し 、楽 しま せ た。. 版 画 へと 比 重 を 変 え て い った の であ る。 し か し 同 時 代 に お け る 他 のグ ラ フ特 集 と. 生 活 のな い写真﹂ であ る と 批 を 単 な る形 と し て﹂ 集 め て コラ ージ ュし た だ け の、 ﹁. 展 によ って可能 と な り 、 写 真 表 現 は こ のグ ラビ ア印 刷技 術 の普 及 によ って印 画 か ら グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 、詳 細 に比 較 し て み ると 、 や は り 同 列 ﹃ 犯 罪 科 学﹄ の ﹁. 犯 罪 科 学 ﹄ にお け る ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 、 単 純 に 写 判 し て いる。 実 際 、 ﹃. ー ジ ュ写 真 では な く 、 時 間的 連 続 性 が意 図 さ れ た 独自 の形 式 を 備え て いる。. グ ラ フ︶ を レイ アウト したも のでは な か った 。 そ れ は多 重 に組 み合 わ せ た コラ 真 ︵. に扱 う こと が困 難 な ほ ど 異 質 な のであ る。 興味 深 いこと に、 ﹁ 首 都 貫 流﹂ が 掲 載 さ れ た 昭和 六年 十 二月 号 に は す で に他 誌 に 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ ラ フ特 集 ″と が 、意 図 的 にも 内 容 的 に お け る ″グ ラ フ特 集 ″と ﹃.
(4) ま ず 、 ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ のそ れを 一覧 的 と す るな らば 、 ﹃ 犯 罪 科 学 ﹄ のそ れ は 、 線 状 的 であ り 、 秩 序 づ け ら れ た物 語的 世 界 によ って構 成 さ れ て いる。 いず れも 読 者 に ﹁ 見 る こ と ﹂ を 求 め る 写 真 に違 いは な いが 、 ﹃ 犯 罪 科 学﹄ に お け る ﹁ 見 る こ と﹂ と は、 ﹁ 読 む ﹂ と いう 行 為 に近 い。 ヨ 枚 の写 真 が独 立 し て いな が ら 何 枚 も 続 いて編 集 さ れ る時 に、 そ こ に無 音 の声 を 、 そ れ はと り も 直 さず 編 者 の、 撮 影 者 の意 図 を 叫 ん. は無 化 さ れ る こと にな る。 そ の表 現 は 見 開 き と いう 枠 組 み を 飛 び こえ る こ と は な. 大 宅 に よ れば 、 ﹃ 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ ラ フ特 集 ″は、 ﹁カ メ ラ の対 象 を 初 め、 ア ング. 判 型 であ る点 も 見逃 せ な い。 大 型 な タ ブ ロイ ド サ イズ の ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ では 、 机. そ の意 味 で、 ﹃ 犯 罪 科 学 ﹄ と いう 雑 誌 が 、手 にと って読 む こと が でき る ハン デ ィな. く ると いう 行 為 には、 前 後 の頁 を 空 間 的 、 時 間 的 経 験 へと 置 き 換 え る効 果 が あ る。. 対 し 、 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 複 数 頁 に よ って構 成 さ れ る こと であ る。 頁 を め. 次 に特 徴 的 な のは、 ﹁フ オト oモ ンタ ー ジ ュ﹂ が 一頁 で完 結 す る表 現 であ る の に. 一枚 の写 真 を ﹁ イ デオ ロギ ーを 働 か せ て﹂ 意 図 的 に再 編 集 し 、 新 たな視 覚 的 コン テ. ンテ ク スト か ら 切り 離 し再 配 置 しただ け の集 合 写真 では な く 、 スナ ップ さ れ た 一枚. し 、 ひ と つの言 説 装 置 と し て発 動 さ せ る こと が 目論 ま れ て いる のであ る。 そ れ は コ. れ ば 、 ﹁グ ラ フ ・ジ ャ ー ナ リズ ム﹂ と ﹁フ ォト oモ ン タ ー ジ ュ﹂ の方 法 論 が 融 合. に、 全 体 を も 一つの テー マで統 一し よう と した﹂ 実 験 的 な 試 み であ った。 言 い換 え. 各 部 分 に そ れ ぞ れ 一つ の重 心 を 典 へる と 共 る﹂ こ と が 要 求 さ れ る も の であ り 、 ﹁. ルやポ ジ シ ョンや ライ ト に いた るま で、 イ デオ ロギ ーを 働 か せ て、十 分効 果 を あ げ. の上 に置 いて眺 め 回す ︵一覧 す る︶ と いう 読 書 行 為 が普 通 と な る が 、菊 判 ︵ 願い×. ク スト を 創 出 さ せた表 現 であ った。. ﹃ 犯 罪 科 学 ﹄ にお け る ″グ ラ フ特 集 ″ の転 機 と な った ﹁ 首 都 貫 流﹂ に は 、 扉 の 頁. は 、 瞬 間 あ る いは 同時 並 列 的 な 出 来 事 の集 積 と し て 受け 取 ら れ る。 切 り 刻 ま れ て コ. 一方 、 一覧 的 受 容 形 式 であ る ﹃アサ ヒ グ ラ フ﹄ の ﹁フ オ ト ・モ ン タ ー ジ ュ﹂ で. 頁 を 捲 る ご と に次 第 に時 間 が経 過 し 、 やが ては夜 にな るも のと し て了解 さ れ る。. 置 さ れ て いるも のと し て読 者 には了 解 さ れ 、 最 初 の写真 が 仮 に昼 の風 景 であ れ ば 、. く 。 た と え ば 、 川 の写 真 が 組 み合 わ さ れ ると き 、 そ れ は 川 の自 然 な 流 れ に沿 って配. は 、 見 開 き 頁 内 の写真 に 関 し ても 、空 間 的 、 時 間 的 な 前 提 条 件 を 読 者 に与 え て い. ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ の受 容 に お け る こう し た 空 間 的 、 時 間 的 な 読 書 経 験. 作 に関 係 し たも のは 一 一回 ︵ 未 見 があ る か ら 一二回 の可能 性 も あ る︶あ り 、 ほ ぼ全. 内 一回 は増 刊号 ︶続 いて いる。 そ の内 、 写 真 家 ・堀 野正 雄 が 制 月 号 ま で の 三 二回 ︵. 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ ラ フ特 集 ″ では 不 可欠 な 共 働 制 作 者 であ る。 あ るが、 ﹃ ﹃ 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ ラ フ特 集 ″は 一九 三 一年 四 月 号 か ら 始 ま り 、 一九 三 二年 十 二. と は 周 知 の仲 であ る。 写真 表 現 の過 程 では 耳慣 れ な い ﹁ 監 督 ・編集﹂ と いう 役 割 で. で知 ら れ て いる。 撮影 の堀 野 正雄も 築 地 小 劇 場 の舞 台 写真 を多 く 撮 っており 、 村 山. 最 初 の構 成 派 の装 置 ﹁ 築 地 小 劇 場 ︶ の舞 台 装 置 を 制 作 し た こと 朝 か ら 夜 中 ま で﹂ ︵. と し て堀 野 正 雄 の名 前 が 記 さ れ て いる。 村 山 知 義 は 、劇 作 家 、演 出家 であ り 、 日本. に 二人 の著 作 者 の名 前 が併 記 さ れ て いる。 ま ず 監 督 ・編 集 と し て村 山 知義 が 、 撮 影. ラ ー ジ ュさ れ た 写真 は 読 者 に強 いシ ョ ック効 果を 与え るが 、 時 間 的 空 間 的 な 諸 関 係. 次 に何 が あ る のか期待 し な が ら読 む と いう 能 動 的 な行 為 でも あ る。. よう に手 に取 り な がら 容 易 に頁 を 捲 る こと が でき る。 頁を 捲 ると いう 受 容 行 為 は 、. 犯 罪 科 学 ﹄ では 、視 線 の振 幅 、 移 動 は 少 な く 、 書 物 の Dあ︶ と いう 小 さ な 判 型 の ﹃. いる。. いは 今 日 にお け る スト ー リ ィ漫 画 の コ マと コ マの繋 がり のよ う な 効 果を も た ら し て. 一九 三 二年 二月 号 堀 野 と 一緒 に ″グ ラ フ特 集 ″ の編 集 に取 り 組 んだ 大 宅 壮 一は 、. ド ン. で いる﹂ と 主 張 さ れ る よう に、 連 続 す る写真 を ﹁ 読 む こと ﹂ を 通 じ て制 作 者 の メ ッ. セ ツ ト. ゲ ット ・セ ット ・ド ン﹂ にお いて、 こ こ で実 験 さ れ た 組 み 写真 の試 み が 、 ﹃ア の ﹁. ゲ ツ ト. セ ー ジ が受 け 渡 さ れ る の であ る。 つま り 、 一枚 一枚 の写真 は 静 止 し た 写真 像 に過 ぎ. と. グ ラ フ ・ジ ャー ナ リズ ムγ サ ヒ グ ラ フ﹄ に代 表 さ れ る 報 道 写 真 的 ″口絵 グ ラ フ ︵. )1士. な いが 、意 図的 に配置 さ れ る こと によ つて、 見 る者 を 能 動 的 に巻 き 込 み、視 覚 の運. 大 宅. と は ま った く 違 った 概 念 によ って成 立 し た こと を 主 張 し て いる。. 四. ). 動 性 を 生 起 さ せ るだ。 そ れ は 、映 画 にお け る シ ー ク エン ス の繋 が り のよう に、 あ る. (78) 文学 ・文化編 (2008年 3月 甲南女子大学研 究紀要第 44号.
(5) 伸彦 :堀 野正雄 とグラフ 。モ ンター ジ ュ 馬場. (79). こと を 考 え ると 、 ︵ 伊 奈 信 男 の回 は伊 奈 自 身 が 蒐 集 し た 写 真 。 た だ し新 た に用 意 し. る こと が な か った 回 のほ と んど が 編 集 部 に よ って集 め ら れ た 写 真 で構 成 さ れ て いる. 技 術 に檬 る こと﹂ にあ り 、 従 来 の写 真 家 の仕事 は、 写真 を 作 る こと が終 局 の目的 で. 表 現 手 段 は必 ず 写 真 印 刷 批 判 とも 受 け止 め ら れ る。 し か し こ こ で注 目す べき は 、 ﹁. 芸 術 写真 ﹂ 一派 への は 、 写真 表 現を 絵 画 に匹 敵 す る ﹁ 芸 術﹂ と し てき た いわ ゆ る ﹁. ﹁ 個 々 の写真 は、 グ ラ フ全 体 を 構 成 す る為 の 一要 素 に し か 過 ぎ な い﹂ と いう 主 張. B 従 って、あ る主 題 が作 品 全 体 の評 価 に於 ては重 要 な る こと / C 表 現手 段 は 必. た のでは な く 、 既 に発 表 さ れ た 写 真 を 再 構 成 し て いる︶、 堀 野 以 外 のも の に関 し て. あ った が 、 グ ラ フ ・モ ンタ ージ ュの専 門家 は 、写真印 刷 の効 果 を 予 期 し た 写真 原稿. 体 の半 数 に 及 ん で いる。 ﹁ 監 督 ・編 集 ﹂ の役 割 を 果 た し た 共 働 制 作 者 は 、 村 山 知. 犯 罪 科 学 ﹄ の ″グ は表 現 上 の独 自 性 が希 薄 であ ると 言 わざ る を 得 な い。 従 って、 ﹃. を 作 る のにあ ると いう 堀 野 の認 識 であ る。 そ のた め には 、 写 真 家 が 、単 に印 画 を 作. ず 写 真 印 刷技 術 に檬 る こと︱ 等 であ る﹂ と 付 け加え て いる。. ラ フ特 集 ″を 考 察 す る場 合 、堀 野と 堀 野 でな い ″グ ラ フ特 集 ″と を 分 け て考 え る必. 義 、大 宅 壮 一、 千 田是 也 、 北 川冬 彦 、 武 田麟 太 郎 、久 野豊 彦 等 であ る。 堀 野 が 関 わ. 要 があ る。 そ の区 別 は 、 堀 野 に従え ば 、単 な る ﹁グ ラ フ﹂ と ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ージ. るだ け に終 始 す る の では な く 、 グ ラビ ア印 刷 、 写真 網 版 、 オ フセ ット印 刷 な ど によ. 刷 イ ンキ 、印 刷紙 、印 刷 方 法 を 熟 知 す る こと は、創 作 行 為 の 一環 であ った。 こう し. と であ る。 写真 家 が印 画 紙 に こだ わ る よう に、作 品 の仕 上 が り を 左 右 す る製 版 、印. よう す る に、 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は印 刷 さ れ て初 め て作 品 と な ると いう こ. が重 要 だ と 主 張 し た 。. る写 真 再 現 の効 果を 周 知 し 、 写真 の ニ ュア ン スが予 め変 化 す る こと を 予 測す る こと. ュ﹂ と いう 言 葉 によ って整 理 さ れ て いると い っても 過 言 では な い。. 五 映 画 ・印 刷 ・写 真 グ ラ フ oモ ンタ ージ グラフ ︵ 写真 グ ラ フと と ﹁ 堀 野 は新 し い写真表 現 には、﹁ ュ﹂と いう 二 つの形式 があ ると述 べて いる。. 芸術写 た 印 刷 に よ る大 量 生 産 を 前 提 と し た 写 真 のあ り 方 は 、印 画 を 前 提 と し た ﹁ 真 ﹂ か ら の決 別を意 味 す る。. グ ラ フ ・モ ン タ ー ジ ュ﹂ を 制 作 す るた め の具 体 的 な 方 法 論 を 二通 り 提 堀 野は、 ﹁. 極 め て自由 に、興味本位 に面白 い写真を纏 め て、個 々の写真 より以上 の興味 深 い 一つの目的意 識 コレクシ ョンを作 る方法と、初めからあ る意図を強調す る為 に、. 最 初 、 あ る イ デ ーを シ ナ リ オ に纏 め 、 そ れを 更 に コ 示 し て いる。第 一の方 法 は 、 ﹁. ン テ イ ニテ ィに ア レ ンジ し てか ら 、 個 々 の素 材 を 蒐集 し て 一つの作 品 を 構 成 す る方. を忘 れな いで個 々の写真を アクティブな効果を典 へる様 に構成する方法とが現在 試 みられ て いる。. 意 タ ージ ュ﹂ であ るた め には 、 写真 を 撮 る、 収 集 す る こと の目 的 と し て、 作 者 の ﹁. グ ラ フ ・モ ン 上 で堀 野 が 関 与 し た ﹁グ ラ フ ・モ ン タ ージ ュ﹂ であ る。 す な わ ち 、 ﹁. 犯罪 科 学 ﹄ 誌 面 う な 一覧 的受 容 形 式 の ﹁フ ォト ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ であ り 、後 者 が ﹃. 前 者 が 、堀 野 の関 与 し て いな い ″グ ラ フ特 集 気 あ る いは ﹃アサ ヒグ ラ フ﹄ のよ. 誌 な ど の印 刷物 の複 写 が 混 在 す る こと も あ った。. ー ク の中 か ら拾 い出 す こと も 含 ま れ て いる。 そ のた め実 際 に撮 影 さ れ たも のと 、雑. 要 と さ れ るが、後 者 は 雑 誌 な ど に掲 載 さ れ た 写真 の複 写 や写 真 家 の既存 の フ ォト テ. は 、 シナ リオと コン テ ィ ニテ ィに基 づ いて ロケ ハンを 行 い実 際 に撮 影 す る こと が必. テ ー マを 強 調 す る為 に、 そ れ を よ り 効 果 的 に ア レ ンジ す る 方 法 ﹂ であ る。 前 者 に. 蒐 集 さ れた コレ ク シ ョン の内 か ら 、あ る 法 ﹂ であ り 、第 二 の方 法 は 、 あ ら か じ め ﹁. 意 図﹂ に従 って写真 を 撮 り 、 収 集 し、効 果 ね ら つて 図﹂ が な く ては な ら ず 、 そ の ﹁. 作 用 に比 重 を 置 いて いる こと を 示 し て いる。 こう し た 写 真 の混 在 は 、 ﹁フ オト ・モ. 複 写と 実 際 の撮影 を 混 在 さ せ ても 構 わ な いと す る制 作 態 度 は 、構 造 化 によ る意 味. 堀 野 は さ ら に、 従 来 の写 真 表 現 と ﹁グ ラ フ ・モ ン タ ー ジ ュ﹂ と の相 違 点 に つ い. ンタ ージ ュ﹂ には し ば し ば み ら れ る 現 象 であ った。 た が し か し 、 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ. 構 成 し な け れば な ら な い のであ る。. て、 ﹁A 個 々 の写 真 は 、 グ ラ フ全 体 を 構 成 す る為 の 一要 素 に し か 過 ぎ な いこ と /.
(6) (80) ). 文学 ・文化編 (2008年 3月 甲南女子大学研 究紀 要第 44号. 性 と 信 憑 性 を 損 な わ な いよ う 、堀 野 は 極 力 新 た に取 材 し て撮 影 さ れた スナ ップ 写 真. 刷物 の複 写 や既存 の フ ォト テ ー クを 使 わ な く な る。意 図 さ れ た イ デオ ロギ ー に真 実. ︱ジ ュ﹂ の実 践 が 繰 り 返 さ れ 、次 第 に形 式 と そ の概 念 が定 ま る に つれ て、 堀 野 は印. さ せ る こと が有 効 であ る。 移 り 変 わ る都 市 の表 情 を 摂 取 す る た め には 、 瞬 間を 写 し. け るも の であ った。 巨 大 な も のを 把 握 す る た め には、 写 真 によ って対 象 を ﹁ 縮 小﹂. 真 ﹂ 作 品 は 、断 片 的 か つ機 械 的 な 報 告 であ り な がら 、同時 に東 京 の ﹁ 性 格﹂ を 枠 づ. 型 カ メ ラと 高 感 度 フ ィ ル ムを 駆 使 し 撮 影 さ れ た スナ ップ 写 真 に よ る こ の ﹁ 組 み写. か つて、 小 説と 映 画 の間 にそ の社 会 的 優位 性 を 比較 す る議 論 が 、 日本 の文 壇 を. メージ の組 合 せ によ ってす で に人 び と に経 験 さ れ て いた と いう 。. 板 垣 に よ れば 、 グ ラ フ形 式 に関 す る 理解 は 、無 声 映 画 によ る文 章 ︵ ネ ー ム︶ と イ. 取 る スナ ップ 写真 の技 術 が 不 可欠 であ った 。. を 使 う よう に心 が け て いる。 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 、 ゝ ﹂う し た 制 作 過 程 と 印 刷 に よ る 再 現 を 必 要 と す る 表 現 であ る が故 に、撮 影 行 為 に専 念 す る 写 真 家 のほ か に、 予 め シ ナ リ オ を 書 いた り 、 コン テを 描 いた り 、 効 果 的 な レイ アウト を 考 え る共 働 作 業 者 が 不 可欠 であ った. そ の役 割 分 担 が映 画 にお け る カ メラ マ ンと 監 督 の関 係 に類 似 し た イ メージ に捉 え ら. 賑 は し た こと があ つた 。 言 葉 を 透 し て表 現 さ れ る芸 術 よ り も 直 接 のイ メージ によ. のであ る 。 村 山 が ﹁ 首 都 貫 流﹂ にお いて ﹁ 監 督 ・編 集 ﹂ と ク レジ ット さ れ た のは 、. れ て いた か ら であ る。 ま た 、印 刷を 基 本 と し た そ の表 現 形 式 は 、 複 製 技 術 に支 え ら. つて構 成 さ れ る芸 術 の方 が 、 より 現 代 的 であ る︱ と いう 意 向 が 、 こ の機 会 に繰 返. て、既 に普 及 しき って いる と いえ る。. 字 と イ メージ の組 み合 わ せ か ら成 る形 式 は 、 社 会 生活 上 の 一般 的 な表 現技 法 と し. そ の具 体 的 な影 響 を 看 る こと は 出来 な いであ ろう 。 け れ ど も 無 音 映 画 時 代 の、 文. と の間 の構 成 関係 が極 め て複 雑 化 し 特 殊 化 さ れた現状 と し ては 、他 の 一般 芸 術 に. 断 るま でも なく 、映 画 の表 現 中 に聴 覚 的 要 素 が摂 取 さ れ て、 本 来 の視 覚 的 要 素. 代 人 の理 解 力 が特 に映 画 的 に訓 練 さ れ て いる こと であ る。. を 惹 く 著 し い現象 は 、 現 代 芸 術 に対 し て直 接 間接 の影 響 を 与 え て いる こと と 、 現. し か し 、 これ等 の分 析 を 別 にし ても 、 ﹁ 現 代 の特 質﹂ を 理 解 す る 上 で特 に興 味. し 説 か れ た。 ︵ 中略 ︶. れ た メ デ ィ アと いう意 味 にお いて、映 画 にお け る集 団的 受 容 を 連 想 さ せ る。 堀 野 にと って映 画 と 写 真 と 印 刷 の三様 は 、 区 別 さ れ るも の では な く 、水 面 下 にお いて ﹁一脈 の岩 の連 続 ﹂ と し て受 け 止 め ら れ て いた のであ る。. 我 々 の時 代 に於 て社 会 の最 尖 端 に存 在 す る 一つの大 き な 流 れ こそ 、映 画 ・印 刷 ・ 写 真 、 と 称 し ても 過 言 で は な いと 信 じま す 。 我 々 の生 活 は 之 等 の三者 に依 って コ ント ロー ルさ れ て いる の です 。. エハ 板 垣 鷹 穂 に よ る ﹁グ ラ フ の 社 会 性 ﹂ 最 後 に、 堀 野 が ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ージ ュ﹂ へ傾 倒 す るき っか け を 与え た美 術 評 論. し た 。 板 垣 は そ の後 、 ﹃ 中 央 公 論 ﹄ 貧 九 三 一年 十 月 ︶ の ″口絵 グ ラ フ″ で堀 野 正 雄. れ 、 彼 の代 表 著 作 ﹃ 機 械 と 芸 術 と の交 流﹄ 貧 九 二九 年 ︶ の巻 頭 口絵 にお いて展 開. と し て活 躍 し た 板 垣 鷹 穂 は 、 モ ホ リ = ナ ギ の ﹁タ イ ポ フ オト﹂ を いち 早 く 取 り 入. 周 知 のよう に、 一九 三 〇年 代 に ″機 械 美 学 ″を 標 榜 し 、 写 真 、映 画 、建 築 批 評 家. を 統 一し た イ メージ に仕 立 て て いる。 し か し、 文 字 の大 小 には 、 発声 の強 弱 や読 み. さ せ な いよう 、文 字 に大 小 を つけ たり 、 縦 組 みと 横 組 みを 混 在 さ せ たり し て、全 体. き な のか 、 明瞭 な指 示 は見 あ た ら な い。 む し ろ映 像 と文 章 ︵ ネ ー ム︶ の区 別を 感 じ. を 要 求 す る文章 が交 錯 す る ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ージ ュ﹂ には 、 ど こか ら読 み始 め る べ. の関 係 が より 鮮 明 なも のと な ってく る。 直 裁 的 に視 覚 に訴 え る 写 真 と 線 形 的 な 読 み. 板 垣 の議 論 に寄 り 添 って ﹁グ ラ フ oモ ンタ ージ ュ﹂ を 再 検 討 し てみ ると 、映 画 と. と コンビ を 組 み、 ﹁ 大 東 京 の性 格 ﹂ と 題 し た 日本 にお け る ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ージ ュ﹂. の進 行 時 間 を コント ロー ルし よう と す る意 図 が読 み取 れ 、 ま さ しく こ こ には板 垣 が. 家 ・板 垣 鷹 穂 に つ いて述 べる こと で本 稿 を 締 め く く り た い。. の先 駆 的 な 作 品 を 発表 し た 。 震 災 復 興 を 経 て膨 張 す る都 市 ﹁ 大 東 京﹂ の相 貌 を 、 小.
(7) 伸彦 三堀野正雄 とグラフ 。モ ンター ジュ 馬場. (81). 絵 画 か ら 写真 へ、 写真 か ら グ ラ フ ヘの道 ﹂が 展 開 さ れ て いる。 指 摘 した ﹁ 終 点﹂ ︵ 一九 三 二年 三 月 号 の ﹁ 写 真 ︶、 同年 六 月 号 の ﹁ 浅 草 に生 き る 人 び と ﹂ ︵ 写 水 上 生 活 者 ﹂︵ 真 ︶、 同年 八月 号 ﹁ 写 真 ︶と 回を 重 ね る た び に、堀 野 の ﹁グ ラ フ ・モ ン タ ージ ュ﹂ は 、 さ ら に映 画 の視 覚 へと 接 近 す る。 あ た かも ジ ガ ・ヴ ェルト フ の ﹃カ メ ラを 持 った 男 ﹄ 貧 九 二九 年 、 ロ シ ア︶ のよう に、 分 割 、接 写 、 俯 蹴 、多 重 露 光 な ど のシ ョ ット が 効 果 的 に使 用 さ れ 、 一層 の モ ンタ ー ジ ュ効 果 が期 待 さ れ て いる。 都 市 の断 片 や細 部 を 微 視 的 に スナ ップ した 写真 と 全 体 を 俯 隊 す る巨 視 的 な 写真 、 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ー ジ ュ﹂ は 、複 雑 化 し て カ タ ログ のよ う に部 分 に触 れ る こと し か でき な い大 都 市 の相 貌 を 、客 観 的 な ﹁ 機 械 の目﹂ によ つて自 在 に切 り 取 り 、組 み合 わ さ れ 配 置 さ れ る こと で線 形 的 に連 続 す る視 覚 へと 変 え て い った。 そ こ では混 沌 と し漠 然 と し て いた は ず の世 界 が 、あ た かも 映 画 を 観 る が ご と く 理解 し やす い形 式 に 整 え ら れ て いる。 不 可 視 と な って いた 都 市 の裏 面 と 暗 部 は 、 ﹁グ ラ フ oモ ンタ ージ ュ﹂ によ って誰 の目 にも 理 解 でき る 出 来 事 へと 置 き 換 え ら れ て いく 。 ﹁グ ラ フ ・モ ンタ ージ ュ﹂ に は 、 メ デ ィ ア的 経 験 が 現 実 的 経 験 に先 行 し 優 勢 と な って いく 、 ﹁メ デ ィ ア的 現実﹂ の萌 芽 を み る こと が でき る。 こ の メ デ ィ ア的 リ アリ テ ィ こそ 、 プ ロ. 、 。 く>ZZ日r︻ ∽日> [﹁C日⊂月日∽〓 や ﹁〓 〇 日0 0 刀> ”工 く ] 日 ①﹃2 oc巨 一 ∽〓q ∽ に 紹哭 T さ れ て い る. 0 ﹁ タイポ フオト ︵ 3 と は何か。/ タイポグ ラ フィーは印 刷 で形 にされた伝 達 で 日をo ♂[ あ る。/写真は光学的 に把握 でき るも のの視覚 的表 現 であ る。/ タイポ フ オトは視覚 的 に最も厳密 に表 現 された伝達 であ る。 モホ リ=ナギ ﹃ 絵画 。写真 ・映 画﹄ バウ ハウ ス ﹂︵. 一九 三三年七月︶ 叢書 8、中央公論美術出版、. 0 モホリ=ナギ によれば、﹁ 映画 ︽大都市 のダイナミズ ム︾は何かを教え る のでも なく、. 道徳を説く のでも 、物 語を語 る のでも な い、それは視覚的 に、ただ視覚 的 に のみ作 用す るはずだ。視覚的なも のの諸要素 は そ こ にお いて論 理的 に相 互 に結 び ついて いるわけ で. はな い、 にもかかわらず それら は写真 的 。視覚的関係を 通し て時空 間的 出来事 の生き た. 連鎖を つくりあげ、観衆を積極 的 に都 市 のダイ ナ ミズ ムに引き 入れ る。 ﹂も のだ と さ れ る。文字、記号、写真を印刷平面 上 に レイ アウトす る こと により、伝 達 は線 の次 元を 超. え て、同時的、電 送的とな る。 ﹁ 映画 の時代﹂ の視覚 的態 度 か ら タイポ フオト﹂と は、 ﹁. 誕生した新 し い伝達形式と いう こと にな る。 0 フオト ・シナリオ懸賞募集. 0 ﹃ 犯罪科学﹄武侠社、 一九三〇年 六月 一日 ︵ 第 一巻第 一号創刊号︶. 長足 の進歩を し て いる我 がグ ラ フ界を常 にリード し て来た本誌 は、更 にシ ナリオを募 る。まだ世界 で 一度も試 みられた こと のな いフオト ・シナリオー敢 て天才 の開拓 を待 と. でありた い。 一、各 頁毎 に撮影す べきも のを ま と め、これ にそ の主 題とネ ー ム ︵ 写真 説 明︶を 附す. 規定 一、﹃ 犯罪科学﹄ の巻頭グラ フに相応 し いも の。興味深く、しかも芸術的進取的 なも の. い。. 一、撮影す べきも のは、時候 や土地 に、 ︵ 殊 に外国は不可︶を考慮 に入れ て監督構成者. パ ガ ンダを 意 図 し た 戦 時 下 にお け る グ ラ フ雑 誌 の隆 盛 に 結 び つく 視 覚 に ち が いな. 江 ヽ. カメラ マンの行動を束縛しな い様 に努 めること。 一、被写物 に ついては、なる べく詳細 に書き 入れ て いただきた い。 ︵ カ メラ の位 置、時. 一、構成者、 カ メラ マンは当選発表と同時 に発表す る。 一、〆切は 二月末 日。. 間、ダブ ル、 モンタージ ュ等構成技 巧筆 ︶ 一、採用 の分 には薄謝を呈す る。. こ と 。. 0 伊 奈 信 男 ﹃ 写 真 昭和 五十 年 史 ﹄ 朝 日新 聞 社 昭和 五十 三年 四月 ② 木村 の ﹁ 新 興 写 真 ﹂ に関す る主 張 は 、 ﹃フ オト タイ ム ス﹄ 一九 三 一年 八月 号 の ﹁ そ の後 の新 興写真 運 動 ﹂ に述 べら れ て いる。 ﹁ 従 来 の写真 術 に対 す る 一切 の概 念 を 捨 て て、 科 学 的 な 眼 によ つて対 象 物 を 見 直 さう と す る態 度 は は つき り し て来 た 、 カ メ ラを カ メ ラ以 上 に駆 使 す る技 術 を 朧 げ な が ら にも 獲 得 す る こと が 出 来 た 。 ⋮ 傾 向 的 には 写 真 印 刷 、 又 は. グ ラ フ ・モンタージ ュの実際﹂、 ﹃ 0 堀野正雄 ﹁ 光画﹄昭和七年七月所収. 大 量 生 産 を 前 提 と し。 技 術 的 には メ カ ニズ ム の認 識 と レ ンズ アイ の肯 定 。 対 社 会 的 には あ ら ゆる社 会 層 、 又 は生 活 層 に向 か つて の広 汎 な応 用 写 真 術 の開 拓 が 我 等 の宣 言 し た 主. 映画 o印刷 o写真﹂、 ﹃ 0 堀野正雄 ﹁ 現代写真芸術論﹄天人社 一九三 〇年 六月所収 グ ラ フの社会性﹂ ︵ ⑩ 板垣鷹穂 ﹁ 板 垣鷹穂 ﹃ 芸術界 の基調と時潮﹄六文館 、 一九 三 二年 二 0 板垣鷹穂、前掲書. 月︶. 張 であ つた の であ る。 ﹃フ オト タイ ム ス﹄ 一九 三 一年 八 月 号 木 村 専 一 ﹁ そ の後 の新 興 ﹂︵ 写真 運 動﹂ 所 収 ︶ 0 フ ォト モ ンタ ー ジ ュに関 し ては ド ー ン ・エイズ 、 岩 本 憲 児 訳 ﹃フ オト モ ン タ ー ジ ュ 操 作 と創 造 ﹄フ ィ ル ム アート社 三 〇 〇 〇年 十 二月 が参 考 にな る。ま た未 来 派 の写 真 は oδ ︲.
(8) 甲南女子大学研 究紀 要第 44号. 文学 。文化編 (2008年 3月. (82). ). Masao Hori 2貶 Glraph Montage 一―――― Reconstituted reality of media―. BABA Nobuhiko αgθ "which newly Abstract: In the magazine“ Haん zα J Kagα た ", Masao Horino who practiced the“ Grttρ んMo湾 ′ “ appeared in 1930's, Nobuo lna and Takaho ltagaki, active critics of photographs defined the position of the 呻 乃Moκ rα g`" in the stream of new arts in Westem Europe.That is to say, in the history of expression, it. ``(3・. was regarded as introduced from Western Europe and translated into Japanese。 However,a survey of a series of works named“. αg`"rnade us know that it had gradually acquired Grα ρtt νθη′. a style of expression of its own through trial and error, though it looked like a literal translation at the carly stage of the introduction。. There, the desires of the masses to peep excitingly and safely the dark or back side of the society through “scenario" Πlight have. the sight of rnedia were symbolized,and the composition and the form which required a been a new expression that bridged over the photograph news and the movies.. αg`" were ``real photos".But,the composition consisted Basically,the photographs used in the “Grα ρtt νθκ′ of a set of continuous photographs was ingeniously controHed by the intention of the producer. If l dare to cite a similar work,it would be the■. lm“ ハイαη Иガル θ θソJθ θα θ″ "by Dziga― Ve■ ov(1929, “. Russia)。 They have both oЦ ecti宙 ty and reality acquired through the“. “. camera― eye"and. narat市 es stmctured by. the organizer,and they are persuasive enough as a means of expressing the complicated aspects of large cities. In this report, I singled out the " gα た ∫. “Grα ρカ ハ イθ4ragι " which won popularity in the magazine. “武Qκ zα j Kα―. of 1930's and l investigated the relevancy with the art of reproduction of rnovies or printings.. “. 要 旨 :雑 誌 『犯罪科学』 におい て,1930年 代 に登場 した新 しい「 グラフ 0モ ンタージュ」 は,そ の実 践者 である堀野正雄,ま た写真評論家 として活躍 した伊 奈信男 や板垣鷹穂 らによつて,西 欧で勃興 した 「新興芸術」 の流れの中に位置づ け られてい る。「グラフ・モ ンタージュ」 と名付 けられた一連 の作品群 を概観 してみると,移 入初期 においては直裁的 な翻訳 のようであったが,そ の後試行錯誤 を経 て次第 に 独 自の表現形式 を獲得 していったことが分かる。そ こには社会の暗部や裏面 をメデ イアの視覚 を媒介 に して安全かつ刺激的 に覗 き見たい とい う大衆 の欲望 が表象 され,ま た,「 シナ リオ」 を必 要 としたその 構成 と形式 は,写 真報道 と映画 を架橋す る新 しい表現 であつたにちがい ない。.
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