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認識的モダリティを表す副詞 : 仏日対照言語学の視点から(その1)

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(1)認識的モ ダリテ イを表す副詞 仏 日対照言語学 の視点 か ら 甲. (そ. :. の 1)D. 斐. o.モ ダリテ イ (mOdalit6)の 概念 は,研 究者 に よって随分 と異 なる。従 っ て,モ ダリテイに関わる問題 について論ず る場合 には,論 者がモダリテ イと い うものについて, どのような立場 をとってい るのかを明確 に してお く必要 があろ う。我 々の考 えてい るモ ダリテ イの概念 は,M.― A.Morel,Ao Mcunier らのモダ リテイ概念 とほぼ同一である。すなわち,モ ダリテイを,自 らの発 話 に対す る話者 の何 か しらの心 的態度 を表すあ る種 の言語形式 ,と 定義す る。 この定義 を基盤 として,モ ダリテ イを二つ に大別す る。一つ は発話行為 のモダリテイ (mOdalit6s d'6nonciation)と 呼 ばれるもので,聞 き手 との関係 における話者の発話態度 を表す ものである。 これは,い わゆる異なる文 のタ イプによって実現 され,平 叙文 (d6claratif),指 令文 (ittonctif),疑 問文. (in_. terogatif)の 三つがあ り,各 々,断 定 (affimatiOn),命 令 (ordre),質 問 (ques_. tionnement)を 表す。それに対 して,発 話のモダリテイ (mOdalit6s d'6nonc6). とい うものが あ り,こ ちらは発話内容 に対す る話者 の態度 を表す もので あ るの。 これに加えて Morel,Mcunierら は伝達 のモダリテイ (mOdalit6s du mes― sage)を 認 めてい るが,こ れについ ては本論 の 内容 とは直接 関係 が ない の で,こ こでは触 れない こととす る。 この よ うなモ ダリテ イに対す る考 え方 この論文 は 2000年 6月 ,パ リ第Ⅲ大学 に提出 した DoEoA。 論文 である 《 Etude con― の一部 を 廿astive des marqucurs de modalit6 6pist6miquc en ian9ais et en japonais》 大 きく再構成 した ものである。なお (そ の 2)は ,2001年 3月 発行予定 の 『 ヨー ロ ッパ文学研究』第 24号 に掲載 される予定である。 詳 しい定義 については,M.Piege et ale(1994),p.580-583参 照。.

(2) 認識的モ ダリテ ィを表す副詞. は,c・ Ballyの モ ダリテ イ論 を基盤 に してお り,Mcunier自 身 もそ の こ とを 3。. 明言 して い る. 日本語学 の分野 で は,BJlyの モ ダ リテ イに対 す る見方 と同様 の 見方が有 力 で ある。益 岡 は. ,. 日本語 の文が基本的 に,客 観 的 に把握 され る事柄 を表す要素 と,表 現者 の主 観 的 な判 断 ・表現態度 を表す要素 の二 大要素 で構成 され る, とい う 構造観 は今 日で は多数 の 日本語研 究者が受 け入れて い る有力 な見方 で あ る。 (1991,p.33). と述 べ て い る。 この 構 造 観 は,正 に Ballyの 示 す ,発 話 を mOdusと dictum とい う二 大要素 に分 け る とい う彼 の構造観 と完全 に合致す る。. La partie de l'6nonc6 qui exprime le jugement ou la volont6(。. …)est. appC―. 16e“ θ グs; 1'o切 et du mOdus(.… )est contenu dans leグ Jθ ″ (Bally,. “ “. “. 1942,p.3). 益 岡 は さ らに. ,. ここで 見落 としてな らない こ とは ,文 の組 み立 ての基 本 を命題 とモ ダ リ テ ィとい う異質 の二 要素 の結 合 とす る考 えが 日本語 の言語事実 を見 つ め る 中か ら独 自に生 まれて きた , とい う事実 で ある。多 くの文法概念 を印 欧語研究 の 成果 の 中 か ら取 り入れて きた 日本語文法研 究 にお い て ,文 構 造 の 見方 に独 自の視点 を持 ち得 た こ とは,特 筆 に値す る。 日本語以外 の 言語 を対象 と した研究 で は,こ う した見方 をその主流 の 中に見 出す こ と はで きない。 (1991,p.34). 3)1999-2000,パ リ第Ⅲ大学修士課程. (MaFtrisc)開. ●on》 で氏は,何 度かこのことに言及 している。. Syntaxc et 6nonda― 講のゼ ミ 《.

(3) 甲 斐. 基 文. と述 べ て い るが ,Ballyの モ ダ リテ イ論 は,フ ラ ンス語学 の分野 で は広 く受 け入 れ られて い る ものであるので ,引 用 した記述 の最終部分 は,い ささか言 い過 ぎの感 は否 め ない 。 さて ,我 々が ここで扱 う認識 的 モ ダ リテ イ (mOdalit6 6pist6miquc)は. ,発. 話 のモ ダ リテ イの一種 で ,話 者 が 自らの発話 内容 の真実性 に対 し,ど の程度 の確信 の度合 い を もって発話 して い るか を表す ものであ る。 この認識的 モ ダ リテ イは様 々 な手段 で 実現 され る。 フラ ンス 語 の 場 合 につ い て Lc Querler は次 の よ うに述 べ て い る。. Les marqucurs dc la modalit6 6pist6nliquc sont trё s vari6s. IIs peuvent etre. gestuels ou intonatifs(une moue dubitat市 e ou une intonation marquant. l'6tonnement par exemple),lexicaux(verbes modaux,adverbes modaux, proposition en incisc),ou morphologiques(modes verbaux).(1996,p.71). 本論文 の対象 となるのは,上 で述べ られてい る語彙的手段 の一つである副 詞 とい うことになる。. 1.フ ラ ンス語 においてモダリテイを表す副詞 は一般 に法副詞. (adverbes mo―. daux)と 呼 ばれてい る。法副詞 は統辞 ・機能的 には,文 全体 をその作用域 に おさめる文副詞 である。 この点 に関 しては,研 究者 の間で意見の一致 をみて い ると言 ってよいだろ うが,注 意 を必要 とす ることは,法 副詞 とい うカテ ゴ リーの中にどのような副詞 を入れるかが,研 究者 によつてまちまちであると い う事実である。 これは主 として,研 究者 のモダ リテイ概念 に対す る立場が 様 々である とい う事実 を反映 してい る もの と考 え られ よ う。古 くは,J.― P.. Sucur(1975),A.Bo五 1lo(1976),0。. Mφ rdrllp(1976),E.Roulet(1977),. そ して最 近 で は Co MOlinier(1990),C.Guimier(1996)な. どが 副 詞 の 分 類. を試みているが,法 副詞 とい うカテゴリーに関して,完 全に統一 した見解 は ない。我々が ここで取 る考 え方は,主 に Sucur,Borilloの 分類 に基づいてい.

(4) 認識的モダリテイを表す副詞. 20. る。. Sucurは. peut―. etreと sans douteの 意味 が ,pOuvdrと devOirの 表 す認 識 的. 意 味 と近 い とい う事実 を指摘 した上 で ,こ れ らを adverbes de modalit6と 呼 力ゝ 。. Ces adverbes bnt partie d'une dasse que nous appdons:adverbes de modalit6。. Nous d6inirons cettc classe par une seule propH6t6 syntaxiquc:. appartiennent a la classe des ADV MOD les adverbes qui peuvent apparrtre. en position des ADV dans la strllcture(1):(1)一. 型. quc P・. (1975,p.. 263). この 記 述 か ら,sucurに とつて は ,意 味 的 に は pouvOirと devOirに よ っ て 表 され る認 識 的 モ ダ リテ イの意 味 を表 し,統 辞 的 には Adverbe quc tt P。 とい う構 造 を とる 副 詞 が法 副 詞 な の で あ る。 Bo五 Hoは ti亀. ,そ の 意 味 的 ,統 辞 的特 徴 か ら,断 定 を表 す 副 詞. )を 三 つ に 下 位 分 類. (adverbes asser―. し,そ の う ち 一 つ を法 副 詞 に 相 当 す る と考 え て い. る。. Un premier groupe rassemblerait les adverbes expHmant un jugement d'affir― mation sur une v6rit6 ressentie par le locuteur coΠ. IIne une certitude plus ou. moins forte dans l'ordre d6croissant: θιr′ αJη ι ι4ち ρrθ bα bJι “. ―. Ces adverbes sont ceux que l'on appellc g6n6ralement adverbes modaux. et que l'on fait correspondre)1'interpr6tation du《 voir。. rθ ιんち ρι ′′ “`― “. possible》 de pOuvoir et de―. (1976,p.86). 上 記 の 引用 部 分 の 記 述 か ら も分 か る よ うに,BoHlloも Sucurと 同様 に,意 味 的観点 か らは devoir,pouvoirの 認識的意味 に相応す る意 味 を表す副詞 を法 副詞 と考 えて い る。.

(5) 甲 斐. 基 文. Lc Gofficは この ような副詞 の ことを circOnstants de phrase modauxと. 呼. び,prObablement,certainement,sOrement,peut― etre,sans douteが それにあたる としている。意味的観点か らは,そ れ故 Sucur,Bori1loと 同 じ考 え方 をとっ てい ると思われる。そ して,こ れ らの語句 の分布的特徴 を次 のようにまとめ てい るが,従 って,こ れは言 いかえれば,我 々の言 う法副詞 の統辞 0分 布的 特徴 と言 えるの。. 動詞 の後 の位置 ,特 に助動詞 と分詞 の間で用 い る。 ″ ι ん′6t6retard6. “ 文頭 の位置 で用 い る。 ただ し,接 辞的主語人称代名詞 の後置 を伴. 夕J)Il. a s扮. う。 θPaul a― i16t6retard6。 例 )sα κ∫グθ ′ “ 文 頭 の 位 置 で 用 い る 。 た だ し,que+P.の 構 造 を伴 う。 t―. ― θ′ rι qu'il poura venir. 例 )Pι ″ “. 以上 の こ とか ら,我 々は ここでは,以 下 の特徴 を もつ副詞 を法副詞 を呼 ぶ こ ととす る。. i。. 意味的 に,pouvoir,devoirの 認識 的 モ ダ リテ イの意 味 を表す。. 五.統 辞 ・機能的 には文副詞 で ある。 面 .統 辞 ・分布 的 には,上 で記 した Lc Gofficの 示す特徴 を もつ 。. 2。. フ ラ ンス 語 の 認 識 的 モ ダ リテ イ付 与 子 で あ る 法 助 動 詞 の devoir,pou―. voir,法 副 詞 の peut― etre,sans doute等 が 表 す意味 を 日本語 で 表 そ う とす る と,多 くの場 合 に,「 だ ろ う」「 にちが い な い」「か も しれ な い」 とい う表現 を用 い る。 これ らの 表現 につ い て は,仁 田 (1981),野 田 (1984)を は じめ と して様 々 な論 考 が な されて きた。 まずその統辞 的佃1面 に関 して ,仁 田は次. 4)Lc Gomc(1994),p.463参 照。.

(6) 認識的モダリテ イを表す副詞. 22. のように述べている。 これらを助動詞相当,或 は一つの文末 ・句末表現 として分析 ,記 述 して い くことが必要になって くるだろうし,ま た,こ うい う分析 にも,そ れ な りの正 当性 は存 してい るもの と思 われる。 (1989,p.89). 又,大 鹿 (1993)も 同様 の考 え方 を示 してい る。 所謂 モ ダリテ イ論 では「か もしれない/に ちがい ない」等 がはっきりと 述語構造 の中に位置付け られてい る. (.…. )。. (1992,p.128). 「……だろ う」 と「……か もしれない」「…… ちがい ない」 とは一般 にと もに所謂推量 とい う働 きをもつ助動詞乃至 は助動詞相当形式 として考 え られてい るように思える。 (1993,p.96). このような記述 か ら,以 下では,こ れらの文末,句 末表現 を助動詞相当表現 とみな し,一 部 で用い られてい る用語 を借 り,組 立式助動詞 と呼ぶ こととす る。 次 に意味的側面 に移ろう。 まず小池は次 のように述べ ,こ れ らの表現 はモ ダリテ イ表現 である としてい る。 「にちが い ない」「と思 う」「のでは なかろ うか」「か も しれない」 な ど も,「 だろ う」 と同様 にムー ドを表 してい る。 (1994,p.216)い そ して,こ れ らの表現 に関す る益 岡の次 の記述 をみると,こ れらが,我 々 の言 うところの認識的モダ リテ イを表す ことがはっき りと分 かる。. 5)小 池氏 はム ー ド. (法 )と い う用語 を用 い てお られ るが ,氏 のムー ド (法 )の 概念 は,我 々が ここで考 えて い るモ ダリテ イの概 念 と同 じと考 え られ る。.

(7) 甲 斐. 基 文. すなわち,「 に違 い ない」 は確 かさの非常 に高い度合 い を表 し,「 か もし れない」 は低 い度合 い を表す。 (1991,p.H5) 又 ,仁 田は ヨーロッパの言語学 と対比 しなが ら,次 のように述べ ている。 「∼ニチガイナイ」 が蓋然性の程度が高 いこ とを表す形式 で あ り. (西. 欧. の言語学 で言 う「必然性」 を表す epiStemicな モ ダリテ イによ く対比 さ せ られる もの),「 カモシ レナイ」 が蓋然性 が低 い ことを表す形式 で あ る。 (西 欧の言語学 で言 う「可能性」 を表す epiStemicな モダ リテイによ く対比 させ られるもの。 )(1991,p.61) 他方 三宅は,「 ダロウ」 は推量 を,「 カモシレナイ」 は可能性判断 を,「 ニ チガイナイ」 は確信的判断を表す認識的モ ダリテ イ表現 であると分類 してい る. 6)。. 以上の ことか ら,統 辞的・意味的観点か らこれ らの形式 は,認 識的モ ダリ テイを表す組立式法助動詞 と言 えるだろ う。又 ,「 ダロウ」 を一次 モ ダリテ イ形式 ,「 カモシレナイ」「ニチガイナイ」 を二次 モ ダリテイ形式 と呼ぶ こと があるが, ここではこれには立ち入 らないつ。 さて,こ れ らの組 立式法助動詞 と共起す る副詞 として,「 きっ と」「たぶ ん」「恐 らく」「 もしか したら」「ひ ょっとしたら」等 がある。その共起関係 に関 して,益 岡は次 の ように述べ てい る。 例 えば,「 きっと」,「 たぶん」,「 あるいは」 は確 か さの度合 い を表す代 表的 な副詞 であるが,こ れ らはそれぞれ,非 常 に高い度合 い,か な り高 い度合 い,低 い度 合 い,を 表現 す るの に用 い られ る。そ して,(.…. ). 「 きっと」 は「に違 い ない」 と共起 し,「 あるいは」 は「か もしれない」. 6)三 宅 (1992,1994)参 照。 7)大 鹿 (1992),p.127他 参照。.

(8) 24. 認識的モダリティを表す副詞 と共起す る。 (1991,p.H5). 又,仁 田も同様 のことを述べ ている。 「 もしか したら」 や 「ひょっとしたら」 とは共起するのに対 して,「 かな らず」 や 「 きっと」 とは共起 しないことか ら,「 か もしれない」 の表す 〈蓋然性 〉は,確 か らしさの度合 の低 い,そ うでない こともある とい っ た含 み を有するものである ことが分 かる。 これに対 して,「 にちが い な い」 は,(。 …)「 かならず」 や「 きっ と」 と共起 し,「 ひ ょっ とした ら」 や「 もしか したら」 とは共起 しえない. 以上 の説明 を参考 に. ,. 助動詞 との 共起 関係 は. …)。 (1981,p.97). これ らの副詞 と,認 識的モダ リテ イを表す組立式法 次 のようにまとめ られるだろう。 ・…にちがいない/だ ろ う. きっ と. 急 ]く. ,. (。. …だろう │. ひ ょっ とす る と ひ ょっ と した ら もしかす る と. … か も しれない. もしか した ら. これ らの副 詞 は,日 本語文法 にお い ては ,陳 述副詞 ,或 い は叙述副詞 ,呼 応副詞 と呼 ばれて い る ものの 一種 で ,田 近 は,こ うい う副詞 は「それ を受 け 」 (1990,p. る文節 をいつ も一 定 に して特 別 な いい 方 を要求す る もので あ る。. 98)と 述 べ て い る。 この ように,認 識 的 モ ダ リテ イを表す組 立式法助動詞 と 共起す る陳述副詞 を,こ こで は 日本語 における法副詞 と呼 ぶ こととす る。.

(9) 甲. 斐. 基. 25. 文. 3.フ ラ ンス語 の認識的モ ダリテ イの作用域 につい て,Le Querlerは 次 の よ うに述べ ている。. La port6e de la modalit6 6pist6nliquc est touJourS extra―. pr6dicative: le lo―. cuteur lttlarque son degr6 de certitude sur l'cnsemble du contenu proposition―. nd de son 6nonc6.(1996,p.80. Tous ces marqueurs 6pist6nliques portent sur l'cnsemble de la relation pr6di―. cative: le locuteur pr6sente comme non certain le contenu de son 6nonc6. (同 上 ,p.84). つ ま り,様 々あ る認識 的 モ ダ リテ イ付与子 は,全 て発話文全体 をそ の作用域 にお さめ るのである。従 って ,先 述 した Lc Gofficが 示す通 り,分 布 的 には 様 々 な位 置 に生起 しうる法副 詞 も,そ の生 起位 置 に関係 な く,発 話文全体 を 修飾 して い る と考 え られ るので ある。. 3)Pcut― etre qu'il viendra demain. 4)II viendra peut― etre demain. 5)1l viendra demain peut―. etre.. 3),4),5)に は各々異な った位置 に peut― etreが 生起 してい るが,そ れ らは 全て文全体 をその作用域 にお さめてい るので,文 意 としては同値 である と考 えられる。 このように認識的モダ リテイ付与子 は発話文全体 をその作用域 に お さめるので,原 則的 に同一発話文中に一つ しか生起 しない。 しか しなが ら,Lc Querlerが 次 に述べ るように,同 一発話文中に,二 つ以 上の認識的モ ダリテイ付与子 が現 われることがあ り,彼 女 はこの現象 を sur_ modalisationと. 呼 んでいる。.

(10) 認識的モ ダリテ イを表す副詞 Dans certains 6nonc6S, les marqueurs modaux 6pist6nliques s'accumulent et se comЫ nent,pour abOudr a un effet de sumodJ麓 江ion:(1996,p.83). 実際 ,法 副詞 と,条 件法 におかれた動詞 とい う二 つの認識 的 モ ダリテ イを表 騨 す要素 が 同一 発話文 中 に共起 す るケ ー スが , しば しば確 認 され る 。以下 に り 示す のは,我 々の コーパ ス 内 で発見 された例 である 。. II serait peut― etre. mieux pour vous quc vous ne sachicz五. en。. ci encore,de. (.… )les jOumalistes accepteraient,sans doute,cette fois―. patienter un peu,(.…. ).. 6),7)の 例 にあ る よ う に,下 線 を施 した語彙 的付与子 と形態 的付 与子 が共 起す る こ とは あ る。 これ に対 して ,8),9)の ように二 つ 以上 の語彙 的付 与 子 が 共起す る例 は,我 々の調 べ た範囲 で は確認 されて い ない。. 8)II peut peut― etrQ etre dans un train en ce moment。 9)Il doit sans doute etre dans un train en ce moment. しか しなが ら,8),9)の よ うな文 を問題 な く受 け入れ る フラ ンス語話者 も い る よ うなので ,こ の点 に関 しては今後詳 しい調査 が必 要 であろ う。 いず れ にせ よ,フ ラ ンス語 にお い ては ,一 つ の認識 的 モ ダ リテ イ付与子 が 同一発話 文 中 に現 れ るだけで十分 な ので あ り,二 つ 以上 の付 与子 が 共起 した場 合 に は,こ の現 象 を sumOdalisationと 呼 ぶ こ とが あ り,一 種 ,冗 長 的 な付 与 子 の生 起 であ る と考 える こ ともで きる と思 われ る。 で は これ に対 して 日本語 の場 合 は ど うで あ ろ うか。 まず次 の 各文 を見 てみ. 8)Lc Qucnerは ,条 件法 とい う用語 を用 い る代 わ りに,tloir. cn―. jsと い う用語 を. “. 用 い て い る。 こでい う コーパ ス とは,前 述 の DoEo A.論 文 に用 い た コーパ ス を指 して い る。. 9)こ.

(11) 甲 斐 基. 文. 27. よう。 8) 彼 は来 るに違 い ない。. 9) 彼 は来 るだろ う。 10). 彼 は来 るか もしれ ない。. 8),9),10)の 文 中の組 立 式法助動詞 は命題 全体 との 関係 で機能 し,そ れの みで必 要十分 な認識 的 モ ダ リテ イ付与子 として働 いてい る。す なわち,フ ラ ンス語 の devoir,pouvoirと 同 じ機 能 を もってい る と言 える。. 11). きっ と彼 は来 るに違 い ない 。. 12). きっと彼 は来るだろう。. 13). 恐 ら く彼 は来 るだろ う。. 14). 多分彼 は来 るだろ う。. 15). ひ ょっ と した ら彼 は来 るか もしれない 。. 16). ひ ょっ とす る と彼 は来 るか もしれない。. 17). もしか した ら彼 は来 るか もしれ ない 。. 18). も しかす る と彼 は来 るか も しれ ない. 11)∼ 18)は. ,文 頭 に,組 立 式法助動詞 と共起 で きる法副詞 を付 加 した もの. で あ る。 フラ ンス語 の場合 とは異 な り,こ れ らの法副詞 は,組 立 式法助動詞 と,何 らの冗長的 ニ ュ ア ンス を生み出す ことな く共起 で きる。 また,上 にあ げた組立式法助動詞 は,先 述 した よ うに,単 独 で完全 な認識 的 モ ダ リテ イ付 与子 と して機 能す る。 とい うこ とは,単 独 で完全 な認識 的 モ ダ リテ イ付与子 として機 能 し,原 則 的 に他 の語彙 的付与子 と共起す る こ との ない フラ ンス語 の法副詞 と,我 々が ここで 呼 ぶ ところの 日本語 の法副詞 とは ,根 本 的 に異 な った機 能的価値 を もつ と言 えるので はない だろ うか。 で は両言語 にお い て ,文 中にお ける法助動詞 ,法 副詞 の生 起 ,及 び共起 関.

(12) 認識的モダリテ イを表す副詞. 28. 係 につい て まとめてみ よう。. フラ ンス語 文 :(0… …法副詞 …… ) 文 :(0… …法助動詞 …… ) 日ラ ト言 吾 文. :(・. …………法助動詞 ). 文 :(法 副詞 ……法助動詞 ) *文. :(法 副詞 ………… )p. 以上 の こ とか ら分 か る よ うに,フ ラ ンス語 にお い て法副詞 は完全 な認識 的 モ ダ リテ イ付与子 と して機 能す る。それ に対 し, 日本語 の法副詞 と我 々が 呼 んで い る ものは,原 則的 に文 中 に単独 で現 れ る こ とはな く,法 助動詞 と共起 す るのが普通 であ る。 それ故 ,日 本語 の法副詞 は,単 独 で 十分 な認識 的 モ ダ リテ イ付与子 で はな く,一 種 の補助付与子 と しての機能 しか有 して い な いの で はない だろ うか。 (そ. の 1)終 わ り. 参考文献 BALLY(Charles),《 Syntaxe. de la modalit6 explicite》. , Cα 力jι r. Fθ. /グ jκ. ακググιSα. 2, 1942,p.3-13.. BORILLO(Andだ c),《 Les adverbes et la modalisation de l'assertion》. ss“. r`,. “ , I力 4g“. jS`,30, 1976,p.74-89。 /raκ fα. GuIMIER(Claudc), 二′sα グソ. /滋 fα jS `ル `sグ “ “. Ophrys, 1996, 170p。. f J`∫. θ αs グ `∫. `. αグソ ィη ′ ,Paris, `乃 `s`“ `κ. P力 s`F“ κfα js`,Paris,Hachette,1994,591p。 αjr`グ `″ ““ “ gj`ご θ θ ′お ,Caen,Presses Universitaires de Cacn, 乃ィ ρθι. LE GoFFIC(Pierrc), G″. LE QUERLER(Nicole),. j′. `s“. `ね. 1996, 159p.. MEUNIER(Andr6),《 Modalit6 et communication》 ,&24g“ ι/raκ fα jS`,21,1974,p。 8-. 10)こ の構文 については,(そ の 2)で 詳述す る予定 である。.

(13) 基 文. 甲 斐 25。. Mφ RDRUP(Ole),《 Unc analyse non― transformationnelle des adverbes en― ment》 ,R`― ソ Rθ ακ “ `,num6ro sp6cia1 11, 1976。 “`」. MOLINIER(Christian),《 Une classiication des adverbes en―. ment》 , ル zκ g“. `/raκ. fα. jSι ,. 88, 1990,p.28-40。 αj″. RIEGEL(Martin), PELLAT(Jean― Christophe)et RlouL(Ren6), G“ gjg“ ιグ ご θ ι θ タ/raκ fα jS,Paris,Presses. ““. Llniversitaires de France, 1999,646p。. び滋θ― “. RouLET(Eddy),《 Des modalit6s implicites int6gr6es en fran9ais contemporain》. ,. ακググ ss“ rι ,33, 1977,p.41-74. `Sα “ j9“ ι ι SUEUR(JCan― Pic・c), E′ グ ッ ♭ αん′ ′,ソ ん協χjg“ ιソθjr`′ ′θ ソθjr: `グ`∫ `ふ `Sグ “ “ `∫ `“ jr`S. Thё se de doctorat d'ancien r6gilnc, r`θ 力 ιrcん ιs s“ r Jι s θdaJj′ t,η α grα ″ “ `s `κ Universit6 Paris X, 1975,sous la direction dc Jcan Dubois,392p。 Caん jι r Ferご. jκ. 小池精治 1994『 日本語 はどんな言語か』,東 京,ち くま書房 益岡隆志 1987「 モダ リテイの構造 と意味 一価値判断のモダ リテイをめ ぐって 一」『日本語学』6,p.30-40。 .. 益岡隆志 1991『 モダリティの文法』,東 京, くろしお出版。 三宅知宏 1992「 認識的モ ダリテイにおける可能性判断について」『待兼山論 叢』, 26,p.35-47. 三宅知宏 1993「 認識的モダリテイにおける確信的判断について」『語文』,61, p.36-46。. 三宅知宏 1994「 認識的モダリテイにおける実証的判断について」『国語国文』 ,. 723 (vol.63-11), p.20-34。. 森山卓郎 1989「 認識 のムー ドとその周辺」『 日本語 のモ ダリテ イ』仁 田義雄 ・ 益岡隆志編 東京 , くろ しお出版 ,p.57-120。 森山卓郎 1992「 日本語における「推量」 をめ ぐって」『言語研究』,101,p。 6483.. 仁 田義雄 1985「 可能性 ,蓋 然性 を表す擬似 ムー ド」『国語 と国文学』,58-5,p. 88-101.. 仁 田義雄 1989「 現代 日本語文のモ ダリテ イの体 系 と構造」『 日本語 のモ ダリテ イ』, p.1-56. 仁田義雄 1991『 日本語のモダリテ イと人称』,東 京 ,ひ つ じ書房 。 仁田義雄 ・益岡隆志編 1989『 日本語 のモダリテイ』,東 京, くろ しお出版. .. 大鹿薫久 1992「「か も しれ な い」 と「にちが い な い」―叙述 的意味 の一 端 ―」 『こ と│ゴ とことのは』, 9,p.127-134。 大鹿薫久 1993「 推量 と「か もしれない」「にちが い ない」一叙法 の体系化 をめ ざ.

(14) 30. 認識的モダ リテ イを表す副詞 して 一」『ことば とことのは』,10,p。 96-104. 田近洵一編著 1993『 くわ しい国文法』,東 京,文 英堂. ..

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