日 本 の 労 働 市 場 の 構 造 変 化 と 高 齢 者 雇 用 政 策
労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 統 括 研 究 員 岩田克彦
Ⅰ . 人 口 の 急 速 な 高 齢 化 1 . 今 後 の 労 働 力 人 口 の 展 望
国 立 社 会 保 障・人 口 問 題 研 究 所 は 、2002 年1月新たな将来人口推計を公表した。それ に よ る と 、出 生 率 の 低 下( 合 計 特 殊 出 生 率 は2000 年で 1.36)等から、日本の高齢化は、 従 来 の 人 口 推 計 以 上 に 急 速 に 進 み 、「 団 塊 の 世 代 」 が 60 歳台前半層に差しかかる 2010 年 頃 に は 、 総 人 口 の 約 3 人に 1 人が、60 歳以上の高齢者となる見込みである。労働力 人 口 を2001 年と 2010 年を比較すると、15 歳∼24 歳の減少と、60 歳以上の増加とが 同 じ 約300 万人で、2010 年には、全体の約 5 人に 1 人(6720 万人中の 1260 万人)が 60 歳以上の高齢者ということになる(厚生労働省職業安定局推計、第1図)。
ま た 、 団 塊 の 世 代 (1947 年∼1949 年生まれ)の大きな人口集団が、2010 年には 60 歳 に 、2012 年には 65 歳に突入する。
第1図 労働力人口の推移
1,557万人
1,260万人 1,150万人
1,080万人 4,273万人
4,240万人
4,170万人
3,980万人 922万人
1,230万人
1,270万人
1,240万人
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
2001年 2010年 2015年 2025年
(万人)
60歳以上 30∼59歳 15∼29歳
(資料出所)労働力調査、職業安定局推計 6752万人
6720万人
6600万人
6300万人
約300万人増
約300万人減
約40万人増
約110万人減 約70万人減 約30万人減
約200万人減 約300万人減 約30万人減
約120万人減
2 . 国 際 比 較
第 2 図 は 、 い わ ゆ る サ ポ ー ト 率 で あ る 。 高 齢 化 と 経 済 活 動 と の 関 連 で 、 サ ポ ー ト 率 が 使 わ れ る こ と が 多 い 。 勤 労 世 代 人 口 を 高 齢 扶 養 世 代 人 口 で 割 っ た 値 で あ る 。 高 齢 者 一 人 を 何 人 の 勤 労 者 で 支 え る こ と に な る か を 示 し て い る 。20 歳以上を勤労世代として、平均引退年 齢 を60 歳までとするか、65 歳までとするか、70 歳までとするかで、サポート率は大きく 異 な る 。 サ ポ ー ト 率 の 推 移 を 、 日 本 、EU 計、アメリカで比較してみると、日本では少子
高 齢 化 が 急 激 な た め 、 欧 米 各 国 以 上 に 、 で き る だ け 多 く の 高 齢 者 が 社 会 に 支 え ら れ る 側 か ら 社 会 を 支 え る 側 へ 回 る こ と が 必 要 で あ る こ と が よ く わ か る 。
例 え ば 、2020 年の日本では、勤労者世代を 70 歳までとしても、勤労者 2.89 人で1人の 高 齢 者 を 支 え な い と な ら な い 。 同 年 の E U で 、 勤 労 者 世 代 を 65 歳までとした 2.78 人とほ と ん ど 変 わ ら ず 、 日 本 の 方 が 5 歳 長 く 働 い て ち ょ う ど EU 平均と同じになる。なお、アメ リ カ の 人 口 構 成 は E U 諸 国 よ り も っ と 若 い 。 近 年 各 種 国 際 会 議 に お い て 、 高 齢 者 が 雇 用 を は じ め 、 さ ま ざ ま な 形 で 社 会 に 参 加 す る こ と を め ざ す 「 活 力 あ る 高 齢 化 ( ア ク テ ィ ブ ・ エ イ ジ ン グ )」の 実 現 が 提 唱 さ れ て い る が 、日 本 は 、他 の 国 以 上 に 率 先 し て 追 求 し て い く 必 要 が あ る 。
第 2 図 サ ポ ー ト 率 の 国 際 比 較
勤 労 世 代 人 口 高 齢 扶 養 世 代 人 口
① 日 本
1 . 1 0 1 . 3 1
1 . 4 7 1 . 7 0
2 . 3 9
1 . 0 3 1 . 5 6
1 . 8 6 2 . 6 3
1 . 3 9 2 . 3 8
2 . 6 1 4 . 0 5
1 . 9 6
0 1 2 3 4 5 6
2 0 0 0 2 0 1 0 2 0 2 0 2 0 3 0 2 0 4 0 2 0 5 0 2 0 -5 9 歳/6 0 歳以上 2 0 -6 4 歳/6 5 歳以上 2 0 -6 9 歳/7 0 歳以上
5 .7 6
3 .5 8
2 .8 9
1 .9 9
② EU
2. 54
2. 24
1. 43
1. 26 1. 21 3. 32
1. 68
2. 16
1. 76
3. 42 4. 26
4. 97
2. 61
2. 40
0 1 2 3 4 5 6
2000 2010 202 0 2 030 2040 2050 20- 59歳 / 60歳 以 上 20- 64歳 / 65歳 以 上 20- 69歳 / 70歳 以 上
1. 87 3. 72
2. 78 5. 70
③ ア メ リ カ
4 . 7 0 7 . 2 7
5 . 9 4
1 . 8 1 1
. 8 8 1 . 9 2 2 . 3 1
3 . 0 1 3 . 4 2
2 . 5 7 4. 8 0
3 . 6 2
2. 7 4 2 . 6 0
3 . 7 5 3 . 6 9
4 . 2 7 6 . 9 7
1 2 3 4 5 6 7 8
2 00 0 2 01 0 2 0 20 2 03 0 2 04 0 2 0 5 0 20- 59歳 / 60歳 以 上 20- 64歳 / 65歳 以 上 20- 69歳 / 70歳 以 上
資料出所 日本:国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成14 年 1 月推計)』(中位推計)。 EU、アメリカは、UN, World Popultation Prospects: The 1998 Revision (中位推計)より。
Ⅱ . 労 働 市 場 の 高 齢 化 と 企 業 の 雇 用 管 理
1 . 労 働 力 率 の 変 化 と 引 退 プ ロ セ ス ( 日 本 で は 就 業 内 容 面 を 含 め た 漸 進 的 引 退 が 課 題 ) 日 米 欧 各 国 と も 、 漸 進 的 引 退 が 課 題 と な っ て い る が 、 日 本 と 欧 州 と で は 内 容 が 異 な る 。 欧 州 の 場 合 、 公 的 年 金 受 給 開 始 年 齢 や 早 期 引 退 促 進 制 度 対 象 年 齢 で 、 労 働 力 率 や 就 業 率 は 大 き く 下 が る 。 欧 州 の 高 齢 者 雇 用 対 策 を 概 観 す る と 、1970 年代後半から 90 年代半ばま で 続 い た 早 期 引 退 促 進 政 策 を 見 直 し 、50 歳台後半層の就業率の拡大に努めている国(オラ ン ダ 、 ド イ ツ )、 公 的 年 金 制 度 及 び 強 制 退 職 年 齢 の 規 制 (67 歳以下に定年退職を設定して い る 労 働 協 約 は 昨 年 末 か ら 無 効 )見 直 し に よ り60 歳台の就業拡大に努めているスウェーデ ン 、公 的 年 金 受 給 開 始 年 齢 が60 歳で、それ以前の早期引退がいまだ広汎に見られるフラン ス な ど 様 々 で あ る 。 各 国 と も 、 漸 進 的 引 退 の 促 進 を 課 題 に 挙 げ て お り 、 例 え ば 、 一 部 の 国 で は 、 パ ー ト タ イ ム 就 業 と 組 み 合 わ せ た 部 分 退 職 を 奨 励 し て い る 。
一 方 、 日 本 で は こ う し た 数 字 だ け を 見 る と 、 少 な く と も 男 性 に つ い て は 漸 進 的 引 退 が す で に 実 現 し て い る と も 言 え る 。 第 3 図 で は 、 高 齢 男 性 の 年 金 受 給 と 就 業 状 況 の 関 係 を 年 齢 別 に み た 。ま ず 、日 本 で は60 歳代全体を通じて年金受給者でも働いている人が多いことが 特 徴 的 で あ る 。 こ れ は 在 職 老 齢 年 金 制 度 に よ り 、 年 金 を 部 分 的 に 受 給 し つ つ 働 く こ と が で き る た め で あ ろ う と 考 え ら れ る 。ま た ス ウ ェ ー デ ン に お い て も 60 歳代において年金受給者 で 働 い て い る 人 が 一 定 程 度 み ら れ る が 、65 歳∼69 歳になるとその割合は小さくなる。アメ リ カ で は60 歳代前半において非年金受給者で働いている人の割合が比較的高い。一方、ド イ ツ ・ オ ラ ン ダ で は 年 金 受 給 に 関 わ ら ず 働 い て い な い 高 齢 者 の 割 合 が 高 い 。 ま た ド イ ツ ・ オ ラ ン ダ で は 50 歳代後半、60 歳代前半層に失業保険受給者で就業していない者が少なか ら ず み ら れ る こ と が 注 目 さ れ る 。
し か し 、 日 本 に お い て は 、 賃 金 、 職 種 、 就 業 形 態 な ど が 60 歳前後で大きく変化してお り 、 ま た 、 世 代 内 、 世 代 間 の 所 得 、 資 産 、 年 金 の 格 差 が 懸 念 さ れ る 。 こ う し た 就 業 内 容 面 を 含 め た 漸 進 的 引 退 の 実 現 が 、 各 年 齢 層 を 通 じ た 女 性 の 就 業 促 進 と 並 ん で 日 本 の 課 題 と い え よ う 。 そ の た め に は 、 継 続 雇 用 の 推 進 を は じ め と し た 、 各 個 人 の 就 業 ニ ー ズ を 活 か し た 60 歳台の就業機会の確保が重要となっている。
ア メ リ カ は 日 欧 の 中 間 で 、 長 年 の ま た は 本 格 的 な 職 業 生 活 か ら す っ ぱ り 引 退 す る 者 が 多 い 一 方 で 、 つ な ぎ の パ ー ト タ イ ム 就 業 を 経 て 引 退 す る 者 も 少 な く な い 。 ア メ リ カ で も 、 パ ー ト タ イ ム 就 業 の 魅 力 向 上 、 正 式 な 段 階 的 引 退 制 度 の 導 入 が 課 題 と さ れ て い る 。
図4 高
第 3 図 齢男性の就業と年金・失業給付の状態
(1990年代半ば、人口比率による)
非年金受給者で働いている 年金受給者で働いている 失業保険受給者で働いていない
失業保険非受給者で働いていない 年金受給者で働いていない
注: 年金には私的年金も含む 出典:OEC D " Ageing and Inc ome" (2000)
アメリカ
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69 イギリス
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69 スウェーデン
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69
オランダ
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69 日本
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69
ドイツ
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
45- 49 50- 54 55- 59 60- 64 65- 69
2 . 高 齢 労 働 者 の 就 業 状 況 の 特 性
日 本 の 高 齢 者 の 就 業 意 欲 は 非 常 に 高 く 、60 歳台前半層の男性は 3 人に 2 人、60 歳台後 半 層 で も2 人に 1 人以上が就業している。他方、60 歳台前半層男性の1割が健康上の理由 で 就 業 し な い こ と が 明 ら か に な っ て お り 、 男 性 の 場 合 少 な く と も 65 歳までは健康な限り 働 い て 生 計 を 立 て る こ と が 当 然 で あ る と 考 え て い る と 理 解 す る こ と が で き る 。ま た 、60 歳 台 後 半 に な っ て も 、 労 働 力 率 は 低 下 す る も の の 依 然 と し て 就 業 意 欲 が 高 い 。 一 方 、 健 康 上 の 理 由 で 就 業 し て い な い 者 の 率 も 2 割に上昇するなど、個人差も大きくなることを示して い る 。短 時 間 雇 用 な ど 多 様 な 就 労 機 会 が あ り 、健 康 で あ り さ え す れ ば 、70 歳までは働く意 欲 を 持 っ て い る と 判 断 で き る で あ ろ う 。
女 性 に つ い て も 、60 歳台前半層で 4 割が就業し、不就業者のうち 4 割が「健康上」もし く は「 適 当 な 仕 事 が 見 つ か ら な い 」を 不 就 業 理 由 と し て 挙 げ て い る 。60 歳台後半層でも 3 割 が 就 業 し て い る 。男 性 程 で は な い が 高 齢 女 性 の 就 業 意 欲 も 中 々 の も の が あ る( 第4 図)。
第6図 高年齢者の就業・不就業状況
(%) 就業非希望者など(3.4%)
0 55歳∼59歳 60歳∼64歳 65歳∼69歳
(%)
0 55歳∼59歳 60歳∼64歳 65歳∼69歳
資料出所: 厚生労働省「平成12年高年齢者就業実態調査」
(注) 1.「雇用者以外」には、「役員」、「任意就業者」、「自営業者」、「家族従業者」、「内職」、「不明」を含む。 2. 「就業非希望者など」には、「就業非希望者」と「不明」を含む。
40
30
20
10 80
70
60
50 20
10
100
90 60
50
40
30 100
90
80
70
雇 用 者 19.3
%
普通勤務者(3.4%) 短時間勤務者(5.2%) 就
業 者 28.7
% 雇 用 者 以 外 22.2
%
雇 用 者 以 外 30.9
% 短時間勤務者(8.0%)
就業希望者(15.0%) 就業非希望者など(56.3%) 就業非希望者など(15.1%)
不 就 業 者 71.3
%
雇 用 者 以 外 20.0
% 雇
用 者 62.9
%
雇 用 者 20.7
% 普通勤務者(12.5%) 就
業 者 66.5
%
就業希望者(20.2%)
短時間勤務者(10.2%) 就
業 者 59.7
%
就業非希望者など(30.3%)
就 業 者 51.6
%
就業希望者(18.1%)
短時間勤務者(9.4%) 就業希望者(18.4%)
不 就 業 者 48.4
% 雇 用 者 以 外 31.1
%
雇 用 者 35.4
% 不
就 業 者 10.1
%
短時間勤務者(1.6%)
就 業 者 89.9
%
就業非希望者など(26.2%) 不
就 業 者 40.3
%
普通勤務者(9.0%) 雇
用 者 以 外 21.5
%
雇 用 者 38.2
% 不 就 業 者 58.5
%
就 業 者 41.5
% 雇
用 者 8.7% 就業希望者(6.7%)
普通勤務者(61.0%)
就職希望者(14.1%)
就業非希望者など(38.2%) 雇
用 者 以 外 27.0
% 不 就 業 者 33.5
%
普通勤務者(25.7%)
短時間勤務者(13.2%)
普通勤務者(24.7%)
男性
女性 第 4 図 高 年 齢 者 の 就 業・不 就 業 状 況
第 5 図 は 、 各 国 年 齢 別 の 就 業 率 ( 就 業 者 数 / 人 口 ) を 示 す 。 男 性 に つ い て み る と 、45∼ 54 歳層では各国での就業率に大きな違いはない。しかし 55 歳∼64 歳層では、日本が高い 就 業 率 を 示 し て い る の に 対 し て 、 フ ラ ン ス 、 次 い で ド イ ツ の 就 業 率 は 比 較 的 低 い 。 女 性 に つ い て は 、45 歳∼54 歳層でスウェーデンの就業率が高い。55 歳∼64 歳層でもスウェーデ ン 女 性 の 就 業 率 が7 カ国中で最も高く、次いでアメリカ、日本となっている。フランス・ ド イ ツ ・ オ ラ ン ダ の 女 性 の 就 業 率 は 比 較 的 低 い 。 日 本 の 高 齢 者 、 と く に 男 性 の 就 業 意 欲 は 非 常 に 高 く 、 他 国 に 比 べ 、 活 力 あ る 高 齢 化 を 実 現 し や す い 環 境 に あ る と い え よ う 。
第 5 図 各 国 別 就 業 率 ( 年 齢 お よ び 性 別 )
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ オランダ スウェーデ
ン
15∼64歳 55∼64歳 65∼69歳 男性
女性
0 10 20 30 40 50 60 70 80
日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ オランダ スウェーデ
ン
15∼64歳 55∼64歳 65∼69歳
ア メ リ カ:2001 そ の 他:2000
注 ア メ リ カ の 「15∼64 歳」は、16∼64 歳。
資 料 出 所 ( 日 本 )総 務 省「 労 働 力 調 査 年 報2000」 (EU)Eurostat,Labor Force Survey 2000
( ア メ リ カ )U.S. Department of Labor,2001 “Employment&Earnings.”
な お 、 加 齢 に 伴 っ て 、 職 業 別 の 高 年 齢 就 業 者 の 人 数 と 構 成 比 が ど う 変 化 す る か を 5 歳 刻 み の コ ホ ー ト で み て み る と 、 農 林 漁 業 の 就 業 者 数 は ほ ぼ 横 ば い で 、 構 成 比 は 農 林 漁 業 、 保 安 職 業 、サ ー ビ ス 職 業 で 、年 を 経 る に し た が っ て 上 昇 し て い る 。一 方 、「 技 能 工 、採 掘・製 造・建 設 及 び 労 務 」や 運 輸・通 信 、事 務 は 年 を 経 る に 従 っ て 構 成 比 が 低 下 し て い る 。( 第6 図 )
第 6 図
3. 高 齢 者 に 対 す る 企 業 の 雇 用 管 理 と グ ッ ド ・ プ ラ ク テ ィ ス
現 在 の と こ ろ 、60 歳以降の継続雇用制度の実施状況をみると、希望者全員を対象とする 方 式 は 少 な く ( 6 5 歳 ま で 働 け る 場 を 確 保 す る 企 業 は 71.8%,65 歳まで希望者全員を雇用 す る 企 業 は28.8%)、 企 業 側 の 基 準 に よ っ て 選 別 し て い く 方 式 を 採 る 企 業 が 多 い 。
具 体 的 に は 、 会 社 基 準 と し て 、 能 力 、 資 格 、 健 康 を 重 視 し て 決 定 さ れ て い る 。 一 方 大 企 業 に お い て は 、60 歳定年以前に関連会社等へ出向・再就職する者も多い。今後は、65 歳 ま で の 雇 用 パ タ ー ン を 出 来 る だ け 多 様 な も の に し 、 早 い 時 期 か ら 労 働 者 に 選 択 さ せ る こ と で 、 で き る だ け 多 く の 者 に65 歳までの就業を提供する方向が重要である。
65 歳までの本格的就業を実現しようとすれば、企業内の年齢別に見た労働者構成がピラ ミ ッ ド 型 で あ る こ と を 想 定 し た 年 功 的 賃 金 ・ 処 遇 制 度 を 見 直 す 必 要 が あ り 、 各 企 業 と も 賃 金 カ ー ブ の フ ラ ッ ト 化 な ど の 賃 金 ・ 退 職 金 制 度 の 見 直 し を 進 め て い る 。 厚 生 労 働 省 「 賃 金
構 造 基 本 統 計 調 査 」に よ り1971 年、1981 年、1991 年、2001 年の男性標準労働者(学校 卒 業 後 直 ち に 企 業 に 就 職 し 、 同 一 企 業 に 継 続 勤 務 し て い る 者 ) の 賃 金 カ ー ブ を 比 較 し て み る と 、 賃 金 カ ー ブ は 特 に こ こ 2 0 年 ほ ど で 中 高 年 齢 者 を 中 心 に フ ラ ッ ト 化 が 進 行 し て い る こ と が わ か る ( 第7 図)。
第 7 図 男 性 標 準 労 働 者 の 賃 金 カ ー ブ
図4−2 男性)
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
22歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳 55歳 59歳
(22歳=100)
2001年 1991年 1981年 1971年
−1 標準労働者の賃金プロファイルの推移(大卒
① 大 卒 男 子 標 準 労 働 者 の 年 齢 別 賃 金 カ ー ブ
図4−2−2 標準労働者の賃金プロファイルの推移(高卒男性)
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
18歳 20歳 25歳 30歳 35歳 40歳 45歳 50歳 55歳 59歳
(18歳=100)
2001年 1991年 1981年 1971年
② 高 卒 男 子 標 準 労 働 者 の 年 齢 別 賃 金 カ ー ブ
処 遇 ・ ポ ス ト 等 人 事 管 理 の 見 直 し 、 各 個 人 の 健 康 や キ ャ リ ア に 配 慮 し た 職 務 内 容 の 見 直 し も 重 要 で あ る 。実 際 、厚 生 労 働 省「2003 年雇用管理調査」によると、定年制を定めてい る 企 業 ( 全 体 の 92.2%)で 60 歳台前半層に定年の引上げを行った場合の課題としては、 給 与 体 系 の 見 直 し (75.5%),退職金制度の見直し(44.0%)と並んで、健康面への配慮
(51.4%)、処 遇・ポ ス ト 等 人 事 管 理 の 見 直 し(48.6%)、職 務 内 容・作 業 環 境 の 見 直 し(35.5%) が 多 く な っ て い る 。
60 歳以降はこれまでの業務から外して補助的な役割や軽易な仕事でよい、との固定観念 は 払 拭 し な く て は な ら な い 。 企 業 の 高 齢 者 に 対 す る 低 い 評 価 を 変 え て い く こ と が 重 要 で あ
る 。
日 本 で は 、 こ う し た 努 力 で 、60 歳以降の雇用継続(employment extension beyond 60 years)を実施している企業や、労働者の能力や経験を定年退職年齢まで積極的に活用して い る 企 業 が 、 グ ッ ド ・ プ ラ ク テ ィ ス と み な さ れ る こ と が 多 い 。
Ⅲ . 高 齢 者 雇 用 就 業 政 策 1 . 高 齢 者 向 け 積 極 的 雇 用 政 策
( イ ) 60 歳 定 年 の 定 着 と 65 歳 ま で の 継 続 雇 用 の 推 進
日 本 で は 、 労 働 者 が 所 定 の 年 齢 に 達 し た 時 点 で 自 動 的 に 労 働 契 約 の 終 了 が 定 め ら れ た 制 度 、 い わ ゆ る 定 年 制 が 広 く 普 及 し て い る 。 定 年 制 に は 、 ① 定 年 年 齢 ま で の 雇 用 保 障 、 ② 労 働 者 に 受 容 さ れ や す い 雇 用 調 整 ル ー ル ( 新 卒 一 括 採 用 を 重 視 す る 雇 用 慣 行 の 下 で は 、 加 齢 に よ り 多 か れ 少 な か れ 能 力 低 下 が あ る 一 方 で 、 年 功 的 な 賃 金 処 遇 が 払 拭 で き な け れ ば 、 人 件 費 コ ス ト の 面 か ら 圧 迫 要 因 と な る 。 能 力 な ど 個 別 事 情 で な く 、 年 齢 と い う 一 律 的 な 基 準 を ベ ー ス と し た 退 職 ル ー ル で あ る た め 、 従 業 員 と し て も 退 職 に 抵 抗 が 少 な い 。) と い う 2 つ の 側 面 が あ る 。定 年 制19 世紀の末に始まり、その後普及し、大企業では、1920 年代か ら30 年代にかけて人事・労務管理制度の一つとして確立した。中小企業でも、1950 年代 後 半 か ら 急 速 に 導 入 さ れ 、2003 年 1 月現在、9 割以上の企業(30 人以上計で、92.2%)で 定 年 制 を 定 め て い る 。
定 年 年 齢 は 、第2 次世界大戦後の長い期間、55 歳が一般的であったが、公的年金の支給 開 始 年 齢( 当 時 は60 歳)とのギャップを埋めるため、政府は、60 歳への定年延長を、1973 年1 月に閣議決定された第 2 次雇用対策基本計画(計画期間 1972 年∼1976 年度)以降、 雇 用 政 策 の 基 本 目 標 の 一 つ と し て 掲 げ 、 助 成 措 置 を 講 じ つ つ 大 企 業 を 中 心 に 強 力 に 定 年 延 長 指 導 を 行 っ た 。同 時 に 労 使 の 認 識 も 進 み 、1980 年代後半以降 60 歳までの定年延長が急 速 に 進 ん だ 。
こ う し た 定 年 延 長 の 進 展 に 合 わ せ 法 律 改 正 が な さ れ 、1994 年の高年齢者雇用安定法の改 正 に よ り 、98 年 4 月から 60 歳未満定年が禁止された。
今 後 、 少 子 高 齢 化 に よ る 労 働 力 需 給 の 逼 迫 が 見 込 ま れ 、 被 用 者 年 金 の 受 給 開 始 年 齢 も 2001 年度から60歳から65歳までへ段階的に引上げが始まっている(年金受給開始年齢 の 引 上 げ ス ケ ジ ュ ー ル は Ⅲ の 6 − 年 金 改 革 と 就 労 イ ン セ ン テ ィ ブ を 参 照 さ れ た い )。65 歳 ま で の 本 格 的 就 業 の 実 現 が 日 本 の 重 要 課 題 の 一 つ と な っ て い る 。
65 歳までの雇用については、①60 歳プラスα 方式(60 歳定年を維持したまま 65 歳まで の 雇 用 継 続 に 向 け 、α を 増 や し て い く 方 式 )、②65 歳マイナスβ 方式(定年年齢を 65 歳に 引 き 上 げ 、個 々 人 が 引 退 年 齢 を 決 め る 方 式 )、③ エ イ ジ フ リ ー 方 式 の3 つの方式が議論され て い る 。現 時 点 で は 、人 事 管 理 制 度 の 抜 本 的 見 直 し を 伴 わ な い ① の60 歳プラスα 方式が広 く 受 け 入 れ ら れ て い る 。2003 年 1 月時点で、65 歳定年企業 6.9%、定年制を有しない企業 7.8%で、定年後の継続雇用制度を入れて少なくとも 65 歳まで働ける場を確保している企 業 は71.8%である。その中で、原則として希望者全員を 65 歳まで雇用する企業は 28.8% と な っ て い る 。( 第 8 図 )
2000 年の高年齢者雇用安定法改正により、事業主は、定年が 65 歳未満の場合、定年の 引
用 が い っ た ん 中 断 し た 場 合 、 再 就 職 環 境 は 厳 し い 。 離 職 し た 高 齢 者 に
第 8 図 6 5 歳 ま で の 雇 用 を 確 保 す る 企 業 割 合
7. 8%
28. 8%
<97. 5%>
( 100%) 60∼64歳定年企業
うち原則として希望者 全員を対象とする企業
(16. 4%) 92. 2%
<100%>
< > 内は定年制を有している企業を100%とした場合の割合
( )内は一律定年制を有している企業を100%とした場合の割合 ※ 事業規模30人以上の企業が調査対象
〔注1〕 職種別その他の定年制を採用している企業についても、65歳までの雇用を確保する企業が若干存在する。 〔注2〕 65歳を超える定年企業も若干存在する。
(資料出所)厚生労働省「雇用管理調査」(2003年)より算出
<2. 5%〔注1〕> 定年制を
有してい る企業
( 91. 9%)
職種別、その他の 定年を採用してい る企業
一律定年 制採用し ている企 業
71. 8% 少なくとも65歳までの勤
務延長制度、再雇用制度 を有する企業(64. 3%) 定年制を
有しない 企業
少なくとも65 歳まで働ける 場を確保する 企業
原則として 希望者全員 を対象とす る企業 65歳定年企業
( 6. 9%〔注2〕)
上 げ や 継 続 雇 用 制 度 の 導 入 あ る い は 改 善 な ど に よ り 、65 歳までの雇用を確保するための 措 置 を 講 ず る こ と に 努 力 し な け れ ば な ら な い と さ れ た 。 こ う し た 規 定 に も と づ き 政 府 は 、
① 事 業 主 へ の 指 導 及 び き め 細 か な 相 談 援 助 、 ② 定 年 の 引 上 げ 、 継 続 雇 用 制 度 の 導 入 を 行 っ た 事 業 主 に 対 す る 助 成 措 置 、 な ど に 力 を 入 れ て い る 。
( ロ ) 再 就 職 の 促 進 中 高 齢 期 に お い て 雇
つ い て は 、 可 能 な 限 り 短 期 間 の 失 業 で 再 就 職 を 実 現 す る こ と が 重 要 で あ り 、 そ の た め 離 職 前 か ら の 積 極 的 な 再 就 職 支 援 が 必 要 で あ る 。 公 共 職 業 安 定 所 で は 、 必 要 な 場 合 、 事 業 主 に 再 就 職 援 助 計 画 作 成 を 要 請 す る と と も に 、 再 就 職 援 助 措 置 を 講 じ た 事 業 主 、 再 就 職 援 助 計 画 対 象 者 の 再 就 職 促 進 を 図 る た め の 体 制 整 備 を 行 っ た 中 小 企 業 事 業 主 団 体 及 び 再 就 職 援 助 計 画 対 象 者 を 受 け 入 れ た 事 業 主 に 対 し 、 在 職 者 求 職 活 動 支 援 助 成 金 を 支 給 し て い る 。 さ ら に 、2000 年度から、雇用情勢が悪化した場合(全国の完全失業率 5%以上)において、 中 高 年 (45 歳以上 60 歳未満)の非自発的失業者及び職業訓練受講者を雇い入れる事業主 に 対 し 、 1 人 当 り30 万円を支給する緊急雇用創出特別奨励金事業を実施している。また、 公 共 職 業 安 定 所 に お け る 情 報 提 供 ・ 相 談 機 能 の 強 化 に 努 め て い る 。
2 . 能 力 開 発 と 高 齢 者 の エ ン プ ロ イ ア ビ リ テ ィ
す る 中 で 、 日 本 は 経 済 の 低 迷 が 続 き 、 産 業
訓 練 の 連 携 に よ る 早 期 再 就 職 の 促 進 、 ② 個 人 の 主 体 的 な 能 力 開 発
. 雇 用 保 障 ( 年 齢 差 別 の 禁 止 を 含 む 。)
の 雇 用 保 障 機 能 を 有 し て い る が 、日 本 に お い て は 、
、 国 際 競 争 力 の 低 下 、 弾 力 的 な 就 業 形 態 を 欲 す る 労 働 者
い て は 、 採 用 、 昇 進 、 退 職 と 雇 用 管 理 シ ス テ ム 全 て が 年 齢 基 準 に 基 づ い て 実 施 さ
高 齢 化 の 進 展 に 伴 い 労 働 者 の 職 業 生 涯 が 長 期 化
構 造 の 転 換 、 労 働 移 動 の 促 進 が 大 き な 課 題 と な っ て い る 。 求 人 ・ 求 職 者 間 に お け る 職 業 能 力 の ミ ス マ ッ チ の 改 善 が 求 め ら れ て い る 。 そ の 結 果 、 政 府 も 、 こ れ ま で の よ う な 企 業 が 主 導 す る 長 期 的 か つ 体 系 的 な 能 力 開 発 に 加 え 、 個 人 が 自 ら の キ ャ リ ア 形 成 を 考 え 、 よ り 主 体 的 に 能 力 開 発 に 取 り 組 む 必 要 性 を 強 調 す る よ う に な っ て い る 。 労 働 者 に 対 し て 、 日 本 に お い て も 、 企 業 内 外 を 問 わ ず 通 用 す る 能 力 ( い わ ゆ る エ ン プ ロ イ ア ビ リ テ ィ ) が 求 め ら れ る 時 代 と な り つ つ あ る 。
特 に 、 ① 職 業 紹 介 と 職 業
を 推 進 す る シ ス テ ム の 整 備 ( 公 共 職 業 安 定 所 等 に 、 キ ャ リ ア ・ コ ン サ ル タ ン ト を 配 置 す る と と も に 、中 高 年 ホ ワ イ ト カ ラ ー 離 職 者 を 主 な 対 象 と し て 5 年間で 5 万人程度のキャリ ア ・ コ ン サ ル タ ン ト の 養 成 を 目 指 す )、 ③ 民 間 教 育 訓 練 機 関 や 大 学 ・ 大 学 院 、NPO をはじ め 、 あ ら ゆ る 教 育 訓 練 資 源 の 活 用 等 に よ る 、 中 高 年 ホ ワ イ ト カ ラ ー 離 職 者 等 に 対 す る 、 雇 用 に 結 び つ く 効 果 的 な 職 業 能 力 開 発 の 推 進 ( 中 高 年 齢 者 を 含 め た 働 く 人 す べ て の IT 化対 応 を 目 指 し た 対 策 を 含 む ) な ど に 重 点 を 置 い て い る 。
3
( 1 ) 定 年 制 と 解 雇 ル ー ル の 法 制 化 前 述 の よ う に 、定 年 制 は 定 年 年 齢 ま で
こ れ ま で 解 雇 に つ い て は 法 的 規 定 が な く 、「 客 観 的 に 合 理 性 の な い 解 雇 、お よ び 、客 観 的 理 由 は あ る が 社 会 通 念 上 相 当 と し て 是 認 し え な い 解 雇 は 、使 用 者 の 解 雇 権 の 濫 用 と し て 無 効 」 と す る 最 高 裁 判 例 が 唯 一 の 基 準 だ っ た 。 最 近 、 不 況 の 長 期 化 に よ る 企 業 の リ ス ト ラ に よ り 解 雇 に 絡 む ト ラ ブ ル が 増 加 し て お り 、 そ の 解 決 策 と し て 、 解 雇 ル ー ル を 初 め て 法 制 化 し た 改 正 労 働 基 準 法 が2003 年6月27日成立した。改正労基法は、解雇ルールについて「解 雇 は 、 客 観 的 に 合 理 的 な 理 由 を 欠 き 、 社 会 通 念 上 相 当 で あ る と 認 め ら れ な い 場 合 は 、 そ の 権 利 を 乱 用 し た も の と し て 無 効 と す る 」 と 定 め て い る 。
( 2 ) エ イ ジ フ リ ー 社 会 へ の 挑 戦 日 本 の 経 済 社 会 は 経 済 成 長 の 低 下
の 増 加 な ど 、 大 き く 変 容 を と げ よ う と し て い る 。 長 期 雇 用 シ ス テ ム 、 年 功 賃 金 ・ 処 遇 シ ス テ ム も 見 直 し を 迫 ら れ て い る 。 政 府 も 労 使 も 、 こ う し た 経 済 ・ 雇 用 シ ス テ ム 全 体 の 変 化 を 見 据 え な が ら 、 年 齢 に 関 わ り な く 働 け る 社 会 の 実 現 に 向 け た 取 り 組 み を 推 進 し よ う と し て い る 。
日 本 に お
れ て い る 。 直 ち に 全 般 的 な 年 齢 差 別 を 禁 止 す る こ と は 、 労 働 市 場 に 混 乱 を 招 く お そ れ が 強 く 、 中 長 期 的 観 点 か ら 、 ① 職 務 の 明 確 化 と 社 会 的 能 力 評 価 シ ス テ ム の 確 立 、 ② 能 力 ・ 職 務 重 視 の 賃 金 ・ 人 事 処 遇 制 度 の 確 立 な ど 賃 金 ・ 人 事 処 遇 制 度 の 見 直 し 、 ③ 能 力 を 活 か し た 多 様 な 働 き 方 を 可 能 と す る 環 境 整 備 、 ④ 採 用 と 退 職 に か か わ る 条 件 整 備 ( 募 集 ・ 採 用 時 に お け る 年 齢 制 限 の 是 正 に 向 け た 一 層 の 取 組 、 定 年 の 引 上 げ や 継 続 雇 用 制 度 の 導 入 ・ 改 善 の 推 進 な ど ) な ど 、 雇 用 シ ス テ ム 全 般 の 大 き な 見 直 し を 図 る こ と が 必 要 で あ る 。
ま ず 第 一 歩 と し て 、2001 年、雇用対策法の中に、事業主の募集・採用における年齢制限 緩
る 場 合
宗 教 ま た は 信 条
業 意 欲 や 体 力 の 多 様 化 に 応 じ た 就 業 機 会 の 確 保
で で も 働 く 意 欲 を 持 っ て い る が 、
」 に
場 の 確 保 高 齢 者 雇 用 と の 両 立 を 積 極 的 に 和 の 努 力 義 務 が 規 定 さ れ た(2001 年 10 月施行)。そ し て 、そ の 実 効 を 担 保 す る た め「 年 齢 指 針 」 を 制 定 し 、 そ の 周 知 活 動 、 公 共 職 業 安 定 所 窓 口 に お け る 求 人 年 齢 の 緩 和 指 導 を 通 じ 、 募 集 ・ 採 用 時 の 年 齢 制 限 撤 廃 を 目 指 す こ と と な っ た 。 具 体 的 目 標 と し て 、 政 府 は 、 公 共 職 業 安 定 所 で 受 理 す る 年 齢 不 問 求 人 の 割 合 を 2002 年 11 月の 12.8%から、2005 年度に は30%に引上げる方針を示している。
た だ し 、 ① 長 期 勤 続 に よ り キ ャ リ ア 形 成 を 図 る た め に 新 規 学 卒 者 な ど を 募 集 採 用 す
、 ② 定 年 年 齢 や 継 続 雇 用 の 最 高 雇 用 年 齢 と の 関 係 で 、 採 用 し て も 、 労 働 者 の 十 分 な 能 力 発 揮 や 必 要 な 職 業 能 力 が 形 成 さ れ る 前 に 退 職 す る こ と と な る よ う な 場 合 に 、 特 定 の 年 齢 層 以 下 の 者 を 募 集 ・ 採 用 す る 場 合 、 ③ 体 力 、 視 力 等 加 齢 に 伴 い そ の 機 能 が 低 下 す る も の に 関 し て 、 採 用 後 の 勤 務 期 間 等 の 関 係 か ら そ の 機 能 が 一 定 水 準 以 上 で あ る こ と が 業 務 の 円 滑 な 遂 行 に 不 可 欠 で あ る と さ れ る 当 該 業 務 に つ い て 、 特 定 の 年 齢 以 下 の 労 働 者 に つ い て 募 集 及 び 採 用 を 行 う 場 合 、 な ど 1 0 項 目 の 例 外 規 定 に 該 当 し 、 事 業 主 が そ の 旨 を 官 民 の 職 業 紹 介 機 関 、 求 職 者 等 に 説 明 し た 時 に は 年 齢 制 限 が 認 め ら れ る 。 中 高 年 齢 者 の 再 就 職 は 厳 し く 、 政 府 は 、 募 集 ・ 採 用 時 の 年 齢 制 限 是 正 へ の 取 組 み を さ ら に 強 化 す べ く 、 年 齢 制 限 を 行 お う と す る 事 業 主 縫 い に そ の 理 由 の 説 明 義 務 を 課 す な ど の 検 討 を 行 っ て い る 。
2000 年 11 月に EU の一般雇用機会均等指令が採択された。EU 指令は、
、 障 害 、 年 齢 ・ 性 的 嗜 好 に よ る 雇 用 差 別 を 禁 止 す る 全 体 的 な 枠 組 み を 設 定 し 、2003 年 12 月までに各国に法制定を求めている。但し、年齢、障害については 3 年延長できる。 EU 指令には、年齢を理由とした取り扱いの相違を正当化する規定があり、長期雇用慣行 と 年 齢 差 別 禁 止 を 調 和 さ せ る た め の 均 衡 点 をEU 各国政府がどのように判断するのか、EU 各 国 政 府 の 対 応 が 日 本 で は 非 常 に 注 目 さ れ て い る 。
4 . 就
高 齢 者 は 、一 般 的 に は 、就 業 機 会 が 確 保 さ れ れ ば70 歳ま
健 康 状 態 を は じ め 様 々 な 理 由 か ら 60 歳までと全く同じ働き方をすることは難しい。60 歳 以 降 の 就 業 機 会 の 確 保 に 当 た っ て は 、 必 ず し も フ ル タ イ ム 勤 務 に 限 ら ず 、 短 時 間 勤 務 、 在 宅 勤 務 な ど 、 多 様 な 雇 用 形 態 を 開 発 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。 ま た 、 引 退 過 程 に あ る 高 齢 者 に 対 し 、 臨 時 的 か つ 短 期 の 就 業 な ど 地 域 社 会 で の 日 常 生 活 に 密 着 し た 仕 事 の 提 供 を 行 う シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー ( 注 ) を 推 進 し て い る 。 さ ら に 、 高 年 齢 者 が 共 同 し て 事 業 を 開 始 し 労 働 者 を 雇 入 れ て 継 続 的 な 雇 用 ・ 就 業 の 場 を 創 設 ・ 運 営 す る 場 合 に 、 経 費 の 補 助 ( 高 年 齢 者 共 同 就 業 機 会 創 出 助 成 金 の 支 給 )、 相 談 、 情 報 の 提 供 そ の 他 の 援 助 を 行 っ て い る 。
ま た 、高 齢 者 で ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 を 行 う 者 も 増 え て い る 。総 務 庁「 高 齢 者 の 生 活 と 意 識 よ る と 、1980 年度には、60 歳以上の者のうち地域でのボランティア活動に参加してい る 者 は20.1%に過ぎなかったが、1996 年度には、46.0%となっている。今後情報提供など の 支 援 を 一 層 充 実 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。
な お 、 今 後 と も 若 年 者 に 対 す る 良 質 的 な 雇 用 の
考 え る べ き で 働 き 盛 り 世 代 の 一 層 の 時 間 短 縮 に よ り 、 労 働 ・ 教 育 ・ 家 事 ・ 余 暇 が 平 行 し た 生 活 の 充 実 を 実 現 す る と と も に 、 短 時 間 勤 務 制 度 に よ り 高 齢 者 の 就 業 環 境 を 改 善 し 、 高 齢 者 の 就 業 率 を 維 持 ・ 向 上 さ せ る 「 世 代 間 ワ ー ク シ ェ ア リ ン グ 」 を 目 指 し 、 積 極 的 な 検 討 が
望 ま れ る 。( 第 9 図 )
今 後 の 職 業 労 就職
これまでの引 退(60∼65 歳)
今後の引退
(70 歳)
︵年
60 65 70
( 資 料 出 所 ) 清 家 篤 「 生 涯 現 役 社 会 を め ざ し て 」( N H K 人 間 講 座 2003 年 6 従 来 型 の 職 業 人 生
︵働時間ないし作業負荷︶
( 注 ) シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー
年 退 職 後 な ど に 、 臨 時 、 短 期 的 な 就 業 を し た い と 希 望 す る 高
. グ ッ ド ・ プ ラ ク テ ィ ス 支 援 政 策
体 の 高 年 齢 者 雇 用 開 発 協 会 で は 、 以 下 の よ う な 事 業
、 高 年 齢 者
例 え ば 、2002 年には、①在 シ ル バ ー 人 材 セ ン タ ー は 、 定
齢 者 に 対 し 、 地 域 社 会 で の 日 常 生 活 に 密 着 し た 仕 事 を 提 供 し て い る 。 お お む ね 60 歳以 上 の 健 康 で 就 業 意 欲 の あ る 高 齢 者 を 会 員 と し 、 家 庭 、 事 業 所 、 官 公 庁 な ど か ら 、 地 域 社 会 に 密 着 し た 臨 時 的 か つ 短 期 的 な 仕 事 を 有 償 で 請 け 負 い 、 こ れ を 希 望 す る 会 員 に 実 績 に 応 じ て 提 供 、 会 員 は 一 定 の 報 酬 を 受 け る 。2001 年 3 月現在総会員数は 64 万人。
5
国 の 財 政 援 助 を 受 け て い る 事 業 主 団
主 向 け の 各 種 の グ ッ ド ・ プ ラ ク テ ィ ス 支 援 策 を 国 の 委 託 を 受 け て 行 っ て い る 。
① 高 齢 者 の 雇 用 継 続 の た め の 職 域 開 発 、 人 事 管 理 制 度 の 見 直 し な ど に つ い て の
雇 用 ア ド バ イ ザ ー( 企 業 に お け る 高 齢 者 雇 用 の た め の 条 件 整 備 の 取 組 み を 援 助 す る た め 、 経 営 ・ 労 務 コ ン サ ル タ ン ト な ど を 、 各 都 道 府 県 支 部 に 配 置 ) に よ る 相 談 ・ 助 言 、 ② 高 齢 者 を 雇 用 す る た め の 人 事 管 理 制 度 、 職 場 改 善 等 の 具 体 策 の 作 成
さ ら に 、グ ッ ド・プ ラ ク テ ィ ス 事 例 集 を 随 時 作 成 し て い る 。
宅 勤 務 タ イ プ 、 ② 若 年 者 の 採 用 難 か ら 基 幹 労 働 力 の 重 点 を 若 年 か ら 中 高 年 に 転 換 し た タ イ 人 生
∼ 7 月 ) P 109 の 図 に 筆 者 が 修 正 を 加 え た も の 。 第 9 図 今 後 の 高 齢 者 就 業 の イ メ ー ジ
齢︶
プ 、 ③ 高 齢 者 の 専 門 能 力 を 短 期 雇 用 の 中 で 活 用 す る タ イ プ 、 ④ 高 齢 技 能 者 を マ イ ス タ ー と 位 置 付 け 、 技 能 を 制 度 と し て 若 年 者 に 継 承 し て い く タ イ プ 、 ⑤ 高 齢 者 に よ る ベ ン チ ャ ー 企 業 の 設 立 を 目 指 す タ イ プ 、 ⑥ 地 域 経 済 の 特 性 を 活 か し 、 中 高 年 の 雇 用 の 場 を 創 出 し た タ イ プ 、 な ど に 分 け 事 例 集 を 作 成 し た 。
6 . 年 金 改 革 と 就 労 イ ン セ ン テ ィ ブ
務 員 に つ い て は 2 階 建 て と な っ て お り 、 1 階 が 定 額
就 業 促 進 措 置 と し て は 、 次 の よ う な 制 度 が あ る 。 ① 厚 生 年 金 給 付 額 算 定 に あ
し い 財 政 方 式 や 財 源 公 的 年 金 制 度 は 、 民 間 被 用 者 及 び 公
年 金( 基 礎 年 金 )、2 階 が 報 酬 比 例 年 金(民間被用者は厚生年金、公務員は共済年金)となっ て い る 。 被 用 者 以 外 の 者 は 1 階 だ け の 給 付 と な っ て い る 。( 第 10 図)1階の定額部分(基 礎 年 金 )は 、受 給 開 始 年 齢 が 60 歳から 65 歳への引上げ過程にあり、現在 61 歳である。民 間 企 業 の 男 性 被 用 者 と 公 務 員 は2013 年に、民間企業の女性は 2018 年に 65 歳になる。受給 額 は 、現 在 1 人 月 額 6 万 7 千 円 で あ る 。2 階 の 報 酬 比 例 部 分 の 受 給 開 始 年 齢 は 、1999 年改 正 で 、 民 間 企 業 の 男 性 被 用 者 と 公 務 員 は2013 年から 2025 年の間に、民間企業の女性被用 者 は60 歳から 65 歳に引上げられることになった。受給モデル額(夫厚生年金 40 年加入、 妻 専 業 主 婦 で 、夫 婦 と も65 歳以上の場合)は、23.8 万円(2000 年度価格)となっている。 な お 、自 営 業 者 等 を 対 象 と す る 第1 号被保険者の基礎年金は、従来から支給開始年齢は 65 歳 で あ る 。
公 的 年 金 の
た り 、定 額 部 分・報 酬 比 例 部 分 と も 加 入 月 数 が 勘 案 さ れ る 。② 従 来 の60 歳台前半層への在 職 老 齢 年 金 ( ア.在職中2割カット、イ.8割支給の厚生年金額合計が 22 万円を超えると、 賃 金 増 加 2 に 対 し 年 金 1 を 停 止 、ウ.賃金が 34 万円を超えると、賃金増加分の年金が停止) に 加 え 、2002 年4月から後半層についても、賃金と厚生年金(報酬比例部分)の合計額が 37 万円を超えた場合は、賃金増加2に対し、年金額1を停止する。
次 回2004 年改正に向け、現在、公的年金が果たすべき役割、ふさわ
な ど 、 総 論 的 検 討 が 進 め ら れ て い る 。 高 齢 者 の 雇 用 就 業 政 策 と の 連 携 強 化 も 大 き な 論 点 と な っ て い る 。
政策概要4 公的年金制度の体系
(2002年3月末現在) 厚生年金基金(加入員数 1, 087万人)
適格退職年金
(加入員数1, 001 万人)
国民年金基金(加入員数79万人) 職域相当部分
公務員等
(代行部分) 厚生年金保険 共済年金制度(加入員数
518万人)
国民年金(基礎年金)
民間勤労者 第2号被保険者の被扶養配偶者
自営業者等
○ 被保険者本人は負担不要
○ 夫(妻)の加入している年金の保険者が負担 2, 207万人
(第1号被保険者)
1, 133万人
(第3号被保険者)
3, 676万人
(第2号被保険者) 7, 017万人
資料出所:厚生労働省「平成15年度版厚生 白書」ほか
(加入員数3, 158万人)
○ 20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、 学生等が加入
○ 民間被用者、公務員等が加入 ○ 民間被用者、公務員等の配偶者が加入 第1号被保険者(自営業者等) 第2号被保険者(民間勤労者、公務員等) 第3号被保険者(被用者等の被扶養配偶者)
○ 保険料は定額 月額13, 300円 ○ 保険料は報酬(月収)額に比例。 厚生年金の保険料率13. 58%。
○ 労使折半で保険料を負担。
労働