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森林生態系の環境保全機能を調べる

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Academic year: 2017

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森林生態系の環境保全機能を調べる

北方生物圏フィールド科学センター

大学院環境科学院 教授

専門分野 : 生態系生態学,土壌学,生物地球化学 研究のキーワード : 森林,土壌,物質循環,研究林,河川水質 HP アドレス : http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~member/hs/

何を目指しているのですか?

私は、森林が持っている環境保全の仕組みを明らかにすることを目指しています。森林 には気候を調節したり、清浄な水を生み出したり、私たちの暮らしの基盤である環境を形 成する上で、大切な役割を果たしています。私はそのメカニズムを明らかにするために、 森林の土壌、河川水質、物質循環の特性や変化などを調べています。

森林には多様な植物や動物、微生物などの生物群集と、土壌や岩石、水などの非生物が 存在して、それらが生態系(生物と非生物の相互作用系)を形成しています。私は、森林 生態系をめぐる物質の流れや循環を観測することで、環境保全機能の仕組みを理解しよう としています(図1)。

最近では、人間がエネルギーや食糧を得るために多量の化石燃料や化学肥料を使用して います。その結果、地球全体の環境が変化し、大気汚染や温暖化などの問題が生じていま す。それらの環境変化により森林生態系が本 来持っている環境保全機能が変化し、劣化す ることが心配されています。

例えば、私が注目している物質のひとつに 窒素があります。窒素は生物にとって必要不 可欠な必須養分である一方、多すぎると生物 体内の栄養バランスを崩し、土壌や水の富栄 養化を通じて、水質汚濁を引き起こす恐れが ある成分です。最近では、化石燃料や化学肥 料の大量利用によって、大気に含まれる窒素 化合物(窒素酸化物など)が増え、雨や雪などを通じて森林生態系への窒素流入量が養分 としての必要量以上に増加することが心配されています。もともと、森林生態系では土壌 微生物による落葉分解や、土壌での養分保持・溶脱、樹木による養分吸収が程よくバラン スすることで窒素循環を安定化し、森林の生物生産や多様性を維持するはたらきがありま す。また、地球温暖化に対して森林の二酸化炭素固定に期待が集まっていますが、その機 能を発揮するためにも必須養分としての窒素の動態や、土壌や微生物の窒素保持機能、そ れらに対する大気汚染等の影響を明らかにすることが重要です。

現在取り組んでいる研究では、森林生態系内、特に土壌を中心とした窒素循環の特性が、 気候変化などの外部環境影響によってどのように変動するのか、そのメカニズムをフィー

出身高校:北海道札幌旭丘高校 最終学歴:北海道大学大学院農学研究科

環境系

図1 森林の物質循環と環境保全

柴田

ひで

あ き

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ルド観測や現地実験で明らかにすることを目指しています。

どんな方法を使ってどんな研究をしているのですか?

研究テーマによって方法は異なりますが、フィールドワーク(調査・観測、サンプル採 取、野外実験)と室内研究(養分・水質分析、室内実験、データ解析)を組み合わせて研 究をしています。世界有数のスケールを持つ研究林のフィールドを多く利用しています。

森林生態系の物質循環速度や変化を調査する際には、森林の中から土壌、植物、水試料

(降雨、土壌水、河川水など)を定期的に採取して実験室に持ち帰り、化学成分の分析を します。それから、森林内で降水量や土壌水分、河川流量の変化を観測することもありま す。土壌の中から水だけを採取することができるライシメーターなど、さまざまな観測用 具を使用しています。室内実験ではイオンクロマトグラフィー、オートアナライザー、そ の他の精密機器を用いて、各試料に含まれるイオン、養分、化学成分の濃度を測定します。 また、環境変化に対する物質循環の応答や変化を研究するために、特定の研究仮説を設 けて、その仮説を検証するための野外操作実験を行うこともあります。これまで、森林伐 採影響を調べるための皆伐実験や、大気汚染影響を調べるための窒素散布実験、冬季の気 候変動影響を調べるための積雪除去実験などを行ってきました。

図2 森林フィールドから土壌、植物、水のサンプルを採取し、その化学成分を分析しています。

次に何を目指しますか?

これまでの研究では、酸性雨に対する森林の中和機能、流域生態系の河川水質形成と緩 衝機構、森林生態系の炭素貯留速度とその維持プロセスなどを明らかにしてきました。森 林生態系の果たしている環境保全の役割は、森林の下流に位置する農地や都市、沿岸域に もつながっています。これからは、より大きなスケールでの生態系機能に注目し、地域全 体での環境保全の仕組みや変動要因の研究に発展させていきたいと考えています。

参考書・講演資料

(1) 柴田英昭,「第8章 3.攪乱と物質循環」『北海道の森林』,北方森林学会(編著), 281~284,北海道新聞社(2011

(2) 柴田英昭,「人と自然の相互作用」,北海道大学サステナビリティ・ウィーク2011 GIFT, 講演動画 http://www.youtube.com/user/HUforestcsv

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参照

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