19 年度以降の取組にあたっての主な課題・要因と方向性
1 課題
財政健全化に関する大目標の達成が危うい。
・大目標 2:実質単年度収支の黒字化と財政調整基金 25 億円以上の維持
18 年度決算の見込みでは、実質単年度収支は約 2. 89 億円の赤字となる(17 年度決算から約 15. 3 億円の赤字幅減少)。財政調整基金残高は約 37. 4 億円となる。これらは退職手当債発行(12 億円程度)によ るところが大きく、先々が安泰とは言えない。
・大目標 3:通常分の市債 50 億円削減
18 年度決算の見込みでは、通常分の市債の残高は約 887. 8 億円となる。平成 17 年度決算と比較すると 4. 4 億円の削減に止まり、単年度目標の 10 億円削減に到達しない。
・19 年度予算は、合併補助金の減や退職手当の増、財政調整基金の減少など、18 年度以上に厳しい状況にある。
・目標が達成できないと、後年度にしわ寄せされ、さらに厳しくなる。
2 要因
PDCAサイクルによる行政運営が有効に機能していない。
【計画、チェック、見直しの段階】
18 年度予算
・枠配分のほかに追加協議分を設定したため、事務事業の見直しが不十分になったのではないか。(19 年度は、追加協議を廃止)
・地域事業の取扱いが曖昧であった。一般財源で枠配したため市債を充てられる事業が増え、市債発行額が膨らんだ。(19 年度は、市債+一般財源で枠配)
19 年度予算
・人件費の枠配の考え方が曖昧であったため、各部課において十分な見直しが行われなかった。
・事務事業の見直し、総点検に取り組む時期が遅かった。事業の方向性を結論付ける前に予算編成作業に入ったため、見直しが不十分となった。
・結果として枠配時点での調整財源が少なかったのではないか。配分額をさらに圧縮し調整財源を多く確保すべきであった。
・各部局が納得できる配分額になっていなかった。また、地域事業費の取扱いが枠配時点で定まっておらず、配分額が途中で変更となった。
【実施の段階(職員の意識) 】
・市の財政状況の厳しさを、職員が自分の問題として捉えていなかったのではないか。
・はじめに事業有りきで、廃止・休止の観点からの見直しがなかったのではないか。
・配分枠内に収めることに意識が集中し、本来の見直し作業がおろそかになっていなかったか。
・見直しの取組が遅い。日常的に課題の整理や事務改善に取り組むという発想がないのではないか。
・見直しにあたって、政策上の重要性・目標の適切性・成果の度合い等を明確に判断されてなかったのではないか。
3 課題解消への方向性
①予算編成方法を見直す。
・予算編成方針の発表時点で、予定歳入額や達成すべき大目標を具体的に数字で明示する。
・人件費の枠配を徹底するとともに、事務事業の見直し、総点検に取り組み、事務事業評価の結果で廃止・縮小となった事業は確実に廃止・縮小させる。
・部局枠配分方式は、歳入を厳しく見込むとともに、政策論議を含めて部局配分額の設定方法を議論する場を設け、納得できる配分額を設定する。
②財政状況に対する認識を全職員が共有し、行政改革大綱の大目標は絶対に達成する、という強い意思で臨む。
・中期的な市の財政見通しでは財源の増加が見込めない中で大事業が多くあり、根本的な事務事業の見直しは避けて通れないことを職員全員が自覚すること。
・事業費の見直しではなく、事業の継続か廃止を選択することを前提に、部局ごとに事業の優先順位を確認し、20 年度以降を見据えた事務事業の計画的な統廃合を行う。
・事業や施設の統廃合は、関係する市民の理解を得るまでに多くの時間とエネルギーが必要となるため、早い時期から方針を打ち出し、周知に努める。
・義務的な事業以外の事業は、上位政策との明確な関連性、成果(目標)の明確化、相当の成果が確実に期待できることを判断基準とし、該当しない事業は予算化しない、というルールを徹底する。