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第2準備書面 過去の発言等/沖縄県

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全文

(1)

平成28年(行ケ)第1号

地方自治法第251条の5第3項に基づく違法な国の関与の取消請求事件

原 告 沖縄県知事 翁 長 雄 志

被 告 国土交通大臣 石 井 啓 一

第2準備書面

平成28年2月15日

福岡高等裁判所那覇支部民事部ⅡC係 御 中

原告訴訟代理人

弁護士 竹 下 勇 夫

弁護士 加 藤 裕

弁護士 亀 山 聡

弁護士 久 保 以 明

弁護士 秀 浦 由紀子

弁護士 松 永 和 宏

(2)

原告指定代理人

町 田 優

池 田 竹 州

城 間 正 彦

金 城 典 和

神 元 愛

知 念 宏 忠

中 山 貴 史

川 満 健 太 郎

島 袋 均

桃 原 聡

吉 元 徹 成

赤 崎 勉

多 良 間 一 弘

粟 屋 龍 一 郎

佐 久 川 礼

(3)

1

本書面においては、公有水面埋立法上の「承認」と「免許」という制度の本質的な相

違のみよりしても、「承認」による埋立は「一般私人では立ちえず、国の機関であるか

らこそ立ちうる特別な立場」に基づくものであり、これが「固有の資格」に基づくもの

であることは当然であるから、このことのみよりしても、原告の請求が認容されるべき

であることについて述べる。

目次

第1 概要 ... 2

1 「固有の資格」に基づく場合には、請求適格が認められないこと ... 2

2 免許制度と承認制度は本質的に異なるものであること ... 2

3 「固有の資格」に基づく審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定等は地

自法245条3号括弧書きに該当しないこと ... 2

第2 公有水面埋立の「承認」の法的性質のみよりしても「固有の資格」に基づくこと

は明らかであること ... 3 1 「承認」による埋立を私人が行うことはできないこと ... 3

2 「承認」は竣功通知による公用廃止を行う権限を国に付与するものであること 4

(4)

2

第1 概要

1 「固有の資格」に基づく場合には、請求適格が認められないこと

地方自治法(以下、「地自法」という。)第255条の2による法定受託

事務に係る処分に対する行政不服審査法(以下、「行審法」という。)によ

る審査請求及び執行停止申立(以下、両者をあわせて「審査請求等」という。)

について、現行法には、国の審査請求等の適格を否定する明文規定は存しな

い。

しかし、行政不服審査制度は、私人の個別的な権利利益の簡易迅速な救

済を制度趣旨とするものであり、この制度趣旨より、国には請求等適格が認

められないものと言うべきである(原告第1準備書面・11頁以下。)。

少なくとも、「固有の資格」に基づく場合には国の機関に審査請求等の

適格が認められないこと、一般私人では立ちえず、国の機関であるからこそ

立ちうる特別な立場が「固有の資格」に該当することは一般的に争いがない。

2 免許制度と承認制度は本質的に異なるものであること

公有水面埋立法は、免許制度と承認制度を別のものとしている。

「承認」により国には竣功通知による公用廃止という行政行為を行う権 限を付与され、また、「承認」後の都道府県知事の管理監督の権限も、国 が承認に基づいて行う埋立については大幅に排除されている。

これは、国が公物管理権の主体であることから生じる本質的なものであ り、承認に基づく公有水面の埋立ては、一般私人の立ちえない、国の機関 であるからこそ立ちうる特別な立場、すなわち「固有の資格」に基づくこ とは明らかである。

この点については、第2において、詳述する。

3 「固有の資格」に基づく審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定等は地

自法245条3号括弧書きに該当しないこと

裁定的関与が本来的には関与概念に含まれるにもかかわらず、同条項が

関与から除外している趣旨は、「紛争解決のために行われる準司法的な手続

であり、∼中略∼紛争当事者(特に地方公共団体以外の当事者)の権利救済

等を考えると必ずしも必要最小限にすべきものとは言えないこと、これら紛

争解決のための手続に加え、さらに関与に係る係争処理制度の対象とするこ

とは、いたずらに当事者を不安定な状態におくことにな」るからであり(松

本英昭「要説 地方自治法 第九次改訂版 新地方自治制度の全容」644頁)、

関与から裁定的関与を除外した趣旨は、主として、紛争当事者(特に審査請

求を行った者)の権利救済等をはかり、この者を不安定な状態に置かないよ

(5)

3

ために、この限りで、国や普通地方公共団体等の異なる法主体間における関

与の適法性や必要最小限度性等の追求を後退させているのである)。

しかし、固有の資格において処分を受けた者が審査請求をした場合、関

与のルールの適用を後退させてまで、この者の権利救済等をはかる必要性や

地位の安定を図る必要性があるとは考えられない。この場合の紛争は、まさ

しく国や地方公共団体等の異なる法主体間における関与の適法性をめぐる

紛争だからであり、このような紛争において、関与の適法性等を確保すべき

必要性を後退させる理由はないからである。

また、実体法上違法な関与を、当該関与をなした国自身の機関の判断に

より関与には該当しないとして、国地方係争処理委員会ないし司法判断から

免れるとすれば、国は、その意思一つで地方公共団体を服従させることがで

きることとなるが、このような解釈は、地自法の趣旨を無視するに等しい。 以上、実体法上、「固有の資格」を看過してなされた裁決等は本来存在

しえないものであり、このような場合には、関与から裁定的関与を除外した

趣旨も妥当しないから、このような裁決等は地自法245条3号括弧書きに

該当せず、地自法245条3号柱書の関与に該当するものと言うべきである。

国地方係争処理委員会における決定においても、「ある者が『固有の資

格』において処分を受けた場合には… 当該処分に対しては行政不服審査法に

よる審査請求はできないものと解されるため、その者が審査請求をしたとし

ても、当該事案は、本来、行政不服審査制度の対象とならないものであり、

また、行政不服審査制度が目的としている国民の権利利益の救済を考慮した

地方自治法第245条第3号括弧書の趣旨はかならずしも妥当しないこと

からすると、当該審査請求の手続における執行停止決定は、同号括弧書に該

当しないとも考えられる」としている。

第2 公有水面埋立の「承認」の法的性質のみよりしても「固有の資格」に基

づくことは明らかであること

1 「承認」による埋立を私人が行うことはできないこと

公有水面は、自然公物であり、「国ノ所有ニ属スル」(公水法第1条) ものである。公物であるから、公用廃止処分がなければ私法上の権利の対 象とならないものであり、ここにいう所有の意味については、「公有水面

は、誰の所有にも属せず、国が公共物として支配し、管理するものである。

ここにいう所有の概念は、私法上の所有とは異なり、国の統治権に基づく 管理権、いわゆる公権上の所有権を有することを意味する(「港湾行政の 概要」6−5)」、「公法上の所有権とは、国家が公の目的のために水流又

(6)

4

このような権利を『所有権』ということが妥当かどうかは、もっぱら用語 の問題であるが、有体物の完全な支配の権能であって、私法の適用を受け

ない意味において、公法上の所有権といってよいと思われる」(山口眞弘・

住田正二「公有水面埋立法」22∼23頁)などとされている。

公有水面埋立法は、公物である公有水面に私権を設定するための根拠法

である(三善政二「公有水面埋立法(問題点の考え方)」34頁)。すなわ

ち、「国ノ所有ニ属スル」公物である公有水面について、事業者が水面を 変じて陸地を造成し、公用廃止によって事業者が造成された陸地について の私法上の所有権を取得する公有水面埋立てに関して定めたものであるが、 公水法は、国以外の者が事業者となる場合の「免許」制度と国が事業者と なる場合の「承認」制度では、異なる制度としている。

したがって、公有水面埋立ての「承認」は国のみが受け得るものであり、

私人が「承認」を受けることはあり得ないものであるから、沖縄防衛局に よる公有水面埋立の「承認」が「固有の資格」に基づくことは明らかであ る。

2 「承認」は竣功通知による公用廃止を行う権限を国に付与するものであること

(1) 公有水面は公物であり、私権の対象となるものではない。

公物を公物以外の物にするためには、公物管理権者による公用廃止と

いう行政行為が必要であり、公有水面を構成する一要素としての地盤に土

砂その他の物件が添付されて土地的状態へと形態変化しても、公用廃止が

なされるまでは、公物としての本質は変更されないから、私法の適用を受

けず、所有権の対象とならない(最高裁判所平成17年第二小法廷判決・

民集59巻10号2931頁)。

そして、公有水面の公用を廃止する効力は、免許・承認それ自体には なく、公用廃止は、竣功認可、竣功通知という別個の行政行為によって 行われるものである。

(2) 免許については、「埋立行為の進展は、事実問題として当該水域を陸

(7)

5

まで変更されると理解されてはならない… 公物を公物以外の物にするた めには、公物の用途廃止が必要である… 免許は埋立権を設定する処分で あり、竣功認可は、確認処分であると同時に公有水面の公用を廃止する 処分である。従って、完成埋立地の私法上の所有権は、竣功認可の日に おいて付与される… この意味において、免許の性格の中には、『竣功認 可を条件として、竣功認可の日において埋立地の所有権を取得せしめる 効力がある』と解されるのである。斯様に、国の所有に属する公有水面 に対して私法上の土地所有権を付与することは、公法行為のとしても免 許及び竣功認可から生ずる法律効果」(三善政二「公有水面埋立法(問

題点の考え方)」58∼60頁)であるとされる

(3) これに対して、「承認」は、「当該官庁が、特定の公有水面を埋立て

て、土地を造成し、竣功通知の日において行政主体に埋立地の所有権を 取得させる権利を設定する行為」(山口眞弘・住田正二「公有水面埋立

法」329頁)、「国は、埋立の進捗により生じた埋立地について支配権を

取得し、竣功通知の日において、当該埋立地についての支配権が私法上

の所有権に転化し、これを取得する」(同341頁)ものとされている。

すなわち、「承認」により国に対して設定される埋立権の内容には、 国にその公物管理権に基づいて竣功通知による公用廃止を行う権限を付 与することが含まれているものと解される。

公物管理権者である行政にしかなしえない公用廃止の権限を付与する 点において、「免許」と「承認」は本質的に異質なものである。

「免許」と「承認」が本質的に異なるものであることは、免許による

埋立権の譲渡に関する公水法第16条ないし第21条の規定が、公水法第

42条2項により「承認」に準用されていないことからも明らかであると

言える。すなわち、「承認」によって設定される権利には、国がその公物 管理権に基づいて竣功通知による公用廃止を行う権限を付与することが

含まれており、竣功通知により公用廃止をする権限は当該承認を受けた国

家機関のみが行使しうるものであるから、「承認」による埋立権の本質よ

り譲渡性を本来的に有しないことによるものと解される。

(4) 公用廃止処分を行えるのは、当該公物について、公物管理権を有する

者以外ありえないものであり、当該地域の公益の代表者として公有水面埋

立法により竣功認可の権限を付与された都道府県知事以外に、公有水面の

公用廃止をする権限を付与されるにふさわしい適格を有する者は、国以外

にはない。

(8)

6

埋立法は、公有水面の埋立に関しては、当該地域の公益を代表する都道府 県知事に一定の公物管理権を付与している。すなわち、公有水面埋立法が 都道府県知事の権限を認めたことにより、国の有する管理権のなかには、 みずから埋立て(土地を造成、公用廃止をする)をなす権限は含まれず、 都道府県知事の「承認」により、はじめてその権限が国に付与されるもの である。

公有水面については、国は包括的な管理権を有し、他方で、都道府県知 事も公有水面埋立法により権限が付与されており、「承認」は、公物管理 の主体相互の公益調整度である。

3 承認制度と免許制度とでは規律の内容が異なっていること

「承認」に基づいて国が行う埋立事業について、公水法42条2項は、埋

立に関する規定の多くを準用しないで国に対しては規制の排除などをして いる。

すなわち、埋立権の譲渡に関する第16条ないし第21条、工事の竣功認

可(22条)、竣功認可による埋立地の所有権の取得(24条)、埋立免許の

取消しや条件の変更、原状回復命令等の監督処分(32、33条)、免許の失

効(34条)、免許の失効に伴う原状回復義務(35条)などの監督処分の規

定などは準用していないものであり、「免許」による埋立とは規律の内容そ

のものが大きく異なっている。

これは、2で述べた国以外の者に対する「免許」と国に対する「承認」 の性質の相違から、国に対する「承認」には、国以外の者に対する「免許」 に関する条文の多くの準用がなされていないものである。

4 小括

(9)

7

公益を代表する都道府県知事に一定の公物管理権を付与しており、「承認」

は、公物管理の主体相互の調整の制度にほかならないこと、④このような、

国以外の者に対する「免許」と国に対する「承認」の本質的な相違より、 国に対する「承認」には、国以外の者に対する「免許」に関する条文の多 くの準用がなされておらず、規律の内容が異なっているものである。

したがって、国(沖縄防衛局)は、「一般私人では立ちえず、国の機関であ

るからこそ立ちうる特別な立場」において承認を受けたもの、すなわち、「固

有の資格」に基づくことは明らかというべきであり、このことのみよりして

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