現代生命科学(文系) 2009 年夏学期木曜 1 限 文Ⅰ・Ⅱ 22 組 和田真穂
○試験の傾向(06 年以降の過去問から、過去問はみんせいの HP にあります)
・10 数個の選択肢から正しいものを数個選ばせる問題が毎回出ている。
・10 行程度で説明させる問題が出ることが多い。
・感想を書くことが多い。
・テストの出来は全体的に悪く、実は満点は 100 点ではないのだとか…?
・同じ(or 似た)問題が再び出ることもある。
・テストの難易度は高いです。正直授業受けてない人に内容を説明しきれる自信がない…。
・このシケプリで物足りない又は分からないって人はぜひ石浦先生の「東京大学超人気講 義録」シリーズを読んでください。かなり講義に忠実に書かれています。(このシケプリを 作るにあたっても大いに参考にしました。)
○授業のまとめ
まず、コラム的なお話や単発知識
・歯ブラシが喉に詰まった 50 人
歯ブラシの柄を下向きにして喉に詰まらせた 50 人に共通する病気は?
→過食症。歯ブラシを使って吐こうとして誤って飲み込んだ。
・○×問題
抗生物質はウイルスを殺す?……× シラスはイワシの子?……○ タミフルは抗生物質?……×
レーザーは音波を集中したもの?……×
放射能で汚染されても沸騰させれば安心?……×
*風邪に抗生物質は効きません!抗生物質は細菌に効く。
抗生物質は必ず飲みきる。規則正しく飲む。飲めば飲むほど耐性菌が出現。
・失敗から見つかった環境ホルモン
乳癌の細胞を培養していたとき、エストロゲンを入れ忘れても乳癌細胞が生きていたこと から環境ホルモンが発見された。
・生物が陸に上がることができた理由
かつて地上に生物が存在しなかったのは非常に強い紫外線が降り注いでいたから(紫外線は DNAを変化させる)。遺伝子がおかしくなると子どもができない。
光合成ができるようになって酸素ができると、酸素からオゾン層が作られて紫外線がカッ トされ、生物が陸地に進出した。
・寿命は細胞で予測できる
赤ちゃんの細胞は約 60 回、80 歳の細胞は約 40 回分裂する(60 回よりはるかに多く分裂
するのは癌細胞)。
若い細胞と老化した細胞を融合させたものの分裂回数は?
→老化した細胞とほぼ同じ
老化した細胞の中には若い細胞の分裂を妨げるものがある→活性炭素(=老化の原因) 活性炭素→DNA に変異を起こさせる→DNA 合成能力低下→細胞が死ぬ
・1 卵性双生児より 2 卵性双生児の方が似ているのは?
→生まれたときの体重
・酒が子どもに障害を及ぼす理由
発生段階でビタミン A が大事。アルコールがビタミン A の働きを変える。
・男性の Y 染色体の機能は精巣を作ることのみ。
・女性の 2 本の X 染色体のうち 1 本は不活性。
・ミトコンドリアにも DNA がある。
・近交係数とは 2 つの遺伝子が共通祖先に由来する確率のこと。
・知能には遺伝と環境の両方が関係する。
遺伝だけで決まるものには目の色などが、環境だけで決まるものには協調性や創造力、 的当て、計算力などがある。
遺伝の相乗効果を示すものに自閉傾向などがある。
・抗マラリア剤「プリマキン」には特定の人(G6PD 欠損)が溶血。地中海あたりで多く、 世界一多い(4 億人)遺伝子欠損。(G6PD がないと NADPH ができない→体内の酸化還元状 態が変わる→プリマキンが赤血球の膜を壊すようになる)
・不整脈の薬スパルテインで特定の人は目がかすむ。
・CYP の種類の多さは、ヒト<マウス<コメ(ヒトで 57 種類)。CYP は肝臓の中にある毒 物代謝酵素。
・海馬は大脳の辺縁系にあり、ニューロンを新生する。覚えれば覚えるほど神経が分解し ない。
・がん患者に化学療法を行うと、がんは治るが脳に新しい神経ができなくなって記憶力が 低下する(ケモブレイン)。
・腎臓の透析をしている人や肝臓に障害のある人は、アミノ酸を摂ってはいけない。
・ダイズの葉よりタバコの葉の方が大きい。
・マウスはラットよりしっぽが細い。
・白皮症の割合は普通は 38000 分の 1、しかし約 1 万分の 1 の地域がある。その理由は?
→近親結婚が多いから。
・シャムネコの毛色…冷たい環境が色素の発現を増加させる。
・身体中の遺伝子は一生決して変わらない。しかし、食事やライフスタイルによって遺伝 子の発現(ON、OFF)を変えることもできる。
梅毒…トレポネーマという原生生物が原因で起こる。野口英世が発見。
サルバルサンという薬が梅毒(や肺炎・敗血病)を劇的に直す。 *サルバルサンはヒ素を含む。
ヒ素は海中に含まれ、濃縮されてヒジキに含まれる。
ただし、無機のヒ素が危険なのであってヒジキに含まれるのは有機のヒ素なので、 毒性は低い。
・ゾウリムシの増え方は密度による。2 本の試験管で培養した時、隣の試験管内の密度が 高いと自らの試験管内の密度が低くても増殖しなくなる。
しかし紫外線をシャットアウトすると再び増える
⇒ゾウリムシが集まると紫外線を発する。
・納豆菌は音によって繁殖する。
・クローンをつくる時、受精卵から除核して体細胞からとった核を入れる。遺伝子改変は なく、安全面における問題はない。
・一卵性双生児の兄弟が一卵性双生児の姉妹と結婚すると、子同士は法律上はイトコだが 実質は同胞。
・ガラパゴス島に両生類がいない理由は?
→両生類には水が必要だが、生育に適した場所がなかった。鳥は飛んできた。カメは卵が 漂着した。
・生物の共通性
→全ての生物は細胞からできている、刺激に応答する、 DNA によって自己を複製する、 ATPを合成する
・分子進化…遺伝子はランダムに変化することを前提とする→中立説
・生物の系統樹については教科書 14 ページ参照。教科書1章の図表は要チェック。
・恐竜は爬虫類。
・哺乳動物・哺乳動物の進化についても要チェックかも(図だから書けないけど)
・細胞については教科書 25 ページ参照。
・DNA が核とミトコンドリアの 2 か所にあるのは、ミトコンドリアは太古の昔に人間と共 生を始めたから。
・ミトコンドリア DNA
環状。イントロンがなく、修復系もない。文字数は 16569。 数千コピーあるので、古い生物からも取りやすい。
全て母由来。祖母と子の関係が分かるためフォークランド戦争の際の血縁特定に役立った。
・DNA は髪にはないが毛根にはある。
・4~6 月は紫外線が強い。特に午前 10 時~午後 3 時。
紫外線が当たると DNA が壊れるが、一般の DNA は修復できる。
ただし、ミトコンドリア DNA は修復不可で、変異が固定する。よって変化しやすい(進化 が分かりやすい)。
・グアニル酸によってうま味が 100 倍速く脳に伝わる→ほんのちょっとシイタケや鰹節を 入れるとうまく感じる。
・酸は水素イオン、塩はナトリウムイオン、甘は糖分、苦はいろいろ(毒)を感知して味を 感じる。
・靴下のにおいはイソ吉草酸。
・コラーゲンを食べても肌はツルツルにはならない。
・分岐鎖アミノ酸(BCAA)は速く身体に取り込まれる
→これを摂ってから運動すると筋肉がつきやすい。
・リタリン(ADHD の薬)や study aid などは集中力を上げるが依存性がある可能性があり よくない。
・尿酸値が高いと知能が高いというのは間違い。
・ヒトゲノム計画は、2003 年に終了した。
・1 つの遺伝子は 10 万塩基でできている。生活習慣病に関わるのはそのうち 20。
・ヒトの臓器の大体の位置は理解しておいた方がいいかも。(教科書 93 ページ参照) 肝臓もすい臓も消化器。精巣・卵巣は左右対称にある。
・心臓の 3 分の 1 は身体の右側、3 分の 2 は左側にある。
・便の黄色はヘモグロビン。
・光学顕微鏡では数 μm まで判別可能で、生きている細胞が見える。
・電子顕微鏡では数 nm まで判別可能で、動いているものは見えないため細胞を殺して(固 定して)から見る。
・納豆など発酵食品にはグルタミン酸が多く含まれる。
・寿命が延びる要因…大学院卒(+2)、週 5 回 30 分以上の運動を続ける(+4)、祖父母が 2 人とも 80 歳を超えた(+6)
・寿命が縮む要因…独身(-6)、年収 1000 万円(-4)
・授業で出てきた生物…大腸菌、酵母菌、ダイズ、タバコ、キイロショウジョウバエ、ク マムシ、コウジカビ、ゾウリムシ、ボルボックス、ハネケイソウ、グリーンヒドラ、プラ ナリア、シロイヌナズナ、トクサ、ソテツ、アフリカツメガエル、マウス、ラット、ナメ クジウオ、シダ など
項目別解説。
☆遺伝子について
・DNA とは?遺伝子とは?
DNAは全ての体細胞に同じものがある。
ヒトの DNA は 2 本の鎖がらせんになっている(=二重らせん)。
この二重らせんを構成しているのはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T) とよばれる 4 種類の塩基(化学物質)である(参考:アデニン…C5H5N5)。これらがランダム
に並んでいる。
2本の鎖のうち片方をセンス鎖と呼ぶ(他方はアンチセンス鎖)。センス鎖の A、G、T、C はそれぞれアンチセンス鎖の T、C、A、G と塩基対をつくる(A=T、G=C)。
ヒトのゲノム(遺伝子全て)では塩基が 30 億対並んでいる。
DNAでは大事な部分(エキソン)といらない部分(イントロン)が交互に並んでいる。 遺伝子は必ず ATG から始まってタンパク質をつくる(ATG がある方がセンス鎖)。 遺伝子の終わりは TGA、TAG、TAA のいずれかである。
*遺伝子と DNA は同一ではない。遺伝子とは、そこからある 1 つのタンパク質ができる ところ。遺伝子は DNA のうち約 3 割の部分を占める。
・遺伝子からタンパク質ができるまで
まず、アンチセンス鎖を鋳型にして一次転写産物を作る。
アンチセンス鎖は TAC(センス鎖における ATG の対)から始まる。 一次転写産物は TAC の対から始まる。
つまり、ATG から始まりそうなものだが、実は一次転写産物は RNA からできており、 RNAでは T のかわりに U(ウラシル)が入っているため、一次転写産物の始まりは AUG。 次に、一次転写産物から mRNA(メッセンジャー RNA)が作られる。
その過程で、イントロンが切り取られ、エキソンの部分だけがつながる(スプライシング)。 スプライシングが起こる時、複数のエキソンがつながるにあたって多様なつながり方があ る(例えばエキソン 1、2、3 があれば、1 と 3 だけつながったり 1・2・3 全部つながった り)。
タンパク質は mRNA を 3 文字ずつ読み取ってつくられる。スプライシングによって非常 に多様なたんぱく質がつくられている。(ヒトの遺伝子は 2 万 5 千種、タンパク質は 10 万 種以上)
つまり、DNA→一次転写産物→mRNA→タンパク質となる。
エキソンとイントロンの長さの比は 1:20 ぐらい。イントロンの方が長い。 DNAのうち遺伝子以外の部分(全体の約 7 割)は文字がランダムに並んでいる。 エキソンは DNA 全体の約 2%。
・遺伝子変異については教科書 12 ページコラム参照。
・ここで説明した内容は教科書 3 章のもの。図等参考にしてください。
☆○○メタボライザ―
薬の中には植物由来の成分が多く含まれるが、肝臓の CYP2 がこれらの成分を分解する。 この CYP2 は人によって強かったり弱かったりする。
1.プアメタボライザ―(poor metabolizer)…最も分解できない人
2.スーパーメタボライザ―(Ultra-rapid metabolizer)…最も分解できる人 1と2では分解能力が約 100 倍違う。
1の方が少量の薬で効く。 2では癌になる人が多い。
日本人では1も2も 10%ぐらいで、大多数はその中間。
ベンゾピレンに CYP(シトクロム P450)が加わって可溶になると強い発がん性を持つ。 CYP3はグレープフルーツに阻害される(→薬をグレープフルーツジュースと一緒に飲んで はいけない)
☆優性遺伝と劣性遺伝
・優性遺伝……私たちは遺伝子を 2 個ずつ持っているが、片方が異常だともう片方が正常 でも発病する。優性遺伝の病気は正常な遺伝子のおかげで正常に生まれて大人になってか ら遺伝病になる。
・劣性遺伝……遺伝子が 2 個とも異常な場合にのみ発病(筋ジストロフィーなど)。劣性遺 伝の病気は正常な遺伝子がないため必ず子供の時に発病する。遺伝子治療が有効。
☆遺伝学
・隔世遺伝…1 世代飛んであらわれる遺伝⇒劣性遺伝形式を表している。
・近交係数…2 つの相同遺伝子が共通祖先に由来する確率(子どもの共通祖先の遺伝子がホ モになる確率)。
いとこでは16 分の 1。日本では近交係数が16 分の 1 より大きいと結婚できない。 近親結婚では劣勢遺伝病が出てきやすい。
・近交係数の求め方(母親同士が姉妹のいとこで二重いとこではない場合) 共通祖先は父方、母方共通の祖先(ここでは母方の祖父母)。
共通祖先のうち祖父が遺伝子 A・B、祖母が遺伝子 C・D を持っているとする。
祖父が B の劣性遺伝子のキャリアだった場合、これが子(祖父母の孫)に伝わる確率を求め る。
Bが母親 1・2(祖父母の娘)に伝わる確率はそれぞれ 2 分の 1。 母親 1・2 の配偶者はキャリアでない(B を持たない)とする。
すると、母親 1 の息子、母親 2 の娘に B が伝わる確率は[2 分の 1]の 2 乗=4 分の 1 ここでこの 2 人が結婚すると子が劣性遺伝子のホモになる確率は([4 分の 1]×[2 分の 1]) の 2 乗=64 分の 1。
遺伝子 A・C・D についても同じだから、近交係数は[64 分の 1]×4=16 分の 1。 隔世遺伝を図で説明できるとベターかもしれない。
☆脳について
・ブローカの運動言語中枢
脳の左側44、45 にしかないブローカ野。言語を司る。
この言語野のために左は優位脳といわれる。
・ウェルニッケの感覚言語中枢。
脳の左側の39、40 の場所をウェルニッケ野という。 40の場所を欠損すると失語症、39 だと視覚性失語になる。
・フェニアス・ゲイジの話
鉄道工事の事故でフェニアス・ゲイジの脳の 8 から 11 の場所に向けて鉄棒が突き刺さっ たが奇跡的に一命を取り留めた。
しかし、回復後彼の性格は以前と一変していた。判断ができなくなり、責任感がなくなっ ていた。前頭葉の腹側中部に障害が残っていた。
→判断を行うのは 8 から 11 の場所である。 脳には機能分担がある。理性の座もある。
物事の判断や理性は過去の知識だけからは生じない。 過去の知識を的確に統合するために必要な部位が脳にある。
・意識
私たちの神経はどれも同じような仕組みで発火している(=同じ性質を持っている)。 それにもかかわらず特定の属性の物事を思い出せるのは、神経によって発火時間がずれて いるからである。意識はほかの属性の発火時間をずらしている。
意識=神経回路
☆アルツハイマー
アルツハイマーの特徴である老人斑の主成分はAβ(アミロイド β タンパク質) Aβはアミロイド前駆体(APP)から切り出される。
正常ならα‐ セクレターゼ によって Aβ が切断される(非アミロイド蓄積経路)ため Aβ は蓄積 しない(=アルツハイマーにならない)。
しかしアルツハイマー病の脳では β‐セクレターゼが働きさらに γ‐セクレターゼが作用して Aβがつくられる。教科書 78~79 ページ参照。
・アポ E(アポリポタンパク質 E)
アポ E はアルツハイマー病の感受性遺伝子として有名。血液の中にあり、遺伝子に個人差 がある。
E2は 100 歳以上の長寿に多い。老人で IQ が高い。E2/E2 だとコレステロールが低いが、 高カロリー食をとるとコレステロールが上がりやすい。治療に反応しやすい。
E4はアルツハイマー病のリスク因子、E4/E4 だとリスクは 15 倍。(77 歳で半数がアルツ ハイマーになる。ちなみに E3/E3 では 90 歳代で半数がアルツハイマーになる。)また、 E4を持つと脳の外傷や脳卒中からの回復が遅く、接触スポーツで後遺症が残りやすい。さ らに、老人では交通事故が多いく IQ が低い。E4 を持っている人も、若いころに運動習慣 をつけておけばボケのリスクが減る。
・アルツハイマー病の 3 つの基準は、脳が委縮していること、老人斑があること、神経原 線維変化が起こっていること。
・認知症の基準は、何を食べたか覚えていない、家の場所を忘れる、家族の顔を見てもわ からない。行動の変化→温和だった人が急に怒りっぽくなるなどの性格の変化、「ものを 盗られた」などと言い出す・同じ話をする・同じものを買うなどの行動の変化
☆がん
良性→腫瘍、悪性→がん
40歳で 10cm のがんができるとき、30 歳で 1cm、20 歳で 1mm ぐらいの芽がある。 1cmの段階ですでに早期とはいえないため、定期健診を受けることが大切。
・がん細胞の特徴
自ら成長し、盛んに分裂する。転移する。クローンである。 周りからの停止命令を無視する。
血管がないと 2mm ぐらいまでしか大きくなれない→血管新生 毛細血管があるところへ転移→毛細血管は肺や肝臓に多い
・がんの大きさ
がん細胞 100 万個単位で直径約 1mm。約 100 万個になるために必要な分裂回数は約 20 回。
・がんが発生するまで
がんは遺伝子の変異で起こる病気である。
サルに肉腫(筋肉のがん)をつくらせるウイルスを調べた。 このウイルスは 4 つの遺伝子を持つ(gag、pol、env、v-sis)。
gagはコアタンパク質、pol は逆転写酵素、env は殻をそれぞれつくる遺伝子。 v-sisががん遺伝子である。
v-sisはヒトのもつ PDGF(血小板由来増殖因子)によく似ている。
→無害なウイルスがヒトやサルに感染して PDGF の遺伝子を取り込み、遺伝子変異を起こ して v-sis になったと推測されている。
慢性骨髄性白血病は、成人に起こる、1 つの白血球に遺伝子変異が起こるために生じる病 気。
染色体の 9 番と 22 番が切れて、切れた部分が入れ替わっている(転座現象)。 染色体の切れたところに大事な遺伝子があった。
9番には BCR、22 番には ABL。→BCR と ABL のキメラができる。 ABL…核で働くタンパク質
BCR…細胞質に行け(いつ、どこで、どれくらい)というシグナルをもつ
→核の中にしか存在しないはずの ABL が細胞質にも存在するようになる(本来とは違う場
所で働く)
→細胞分裂が盛んになる。
最も有名な発がん説……多段階発生説 大腸がんの例。
1.APC に遺伝子変異が起こる→増殖 2.K-ras に遺伝子変異が起こる→良性腫瘍 3.DCC が欠失
4.p53 が不活性化→がん(*p53=がん抑制遺伝子) 1つの細胞で遺伝子変異が起こる確率は 10 のマイナス 6 乗
→同じ細胞で 4 回変異が起こる確率は 10 のマイナス 24 乗
→人間の身体全体の細胞数(多め)は 100 兆個。[10 のマイナス 24 乗]×100 兆=10 のマイ ナス 10 乗≒0(がんになる確率)のはずなのに、ヒトががんになるのはなぜ?
⇒1 つの遺伝子変異が他の遺伝子変異を誘発しやすくなるから。(変異は連鎖的に起こる。 つまりヒトががんになる確率は 10 のマイナス 6 乗よりはるかに大きい。)
・がん抑制遺伝子
網膜芽細胞腫(retinoblastoma) 目のがん。
13番染色体にある遺伝子 Rb に特徴的な変異が起こる。
→両親からもらった 2 つの遺伝子のうち片方に遺伝子変異が起こってもがんにならないが 両方が遺伝子変異すると発病する(PDGB では片方でも変異するとがんになりやすい)。
→つまり、片方でも正常であればがんにならない。
→ということは、Rb はがんを抑制している(がん抑制遺伝子)
→1個遺伝子変異を起こしても正常なのががん抑制遺伝子(劣性の変異) 1 個でも遺伝子変異を起こすとがんなるのががん遺伝子(優性の変異)
☆薬と薬物耐性
ウイルスや細菌は非常に遺伝子変異の割合が高い。(遺伝子変異はランダムに起こる) ウイルスのうち 1 個でも薬に強い遺伝子変異を起こすとそれが生き残る。
・遺伝子改変(遺伝子組み換え)
ネオマイシンを入れても死なない大腸菌をつくるには? *ネオマイシン…大腸菌を殺す抗生物質
→ネオマイシン耐性遺伝子 neor(ネオマイシンを無効にする遺伝子)を使う。 *neorの r は右上に小さく書く
大腸菌など細菌の遺伝子は DNA が丸い輪になっている。(ヒトの DNA は 1 本の糸状) 新しい遺伝子を導入するには neor を組み込んだプラスミドを大腸菌に組み込む。 *プラスミド…自分で増殖できる輪状の遺伝子
neorをもつ大腸菌はネオマイシンを加えても死なない(薬剤耐性)。
・大腸菌の数え方は?
寒天の上に大腸菌の入った液を薄めたものをのばす。
一晩置いておくと細菌が増殖して目に見えるようになる(コロニー)。 コロニーの数を数える。
*パスツールはふかしたジャガイモを使って実験
・抗生物質
抗生物質…細菌を殺す薬。(*タミフルは抗生物質ではなく、ウイルスを排除する薬) ペニシリン…細胞壁を作らせない。
人体にショックを与える。
世界で最初に見つかった抗生物質。 βラクタム環をもつ。
梅毒や敗血症などいろいろな病気によく効いたため使用 →ペニシリンが効かない細菌が出てきた
←細菌が遺伝子変異を起こして β ラクタマーゼという酵素を持つようになり、 ペニシリンに対して耐性を示した⇒薬剤耐性菌
*β ラクタマーゼ…ペニシリンの β ラクタム環を分解する酵素 メチシリン…ペニシリンが効かない耐性菌にも効く別の抗生物質
しかしメチシリンにも耐性菌出現。
新たな抗生物質発見、耐性菌出現の繰り返し。
バイコマイシンがどんな細菌にも効くかと思われたが最近耐性菌が出現した。
*MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) ストレプトマイシン⇒結核
クロラムフェニコール⇒チフス
・抗菌グッズ
アルコールを消毒に使うのはいいが、抗生物質の入っているものを多用するのはまずい。 抗生物質が入っているものを使い続けると耐性菌が出現するおそれがある。
動物飼料には多くの抗生物質が含まれている⇒外国産の肉を生焼けで食べない 果樹園では抗生物質入りの薬がまかれていることがある⇒果物や野菜は十分洗う 抗生物質はニキビの薬にも含まれるが長期間使うと耐性菌が現れる。
・耐性菌が増える仕組み
耐性のない菌が突然変異を起こし耐性菌が出現。
抗生物質を加えると耐性菌は死滅するが耐性菌だけは生き残る。 さらに抗生物質を投与しても効かず、耐性菌が増える。
・グラム染色
検査室で簡便に行える細菌の染色法。細胞壁の厚さで染まりやすさが変わる。 ブドウ球菌はグラム陽性菌であり、紫に染まる。
*グラム陽性菌…一般的に感染症としては重篤だが、抗生剤が効きやすい。細胞壁が厚い。 大腸菌はグラム陰性菌であり、ピンクに染まる。
*グラム陰性菌…一般的に病原性が低いが、抗生剤が効きにくい。他に緑濃菌など。
・コッホの 4 原則
1.ある病気の病変部に必ず特定の病原体がいる 2.微生物は純粋に分離されなければいけない 3.純粋培養した微生物の接種で同じ病気が起こる
4.摂取した病変部から同じ微生物が検出されなければならない 病気:同じ症状に対応した病変
・細菌
細菌は内側から順に原形質膜、細胞壁、莢膜を持つ。
食中毒を起こすボツリヌス菌など 100 度の熱湯中でも生きられるものもある。 真菌や原虫は細菌ではない。
☆再生医療
増殖させた幹細胞から人為的に組織や器官をつくり出し、病気の人に移植して治療する。
・ES 細胞(胚性幹細胞)
卵割期を終えた受精卵(胚盤胞)から取り出した内部細胞塊をバラバラにして体外で培養す ることでできる。
1つの機能に特化する前の細胞であるため、ほとんどの種類の臓器・組織を作る細胞に分 化させることが可能。
→しかし、本来 1 人のヒトに成長する可能性のある胚を壊して胚細胞を取り出すため、倫 理的な問題が生じる。
・iPS 細胞(人工多能性幹細胞)
ES細胞と同じく万能細胞だが、iPS 細胞は皮膚細胞などからつくり出すため、倫理的問題 を解決でき、拒絶反応(免疫面での問題)も回避できる。
体細胞に SOX、Klf4、Oct3/4、c-myc を加えると iPS 細胞ができる。ただし、c-myc は 原がん遺伝子である。
☆生命倫理
・遺伝子診断での逸話
ジョンとサラはユダヤ人の夫婦。
ユダヤ人は血族結婚が多いため劣勢遺伝病(テイ・サックス病)の出現率が高い。 彼らの子に劣勢遺伝病の兆候が現れた。
彼らはクリニックへ行って遺伝子診断を行った。 結果…子はジョンの子ではないことが分かった!! 遺伝子診断をすると本当の親子関係も判明してしまう。
→ジョンとサラに真実を伝えるべきか?
病気のことだけ聞かれたのだから言わない?将来のことを聞かれたのだから言う?
→アメリカ倫理委員会はサラだけに伝えるという結論を出した。
十分な情報を与えないと、ファミリープランなどの自己決定権を侵害することになる。 生殖選択のためには両人に伝えるべき。
→現在、遺伝子診断の承諾書には「これは、好むと好まざるにかかわらず、親子関係が明 らかになることがあります」と書かれている。
・遺伝子の情報は家族全体の情報を意味する 教科書 39 ページ参照
→遺伝子診断の情報は自分だけのものではなく、家族全員で共有するものなので、勝手に 遺伝子診断してはいけない。
☆狂牛病
牛肉の質の違いは飼料の違いからくる。
・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
60歳以上の人が発病(100 万人に 1 人)、滅菌できない。 感染すると 100%死亡
・新型 CJD(vCJD)
10~30 歳で発病→年寄りがかかるはずの病気が若い人に出た 行動異常が出たのち狂牛病と同じ症状が出る。
1996年に出現。昨年末までに約 190 例。 最盛期は 2001 年。
イギリスで多く発症→イギリスでたくさん出た狂牛病に関係?(1996 年にイギリスにいた 人は輸血できない)
vCJDには数年間の潜伏期間がある。
その潜伏期間に輸血を行った患者がいた→輸血された人のうち数名が vCJD を発病(肉を食 べるより輸血の方が早く発病)。イギリスでは 1 回でも輸血を受けた人は他人に輸血できな いという法律がつくられた。
・狂牛病の起こる仕組み
原因となる物質は、タンパク質のプリオン。
体内の正常プリオンに狂牛病の原因となる感染型プリオンが入ってくると正常プリオンが 感染型に変化すると考えられている。正常・感染型はアミノ酸の組成(一次構造)は同じ、 違いはタンパク質の形。
・狂牛病と同じ症状を持つ動物は、ヒツジ、ヤギ、ネコ、シカ。
・狂牛病になる牛の大半が 30 カ月以上の年齢。日本では 21 カ月以上の牛を全頭検査。
・牛肉の中に入っている問題物質
→成長ホルモン、抗生物質、組換えソマトトロビン
☆色覚
・不等交叉
染色体上に同じ遺伝子が重複して 2 つあるとする。
この重複遺伝子を含んだ染色体は同じもの 2 本が真ん中でくっついたもので、精子や卵子 などをつくるときは半分に分かれる。
ところが、2 本がたまたまずれて片方には重複遺伝子が 3 個、もう片方には 1 個となるこ とがある。(→異なる精子や卵子ができる可能性)
・色を感じるタンパク質
網膜の中にあるロドプシンというタンパク質が光を感じる。
色を感じるのは、青オプシン、緑オプシン、赤オプシンという 3 種類のタンパク質。
・生物が色を判別できるようになった過程 まず青オプシンができる。
遺伝子重複で赤を認識できる遺伝子ができる。
赤の遺伝子に突然変異が起こって緑を認識する遺伝子になり、青と緑だけが認識できる生 物が生まれる。(赤オプシンと緑オプシンは似ている)
赤をもっている X 染色体と緑をもっている X 染色体が生物の中に多数出現。 先にメスに色覚が生じる(黄緑の若芽や熟した果実が分かるようになる)
不等交叉により 1 本の X 染色体が赤と緑両方持つようになり、オスにも色覚が生じた。
・色覚異常と遺伝子
ヒトの X 染色体上には赤オプシンと緑オプシンが並んでいる。
人によって持っている緑オプシンの数が違う。しかし、たくさん持っているほど感受性が 高いわけではない。
また、赤 2 個、緑 2 個の順で持っていた場合、赤・緑両方持っているにも関わらず色覚以 上になる。
→最初の 2 つのタンパク質しか働かないから。
日本では男性の 5%、女性の 0.2%が色覚異常。一般に明るさに敏感で青の感度は良い。
サルにも色覚異常がいる。
・人によって色の見え方は違うのか?
赤オプシンの遺伝子は 364 個のアミノ酸からできているが、 180 番目のアミノ酸が、 78%の人はセリンに、22%の人はアラニンになっている。(赤オプシンの点突然変異)
この 2 つの赤オプシンでは最大吸収波長が異なるため、認識する色が違う。
→持っている遺伝子によって見え方は違う。
・区別がつきにくい色
黄緑と黄色。ピンクと水色。赤と緑。
・現実に注意されていること
信号の緑は短波長側(青)によっている。 赤と緑のパイロットランプは変える。
ゲレンデの初心者コース/上級者コースを色分けしない。 赤のレーザーポインターは見にくい。
・バリアフリー・プレゼンテーション 色を多く使わない。
使うときには赤をマゼンタにする。 黄緑・茶を使わない。
文字に影をつけない。
字を大きくする(パワポなら 1 枚に 8 行程度)
○最後に
ここまで読んでいただいて、ご苦労さまでした(^O^)
5ページ位で収まるかと思いきや、意外と長くなった…。前半特に脈絡なくてすみません。 図は省略しました(教科書で参照できるものもあります)。
ノートを貸してほしいという人は、直接言ってくれれば貸します(次の日には返してくださ いね。あと、かなり殴り書きだし正確さに欠ける部分もありますが…)。
「教科書の参考ページを教えてほしい!」という声があったのですが、授業で殆ど教科書 を使わなかったので、指定できませんでした。
代わりに、冒頭でも書きましたが、石浦章一先生の過去の講義が収録された本をご紹介し ます!
これは本当に講義に忠実で、分かりやすくて、お勧めです♪下に挙げたのを読めば授業の 半分以上はカバーできるはず。
『遺伝子が明かす脳と心のからくり 東京大学超人気講義録』第 7 講義後半、第 8 講義
『生命に仕組まれた遺伝子のいたずら 東京大学超人気講義録 file2』ほぼ全て
『遺伝子が処方する脳と身体のビタミン 東京大学超人気講義録 file3』 第 3 講義、第 4 講義、第 8 講義
ではテスト頑張りましょう(^O^)/