軌道の要素を不定元と見た基本対称式の
性質
H.Hiro(Maraigue)
2011.4.22
テキスト p.66–67 より.
定義
定義 1.
f = f (x1, x2, . . . , xn)を,不定元 x1, x2, . . . , xnについての有理式とす る.このとき,f に n 次の対称群 Snを作用させて得られる有理式の集合 {f1, f2, . . . , fm}を,f の(Snのもとでの)軌道という.
問題
命題 2.
f1, f2, . . . , fm を,f(x1, x2, . . . , xn)の Snのもとでの軌道とする.この とき
(y − f1)(y − f2) . . . (y − fm) = ym− g1ym−1+ g2ym−2− · · · + (−1)mgm
とおくと,g1, g2, . . . , gmはいずれも,x1, x2, . . . , xnの基本対称式を組み 合わせた有理式で書ける.
ここで,テキストでは
g1, g2, . . . , gmは f1, f2, . . . , fmを不定元とする基本対称式であ る.g1, g2, . . . , gmは,それぞれ Snのすべての元で不変だから, x1, x2, . . . , xnを不定元とする基本対称式 e1, e2, . . . , enの有理 式として表示できる.
1
と記載されているものの,「g1, g2, . . . , gmは,それぞれ Snのすべての元で 不変」というのは自明ではない.これを証明することを考える.
証明
g1, g2, . . . , gmはすべて f1, f2, . . . , fmを不定元とする基本対称式なので, f1, f2, . . . , fmを置換することに対して不変なのは明らかである.
よって,もし「Snの元を適用することで,x1, x2, . . . , xnを置換した」 場合に,f1, f2, . . . , fm が必ずそれらの中で置換の関係になっていれば, g1, g2, . . . , gmもまた Snの元を適用することで不変であることが示される. 補題 3.
f1, f2, . . . , fm を,f(x1, x2, . . . , xn)の Snのもとでの軌道とする.この とき任意の σ ∈ Snについて,f1σ, f2σ, . . . , fmσ は f1, f2, . . . , fmを置換した ものとなる.ただし fiσの σ は,x1, x2, . . . , xnを並び替える作用とする. 証明.
これを示すには,以下のことを示せば十分である. 1. fiσは f1, f2, . . . , fmのいずれかに一致する. 2. i 6= jならば,fiσ 6= fjσである.
1の証明:
軌道の定義より,fiはある置換 τ を用いて fi = fτ と書ける.ここで fiσ = fτ σ となり,fiσもまた f に何らかの置換を施したものであるから, 軌道の定義より f1, f2, . . . , fmのいずれかに必ず一致する.
2の証明:
背理法により証明する.fiσ = fjσと仮定する.この両辺に置換 σ−1を施 すと fi = fjとなる.しかし上記の軌道の定義に従えば,fiと fjは(i 6= j ならば)必ず異なるので,これは矛盾である.
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