宿題5 解答の補足 ∗
1/25/2017
厚生経済学の第二定理に関する基本問題
問題 1, 1.1 解説
x2
x1
(ω1, ω2) B B1
I I1
図 1: pp1
2 < M RS12
x2
x1
(ω1, ω2) B2
I2
図 2: pp1
2 = M RS12
x2
x1
(ω1, ω2) B3 B4
I3 I4
図 3: pp1
2 > M RS12
∗担当 村上愛。HW に関する質問、訂正のご指摘は TA メールアドレスの [email protected] までお願いします。
x2
x1
(ω1, ω2)
(ω1+ ω2/M RS12) (M RS12ω1+ ω2)
−p1
p2
B I
図 4: pp1
2 < M RS12
x2
x1
(ω1, ω2)
(ω1+ ω2/M RS12) (M RS12ω1+ ω2)
−p1
p2
B I
図 5: pp1
2 > M RS12
無差別曲線が本問では直線のため、予算制約下での最適な消費の配分をラグランジアンによって求めることはできません。1本問では無差別曲線と予算線の傾きに 注意しながら図を用いて最適消費配分を考える必要があります。初期保有が (ω1, ω2)で与えられているとします。予算の範囲内で最も効用の高い消費配分が最適解 になるということに留意しながら考えます。なお、予算線はかならず初期保有点を通ります。
図1のように無差別曲線の傾きの絶対値(MRS12)よりも予算線の傾きの絶対値 p1/p2が小さいとき、必ず第一財のみを購入します。MRS12はこの消費者にとっ て第二財ではかった第一財の価値になります。よってこの MRS12という私的な第一財の価値が市場での第二財ではかった第一財の価値 p1/p2よりも大きいので、第 一財のみを消費するということです。消費配分は予算線が B の場合には無差別曲線 I と B の交点で決まります。また、予算線が B1であれば I1との交点として求 めることができます。
また、図 3 のように無差別曲線の傾きの絶対値(MRS12)よりも予算線の傾きの絶対値 p1/p2が大きいとき必ず第二財のみを購入します。私的に第二財によって はかった第一財の価値よりも、市場での価値が低いからです。予算線が B3であるときには、予算制約下で効用を最大化するので I3との交点によって定まります。 B4の場合には I4との交点になります。
図 2 のように傾きの絶対値が等しいときは、予算線上の任意の消費配分が最適になります。予算を使い切るような消費配分であれば、どのような第一財と第二財 の組み合わせでも同じ効用を得るからです。
オファーカーブは最適な消費計画の軌跡です。よって、価格比が異なるときの最適な消費配分の組をトレースしたものになります。図 4 と図 5 を参照して下さい。
このように初期保有点を通る様々な予算線を考え、各予算線に対して最適な消費配分が何になるのか軌跡を描いたものが求めるオファーカーブになります。
なお、図 2 のような場合に軸上の座標を考えます。これは (ω1, ω2)を通る、傾き −pp1
2、すなわち傾き −MRS12の直線の切片として求めることができます。よって (ω1+ ω2/M RS12, 0)と (0, MRS12ω1+ ω2)がオファーカーブの屈折する箇所となります。
解答の下記の部分は図 1 から図 3 における最適消費配分を論理式で表現したものになります。
><引用 ><
ここで ωi, p1, p2の時の i の最適な消費配分 (x∗i1, x∗i2)は下記のようになります。
(x∗i1, x∗i2)=
(ωi1+pp2
1ωi2, 0) if p1/p2<M RS
i 12
(x1, x2) where x1∈[0, ωi1+ωi2/M RSi12], x2= −M RSi12x1+ M RSi12ωi1+ ωi2 if p1/p2= M RS12i
(0,pp1
2ωi1+ ωi2) if p1/p2> M RS
i 12
ジャングル経済に関する基本問題
問題 2, 2.1.5
2.1.5の問題にしたがって市場均衡の求め方を確認します。以下の手順は 12 月 5 日の授業で扱われた市場均衡の存在証明の手順 Step1、Step2 と同様です。 初期保有は(ばなな、りんご、みかん)です。ここで i さんが k 番目に欲しいものを j さんが持っている場合、そのことを i →k jで表します。
サイクル 1.
Aさんの一番欲しいものはみかんなので C さんが持っています。なので A →1 Cと表せます。また、B →1 C、C →1 B が成立しています。ここで、B →1 C、 C →1Bによって、B さんと C さんは互いに一番欲しいものを互いに持っているので取引できます。A さんは C さんにとって一番好ましいものを持っていないので 取引できません。
取引によって、配分は、(ばなな、みかん、りんご)となります。 サイクル 2.
一方 A さんが 2 番目に欲しいものはりんごですが、いまりんごを持っている C さんにとってりんごは一番好きなものです。A →2Cと C →1Cが成立しています。 よって C さんは A さんがもっているばななと自分のりんごを交換したいとは思いません。よって、A さんは C さんと取引ができません。
以上より、市場均衡は ((ばなな、みかん、りんご),(p,q,q)) になります。ただし、ばななの価格が p で、みかんとりんごの価格が q になります。ここで p < q が 成立していればどのような p, q ∈ R+でも構いません。
解説
本問の市場均衡もワルラス均衡のアナロジーとして考えることができます。本問の場合、i さん (i = A, B, C) の予算制約は初期保有で与えられた財 ωi (ωi=りんご、 ばなな、みかん) の価格 pωiになります。つまり、自分の保有している財の価格 piより高いものは買えません。予算を満たすように、自分にとってより好ましい財と 自分が初期保有で持っている財を交換することで取引を行います。また均衡価格は超過需要の発生がなく、市場の財の需要量が初期賦存量以下に (均衡では等しく) なるように定まります。
市場均衡を求めることは上記のサイクルを順々に作ることで可能ですが、明示的に需要関数を書くと以下のようになっています。
需要できる財は、初期保有と各財の価格に依存するので、各人の需要関数を xiとすると初期保有と各財の価格から X への関数となります。xi: X × R3+→X
xA(ばなな, pみかん, pばなな, pりんご) =
みかん if pみかん≤pばなな
りんご if pりんご≤pばなな< pみかん
ばなな if pばなな< pみかん∧pばなな< pりんご
xB(りんご, pみかん, pばなな, pりんご) =
みかん if pみかん≤pりんご
ばなな if pばなな≤pりんご < pみかん
りんご if pりんご< pみかん∧pりんご< pばなな xC(みかん, pみかん, pばなな, pりんご) =
りんご if pりんご≤pみかん みかん if pみかん< pりんご ただし、上記では初期保有は既に本問の仮定を与えてあります。
まず、りんごとみかんが均衡で同じ価格 q となる理由について考えます。仮に、りんごとみかんのいずれかの価格が高いとします。初期保有(ばなな、りんご、み かん)が成立しているときに、仮にりんごの価格が q′でみかんの価格が q、そして q′ > qが成立しているとします。このとき、C さんについて考えると、初期保有 で得ているみかんよりもりんごの方が価格が高いため、りんごを購入することはできません。C さんはみかんを需要したいと思います。ところが B さんについて考 えると、B さんが一番好ましいと考えているみかんは、初期保有で持っているりんごよりも安い価格となっています。よって B さんもみかんを需要したいと思いま す。しかし市場にみかんは 1 財しか存在しないため、B さんと C さんがともにみかんを欲しいと思っている状況は超過需要が発生している状況となります。市場で このような超過需要が発生しないように均衡価格は決まることから、q′ > qという価格は均衡価格となりえません。同様に、q′< qも成立しません。よって、りん ごとみかんの価格は等しくなります。ただし、等価格であればいくらであってもかまわないので、とりうる値は 0 < q < ∞ のどのような値でも市場均衡になります。
次に、市場均衡で p < q となる価格が均衡価格になる理由を考えます。先ほどと同様に初期保有(ばなな、りんご、みかん)が成立しているときに、ばななの価格 がりんごやみかんよりも高くなっている状況を考えます (以下では上記で示した通り、りんごとみかんは等価格であることを仮定します)。もし、みかんとりんごが ばななより安いか等しい価格だった場合、A さんが一番好ましいと思っているみかんを需要することが可能になります。しかしみかんを持っている C さんはばなな
とりんごの価格より安ければ 0 < p < ∞ の範囲でなんであってもかまいません。
まとめになりますが、市場均衡での配分は 12 月 5 日の授業で扱われた Step1、Step2 に従って上記のサイクルを順々に作っていくことで求めることができます。 また、市場均衡では、同じサイクルで取引されたものは等価格であり、より後のサイクルで取引されたものの価格はそれまでのサイクルで取引されたものの価格よ り厳密に低くなければならないことに注意して均衡価格を求めます。また需要関数の条件からも明らかなように、不等号できまる大小関係のみが定まるため、均衡 価格は無数に存在します。
補足について
今回の補足で解説した問題はいずれもラグランジアンによって最適解を求めることができないような問題でした。こういった問題の均衡概念を考えるにあたっては、 定義の論理式の意味に基づいて (必ずしもテクニックなどによらずに)考えていくことが重要になります。