ゲーム理論 2011
∗宿題 3
† ‡平成 23 年 7月 25 日
問題 1 (長期的関係による協力). 以下の例で、なぜ協力関係が維持できるかをトリガー戦略を用いて言 葉で説明してください。
2つのテレビ局AとBは最近不祥事を出し続けています。AはBの不祥事を報道すれば高い視聴率が 得られ、BもAの不祥事を報道すれば高い視聴率が得られます。しかし、不祥事が報道されれば放送法 違反が明るみに出て、放送免許が取り消されてしまうかもしれません。両局はどのようにして協力(互 いの不祥事を報道しない)が維持できるでしょうか?
問題 2 (無限繰り返しゲーム). 中間試験で考えたベルトランの価格競争を無限回プレイする繰り返し ゲームを考えます。ただしフォーク定理の前提を満たすため、各企業がつけられる価格は0, 1, 2のいず れかとします。したがって利得表は以下で与えられます。
0 1 2
0 (0, 0) (0, 0) (0, 0) 1 (0, 0) (32,32) (3, 0) 2 (0, 0) (0, 3) (2, 2) (a) ステージゲームのナッシュ均衡をすべて求めてください。
両企業が以下のトリガー戦略を取る状況を考えます。
• 均衡では2を選び続ける
• 仮に誰かが2以外を選んだとすると、次の期から(a)で求めたナッシュ均衡戦略(弱支配されてい ないほう)を選び続ける
(b) 相手が2を選ぶとき、自分が2から逸脱することによって最大どれくらい得することができますか? (c) 相手が2を選ぶとき、自分が2から逸脱することによってどれくらい損しますか? 割引率をδと
して現在価値に直して計算してください。
(d) 割引率δがどのような条件を満たすとき、このトリガー戦略の組はサブゲーム完全均衡となりま すか?
トリガー戦略はほかにもたくさん考えられ、さまざまな協力解が達成できます(ここでの「協力解」と は、一回きりのステージゲームでは均衡として達成できなかったより効率的な利得の組を繰り返しゲー ムにおける均衡として達成できることをいいます)。ではフォーク定理を思い出して、どのような利得の 組が達成できるかを見てみましょう。
∗https://sites.google.com/site/gametheory2011mats/
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梶 哲也(赤門総合研究棟420室/メール:[email protected])
‡
答案を提出する必要はありません。質問やコメント等あればメールをくださるか、直接来訪してください。
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(e) 無限繰り返しゲームにおける「平均利得」とは何か、どのように計算されるかを説明してください。 (f) ステージゲームにおける各企業のミニマックス値を求めてください。
(g) 横軸に企業1の利得、縦軸に企業2の利得をとり、繰り返しゲームにおける平均利得の実現可能領 域とトリガー戦略によって(サブゲーム完全均衡として)達成可能な領域を図示してください。
問題 3 (有限繰り返しゲーム). 今度はステージゲームが有限回しか繰り返されないときでも協力解が達 成できるかどうか見てみましょう。前問と同じステージゲームをT 回プレイする状況を考えます。引き 続き割引率はδとし、以下のトリガー戦略に着目します。
• 1期目は2を選ぶ
• 2 ∼ T − 1期目は、それまで両社がずっと2を選んでいれば2を選び、それ以外の場合は1を選ぶ
• T期目は1を選ぶ
(a) 上の戦略はサブゲーム完全均衡となりえますか? なりえる場合はそのときのδの範囲を求め、な りえない場合はその理由を説明してください。
では、次にトリガー戦略を少し変えてみます。
• 1期目は2を選ぶ
• 2 ∼ T − 1期目は、それまで両社がずっと2を選んでいれば2を選び、それ以外の場合は0を選ぶ
• T期目は、それまで両社がずっと2を選んでいれば1を選び、それ以外の場合は0を選ぶ
(b) 上の戦略はサブゲーム完全均衡となりえますか? なりえる場合はそのときのδの範囲を求め、な りえない場合はその理由を説明してください。
(c) (おまけ)上の2つの戦略について、なぜ一方はサブゲーム完全均衡となりえて、もう一方はサブ ゲーム完全均衡とはなりえないのでしょうか? さらにいえば、有限回の繰り返しゲームにおいて 協力解を達成するための条件は何だと思いますか? ここで、価格0は必ず相手の利得を0に抑え られるという意味で「懲罰」とみなせることに留意してください。
問題 4 (情報不完備ゲーム). 2つの企業i = 1, 2が携帯電話事業への新規参入をめぐって周波数オーク ションに参加することになりました。各企業にとって周波数帯の価値はそれぞれv1, v2 ∈[0, 1]で、密度
関数f (v) = 2vの独立な分布に従って決定されます。また各企業にとっての価値は自分にしかわからな
い私的情報で、確率分布は共有知識になっています。両企業は同時に入札し、高い金額を提示した企業 が勝ちます(引き分けの場合は確率1/2で勝者を決める)。買った企業iは提示した金額を払いviを得 て、負けた企業は利得0を得ます。
(a) 各企業のビッド(入札額)をbiとします。企業2が戦略b2 = βv2を取ってくると仮定したとき、 企業1の戦略をb1として企業1の期待利得を計算してください。
(b) (a)で求めた期待利得を最大化するb1を(v1の関数として)求めてください。
(c) 企業1も企業2と同じ戦略b1 = βv1をとるとしたときのベイジアン・ナッシュ均衡を求めてくだ さい。各企業は自分の価値を正直に申告する(bi= vi)ことになりますか? それとも低めに申告す ることになりますか?
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