自 然 冷 媒を 用 い た加熱冷却 に 関す る 特許 出願 技術動 向調査 報告
平 成15 年5月 15日 特許庁総務部技術調査課
1. 自然冷媒1を 用い た加熱冷却技術とは (i) 冷媒の変遷と自然冷媒の特性
冷 媒 とは 、加 熱 冷 却 機 器に お い て低 温の 物体 から 高温 の物 体へ 熱を 運ぶ 流体 のことで あ る。冷 媒の歴 史を遡 れば、 20 世紀初頭 までは 、自 然 界に存 在する アンモニア、 二酸化 炭 素、炭化水素類等 が主な 冷媒として利 用されていたが、1930 年頃 、米国 でフ ロ ン2が開 発 されたことを 起点に、多くの 製品で フロン が使用 されるようになった。ところが、1970 年 代から フロン がオ ゾ ン層を 破壊す る問題 が指摘 され 、フロンは 1987 年の モントリオー ル 議定書以降 に使用削減へ と向 かっている。 そ し て、フロンの 代替物質として ODP
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がゼ ロ である 代替フロン4が 登場し 現在に 至っている。ただし、代替フロンも 1997 年の 京都議 定 書に お い て地球温暖化 に影 響を 与え る物 質と し て指 定さ れ使 用が 制限 されつつある。 な お、化学物質 における地球温暖化 への影 響を評 価す る指標 として GWP5や TEWI6が あ り、 これらの 指標の 低い化学物質 が環境 への影 響が少 ないとされている 。自然冷媒 は GWP 値 が ゼロ に近 く大多数 のフロン や代 替フロン に比べ 温 暖 化へ の影 響が 少な い物 質であるた め 、1990 年代後半か ら自然冷媒を 用いた 加熱冷却装置 の用途拡大へ の期待 が先 進 国を中 心 に高ま っ て い る(概 要- 図- 1)。
1
自 然 冷 媒 は 、英 語 で は“ Natural Working Fluid” と 称 さ れ る 。技 術 用 語 と し て は 、英 語 名 を 直 訳 し “ 自 然 作 動 流 体 ” と も 呼 ば れ る 。
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本 文 で の 冷 媒 の 呼 称 は 日 本 国 内 に お け る 呼 称 を 採 用 し て い る 。 フ ロ ン と は 、 モ ン ト リ オ ー ル 議 定 書 に て 削 減 対 象 と な っ て い る CFC、HCFCを 指 し て い る 。
3
オ ゾ ン 破 壊 係 数 ODP(Ozone Depletion Potential)。 化 合 物 の1 kgあ た り の 総 オ ゾ ン 破 壊 量 を CFC-11の 1kgあ た り の 総 オ ゾ ン 破 壊 量 で わ っ た も の で あ る 。
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本 文 で の 冷 媒 の 呼 称 は 日 本 国 内 に お け る 呼 称 を 採 用 し て い る 。 代 替 フ ロ ン と は 、 フ ロ ン の 代 替 と し て 使 用 さ れ て い る HFCを 指 し て い る 。
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地 球 温 暖 化 係 数 GWP (Global Warming Potential)。二 酸 化 炭 素 ま た はCFC-11を 基 準 と し た 質 量 ベ ー ス の 相 対 値 で 表 さ れ る 。( 特 にCFC-11ベ ー ス はHGWPと 呼 ば れ る )
6 Total Equivalent Warming Impact。地 球 温 暖 化 に 及 ぼ す 影 響 を 、化 学 物 質 の 物 性 だ け で は な く 、 利 用 段 階 で の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 等 を 含 め て 総 合 的 に 算 出 す る 手 法 。
概 要 - 図 - 1 主 な 冷 媒 の 環 境 特 性
R 22 R 134a
CO2 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000
0 0.5 1
ODP
GWP(CO2;100yr)
R 114
R 502
R 11
R 410A R 507 R 404A R 125
R 143a
R 407C
R 12 R 141b R 32
R 123
HC NH3
R 12
自然冷媒
モントリオール議定書 (オゾン層保護) 京都議定書
(地球温暖化防止)
注) 1. ODP・GWP は、 Cl i mat e Change 1995: The Sc i enc e of Cl i mat e Change, Cont r i but i on of Wor k i ng Gr oup I t o t he Sec ond As s es s ment Repor t of I PCC に 基 づく
日米欧三極 における 環境政策へ の対 応を 見てみると (概 要 - 図 - 2)、米 国は代 替フロン の 使用 を促 進し、 欧州 はモ ン ト リ オ ー ル議 定 書 以 降、 代替 フロン と自 然 冷 媒を使 用し 始 め 、日 本は フロン から 代替 フロン そ し て自然冷媒 へと 国際政策に 応じ て冷 媒を変 更し て いることがわかる。
概 要 - 図 - 2 使 用 冷 媒 の 変 遷 ( 日 米 欧 )
HFC等へ の移行 さらなる取組へ CFC
HCFC
HFC等へ の移行 さらなる取組へ
1987年 1997年 2002年
米国
日 本 欧 州
CFC HCFC
自然冷媒の利 用 自然冷媒の 利用
米・欧・日 全て批准米・欧・日 全て批准
CFC
HFC等 への 移 行 独自路線へ HFC等 へ の移 行 独自路線へ
自然冷媒の 開発 自然冷媒の 開発
モントリオール議定書
(1987年採択・順次改定)
・フロン削減・代替 フロンへ
京都議定書
(1997年採択)
・フロン・代替フロン削減
オゾン層破壊対策
地球温暖化対策
“ Global C limate C hange P olic y Book”
(2002年発表)
・代替 フロン削減は明記なし(冷 媒 用) 三極 の使用冷媒動向
【米国】代替 フロンの 使用 を促 進
【欧州】1990年代から代替フロ ンと平行して自然冷媒を使 用
【日本】フロン⇒代替フロン⇒ 自然冷媒と国際政策に応じて 変更
米国のみ
米・欧・日採択 欧・日は批准へ米・欧・日採択 欧・日は批准へ
自 然 冷 媒と は、 人 工 的に開 発された フ ロ ンや 代替フロン と異 なり 、冷 媒と な り得 る性 質 を持 つ自然界に 存在 する 化学物質のことである 。自 然 冷 媒の具体例 をあげれば 、二 酸 化炭素 、アンモニア 、炭化水素( イソブタン 、プロパンな ど)、水、空気な ど が あ る。た だ し、 フ ロ ンは冷 媒と し て の性 能 面で 非常 に優れ た性 質をもっており 、自然冷媒 をフ ロ ン と比べると、自然冷媒は毒 性、可燃性、COP7などの 点で劣 る点が 必ず あ る。そのため 、
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加 熱 冷 却 装 置 の 性能 は 、COP( Coef f i c i ent of Per f or manc e ) で評 価 さ れ る 。COP と は 、機 器 を運 転 する た め に 必要 な 投入 エ ネ ル ギ ーに 対 して 何 倍の 冷 房 能 力 あ る い は 暖 房 能 力を 得 られるかを 示 す無 次 元の 数 値 で あ る 。COP が高 いほど 、 エネルギー 効 率が 良 く省 エ ネに つ な が る 。
一種類 の自然冷媒 が全 ての 用途に 活用 されるのではなく、 用途に 応じ て使 い分け る こ と になるといわれている (概要 - 図 - 3)。
概 要 - 図 - 3 主 な 自 然 冷 媒 の 特 性
長所 短所 用途
二酸化炭素 ・毒性、可燃性がなく安価
・圧力損失 が小さく、熱伝達が良い
・昇温機器 に適している
・冷房用途ではC OP が低い
・10Mpa程度の高圧になる
・給湯用ヒートポンプ
・カーエアコン
・寒冷地暖房
・自動販売機 アンモニア ・C OP がR 22と同程度以上
・熱伝達が良い
・蒸発潜熱 が大きい
・毒性、可燃性がある
・銅系材料が使えない
・除害設備が必要
・低温用冷凍機
・産業用、業務用 チラー
プロパン イソブタン
・潤滑油として鉱物油が使える
・C OP とR2 2と同程度
・可燃性がある
・冷蔵庫以外の安全規格がない
・冷蔵庫
・自動販売機
水 ・毒性、可燃性がなく安価
・C OPは高い
・真空運転 なため資格不要
・圧縮機が大きい
・圧縮比が大きい
・設備コスト大
・産業用チラー
・産業用製氷システム
・V R C 空気 ・毒性、可燃性がなく安価
・圧縮空気 の利用
・低温領域以外はCOP が低い ・低温倉庫
出典 : 自 然 冷 媒の 最 新 動 向 に つ い て/ 2002. 10. 29/ 飛 原 英 治 / 日 本 冷 凍 空 調 学 会
(ii) 国内の製品開発動向
日 本では 2002 年に 自然冷媒を用 いた製 品が注 目を 集めた。注 目を集 めた製 品の一 つは
“ ノンフロン冷蔵庫” と称された家庭用冷蔵庫である。 2002 年 1 月に東 芝、松 下 電 器 産 業 (生 産・ 開発主体は 松下冷機) から 投入 されたこの 製 品 群は、 炭 化 水 素 系のイ ソ ブ タ ン を冷媒 として 利用している。 販売実績は 予想を 大きく 上回ったため8、 先発メーカに お け る製品 ラインアップ の拡充 と他社 の参入 が一気 に進 んだ。 予想では 2003 年 12 月に は 市 場の 40%は自然冷媒 の冷 蔵 庫に置 き換わ り9、 2004 年度 には大 型 冷 蔵 庫が 100%自 然 冷 媒 に切 り替 わるといわれている。 なお 、キーデバイス で あ るコンプレッサ の生産 は先 行 2 社で 行わ れ た。
も う一つ の製品 は“ エコキュート ”
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と称 された 二酸化炭素を 冷媒として使 用した 家庭 用給湯器 で、2001 年 から主要電力会社 と複数 のメ ー カから 共通ブランド で販売 されてい る 。また、 2002 年 度か ら は国による補 助 金 制 度も適 用されている 。好調 な販売実績を 受 け て 2003 年 2 月に は給湯 と床 暖 房・追 い炊き を組み 合わ せ た機能拡充商品が製品化さ れ ている。なお、主要部品の生 産はデ ン ソ ー、三洋電機 、ダイキンの 三社で 行われている。
他 の製品 とし て は、2002 年 12 月に はデンソー製 の二酸化炭素 を用い たカーエアコンが 市販車 に搭 載さ れ た。 またその他 の自 然 冷 媒を利 用し た製 品としては 、ア ン モ ニ アを 利 用 した冷凍冷蔵施設が 1900 年代 から稼 動しており、現 在でも 生産現場、貯 蔵 庫、大 型 施 設 を中心 に稼動 している。さらに、空気を 冷媒とした製 品も 1996 年に鹿 島 建 設 等に よ っ て 製品化 されている。
しかしながら、エアコンに 関し て は特定用途で の導入事例11があるものの、他の製 品と 比 べると 実用化 ・製 品 化に向 けた動 向があまり見 られない。
8
松 下 電 器 産 業 で は計 画 の30%増 の1万 台を 販 売(2002年2月 ∼9月)
9
松 下 電 器 産 業 による 推 計
10
エ コ キ ュ ー ト は 関 西 電 力 株 式 会 社 の 登 録 商 標( 登 録 番 号4575216号 )
11
ダ イ キ ン 工業 が ビ ー ル 工 場 向 けに プ ロ パ ン を用 い たル ー ム エ ア コ ンを 開 発し た 事例 がある 。 また 、 前川 製 作 所 がア ン モ ニ ア を用 い た空 調 シ ス テ ムを 開 発し 、 船 舶 用 に 導入 し て い る 。
概 要 - 図 - 4 ノ ン フ ロ ン 冷 蔵 庫 ・ エ コ キ ュ ー ト 外 観
出典 : 左端 : 松 下 電 器 産 業 ホ ー ム ペ ー ジ
< ht t p: / / nat i onal . j p/ pr oduc t / c ooki ng/ r ef r i ger at e/ f r _ r ef r i ge/ nr _ d471n/ i ndex. ht ml
>左 か ら 2 番 目: 東 芝ホ ー ム ペ ー ジ
<ht t p: / / t os hi ba - r ei z ouko. c om/ aag/ r ei z ouko/ s enz ou/ nonf l on/ mot t o/ i ndex. ht ml> 右 端 及 び 2 番 目: 東 京 電 力 ホ ー ム ペ ー ジ
<ht t p: / / www. t epc o. c o. j p/ c us t om/ e_ c ut e/ s up02- j . ht ml > 2003. 2 検 索
(iii) 技術の俯瞰
自 然 冷 媒を 用い た加熱冷却技術 を俯 瞰すると( 概要 - 図- 5)、 自然冷媒 を起点 に化学物 質関連技術 、加熱冷却装置関連技術へ と広 がりをもった技 術と し て表 現できる。 そ し て 温 度・ 用 途 別に区 分することで、 アプリケーション( 冷凍 、冷 蔵、 空調、 加熱機器 など ) に 展開 ができる。 また 、自然冷媒 に よ る加熱冷却技術 は、 フロン や代 替フロンを 用い た 加熱冷却技術と 共通点 を持ちつつ、冷媒の 変更か ら生じ る課題 を克服 して発 展している 。 な お、本調査で は圧縮技術を 調査対象とし 吸収や 吸着技術は 対象外 としている。
概 要 - 図 - 5 加 熱 冷 却 技 術 の 俯 瞰 図
フロン 代替
フロン 自然 冷媒
温度・用途別 冷凍・冷蔵・空調・加熱機器
(アプリケーション )
フロン
フロン 代替
フロン 代替 フロン
自然 冷媒 自然 冷媒
温度・用途別 冷凍・冷蔵・空調・加熱機器
(アプリケーション ) 化学物質関連技術
加熱・冷却装置関連技術
安 全 技 術 回路構成・
制御技術
熱 交 換 技 術
圧 縮 技 術
2. 主要国・地域における特許の出願動向 (i) 出願元別の出願件数の動向
主 な地域 における特許 の出願動向を 見てみると( 概要 - 図 - 6)、日本 からの 出願が 1704
件 、米国 からの 出願が 1083 件、欧州からの出 願が 1138 件、韓 国か ら の出願 が 41 件、中 国 からの 出願 が 36 件となっている。日 本か ら の特許 の出願件数は 、1990 年代後半か ら 他 の国・地域と 比べて 非常に 多くなっている。米 国や欧 州から の出願 は多くても 年間 100 件 に満たないが 、日本 は 1998 年を起 点に急 増し 2000 年に は 370 件の特 許が出 願さ れ て い る。 また 、韓国 ・中 国は 冷凍空調産業と 技術の 発展 が著 しいといわれているものの 、 自然冷媒 に関す る特許出願はまだ少 ない。
概 要 - 図 - 6 出 願 元 国 別 の 特 許 出 願 件 数 の 推 移
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
中 国 韓国
欧州 米国
日本 0
50 100 150 200 250 300 350 400
出願件数
日本 17 16 17 19 21 16 31 16 29 28 48 66 73 79 84 101 127 229 317 370
米国 39 33 46 33 35 48 54 60 56 68 59 64 72 66 64 60 72 73 48 33
欧州 46 36 40 59 45 59 49 50 61 57 60 57 80 75 57 70 66 64 64 43
韓国 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 1 1 0 1 8 6 4 5 7 5
中国 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 3 3 5 3 3 0 2 1 3 10
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
注) 1. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 2. 各出願特許 に お け る 優 先 権 主 張 国 を出 願 元 国 と し て い る
(ii) 日米欧間における出願件数の動向
日米欧において 、各地域 における特許出願件数を出願元別 に見てみると(概 要- 図- 7)、 日 本に出 願さ れ た特許 は、 1840 件 の う ち 1704 件が 日本か ら出願 されている。 つまり 海 外 から 日本 への出 願が 非常 に少な い こ と が わ か る。ま た、 米国 から欧 州へ の出 願は 723 件 であり、 米国 から出 願さ れ た特許 のうち 87%は欧 州にも 出願 されている。日 本から 海 外 に出願 された 特許は 、米国へ 361 件 、欧 州へ 594 件あり 、米国 よりも 欧州に 出願さ れ た 特許 が多 い。このように 欧州へ 米国 や日 本から 多数出願 されており 、欧 州への 出 願 件 数 は 2503 件 に及んでいる。欧州に 出願が 集中す る背景 には、現 在までのところ、この 分 野 におけるマーケット の主体 が欧州 にあるためだと思 われる 。
概 要 - 図 - 7 日 米 欧 に お け る 三 極 間 の 出 願 動 向
57 件 (7%)
361件 (21%)
594件 ( 35%)
71件 ( 6%) 473件 (42%)
723件 (87%)
その他 8件 欧 州 71 件 米国 57件
日本出願 1,840件
(日 本1, 704件)
その他 63件
日本 594件 欧州出願 2 ,503件
米 国 723件
( 欧州1,123件) その他
5 0件
日 本 361件 欧州 473件
米 国 出 願 1,712件
(米 国828件)
注) 1. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 2. 円グ ラ フの 大 き さ と 円グ ラ フの 中 心に 記 した 出 願 件 数 は各 地 域 への 出 願 件 数 を表 す 。 注) 3. 円グ ラ フの 中 の括 弧 で記 し た件 数 は、 出願先 と 出 願 元 が一 致 す る出 願 の件 数 を表 す 。 注) 4. 矢印 の 太さ と 矢印 に 記し た 出 願 件 数は 、矢 印の 根 本 の地 域 に優 先 権が あ る出 願 特 許( A)
の中 で 矢印 の 先端 の 地域 に 対し て も出 願 さ れ た 出 願 特 許(B)の件 数 を表 す 。その 件 数の 下 の括 弧 で記 し た% は (B の 件数 ÷ A の件 数× 100) で あ る 。
3. 日本における特許の出願動向 (i) 冷媒別の出願件数の動向
日 本からの 特許 の出願件数 を冷媒別 に見 てみると( 概要 - 図- 8)、 炭化水素に 関す る出 願 が 832 件と 最も多 い。次 いで二 酸 化 炭 素が 434 件、 アンモニア が 245 件、ヘリウム が 227 件 となっている 。
冷媒別 に出 願 件 数の 推移 を見 ると、 炭化水素が 1990 年 代 前 半か ら増 加し 始め、 1998 年 に急激 に増加 している。こ の時期 の社会情勢を 見てみると、 1997 年末 に、京 都 議 定 書 に お い て代 替フ ロ ンが 地球温暖化 に影 響を 与える 物質 と し て指定 さ れ て い る。こ の動 向 を 受け て炭化水素 を用 いた 冷蔵庫等の 開発 が行われており 、特許出願件数 の増加 は京 都 議定書の 影響があったといえる
12
。
二 酸 化 炭 素に関 する出願件数 は 1999 年以降に 急増 している。二酸化炭素は 、1996 年頃 か ら 欧 州に 牽引 される 形 でカーエアコン 用 途と し て研 究が 始 まり ( 概要 - 図- 15参照)、 1998 年にはその 研究成果を活 用し家庭用給湯器としての 開発が 着手さ れ て い る。こ の よ う に二酸化炭素 における出願件数の 急増は、 1990 年代後半 において二つ の製 品 群への 開 発 が同時 に進められたためと 思わ れ る。
アンモニア に関 する 出願件数は 、炭 化 水 素や 二酸化炭素 ほ ど の急 激な 増加傾向は 見ら れないものの 1998 年から 増加傾向に あ る。ア ン モ ニ アに関 する開発動向 をみると、例 え ば、前川製作所などが直膨式13の 技術開発を 行っている。初 めてア ン モ ニ アを用 いた製 品
12
主 要 出 願 人へ の イ ン タ ビ ュ ー 結果 に 基づ く 。
13
直膨式 は アンモニア の 冷媒充填量 を 約1/50に 削 減す る 方 式。有 害 物 質で あ るア ン モ ニ ア の使 用 量を 大 幅 に削 減 で き る 。
が 開発 されたわけではないが、産業機器用 の冷媒 と し て注 目されたために 、従来 の領 域 でありながら技術開発 が行わ れ、特 許の出願件数 が増 加し た と思われる。
ヘリウム は極 低 温( リニアモータ用な ど)の特定用途として従 来から 利用さ れ て お り、 1980 年代 前半か ら継続 した出 願が見 られる 。
こ の よ う に炭化水素 、二酸化炭素 、ア ン モ ニ アにおける出願件数 は 1998 年以降に 急速 に 増加 している。 製品開発 の背景 からみてもわかるように 、特許 の出 願 件 数の増 加は 、 京都議定書 を起点 に複 数の 製品・ 自然冷媒 における研 究 開 発が行 わ れ た影 響が大 き い と いえる。
概 要 - 図 - 8 冷 媒 別 の 特 許 出 願 件 数 の 推 移 ( 日 本 か ら の 出 願 )
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
水素 空気
水 窒素
ヘリウム アンモニア
二酸化炭素 炭化水素
0 2 0 4 0 60 80 100 120 140 160
出願件数
給湯器開発( 1998∼)
カーエアコン開発( 1996∼) 冷蔵庫開発(1998∼)
京都議定書( 1997. 12)
給湯器開発( 1998∼)
カーエアコン開発( 1996∼) 冷蔵庫開発(1998∼)
京都議定書( 1997. 12)
水 素 2 0 0 0 0 0 0 0 0 4 1 0 1 1 0 2 0 0 1 1
空 気 2 0 0 0 0 0 1 0 4 1 0 0 0 3 2 1 1 2 2 2
水 0 2 0 0 1 1 1 0 1 0 1 1 2 3 2 0 2 3 3 5
窒 素 0 1 2 0 0 0 6 0 3 2 1 2 1 1 3 2 1 4 2 2
ヘリウム 5 5 1 1 13 13 6 1 8 7 11 7 16 20 18 7 12 9 7 9 12 21
アンモニア 0 2 0 2 1 0 0 1 0 3 5 14 5 1 0 12 18 13 3 7 55 67
二酸化炭素 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 4 3 7 1 0 6 16 44 6 9 129 144
炭化水素 9 8 6 3 6 9 8 8 11 1 3 21 29 37 5 0 55 58 80 139 134 148
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991 年 1992年 1993年 1994年 1995 年 1996年 1997年 1998年 1999 年 2000年
注) 1. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 2. 優 先 権 主 張 国 が日 本 と さ れ て い る 出 願 特 許を 抽 出し て い る 注) 3. 開 発 年 次は 公 開 情 報 に基 づ く
(ii) 冷媒別の主要出願人
冷媒別 に主要出願人 を見て み る と( 概要 - 図 - 9)、ど の冷 媒で も主 な出願人は 製 造 業で 占 められていることがわかる。炭 化 水 素で は電気 メ ー カが 中心である 。二 酸 化 炭 素で は 自動車部品 メーカ と電 気メーカが 上位 を占 めている。 アンモニア では 電気 メーカ の ほ か に 、設備機器メーカや 石油会社が主 要 出 願 人に入 っている。
企業別 で見 ると 、三洋電機 とダ イ キ ン工 業が 各冷媒 に お い て も特 許を 多数出願してお り 、ま た松下電器産業 もヘリウム を除 いて 各冷媒 での 特許出願が 多い こ と が わ か る。 ま た 、多 くの トヨタ 自動車系 の企業 (デ ン ソ ー、豊 田 自 動 織 機、日 本自動車部品総合研究 所 、アイシン精 機)が 二酸化炭素において 主要出願人 に入っている 。
概 要 - 図 - 9 日 本 に お け る 主 要 出 願 人
出 願 人 件数 出願人 件 数 出 願 人 件数 出願人 件 数
1 松下電器産業 101三洋電機 67 三 菱 電 機 24日立製作所 59 1
2 三 洋 電 機 84ゼクセル 66 三 洋 電 機 23ダイキン工業 33 2
3 松 下 冷 機 80デンソー 54 前川製作所 22東芝 31 3
4 三 菱 電 機 65松下電器産業 42 松下電器産業 17三洋電機 16 4
5 ダ イ キ ン工 業 60ダイキン工業 26 ダ イ キ ン工 業 13アイシン精機 14 5
6 日立製作所 54サンデン 23 大 阪 瓦 斯 13神戸製鋼所 13 6
7 大 阪 瓦 斯 30日本自動車部品総合研究所 20 ジヤパンエナジー 11三菱電機 12 7
8 東 芝 30豊田自動織機製作所 16 日立製作所 10住友重機械工業 10 8
9 東 京 瓦 斯 29アイシン精機 14 長府製作所 8日立テクノエンジニアリング 10 9
10神戸製鋼所 23三菱重工業 13 旭電化工業 7日本原子力研究所 910
11住友精密工業 21鷺宮製作所 12 荏原製作所 7東海旅客鉄道 811
12松 下 電 工 21松下冷機 11 松 下 冷 機 6岩谷産業 612
炭化水素 二酸化炭素 アンモニア ヘリウム
注) 1. 黄色 で 着色 し た企 業 は製 造 業( 電 機、 重 機、 自 動 車 部 品 等 ) 以 外の 出願人 注) 2. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 3. 優 先 権 主 張 国 が日 本 と さ れ て い る 出 願 特 許を 抽 出し て い る
4. 炭化水素に関する特許の出願動向 (i) 出願元別の出願件数の動向
出 願 元 国 別に炭化水素 に関す る出願動向を 見てみると(概要 - 図 - 10)、日本 からの 出願 が 832 件 、米 国か ら の出願 が 568 件、欧 州か ら の出願 が 548 件となっている。 出願件数 の 推移を 見ると 、1990 年代後半 から日 本が圧倒的に 多いが 、出願時期に お い て は日本 よ り も米国 や欧州 が先行 している。
概 要 - 図 - 10 炭 化 水 素 に 関 す る 特 許 出 願 件 数 の 推 移 ( 日 米 欧 )
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
欧州 米国
日本 0
20 40 60 80 100 120 140 160
出願件数
欧州 24 18 13 26 19 26 27 33 28 30 24 25 42 39 36 38 27 35 24 14
米国 18 21 26 22 18 27 22 29 26 34 29 40 29 39 29 37 42 38 23 19
日本 9 8 6 3 6 9 8 8 11 13 21 29 37 50 55 58 80 139 134 148
1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
注) 1. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 2. 各出願特許 に お け る 優 先 権 主 張 国 を出 願 元 国 と し て い る
製品開発動向で は、欧州 において 1992 年 にグリーンピースと フォロン社か らイソブタ ン を使用 した家庭用冷蔵庫が 製品化 され、翌 1993 年 には主要各社 が追従 する形 で製 品 化 している 。特許 の出願動向において も欧州 では 1993 年に出願件数 が増加 している。現 在
ドイツ市 場における炭化水素冷媒を 用いた 家庭用冷蔵庫のシェア は 95% を越え る と い わ れ て い る。 ただし 、ドイツ 、北欧以外 の地 域では 炭化水素冷蔵庫 が主 流に な っ て は い な い 。14
一 方、米国 においては、PL 法 において製 造 者に対 する賠償責任 が厳し く問われる風 土 が あ る た め、可燃性である炭 化 水 素がフロンや 代替フロンに 代わ っ て普及 する可能性は 非 常に低 く、欧 州のように炭 化 水 素 冷 蔵 庫が家庭用冷蔵庫市場に投 入さ れ る動きはない 。
15
し か し な が ら、出 願 件 数を 見る限 り、 米国 からの 出願 は製 品が市 場 投 入さ れ て い る欧 州 と差がないことがわかる。
日米欧における 主要出願人を 見てみると( 概要 - 図 - 11)、欧 米の主 要 出 願 人は石 油・化 学 メ ー カで 占められており 、日本 のように 電気メーカ で占 められている状 況とは 全く 異 なることがわかる 。冷 媒を 用いた 加熱冷却技術に お い て、 石油・ 化学 メ ー カが関 わる 技 術領域 は化学物質関連技術である (概 要- 図- 23参 照)。具体的に は、 混合冷媒16に 関わ る 化学面で の技術要素や 、潤滑油17、添加剤に 関わる 石油化学面で の技術要素 である 。一 般 に、化学物質関連技術は 機械装置関連技術 に比べ て知的財産としての 活用が 期待できる 。 つまり 、欧 米における 特許出願は 、日 本のように 電気 ・機 械メ ー カが 主体 となり 機 械 装 置関連技術 を出願 する 傾向 とは異 なり 、石 油・化 学メーカ が特許 の活 用を 睨んで 出願 を す る傾向 が強いことが 伺える 。
概 要 - 図 - 11 炭 化 水 素 に 関 す る 特 許 の 主 要 出 願 人
出 願 人 件 数 業 種 出願人 件数 業種 出 願 人 件 数 業種
1 松下電器産業 101電機 L UBRI ZOL CORP 7 0 石 油・化学I NST F RANCAI S DU PETROL 30研究機関 1
2 三洋電機 84電機 DU PONT 4 8 化 学 LI NDE AG 20ガス 2
3 松下冷機 80電機 EXXON CHEMI CAL PATENTS I NC 2 6 石 油・化学CI BA GEI GY CORP 15化学 3 4 三菱電機 65電機 EXXON RESEARCH ENGI NEERI NG CO 2 1 石 油・化学SHEL L I NT RESEARCH 15石油・ 化学 4 5 ダイキン工 業 60空調 AL L I ED SI GNAL I NC 1 7 航空宇宙 BAS F AG 14化学 5 6 日立製作所 54電機 AI R PROD & CHEM 1 6 化 学 EXXON CHEMI CAL PATENTS I NC 14石油・ 化学 6 7 大阪瓦斯 30ガス MOBI L OI L CORP 1 4 石 油 ETHYL PETROLEUM ADDI TI VES LTD 13石油・ 化学 7 8 東 芝 30電機 PRAXAI R TECHNOL OGY I NC 1 4 ガ ス I CI PL C 12石油・ 化学 8 9 東京瓦斯 29ガス CHEVRON RES 1 3 石 油・化学BP CHEMI CAL S ADDI TI VES 11化学 9
1 0神戸製鋼所 23機械 ETHYL CORP 1 3 化 学 HOECHST AG 11化学 1 0
1 1住友精密工業 21機械 PHI L L I PS PETROL EUM CO 1 2 石 油 MURPHY F REDERI CK THOMAS 10個人 1 1
1 2松下電工 21電機 1 2
日本 米国 欧州
注) 1. 黄色 で 着色 し た企 業 は製 造 業( 電 機、 重 機、 自 動 車 部 品 等 ) 以 外の 出願人 注) 2. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
注) 3. 各出願特許 に お け る 優 先 権 主 張 国 を出 願 元 国 と し て い る
(ii) 冷蔵庫の製品化と特許出願の動向
炭 化 水 素を 用い た製 品は主 に家 庭 用 冷 蔵 庫であるが 、日 本に お け る製品化が 欧州 より も 遅れ た理 由を整 理してみると、 モントリオール 議 定 書を 受け冷 媒を フ ロ ンから 転換 す る 際に 炭化水素で は な く代 替フ ロ ンの 製品開発に 注力 したこと、 欧州 と日 本では 冷 却 方 式 に違 いがあり( 欧州 - 直冷式 、日 本- 間 冷 式) 間冷式 が主 体の 日本で は製品化が 困難 で
14
欧 州 家 電 工 業 会 (CECED) への ヒ ア リ ン グ結 果 に基 づ く
15
米 国 家 電 工 業 会 (AHAM) へ のヒ ア リ ン グ 結果 に 基づ く
16
複 数の 化 学 物 質 を混 合 して 生 成す る 冷媒 のこと 。 混 合 冷 媒 の方 が 、単 一 組 成 の 冷媒 に 比べ 冷 媒 機 能 面や 環境負荷面 で の性 能 が優 れ る こ と が あ る 。
17
機 械 油( 潤滑油) は、 潤 滑 機 能 を果 た し つ つ、 冷 媒と 共 に密 閉 空 間 を 循環 しても 冷 媒の 機 能を 阻 害し な い 特色 も 求め ら れ る 。
あったことがあげられる18。なお 、今日 まで日本企業 は自然冷媒に 移行す る欧州市場を 静 観 していたわけではなく、 コンプレッサの 生産・ 輸出 は冷 蔵 庫 開 発よりも 先行し て行 っ ている。19
ま た、 日本 の機 械メーカからの 出願件数 が多 い理由 としては 、技術的 に困難 な間冷式 の 防爆機能 が要求 さ れ た こ と、安 全 基 準づくりを 業界 で検 討し徹底的 な対 策を施 し た こ となどがあげられる。 このために、 日本で は開発 から 製品化 まで 3 年 以 上の歳 月が か か っ て い る。 一方で 欧州 では フォロン社 に追 従した 主要各社 の製 品 化 期 間は 非常に 短く 、 さらに 炭化水素冷蔵庫 に沿 った安全基準作 りも行 われていない。 欧州 の電 気メ ー カか ら 特 許 出 願 件 数が少 ない 傾向 には、 これらの 動向も 影響 していると 思われる 。この 様に 、 欧 州と 日本 では同 じ冷蔵庫 であっても 製品構造や 基準 づくりの違 いか ら、 特許の 出 願 件 数 に大 きな 違いが 現れたといえる 。な お、 日本の 電気 メ ー カが注 力し た炭化水素 の防 爆 技 術には、加熱部分で あ るヒ ー タにおける発 火を防 ぐ技術( 概要 - 図 - 12)、電子部品か ら の 発火を 防ぐ技 術、冷 媒 使 用 量を削 減するための 技術 などがある。
概 要 - 図 - 12 ヒ ー タ の 防 爆 に 関 わ る 特 許 の 出 願 系 統 図
1995
特開平11- 257831 H10.03.13
東芝 管内気圧の上昇を検知し、ヒ
−タ及び ガラス管表面での 漏洩冷媒の 引火・爆 発 事 故 を未然に防ぐ。
特開平 12-121237 H10.10.20
東芝 配 置を工 夫し、可燃性冷媒 が 漏洩した環境下で除霜が 行 われた 時 に爆発を防止す る。
1999
特開平 12-251137 H11.02.26
東芝 自 動 販 売 機。商品収納室内 の漏洩による燃焼を、混合冷 媒により解決する。
特開平12- 329447 H11.05.17 松下冷機 除 霜 手 段 を可燃性冷媒の 発火温度未満の温度とし、 可 燃 性 冷 媒が設置雰囲気 に漏洩した環境下で除霜が 行 われた 場合の 発火の危 険性を抑制する。
特開平 14-005560 H12.06.20 三菱電機 ヒ−タの表面積とヒ−タの入 力 値を特定の関係式を満た すように 構成し、霜取 ヒ−タ 部 分に対する安全性を高め る。
特開平14- 115941 H12.10.12 松下冷機 可燃性冷媒を検知してヒー タをオフ。外圧が加わつた 時 に可燃性冷媒が引火するこ とがない。
特開平13- 091139 H11.09.22 松下冷機 除 霜 手 段 を可燃性冷媒の 発火温度未満の温度とし、 可 燃 性 冷 媒が設置雰囲気 に漏洩した環境下で除霜が 行 われた 場合の 発火の危 険性を抑制する。
2000 2001
特開平14-115946 H12.10.05 日立製作所 蒸発器の下部に設 けた除霜 ヒ−タが断線した際にはヒ− タの通電を強制的 に遮断。
特開平14- 130918 H12.10.19 松下冷機 冷媒発火温度以下の除霜加 熱手段を用 いる。また、これ による除霜性能 の低下を補う
。
特開平14- 195735 H12.12.27 松下冷機 ガラス管 の表面を可 燃 性 冷 媒の発火温度未満とすること により、可燃性冷媒の発火に よる危険性を抑制。
特開平14-206849 H13.12.03 松下冷機 H11-135304(H11.5.17)の
分割 冷媒の 発 火 点 温 度 未 満 の温度で除霜を行う。
管内気圧上昇検知 混合冷媒化
温 度 調 整→
ヒータ入力調整 ヒータのオンオフ制 御
温度調整及 びその 他 特開平09-061041
H 07.08.29 シャープ 内部に蒸発器の除霜を行うヒ
−タを配設したガラス管の両 端 を一対のキヤツプ で完 全 に密閉することにより、冷媒 漏 れによる爆発の危険性 を 防止する。
ヒータ構造
1998
庫内配置
注) 1. 抽 出 方 法に つ い て は 文末 を 参照
(iii) 日本の課題と今後の方向性
日 本は 世界 に先 駆け て間 冷 式の 炭 化 水 素 冷 蔵 庫の製品化 に成 功したが 、米国市場 では 炭化水素冷蔵庫が 受け 入れられる 見込 みがなく、 欧州 では 直冷式 が主 流で あ る た め間 冷
18
欧州 の 冷 蔵 庫 は冷 気 自 然 循 環 式 ( 直冷式 )を 採 用し て お り 、霜 取の た め の 加 熱 機 能 を持 た ず炭 化 水 素 を 冷 媒と し て採 用 し て も 発火 す る危 険 性が 少 ない 。 一 方 日 本で は 、 直 冷 式 では 高 い湿 度 の た め に壁 に 霜が つ き やすいため 、 冷 気 強 制 循 環 式( 間冷式 ) を採 用 し て い る。 さ ら に庫 内 にヒ ー タを 備 え て お り自 動 的に 霜 取 り で き る仕 組 み に な っ て い る。 こ の よ う に高 機 能 化 し た日 本 の 冷 蔵 庫 は、 ヒータ からの 高 熱と 電 子 部 品 か らの 火 花に よ る発 火 の危 険 性が あ り、 可燃性 である 炭 化 水 素 を 冷媒 として 採 用す る こ と が 難し か っ た 。
19
松 下 冷 機で は1994年以降 に 欧州 に お い て920万 台 の累 積 販 売 実 績が あ る。
式 が参 入できる可能性 も低 く、欧 米 市 場で 日本が 開発 した 技術が 活用 さ れ る可 能 性は 低 い 。しかし 、ア ジ ア地 域に 目を向 け れ ば、 多湿地域で は間冷式が 好まれるため、 将 来 的 に 需要の 拡大と フロン / 代 替フ ロ ンの使用削減規制 が進め ば、製品 としてのビジネスチャ ン スは大 きいといえる 。た だ し、欧 州は 1995 年 頃から ドイツ の GTZ20を 中心に 炭化水素 冷蔵庫技術 の技術移転 を行 っており、 ハイアール (中 国メーカ) などでは 既に直冷式 の 冷蔵庫を 生産している 。
一 方で 、圧縮機 に代 表さ れ るキ ー デ バ イ スは 冷蔵庫 の方 式に 依ら ず共 通する 部品 であ るため 、こ の よ う なキーデバイス を供 給することによって 海外市場で 事業 を行う こ と も 可 能である 。また 日本 が開 発した 技術 を製 品や部 品として 反映す る こ と も で き る が、 特 許 の活 用の 視点か ら技 術を 捉え直 し、 例え ば冷媒 システム や防爆 システム として 技 術 供 与 す る こ と で市場 に参 入す る こ と も可 能であろう 。出 願 件 数に裏 付け ら れ た日本 の技 術 力 は、 製品 としての形 にならなくても 知的財産の 形で 欧州 やア ジ アに お い て活用 さ れ る 可能性 を持 っている。 た だ し、途上国 などでは危 険であっても炭 化 水 素を 積極的 に利 用 し て行 く可 能性もあり 、日 本の安 全 基 準だけが他 国と 比べ 非常に 厳しくなった場 合、 日 本 の防爆技術は 海外で は不 必 要な技 術と な る可 能 性もある。
な お、 炭化水素 を用 いた製 品は 、技 術 動 向を 見る限 り防 爆 技 術に 技術課題がある 。家 庭 用 冷 蔵 庫の冷 媒 使 用 量は 50g 程度 であるが、例 えばルームエアコン では 500g 程度の 冷 媒 が必 要であり、 現在 の機 構と充填量 でル ー ム エ ア コ ンに 炭化水素を 用い た場合 、冷 媒 が 発火 した 際の危険性 が非 常に高 く な る。 欧州で は炭 化 水 素を冷 媒とした エアコンが 販 売 されており21、 日 本で もエアコン の導入事例22は あ る が、 決し て主流 の製 品とは な っ て いない 。つまり、 炭化水素 をエアコン に応 用するには 多量 な冷媒 に対 処できる防 爆 技 術 や 冷 媒 充 填 量を削 減す る技 術が必 要であり 、この 開発 ができれば 炭化水素 の冷媒用途 は 大 きく 拡大 する可能性 が高 い。一 方で 技術課題が 克服 できない場 合に は、 炭化水素を 用 い た加熱冷却技術 は、 限 定 的な範 囲として 、例え ば少 量の 充填量 で済 む製 品や、 冷 媒 充 填 量が多 量であっても ユーザ の安全 を確保 できる 機 器 等に活 用されるであろう。
5. 二酸化炭素に関する特許の出願動向 (i) 出願元別の出願件数の動向
出 願 元 国 別に二 酸 化 炭 素に関 する出願動向 を見て み る と(概 要- 図- 13)、日 本か ら の出 願 が 434 件、米国 からの 出願が 94 件、欧州 からの 出願が 177 件 となっている。日本か ら の 出願が 欧米よりも圧倒的に 多く、特に 1990 年代後半においては 著しい 増加が 見ら れ る。
20
ドイツ 技 術 協 力 公 社 (Deutsche Gesellschaft für Technische Zusammenarbeit GmbH)。 海外 へ の技 術 移 転 を支 援 する 公 共 機 関 。
21
欧 州で は イ タ リ アの デ ロ ン ギ 社か ら 販売 さ れ て い る
22
ア サ ヒ ビ ー ル に プ ロ パ ンを 利 用し た エ ア コ ンが 導 入さ れ た 事例 がある