第1 外部監査の概要
Ⅰ 監査の対象
1.対象事項
堺市における補助金に係る財務に関する事務の執行について
ただし、堺市の外郭団体に対する補助金を除く。
2.対象箇所
堺市の対象事項に関係する全部局
3.監査対象期間
平成 14 年度 ただし、必要に応じて過年度及び平成 15 年度も監査の対象と
した。
Ⅱ 監査の期間
平成 15 年 4 月 1 日から同 16 年 3 月 25 日まで
Ⅲ 包括外部監査の経過
1.包括外部監査契約の締結
小職は、平成 15 年 4 月 1 日、堺市との間で、地方自治法第 252 条の 27 第 2
項に定める包括外部監査契約を締結した。
2.包括外部監査人補助者の選任
小職は、包括外部監査業務を補助させるため、まず、次の 5 名の弁護士を補
助者に選任し、予備調査を実施した。地方自治法第 252 条の 37 第 1 項における
「事件」(以下、「監査テーマ」という。)の選定に伴い、次の 4 名の公認会計士
である補助者を追加選任した(順不同)。
尚、補助者弁護士三浦章生は、平成 16 年 3 月 1 日、一般職の任期付職員の採
用及び給与の特例に関する法律第 3 条第 1 項に基づき、財務省関東財務局財務
事務官(証券取引検査官)の拝命をうけたので、同日付で補助者の任を解いた。
弁 護 士 中 務 尚 子 弁 護 士 村 上 創
弁 護 士 三 浦 章 生
公認会計士 小 幡 寛 子 公認会計士 牧 野 康 幸
公認会計士 谷 澤 実佐子 公認会計士 奥 谷 恭 子
3.予備調査の実施
監査テーマの選定のため、平成 15 年 4 月 1 日から平成 15 年 8 月 19 日までの
間、関係部局から事情聴取を行った。
4.監査テーマの選定
予備調査の結果を整理、検討した結果、監査テーマを以下のとおりと決定し、
平成 15 年 8 月 19 日、堺市長に通知した。
対象事項
堺市における補助金に係る財務に関する事務の執行について
ただし、堺市の外郭団体に対する補助金を除く。
対象箇所
堺市の対象事項に関係する全部局
5.利害関係
包括外部監査人及び補助者は、いずれも監査の対象とした事件について一切
利害関係を有していない。
6.調査の実施
( 1) 資料の調査と分析
対象事項について、堺市補助金交付規則、個別補助金に係る堺市補助金交
付要綱、堺市補助金交付申請書、堺市補助金実績報告書及びこれらについて
の附属書類その他の関連する文書、資料を精査して分析を行った。
( 2) 管轄部局からの事情聴取
管轄部局から監査対象事項について説明を求め、事情を聴取するとともに
書面による報告を求めた。
7.監査報告書の作成
Ⅳ 監査テーマの選定理由と監査の視点
1. 監査テーマの選定理由
地方自治法第 232 条の 2 は、普通地方公共団体がその公益上必要がある場合
においては、寄附又は補助をすることができるとされている。この規定を受け
て地方公共団体は、経済的弱者の保護、福祉の増進、地域の産業経済の振興、
街づくり及び学術・文化・芸術・スポーツ等の奨励などのために、地域の協同
生活の共益目的のために、幅広く補助金等の金銭給付行政を行ってきた。しか
し、地方公共団体の厳しい財政状況のもと、行財政の見直しと財政健全化計画
のなかで、多くの地方公共団体において補助金の見直し作業が進んでいる。
堺市においても、平成 15 年 2 月、行財政改革計画が策定され、補助金につい
ても「個別にその果たす役割・効果等の総点検と再評価を徹底的に行い、補助
効果の乏しいものや補助効果が不明確なものは廃止し、その他の補助金も統合
や終期の設定、補助単価や補助率の改定などの見直し」をすることが定められ
ている。
このような状況の下で、補助金の再評価を行うため、堺市の補助金全件を監
査の対象としたものである。なお、外郭団体に対する補助金については、平成
13 年度に外部監査の対象として選定されているためこれを除外した。
2.監査の視点
監査の対象となる堺市の補助金 253 件について次の各視点で評価し(ただし、
平成 15 年度より開始した補助金については、評価の対象からは除外した。)、補
助金の見直しについて検討するとともに、補助金に関する事務の執行について
監査した。
( 1) 補助金交付目的の公益性、必要性
( 2) 補助金の緊要性
( 3) 補助金の有効性、効率性
( 4) 補助金交付の公平性
第2 堺市の補助金の概要
Ⅰ 補助金の意義とその法的根拠
1.意 義
補助金とは、地方公共団体が特定の事務や事業に対し、公益上の必要があると
認めて、反対給付を求めずに行う財政的援助(金銭的給付)であると解されてい
る。すなわち、補助金の役割は、補助対象者の事務や事業の公益性に着眼し、そ
の事務や事業に資金を交付することによって、その事業の促進を支援し、もって
地方公共団体の政策や行政目的を側面から達成しようとするものである。公益上
の必要性は、長が一定の政策目的を遂行するために判断するものであるが、自由
裁量に委ねられるものではなく、客観的に公益上必要があると認められるもので
なければならない。しかし、一義的に判断基準を定めることは困難であり、具体
的な事案について補助金交付の目的と効果、政策の優先順位をはじめ、当該地方
公共団体の財政事情等を総合的に判断して決定されるべきものである。
次に、補助金の性格として、交付の対象となる事務や事業について、直接的な
効果や利益は補助金の交付を受ける者に帰属し、補助対象者から反対給付を求め
ない点に特色がある。一定の事務の対価として支払う委託料とはこの点で異なる。
さらに、補助金はその使途が特定されていることである。補助金の流用は許さ
れない。
以上のとおり、補助金は市政にとって公益上必要な特定の施策や行政目的を遂
行し、奨励するための政策手段として重要な機能を有する。しかし、一方では補
助金のもつ特性から次のような問題が内在している。
( 1) 補助金の交付が「公益上必要がある場合」と抽象的に規定されているた
め、補助金の要否の決定についての客観的な基準の設定が困難である。そ
のため、補助金交付の範囲が広がり、交付基準や判断の厳密性が希薄化し、
一旦補助金が交付されると、政策目的の必要性が低下しあるいは消滅して
も、惰性的に継続しがちである。
( 2) 補助金が反対給付を要しない金銭給付であることから、一旦受益を得る
と、後年度消滅する場合には大きな抵抗が伴うという現象が生じやすい。
いわば、補助金の既得権化である。
( 3) 補助金は、補助事業者の自主・自立的意欲を減退させ、補助金依存を招
来する傾向が生じやすい。
( 4) 補助金の規模が零細になったり、目的が重複したりすることによって、
補助金には上記のような問題点があるため、補助金の交付決定については、社
会経済情勢の変化や、地方公共団体の掲げる行政施策、市民ニーズの変化に対応
し、絶えず公益性の観点から、客観的にその必要性を見直すことが要請される。
とりわけ、構造的な財政状況の悪化の下、効率的な財政運営が求められていると
きには、補助事業について、公益上の必要性、効率性及び施策の面からの優先順
位をつけた緊要性などについて改めて見直すことが必要とされる。
2.法的根拠
補助金交付の法的根拠は地方自治法第 232 条の 2 である。又、同法第 1 条の 2
に謳われる地方公共団体の住民の福祉の増進を基本として、地域における行政を
自主的かつ総合的に実施する責務もその法源となる。
宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に
属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に、公金を支出することを禁止する憲法
第 89 条は地方公共団体にも適用される。しかし、私立学校法や社会福祉法の定め
るところにより、その特別な監督を受ける場合には、公の支配に属するものとし
て、地方公共団体は補助金を支出することができる。例えば、私立学校振興助成
法あるいは社会福祉法は、地方公共団体の特別の監督の下に補助金の支出を認め
ている。
補助金の支出は、法令及び条例に根拠がある場合に認められる。前記地方自治
法第 232 条の 2 はその一般法であるが、特別法において地方公共団体の補助金の
支出を定めたものがある。例えば、文化財の管理、修理、復旧、公開その他の保
存及び活用に要する経費につき地方公共団体が補助することを定めた文化財保護
法第 98 条がそれである。
国が交付する補助金について、補助金等の交付の不正な申請及び不正な使用の
防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図
るために制定された「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」は、国
の補助金等に関する基本法であるが、その原理は地方公共団体の補助金の交付に
もあてはまるものである。
3.堺市補助金交付規則
堺市は、平成 12 年 10 月 1 日、堺市が交付する補助金に係る予算の執行及び交
付手続等の適正化を図るため、補助金の交付の申請、決定等に関する事項その他
補助金に係る予算の執行に関し、「堺市補助金交付規則」を制定している。この規
則が制定される以前にも、補助金の交付がなされていたが、それは地方自治法第
232 条の 2 の一般法その他特別法に依拠して議会で承認された予算に基づいて長
の防止その他補助金に係る予算の執行や決定の適正化のため、そのルールの制定
が求められていたものである。平成 12 年に制定施行された上記規則により、堺市
の補助金に関する事務は、透明化のため前進したものと評価できる。
上記規則により、市長は個別の補助金に関し、補助金の名称及び目的、補助対
象となる事業、補助の条件、補助金の額、補助金の交付に係る手続(上記規則に
定めるものを除く。)等について規定するため要綱を定めることが義務づけられた。
後述するように、個別の補助金については、直接規則で定められたもの以外は、
補助金交付要綱で定められている。
Ⅱ 補助金の交付手続
補助金の交付手続は、堺市補助金交付規則によると、概略、次のとおり定められ
ている。
( 1) 堺市補助金交付申請書の提出
補助金の交付の申請をしようとする者は、堺市補助金交付申請書(様式が定め
られている)に次に掲げる書類を添えて市長に申請する。
① 事業計画書
② 収支予算書
③ 前年度決算書(申請者が団体の場合)
④ 工事に係る実施設計書及び工事契約書の写し(補助事業が工事を伴う
場合)
⑤ その他市長が必要と認める書類
( 2) 補助金交付決定と補助金交付決定通知書の交付
市長は補助金の交付申請を受理した場合は、申請に係る書類等を審査し、補助
金を交付すべきものと認めたときは、補助金交付決定を行い、堺市補助金交付決定
通知書を交付する(条件を付した場合にはその旨を記載する。)。
( 3) 補助金交付の条件
市長は補助金の交付の決定をする場合には、次の条件を付する。
① 補助金をその目的以外に使用してはならないこと。
② 補助事業に要する経費の配分又は補助事業の内容を変更し、又は補助
事業を中止し、若しくは廃止しようとする場合においては、あらかじめ市
長の承認を受けること。
③ 補助事業が予定の期間内に完了しない場合又は補助事業の遂行が困難と
④ この規則の規定に従うこと。
⑤ その他補助金の交付目的を達成するために必要な事項
( 4) 補助金交付申請の取下げ
申請者は、補助金交付決定通知を受けた場合、その決定の内容又はこれに付さ
れた条件に不服があるときは、申請の取下げをすることができる(取下げがあっ
たときは、当該申請に係る補助金の交付の決定はなかったものとみなされる。)。
( 5) 事情変更による交付決定の取消・変更
補助金交付決定がなされた場合、その後の事情の変更により、特別の必要が
生じたときは、市長は補助金交付決定の全部又は一部を取消し、又は決定の内
容若しくは条件を変更することができる。この場合、交付すべき補助金の額を
超えて補助金が交付されていたときは、堺市補助金返納・返還命令通知書によ
り返納されることになる。
( 6) 補助事業者の義務
補助事業者は、補助金交付決定の内容及び条件に従って善良な管理者の注意
をもって補助事業を行い、市長の請求により補助事業の遂行の状況について報
告する義務を負っている。
( 7) 補助事業の遂行命令等
市長は、補助事業が補助金の交付内容若しくは条件に従って遂行されていな
いと認めるときは、補助事業の遂行命令や一時停止命令を行うことができる。
( 8) 実績報告
補助事業者は、補助事業が完了したときは、堺市補助金実績報告書に次に掲げ
る書類を添えて、市長に提出しなければならない。
① 事業実施報告書
② 収支決算書
③ 工事に係る完了届及び完成写真(補助事業が工事を伴う場合)
④ その他市長が必要と認める書類
( 9) 補助金の額の確定
市長は、実績報告を受けた場合は、その内容を審査し、適当と認めたときは、
補助金の額を確定し、堺市補助金確定通知書により通知する。審査の結果、補
助事業の是正の見込みがなく、補助金を交付することができないと認めたとき
は、速やかにその旨を補助事業者に連絡する。
( 10) 是正措置
補助事業者の報告を受けた場合、市長は補助事業の成果が補助金交付決定の
( 11) 補助金の交付
補助事業者は、補助金の額の確定通知を受けたときは、堺市補助金交付請求
書に堺市補助金確定通知書の写しを添えて補助金の交付を申請し、補助金の交
付を受ける。
( 12) 補助金の概算払
補助金の交付目的を達成するため又は補助事業の性質上、事業の完了前に補
助金を交付する必要があると認めるときは、交付決定額の全部又は一部を事前
に概算払いにより交付することができる。
( 13) 交付の決定の取消
補助事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、補助金の交付の決定の
全部又は一部が取り消される。
① 虚偽の申請その他不正の手段により補助金の交付を受けたとき。
② 補助金を定められた目的以外に使用したとき。
③ 補助金の交付の決定の内容又はこれに付した条件に違反したとき。
④ 法令又はこれに基づく市長の処分に違反したとき。
( 14) 加算金及び延滞金
補助事業者が補助金の返納又は返還を命じられ、これを期日までに納付しな
かったときは、加算金及び延滞金が課せられる。
( 15) 他の補助金の一時停止
補助事業者が補助金の返還を命じられ、これを納付しない場合には、同種の
事務又は事業につき交付すべき補助金があっても、交付を一時停止し又は相殺
されることがある。
( 16) 財産の処分の制限
補助事業者は、補助事業により取得し又は建設した不動産その他補助事業に
より購入し又は効用の増加した財産については、一定の期間が経過するまでは、
市長の承認を受けないで、補助金の交付の目的に反して使用したり処分するこ
とが禁止される。
( 17) 要綱の制定
個別の補助金に関しては、すべて補助金の名称及び目的、補助対象となる事
業、補助の条件、補助金の額及び規則に定められたものを除く補助金交付手続
について要綱を定めることになっている。
上記が堺市の補助金交付手続の概要であるが、補助金の交付の不正な申請や不正
べき点はない。
ところで、堺市民が新たに公益的活動の助成を受けるには、この規則の定めると
ころによって事業計画、収支予算等を記載した堺市補助金交付申請書を提出するこ
とになる。要綱が定められている既設の補助金については、補助金の目的、補助事
業の内容及び補助金交付手続等その具体的な内容と手順が定められているが、市民
団体やNPOが要綱にない新規の公益的活動について補助金の交付申請をしたい場
合には、複雑で判りづらく、事実上その門戸を閉ざすか狭くしているきらいがある。
これは、一旦創設された補助金は、そのまま継続されやすく、新規参入は困難とい
う傾向を招来する。
Ⅲ 堺市の財政と補助金
1.堺市行財政計画と補助金
堺市では、従来から市民福祉の向上を図るため行財政改革に取り組んできてお
り、現在は平成 15 年 2 月策定の「行財政改革計画」(平成 14 年度∼平成 17 年度)
に基づき取り組んでいる。その計画では 5 つの戦略を公表し、当該戦略の中の 1
つである「成熟社会に対応した財政基盤の確立」に関して、「補助金等の見直しな
ど施策・事業の抜本的改革と経営の効率化」を掲げ、効果の薄い補助金を見直す
こととしている。具体的には、各補助金の果たす役割・効果等の総点検と再評価
を徹底的に行い、補助効果の乏しいものや補助効果が不明確なものは廃止し、そ
の他の補助金も統合や終期の設定、補助単価や補助率の改定など見直しが検討さ
れている。
2.堺市の一般会計と補助金の推移
平成 11 年度から平成 14 年度までの決算及び平成 15 年度当初予算における堺市
の一般会計歳入・歳出と補助金の推移は次のとおりである(補助金額には外郭団
体に対する補助金も含む。)。
堺市の歳入・歳出と補助金の推移表(一般会計) (単位:百万円)
平成 11 年度 決算
平成 12 年度 決算
平成 13 年度 決算
平成 14 年度 決算
平成 15 年度 当初予算 歳入(A) 326, 599 285, 705 271, 788 268, 442 290, 600 歳出(B) 323, 549 280, 754 270, 445 266, 874 290, 600 補助金(C) 10, 738 8, 675 10, 071 11, 056 10, 505 補助金割合(D)
(=C/A)
堺市の歳入・歳出と補助金の推移グラフ(一般会計)
(注)教育委員会学務課所管の「堺市奨学金交付金」及び「堺市修学奨励費」の科目区分
は、交付金に分類されるが、外部監査の対象としており、上表及び上記グラフの補助
金額に含めている。
歳入金額及び歳出金額の増減はほぼ同様の動きを見せている。平成 11 年度から
平成 14 年度までの歳入・歳出金額は減少傾向であったが、平成 15 年度予算にお
いては平成 14 年度決算に比べ歳入 22, 158 百万円、歳出 23, 726 百万円が増加して
いる。これは、中小企業向金融環境対応資金貸付金 100 億円により歳入・諸収入
(貸付金元利収入)及び歳出・商工費が増加したことが主な原因である。
補助金は年間 100 億円前後で推移しており、歳入に対する割合は 3%ないし 4%
である。 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000
平成11年度 決算
平成12年度 決算
平成13年度 決算
平成14年度 決算
平成15年度 当初予算 百万円
A歳入
B歳出
C補助金
3.3%
3.7%
4.1%
3.6% 3.0%
Ⅳ 補助金の推移
平成 11 年度から平成 14 年度までの決算及び平成 15 年度当初予算における部局別の
補助金額推移は次のとおりである(補助金額には外郭団体に対する補助金も含む。)。
部局別補助金額の推移表
(注)1.上表の部局区分は平成 15 年度における区分である。平成 11 年度∼平成 14 年度に
おける所管局と異なる場合がある。
2.「0」は、百万円未満数値を四捨五入した結果ゼロ円であることを示す。
3.上記表の割合とは、補助金の合計額に対する割合を示す。
4.端数処理の関係上、各局数値の合計と小計欄の数値は一致しない。
まず、一般会計における補助金について分析する。
一般会計の補助金のうち、健康福祉局の補助金が突出して多額であり、平成 14
年度決算における補助金額の 52. 0%を占める。次いで、建築都市局、教育委員会事
務局が多い。
健康福祉局のうち老人福祉施設整備費補助金、民間保育所運営補助金について、
平成 14 年度金額でそれぞれ 1, 598 百万円、1, 264 百万円と多額である。平成 11 年
度決算から平成 15 年度予算における補助金額増減は健康福祉局のこれらの補助金
の増減を主な原因としている。平成 15 年度予算においては、補助金額合計で 551
百万円減少しているが、これは堺市社会福祉施設等施設整備費及び設備整備費補助
金(創設・改築等)、老人集会室整備補助金等増加した補助金があるものの(各々438
百万円、116 百万円増加)、老人福祉施設整備費補助金が 1, 180 百万円減少し、健康
(単位:百万円) 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成15年度
(決算) (決算) (決算) (決算) 割合 (当初予算) 【一般会計】
市長公室 630 528 493 516 4. 3% 521
総務局 47 44 40 64 0.5% 62
財政局 7 6 6 7 0. 1% 8
市民人権局 221 254 373 265 2. 2% 391
環境局 12 0 0 0 0.0% 2
健康福祉局 6, 021 4, 421 6, 229 6, 296 52. 0% 5, 841 産業振興局 650 685 695 797 6. 6% 611 建築都市局 1, 422 1, 244 798 1, 645 13. 6% 1, 485 建設局 284 123 155 114 0. 9% 150 教育委員会事務局 1, 271 1, 189 1, 101 1, 171 9. 7% 1, 246 選挙管理委員会事務局 0 0 0 0 0. 0% 0 議会事務局 187 182 180 181 1. 5% 189 小計 10, 738 8, 675 10, 071 11, 056 91. 3% 10, 505 【特別会計・公営企業会計】
健康福祉局
(国民健康保険事業特別会計) 249 237 227 208 1. 7% 198
建設局(下水道事業会計) 162 478 665 762 6. 3% 803
水道局(水道事業会計) 88 56 69 79 0. 7% 90
小計 499 771 960 1, 050 8. 7% 1, 090 11, 238 9, 446 11, 031 12, 106 100. 0% 11, 596 部局名
合計
福祉局所管の補助金額合計が 455 百万円減少したことが主な原因である。
次に、特別会計及び公営企業会計における補助金は 5 件(国民健康保険事業特別
会計 1 件、下水道事業会計 2 件、水道事業会計 2 件)で、平成 14 年度決算における
補助金額 1, 050 百万円は補助金額総額の 8. 7%である。うち、建設局(下水道部)
を所管とするものが最多額である。
Ⅴ 平成 14 年度部局別補助金の国・府と市負担額
平成 14 年度部局別補助金における、国・府、市負担額明細は次のとおりである
(補助金額には外郭団体に対する補助金も含む。)。
部局別補助金の国・府、市の負担額明細表(平成 14 年度決算額)
(注)1.市負担額とは、決算額のうちいわゆる一般財源額のこと、国・府負担額とは特定
財源における国・府支出金のことである。なお、以下本文についても同じ。
2.「0」は、百万円未満数値を四捨五入した結果ゼロ円であること、「−」は、金額
がゼロ円であることを示す。
3.上記表の割合とは補助金の全合計に対する割合を示す。
4.端数処理の関係上、各局数値の合計と小計欄の数値及び国・府、市負担額の合計
と決算額の数値は一致しない。
( 単 位 : 百 万 円 ) 平 成 14年 度 決 算 額 (A )
(B)/ (A) (C)/ (A) 【一 般 会 計 】
市 長 公 室 516 4. 3% 500 97. 0% 15 3. 0% 総 務 局 64 0. 5% 64 100. 0% − − 財 政 局 7 0. 1% 7 100. 0% − − 市 民 人 権 局 265 2. 2% 265 100. 0% − − 環 境 局 0 0. 0% 0 100. 0% − − 健 康 福 祉 局 6, 296 52. 0% 4, 373 69. 5% 1, 923 30. 5% 産 業 振 興 局 797 6. 6% 777 97. 4% 21 2. 6% 建 築 都 市 局 1, 645 13. 6% 1, 070 65. 1% 574 34. 9% 建 設 局 114 0. 9% 114 100. 1% − − 教 育 委 員 会 事 務 局 1, 171 9. 7% 983 83. 9% 188 16. 0% 選 挙 管 理 委 員 会 事 務 局 0 0. 0% 0 100. 0% − − 議 会 事 務 局 181 1. 5% 181 100. 0% − − 小 計 11, 056 91. 3% 8, 335 75. 4% 2, 721 24. 6% 【特 別 会 計 ・公 営 企 業 会 計 】
健 康 福 祉 局
(国 民 健 康 保 険 事 業 特 別 会 208 1. 7% 208 100. 0% − −
建 設 局(下 水 道 事 業 会 計 ) 762 6. 3% 762 100. 0% − − 水 道 局(水 道 事 業 会 計 ) 79 0. 7% 79 100. 0% − − 小 計 1, 050 8. 7% 1, 050 100. 0% − − 12, 106 100. 0% 9, 385 77. 5% 2, 721 22. 5% 合 計
うち、市 負 担 額 (B )
うち国 ・府 負 担 額 (C) 割 合
平成 14 年度に市が支出した補助金 12, 106 百万円のうち、市が実際に負担した額
は 9, 385 百万円(77. 5%)である。これに対して、国・府負担額は 2, 721 百万円(22. 5%)
である。
市負担額について見ると、健康福祉局の補助金が最多額(4, 373 百万円)である。
次いで建築都市局、教育委員会事務局が多い。
国・府負担額について見ると、一般会計のうち、健康福祉局の補助金が多い(1, 923
百万円)。健康福祉局補助金のうち国・府負担額は 30. 5%を占め、市負担額は 69. 5%
と低い。
健 康 福 祉 局 と 同 様 に 市 負 担 額 の 割 合 が 7 割 以 下 と 低 い 部 局 は 、 建 築 都 市 局
(65. 1%)である。これは、土地区画整理事業補助金(国負担額 237 百万円)等、国・
府が負担する補助金があることによる。
なお、特別会計及び公営企業会計の補助金には国・府負担額はない。
第3 補助金交付要綱
1.概 要
前述のとおり、堺市は、平成 12 年 10 月 1 日、堺市が交付する補助金、助成金
等に係る予算の執行及び交付手続等の適正化を図るため、補助金の交付の申請、
決定等に関する事項その他補助金に係る予算の執行に関する基本的事項について
「堺市補助金交付規則」を制定した。
同規則第 23 条第 1 項により、「堺市長は個別の補助金に関し、補助金の名称及
び目的、補助対象となる事業、補助の条件、補助金の額、補助金の交付に係る手
続等について規定するために要綱を定める」ものとされている。堺市では同規則
第 23 条第 1 項の要件を満たす補助金交付要綱制定のために、補助金交付要綱につ
いての準則を定めている。
なお、補助金交付規則に規定はないが、補助金が廃止された場合には、当該補
助金についての交付要綱を廃止する取り扱いがなされている。
今回監査の対象とした補助金については、別途、規則で定められているものな
ど若干の例外があるが、ほとんどすべて補助金交付要綱が定められている。しか
し、要綱の制定がなされていない補助金も若干見受けられる。該当しているのは
16 頁以下の補助金一覧表の番号 30 及び 205 の補助金である。
2.補助金交付形態による分類
( 1) 補助、単独の分類
当該補助金の支出が、国、府の補助金により堺市にも一定の支出が義務づ
けられているのか、あるいは堺市の施策として堺市独自に支出しているもの
なのかを検討し、以下のとおり分類した。
① 補助とは、国、府の補助金があり、その中で堺市負担の補助率等が明記
されており、自動的に額が決定され支出するもの。
② 単独とは、堺市独自の施策として支出するもの。
( 2) 臨時、経常の分類
補助金交付要綱上、当該補助金の支出が臨時的なものとされているか、あ
るいは毎年同様の内容で当該補助金の支出が継続されることとされているの
かを検討し、以下のとおり分類した。
① 臨時とは、臨時のイベントの開催に対する補助等一回限り支出するもの。
② 経常とは、補助対象者が異なっても、毎年同様の内容で補助金を支出す
るもの。
( 3) 個人、団体の分類
補助金交付要綱上、補助対象者が、直接個人(事業者)とされているのか、
あるいは団体とされているのかを検討し、以下のとおり分類した。
① 個人とは、給付的な補助又は事業補助であっても直接個人事業者に対し
て支出するもの。
② 団体とは、団体に対して支出するもの。なお、団体を通じて配布され、
最終の受取人が個人になる場合も団体に対する補助に分類する。
3.補助対象経費による分類
補助金交付要綱上、当該補助金の補助対象事業及び補助対象経費がどのように
規定されているのかについて検討し、以下のとおり分類した。
① 運営補助
運営補助とは、団体に対する補助の場合において、人件費等その団体の維
持に充てることを目的に支出するもの。
② 事業補助
事業補助とは、特定の事業を実施する場合に、その事業を行うために必要
な経費に充てる目的で支出するもの。
③ 投資的補助
行する事業に相当する事業に対して支出するもの。
4.補助対象者について
補助対象者は各補助金交付要綱に規定されている。その規定の方法としては、
①補助対象者を具体的に特定しているもの、②一定の枠を設けその中から対象者
を決めるもの、③対象事業を行う者には等しく門戸を開放しているものがある。
このうち上記①は、253 件の補助金のうち 153 件あり、上記②や上記③の形式に
よる補助対象者を決める方式の合計を大きく上回っている。
5.補助対象事業について
補助対象事業は各補助金交付要綱において明記されている。ほとんどの補助金
交付要綱において、補助対象事業は限定的に列挙されているが、「○ ○ 事業等」や
「その他市長が適当と認める事業」等の形式で規定されているものも見受けられ
る。
6.補助対象経費について
補助対象経費は各補助金交付要綱において明記されている。その規定の仕方と
しては、「①補助事業に要する、賃金、消耗品費、印刷製本費、通信運搬費、保険
料、とする。②その他市長が必要と認める経費」という形式で規定されているも
のと、補助対象経費を限定列挙する形式で規定されているもの(上記②のような
項目がないもの)とがある。近時新たに制定又は改正された補助金交付要綱につ
いては補助対象経費を限定列挙する形式が多く見受けられる。
7.補助金算定方法について
補助金交付要綱上、補助金の額については、前記準則にならって、①「予算の
範囲内で補助対象経費の額の一定率に相当する額」と規定されているもの、②「毎
年度予算の範囲内で市長が定める」と規定されているものがほとんどである。もっ
とも、近時新たに制定又は改正された補助金交付要綱については、上記①に加え
て支出額の上限額を定めたり、補助金交付期間を限定する等の方法により、補助
金額が補助金交付要綱上も明らかとなるような工夫がなされているものも見受け