画像処理の応用とシステム
( 2017 年 9 月 25 日)
浅井紀久夫
(非常勤 from 放送大学)
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本日のポイント
• 画像処理の応用
• 画像処理とは
• システム構成
• 入出力装置
教科書
画像処理システムのところ
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映像メディア工学の目的
• 画像処理、マルチメディア技術について、基
本的な知識を習得し、手法の概念を理解する
• 関連領域は広い
映像メディア工学
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映画
通信
医療
製造業
計測 流通
広告 ロボット
セキュリティ
画像処理の応用
• パターン検査
• 文字認識
• ナンバープレート認識
• 指紋による個人認証
• 医用画像による診断支援
• リモートセンシング
• 交通量計測
• ロボット・ビジョン
• バーチャル・スタジオ
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どこに欠陥が?
回路パターンの検査
果物選別:成熟度や傷を検査
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パターン検査
• 人間の眼に代わって、高速、高精度に自動検
査
– プリント基板やLSIなどの回路パターンの検査 – 印刷文字やマークの検査
• 事例
– セラミック印刷配線パターンの検査
配線パターンのエッジに発生する凹凸やにじみを欠陥 と誤認識しないで、ショートや断線といった致命的欠陥 を検出する
– LSIレジストパターンの検査
回路パターンの微細な形状不良を検出する
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これは何?
富山福祉短期大学メルマガ
帳票OCR
携帯端末を利用したQRコード によるポイントシステム
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文字認識(パターン認識)
• 人間の眼に代わって、高速に自動認識
– オフライン文字認識:帳票や文書上の文字を認識
– オンライン文字認識:タブレット上にペンで書いた文字を 認識
• 事例
– 帳票OCR (Optical Character Reader)
自治体の税金伝票、製造業の納品書、流通業の購入伝票、経理 部門での入出金伝票
– 手書きOCR
郵便番号・宛名読み取り、金融機関の伝票
– カメラ付き携帯電話
URLや名刺の読み取り
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これは何?
ナンバープレートの認識結果と ETC処理された車両情報と照合
画像入力 二値化処理 文字領域の抽出 文字領域の結合 文字認識 岡山 300 つ 7171
処理手順
車種判別装置
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ナンバープレート認識
• ナンバープレートの文字を認識して、走行す
る自動車を特定
– ナンバープレート領域の検出 – 文字の切り出し
– 文字認識
• 事例
– ETC車両確認
– 二地点間の旅行時間の計測
– ビルや駐車場での車両入退場管理
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Nシステム
指紋を用いたノートPC のユーザ認証
(lenovo)
指紋認証による入退室管理
(NEC)
あなたは誰?
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指紋による個人認証
• 指紋に基づいて個人を識別
– 指紋画像の入力 – 特徴抽出
– 登録パターンとのマッチング
• 事例
– 犯罪捜査
現場に残された指紋を照合する
– 個人認証
建物への入退出管理
情報端末へのアクセス管理
指紋認証(富士通)12
頭部MR画像
頭大丈夫?
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医用画像による診断支援
• 医師の観察・診察を容易にする
– 身体内部の情報を画像化して保存 – 高精細画像を表示
– 疾患候補の発見
• 事例
– X線画像:X線の透過率分布から病巣部分を可視化 – 超音波画像:超音波が戻ってくるまでの時間を計測
– CT画像、MR画像:多数の投影画像から身体内部を再構成
– 画像のデータ蓄積・伝送・表示:高画質画像を、遠隔地(離島やへき 地)にリアルタイムで伝送する
– 疾患の抽出:時系列差分画像による疾患候補部位の検出
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ランドサット ランドサット だいち
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リモートセンシング
• 対象物から離れた場所から観察
– 航空機や衛星から、地球の状態を観察する – 広域性、均質性、周期性、継続性
– マルチスペクトル:可視光、赤外光、マイクロ波
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• 事例
– 地球環境の監視:森林面積や海水温
の時間変化から地球温暖化の兆候 を観察
– 精密農業
– 災害情報の収集:時系列比較による 破壊状態を把握
気象衛星写真
車間距離測定
いるのか、いないのか
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交通量計測
• 車両の流れを把握
– 車両の有無や状態の検出 – 前方車両との距離の計測
• 事例
– 渋滞情報の提供
– 交通信号の時間制御
– 前方車両に近づきすぎたとき、注意喚起
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自動車工場で部品を組み立てる アームロボット
ホームアシスタントロボット
(東京大学)
もう、人はいらない?
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ロボット・ビジョン
• 人間の代わりに行うロボットの眼
– 産業用ロボット – 家庭用ロボット
• 事例
– 製品の組立作業の自動化
組み付け用ロボット・アームに取り付けた複数カメラで、作業中の 部品とボディの位置関係(三次元位置と姿勢)を認識する
– 人間の生活を補助する
カメラを備え、周囲の状況やロボット自身の位置を認識する
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リアルタイム3Dバーチャル・スタジオ
空虚を指さす
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バーチャル・スタジオ
• カメラで撮影した実写映像と CG を合成
– 映像合成技術として、クロマキーが用いられる – カメラの位置を検出し、カメラワークに整合した
CGを生成する
• 事例
– ニュースや天気予報などの生放送
– 子供番組・語学番組でのCGキャラクタ
三次元計測:画像処理技術を利用して動きを検出
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画像処理とは
• 画像を入力とし、何らかの処理を施すこと
• 狭義の画像処理
– 画像を処理した結果が、再び画像である
明るさやコントラストを変えて、見やすくする
画像の歪みを補正する
• 画像解析、画像計測、画像認識
– 入力された画像から、写っている対象に関する何 らかの情報を抽出する
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画像処理システムの構成
• 基本構成
– 画像入力装置:入力、標本化・量子化、専用処理 – コンピュータ:画像データ処理
– 画像出力装置:専用処理、D/A変換、出力
• 専用処理
– 画像入力装置:色調整、画像圧縮 – 画像出力装置:色調整、濃度変換
画像データ処理 入力、標本化・量子化、
専用処理
専用処理、D/A変換、 出力
画像入力装置 コンピュータ 画像出力装置
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画像入力装置
• ディジタル・ビデオ・カメラ
– 動画像を撮影する
– フルハイビジョン(1920×1080ピクセル) – フレームレート:30fps
• ディジタル・スチル・カメラ
– 静止画像を記録する
– 500万画素(2560 × 1920ピクセル)
– ミラーレス:コンパクトで軽量、レンズ交換
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画像入力装置
• ライン・スキャン・カメラ
– 工場の生産ラインにおける計測
– 一次元センサ(リニア・センサ)を機械的に移動し て対象を走査
– 入力画像の画素数を圧倒的に大きくできる
• イメージ・スキャナ
– 文書や画像が記録された紙やフィルムを走査す ることにより、ディジタル・データに変換する
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撮像素子
• エリア・センサ
– 光強度を電圧に変換する受光素子(フォトダイオ ード)を二次元的に配置した撮像素子
• CCD
– Charge Coupled Device(電荷結合素子)
• CMOS
– Complementary Metal Oxide Semiconductor( 相補型金属酸化膜半導体)
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CCD
• 入射光によって発生した電荷を順に転送し、
一次元時系列信号として出力する
CCD撮像素子の基本構造
• 特徴
– 高感度
– 電子シャッタ機能(電子 的に露光時間を制御)
蓄積の同時性:高速に 動く物体の瞬間を撮像 可
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三板式と単板式
• 三板式
– RGB三色をそれぞれ専用の
CCDで測光する
– ダイクロイック・プリズム
• 単板式
– 各画素ごとに異なる色フィルタ
を接着したCCDで、補間など の画像処理によって画像全体 の色情報を再構成する
– デモザイキング
ダイクロイック・プリズムと3CCD
デモザイキング処理
生データ
Rデータ GデータBデータ
補間データ
全画素データ
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CMOS
• 水平位置と垂直位置( XY アドレス)を指定し、
直接読み出す
• 特徴
– 読み出し速度が高速 – 消費電力が小さい – 安価
CMOS撮像素子の基本構造 30
CCD と CMOS の違い
• 信号を取り出す方式
• CCD
– 電荷を増幅せずに、そのままCCDの持つ転送機
能により出力回路まで運び、そこで信号電圧に増 幅して出力する
• CMOS
– 各画素に増幅素子を組み込み、光電変換した電 荷を一旦増幅した後、各画素をXYアドレス方式 で選択し、信号を電圧または電流として取り出す
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コンピュータの基本構成
カメラ
ディスプレイ グラフィックス・コントローラ
RAMDAC チップセット
(ブリッヂ)
ハードディスク キーボード
マウス
(内部)バス CPUバス
メモリ・バス
(内部)バス キャッシュ・メモリ
CPU
メインメモリ
フレーム・メモリ
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画像出力装置
• ディスプレイ
– CRT (Cathode Ray Tube)ディスプレイ – 液晶ディスプレイ
– プラズマ・ディスプレイ – 有機ELディスプレイ
• プロジェクタ
– 三巻式プロジェクタ – 液晶プロジェクタ – DLPプロジェクタ
• プリンタ
– インクジェット・プリンタ – レーザ・プリンタ
– 熱転写プリンタ 33
CRT ディスプレイ
• 真空放電管内部の電子銃から電子ビームを発射し、 前面の蛍光面に当たった位置が発光する
• 側面の電磁石で電子ビームを偏向させることにより、 走査する
• 色再現性は比較的良い
• 大きく重い
電子銃
電子ビーム
コイル 蛍光面
シャドウマスク:
電子ビームをRGBに割り振る
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走査方式
• インタレース方式
– 1/60秒で奇数番目の走査線(奇 数フィールド)を上から下へ描画 – 次の1/60秒で偶数番目の走査線
(偶数フィールド)を描画
– 動きは滑らか、画面のちらつきが 出やすい
• プログレッシブ方式(ノンインタ レース)
– 1/60秒ですべての走査線を描画 – ちらつきが少ない
インタレース
プログレッシブ
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液晶ディスプレイ
• 二枚のガラス板に挟んだ液晶にかけた電圧
の変化で、画素に対応した各液晶セルの透
過率(光の通し方)を制御する
• 薄型
• 低消費電力
液晶層は、配向方向が異なる二つの配向膜に 挟まれているため、液晶分子がねじれた状態 になる。
液晶分子のねじれに合わせて、光の振動方向
が回転する。 36
偏光の調節
電流を流した状態
(光を通さない)
電流を流さない状態
(光を通す)
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プラズマ・ディスプレイ
• 二枚のガラス間に封入した希ガスに電圧を加
えることで、画素に対応した素子を発光させ
る
• 薄型
• 大型化
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有機 EL (エレクトロルミネッセンス)
• 電圧を加えると、発光する有機物質を使う
• 超薄型
• 表示板を曲げられる
電子輸送層
正孔輸送層
有機EL材料
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有機 EL 用途
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テレビ
照明
ディスプレイ
プロジェクタ( DLP )
• 超小型ミラー( DMD )を敷き詰めた光半導体
素子で、光源からの光を反射することで投影
する
• ON/OFF はミラー制御
• 明るさは ON/OFF 時間
• 高解像度
• 高輝度
DMD: Digital Mirror Device DLP: Digital Light Processing
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インクジェット・プリンタ
• 印刷ヘッドのノズルから、インクの微粒子を用
紙に吹き付ける
• 高解像度
• 低価格
印刷面 インク回収口
ノズル
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レーザ・プリンタ
• レーザ光で感光したドラムにトナーを付着さ
せ、用紙に転写する
• 保存性に優れる
• 高速
• 高解像度
1 2
3
4 5
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評価
• 定期試験:中間及び期末
• 授業への参加状況
• 演習
– 理解度の確認(試験前に、1, 2回)
• 課題
– 作品と発表とレポート
– 締め切り日を、年明けに設定予定
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課題について
• 作品
– 画像を加工し、芸術もしくは機能として示す
• 発表
– 授業の中で、芸術もしくは機能について発表する – どこが面白いのか、説明する
• レポート
– 作品を印刷したもの
– 作品のポイントを説明する
– 画像の加工、あるいは作業工程を記述する
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課題について
• 例
– モーフィング – パノラマ
– 簡単な濃淡変換を施した風景
• 注意
– 著作権に気をつける
– フリーのものを使って良いが、使ったことを明示する – ウィルスに気をつける
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これは誰だ?
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龍馬とベートーベン
使用ソフトウェア:Sqirlz Morph 坂本龍馬by中田耕市 ベートーベンbyヨーゼフ・シュティーラー 48 48
パノラマ写真
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二枚の写真をパノラマ化
使用ソフトウェア:autostitch
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朝日?夕日?
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カラーバランスの調整
写真:iStockPhoto@microsoftクリップアート 使用ソフトウェア:FilterGear
赤色を強くする
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講義ノート
• 以下の URL から取得できる
– https://sites.google.com/site/asaizlaboratory/ imagemedia2017
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