第一章 大震災後の日本経済
第三節 財政社会保障の現状と課題
財政再建と経済成長の両立
我が国の財政状況は財政再建が課題
財政政権は常に経済との関係に注意を払いつ
つ、具体論を進める必要がある。
ここでは、過去の経済変動について議論する
財政再建前後の経済変動
財政再建と経済成長率は、短期的に、緊縮財
政による景気下押し効果を通じ、負の関係が あると議論されることが多い。
財政再建は、 (一国全体の資源配分を適正化
財政再建努力後に
経済成長率は高まる傾向
確認
財政再建期間中の年平
均経済成長率が、再建 前の成長率と比べ低下 しているか。
結果
OECD 諸国の経験から、
財政再建期間とその後 3 年を合わせた期間と、財政再建前の
3 年の平均成長率の収支改善幅との関係をプロット。
確認
財政再建期間とその後 3 年 を合わせた期間と、財政再 建前の 3 年の平均成長率の 収支改善幅との関係。
結果
統計的に有意義な右上がり の関係。
つまり、構造的基礎的財政 収支の改善幅が大きい国ほ ど、財政再建期間及びそれ 以降の経済成長率が高まる 傾向。
結果
統計的に有意な右上がり
。
構造的基礎的財政収支の
この点を明確化するため
確認
財政再建期間を除いた再
建後 3 年の平均成長率と 再建前 3 年との差と収支 改善幅との関係。
結果
傾きの大きい右上がり。
統計的にも有意な相関。
つまり、財政再建努力は将来的な経済成長率の向上につながる例が多 い。
しかし、こうした関係はあくまで傾向。
つまり
財政再建において、歳入増加は成長加速国、低
下国ともに見られる現象。
歳出抑制は、成長加速国の方により顕著に認め
られる。
OECD 諸国の経験から歳入増加が財政再建の必要
条件。
歳出抑制は再建後の経済成長にとって鍵となる
要素。
財政再建と経済成長の両立には、歳入増加努力
成長加速国は
どのように成長を加速してきたのか。
確認
財政面からの総需要抑制効
果を外需により補う方法。
財政再建中の年内内需寄与
度と外需寄与度について、 成長加速国・低下国に分け る。
結果
加速国では内外需ともに成
成長低下国では
確認
財政面からの総需要抑制効果
を外需により補う方法。
財政再建中の年内内需寄与度
と外需寄与度について、成長 加速国・低下国に分ける。 結果
低下国ではプラスの国は 3
割程度。
外需寄与はマイナス。
内需寄与だけがプラスの国
外需だけでは財政再建中の需要抑制効果を補
うことは難しい。
内需だけに頼った国も同様。
再建期間中の成長を内外需どちらか一方に依
存した国は再建後の成長加速に成功していな い場合が多い。
外需をとりこみ、内需の拡大に結びつけ、財
成長加速国と低下国の違いの特徴
成長加速国は、歳入増加に加え、歳出抑制も
同時に行われる傾向。
歳出の性質別に、政府消費と政府投資に分け
結果
成長加速国においては、政府消費と政府投資の両方とも抑 制している国が多。
対し
政府消費と政府投資の相関をとる。
加速国では統計的に有意な右上がり。
財政再建期間中は政府消費・政府投資の両方を抑
制している国が多い。
低下国では消費抑制と投資抑制について明確な関
係を得る事ができない。
政府消費の抑制に成功することが成長加速国・低
下国を分ける鍵。
一つの解釈として、再建後の中期的な経済成長率
政府消費を社会保障収支に変え、関係をみる。
結果
•成長加速国では、公的資本
形成と社会保障収支を、同時 に抑制している国が多い。
•成長低下国では両社に明確
な関係は見えない。
(ただし、成長加速国においても、 政府消費の抑制と比べると、社会保 障収支の抑制に成功している国は少
ない。)
少子
高
齢
化
我が国財政の課題
少子高齢化が続く中、増大する社会保障に関
する財政需要をどう賄うか。
ここでは過去の内外の消費税率引き上げ時の
経済変動を中心に、財政確保が経済に与える
89 年 4 月消費税導入時と、 97 年 4 月の消費税率引き上げ時について 、 GDP 統計から経済動向を確認。
両者の共通の動きとして指摘できるのが、 増税前後の大幅な個人消費の変動。
(それぞれの年度において、抜本的な税制改革を行っているため、単純な比較は
つまり
増税前に個人消費は前年比で大きく増加。
増税後に大きな反落。
いわゆる駆け込み需要とその後の反動減が顕著。
駆け込み需要後の反動減が起きた翌期に、再度の
増加がある点も両期間共通の現象。
消費税導入や税率引き上げは、消費者からみれば
、前もってアナウンスされた物価上昇。
ゆえ、耐久財を中心とした増税前の駆け込み需要
我が国以外において、消費税率を引き上げた際にどのような 消費の動きが生じるか。
我が国とドイツ
•消費税率引き上げ前後、駆け込み需要とその反動減が明確
。
•駆け込み需要の規模は増税額の大きさと連動。
•日本の消費者は、駆け込み消費を長い期間行う傾向。 •反動減は税率引き上げ気に一気に現れるため、日本の反
税
率変
更
後の
個人
消費の動向
増税前と増税後の個人消費の比較をすると、増税後の個
人消費の伸びが小さくなる。
消費の基調が強い場合は、個人消費が増税により必ずし
も停滞するわけでない。
英国についてみると、駆け込み需要も反動減も、日本や
ドイツのように明確でない。
英国では、短期的で柔軟な座位率変更が可能な仕組みと
なっている。このため、駆け込み需要が生ずる時間的余 裕が少ない。
こうした例から、付加価値税率の時限的引き下げが、景
消費
税
率変
更
時の経済変動
一つの大きな特徴が、個人消費における駆け込み需要
と、その後の反動減であることを確認した。
駆け込み需要が大きい分、反動減は大きくならざるを
得ないが、必ずしも個人消費が停滞するわけでないこ とも確認した。
それでは、消費税以外の増税時には、どのような経済
所得税の増税は、駆け込み需要もその後の
反動減も起こり得ない。
消費のスムージング効果を考えれば、
低率減税の縮減・廃止時に目立った動きが起こ らないことは納得できる。
増税時の経済環境が重要であることは、所得税
においても同様。