質点の運動: 復習
フィギュアスケートのスピン
始めは腕を広げて、ゆっくりとした回転
最後に腕を縮めて(上げて)回転速度を上げる 野球・テニス・バトミントンなどの球技
ヘッドスピードを効率的に上げるには? ケプラーの法則
面積速度一定になるのはどうして?
慣性力?
質点の運動についての復習
運動の法則
運動の第1法則 (慣性の法則)
物体は力の作用を受けなければ、あるいは受けていても合力が0ならば、 静止したままであり、運動している物体は等速直線運動を続ける
運動の第2法則 (運動の法則)
物体は力 F を受けると、その向きに加速度 a が生じる。
加速度の大きさは受ける力の大きさに比例し、質量 m に反比例する。
運動の第3法則 (作用反作用の法則) 力は二つの物体の間に働く。
物体Aが物体Bに力を作用していれば、物体Bも物体Aに力を作用している。 二つの力はたがいに逆向きで、大きさは等しい。
F =m a
F =0
運動の法則: 第1と第2
結局は運動方程式で表現できる
d p
d t = F
p=m v
質量は時間によらず一定であるとすると より
m d v
d t =F
m d
2 x
d t 2 =F
外力がない場合 F = 0 なので、 速度 v 一定
→ 第1法則(慣性の法則)
m a=F
第2法則(運動方程式)力積: 積分表記と運動の第2法則
lim
t 0
pt t − p t
t =F
d p
dt =F
p t t − p t =F t
p t 2 − p t 1 = ∫
t
1t
2F d t 力積
外力による質点の速度変化
x
v t
F⋅ x=F⋅v⋅ t
= m dv
dt ⋅v⋅ t
= m v dv
dt t
= d
dt
1
2 m v
2
t
F =m dv
dt
x=v⋅ t
m v dv
dt =
d
dv
1
2 mv
2
dv dt = dt d 1 2 mv
2
U = ∫ F dx= ∫ d
dt
1
2 m v
2
dt =[ 1 2 m v
2]
t0 t1= 1
2 m v
12
− 1
2 m v
02
v
1=v t
1
v
0=v t
0
運動方程式
運動エネルギーの増加 外力による仕事
外力による仕事
運動エネルギー
U = ∫ F dx= 1
2 m v 1
2 − 1
2 m v 0
2
T = 1
2 m v
2 運動エネルギー
移動距離
r t
1= x t
1 , y t
1
r t
2= x t
2 , y t
2
r t = x t , y t
r =rt t −r t
r = x , y= x t t , y t t − x t , y t
v t = lim
t 0
r
t = lim
t 0r t t −r t
t = lim
t 0
x
t ,
y
t =v
x, v
y
v t = lim
t 0
r
t = lim
t 0r t t −r t
t = lim
t 0
x
t ,
y
t =v
x, v
y
2次元の速度・加速度
v t = lim
t 0
r
t = lim
t 0r t t −r t
t = lim
t 0
x
t ,
y
t =v
x, v
y
v t = d r
d t = lim
t 0 r
t v
x, v
y =
d x
d t ,
dy
dt = lim
t 0
x
t ,
y
t
v t = d r
d t = v
x, v
y =
d x
d t ,
dy
dt = ˙x t , ˙y t
a t = d v
d t =
d
2r
d t
2= a
x, a
y = d v d t
x, d v dt
y = d d t
2v
2x,
d
2v
ydt
2 = ¨x t , ¨y t
多次元の運動方程式
F x =m ¨x
F y =m ¨y F =m ¨r
F z =m ¨z
2次元でも、3次元でも、n次元でも同じF = d P
dt
U = ∫
C F⋅
v
∣ v ∣ d dl
F = d P
dt U = ∫ F⋅d x
仕事の表記: いろいろな表記の仕方
C F r
O
r
v = ˙r
外力 F の作用により、質点が曲線 C に沿って移動する。 この時に外力がする仕事はいくらか?
外力 F の作用により、質点が曲線 C に沿って移動する。 この時に外力がする仕事はいくらか?
曲線の接線方向は速度ベクトルと同じ向き。
接線方向への力の射影は、速度ベクトルと力の内積を利用して 曲線 C に沿った微少変位 dl での仕事は、その積。よって、
F⋅ v
∣ v ∣
U = ∫
C
F⋅ v
∣ v ∣ dl
当然 dl と速度には関係がある。 (dl = |v|dt)
移動が、時刻 t1 から t2 までの変化に対応しているのであれば
速度×時間変化は変位
U = ∫
t1 t2
F⋅ v dt
v dt=d r U = ∫
C F⋅d x
慣性力についての復習
加(減)速する車にのっている人が感じる力
車が加速する時には、シートに押しつけられる 車が減速する時には、前方に押し出される
少々複雑なので、話を簡略化
枠の中にボールがある。
枠に固定されたカメラC'で、ボールの位置を記録する。
枠の外にもカメラCを設置。
枠を透明にすると、Cでもボールの位置を記録できる。 枠を動かした時、ボールはどの様に見えるか?
カメラC'
カメラC
座標系つづき
カメラC'
カメラC
カメラC' カメラC
この場合系の選択は結局カメラの位置になるので、 カメラCが枠の中に入る場合もまったく同じ
(そもそも枠なんてなくてもいい) 背景が一様の場合、
観察者はカメラが移動しているか、
物体が移動しているか 判断出来ない!
カメラC'が等速 v で移動する = 物体が等速 -v で移動しているように見える
座標系による速度の違い
O ' x '
y '
O x
y r '
s r
r=s r '
d r
dt =
d s
dt
d r '
dt
カメラC'の位置
カメラCの位置
Cからみた 物体の位置
Cからみた C'の位置
C’からみた 物体の位置
Cからみた 物体の速度
Cからみた C'の速度
C’からみた 物体の速度
Cに対して静止
d r
dt =0
C'からみた速度
d r '
dt =−
d s
dt
例えば
等速で移動する座標系の場合
O ' x '
y '
O x
y r '
s r
カメラC'の位置
カメラCの位置
Cに対して静止
d r
dt =0
C'からみた速度
d r '
dt =−
d s
dt
それぞれの系での速度は確かに違うが
運動方程式は?(物体の質量を m とすると) Cでは
m d
2
r
d t
2=0
C'では
m d
2
r '
d t
2=0
(同じに・違って)見える
等速で移動する系
等速で移動する系
d s
dt =
一定速度を変えながら移動する系: 加速度をもって移動する系
m d
2
r
d t
2=0
m d
2
r '
d t
2=−
d
2s
dt
2O ' x '
y '
O x
y r '
s r
カメラC'の位置
カメラCの位置
C 系では
C’ 系では
(同じに・違って)見える
加速度をもって移動する系、外力のある場合
m d
2
r
d t
2= F
m d
2
r '
d t
2=−m
d
2s
dt
2 F
O ' x '
y '
O x
y r '
s r
カメラC'の位置
カメラCの位置
C 系では
C’ 系では
m d
2
r '
d t
2= F '
慣性力
(みかけの力) 静止したボールを、「自由落下するカメラ」で撮影すると、
記録された動画の中ではボールが鉛直上方に等加速度運動する ように見える。(反重力?)
自由落下するボールを、「自由落下するカメラ」で撮影すると、
記録された動画の中ではボールかかる外力の合計が 0 と見える。
(反重力による打ち消し)
与太話
慣性力の説明で
電車等に乗っているときに、加速・減速時に感じる力 曲がる時に、曲がる方向とは逆に飛び出す時に感じる力 遊園地の回転遊具で感じる遠心力
という記述を見かける。
静止している物体を、加速運動するカメラで撮影する場合、その物体は力を感じるのか?
なにか矛盾を感じるのだけれど、一体なにが問題なのでしょうか?
回転運動のおさらい
等速円運動
等速円運動物体が半径 r の円周上を一定の速さ v で運動する 等速円運動
物体が半径 r の円周上を一定の速さ v で運動する
v
r
速度ベクトルは円の接線方向
→ 質点の位置ベクトルと速度ベクトルは垂直
r⋅ v =0
加速度は位置ベクトルと逆向き。向心力 ベクトルと加速度ベクトルは垂直
a =−2 f
2r
円周: 周期: 回転数:
2 r
T = 2 r
v
f = 1
T =
v
2 r
v ⋅ a =0
等速円運動の加速度: 幾何学的な理解
v
1
v
2
v
3
v
4
v
5
v
6
v
7
v
8
v
1
v
2
v
3
v
4
v
5v
6
v
7
v
8
a
1
a
2
a
3
a
4
a
5
a
6
a
7
a
8半径: 円周:
位置変化:
r
2 r
v =2 r f
v =2 r f
2 v=2
2r f
a=2 v f = 2 f
2r = v
2
r
速度 加速度
向心力と遠心力
v
速度と垂直方向(半径方向)の 力の釣り合いを考えると
大きさが F の力が位置ベクトルと同じ向き
(円の外側向き)に作用している 向心力 ←→ 遠心力
F =m 2 f
2= mv
2
r
a =−2 f
2r
加速度は
向心力
F
c=m a =−m 2 f
2r
F '
c=− F
c=m 2 f
2r
遠心力
*加速度の大きさ
a= 2 f
2r = v
2
r
*遠心力(向心力)の大きさ
F
c=m 2 f
2r = m v
2
r
等速円運動: 角速度
=t
r= x , y = r cos , r sin
x=r cos
y=r sin
r
x , y r ,
等速円運動
=t
d
d t =
d r
d t =0
角速度 角速度
˙= d
d t =
1週 (2π)にかかる時間が周期 T
2 = T
周期 T と速度 v の関係T = 2 r
v
速度 v と角速度 ω の関係
v =r
周波数 f = 1/T と ω の関係=2 f
等速円運動: まとめ
=2 f = 2
T
遠心力
向心力
v =r =r ˙
v
質点の速度の大きさ 質点の加速度の大きさ 向心力の大きさ
遠心力の大きさ
a=r
2=r ˙
2F =m r
2=mr ˙
2F ' =m r
2=m r ˙
2角速度と周期、周波数との関係
r⋅v=0 v⋅ a =0
位置ベクトル、速度ベクトル、加速度ベクトルの関係
角速度ベクトル
A
B
∣ C∣=∣A∣∣ B∣sin
C = A× B
角速度ベクトル
v = × r
r
v
v
r v
0
奥から手前側に向かう方向 手前から奥向きに進む方向
面積速度
S
v
=
1
2 ∣ r∣∣ v∣sin
0質点の速度は
S
v= 1
2 ∣ r∣
2
∣ ∣sin
0角速度と角運動量
角運動量 L = r × p = r ×m v
d L
dt =
d
dt r×p =v×pr×
d p
dt =r× F
L=m r 2
角運動量のおおきさ
r
v
L
角運動量の時間変化は?
運動量の時間変化 = 外積(力×時間変化) 外積(力)に対応するものを考えよう
p=mv
=0
より 運動方程式より
= F
v = × r
角運動量とモーメント
d L
dt =r × F
L= r×p N = r× F
d L
dt = N
モーメント
角運動量
外力によるモーメントによって、角運動量が変化する
r
v
L
向心力のみ働く系の場合
向心力によるモーメントは
N = r × F =0
角運動量は一定!
d L
dt =0
L=m r
2
一定角運動量保存則
質量が一定だと、
r r =r⋅v
一定面積速度一定
半径が小さい 速度は大きい 半径が大きい 速度は小さい
F ∝− r
r
v
L
F
N
与太話:
L = r × p
v = × r
速度と運動量の関係を考えると、なにかこの関係は座りが悪い。
v = × r
は、角速度 ω での回転を考えたときの質点の速度 vでは速度 v の質点が動いているとき、原点に対する角速度 ω は?
= r × v
r 2
位置ベクトルと速度ベクトルのなす角を θ とすると、 円周方向の速度成分は vsinθ
周期は T = 2πr/ vsinθ
角速度は ω = 2π / T = vsinθ / r = rvsinθ / r2
つまり
r
v
L = r × p
速度 v 運動量 p
とすると、なんとなく良いように 思えるが、これはあくまで質点の 運動が平面内に限られている時。
∝ L
角速度の本来の意味とは異なる。
与太話続き
L=m r 2
p=m v
平面内の運動の場合
運動量 質量 速度
角運動量 角質量? 角速度
角速度が同じであっても、回転の「勢い」は 質量
回転中心からの距離(の2乗) によって、変化する。
L=I I =mr 2
慣性モーメントと呼ばれる量。 剛体の力学で再び現れます。
※ これが角速度・角運動量と呼ばれる理由