2009年度
ミクロ経済学 宿題 1 (解答)
†問題1 (初級).
(a) (i), (ii)ともに正しい。合理的な選好関係は完備性をみたします。ここで、完備性をみたすとは、どの
ような2組(x, y), (x′, y′)をみても(x, y) (x′, y′)と(x′, y′) (x, y)のうち少なくとも一方が成り 立っていることをいい、これは選択肢(ii)そのものです。さらに、x′= 0, y = 0とすることでこの選好 関係は選択肢(i)で考えている場合についても比較可能であることがわかります。
(b) (iii)が正しい。合理的な選好関係は推移性をみたします。ここで、推移性をみたすとは、どのような3
組(x, y), (x′, y′), (x′′, y′′)をみても(x, y) (x′, y′)かつ(x′, y′) (x′′, y′′)であれば(x, y) (x′′, y′′) が成り立っていることをいいます。いま、(0, 3) (1, 2)かつ(0, 3) (2, 1)となっていますがこの場 合は推移性の条件式を適用できません。
(c) たとえばu(x, y) = x + 10yが考えられます。このときu(0, 3) = 30, u(2, 1) = 12, u(1, 2) = 21となる ので(b)でみた人の選好関係を表現しています。他にもu(x, y) = yなどが考えられます。
問題2 (初級).
(i)の よ う な 好 み を 持 つ 人 は 、図 の よ う に た と え ば 額 面3 万 円 で あ れ ば1万 円 札3枚 で あ れ 1万 円 札2 枚 と 千 円 札10枚 で あ れ 同 じ と 考 え て い ま す 。こ の よ う な 人 の 好 み を あ ら わ す 効 用 関 数 と し て 、u(x, y) = 10x + y, u(x, y) = 10000x + 1000yなどが考えられます。最適消費量の組は、予算制約線(図中の太線)と無 差別曲線の形から10x + y = 40をみたすような任意の(x, y)であるとわかります。
(ii)の よ う な 好 み を あ ら わ す 効 用 関 数 と し て 、u(x, y) = min {2x, y} が 考 え ら れ ま す( た だ し x = 0, 1, 2, ..., y = 0, 2, 4, ...)。このとき、図のようにu(1, 2) = u(1, 4) = u(2, 2) < u(2, 4)となっていることに注 意してください。最適消費量の組は、(1, 2)であるとわかります。
† 質問や間違いがありましたら、micro09komaba(at)gmail.com までご連絡ください。
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問題3 (初級).
(a) 効用関数を全微分して、
∆u(x, y) = ∂u
∂x∆x +
∂u
∂y∆y を得ます。さらに左辺を0 とおいて整理すると、
∆x
∆y = −
∂u/∂y
∂u/∂x = − x2 2xy = −
x 2y
となります。この式は、yの消費量を1単位変化させた際に、効用を一定に保つ(変化量∆uを0にす る)ためには、どれくらいxの消費量を変化させる必要があるかをあらわしています。したがって、温 泉ではかったお酒の限界代替率は、MRS21(¯x, ¯y) = | − ¯x/2¯y| = ¯x/2¯yとなります。
(b)
max
x,y u(x, y) = x2y s.t. 2x + y − 18 = 0
に関して、ラグランジュ法をもちいて最適解をもとめます。ラグランジュ乗数をλとすると、ラグラン ジュ関数は
L(x, y, λ) = x2y + λ(2x + y − 18)
となります。1階条件を考えて、
0 = ∂L/∂x = 2xy + 2λ 0 = ∂L/∂y = x2+ λ 0 = ∂L/∂λ = 2x + y − 18
これらをx, y, λについてといて、(x∗, y∗) = (6, 6)を得ます。 (c)
max
x,y
u(x, y) = x2y s.t. 2x + y − 18 = 0, x − 7 = 0
に関して、ラグランジュ法をもちいて最適解をもとめます。ラグランジュ乗数をλ, µとすると、ラグ ランジュ関数は
L(x, y, λ, µ) = x2y + λ(2x + y − 18) + µ(x − 7)
となります。1階条件を考えて、
0 = ∂L/∂x = 2xy + 2λ + µ 0 = ∂L/∂y = x2+ λ 0 = ∂L/∂λ = 2x + y − 18 0 = ∂L/∂µ = x − 7
これらをx, y, λµについてといて、(x∗, y∗) = (7, 4)を得ます。
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