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人々の老後の生活不安の要因は何か?(日本、米国、中国、インドで行った国際調査による分析)

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Academic year: 2018

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(1)

【ポイント】

・老後の生活不安の大きさは、人々の将来に対する見方に影響される。

・資産や所得の大きさは、物価が安定している状況下にのみ、人々の将来不安を 減じる。

・子どもとの同居は、予想に反し、65 歳以降の生活の不安を必ずしも減少させ ない。

人々の老後の生活不安の要因は何か?

(日本、 米国、 中国、 インドで行った国際調査による分析)

名古屋大学大学院経済学研究科(研究科長:根本二郎)の角谷 快彦(かどやよし ひこ)特任准教授は、社会状況が異なる4つの国(日本、米国、中国、インド)に 対して行った国際調査を分析し、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、将 来への不安がおよぼす精神的なストレスや予備的貯蓄の増加等、経済に悪影響を与 える生活要因を特定することに成功しました。

人々の老後の生活への不安がかつてない程高まっており、健康を損なう要因とな り得ることは、先行研究においても実証されています。老後の生活不安の大きさは、 人々の将来に対する見方に影響され、資産や所得といった財政的な余裕は、物価が 安定している状況下において、人々の将来不安を減じる事ができます。また、予想 に反して、子どもとの同居については、65歳以降の生活の不安を必ずしも減少する ことができません。65歳以降の生活に感じる不安の要因について、家計データ(40 歳以上の男女が対象)を用いて分析した結果、社会保障および予備的貯蓄の先行研 究に対し、社会状況に応じた結果の違いということが判り、新たな論点を加える事 が出来ました。これにより、今後、各国の人々の老後の生活不安を和らげる政策立案に 応用されることが期待されます。

今回の研究成果は、米国学術誌「Review of Economics of the Household*」電子版へ平 成 27 年 9 月 30 日(米国東部時間)に掲載されました。

*家計経済学(Household Economics)分野のトップジャーナル

(2)

-人々の老後の生活不安を和らげる政策立案への応用に期待-

【背景】

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、人々の老後の生活への不安が かつてない程高まっている。将来への不安は予備的貯蓄の増加等経済に悪影響 をおよぼす他、精神的なストレスとなり、健康を損なう要因となり得ることは先 行研究において実証されている。そこで、本研究では、老後の生活の不安の要因 は何なのかを、社会経済の状況や社会保障制度が異なる4つの国(日本、米国、 中国、インド)で行った国際調査を基に分析した。

【要旨】

本研究は、人々が65 歳以降の生活に感じる不安の要因を社会状況が異なる4 つの国(日本、米国、中国、インド)の家計データ(40歳以上の男女が対象)を 用いて分析し、社会保障および予備的貯蓄の先行研究に対し、社会状況に応じた 結果の違いという新たな論点を加える貢献を行った。不安の要因の特定には順 序 プ ロ ビ ッ ト モ デ ル が 用 い ら れ 、 結 果 の ロ バ ス ト ネ ス チ ェ ッ ク に は 、 Generalized Structural Equation Model (GSEM)を用いた。本研究では、3つの 主要な事実を発見した。第一に、老後の生活不安の大きさは、人々の将来に対す る見方に影響される。第二に、資産や所得といった財政的な余裕は、物価が安定 している状況下のみで、人々の将来不安を減じる。第三に、子どもとの同居は、 予想に反して、65歳以降の生活の不安を必ずしも減少させない。

【日・米・中・印における老後の生活不安の要因】 [日・米]

保有資産額が小さいと不安増大、運動習慣が不安を減らす。また、日本の場合 は年金で賄えると思われる生活費の割合が不安に影響(割合が高い程安心)。 [中国]

保有資産額の大きさや、年金、運動習慣、家族構成等、検証したすべての変数 が老後の不安に影響を与えない。将来への関心度で、中国人の値が最も低いこと が原因か。

[インド]

持ち家でないことが、老後の生活不安を増大させる。住宅価格の上昇傾向が原 因か。

(3)

[その他]

4カ国とも、予想に反して子どもとの同居は老後の生活不安を低下させない。

【日本における老後の生活不安の要因(抜粋)】

保有資産額が小さいと不安増大、運動習慣が不安を減らす。また、年金で賄え ると思われる生活費の割合が不安に影響(割合が高い程安心)

【成果の意義】

社会保障および予備的貯蓄の先行研究に対し、社会経済の状況の相違により、 人々の行動が異なり得ることを実証する貢献を行った。また、調査対象国それぞ れの住民の老後の生活の不安要因を特定し、それらに対する対策を導出した。

【論文名】

Kadoya, Y. What makes anxious about life after the age of 65? Evidence from international survey research in Japan, the United States, China, and India, Review of Economics of the Household, forthcoming

論文リンク先:http://link.springer.com/article/10.1007/s11150-015-9310-0

参照

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