〈訳注〉『文選集注』江掩「雑体詩」訳注( 九) 雑
体詩序
著者
小田 健太
雑誌名
筑波中国文化論叢
号
36
ページ
33- 58
発行年
2017- 10- 01
﹃
文
選
集
注
﹄
雑
体
詩
序
﹁
雑
体
詩
﹂
y
工
j
奄
訳
注
(
九
)
田
健
太
夫
楚
謡
漢
風
、
既
非
一
骨
、
瑚
d
d
司
司
、
成
采
、
雑
錯
之
変
無
窮
、
{
呂
商
為
音
、
同
貌
、
叶
d
川
叫
刈
司
、
芳
草
寧
共
気
、
至
於
世
之
諸
賢
、
国
亦
二
体
。
剖
立
件
剖
..
.
朴
燦
憂
之
態
不
極
。
故
蛾
眉
寵
而
比
白
悦
於
塊
、
不
其
然
敗
。
各
滞
所
迷
、
莫
不
論
甘
則
忌
辛
、
好
丹
則
非
素
、
量
一
月
謂
通
方
広
恕
、
好
遠
兼
愛
者
哉
。
及
至
公
幹
・
仲
宮
一
之
論
、
家
有
曲
直
、
安
仁
・
士
衡
之
評
、
人
立
矯
抗
、
況
復
殊
於
此
者
乎
。
又
貴
遠
賎
近
、
人
之
常
情
、
重
耳
軽
目
、
叶
A
3
可
制
。
田
疋
以
榔
騨
託
曲
於
李
奇
、
士
季
仮
論
於
嗣
宗
、
此
其
効
也
。
然
五
言
之
興
、
諒
非
隻
古
、
関
西
鄭
下
既
己
空
間
、
河
外
江
南
頗
為
異
法
。
故
玄
黄
・
経
緯
之
弁
、
金
碧
・
沈
浮
之
殊
、
制
叶
件
対
刈
川
河
井
オ
寸
汀
苛
司
d
l
什
ぽ
品
川
計
司
、
対
対
オ
..
.
付
。
雄
不
足
品
藻
淵
流
、
材
対
材
刈
品
詞
オ
材
。
夫
れ
楚
一
議
と
漢
風
と
は
、
既
に
一
骨
に
非
ず
、
貌
制
と
晋
造
と
は
、
回
よ
り
亦
た
二
体
な
り
。
警
う
れ
ば
猶
藍
朱
も
て
采
と
成
し
て
、
雑
﹃
文
選
集
注
﹄
江
沌
﹁
雑
体
詩
﹂
訳
注
(
九
)
雑
体
詩
序
(
小
田
)
錯
の
変
の
窮
ま
る
こ
と
無
く
、
{
呂
商
も
て
土
日
と
為
し
て
、
藤
蔓
の
態
の
極
ま
ら
ざ
る
が
ご
と
し
。
故
に
蛾
一
同
胞
は
誼
ぞ
貌
を
同
じ
く
せ
ん
、
荷
も
倶
に
魂
を
動
か
す
、
芳
草
は
寧
ぞ
気
を
共
に
せ
ん
、
市
も
皆
な
塊
に
悦
ぶ
、
其
れ
然
ら
ざ
ら
ん
や
。
世
の
諸
賢
の
、
各
お
の
迷
う
所
に
滞
り
て
、
甘
き
を
論
じ
て
則
ち
辛
き
を
忌
み
、
丹
を
好
み
て
則
ち
そ
し
み
ら
素
を
非
ら
ざ
る
莫
き
に
至
り
て
は
、
量
所
謂
方
に
通
じ
て
恕
を
広
め
、
遠
き
を
好
み
て
兼
愛
す
る
者
な
ら
ん
や
。
公
幹
・
仲
宣
の
論
は
、
家
ご
と
に
曲
直
有
り
、
安
仁
・
土
衡
の
評
は
、
人
ご
と
に
矯
抗
を
立
つ
る
に
至
る
に
及
び
て
は
、
況
や
復
た
此
れ
に
殊
な
る
者
な
ら
ん
や
。
又
遠
き
を
貴
び
近
き
を
賎
し
む
は
、
人
の
常
情
、
耳
を
重
ん
じ
て
自
を
軽
ん
ず
る
は
、
俗
の
恒
蔽
な
り
。
是
を
以
て
榔
郭
は
曲
を
李
奇
に
託
し
、
士
季
は
論
を
柄
宗
に
仮
る
、
此
れ
其
の
効
な
り
。
然
し
て
五
す
で
一
一
言
の
興
る
は
、
諒
に
隻
古
に
非
ず
、
関
西
と
鄭
下
と
は
既
己
に
同
じ
き
こ
と
宰
に
し
て
、
河
外
と
江
南
と
は
頗
る
法
を
異
に
す
と
為
す
。
故
に
玄
黄
・
経
緯
の
弁
、
金
碧
・
沈
浮
の
殊
、
僕
以
為
ら
く
亦
た
各
お
の
其
れ
美
に
し
て
善
を
兼
ぬ
る
の
み
と
。
今
品
川
首
の
詩
を
作
り
て
、
其
の
文
体
に
効
う
。
淵
流
を
品
藻
す
る
に
足
ら
ず
と
雄
も
、
亦
た
商
権
に
事
く
こ
と
無
か
ら
ん
の
み
。
三
三
筑
波
中
国
文
化
論
叢
第
三
十
六
号
ニ
O
一
七
[
校
勘
︺
O
貌
制
普
造
﹁
貌
製
晋
造
﹂
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
-建
川
本
﹀
O
饗
猶
藍
朱
成
采
﹁
桂
昌
猶
藍
朱
成
彩
﹂
・
秀
州
本
﹀
、
﹁
警
猶
藍
未
成
彩
﹂
︿
建
州
本
﹀
O
官
商
為
音
﹁
{
呂
商
為
奇
﹂
︿
明
州
本
﹀
O
而
健
動
於
魂
﹁
市
件
動
於
叫
﹂
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
︿
棟
八
郎
本
・
明
州
本
州
本
・
建
川
本
﹀
O
市
皆
悦
於
塊
﹁
市
皆
悦
於
魂
﹂
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
・
建
州
本
﹀
丹縄
而
1 0
非 莫 素 不 論 甘 則 忌
辛
好
丹
則
非
素
﹁
莫
不
論
甘
市
忌
辛
、
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
・
建
州
本
﹀
﹁
宣
謂
通
方
広
恕
﹂
(
﹁
所
﹂
字
無
し
)
︿
秀
O
堂
所
謂
通
方
広
恕
州
本
﹀
O
及
至
公
幹
・
仲
宣
之
論
﹁
及
致
公
幹
・
仲
宣
之
論
﹂
︿
陳
八
(
﹁
至
﹂
字
無
し
)
︿
明
州
本
・
秀
郎
本
﹀
、
﹁
及
公
斡
・
仲
宣
之
論
﹂
川
川
本
・
建
州
本
﹀
O
俗
之
恒
蔽
。
間
関
西
鄭
下
既
己
翠
同
俗
恒
弊
﹂
︿
建
川
本
﹀
﹁
但
関
西
鄭
下
既
己
字
問
問
﹂
陳 八 郎
一
四
真
女子
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
・
建
州
本
﹀
O
僕
以
為
亦
各
其
美
兼
善
而
己
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
V
O
今
作
品
川
首
詩
﹁
今
作
ゴ
.
汁
営
詩
﹂
秀
州
本
・
建
州
本
﹀
O
効
其
文
体
﹁
穀
其
文
体
﹂
︿
陳
八
郎
本
(
﹁
皐
﹂
の
部
分
が
﹁
文
十
子
﹂
の
形
に
な
っ
て
い
る
)
・
明
州
本
・
秀
州
本
?
建
州
本
V
O
亦
無
事
於
寓
搭
云
欝
﹁
対
亦
無
事
商
捷
云
一
衛
﹂
(
﹁
於
﹂
宇
無
し
)
︿
棟
八
郎
本
・
明
州
本
・
秀
州
本
・
建
州
本
﹀
-︿
明
州
本
・
秀
州
本
﹀
は
正
文
の
末
尾
に
、
﹁
一
一
善
本
序
与
北
問
。
す
な
わ
仇
簡
略
更
不
録
(
善
本
の
序
は
比
れ
と
開
じ
。
仰
ち
街
路
に
し
て
更
に
録
さ
ず
ご
と
注
を
付
し
て
い
る
。
こ
の
指
摘
の
と
お
り
、
李
善
単
注
本
(
尤
刻
本
・
胡
刻
本
・
昌
子
監
本
)
は
当
該
序
を
節
略
し
た
形
で
注
記
し
て
い
る
。
尤
刻
本
に
従
っ
て
以
下
に
原
文
を
示
し
て
お
く
。
﹁
僕
以
為
亦
叶
其
美
卦
善
而
巳
﹂
︿
陳
八
郎
本
・
明
州
本
・
雑
体
詩
序
呂
、
関
西
鄭
下
既
巳
宰
問
、
河
外
江
南
頗
為
異
法
。
今
作
三
十
首
詩
、
掛
叶
立
斗
叶
。
噌
吋
4
q
司
漏
叫
宮
崎
、
庶
亦
無
事
酪
権
。
す
で
雑
体
詩
の
序
に
臼
う
、
関
西
と
鄭
下
と
は
既
巴
に
同
じ
き
と
竿
に
し
て
、
河
外
と
江
南
と
は
頗
る
法
を
異
に
す
と
為
す
。
る
に
足
ら
ず
と
雌
も
、
淵
流
を
品
藻
す
ち
カ
亦
た
商
権
に
事
く
こ
と
無
き
に
庶
か
ら
今
三
十
首
の
詩
を
作
り
、
其
の
文
体
に
穀
う
D
ん
や
、
と
な
お
、
︿
国
子
監
本
﹀
雄 不 足
藻 を
泉
1- .
流 学
i
」 其
文 体
作
はi
﹁
教
其
文
体
﹂
り
﹁
雄
不
足
品
藻
淵
流
﹂
に
作
っ
て
い
を
る
。
[
訳
]
楚
の
民
謡
と
漢
の
風
格
と
は
、
す
で
に
文
体
上
の
骨
格
を
異
に
し
貌
や
晋
の
格
調
も
、
ル
と
な
っ
て
い
る
D
も
と
よ
り
そ
れ
ぞ
れ
個
別
の
ス
タ
イ
て
お
り
冷
え
る
な
ら
ば
、
藍
色
と
朱
色
を
用
い
て
彩
模
様
を
作
り
出
す
と
、
そ
の
混
じ
り
合
い
が
無
限
に
多
様
で
あ
る
よ
う
{
呂
や
商
と
い
っ
た
音
律
に
よ
っ
て
音
を
作
な
も
の
で
あ
り
、
ま
た
、
り 出 す
と
そ
の
繊
細
な
美
し
さ
に
極
ま
る
と
こ
ろ
が
な
、 く
な
る
よ
う
な
も
の
で
も
あ
る
。
そ
れ
ゆ
え
、
美
人
で
あ
る
と
さ
れ
る
容
貌
の
基
準
は
必
ず
し
も
同
一
で
は
な
い
が
、
人
々
は
そ
れ
を
見
て
心
を
揺
り
動
か
さ
れ
、
香
草
が
放
つ
香
気
は
そ
れ
ぞ
れ
異
な
っ
て
い
る
が
、
人
々
は
そ
れ
を
嘆
い
で
心
を
悦
ば
せ
る
の
で
あ
っ
て
、
そ
う
で
な
い
﹃
文
選
集
注
﹄
江
流
﹁
刺
体
詩
﹂
訳
注
(
九
)
雑
体
詩
序
(
小
田
)
こ
と
な
ど
が
あ
る
で
あ
ろ
う
か
。
世
の
諸
賢
、
が
迷
い
の
中
に
滞
留
し
て
、
甘
さ
を
論
じ
て
は
辛
さ
を
忌
み
嫌
い
、
赤
を
好
む
あ
ま
り
白
を
非
難
し
な
い
こ
と
は
な
い
と
い
う
よ
う
な
状
態
-に
な
っ
て
し
ま
う
の
に
至
つ
て
は
、
い
わ
ゆ
る
道
理
に
通
じ
て
寛
容
な
態
度
を
押
し
広
め
、
(
自
分
と
)
遠
く
縞
た
っ
た
も
の
を
も
兼
愛
す
る
者
で
あ
る
、
な
ど
と
ど
う
し
て
い
え
よ
う
か
。
劉
禎
や
玉
条
に
つ
い
て
の
討
論
は
学
派
ご
と
に
賛
否
が
分
か
れ
、
潜
岳
や
陸
機
の
評
価
に
つ
い
て
も
人
そ
れ
ぞ
れ
対
立
し
て
い
る
の
に
及
ん
で
は
、
ま
た
ど
う
し
て
そ
う
し
た
、
こ
と
と
異
な
る
と
い
え
よ
う
か
。
遠
い
存
在
を
貴
び
身
近
な
存
ま
た
、
在
を
賎
し
む
の
は
一
般
的
な
情
理
で
あ
り
、
聞
き
及
ん
だ
と
こ
ろ
を
重
ん
じ
て
実
際
に
自
に
し
た
と
こ
ろ
を
軽
ん
じ
る
の
は
俗
世
間
で
は
か
つ
て
榔
郭
の
楽
曲
家
が
李
奇
常
に
起
こ
り
が
ち
な
弊
害
で
あ
る
。
の
名
を
繍
っ
た
り
、
鍾
会
(
の
手
跡
)
が
院
籍
(
の
(
字
、
士
季
)
手
跡
)
に
か
こ
つ
け
て
論
じ
ら
れ
た
り
し
た
と
い
う
の
は
そ
の
効
果
の
具
体
的
な
表
れ
で
あ
る
。
五
言
詩
の
勃
興
は
そ
れ
ほ
ど
昔
で
は
な
い
が
、
前
漢
の
頃
と
貌
の
頃
と
で
は
そ
の
内
実
は
す
で
に
異
な
っ
て
お
り
、
洛
陽
と
建
康
と
で
は
大
き
く
基
準
が
異
な
っ
て
い
る
。
そ れ
ゆ
え
装
飾
性
や
結
構
に
分
別
が
あ
り
、
す
ぐ
れ
て
珍
し
い
か
ど
う
か
や
重
ん
ず
る
べ
き
か
否
か
は
一
概
に
は
決
定
し
が
た
い
が
、
各
作
品
三
五
筑
波
中
国
文
化
論
議
第
三
十
六
号
。
七
は
そ
れ
ぞ
れ
に
美
を
内
包
し
て
お
り
、
ま
た
善
を
兼
ね
備
え
た
も
の
で
も
あ
る
と
私
は
考
え
て
い
る
。
今
こ
こ
に
三
十
首
の
詩
を
作
っ
て
そ
れ
ぞ
れ
の
文
体
を
模
倣
す
る
。
各
文
体
の
根
源
を
鑑
定
し
尽
く
し
た
と
は
い
え
な
い
が
、
大
略
と
し
て
は
的
外
れ
で
は
あ
る
ま
い
。
{
夫
楚
謡
漢
風
、
貌
制
晋
造
、
固
亦
二
体
}
既
非
一
骨
、
立
日
決
、
夫
、
音
扶
。
詩
H武 本
於謡
風①
言語音
也遥
屈
原
・
宋
玉
陸
善
経
臼
、
歴 漢
貌骨
晋 体
体②文
制 之
皆 梗
殊概
楚
人
好
詩
賦
。
為
文
章
唱
始
。
音
決
に
、
夫
、
音
は
扶
。
謡
、
音
は
遥
、
と
陸
善
経
日
く
、
詩
賦
は
風
謡
に
本
づ
く
な
り
。
骨
体
は
文
の
梗
概
。
屈
原
・
宋
玉
は
楚
人
に
し
て
詞
賦
を
好
む
。
文
章
を
為
り
て
唱
う
の
始
ま
り
な
り
。
漢
貌
晋
を
歴
て
体
制
皆
な
殊
な
れ
り
、
と
[
訳
︺
﹃
音
決
﹄
に
、
謡
の
音
は
遥
で
あ
る
﹂
﹁
夫
の
音
は
扶
で
あ
り
、
一
三
六
頁
と
あ
る
。
陸
善
経
は
次
の
よ
う
に
述
べ
て
い
る
。
﹁
詩
、
賦
は
歌
謡
に
基
づ
い
て
い
る
。
文
体
は
文
章
の
枠
組
み
で
あ
る
。
届
原
や
宋
玉
と
い
っ
た
楚
の
人
は
詞
賊
を
好
ん
だ
。
そ
れ
が
文
章
を
制
作
し
て
朗
唱
す
る
と
い
う
行
為
の
始
ま
り
で
あ
っ
た
。
漢
貌
晋
と
時
代
が
進
む
に
つ
れ
て
、
作
品
の
格
調
は
す
べ
て
異
な
z
っ
て
い
う
た
三
[
注
]
①
風
謡
民
間
の
歌
謡
。
本
文
の
ぷ
疋
お
踊
漢
風
﹂
を
つ
づ
め
た
語
棄
と
な
っ
て
い
る
。
他
の
用
例
と
し
て
は
、
﹃
後
漢
書
﹄
巻
八
十
二
・
李
館
伝
に
、
﹁
和
帝
即
位
、
分
遣
使
者
、
比
自
⋮
微
服
単
行
、
各
至
州
県
、
観
採
風
謡
(
和
帝
即
位
す
る
や
、
使
者
を
分
遣
し
、
皆
な
微
服
単
行
し
て
、
各
お
の
州
県
に
至
り
、
風
謡
を
観
採
す
ご
と
あ
る
。
ま
た
、
文
学
批
評
に
用
い
ら
れ
た
例
と
し
て
は
、
司
南
斉
書
﹄
巻
五
十
二
・
文
学
伝
論
に
、
﹁
若
夫
委
自
天
機
、
参
之
史
伝
、
応
思
俳
来
、
勿
先
構
衆
。
一
一
一
一
口
尚
易
了
、
文
憎
過
意
、
吐
石
合
金
、
滋
潤
焼
切
。
雑
以
風
一
常
、
軽
唇
利
吻
、
不
雅
不
俗
、
独
中
胸
懐
(
若
し
夫
れ
委
ぬ
る
ひ
に
天
機
自
り
し
、
之
を
史
伝
に
参
え
、
思
い
に
応
じ
て
俳
来
た
り
、
先
に
構
衆
す
る
勿
か
れ
。
言
は
了
り
易
き
を
尚
び
、
文
ほ
意
に
過
石
を
吐
き
金
を
含
み
て
、
る
を
憎
む
、
風
謡
を
以
て
し
、
軽
審
利
吻
に
し
て
、
雅
な
ら
ず
俗
な
ら
ず
、
独
り
あ
た
胸
懐
に
中
る
ご
と
見
え
て
い
る
。
創
作
に
当
た
っ
て
は
感
情
を
優
先
し
て
過
度
の
潤
色
を
排
し
、
民
謡
風
の
調
子
も
取
り
入
れ
な
が
ら
滋
潤
焼
切
な
り
。
雑
う
る
に
口
に
土
せ
や
す
く
す
る
よ
う
配
慮
す
べ
き
で
あ
る
旨
が
述
べ
ら
れ
て
い
る
。
②
体
制
﹁
体
製
﹂
に
同
じ
く
詩
文
な
ど
の
格
調
の
こ
と
。
先
行
用
例
で
あ
る
裕
康
﹁
琴
賦
﹂
﹁
然
八
(
﹃
文
選
﹄
巻
一
八
)
に
、
其
体
制
風
流
、
序
音
之
器
、
歴
世
才
井
為
之
賦
煩
、
歌舞之象、
莫
不
相
襲
(
然
れ
ど
も
八
音
の
器
、
び
に
之
が
賦
f
煩
を
為
り
、
歌
舞
の
象
、
其
の
体
制
風
流
、
歴
世
の
才
士
、
相
い
襲
わ
ざ
る
は
莫
し
ご
﹁
歴
世
の
才
士
﹂
の
制
作
し
た
﹁
賦
煩
f
﹂
が
と
あ
る
の
は
、
千
篇
一
律
に
陥
っ
て
い
る
と
の
指
摘
と
な
っ
て
い
る
。
文
学
批
評
に
用
い
ら
れ
た
例
と
し
て
﹃
文
心
蹴
竜
﹄
附
会
篇
に
は
、
﹁
夫
才
童
学
文
、
宜
主
体
製
。
必
以
情
士
山
為
神
明
、
事
義
、
為
骨
髄
、
辞
采
為
肌
膚
、
宮
高
、
為
声
気
。
然
後
品
藻
玄
黄
、
摘
振
金
玉
、
献
可
替
否
、
以
裁
蕨
中
。
斯
綴
思
之
恒
数
也
(
夫
れ
才
童
の
文
を
学
ぶ
は
、
宜
し
く
体
製
を
正
す
べ
し
。
必
ず
情
士
山
を
以
て
神
明
と
為
し
、
事
義
を
骨
髄
と
為
し
、
辞
采
を
肌
膚
と
、
為
し
、
宮
簡
を
声
気
と
為
す
。
然
る
後
に
玄
黄
﹃
文
選
集
注
﹄
江
流
﹁
雑
体
詩
﹂
訳
注
(
九
)
雑
体
詩
序
(
小
田
)
を
品
藻
し
、
金
玉
を
檎
パ
振
る
い
、
可
を
献
じ
否
を
替
り
、
以
て
販
の
中
を
裁
す
。
斯
れ
思
い
を
綴
る
の
恒
一
数
な
り
ご
と
見
え
て
い
る
ロ
井
﹁
体
製
﹂
の
語
に
つ
い
て
鴛
銭
﹃
文
心
離
竜
義
一
証
﹄
︹
上
海
古
籍
出
版
社
、
一
九
八
九
。
以
下
倉
銭
﹃
義
証
﹄
)
は
、
与
体
製
﹄
也
作
﹃
体
制
﹄
、
包
括
体
裁
及
其
在
情
士
山
・
事
義
、
・
辞
采
・
宮
高
等
方
面
的
規
格
要
求
、
也
包
括
風
格
﹂
と
注
を
付
し
て
お
り
、
﹁
体
制
(
体
製
ご
と
は
内
容
や
措
辞
、
韻
律
と
い
っ
た
創
作
の
幅
広
い
方
面
に
対
し
て
使
用
さ
れ
る
術
語
で
あ
る
こ
と
が
指
摘
さ
れ
て
い
る
口
-﹃
楚
辞
﹄
と
漢
代
文
学
の
関
連
性
に
つ
い
て
、
﹃
宋
室
こ
巻
六
十
七
・
謝
霊
運
伝
論
に
は
次
の
よ
う
に
見
え
て
い
る
。
﹁
臥
口
決
杢
勢
、
四
百
余
年
、
辞
人
才
子
、
文
体
三
変
。
相
如
巧
為
形
似
之
ニ
一
一
口
、
班
固
長
於
情
理
之
説
、
子
建
・
仲
宣
以
気
質
為
体
、
並
一
標
能
撞
一
美
、
独
映
当
時
。
日
疋
以
一
世
之
士
、
各
相
慕
習
。
原
其
髄
流
所
始
、
莫
不
同
祖
風
・
騒
。
徒
以
賞
好
異
情
、
故
意
製
相
訪
(
漢
自
り
貌
に
至
る
、
四
百
余
年
、
辞
人
才
子
、
文
体
三
変
す
。
棺
如
は
巧
み
に
し
て
形
似
の
言
を
為
し
、
斑
一
回
は
情
理
の
説
に
長
じ
、
子
建
・
仲
官
一
は
気
質
を
以
ほ
し
い
ま
ま
で
体
と
為
し
、
並
び
に
能
を
標
し
て
美
を
撞
に
し
、
独
り
当
時
に
映
え
た
り
。
是
を
以
て
一
世
の
士
、
各
お
の
相
い
慕
習
す
。
其
の
髄
流
の
始
ま
る
所
を
原
ぬ
る
に
、
祖
を
風
・
騒
に
同
じ
く
せ
ざ
る
は
こ
こ
で
の
三
七
筑
波
中
国
文
化
論
叢
第
三
十
六
号
。
七
た
だ
莫
し
。
徒
賞
好
情
を
具
に
す
る
を
以
て
、
故
に
意
製
相
い
競
う
)
﹂
。
文
体
の
変
化
も
元
を
た
ど
れ
ば
﹃
詩
経
﹄
と
﹃
楚
辞
﹄
に
行
き
着
く
と
い
う
文
学
史
観
を
示
し
て
い
る
。
﹃
宋
書
﹄
謝
霊
運
伝
論
は
﹃
文
選
﹄
巻
五
十
に
も
収
録
さ
れ
て
お
り
、
該
当
す
る
部
分
の
李
善
注
に
引
く
﹃
続
晋
陽
私
﹄
に
は
、
﹁
自
司
馬
相
如
・
王
褒
・
揚
雄
諸
賢
代
皆
体
則
風
・
騒
、
詩
惚
百
家
之
言
(
司
馬
相
如
・
王
褒
・
揚
雄
の
諸
賢
自
り
代
々
詩
賦
を
尚
び
、
皆
な
体
は
風
・
騒
に
則
り
、
詩
は
百
家
の
言
を
惚
ぶ
ご
と
見
え
て
い
る
。
ま
た
、
﹃
文
心
難
竜
﹄
尚
詩
賦
、
辞
人
祖
述
楚
辞
。
霊
均
余
影
、
於
日
疋
乎
在
(
愛
に
漢
室
自
り
、
成
・
哀
に
至
る
に
迄
び
、
世
の
漸
む
こ
と
百
齢
に
し
て
、
時
序
篇
に
は
、
﹁
愛
自
漢
室
、
迄
至
成
・
哀
、
雄
世
漸
百
齢
、
九
変
、
而
大
抵
所
帰
、
辞
人
九
変
す
と
雄
も
、
楚
辞
を
祖
述
す
。
霊
均
大
抵
帰
す
る
所
は
、
の
余
影
、
是
に
於
い
て
在
り
ご
と
あ
る
。
漢
の
成
帝
・
哀
帝
に
至
る
ま
で
の
百
年
ほ
ど
の
問
に
作
者
は
様
々
に
変
わ
っ
た
が
、
文
学
的
な
趨
勢
と
し
て
は
概
ね
﹃
楚
辞
﹄
を
祖
述
し
て
い
た
と
い
う
。
楊
明
照
校
注
拾
遺
﹃
文
心
雌
竜
校
注
﹄
(
中
華
書
局
、
一
九
五
九
)
は
﹃
宋
室
田
﹄
謝
霊
運
伝
論
及
び
李
善
の
引
く
﹃
続
普
陽
秋
﹄
の
記
述
を
挙
げ
た
上
で
、
﹁
並
足
与
此
文
相
発
﹂
と
注
を
付
し
て
い
る
D
漢
代
文
学
の
源
流
の
一
﹃
楚
辞
﹄
を
位
置
づ
け
る
の
は
、
﹃
宋
っ
と
し
て
三
八
頁
書
﹄
謝
霊
運
伝
論
と
﹃
文
心
雛
竜
﹄
に
お
け
る
共
通
の
認
識
だ
っ
た
の
で
あ
る
D
翻
っ
て
当
該
序
は
﹁
既
に
一
骨
に
非
ず
︺
一
と
い
っ
て
、
﹃
楚
辞
﹄
と
漢
代
文
学
の
そ
れ
ぞ
れ
に
個
別
性
を
認
め
て
い
る
。
①
②
{
響
猶
藍
朱
成
采
、
雑
錯
之
変
無
窮
宮
商
、
為
音
‘
藤
蔓
之
態
不
極
︼
立
日
決
、
藍
、
陸善経臼‘
力
甘
反
。
憂
、
音
万
。
態
、
他
代
反
。
言
変
体
多
也
。
音
決
に
、
藍
は
、
カ
甘
の
反
。
憂
、
音
は
万
。
態
は
、
他
代
の
反
。
陸
善
経
臼
く
、
体
を
一
変
ず
る
こ
と
の
多
き
を
一
一
一
一
?
?
な
り
、
と
。
[
訳
]
﹃
音
決
﹄
に
、
﹁
藍
は
力
甘
の
反
で
あ
り
、
憂
の
音
ほ
万
で
あ
り
、
態
は
他
代
の
反
で
あ
る
﹂
と
あ
る
。
陸
善
経
は
次
の
よ
う
に
述
べ
て
い
る
。
﹁
文
体
の
変
化
す
る
こ
と
、
が
多
い
こ
と
を
い
っ
て
い
る
﹂
[
注
]
①
藍
朱
文
不
滅
質
、
間
色
に
対
す
る
正
色
。
﹃
文
心
雌
竜
﹄
情
采
篇
に
、
博
不
溺
心
、
正
采
耀
乎
朱
藍
、
間
色
扉
於
紅
紫
、
乃
可
謂
雌
琢
其
章
、
彬
彬
君
子
失
(
文
を
し
て
質
を
滅
さ
ず
、
博
を
し
て
心
を
溺
れ
さ
せ
ず
、
に
扉
れ
し
む
れ
ば
、
使
正
采
を
し
て
朱
藍
に
耀
き
、
間
色
を
し
て
紅
紫
乃
ち
雌
琢
す
る
こ
と
其
れ
章
ら
か
に
し
て
、
彬
彬
た
る
君
子
と
謂
う
可
し
ご
と
あ
る
。
文
飾
に
溺
れ
ず
本
質
的
な
心
情
や
思
想
を
主
軸
に
据
え
て
は
じ
め
て
君
子
た
る
に
ふ
さ
わ
し
い
言
辞
に
到
達
で
き
る
と
い
う
。
﹁
朱
藍
﹂
の
朱
と
﹁
紅
紫
﹂
の
紫
に
つ
い
て
は
、
﹃
論
語
﹄
陽
貨
篇
に
、
﹁
子
日
、
悪
紫
之
奪
朱
也
。
悪
鄭
声
之
乱
雅
楽
位
。
悪
利
口
之
覆
邦
家
者
(
子
日
く
、
紫
の
朱
を
奪
う
を
悪
む
。
鄭
声
の
雅
楽
を
乱
る
を
悪
む
。
利
口
の
邦
家
を
覆
す
を
悪
む
ご
と
あ
り
、
孔
安
国
は
﹁
朱
正
色
、
紫
間
色
之
好
者
。
悪
其
邪
好
而
奪
正
色
(
朱
は
正
色
、
紫
は
間
色
の
好
き
者
。
其
の
邪
好
に
し
て
正
色
を
奪
う
を
悪
む
ご
と
注
を
付
し
て
い
る
。
﹃
南
斉
書
﹄
文
学
伝
論
に
は
、
﹁
建
安
一
体
、
典
論
短
長
互
出
、
潜
・
陵
斉
名
、
機
・
岳
之
文
永
異
。
江
左
風
味
、
盛
道
家
之
言
、
郭
瑛
挙
其
霊
変
、
許
詞
極
主
ハ
名
理
、
仲
文
玄
気
、
猶
不
尽
除
、
謝
混
情
新
、
得
名
未
盛
。
顔
・
謝
並
起
、
乃
各
檀
奇
、
休
・
飽
後
出
、
成
亦
標
世
o
h
ポ
藍
共
妨
、
﹃
文
選
集
注
﹄
江
掩
﹁
雑
体
詩
﹂
訳
注
(
九
)
雑
体
詩
序
(
小
田
)
(
建
安
の
一
体
は
、
典
論
に
短
長
互
い
に
出
で
、
潜
・
陸
は
名
を
斉
し
く
し
、
機
・
岳
の
文
は
永
く
異
な
れ
り
。
江
左
の
風
味
は
、
道
家
の
言
を
盛
ん
に
し
、
郭
撲
は
其
の
霊
変
を
挙
、
げ
、
許
詞
は
其
の
名
理
を
極
め
、
仲
文
の
玄
気
、
猶
尽
く
は
徐
か
ざ
る
が
ご
と
︿
、
謝
混
の
情
の
新
た
な
る
は
、
名
を
得
る
も
未
だ
盛
ん
な
ら
ず
。
顔
・
ほ
し
い
ま
ま
謝
並
び
に
起
こ
り
て
、
乃
ち
各
お
の
奇
を
撞
に
し
、
休
・
純
は
み
な
し
め
後
に
出
で
て
、
戚
亦
た
世
に
標
す
。
朱
藍
妨
を
共
に
し
て
、
相
い
祖
述
せ
ず
ご
と
見
え
て
い
る
。
建
安
よ
り
後
の
文
学
の
趨
勢
を
絹
羅
的
に
示
し
た
上
で
、
そ
れ
ぞ
れ
が
個
性
を
発
揮
し
、
互
い
に
祖
述
し
合
う
よ
う
な
こ
と
は
な
か
っ
た
と
い
う
D
ま
た
、
﹃
詩
口
問
﹄
序
に
は
、
﹁
観
王
公
播
紳
之
士
、
毎
博
論
之
余
、
何
嘗
不
以
詩
為
口
実
Q
随
其
噌
慾
、
商
権
不
問
、
溢
溜
並
一
位
、
朱
紫
相
奪
、
喧
議
競
起
、
准
的
無
依
(
王
公
搭
紳
の
士
を
観
る
に
、
博
論
の
余
あ
る
毎
に
、
何
ぞ
嘗
で
詩
を
以
て
口
実
と
為
さ
、
さ
ら
ん
。
其
の
噌
慾
に
随
一
い
、
商
権
問
じ
か
ら
ず
、
溢
溜
並
び
に
一
泣
か
び
、
朱
紫
相
い
奪
い
、
喧
議
競
い
起
こ
り
、
准
的
依
る
無
し
ご
と
あ
る
。
﹁
朱
紫
﹂
の
語
を
使
用
し
つ
つ
、
こ
れ
と
い
っ
た
基
準
の
な
い
紛
々
た
る
詩
の
議
論
に
つ
い
て
批
判
的
に
述
べ
て
い
る
D
な
お
曹
旭
集
注
﹃
詩
品
集
注
﹄
(
上
海
古
籍
出
版
社
、
は
、
引
用
末
尾
の
﹁
無
依
﹂
に
つ
い
て
﹁
喪
失
依
拠
﹂
不
相
祖
述
一
九
九
四
)
三
九