〔 注 意 〕
① 問題は1~4まであります。
② 解答用紙はこの問題用紙の間にはさんであります。 ③ 解答用紙には受験番号、氏名を必ず記入のこと。 ④ 各問題とも解答は解答用紙の所定のところへ記入
のこと。
( 5 0 分)
理 科
平成29年度 入学試験問題
太陽についての以下の文を読み、後の問いに答えよ。
太陽は表面温度が約 ( ① )℃で、中心部はそれ以上の 高温であり、水素を ( ② ) させることによって光を出し て輝く ( ③ ) という種類の天体である。
望遠鏡で太陽表面を観測すると、図1の写真と表に挙げ た結果が得られた。
表 太陽表面の観測結果
⑴ ( ① ) に適する数値として正しいものを次の中から1つ選び、記号で答えよ。 ア.2000 イ.4000 ウ.6000 エ.8000 オ.10000
⑵ ( ② ) に適する語句として正しいものを次の中から1つ選び、記号で答えよ。 ア.燃焼 イ.分解 ウ.光合成 エ.核分裂 オ.核融合
⑶ ( ③ ) に適する語句を答えよ。
1
A.いくつかの黒点が見られた。 B.次第に黒点が移動した。
C.黒点が太陽の縁に近づくと細長くゆがんだ。 D.大半の黒点は、数個ごとの集まりになっていた。 E.緯度の異なる黒点の移動速度は違った。
F.ほとんどの黒点の近くでは、白い斑はん点も見られた。
⑹ 黒点が黒く見える理由として正しいものを次の中から1つ選び、記号で答えよ。 ア.光が出ていないため、黒く見える。
イ.周辺よりも温度が低いため、黒く見える。 ウ.プロミネンスにより光が遮られて、黒く見える。
エ.太陽と地球の間の空間にある宇宙の塵ちりによって光が遮られて、黒く見える。
⑺ 黒点の数は太陽活動の活発さによって周期的に増減することがわかっており、これを黒点 周期という。図2は、黒点の数の増減を表したものである。黒点周期はおよそ何年か、小 数第1位を四捨五入して、整数で答えよ。
図2 1700 年から2010 年までの黒点の数の増減
⑻ 太陽活動が活発化した際に観測される現象として誤りを含むものを次の中から1 つ選 び、記号で答えよ。
ア.活動的なプロミネンスが見られる。
イ.大規模なフレアが発生し、コロナから強い赤外線が宇宙空間に放射される。 ウ.地球では、磁気嵐あらしやオーロラが起こりやすくなる。
エ.地球では電波障害が発生し、人工衛星と地上の通信などに悪影響がでる。
200
〔個〕
〔年〕
150
1700 1720 1740 1760 1780 1800 1820 1840 1860 1880 1900 1920 1940 1960 1980 2000 100
50
0
黒
点
の
⑼ 次のア~エは、1日ごとに太陽表面をスケッチしたものである。これらのスケッチを日付 の古い順に並び替え、記号で答えよ。
⑽ 太陽のある場所の1つの黒点Sを観測し続けたところ、地球から見た同じ位置に再び戻 るまで30 日を要することが分かった。黒点S付近の緯度における太陽の自転周期は何日 か。ただし、地球の公転軌道は円であり、公転周期は360日とする。また、小数第2 位を 四捨五入して、小数第1位まで答えよ。
ア.
エ. イ.
ウ.
西 東
西 東
西 東
銅とその化合物についていくつかの実験をした。後の問いに答えよ。
【実験①】赤褐色の銅の粉末をステンレス製の小皿に入れて、ガラス棒でかき混ぜながらガス バーナーで十分に加熱すると、黒色の粉末に変わった。
【実験②】実験①でできた黒色の粉末22.5g をとり、少量の炭素粉末を混ぜて試験管に入れ、 ガスバーナーで加熱した。気体が発生しなくなった時点で加熱をやめると、試験管内 の固体物質の質量は19.8g になっていた。
⑴ 実験①の反応を化学反応式で表せ。
⑵ 実験②の炭素と同様のはたらきをもつ物質を次の中から2つ選び、記号で答えよ。 ア.窒素 イ.酸素 ウ.水素 エ.塩素
オ.一酸化炭素 カ.二酸化炭素
⑶ 実験②で発生した気体と同じ気体が得られる実験を次の中からすべて選び、記号で答え よ。
ア.次亜塩素酸ナトリウムに塩酸を注ぐ。 イ.アルミニウムに塩酸を注ぐ。
ウ.石灰石に塩酸を注ぐ。 エ.重じゅう曹そうに塩酸を注ぐ。
オ.水酸化ナトリウムに塩酸を注ぐ。
⑷ 実験①でできた黒色の粉末にうすい硫酸を注いだところ、青色の水溶液になった。このと きの反応を化学反応式で表せ。
⑸ 銅原子1個の質量と酸素原子1個の質量の比は4:1である。実験②において生じた銅の 質量は何 g か。
【実験③】実験①の黒色の粉末に塩酸を注ぐと、塩化銅水溶液ができた。この塩化銅水溶液 と、余った塩酸を使って、電気分解の実験をした。
塩化銅水溶液を電気分解する装置Aと、塩酸を電気分解する装置Bを下図のよう に直列に接続した。a~dは炭素棒の電極である。
⑹ b極とc極を結ぶ導線の中で電子は(あ)・(い)のうち、どちらの向きに移動しているか、 記号で答えよ。
⑺ 装置Bで塩酸が2種類の気体に分解される反応を、1つの化学反応式で表せ。
⑻ b極の表面には固体が付着した。b極にn個の原子が付着する間に、装置Bからは合計で
何個の気体分子が生成するか。nを用いて答えよ。
⑼ a極から1.40g の気体が発生し、b極には1.28g の物質が付着した。このとき、装置Bの 溶液の質量は1.44g 減少していた。ただし、発生した気体はすべて溶液の外へ出たとし、水 は蒸発しなかったものとする。
ⅰ このとき、d極で発生した気体の質量は何 g か。
ⅱ 銅原子1個の質量をX〔g〕、塩素分子1個の質量をY〔g〕、塩化水素分子1個の質量
A B
(あ)
A植物の葉の表
ひょう
面めんをB顕微鏡で観察すると、たくさんの小さな部屋のようなものがすき間な
く並んでいるようすが見られる。この小さな部屋のことを細胞という。
細胞はイギリスの科学者であるロバート・フックによって発見され、その後、C細胞の観察
が盛んにおこなわれるようになった。
⑴ 下線部Aについて、ホウセンカの葉の表面を観察したものとして、最も適当なものを次 の中から1つ選び、記号で答えよ。
⑵ 動物と植物の細胞にはいろいろな違いがある。動物細胞には見られず植物細胞にのみ見ら れるつくりを、細胞壁と発達した液胞以外で1つ答えよ。
⑶ 下線部Bについて、下の写真の顕微鏡の使用方法を述べた次の文のうち、正しいものを 1つ選び、記号で答えよ。
ア.顕微鏡を用いて観察する場合は、水平で直射日光が当たらない暗室を選ぶ。 イ.対物レンズを先につけ、その後接眼レンズを取りつける。
ウ.観察を始めるときには、対物レンズは一番短いものを選んでセットする。 エ.プレパラートを対物レンズの直前まで近づけ、その後、対物レンズをのぞきなが
ら接眼レンズを遠ざけて焦点を合わせる。
オ .低倍率から高倍率にすると視野が暗くなるので、反射鏡を凹面鏡から平面鏡に変 える。
3
⑷ 顕微鏡の倍率を100 倍から400 倍に変えたとき、次の問いに答えよ。ただし顕微鏡をとお して見える試料は、すべて視野におさまっているものとする。また、必要であれば約分し、 最も簡単な分数で答えよ。
ⅰ 顕微鏡をとおして見える試料の長さは100 倍の時の何倍になるか。 ⅱ 顕微鏡をとおして見える視野の範囲は100 倍の時の何倍になるか。
⑸ 下線部Cについて、タマネギの根の細胞分裂を観察する方法を述べた次の文において、 下線部ア~ケの中で間違っている部分を2つ選び、記号で答えよ。また、適語に直せ。
タマネギの根のア先端から5mm ほどを切り取る。これは、そのあたりから分裂している
細胞が効率よく得られるからである。その根の先端を、うすいイ炭酸水に入れ、ウ 60℃くら
いの湯で数分間温める。これにより、一つ一つの細胞のエ細胞膜の間にある接着物質が溶
け、離れやすくなる。その後、オ柄つき針で細かくほぐし、カ酢酸カーミン液を数滴加え、
数分間置く。最後にキカバーガラスをかけて、その上にクろ紙をのせ、上から静かにケ指の
⑹ 下線部Cについて、細胞分裂には、分裂の準備を行う間期と、実際に分裂を行う分裂期 がある。さらに間期には、DNAを複製するS期を中心に、S期の前にはDNAを複製する 準備を行うG1 期が、S期の後には分裂に必要な物質が生成されるG2期が存在する。そし
て、G1期→S期→G2期→分裂期→G1期→・・・というサイクルのなかで、G1期の
初めから分裂期の終わりまでを細胞周期と呼んでいる。
以下の【実験】を読んだうえで、【考察】の①~⑤には適切な数値を、a~dには適切な 期間名(G1や分裂など)を入れよ。
【実験】
ある薬剤Xは無毒の物質であるが、分裂前の複製中の染色体内に取り込まれ、染色体に目 印を付けることができる(これを「標識する」という)。
ある日の午後0時に、盛んに細胞分裂している細胞の集団を、薬剤Xの加えられている培 養液(細胞分裂するのに必要な栄養分などが入った溶液)に短時間浸し染色体を標識した。そ の後、細胞外の薬剤Xを完全に取り除き、薬剤Xを含まない普通の培養液に戻して、その後 の細胞分裂を観察した。すると、午後4時から標識された分裂期の細胞が観察され始め、午後 5時には分裂期の細胞の50%が標識されたものとなった。その後、分裂期の細胞は100%標識 されたものとなったが、やがて減少し始めて、午後10時には再び50%となった。引き続き観 察を続けたところ、標識された分裂期の細胞は全く観察されなくなったが、翌日午前6時か ら再び観察されるようになった。
ただし、細胞を標識した時点で、多数の細胞は細胞周期の各時期に散らばって存在してい た。また、すべての細胞において、細胞周期の各期にかかる時間は一定であった。標識に要す る時間は極めて短いものとし、かつ、この短時間でS期の細胞は全て標識されたものとする。
【考察】
【実験】より、G1期、S期、G2期、分裂期の各期間の所要時間を導き出すことができる。
次の文を読み、後の問いに答えよ。ただし、問題中に出てくる銅線、電熱線の抵抗値は温度 によって変化しないものとする。
現在、われわれの身のまわりには電気製品がたくさんあり、これらは①電気エネルギーを力
学的な仕事や、熱、光、音のエネルギーに変換している。これらの製品に必要な電気エネル ギーの多くは、水力、火力、②原子力などの発電所で生成され、各家庭に送られてくる。発電
所 の 発電機で生成される電気は電圧が数千Vから2 万Vであり、家庭のコンセントの電圧
(100V)より高い。しかし、この電気は「変圧器」でさらに高い50 万Vの超高電圧にされ、 各地に送られる。そして、各地の変電所と家庭近くの変圧器により電圧は順次下げられ、家庭 のコンセントに供給される。超高電圧にして送電する理由は、長距離の送電のときには長い 銅線が必要となり、銅線の電気抵抗が無視できなくなるためである。例えば断面積が1cm2で
長さが20 km の銅線の端から端までの抵抗値は3.5Ωとなる。さらに、③銅線の電気抵抗は銅
線の長さに比例し、断面積に反比例することが知られている。このため、数百 km の長さの銅 線の電気抵抗を十分小さくするためには、非常に太い銅線が必要となり、経済的な負担が大き い。そこで、太さを変えずに電気抵抗の影響を小さくするために電圧を高くする。電圧を高く すると低い場合にくらべ、銅線における消費電力が小さくなり、効率良く送電ができる。
⑴ 下線部①について、電気エネルギーを力学的な仕事に変換することを目的としている製品 を次の中からすべて選び、記号で答えよ。
ア.アイロン イ.IH調理器 ウ.炊飯器 エ.扇風機 オ.掃除機 カ.蛍光灯
⑵ 100Vの電圧をかけたときに50Wの電力を消費する電熱線Pと、200Vの電圧をかけたと きに400Wの電力を消費する電熱線Qがある。以下の問いに答えよ。ただし、答えの数値 が割り切れない場合は、小数第2位を四捨五入して、小数第1位
まで求めよ。
4
⑷ 下線部③について、断面積が1cm2で長さが3 km の銅線の抵抗は何Ωか。必要があれば
小数第3位を四捨五入して、小数第2位まで答えよ。
以下の設問⑸⑹における「銅線」はすべて断面積が1cm2である。
⑸ 一定の電圧をかけることができる電源 ( 定電圧電源 ) と2本の銅線を用い、図2のように 20km 先の25Ωの電熱線と接続する。
ⅰ 定電圧電源の電圧(図2のAB間)を100Vにしたとき、電熱線における消費電力は何 Wか。必要があれば小数第2位を四捨五入して、小数第1位まで答えよ。
ⅱ 電熱線における消費電力が400Wのとき、定電圧電源の電圧は何Vか。必要があれば 小数第1位を四捨五入して、整数で答えよ。
ⅲ ⅱのとき、電熱線で消費した電力は、定電圧電源が出力した電力の何%か。必要があれ ば小数第1位を四捨五入して、整数で答えよ。
図2
定電圧電源
銅線
銅線
20㎞
A
B
「変圧器」 は入力側にかけた電圧に対して、一定の比率の電圧を出力側にかける装置であ る。理想的な変圧器では、入力側の電力と出力側の電力が等しくなる。例えば、図3は電圧 を10分の1にする理想的な変圧器である。変圧器の入力側 (CD間 ) に1000Vの電圧をかけ ると、出力側 (EF間 ) の電圧は100Vとなる。このとき、出力側に10Aの電流が流れている ならば、入力側には1Aの電流が流れている。
図3
⑹ 図4のように変圧器Xの入力側に定電圧電源を、変圧器Xの出力側に長さが20km の銅 線を2本つないだ。銅線の反対側は変圧器Yの入力側に接続されており、変圧器Yの出力 側には25Ωの電熱線が接続されている。ただし、変圧器Xは電圧を10倍に、変圧器Yは 電圧を10分の1にする理想的な変圧器である。また、XとYの間以外の銅線は短く、電気 抵抗は無視できるものとする。
ⅰ 電熱線における消費電力が400Wのとき、変圧器Xの出力側の電圧 (IJ間 ) は何Vで あるか。必要があれば小数第2位を四捨五入し、小数第1位まで答えよ。
ⅱ ⅰのとき、銅線で消費された電力 ( 輸送による電力損失 ) は定電圧電源が出力した電力 の何%か。必要があれば小数第3位を四捨五入し、小数第2位まで答えよ。
変圧器
1000V
1A
10A
1A
10A
100V
入力側
出力側 C
D
E
F